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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025886
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/44 20180101AFI20250214BHJP
【FI】
G06F9/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131098
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】塩見 祐太
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AE44
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】車両内の起動の要因となる起動要因情報、や、電子制御装置の内部で動作するソフトウェアの状態を示すソフトステータス情報に基づいて適切に信号を入力又は出力できるようにした電子制御装置を提供する。
【解決手段】入出力制御部40は、情報保持領域30aに保持される起動要因情報やソフトステータス情報、及び、紐づけ情報保持領域50の保持情報に応じて、入力する信号を複数の公開先アプリA67、公開先アプリB68のうち何れかに選択的に切り替えて入力させる、又は、実行アプリC69、実行アプリD70による実行後出力の参照元を選択的に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の起動の要因となる複数の起動要因情報や内部で動作するソフトウェアの状態を示す複数のソフトステータス情報を保持する情報保持領域(30a)と、
複数の公開先アプリや複数の実行アプリを記憶するアプリ記憶領域(30b)と、
前記複数の起動要因情報や前記複数のソフトステータス情報に紐づいて、入力する信号を選択的に入力させる前記公開先アプリの情報、又は、前記実行アプリによる実行後出力の参照元が対応して紐付けされた紐づけ情報保持領域(50)と、を備え、
前記情報保持領域に保持される前記起動要因情報や前記ソフトステータス情報、及び、前記紐づけ情報保持領域の保持情報に応じて、入力する信号を前記複数の公開先アプリのうち何れかに選択的に切り替えて入力させる、又は、前記実行アプリによる実行後出力の参照元を選択的に切り替える、制御部(40)を備える電子制御装置。
【請求項2】
自電子制御装置とは独立した個別の起動要因情報やソフトステータス情報を保持する1つ以上の他の電子制御装置と連携し、
前記制御部は、前記他の電子制御装置及び前記自電子制御装置を含む複数の起動要因情報や複数のソフトステータス情報に応じて、入力する信号を複数の公開先アプリのうち何れかに選択的に切り替えて入力させる、又は、前記実行アプリによる実行後出力の参照元を選択的に切り替えて外部に出力する、請求項1記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
起動要因が切り替わった際に切り替わり後の起動要因情報に更新し、
前記起動要因と前記入力する信号の公開先アプリとの紐づけ情報を前記紐づけ情報保持領域から参照し、入力した信号の格納先バッファを切り替えることで、前記起動要因情報に応じて入力した信号の前記公開先アプリを切り替える請求項1又は2記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
ソフトステータスが切り替わった際に切り替わり後のソフトステータス情報に更新し、
前記ソフトステータス情報と前記入力する信号の公開先との紐づけ情報を前記紐づけ情報保持領域から参照し、入力した信号の格納先バッファを切り替えることで、前記ソフトステータス情報に応じて、入力した信号の前記公開先アプリを切り替える請求項1又は2記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
起動要因が切り替わった際に切り替わり後の起動要因情報に更新し、
前記紐づけ情報保持領域から前記起動要因情報と前記参照元との紐づけ情報を参照し、前記実行アプリの実行後出力の参照元バッファを切り替えることで、前記起動要因情報に応じて、前記実行アプリによる実行後出力の参照元を切り替える請求項1又は2記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
ソフトステータスが切り替わった際に切り替わり後のソフトステータス情報に更新し、
前記紐づけ情報保持領域から前記ソフトステータス情報と前記参照元との紐づけ情報を参照し、前記実行アプリの実行後出力の参照元バッファを切り替えることで、前記ソフトステータス情報に応じて、前記実行アプリによる実行後出力の参照元を切り替える請求項1又は2記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の電子制御装置は、複数の通信ポートを備えており通信ポートを通じて他の電子制御装置と通信可能になっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の電子制御装置によれば、当該電子制御装置が起動すると複数の通信ポートのうち通信信号が入力される通信ポートを判別するようになっている。そして電子制御装置は、通信信号が入力されたと判別された通信ポートに対応して定められる動作モードに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-053405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、車両内の起動の要因となる起動要因情報や、電子制御装置の内部で動作するソフトウェアの状態を示すソフトステータス情報に基づいて、通信ポートに入力する信号の公開先アプリを異ならせたり、内部の実行アプリによる実行後出力を選択的に外部出力したりすることを考慮している。
【0005】
本発明の目的は、車両内の起動の要因となる起動要因情報、や、電子制御装置の内部で動作するソフトウェアの状態を示すソフトステータス情報に基づいて適切に信号を入力又は出力できるようにした電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、車両内の起動の要因となる複数の起動要因情報や内部で動作するソフトウェアの状態を示す複数のソフトステータス情報を保持する情報保持領域と、複数の公開先アプリや複数の実行アプリを記憶するアプリ記憶領域と、複数の起動要因情報や複数のソフトステータス情報に紐づいて、入力する信号を選択的に入力させる公開先アプリの情報、又は、実行アプリによる実行後出力の参照元が対応して紐付けされた紐づけ情報保持領域と、を備える。
【0007】
また、制御部は、情報保持領域に保持される起動要因情報やソフトステータス情報、及び、紐づけ情報保持領域の保持情報に応じて、入力する信号を前記複数の公開先アプリのうち何れかに選択的に切り替えて入力させる、又は、実行アプリによる実行後出力の参照元を選択的に切り替える。これにより、車両内の起動の要因となる起動要因情報、や、電子制御装置の内部で動作するソフトウェアの状態を示すソフトステータス情報に基づいて適切に信号を入力または出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における電子制御装置を概略的に示す電気的構成図
図2】第1実施形態においてソフトステータス情報に応じて入力する信号の公開先アプリを切り替える際の動作を概略的に示すフローチャート
図3】第1実施形態におけるソフトステータス情報と公開先アプリの紐づけの例
図4】第1実施形態において起動要因情報に応じて入力する信号の公開先アプリを切り替える際の動作を概略的に示すフローチャート
図5】第1実施形態における起動要因情報と公開先アプリの紐づけの例
図6】第1実施形態においてソフトステータス情報により出力信号の参照元を切り替える際の動作を概略的に示すフローチャート
図7】第1実施形態におけるソフトステータス情報と参照元バッファの紐づけの例
図8】第1実施形態において起動要因により出力信号の参照元を切り替える際の動作を概略的に示すフローチャート
図9】第1実施形態における起動要因情報と参照元バッファの紐づけの例
図10】第2実施形態において外部ECUの起動要因情報や外部ECUのソフトステータス情報を参照する場合の電子制御装置を概略的に示す電気的構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、電子制御装置についての幾つかの実施形態を説明する。各実施形態の間で同一機能を奏する部分については同一符号を付して説明を省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図9を参照しながら説明する。図1に示すように、車両用システム101は、電子制御装置20(自電子制御装置相当)と、電子制御装置20へ信号を入力させる入力ノード90と、電子制御装置20の出力信号を参照し利用する出力ノード100と、を接続して構成される。電子制御装置20はECU(Electronics Control Unit)とも称される。入力ノード90は、各種の車両用のセンサ又は外部ECUによるものである。出力ノード100は各種の車両用のアクチュエータ又は外部ECUによるものである。
【0011】
車両用の電子制御装置20は、マイコン30を備える。マイコン30は、プロセッサ、メモリ、及び、制御部として入出力制御部40を備える。マイコン30の入出力制御部40の入力ポートと入力ノード90との間は通信線により接続されている。マイコン30の入出力制御部40の出力ポートと出力ノード100との間は通信線により接続されている。
【0012】
メモリは、例えば揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成され、情報保持領域30a及びアプリ記憶領域30bを備える。情報保持領域30aには、車両内の起動の要因となる複数の起動要因情報31や、電子制御装置20の内部で動作するソフトウェアの状態を示す複数のソフトステータス情報32が保持されている。
【0013】
プロセッサは、メモリのアプリ記憶領域30bに記憶された複数のアプリケーションプログラムを実行する。アプリ記憶領域30bには、それぞれ異なる機能を実行するためのアプリA67、アプリB68、アプリC69、及びアプリD70が記憶されている。ここで、アプリA67、アプリB68は、本開示の公開先アプリ相当であり、アプリC69、アプリD70は、本開示の実行アプリ相当を示す。メモリは、非遷移的実体的記録媒体として用いられる。
【0014】
入出力制御部40は、情報保持領域30aに保持される起動要因情報31やソフトステータス情報32及び紐づけ情報保持領域50の保持情報に応じて、入力する信号を複数の公開先のアプリA67、アプリB68のうち何れかに選択的に切り替えて入力させるように構成されている。なお、紐づけ情報保持領域50には、起動要因情報31と公開先/参照元の紐づけ情報51、や、ソフトステータス情報32と公開先/参照元の紐づけ情報52が保持されている。具体例は後述の図3図5図7図9を参照。
【0015】
以下、幾つかの態様を例示する。これらの態様は組み合わせてもよい。
(1)<ソフトステータス情報32に応じて入力する信号の公開先を切替える態様>
図2に示すように、入出力制御部40は、A10において入力ポートの入力信号を取得し、A20においてソフトステータスの更新割込の有無を確認する。入出力制御部40は、ソフトステータスの更新の割込が発生していれば、A30においてソフトステータスが切り替わった際に切り替わり後のソフトステータス情報32に更新する。他方、入出力制御部40は、A20においてソフトステータスの更新の割込の発生がなければ、前回のソフトステータス情報32を参照する。
【0016】
入出力制御部40は、A40において入力する信号の公開先のアプリA67、アプリB68とソフトステータス情報32の紐づけを確認する。紐づけ情報保持領域30aには、複数のソフトステータス情報32に紐づいて、入力する信号を選択的に入力させるアプリA67、アプリB68の情報が対応して保持されている。
【0017】
例えば、図3に紐づけ情報保持領域50における紐づけ情報52の保持内容を示すように、ソフトステータスが起動時である場合には、アプリB68を公開先のアプリとするように紐づけされている。ソフトステータスが車両制御時の定期周回時である場合には、アプリA67を公開先のアプリとするように紐づけされている。
【0018】
さらにソフトステータスが、終了調停時である場合には、アプリB68を公開先のアプリとするように紐づけされている。さらにソフトステータスが、制御の終了時である場合には、アプリB68を公開先のアプリとするように紐づけされている。
【0019】
入出力制御部40は、A50、A60、A70においてソフトステータス情報32に応じて入力信号の公開先のアプリA67及びアプリB68を切り替える。公開先の切替方法は、値を格納する格納先バッファ63、64を切り替えることで実現できる。
【0020】
例えば、図2のA50においてソフトステータスが定期周回時である場合には、入出力制御部40は、紐づけ情報保持領域50の保持内容を参照し、公開先のアプリA67が参照する格納先バッファ63に入力信号の値を格納する。例えば、A50においてソフトステータスが定期周回時でないと判定した場合には、入出力制御部40は、紐づけ情報保持領域50の保持内容を参照し、公開先切替処理61により格納先バッファ64に入力値の格納先を切り替えて、公開先のアプリB68が参照する格納先バッファ64に入力した信号の値を格納する。
【0021】
これにより、マイコン30は、ソフトステータスが定期周回時にアプリA67を実行することで入力する信号の値に応じたアプリA67の処理を実行できる。またマイコン30は、ソフトステータスが定期周回時と異なる場合にはアプリB68を実行することで入力信号の値に応じたアプリB68の処理を実行できる。
【0022】
次に、他の態様を説明する。
(2)<起動要因情報31に応じて入力する信号の公開先を切替える態様>
図4に示すように、入出力制御部40は、B10において入力ポートの入力情報を取得し、B20において起動要因更新の割り込みの有無を確認する。入出力制御部40は、起動要因更新の割込が発生していれば、B30において起動要因が切り替わった際に切り替わり後の起動要因状態に更新する。割り込み発生がなければ前回の起動要因情報31を参照する。入出力制御部40は、B40において、入力信号の公開先のアプリA67、B68と起動要因情報31の紐づけを確認する。
【0023】
紐づけ情報保持領域30aには、複数の起動要因情報31に紐づいて、入力する信号を選択的に入力させるアプリA67、アプリB68の情報が対応して保持されている。
【0024】
例えば、図5に紐づけ情報保持領域50における紐づけ情報51の保持内容を示す。紐づけ情報51には、起動要因がイグニッションスイッチ(以降、IGスイッチと略称する。)ON時である場合には、アプリA67を公開先のアプリとするように紐づけされている。起動要因が充電接続ONである場合には、アプリA67を公開先のアプリとするように紐づけされている。
【0025】
また起動要因が燃料タンクのオープンである場合には、アプリB68を公開先のアプリとするように紐づけされている。また起動要因がソークタイマによる起床である場合には、アプリB68を公開先のアプリとするように紐づけされている。さらに、起動要因がCANバス(通信線)を通じた起動信号の受信である場合には、アプリB68を公開先のアプリとするように紐づけされている。
【0026】
入出力制御部40は、B50、B60、B70、B80において、起動要因に応じて入力する信号の公開先を切り替える。公開先の切替方法は、入力する信号の値を格納する格納先バッファ63、64を切り替えることで実現できる。
【0027】
例えば、図4に示すB50において起動要因がIGスイッチONである場合には、入出力制御部40は、紐づけ情報保持領域30aの保持内容を参照し、B70において、公開先アプリA67が参照する格納先バッファ63に入力した信号の値を格納する。
【0028】
B50において起動要因がIGスイッチONでない場合には、入出力制御部40は、B60において起動要因が充電接続ONであるか否かを判定する。充電接続ONである場合には、入出力制御部40は、B70においてアプリA67が参照する格納先バッファ63に入力した信号の値を格納する。B60において充電接続ONでない場合には、入出力制御部40は、B80において、アプリB68が参照する格納先バッファ64に入力した信号の値を格納する。
【0029】
これによりマイコン30は、起動要因がIGスイッチONである場合、入力した信号の値に応じてアプリA67の処理を実行できる。また、マイコン30は、起動要因がIGスイッチONでない場合で且つ起動要因が充電接続ONである場合にも、入力した信号の値に応じたアプリA67の処理を実行できる。さらにマイコン30は、起動要因がIGスイッチONでなく且つ起動要因が充電接続ONでない場合、入力した信号の値に応じたアプリB68の処理を実行できる。例えば、本態様(2)の場合、アプリA67はハイブリッド自動車用のアプリであり、アプリB68はガソリン自動車用のアプリとして考えるとよい。アプリA67、アプリB68が様々な車種に同時に搭載されている場合であっても、入力する信号に合わせて、アプリA67、アプリB68を使い分けできるようになる。
【0030】
さらに、他の例を説明する。
(3)<ソフトステータス情報32に応じて外部からの参照元を切替える態様>
図6に示すように、入出力制御部40は、C10においてソフトステータスの更新割込の有無を確認する。入出力制御部40は、ソフトステータスの更新の割込が発生していれば、C20においてソフトステータスが切り替わった際に切り替わり後のソフトステータス情報32に更新する。他方、入出力制御部40は、C20においてソフトステータスの更新の割込の発生がなければ、前回のソフトステータス情報32を参照する。
【0031】
入出力制御部40は、C30において、外部からの参照元のバッファ65、66とソフトステータス情報32との紐づけを確認する。紐づけ情報保持領域50には、複数のソフトステータス情報32に紐づいて、外部からの参照元のバッファ65、66が対応して保持されている。
【0032】
例えば、図7に紐づけ情報保持領域50における紐づけ情報52の保持内容を示すように、ソフトステータスが起動時の状態である場合には、外部からの参照元をバッファ66に切替えるように紐づけされている。バッファ66はアプリD70による実行後出力の保持領域である。ソフトステータスが車両制御の定期周回時である場合には、外部からの参照元をバッファ65に切替えるように紐づけされている。バッファ65はアプリC69による実行後出力の保持領域である。
【0033】
さらに、ソフトステータスの状態が終了調停時である場合には、外部からの参照元をバッファ66に切替えるように紐づけされている。ソフトステータスの状態が終了時である場合には、外部からの参照元のバッファ66に切替えるように紐づけされている。
【0034】
アプリC69、アプリD70による実行後出力をそれぞれバッファ65、66に保持している。このとき、入出力制御部40は、情報保持領域30aに保持されるソフトステータス情報32及び紐づけ情報保持領域50の保持情報に応じて、当該バッファ65、66の保持領域を選択的に切り替えて外部に出力する、すなわち外部の出力ノード100からの参照元をバッファ65、66の何れかに切替える。
【0035】
入出力制御部40は、C40、C50、C60において、ソフトステータスに応じて外部からの参照元をバッファ65、66の何れかに切替える。バッファ65、66の切替処理は、参照元のバッファ65又は66を参照元切替処理62により切替えることで実現できる。
【0036】
例えば、図6のC40においてソフトステータスが定期周回時である場合には、入出力制御部40は、紐づけ情報保持領域30aの保持内容を参照し、C50においてアプリC69の実行後出力が格納されたバッファ65を外部からの参照元とするように参照元切替処理62により切替える。例えば、C40においてソフトステータスが定期周回時でないと判定した場合には、入出力制御部40は、紐づけ情報保持領域30aの保持内容を参照し、C60においてアプリD70の実行後出力が格納されたバッファ66を外部からの参照元とするように参照元切替処理62により切り替える。
【0037】
入出力制御部40は、参照元切替処理62により外部からの参照元をバッファ65又は66に切替処理することで、C70において出力ポートからアプリC69又はアプリD70の実行後の結果を出力できる。これにより、出力ノード100は、ソフトステータスの変化に応じてアプリC69、アプリD70の実行後出力を切替入力できる。
【0038】
さらに、他の態様を説明する。
(4)<起動要因情報31に応じて外部からの参照元を切替える態様>
図8に示すように、入出力制御部40は、D10において起動要因更新の割り込みの有無を確認する。入出力制御部40は、起動要因更新の割込が発生していれば、D20において起動要因が切り替わった際に切り替わり後の起動要因状態に更新する。割り込み発生がなければ前回の起動要因情報31を参照する。入出力制御部40は、D30において、外部からの参照元と起動要因情報31の紐づけを確認する。
【0039】
例えば、図9に紐づけ情報保持領域50における紐づけ情報51の保持内容を示すように、起動要因がIGスイッチONである場合には、アプリC69による実行内容を出力、すなわち外部からの参照元をバッファ65とするように紐づけされている。起動要因が充電接続ONである場合には、アプリC69による実行内容を出力、すなわち外部からの参照元をバッファ65とするように紐づけされている。
【0040】
さらに、起動要因が燃料タンクオープンである場合には、アプリD70による実行内容を出力、すなわち外部からの参照元をバッファ66とするように紐づけされている。起動要因がソークタイマの起床である場合には、アプリD70による実行内容を出力、すなわち外部からの参照元をバッファ66とするように紐づけされている。さらに、起動要因がCAN信号による起動である場合には、アプリD70による実行内容を出力、すなわち外部からの参照元をバッファ66とするように紐づけされている。
【0041】
入出力制御部40は、情報保持領域30aに保持される起動要因情報31及び紐づけ情報保持領域50の保持情報に応じて、バッファ65、66の保持領域を選択的に切り替えて外部に出力する、すなわち外部の出力ノード100からの参照元のバッファ65、66とする。
【0042】
入出力制御部40は、D40、D50、D60、D70において起動要因に応じて外部からの参照元をバッファ65、66の何れかに切り替える。外部からの参照元のバッファ65、66の切替処理は、参照元のバッファ65又は66を参照元切替処理62により切替えることで実現できる。
【0043】
例えば、図8のD40において起動要因がIGスイッチONであると判定した場合には、入出力制御部40は、紐づけ情報保持領域50の保持内容を参照し、D60においてアプリC69の実行後出力が格納されたバッファ65を外部からの参照元とするように参照元切替処理62により切替える。例えば、D40において起動要因がIGスイッチONでないと判定した場合には、入出力制御部40は、紐づけ情報保持領域50の保持内容を参照し、D50において起動要因が充電接続ONであるか否かを判定する。起動要因が充電接続ONであれば、入出力制御部40は、D60においてアプリC69の実行後出力が格納されたバッファ65を外部からの参照元とするように参照元切替処理62により切替える。起動要因が充電接続ONでなければ、入出力制御部40は、D70においてアプリD70の実行後出力が格納されたバッファ66を外部からの参照元とするように参照元切替処理62により切替える。
【0044】
入出力制御部40は、参照元切替処理62により外部からの参照元をバッファ65又は66に切替処理することで、D80において出力ポートからアプリC69又はアプリD70の実行後の結果を出力できる。これにより、出力ノード100は、起動要因の変化に応じてアプリC69、アプリD70の実行後出力を切替入力できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、入出力制御部40は、情報保持領域30aに保持される起動要因情報31やソフトステータス情報32及び紐づけ情報保持領域50の保持情報に応じて、入力する信号を複数の公開先のアプリA67、アプリB68のうち何れかに選択的に切り替えて入力させる、又は、実行アプリC69、実行アプリD70による実行後出力を保持した参照元のバッファ65、66の出力を選択的に切り替えて外部に出力するようにしている。これにより、車両内の起動の要因となる起動要因情報31、や、電子制御装置20の内部で動作するソフトウェアの状態を示すソフトステータス情報32に基づいて信号を適切に入出力できるようになる。
【0046】
前述の例では、説明を理解しやすくするため、以下の4つの態様を示した。(1)ソフトステータス情報32に応じて入力した信号を参照させる参照先のアプリA67、アプリB68を選択する態様。(2)起動要因情報31に応じて入力した信号を参照させる参照先のアプリA67、アプリB68を選択する態様。(3)ソフトステータス情報32に応じてアプリC69、アプリD70の実行後出力を選択する、すなわち外部からの参照元のバッファ65、66を選択する態様。(4)起動要因情報31に応じてアプリC69、アプリD70の実行後出力を選択する、すなわち外部からの参照元のバッファ65、66を選択する態様。
【0047】
この上述の(1)~(4)の態様に限られるものではない。例えば、ソフトステータス情報32及び起動要因情報31の2種類をマトリクス状に分類した組合せ情報に応じて、入力した信号を参照させる参照先のアプリA67、アプリB68を選択する態様に適用してもよい。また例えば、ソフトステータス情報32及び起動要因情報31の2種類をマトリクス状に分類した組合せ情報に応じて、アプリC69、アプリD70の実行後出力を選択する、すなわち外部からの参照元のバッファ65、66を選択する態様に適用してもよい。このような組合せ情報に応じて選択できるようにすることで複雑な情報に応じて信号の入出力を管理できる。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態について図10を参照しながら説明する。
図10に示すように、電子制御装置20は、自電子制御装置20とは独立した個別の起動要因情報71やソフトステータス情報72を保持する1つ以上の他の電子制御装置80と連携している。
【0049】
起動要因情報71やソフトステータス情報72としては、自マイコン30や自電子制御装置20が保持する情報だけでなく、外部の他の電子制御装置80や、外部の他の電子制御装置80に内蔵される外部マイコン(図示せず)に保持されている情報を使用しても良い。ここで、情報通信方法は、CAN通信やマイコン間通信、端子入出力によるジカ線などの方法を使用できる。
【0050】
本実施形態によれば、入出力制御部40は、他の電子制御装置80及び自電子制御装置20を含む複数の起動要因情報31、71や複数のソフトステータス情報32、72に応じて、入力する信号を複数の公開先アプリA67、公開先アプリB68のうち何れかに選択的に切り替えて入力させる、又は、実行アプリC69、実行アプリD70による実行後出力の参照元を選択的に切り替えて外部に出力することになる。
【0051】
このような場合、他の電子制御装置80が保持する起動要因情報71やソフトステータス情報72を加味して、入力する信号を公開先アプリA67、公開先アプリB68に選択的に入力させたり、実行アプリC69、実行アプリD70による実行後出力の参照元を選択的に切り替えさせたりでき、利便性を向上できる。
【0052】
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、変形又は拡張が可能である。
【0053】
本開示に記載の手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0054】
本開示は、前述の実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や実施形態に記載された構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0055】
図面中、101、201は車両用システム、20は電子制御装置(自電子制御装置)、30aは情報保持領域、30bはアプリ記憶領域、31、71は起動要因情報、32、72はソフトステータス情報、40は入出力制御部(制御部)、50は紐づけ情報保持領域、63、64は格納先バッファ、65、66は参照元バッファ、67はアプリA(公開先アプリ)、68はアプリB(公開先アプリ)、69はアプリC(実行アプリ)、70はアプリD(実行アプリ)、80は他の電子制御装置、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10