(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002591
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】安全装置、および、安全装置を備えた飛行体
(51)【国際特許分類】
B64U 70/83 20230101AFI20241226BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20241226BHJP
【FI】
B64U70/83
B64U10/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102879
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】沖田 陽祐
(57)【要約】
【課題】動力源によって発生する一方側への駆動力および当該駆動力が発生したときに動力源から他方側に加わる反力がアクチュエータを作動させるための装置に加わることを抑制できる安全装置、および、当該安全装置を備えた飛行体を提供する。
【解決手段】安全装置100は、蓋部12を有する収容器10と、収容器10に収容される射出物20と、一方側に摺動することによって蓋部12を内側から押して蓋部12を取り外すピストン部材31、およびピストン部材31の他方側に位置しかつピストン部材31を一方側に摺動させる駆動力を発生させるガス発生器38を有するアクチュエータ30と、ガス発生器38に対してピストン部材31の摺動方向と交差する交差方向に位置し、ガス発生器38を作動させるためのトリガー装置90を配置可能な配置部材70と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部を有する収容器と、
前記収容器に収容される射出物と、
一方側に摺動することによって前記蓋部を内側から押して前記蓋部を取り外す摺動部材、および前記摺動部材の他方側に位置しかつ前記摺動部材を一方側に摺動させる駆動力を発生させる動力源を有するアクチュエータと、
前記動力源に対して前記摺動部材の摺動方向と交差する交差方向に位置し、前記動力源を作動させるための装置を配置可能な配置部材と、を備えていることを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記アクチュエータの少なくとも一部は、前記収容器よりも他方側に位置し、
前記配置部材は、前記アクチュエータの前記少なくとも一部に対して前記摺動方向と直交する直交方向に位置し、前記収容器の他方側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記アクチュエータの前記少なくとも一部は、前記摺動部材の一部と、前記動力源とを含み、
前記配置部材は、前記収容器の下部に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記アクチュエータおよび前記配置部材の他方側に位置し、前記アクチュエータが固定され、前記安全装置を機体に結合するためのマウント部材をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の安全装置。
【請求項5】
前記配置部材は、前記装置を収容可能な空間を形成していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項6】
機体と、
前記機体に結合される請求項1~4のいずれか1項に記載の安全装置と、
前記配置部材に配置される前記装置と、を備えていることを特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装置、および、当該安全装置を備えた飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律制御技術および飛行制御技術の発展に伴って、たとえばドローンと呼ばれる複数の回転翼を備えた飛行体の産業上における利用が加速しつつある。ドローンは、たとえば複数の回転翼を同時にバランスよく回転させることによって飛行し、上昇および下降は回転翼の回転数の増減によって行い、前進および後進は回転翼の回転数の増減を介して機体を傾けることによって成し得る。このような飛行体は、災害時活動、荷物運搬、風景撮影等に利用されるだけでなく、人が搭乗することも想定されており、今後、世界的に利用拡大することが見込まれている。
【0003】
一方で、上記のような飛行体の落下事故のリスクが危険視されており、飛行体の普及の妨げとなっている。こうした落下事故のリスクを低減するために、安全装置として飛行体用パラシュート装置が製品化されつつある。
【0004】
たとえば、特許文献1には、複数の発射体を異なる方向に推進させてキャノピーを拡張させるように促すトリガー動作を実行する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0251083号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、射出物が収容されている収容器の蓋部を取り外すために動力源によって発生する一方側への駆動力、および当該駆動力が発生したときに動力源から他方側に加わる反力が、動力源を有するアクチュエータを作動させるための装置(アクチュエータなどを制御するため、CPU、ROM、RAM等を有した制御部などを含む装置等)に加わることを抑制することが望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、動力源によって発生する一方側への駆動力および当該駆動力が発生したときに動力源から他方側に加わる反力がアクチュエータを作動させるための装置に加わることを抑制できる安全装置、および、当該安全装置を備えた飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る安全装置は、蓋部を有する収容器と、前記収容器に収容される射出物と、一方側に摺動することによって前記蓋部を内側から押して前記蓋部を取り外す摺動部材、および前記摺動部材の他方側に位置しかつ前記摺動部材を一方側に摺動させる駆動力を発生させる動力源を有するアクチュエータと、前記動力源に対して前記摺動部材の摺動方向と交差する交差方向に位置し、前記動力源を作動させるための装置を配置可能な配置部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
(2) 上記(1)の安全装置においては、前記アクチュエータの少なくとも一部は、前記収容器よりも他方側に位置し、前記配置部材は、前記アクチュエータの前記少なくとも一部に対して前記摺動方向と直交する直交方向に位置し、前記収容器の他方側に位置していることが好ましい。
【0010】
(3) 上記(2)の安全装置においては、前記アクチュエータの前記少なくとも一部は、前記摺動部材の一部と、前記動力源とを含み、前記配置部材は、前記収容器の下部に配置されていることが好ましい。
【0011】
(4) 上記(2)の安全装置においては、前記アクチュエータおよび前記配置部材の他方側に位置し、前記アクチュエータが固定され、前記安全装置を機体に結合するためのマウント部材をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
(5) 上記(1)~(4)の安全装置においては、前記配置部材は、前記装置を収容可能な空間を形成していることが好ましい。
【0013】
(6) 本発明に係る飛行体は、機体と、前記機体に結合される上記(1)~(4)のいずれか1つの安全装置と、前記配置部材に配置される前記装置と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、動力源によって発生する一方側への駆動力および当該駆動力が発生したときに動力源から他方側に加わる反力がアクチュエータを作動させるための装置に加わることを抑制できる安全装置、および、当該安全装置を備えた飛行体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る安全装置を示す正面図である。
【
図5】
図1の安全装置が取り付けられた飛行体を示す正面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る安全装置を示す端面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る安全装置を示す平面図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る安全装置を示す平面図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る安全装置を示す平面図である。
【
図10】本発明の第6実施形態に係る安全装置を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る安全装置および飛行体について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0017】
図1~
図4に示すように、安全装置100は、収容器10と、射出物20と、アクチュエータ30と、複数のカラー40と、複数のボルト50と、ハーネス60と、配置部材70と、マウント部材80とを備えている。なお、
図4では、端面で図示していない部分がある。
【0018】
収容器10は、射出物20を収容している。収容器10は、本体部11と、蓋部12とを有している。
【0019】
本体部11は、一方側(
図1等の矢印Xで示す側)に開口した有底状である。一方側とは、ガス発生器38によって発生した駆動力によってピストン部材31が摺動する側である。本体部11は、穴部13と、複数の穴部14とを有している。穴部13は、本体部11の底部の中央部に形成されており、ピストン部材31の摺動方向において本体部11の底部を貫通している。なお、以下では、ピストン部材31の摺動方向を、単に、摺動方向と呼ぶ場合がある。穴部13には、アクチュエータ30が挿通されている。穴部14は、本体部11の底部の中央部よりも外方に形成されており、摺動方向において本体部11の底部を貫通している。穴部14には、収容器10とアクチュエータ30とを固定するためのボルト50が挿通されている。
【0020】
蓋部12は、他方側(
図1等の矢印Yで示す側)に開口した有底状である。他方側とは、ガス発生器38によって発生した駆動力によってピストン部材31が摺動する側とは反対側である。蓋部12の開口部は、本体部11の開口部と嵌合するように形成されている。蓋部12は、蓋部12の開口部が本体部11の開口部と嵌合することによって、本体部11に取り付けられている。蓋部12は、筒状部15を有している。筒状部15は、蓋部12の天井部の中央部に形成されており、蓋部12の天井部から他方側に突出している。筒状部15は、他方側に開口する有底円筒状である。筒状部15の内方には、アクチュエータ30が配置されている。
【0021】
射出物20は、収容器10に収容されている。射出物20は、筒状部15と収容器10の側部との間に配置されている。射出物20は、蓋部12が取り外されて収容器10から射出される。たとえば、安全装置100が結合された飛行体1(後述)が落下しているときに蓋部12が本体部11から取り外された場合、射出物20は、外部に露出した状態となり、風圧等によって本体部11から射出、または、蓋部12と連結された紐状の連結部材(図示せず)などによって本体部11から引っ張り出されるようにして射出される。なお、ピストン部材31から延設されて射出物20を支持する支持部材(帽子のうち「ハット」と呼ばれるものと全体が似た形状の部材)を設け、ピストン部材31を一方側に摺動させることによって蓋部12を本体部11から取り外すとともに支持部材を一方側に移動させ、支持部材を一方側に移動させることによって支持部材に支持されている射出物20を本体部11から射出してもよい。本実施形態では、射出物20は、パラシュートまたはパラグライダーである。
【0022】
アクチュエータ30は、ピストン部材31と、管状部材32と、保持部材33と、シール部材34と、シリンダ35と、シール部材36と、基台37と、ガス発生器38とを有している。
【0023】
アクチュエータ30の一部は、収容器10よりも他方側の外部に位置している。具体的には、アクチュエータ30の一部は、収容器10の他方側の端部よりも他方側の外部に位置している。さらに具体的には、アクチュエータ30の一部は、本体部11の底部よりも他方側の外部に位置している。本実施形態では、ピストン部材31の一部、シリンダ35の一部、基台37、およびガス発生器38が、収容器10よりも他方側の外部に位置している。
【0024】
アクチュエータ30の他の一部は、収容器10の内部に位置しており、収容器10に収容されている。本実施形態では、ピストン部材31の他の一部、管状部材32、保持部材33、シール部材34、シリンダ35の他の一部、およびシール部材36が、収容器10の内部に位置しており、収容器10に収容されている。
【0025】
アクチュエータ30は収容器10に対して他方側にオフセットして配置されている。その結果として、収容器10について、作動時におけるピストン部材31と接触する部分の厚みを予め調整し易くなる(たとえば、当該厚みをアクチュエータの出力に合わせて調整できる)ので、収容器10の強度を調整し易くなる。また、収容器10の摺動方向の寸法を小さくし易くなるので、射出物20を収容する際の作業性が向上する。
【0026】
ピストン部材31は、一方側に摺動することによって蓋部12を内側から押して蓋部12を取り外す摺動部材の一例である。ピストン部材31の一方側には蓋部12が位置しており、ピストン部材31が一方側に摺動することによってピストン部材31が蓋部12に接触して蓋部12を一方側に押し、蓋部12を一方側に押すことによって蓋部12が本体部11から取り外される。ピストン部材31は、ガス発生器38によって発生する駆動力によって一方側に押し上げられ、シリンダ35に対して一方側に摺動する。ピストン部材31は、摺動方向に延びている。ピストン部材31は、本体部31aと、棒状部31bと、穴部31cと、溝部31dとを有している。
【0027】
本体部31aは、シリンダ35の内径とほぼ同じ外径の部分である。棒状部31bは、本体部31aに接続され、本体部31aの一方側の端部から一方側に延び、本体部31aよりも小径の部分である。穴部31cは、本体部31aおよび棒状部31bの内部に設けられている。穴部31cは、本体部31aの他方側の端部から棒状部31bの途中まで、ピストン部材31の中心軸に沿って形成されている。これにより、穴部31cが形成されていない場合に比べて、ピストン部材31は軽量化されている。溝部31dは、本体部31aの外周面において、本体部31aの周方向に沿って設けられている。
【0028】
管状部材32は、棒状部31bの他方側の端部において、本体部31aに接触した状態で嵌設または遊嵌されている。なお、管状部材32の内周面と棒状部31bの外周面との間には、隙間があってもよいが、その隙間としては、保持部材33とシリンダ35のストッパー部35bとの衝突時の略均一な圧縮による塑性変形を妨げない程度以内のものであればよい。管状部材32は、塑性変形する材料であるとともに、引張強度がピストン部材31(たとえば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅等の金属、ステンレス等の合金、樹脂等)よりも低い材料(たとえば、アルミニウム、真鍮等の金属、ステンレス等の合金、モノマーキャストナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6等のポリアミド合成樹脂等の樹脂等)からなる。管状部材32がシリンダ35の内周面に接触しないように、管状部材32とシリンダ35の内周面とは、所定距離(たとえば、保持部材33がシリンダ35のストッパー部35bに衝突した際に略均一な圧縮によって塑性変形した管状部材32が、シリンダ35の内周面に接触しない距離)以上離間している。これらにより、管状部材32は、保持部材33がシリンダ35のストッパー部35bに衝突して塑性変形しても、シリンダ35の内周面に阻害されることなく変形し、ピストン部材31の衝撃を十分に緩和する。
【0029】
保持部材33は、管状部材32を、棒状部31bの他方側の端部において、本体部31aに接触した状態で保持している。保持部材33は、ゴム等の弾性部材であってもよいし、管状部材32と同様の材料からなるものであってもよく、また、形状はリング状でもよいし、クリップ状であってもよい。
【0030】
シール部材34は、本体部31aの周方向に沿って、溝部31dに設けられている。シール部材34は、溝部31dとシリンダ35の内周面とに接触している。シール部材34は、O-リング等である。
【0031】
シリンダ35は、ピストン部材31を収容し、ピストン部材31を摺動可能に支持している。シリンダ35は、摺動方向に延びている。シリンダ35は、穴部35aと、ストッパー部35bと、溝部35cとを有している。
【0032】
穴部35aは、作動時に、ピストン部材31がシリンダ35に対して一方側に突出するための穴部である。穴部35aは、摺動方向において、シリンダ35の一方側の端部を貫通している。穴部35aには、ピストン部材31が挿通されている。ストッパー部35bは、シリンダ35の一方側の端部の内側に形成されている。ストッパー部35bは、ピストン部材31の棒状部31bの一部を取り囲むように配置された筒状である。ストッパー部35bは、ピストン部材31の一方側への摺動範囲を制限するものである。ガス発生器38によって発生した駆動力によって一方側に摺動したピストン部材31は、保持部材33がストッパー部35bに衝突することによって、一方側への摺動が制限される。溝部35cは、ストッパー部35bの内周面において、ストッパー部35bの周方向に沿って設けられている。
【0033】
シール部材36は、ストッパー部35bの周方向に沿って、溝部35cに設けられている。シール部材36は、溝部35cとピストン部材31の外周面とに接触している。シール部材36は、O-リング等である。
【0034】
基台37は、シリンダ35の他方側の端部がかしめ固定されている。基台37は、基台37のフランジ部37bに設けられた穴部(図示せず。内部に雌ねじが切られている。)に、マウント部材80を介してボルト82(
図1参照。一部図示せず)を締め付けることによって、マウント部材80に固定されている。基台37は、スクイブホルダである。基台37は、略筒状部材37aと、フランジ部37bと、挿入口37cとを有している。
【0035】
略筒状部材37aは、ガス発生器38をシリンダ35側において保持している。フランジ部37bは、略筒状部材37aのシリンダ35側と反対側に設けられている。フランジ部37bは、複数の穴部37dを有している。穴部37dは、基台37を収容器10に取り付けるために用いられる。穴部37dの内周面には雌ねじが切られており、収容器10の内部側から挿通されたボルト50が螺合するようになっている。挿入口37cは、ガス発生器38の電極38bに通電用のコネクタ61を嵌挿するために用いられる。
【0036】
ガス発生器38は、ピストン部材31の他方側に位置し、ピストン部材31を一方側に摺動させる駆動力を発生させる動力源の一例である。ガス発生器38は、シリンダ35の他方側の開口部に挿通された状態で、ピストン部材31の他方側に配置されている。ガス発生器38は、点火器のみ用いても良いし、点火器およびガス発生剤を備えたガス発生器を用いても良い。また、火薬式の点火器により小型のガスボンベにおける封板を開裂させ、内部のガスを外部へと排出するハイブリッド型、ストアード型のガス発生器を用いてもよい。この場合、ガスボンベ内の加圧ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素、二酸化炭素等の不燃性のガスあるいはこれらの混合物を用いることができる。また、加圧ガスが放出される際に確実にピストンを推進させるために、ガス発生剤組成物またはテルミット組成物等からなる発熱体をガス発生器に具備させてもよい。ガス発生器38は、マイクロガスジェネレータ等である。ガス発生器38は、カップ体38aと、複数の電極38bとを有している。
【0037】
カップ体38aの内部には、点火器が配置されている。また、たとえば、カップ体38aの内部には、ガス発生剤、ガスボンベ、および/または発熱体等が適宜配置されている。電極38bは、カップ体38aの内部に配置されている点火器に電気的に接続されている。
【0038】
カラー40は、アクチュエータ30を収容器10に対して他方側にオフセットさせて配置するための部材である。カラー40は、収容器10の本体部11の底部と、基台37のフランジ部37bとの間に配置されている。カラー40は、摺動方向に延びる円筒状であり、カラー40の内部空間は、穴部14および穴部37dと連通している。
【0039】
ボルト50は、収容器10とアクチュエータ30とを固定するための部材である。ボルト50は、収容器10の内部側から穴部14およびカラー40に挿通され、穴部37dに螺合されている。ボルト50を締め付けることによって、収容器10とアクチュエータ30とが固定される。
【0040】
ハーネス60は、ガス発生器38とトリガー装置90とを電気的に接続するための部材である。ハーネス60は、コネクタ61と、配線62と、コネクタ63とを有している。
【0041】
コネクタ61は、ガス発生器38の他方側に位置し、電極38bに接続されている。配線62は、コネクタ61とコネクタ63とに接続されている。コネクタ63は、トリガー装置90に接続される。これによって、トリガー装置90からの信号がガス発生器38に供給され、ガス発生器38が作動する。
【0042】
ここでは、図面が煩雑になることを避けるために、配線62およびコネクタ63を配置部材70の外部に図示しているが、配線62およびコネクタ63は、配置部材70の内部に配置される。なお、トリガー装置90が配置部材70の外部に配置された場合等には、配線62およびコネクタ63は、配置部材70の外部に配置されてもよい。
【0043】
配置部材70は、ガス発生器38を作動させるための装置を配置可能な部材である。本実施形態では、配置部材70は、ガス発生器38を作動させるためのトリガー装置90を配置するための部材である。なお、配置部材70には、トリガー装置90だけでなく、トリガー装置90に供給する電力を貯蔵するバッテリが配置されてもよいし、トリガー装置90と当該バッテリとを接続する配線等の付属部材が配置されてもよい。また、配置部材70には、トリガー装置90の状態を示すブザー装置(音源)または/およびLED(光源)が配置されてもよい。また、配置部材70には、反力などによって発生する振動を低減できる部材(たとえば、ダンパーなど)が配置されていてもよい。配置部材70は、本体部71と、蓋部72とを有している。
【0044】
本体部71は、一方側に開口した有底状である。上述したように、アクチュエータ30の一部は、収容器10よりも他方側に位置しており、本体部71は、当該一部を取り囲むように環状に配置されている。
【0045】
蓋部72は、他方側に開口した有底状である。上述したように、アクチュエータ30の一部は、収容器10よりも他方側に位置しており、蓋部72は、当該一部を取り囲むように環状に配置されている。蓋部72の開口部は、本体部71の開口部と嵌合するように形成されている。蓋部72は、蓋部72の開口部が本体部71の開口部と嵌合することによって、本体部71に取り付けられている。
【0046】
配置部材70は、ガス発生器38に対して摺動方向と交差する交差方向にずれて位置しており、ガス発生器38の一方側および他方側の方向である摺動方向上には位置していない。本実施形態では、配置部材70は、ガス発生器38に対して摺動方向と直交する直交方向に位置している。より具体的に説明すると、本実施形態においては、配置部材70が、ガス発生器38の周囲を取り囲むように収容器10の下部に環状に配設されているものを示している。また、本体部71は、カップ体38aおよび電極38bに対して、摺動方向と直交する直交方向に位置している。より具体的に説明すると、本実施形態においては、本体部71が、カップ体38aおよび電極38bの周囲を取り囲むように環状に配設されているものを示している。蓋部72は、カップ体38aに対して、摺動方向と直交する直交方向に位置している。より具体的に説明すると、本実施形態においては、蓋部72が、カップ体38aおよび電極38bの周囲を取り囲むように環状に配設されているものを示している。なお、配置部材70(本体部71、蓋部72)は、必ずしも環状の構造でなくてもよく、平面視で、アルファベットのCの文字のような形状、半円形状、または扇形状などの環状でない形状のものであってもよい。また、以下では、摺動方向と交差する交差方向を、単に、交差方向と呼ぶ場合がある。また、摺動方向と直交する直交方向を、単に、直交方向と呼ぶ場合がある。
【0047】
上述したように、アクチュエータ30の一部は、収容器10よりも他方側の外部に位置しており、配置部材70は、当該一部に対して直交方向に位置している。具体的には、本体部71は、当該一部のうち、シリンダ35、略筒状部材37a、フランジ部37b、挿入口37c、カップ体38a、および電極38bに対して、直交方向に位置している。また、蓋部72は、当該一部のうち、本体部31a、シリンダ35、略筒状部材37a、およびカップ体38aに対して、直交方向に位置している。
【0048】
配置部材70は、収容器10の他方側に位置しており、収容器10とマウント部材80との間に位置している。具体的には、本体部71および蓋部72は、収容器10の他方側に位置しており、収容器10とマウント部材80との間に位置している。
【0049】
配置部材70は、トリガー装置90を収容するための空間73を形成している。空間73は、本体部71と蓋部72とによって囲まれた空間である。トリガー装置90は、空間73に配置され、配置部材70に収容される。このように、本実施形態では、配置部材70は、トリガー装置90を収容するためのケースである。
【0050】
配置部材70は、収容器10に固定されている。たとえば、配置部材70は、ボルト(図示せず)または接着剤等によって、収容器10に固定されている。なお、配置部材70は、マウント部材80等に固定されていてもよい。
【0051】
配置部材70を構成する部材と収容器10を構成する部材とは別体であるので、製造性および組み立て性が向上するとともに、取り付ける相手(たとえば飛行体の表面形状)に合わせた複雑な形状にも対応できるので、汎用性およびデザイン性が向上する。
【0052】
トリガー装置90は、たとえば、CPU、ROM、RAM等を有した制御部(図示せず)と、飛行体1の状態(故障、操縦不能、飛行状態(飛行姿勢、速度、角速度、高度、姿勢角等)、障害物との距離、位置情報等)を検知する検知部(図示せず)から受信した信号に基づいて飛行体1が異常状態となっているか否か判定する異常状態判定部(図示せず)と、を備えており、CPUを用いて各種プログラム(信号の送信プログラム、信号の受信プログラム等)を実行して、状況に応じて(たとえば、飛行体1が異常状態となっている場合(異常時)に)各部位に命令信号、作動信号等を自動発信したり、通信部(図示せず)を介して外部からの命令信号等を受信して各部位に命令信号、作動信号等を発信したりすることができるようになっている。たとえば、飛行体1が異常状態となっている場合にアクチュエータ30を自動起動させるための自動起動信号を、CPUを用いて各種プログラムを実行してアクチュエータ30に送信したり、操作者が操作する遠隔信号送受信機からトリガー信号を受信した場合にアクチュエータ30を起動させるための起動信号を、CPUを用いて各種プログラムを実行してアクチュエータ30に送信したりする機能を有している。
【0053】
ここで、検知部の例としては、信号受信センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、GPS(全地球測位システム)、レーザーセンサ、超音波センサ、赤外線センサ、ミリ波レーダー、サブミリ波レーダー、速度センサ、単眼または複眼のビジョンセンサ、エネルギー量センサ、および風向検知センサ等であって、これらのうち少なくとも1つ以上を含むものである。他の検知部の例としては、操作者の操作に応じて救急信号発信装置から救急信号を発信されたことを検知するもの、飛行体1に設けられた機器の故障を検知するもの等であってもよい。
【0054】
また、上述の「異常時」とは、飛行体1または安全装置100に設けられた上述の検知部からの信号に基づいて、異常状態判定部によって、飛行体1が異常状態(故障、操縦不能、異常落下等)であると判定された場合のことをいう。具体的には、異常状態判定部が、「飛行体1の制御部からの一定時間以上の信号消失または飛行体1の制御部からの異常信号の受信」、「遠隔信号送受信機からの一定時間以上の信号消失または遠隔信号送受信機から異常信号受信」、「地上局(中継局含む)との通信がある場合において、地上局からの一定時間以上の信号消失または地上局から異常信号受信」、「飛行体1の位置情報から、飛行体1が禁止区域に接近または侵入していること、もしくは、予定経路から逸脱していること」、「飛行体1の電源(バッテリー)または燃料の残量が規定値以下になっていること」、「飛行体1の加速度が規定値以下または規定値以上になっていること」、「飛行体1の角速度が規定値以上になっていること」、「飛行体1の姿勢角が規定値以上(たとえば、水平に対して45°以上傾斜した状態)になっていること」、「飛行体1へ被害を及ぼす障害物に接近していること(レーザーセンサ(LiDAR等)または赤外線センサによって検知、もしくは、ビジョンセンサと画像解析とによって検知)」、「飛行体1が人間が乗車可能なものの場合、飛行体1内部の人間に救急状態が発生していること(救急信号発信装置から救急信号を発信されたことによって検知)」、「飛行体1に設けられた機器の致命的な故障」等のうちいずれか1つ以上の状態が発生したと判定した場合のことである。
【0055】
マウント部材80は、安全装置100を機体2に結合するための部材である。マウント部材80は、板状のマウントプレートである。マウント部材80は、アクチュエータ30および配置部材70の他方側に位置し、アクチュエータ30が固定されている。つまり、アクチュエータ30の他方側および配置部材70の他方側には、マウント部材80が位置している。たとえば、アクチュエータ30は、ボルト(図示せず)等によって、マウント部材80に固定されている。マウント部材80は、複数の穴部81を有している。マウント部材80は、穴部81に挿通されたボルト(図示せず)が機体2と螺合することによって、機体2に固定される。マウント部材80が機体2に固定されることによって、安全装置100が機体2に結合される。
【0056】
図5に示すように、飛行体1は、機体2と、複数の推進機構3と、複数の脚部4と、安全装置100と、トリガー装置90(
図4を参照)とを備えている。
【0057】
推進機構3は、機体2に結合され、機体2を推進させる。たとえば、推進機構3は、プロペラ等である。脚部4は、機体2の下部に設けられている。安全装置100は、機体2に結合されている。上述したように、穴部81に挿通されたボルト(図示せず)が機体2と螺合して締め付けられることによって安全装置100が機体2に結合されている。トリガー装置90は、配置部材70に配置されている。
【0058】
以上において説明したように、本発明の第1実施形態における安全装置100は、蓋部12を有する収容器10と、収容器10に収容される射出物20と、一方側に摺動することによって蓋部12を内側から押して蓋部12を取り外すピストン部材31、およびピストン部材31の他方側に位置しかつピストン部材31を一方側に摺動させる駆動力を発生させるガス発生器38を有するアクチュエータ30と、ガス発生器38に対してピストン部材31の摺動方向と交差する交差方向にずれて位置し、ガス発生器38を作動させるためのトリガー装置90を配置可能な配置部材70と、を備えている。
【0059】
これによれば、配置部材70がガス発生器38に対して交差方向にずれて位置している(偏心位置に配設されている)ので、作動したガス発生器38が一方側への駆動力を発生させた場合の当該駆動力による直接的な衝撃を受けない。すなわち、当該駆動力が配置部材70に加わることを抑制でき、当該駆動力がトリガー装置90に加わることを抑制できる。また、ガス発生器38が一方側への駆動力を発生させた場合において、ガス発生器38から他方側に加わる反力が配置部材70に加わることを抑制でき、当該反力がトリガー装置90に加わることを抑制できる。
【0060】
また、本発明の第1実施形態における安全装置100において、アクチュエータ30の少なくとも一部は、収容器10よりも他方側に位置し、配置部材70は、アクチュエータ30の当該少なくとも一部に対して摺動方向と直交する直交方向に位置し、収容器10の他方側に位置している。
【0061】
これによれば、アクチュエータ30の少なくとも一部が収容器10よりも他方側に位置しており、当該少なくとも一部に対して直交方向に位置しかつ収容器10の他方側に位置するスペースに配置部材70が配置されるので、安全装置100が大きくなることを抑制しつつ、駆動力および反力がトリガー装置90に加わることを抑制できる。
【0062】
また、本発明の第1実施形態における安全装置100において、アクチュエータ30の上記少なくとも一部は、ピストン部材31の一部と、ガス発生器38とを含み、配置部材70は、アクチュエータ30の当該少なくとも一部を取り囲むように環状に配置されている。
【0063】
これによれば、ピストン部材31の当該一部およびガス発生器38の周囲に、トリガー装置90を容易に配置できる。
【0064】
また、本発明の第1実施形態における安全装置100において、アクチュエータ30および配置部材70の他方側に位置し、アクチュエータ30が固定され、安全装置100を機体2に結合するためのマウント部材80をさらに備えている。
【0065】
これによれば、配置部材70の他方側にマウント部材80が位置しているので、安全装置100を機体2に結合した状態であっても、配置部材70にトリガー装置90を容易に配置できる。
【0066】
また、本発明の第1実施形態における安全装置100において、配置部材70は、トリガー装置90を収容可能な空間73を形成している。
【0067】
これによれば、トリガー装置90を配置部材70に収容できるので、トリガー装置90が配置部材70から脱落することを抑制できる。
【0068】
また、本発明の第1実施形態における飛行体1は、機体2と、機体2に結合される安全装置100と、配置部材70に配置されるトリガー装置90と、を備えている。
【0069】
これによれば、上記の安全装置100と同様の作用効果を奏する。
【0070】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る安全装置について、
図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と下二桁が同じ番号の符号は、同様のものであるので、説明を省略することがある。また、特に説明しない部分に関しては、上記第1実施形態の安全装置および飛行体と同様であるので、説明を省略することがある。
【0071】
図6に示すように、本実施形態に係る安全装置200は、上記第1実施形態の収容器10に代えて収容器110を備えており、上記第1実施形態のカラー40を備えておらず、上記第1実施形態のボルト50に代えてボルト150を備えており、上記第1実施形態の配置部材70に代えて配置部材170を備えている点において、上記第1実施形態に係る安全装置100と主に異なっている。なお、
図6では、端面で図示していない部分がある。
【0072】
収容器110は、射出物120を収容している。収容器110は、本体部111と、蓋部112とを有している。
【0073】
本体部111は、一方側に開口した有底状である。本体部111は、穴部113と、複数の穴部114とを有している。穴部113は、本体部111の底部の中央部に形成されており、摺動方向において本体部111の底部を貫通している。穴部113には、アクチュエータ130が挿通されている。穴部114は、本体部111の底部の中央部よりも外方に形成されており、摺動方向において本体部111の底部を貫通している。穴部114には、収容器110とアクチュエータ130とを固定するためのボルト150が挿通されている。
【0074】
蓋部112は、他方側に開口した有底状である。蓋部112の開口部は、本体部111の開口部と嵌合するように形成されている。蓋部112は、蓋部112の開口部が本体部111の開口部と嵌合することによって、本体部111に取り付けられている。蓋部112は、筒状部115を有している。筒状部115は、蓋部112の天井部の中央部に形成されており、蓋部112の天井部から他方側に突出している。筒状部115は、他方側に開口する有底円筒状である。筒状部115の内方には、アクチュエータ130が配置されている。
【0075】
ボルト150は、収容器110とアクチュエータ130とを固定するための部材である。ボルト150は、収容器110の内部側から穴部114に挿通され、穴部137dに螺合されている。ボルト150を締め付けることによって、収容器110とアクチュエータ130とが固定される。
【0076】
本実施形態では、上記第1実施形態のカラー40を介さずに、収容器110とアクチュエータ130とが固定されている。これによって、アクチュエータ130のうち、略筒状部材137aの一部とフランジ部137bと挿入口137cの一部とが収容器110よりも他方側に位置しており、これら以外の部分が収容器110の内部に位置しており収容器110に収容されている。
【0077】
配置部材170は、ガス発生器138を作動させるための装置を配置可能な部材である。本実施形態では、配置部材170は、トリガー装置190を配置するための部材である。なお、配置部材170には、トリガー装置190だけでなく、トリガー装置190に供給する電力を貯蔵するバッテリが配置されてもよいし、トリガー装置190と当該バッテリとを接続する配線等の付属部材が配置されてもよい。配置部材170は、本体部171と、蓋部172とを有している。
【0078】
本体部171は、一方側に開口した有底状である。蓋部172は、他方側に開口した有底状である。蓋部172の開口部は、本体部171の開口部と嵌合するように形成されている。蓋部172は、蓋部172の開口部が本体部171の開口部と嵌合することによって、本体部171に取り付けられている。
【0079】
配置部材170は、ガス発生器138に対して摺動方向と交差する交差方向に位置しており、ガス発生器138の一方側および他方側には位置していない。本実施形態では、交差方向は、摺動方向と直交していない。
【0080】
上述したように、アクチュエータ130の一部は、収容器110よりも他方側に位置しているが、配置部材170は、当該一部に対して直交方向に位置していない。また、配置部材170は、収容器110の側方側に位置しており、収容器110の他方側に位置していない。
【0081】
配置部材170は、トリガー装置190を収容するための空間173を形成している。空間173は、本体部171と蓋部172とによって囲まれた空間である。トリガー装置190は、空間173に配置され、配置部材170に収容される。このように、本実施形態では、配置部材170は、トリガー装置190を収容するためのケースである。
【0082】
配置部材170は、収容器110に固定されている。配置部材170は、収容器110の側部に固定されている。たとえば、配置部材170は、ボルト(図示せず)等によって、収容器110に固定されている。
【0083】
なお、本実施形態においては、蓋部112が外れるようにするために、また、蓋部112が外れた場合に配線63(
図2および
図3参照)がちぎれるようなことが発生しないようにするために、トリガー装置190に上記第1実施形態のコネクタ63(
図2および
図3参照)を有線接続するような態様ではなく、たとえば、トリガー装置190のセンサ情報等は、無線通信によって送信されるようになっている。後述する第3~第5実施形態についても同様である。
【0084】
本実施形態に係る安全装置200によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、第1実施形態の場合と比べて、配置部材170が交差方向にガス発生器138から離間して設けられているので、作動したガス発生器138が一方側への駆動力を発生させた場合の当該駆動力による直接的な衝撃を、第1実施形態の場合と比べて受けにくくなる。
【0085】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態に係る安全装置について、
図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と下二桁が同じ番号の符号は、同様のものであるので、説明を省略することがある。また、特に説明しない部分に関しては、上記第1実施形態の安全装置および飛行体と同様であるので、説明を省略することがある。
【0086】
図7に示すように、本実施形態に係る安全装置300は、収容器210と、射出物220と、アクチュエータ230と、配置部材270とを備えている。
【0087】
アクチュエータ230は、平面視において、収容器210の中央部よりも外方に配置されている。配置部材270は、収容器210の側部に配置されている。配置部材270は、収容器210の側部のうちアクチュエータ230から最も遠い位置に配置されている。このように、アクチュエータ230が平面視において収容器210の中央部よりも外方に配置されている場合、収容器210の側部のうちアクチュエータ230から最も遠い位置に配置部材270を配置することによって、ガス発生器によって発生する一方側への駆動力および当該駆動力が発生したときにガス発生器から他方側に加わる反力がトリガー装置に加わることをより一層抑制できる。なお、配置部材270は、収容器210の側部のうちアクチュエータ230から最も遠い位置に配置されていなくてもよく、ガス発生器に対して交差方向に位置していればよい。
【0088】
本実施形態に係る安全装置300によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0089】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態に係る安全装置について、
図8を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と下二桁が同じ番号の符号は、同様のものであるので、説明を省略することがある。また、特に説明しない部分に関しては、上記第1実施形態の安全装置および飛行体と同様であるので、説明を省略することがある。
【0090】
図8に示すように、本実施形態に係る安全装置400は、収容器310と、射出物320と、アクチュエータ330と、配置部材370とを備えている。
【0091】
収容器310は、平面視において、略半円状である。配置部材370は、収容器310の側部に配置されている。配置部材370は、収容器310の側部のうちアクチュエータ330から最も遠い位置に配置されている。このように、収容器310が平面視において略半円状である場合、収容器310の側部のうちアクチュエータ330から最も遠い位置に配置部材370を配置することによって、ガス発生器によって発生する一方側への駆動力および当該駆動力が発生したときにガス発生器から他方側に加わる反力がトリガー装置に加わることをより一層抑制できる。なお、配置部材370は、収容器310の側部のうちアクチュエータ330から最も遠い位置に配置されていなくてもよく、ガス発生器に対して交差方向に位置していればよい。
【0092】
本実施形態に係る安全装置400によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態に係る安全装置について、
図9を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と下二桁が同じ番号の符号は、同様のものであるので、説明を省略することがある。また、特に説明しない部分に関しては、上記第1実施形態の安全装置および飛行体と同様であるので、説明を省略することがある。
【0094】
図9に示すように、本実施形態に係る安全装置500は、収容器410と、射出物420と、アクチュエータ430と、配置部材470とを備えている。
【0095】
収容器410は、平面視において、略扇形状である。配置部材470は、収容器410の側部に配置されている。配置部材470は、収容器410の側部のうちアクチュエータ430から最も遠い位置に配置されている。このように、収容器410が平面視において略扇形状である場合、収容器410の側部のうちアクチュエータ430から最も遠い位置に配置部材470を配置することによって、ガス発生器によって発生する一方側への駆動力および当該駆動力が発生したときにガス発生器から他方側に加わる反力がトリガー装置に加わることをより一層抑制できる。なお、配置部材470は、収容器410の側部のうちアクチュエータ430から最も遠い位置に配置されていなくてもよく、ガス発生器に対して交差方向に位置していればよい。
【0096】
本実施形態に係る安全装置500によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0097】
<第6実施形態>
以下、本発明の第6実施形態に係る安全装置について、
図10を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、上記第2実施形態と下二桁が同じ番号の符号は、同様のものであるので、説明を省略することがある。また、特に説明しない部分に関しては、上記第2実施形態の安全装置および飛行体と同様であるので、説明を省略することがある。
【0098】
図10に示すように、本実施形態に係る安全装置600は、上記第2実施形態の配置部材170に代えて配置部材570を備え、上記第2実施形態のトリガー装置190に代えてトリガー装置590を備えている点において、上記第2実施形態に係る安全装置200と主に異なっている。なお、
図10では、端面で図示していない部分がある。
【0099】
配置部材570は、収容器510とマウント部材580との間に位置し、マウント部材580に取り付けられている。配置部材570は、一方側に開口した本体部571と、他方側に開口した蓋部572とを有し、トリガー装置590を収容可能な空間573を形成している。
【0100】
トリガー装置590は、空間573に配置できるように、上記第2実施形態のトリガー装置190よりもコンパクトである。
【0101】
本実施形態では、上記第2実施形態とは異なり、コネクタ63(
図2および
図3参照)をトリガー装置590に接続できるので、トリガー装置590のセンサ情報等は、有線通信によって送信される。
【0102】
本実施形態に係る安全装置600によれば、一方側への駆動力および他方側に加わる反力がトリガー装置590に加わることを抑制できるとともに、安全装置600をよりコンパクトにできる。
【0103】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0104】
上記実施形態では、射出物として、パラシュートまたはパラグライダーを挙げたが、これに限らず、揚力発生部材を含むもの、捕獲用または捕縛用の網状部材、消火剤、救命具、医薬品等を射出物として射出してもよい。ここで、揚力発生部材としては、たとえば、パラフォイル、ロガロ型パラシュート、シングルサーフェース型パラシュート、飛行機の翼、プロペラ、バルーン等が挙げられる。また、揚力発生部材がコントロールラインを有する場合、安全装置は、コントロールラインを利用して、射出した揚力発生部材の傾斜角度の変更等を行うことができる操舵機構を備えておくことが望ましい。この操舵機構は、たとえば、揚力発生部材に連結された複数のコントロールラインをそれぞれ巻き取る複数のリールと、これらのリールの動力となるモータと、を備えたものであり、モータの駆動により、コントロールラインを巻き取ったり、出したりすることで、適宜、揚力発生部材を引っ張ったり、引っ張りを緩めたりすることができる。
【0105】
また、上記実施形態では、動力源としてガス発生器を採用したが、摺動部材がシリンダに沿って推進するための駆動力を当該摺動部材に付与することが可能なものであればその構成は限定されるものではなく、たとえばバネ等の弾性体を採用してもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、アクチュエータの少なくとも一部が、収容器よりも他方側に位置している場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、アクチュエータの全部が収容器に収容されており、アクチュエータは収容器よりも他方側に位置していなくてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、配置部材が、トリガー装置を収容するための空間を形成している場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、配置部材は、トリガー装置を収容するための空間を形成していなくてもよく、トリガー装置を載置するための載置面を形成していてもよいし、トリガー装置を嵌め込むための凹部を形成していてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、有底状の本体部と、筒状部を有した蓋部とを備えた収容器を用いた安全装置について説明したが、これに限られない。たとえば、上記実施形態の収容器の代わりに、開口部を一端部に有した有底筒状部と、当該開口部を閉塞する蓋部とを備えた収容器を、当該安全装置に用いてもよい。このとき、配置部材は、有底筒状部の側部(筒状部)に設けることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 飛行体
2 機体
3 推進機構
4 脚部
10、110、210、310、410、510 収容器
11、31a、71、111、131a、171、511、531a、571 本体部
12、72、112、172、512、572 蓋部
13、14、31c、35a、37d、81、113、114、131c、135a、137d、181、513、514、531c、535a、537d、581 穴部
15、115、515 筒状部
20、120、220、320、420、520 射出物
30、130、230、330、430、530 アクチュエータ
31、131、531 ピストン部材
31b、131b、531b 棒状部
31d、35c、131d、135c、531d、535c 溝部
32、132、532 管状部材
33、133、533 保持部材
34、36、134、136、534、536 シール部材
35、135、535 シリンダ
35b、135b、535b ストッパー部
37、137、537 基台
37a、137a、537a 略筒状部材
37b、137b、537b フランジ部
37c、137c、537c 挿入口
38、138、538 ガス発生器
38a、138a、538a カップ体
38b、138b、538b 電極
40 カラー
50、82、150、550 ボルト
60、160、560 ハーネス
61、63、161、561 コネクタ
62 配線
70、170、270、370、470、570 配置部材
73、173、573 空間
80、180、580 マウント部材
90、190、590 トリガー装置
100、200、300、400、500、600 安全装置