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特開2025-25910液圧駆動システム、及びマルチコントロール弁
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  • 特開-液圧駆動システム、及びマルチコントロール弁 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025910
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】液圧駆動システム、及びマルチコントロール弁
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/17 20060101AFI20250214BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20250214BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20250214BHJP
   F15B 11/042 20060101ALI20250214BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F15B11/17
F15B11/00 D
F15B11/00 H
F15B11/02 Z
F15B11/042
F15B11/02 C
E02F9/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131148
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】川上 遼
(72)【発明者】
【氏名】坂元 俊一
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BB02
2D003CA02
2D003DA03
2D003DB02
2D003DC01
2D003EA01
3H089AA05
3H089AA22
3H089AA72
3H089AA74
3H089BB01
3H089BB27
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC12
3H089DA03
3H089DA07
3H089DB07
3H089DB43
3H089EE36
3H089HH04
3H089HH09
3H089JJ01
(57)【要約】
【課題】弁体に流す作動液の流量を抑えることができる液圧駆動システムを提供する。
【解決手段】液圧駆動システムは、第1ポンプ通路の第1通路部に作動液を吐出する第1液圧ポンプと、第1ポンプ通路の第2通路部に作動液を吐出する第2液圧ポンプと、第1通路部を有する第1バルブブロックと、複数のメイン弁体とを含むメインコントロール弁と、第2通路部を有し且つ第1バルブブロックに設けられる第2バルブブロックと、第2バルブブロックに挿通されているアタッチ弁体とを含むアタッチ弁とを備え、複数のメイン弁体は、ストロークすることによって第1通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する第1メイン弁体を含み、アタッチ弁体は、ストロークすることによって第2通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して第1通路部から第1メイン弁体を介して第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータの各々に作動液を供給し、供給する作動液の流れを制御する液圧駆動システムであって、
第1ポンプ通路の第1通路部に作動液を吐出する第1液圧ポンプと、
前記第1ポンプ通路の第2通路部に作動液を吐出する第2液圧ポンプと、
前記第1通路部を有する第1バルブブロックと、前記液圧アクチュエータの各々に対応させて前記第1バルブブロックに夫々挿通され且つストロークすることによって前記第1通路部から対応する前記液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する複数のメイン弁体とを含むメインコントロール弁と、
前記第2通路部を有し且つ前記第1バルブブロックに設けられる第2バルブブロックと、前記第2バルブブロックに挿通されているアタッチ弁体とを含むアタッチ弁とを備え、
前記複数のメイン弁体は、ストロークすることによって前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する第1メイン弁体を含み、
前記アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1メイン弁体を介して前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる、液圧駆動システム。
【請求項2】
第2ポンプ通路に作動液を吐出する第3液圧ポンプを更に備え、
前記第1バルブブロックは、前記第2ポンプ通路を更に有し、
前記複数のメイン弁体は、前記第1バルブブロックに挿通される第2メイン弁体を有し、
前記第2メイン弁体は、ストロークすることによって前記第2ポンプ通路から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項3】
前記メインコントロール弁は、アンロード弁を更に含み、
前記第1バルブブロックには、タンクに繋がるタンク通路が形成され、
前記アンロード弁は、入力される信号に応じて前記第1通路部と前記タンク通路とを連通する、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項4】
前記第2バルブブロックは、前記アタッチ弁体である第1アタッチ弁体が挿通される第1ブロック体と、前記第1ブロック体に設けられる第2ブロック体とを含み、
前記アタッチ弁は、前記第2ブロック体に挿通される第2アタッチ弁体を更に含み、
前記第2通路部は、前記第1ブロック体及び前記第2ブロック体に延在し、
前記第2アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記複数の液圧アクチュエータのうちの1つである第2液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項5】
前記第1バルブブロック及び前記第2バルブブロックは、所定方向に積層されており、
前記第1ポンプ通路は、前記第1バルブブロック及び前記第2バルブブロックにおいて所定方向に延在し、
前記第1液圧ポンプは、前記第1ポンプ通路の所定方向一方側にある前記第1通路部に接続され、
前記第2液圧ポンプは、前記第1ポンプ通路の所定方向他方側にある前記第2通路部に接続されている、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項6】
前記第1メイン弁体及び前記アタッチ弁体の動きを制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、入力される指令に基づいて算出される前記第1液圧アクチュエータに供給すべき作動液の供給流量に応じて前記第1メイン弁体及び前記アタッチ弁体の開度を算出し、算出される開度に応じて前記第1メイン弁体及び前記アタッチ弁体の動きを制御する、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項7】
前記第1液圧ポンプは、第1容量信号に応じて吐出容量を変え、
前記第2液圧ポンプは、第2容量信号に応じて吐出容量を変え、
前記制御装置は、入力される指令に基づいて算出される供給流量に応じて第1容量信号及び第2容量信号を出力して前記第1液圧ポンプ及び前記第2液圧ポンプの吐出容量を制御する、請求項6に記載の液圧駆動システム。
【請求項8】
第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータの各々に供給される作動液の流れを制御するマルチコントロール弁であって、
第1ポンプ通路の第1通路部を有し且つ第1液圧ポンプが前記第1通路部に接続される第1バルブブロックと、前記液圧アクチュエータの各々に対応させて前記第1バルブブロックに夫々挿通され且つストロークすることによって前記第1通路部から対応する前記液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する複数のメイン弁体とを含むメインコントロール弁と、
前記第1ポンプ通路の第2通路部を有し且つ第2液圧ポンプが前記第2通路部に接続される第2バルブブロックと、前記第2バルブブロックに挿通されているアタッチ弁体とを含み、前記第1バルブブロックに設けられるアタッチ弁とを備え、
前記複数のメイン弁体は、ストロークすることによって前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する第1メイン弁体を有し、
前記アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1メイン弁体を介して前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる、マルチコントロール弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液圧アクチュエータの各々に供給される作動液の流れを制御する液圧駆動システム、及びマルチコントロール弁に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両及び建設車両等の液圧車両は、各種アクチュエータを備える。液圧車両は、各種アクチュエータを作動させることによって種々の作業を行う。このような液圧車両には、液圧駆動システムが備わっている。液圧駆動システムは、液圧ポンプから吐出される作動液を各液圧アクチュエータに供給して各液圧アクチュエータを駆動する。また液圧駆動システムは、供給される作動液の流れを制御することによって各液圧アクチュエータの動きを制御する。液圧駆動システムの一例として、例えば特許文献1の流体圧制御装置が知られている。
【0003】
特許文献1の流体圧制御装置では、第1液圧ポンプが接続されるポンプ通路に複数のスプールが並列するように接続されている。そして、スプールをストロークさせることによって、各液圧アクチュエータに供給される作動液の流れが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-78748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液圧車両は、そのサイズが大きくなれば大きくなるほど、液圧アクチュエータ(例えばショベルのブームシリンダ)を駆動するべく要求される作動液の流量(即ち、要求流量)が大きくなる。そこで、特許文献1の流体圧制御装置では、更にもう一つの液圧ポンプが第1ポンプ通路に接続されている。これにより、2つの液圧ポンプから要求流量の作動液を第1ポンプ通路に吐出させることが考えられる。しかし、この場合、要求流量が既存のスプールの定格流量を超えることが考えられる。それ故、定格流量を大きくするためにスプール(即ち、弁体)を大型化する必要がある。
【0006】
そこで本発明は、弁体に流す作動液の流量を抑えることができる液圧駆動システム、及びマルチコントロール弁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液圧駆動システムは、第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータの各々に作動液を供給し、供給する作動液の流れを制御する液圧駆動システムであって、第1ポンプ通路の第1通路部に作動液を吐出する第1液圧ポンプと、前記第1ポンプ通路の第2通路部に作動液を吐出する第2液圧ポンプと、前記第1通路部を有する第1バルブブロックと、前記液圧アクチュエータの各々に対応させて前記第1バルブブロックに夫々挿通され且つストロークすることによって前記第1通路部から対応する前記液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する複数のメイン弁体とを含むメインコントロール弁と、前記第2通路部を有し且つ前記第1バルブブロックに設けられる第2バルブブロックと、前記第2バルブブロックに挿通されているアタッチ弁体とを含むアタッチ弁とを備え、前記複数のメイン弁体は、ストロークすることによって前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する第1メイン弁体を含み、前記アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1メイン弁体を介して前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させるものである。
【0008】
本発明に従えば、アタッチ弁は、第1ポンプ通路の第2通路部を有し且つ第2通路部に第2液圧ポンプが接続される第2バルブブロックと、第2バルブブロックに挿通されるアタッチ弁体とを含んでいる。アタッチ弁体は、ストロークすることによって第2通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液を制御して第1通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。このようなアタッチ弁が第1バルブブロックに設けられている。これにより、第1液圧ポンプから吐出される作動液を第1メイン弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給し、且つ第2液圧ポンプから吐出される作動液をアタッチ弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができる。即ち、2つ弁体から第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができるので、各弁体に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各弁体が大型化することを抑制することができる。また、2つの液圧ポンプが第1ポンプ通路を共有しているので、液圧駆動システムを構成する部品の点数が増加することを抑えることができる。更に、既存のメインコントロール弁にアタッチ弁を設けることによって液圧駆動システムを容易に構成することができる。
【0009】
本発明のマルチコントロール弁は、第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータの各々に供給される作動液の流れを制御するマルチコントロール弁であって、第1ポンプ通路の第1通路部を有し且つ第1液圧ポンプが前記第1通路部に接続される第1バルブブロックと、前記液圧アクチュエータの各々に対応させて前記第1バルブブロックに夫々挿通され且つストロークすることによって前記第1通路部から対応する前記液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する複数のメイン弁体とを含むメインコントロール弁と、前記第1ポンプ通路の第2通路部を有し且つ第2液圧ポンプが前記第2通路部に接続される第2バルブブロックと、前記第2バルブブロックに挿通されているアタッチ弁体とを含み、前記第1バルブブロックに設けられるアタッチ弁とを備え、前記複数のメイン弁体は、ストロークすることによって前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する第1メイン弁体を有し、前記アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1メイン弁体を介して前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させるものである。
【0010】
本発明に従えば、アタッチ弁は、第1バルブブロックに設けられ且つ第2通路部が形成されている第2バルブブロックと、第2バルブブロックに挿通されるアタッチ弁体とを含んでいる。アタッチ弁体は、ストロークすることによって第2通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液を制御して第1通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。これにより、第1液圧ポンプから吐出される作動液をメイン弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給し、且つ第2液圧ポンプから吐出される作動液をアタッチ弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができる。即ち、2つ弁体から第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができるので、各弁体に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各弁体が大型化することを抑制することができる。また、2つの液圧ポンプが第1ポンプ通路を共有しているので、液圧回路を構成する部品の点数が増加することを抑えることができる。更に、既存のメインコントロール弁にアタッチ弁を設けることによってマルチコントロール弁を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弁体に流す作動液の流量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る実施形態の液圧駆動システムを示す液圧回路図である。
図2図1の液圧駆動システムを概略示す斜視図である。
図3】本発明に係る他の実施形態の液圧駆動システムを示す液圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態の液圧駆動システム1及びマルチコントロール弁2について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する液圧駆動システム1及びマルチコントロール弁2は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0014】
建設車両及び産業車両等の液圧車両は、種々の液圧アクチュエータを備えている。そして、液圧車両は、種々の液圧アクチュエータを作動させることによって、様々な作業を行うことができる。本実施形態において、液圧車両は、ショベルである。但し、液圧車両は、ショベルに限定されず、クレーン、ホイルローダ等であってもよい。ショベルは、例えば走行装置、旋回体、ブーム、アーム、及びアタッチメント(例えば、バケット、ニプラ、及びブレーカ等であって、本実施形態においてバケット)を備えている。また、ショベルは、走行装置、旋回体、ブーム、アーム、及びバケットを作動させるべく、図1に示すような複数の液圧アクチュエータ3~9を備えている。より詳細に説明すると、ショベルは、左右一対の走行モータ3,4、旋回モータ5、ブームシリンダ6、アームシリンダ7、バケットシリンダ8、及びオプションシリンダ9を備えている。なお、オプションシリンダ9は、ブレーカ及び二プラ等を動かすべくショベルに備わっている。本実施形態において、ブームシリンダ6が第1液圧アクチュエータの一例であり、オプションシリンダ9が第2液圧アクチュエータの一例である。また、ショベルは、8つの液圧アクチュエータ3~9に作動液を供給すべく液圧駆動システム1を備えている。
【0015】
<液圧駆動システム>
液圧駆動システム1は、7つの液圧アクチュエータ3~9の各々に作動液を供給する。なお、液圧駆動システム1が作動液を供給する液圧アクチュエータの数は、7個に限定されず、2つ以上であればよい。また、液圧駆動システム1は、液圧アクチュエータ3~9の各々に供給し、また供給される作動液の流れを制御する。液圧駆動システム1は、3つの液圧ポンプ11~13と、マルチコントロール弁2とを備える。また、液圧駆動システム1は、操作装置17と、制御装置18とを備えている。
【0016】
<液圧ポンプ>
3つの液圧ポンプ11~13は、作動液を吐出する。より詳細に説明すると、3つの液圧ポンプ11~13は、図示しない駆動源(例えば、エンジン、及び電動機)等によって駆動される。これにより、3つの液圧ポンプ11~13は、作動液を吐出する。本実施形態において、3つの液圧ポンプ11~13は、可変容量形の液圧ポンプであって、例えば可変容量形の斜板ポンプである。より詳細に説明すると、3つの液圧ポンプ11~13は、入力される容量信号に応じて吐出容量を変える。なお、3つの液圧ポンプ11~13は、固定容量形のポンプであってもよく、可変容量形の斜軸ポンプ等であってもよい。
【0017】
<マルチコントロール弁>
マルチコントロール弁2は、複数の液圧アクチュエータ3~9の各々に供給される作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、マルチコントロール弁2は、液圧ポンプ11~13から吐出される作動液を液圧アクチュエータ3~9の各々に供給し、また供給する作動液の流れを制御する。マルチコントロール弁2は、メインコントロール弁14と、アタッチ弁15とを備えている。また、メインコントロール弁14は、後で詳述するように複数のスプール31~38を含み、またアタッチ弁15は、2つのスプール39,40を含んでいる。そして、マルチコントロール弁2は、各スプール31~40によって液圧アクチュエータ3~9の各々に供給し、また供給する作動液の流れを制御する。以下では、メインコントロール弁14及びアタッチ弁15が更に詳細に説明される。
【0018】
<メインコントロール弁>
メインコントロール弁14は、複数の液圧アクチュエータ3~9のうちの幾つか(ブームシリンダ6を含む)に作動液を夫々供給すると共に、供給される作動液の流れを制御する。本実施形態において、メインコントロール弁14は、ブームシリンダ6を含む6つの液圧アクチュエータ3~8の各々に作動液を供給し、供給する作動液の流れを制御する。メインコントロール弁14は、図2にも示すように、第1バルブブロック21と、複数のメインスプール31~38(図1も参照)とを含んでいる。本実施形態において、メインコントロール弁14は、図1に示すように少なくとも8つのメインスプール31~38を含んでいる。更に、メインコントロール弁14は、2つのアンロード弁41,42を含んでいる。
【0019】
第1バルブブロック21は、第1ポンプ通路22の第1通路部22aを有している(図2も参照)。また、第1バルブブロック21は、第2ポンプ通路23を有している。更に、第1バルブブロック21は、タンク通路24を有している。第1バルブブロック21は、所定方向である第1方向に長尺な大略直方体状に形成されている。本実施形態においては、第1バルブブロック21は、3つのブロック部分21a~21cから成る。各ブロック部分21a~21cは、大略直方体状に形成されている。3つのブロック部分21a~21cは、第1方向に積層されて第1バルブブロック21を構成している。
【0020】
第1ポンプ通路22は、第1バルブブロック21から後で詳述する第2バルブブロック25まで延びる通路である。本実施形態において、第1ポンプ通路22は、第1バルブブロック21から後で詳述する第2バルブブロック25まで第1方向に延在している。なお、第1ポンプ通路22は、第1バルブブロック21から第2バルブブロック25まで必ずしも真っ直ぐ延在している必要はなく、曲がっていたりしてもよい。第1ポンプ通路22は、第1バルブブロック21内に形成される第1通路部22aと、第2バルブブロック25内に形成される第2通路部22bを有している。即ち、第1ポンプ通路22は、第1方向一方側に第1通路部22aを有し、第1方向他方側に第2通路部22bを有している。また、第1通路部22aには第1液圧ポンプ11が接続され、更に第2通路部22bには第2液圧ポンプ12が接続される。
【0021】
第1通路部22aは、第1バルブブロック21において所定の第1方向に延在している。本実施形態において、第1通路部22aは、本実施形態において3つのブロック部分21a~21cを貫通するように第1方向に延在している。そして、第1通路部22aは、第1バルブブロック21の第1方向の両端面にて開口している。第1液圧ポンプ11は、第1通路部22aにおいて、第1バルブブロック21の第1方向一方側の端面である一端にある開口に接続されている。
【0022】
第2ポンプ通路23は、第1バルブブロック21において第1方向に延在している。本実施形態において、第2ポンプ通路23は、第1通路部22aに平行するように第1バルブブロック21に形成されている。第2ポンプ通路23もまた、第1バルブブロック21の第1方向一端にて開口している。第3液圧ポンプ13は、第2ポンプ通路23において、第1バルブブロック21の第1方向一端にある開口に接続されている。また、タンク通路24は、第1バルブブロック21から第2バルブブロック25まで形成される通路である。タンク通路24には、タンク19が接続される。
【0023】
メイン弁体の一例であるメインスプール31~38の各々は、液圧アクチュエータ3~8の各々に対応している。本実施形態において、8つのメインスプール31~38には、第1走行用スプール31、第2走行用スプール35、旋回用スプール36、バケット用スプール32、第1アーム用スプール33、第2アーム用スプール37、第1ブーム用スプール34、及び第2ブーム用スプール38が含まれる。第1走行用スプール31は、第1走行モータ3に対応し、第2走行用スプール35は、第2走行モータ4に対応している。バケット用スプール32は、バケットシリンダ8に対応し、旋回用スプール36は、旋回モータ5に対応している。第1アーム用スプール33及び第2アーム用スプール37は、アームシリンダ7に対応している。第1メイン弁体の一例である第1ブーム用スプール34及び第2メイン弁体の一例である第2ブーム用スプール38の各々は、ブームシリンダ6に対応している。また、4つメインスプール31~34の各々は、第1ポンプ通路22の第1通路部22aに並列するように接続されている。残りの4つのメインスプール35~38は、第2ポンプ通路23に並列するように接続されている。そして、各スプール31~38は、接続される通路22,23から対応する液圧アクチュエータ3~8に夫々供給し、且つストロークすることによって供給する作動液の流れ(方向及び流量)を制御する。
【0024】
本実施形態において、第1走行用スプール31は、第1通路部22aから第1走行モータ3に作動液を供給し、ストロークすることによって第1走行モータ3に供給される作動液の流れを制御する。第2走行用スプール35は、第2ポンプ通路23から第2走行モータ4に作動液を供給し、ストロークすることによって第1走行モータ3に供給される作動液の流れを制御する。旋回用スプール36は、第2ポンプ通路23から旋回モータ5に作動液を供給し、旋回モータ5に供給される作動液の流れを制御する。バケット用スプール32は、第1通路部22aからバケットシリンダ8に作動液を供給し、ストロークすることによってバケットシリンダ8に供給される作動液の流れを制御する。
【0025】
第2アーム用スプール37は、第2ポンプ通路23からアームシリンダ7に作動液を供給し、ストロークすることによってアームシリンダ7に供給される作動液の流れを制御する。他方、第1アーム用スプール33は、第2ポンプ通路23から第2アーム用スプール37を介して供給される作動液に第1通路部22aからの作動液を合流させてアームシリンダ7に供給する。そして、第1アーム用スプール33は、ストロークすることによって合流させる作動液の流れを制御する。第1ブーム用スプール34は、第1通路部22aからブームシリンダ6に作動液を供給し、ストロークすることによってブームシリンダ6に供給される作動液の流れを制御する。他方、第2ブーム用スプール38は、第1通路部22aから第1ブーム用スプール34を介して供給される作動液に第2ポンプ通路23からの作動液を合流させてブームシリンダ6に供給する。そして、第2ブーム用スプール38は、ストロークすることによって合流させる作動液の流れを制御する。
【0026】
更に詳細に説明すると、8つのメインスプール31~38の各々は、更にタンク通路24に接続されている。4つのメインスプール31~34は、対応する液圧アクチュエータ3,6~8と第1通路部22a及びタンク通路24との接続状態を切換える。これにより、4つのメインスプール31~34は、対応する液圧アクチュエータ3,6~8に供給される作動液の流れる方向を切換える。同様に、残りの4つのメインスプール35~38もまた、対応する液圧アクチュエータ4~7と第2ポンプ通路23及びタンク通路24との接続状態を切換える。これにより、残りの4つのメインスプール35~38もまた、対応する液圧アクチュエータ4~7に供給される作動液の流れる方向を切換える。
【0027】
また、メインスプール31~38の各々には、電磁比例制御弁31a~38a,31b~38bが夫々対応付けて設けられている。電磁比例制御弁31a~38a,31b~38bの各々は、入力される信号に応じたパイロット圧を出力する。電磁比例制御弁31a~38a,31b~38bの各々は、対応するメインスプール31~38に対して互いに抗する方向にパイロット圧を作用させる。また、メインスプール31~38の各々には、ばね31c~38c,31d~38dが対応付けて設けられている。ばね31c~38cは、電磁比例制御弁31b~38bからのパイロット圧に抗するように対応するスプール31~38を付勢する。また、ばね31d~38dは、電磁比例制御弁31a~38aの各々からのパイロット圧に抗するように対応するスプール31~38を付勢する。それ故、ばね31c~38c,31d~38dは、対応するメインスプール31~38をパイロット圧に応じたストローク量でストロークさせることができる。これにより、メインスプール31~38の各々は、入力される信号に応じて開度を変える。
【0028】
例えば、第1ブーム用スプール34には、電磁比例制御弁34a,34bが対応付けて設けられている。電磁比例制御弁34a,34bの各々は、第1ブーム用スプール34に対して互いに抗する方向にパイロット圧を作用させる。また、第1ブーム用スプール34には、ばね34c,34dが対応付けて設けられている。ばね34c,34dの各々は、電磁比例制御弁34b,34aの各々からのパイロット圧に抗にするように付勢する。それ故、ばね34c,34dは、第1ブーム用スプール34をパイロット圧に応じたストローク量でストロークさせることができる。これにより、第1ブーム用スプール34は、入力される信号に応じて開度を変える。
【0029】
前述するメインスプール31~38は、第1バルブブロック21に夫々摺動可能に挿通されている。本実施形態において、8つのメインスプール31~38は、図2に一部示すように第1方向に直交する第2方向に延在するように第1バルブブロック21に夫々挿通されている。4つメインスプール31~34は、第2方向一方側から見て第1通路部22aに沿うように第1方向に並べて第1バルブブロック21に挿通されてる。なお、図2では、4つのスプール31~34の軸方向一端に設けられる各電磁比例制御弁31a~34aが示される。そして、残りの4つメインスプール35~38は、第2方向一方側から見て第2ポンプ通路23に沿うように第1方向に並べて第1バルブブロック21に挿通されてる。従って、8つのメインスプール31~38は、2列に並べて第1バルブブロック21に挿通されている。本実施形態において、第1バルブブロック21には、第2方向一方から見て第3方向一方側に4つメインスプール31~34が一列に並べて配置され、第3方向他方側に残りの4つのメインスプール35~38が一列に並べて配置されている。第3方向は、第1及び第2方向に夫々直交する方向である。
【0030】
更に説明すると、第1バルブブロック21には、第1方向一方側から順に第1ブロック部分21a、第2ブロック部分21b、及び第3ブロック部分21cが積層されている。第1ブロック部分21aには、3つのメインスプール31,32,35が摺動可能に挿通されている。また、第2ブロック部分21bには、3つのメインスプール33,36,37が摺動可能に挿通されている。更に、第3ブロック部分21cには、2つのメインスプール34,38が挿通されている。このように、第1バルブブロック21において、ブロック部分21a~21cの各々には、複数のスプール31~38が摺動可能に挿通されている。
【0031】
図1に示す第1アンロード弁41は、入力される信号に応じて第1通路部22aとタンク通路24とを連通する。これにより、第1アンロード弁41は、入力される信号に応じて第1ポンプ通路22に流れる作動液をタンク19に排出し、第1液圧ポンプ11及び第2液圧ポンプ12をアンロード状態にすることができる。また、第2アンロード弁42は、入力される信号に応じて第2ポンプ通路23とタンク通路24とを連通する。これにより、第2アンロード弁42は、入力される信号に応じて第2ポンプ通路23に流れる作動液をタンク19に排出し、第3液圧ポンプ13をアンロード状態にすることができる。
【0032】
<アタッチ弁>
アタッチ弁15は、メインコントロール弁14からブームシリンダ6に供給される作動液に第2液圧ポンプ12からの作動液を合流させると共に、合流させる作動液の流れを制御する。また、アタッチ弁15は、本実施形態において第2液圧ポンプ12からの作動液をオプションシリンダ9にも供給し、供給される作動液の流れを制御する。アタッチ弁15は、第2バルブブロック25と、第3ブーム用スプール39とを含んでいる。また、アタッチ弁15は、本実施形態においてオプション用スプール40を更に含んでいる。
【0033】
第2バルブブロック25は、第1方向に積層するように第1バルブブロック21に設けられている。本実施形態において、第2バルブブロック25は、第1バルブブロック21の第1方向他方側の端面である第1方向他端に載せるように第1バルブブロック21に設けられている。また、第2バルブブロック25は、第1ポンプ通路22の第2通路部22bを有している。第1ポンプ通路22は、前述の通り、第1バルブブロック21から第2バルブブロック25まで形成される通路であり、第2通路部22bは、第2バルブブロック25内に形成される部分である。第2通路部22bには、前述の通り第2液圧ポンプ12が接続される。
【0034】
より詳細に説明すると、第2バルブブロック25は、第1方向に長尺な大略直方体状に形成されている。本実施形態において、第2バルブブロック25の第3方向の長さは、第1バルブブロック21の第3方向の長さより短くなっており、例えば第1バルブブロック21の第3方向の長さの半分となっている。なお、第2バルブブロック25は、第3方向において第1バルブブロック21と同じ長さを有していてもよい。また、第2バルブブロック25は、互いに異なる2つのブロック体25a,25bを有している。各ブロック体25a,25bは、大略直方体状に形成されている。2つのブロック体25a,25bは、第1方向に積層されて第2バルブブロック25を構成している。本実施形態において、第1ブロック体25aは、第1バルブブロック21の第1方向他端に設けられ、第2ブロック体25bは、第1方向に積層するように第1ブロック体25aに設けられている。
【0035】
第2通路部22bは、第2バルブブロック25において第1方向に延在している。即ち、第2通路部22bは、本実施形態において2つのブロック体25a,25bを貫通するように第1方向に延在している。そして、第2通路部22bは、第2バルブブロック25の第1方向の両端面にて開口している。第2通路部22bは、第2バルブブロック25の第1方向一端にある開口を第1通路部22aの第1方向他方側の開口に突き合わせている。これにより、第2通路部22bは、第1通路部22aに接続されて、第1通路部22aと共に第1ポンプ通路22を構成している。また、第2液圧ポンプ12は、第2バルブブロック25の第1方向他端にある第2通路部22bの開口に接続されている。このようにして、第1ポンプ通路22には、2つの液圧ポンプ11,12が接続されている。
【0036】
第1アタッチ弁体の一例である第3ブーム用スプール39は、第2通路部22bに接続されている。第3ブーム用スプール39は、第1ブーム用スプール34を介してブームシリンダ6に供給される作動液と合流させるように、第2通路部22bからの作動液をブームシリンダ6に供給する。第3ブーム用スプール39は、ストロークすることによって合流させる作動液の流れを制御する。本実施形態において、第3ブーム用スプール39は、第2通路部22bからの作動液を、第1通路部22aから第1ブーム用スプール34を介して供給される作動液及び第2通路部22bから第2ブーム用スプール38を介して供給される作動液の少なくとも一方と合流させる。換言すると、第3ブーム用スプール39は、第1液圧ポンプ11及び第3液圧ポンプ13のうち少なくとも一方からの作動液に、第2液圧ポンプ12からの作動液を合流させてブームシリンダ6に供給する。
【0037】
より詳細に説明すると、第3ブーム用スプール39は、タンク通路24に接続されている。第3ブーム用スプール39は、ブームシリンダ6と第2通路部22b及びタンク通路24との接続状態を切換える。これにより、第3ブーム用スプール39は、第2通路部22bからブームシリンダ6に供給される作動液の流れる方向を切換え、第2通路部22bからの作動液を前述する作動液と合流させる。
【0038】
また、第3ブーム用スプール39には、電磁比例制御弁39a,39bが夫々対応付けて設けられている。電磁比例制御弁39a,39bの各々は、入力される信号に応じたパイロット圧を出力する。そして、電磁比例制御弁39a,39bの各々は、第3ブーム用スプール39に対して互いに抗する方向にパイロット圧を作用させる。また、第3ブーム用スプール39には、ばね39c,39dが対応付けて設けられている。ばね39c,39dは、第3ブーム用スプール39に対して電磁比例制御弁39a,39bの各々からのパイロット圧に抗するように付勢する。それ故、ばね39c,39dは、第3ブーム用スプール39をパイロット圧に応じたストローク量でストロークさせることができる。これにより、第3ブーム用スプール39は、入力される信号に応じて開度を変える。
【0039】
第2アタッチ弁体の一例であるオプション用スプール40は、第3ブーム用スプール39に並列するように第2通路部22bに接続されている。そして、オプション用スプール40は、第2通路部22bからオプションシリンダ9に作動液を供給する。また、オプション用スプール40は、ストロークすることによって第2通路部22bからオプションシリンダ9に供給される作動液の流れを制御する。
【0040】
より詳細に説明すると、オプション用スプール40は、タンク通路24に接続されている。オプション用スプール40は、オプションシリンダ9と第2通路部22b及びタンク通路24との接続状態を切換える。これにより、オプション用スプール40は、第2通路部22bからオプションシリンダ9に供給される作動液の流れる方向を切換える。
【0041】
また、オプション用スプール40には、電磁比例制御弁40a,40bが夫々対応付けて設けられている。電磁比例制御弁40a,40bの各々は、入力される信号に応じたパイロット圧を出力する。そして、電磁比例制御弁40a,40bの各々は、オプション用スプール40に対して互いに抗する方向にパイロット圧を作用させる。また、オプション用スプール40には、ばね40c,40dが対応付けて設けられている。ばね40c,40dは、オプション用スプール40に対して電磁比例制御弁40a,40bの各々からのパイロット圧に抗するように付勢する。それ故、ばね40c,40dはオプション用スプール40をパイロット圧に応じたストローク量でストロークさせることができる。これにより、オプション用スプール40は、入力される信号に応じて開度を変える。
【0042】
また、第2バルブブロック25において、2つのアタッチスプール39,40は、以下のように設けられている。即ち、第3ブーム用スプール39は、第2バルブブロック25に摺動可能に挿通されている。オプション用スプール40もまた、第2バルブブロック25に摺動可能に挿通されている。より詳細に説明すると、第3ブーム用スプール39及びオプション用スプール40は、第2方向に延在するように(即ち8つのメインスプール31~38に平行するように)第2バルブブロック25に挿通されている。2つのアタッチスプール39,40の各々は、第1ポンプ通路22の第2通路部22bに並列するように接続されている。そして、2つのスプール39,40の各々は、第2方向一方側から見て第2通路部22bに沿うように第1方向に並べて第1バルブブロック21に挿通されている。
【0043】
更に詳細に説明すると、第3ブーム用スプール39は、第1ブロック体25aに摺動可能に挿通され、オプション用スプール40は、第2ブロック体25bに摺動可能に挿通されている。そして、第2バルブブロック25は、第1ブロック体25a、及び第2ブロック体25bを第1バルブブロック21側(即ち、第1方向一方側)からその順で積層するように第1バルブブロック21に設けられている。このように、アタッチスプール39,40は、1つずつブロック体25a,25bの各々に挿通されている。
【0044】
<操作装置>
操作装置17は、複数の液圧アクチュエータ3~9を作動させる操作指令を制御装置18に出力する。操作装置17は、例えば操作弁、電気ジョイスティック、及びフットペダル等である。本実施形態において、操作装置17は、電気ジョイスティック及びフットペダルである。操作装置17は、複数の操作具17a~17dを有している。本実施形態において、操作装置17は、2つの操作レバー17a,17b、及び2つのフットペダル17c,17dを含む。そして、操作装置17は、操作具17a~17dに対する操作(本実施形態において操作方向及び操作量)に応じて各液圧アクチュエータ3~9に対する操作指令を出力する。なお、操作指令は、複数の液圧アクチュエータ3~9の各々の動作量(変位量及び速度等)を指示する指令である。
【0045】
<制御装置>
制御装置18は、各スプール31~40の動きを制御する。より詳細に説明すると、制御装置18は、操作装置17から入力される操作指令に応じて、各スプール31~40の動きを制御する。また、制御装置18は、入力される操作指令に基づいて液圧アクチュエータ3~9の各々に供給すべき作動液の供給流量を算出する。そして、制御装置18は、算出される各供給流量に応じて各スプール31~40の開度を算出する。更に、制御装置18は、算出される各開度に応じて各スプール31~40の動きを制御する。即ち、制御装置18は、各スプール31~40の各々に対応する電磁比例制御弁31a~40a,31b~40bに信号を出力し、各スプール31~40をストロークさせる。
【0046】
また、制御装置18は、第1乃至第3液圧ポンプ11~13の吐出容量を制御する。より詳細に説明すると、制御装置18は、算出される各供給流量に応じて第1乃至第3容量信号出力して第1乃至第3液圧ポンプ11~13の各々の吐出容量を変える。より詳細に説明すると、制御装置18は、液圧アクチュエータ3,6~9の各々の供給流量に応じて第1及び第2容量信号を出力し、第1及び第2液圧ポンプ11,12の吐出容量を制御する。また、制御装置18は、液圧アクチュエータ4~7の各々の供給流量に応じて第3容量信号を出力し、第3液圧ポンプ13の吐出容量を制御する。
【0047】
<液圧駆動システムの動作について>
液圧駆動システム1は、操作具17a~17dを操作することによって、ショベルに様々な作業を行わせることができる。以下では、操作具17a~17dが夫々操作された場合の液圧駆動システム1の動作について説明する。
【0048】
操作具17a~17dの少なくとも1つが操作されると、制御装置18は、操作装置17から出力される操作指令に応じて各スプール31~40の動きを制御する。これにより、操作指令に応じて液圧アクチュエータ3~9を作動させることができる。例えば、操作レバー17a,17bが操作されると、操作内容に応じて液圧アクチュエータ5~9の何れかが作動する。他方、フットペダル17c,17dを操作すると、走行モータ3,4が作動する。この際、制御装置18は、操作指令に応じて液圧アクチュエータ3~9の各々の供給流量を算出する。そして、制御装置18は、算出される各供給流量に応じて各スプール31~40の開度を算出する。更に、制御装置18は、算出される各開度に応じて各スプール31~40の動きを制御する。即ち、制御装置18は、各スプール31~40の各々に対応する電磁比例制御弁31a~40a,31b~40bに信号を出力し、各スプール31~40をストロークさせる。これにより、各スプール31~40の開度が操作指令に応じた開度に制御される。また、制御装置18は、第1乃至第3液圧ポンプ11~13の吐出容量を制御する。より詳細に説明すると、制御装置18は、液圧アクチュエータ3~9の各々の供給流量に応じて第1乃至第3容量信号を出力し、第1乃至第3液圧ポンプ11~13の各々の吐出容量を制御する。このように制御装置18は、各スプール31~40の開度、及び液圧ポンプ11~13の吐出容量を制御することによって、操作指令に応じた動作速度で液圧アクチュエータ3~9を作動することができる。
【0049】
具体的に説明すると、操作装置17からの操作指令に応じてブームシリンダ6を作動させる場合、制御装置18は、算出されるブームシリンダ6の供給流量に応じて以下のように液圧ポンプ11~13及びマルチコントロール弁2を制御する。即ち、ブームシリンダ6の供給流量が小さい場合、制御装置18は、算出される供給流量に応じて第1及び第2液圧ポンプ11,12の吐出容量を制御する。例えば、制御装置18は、第2液圧ポンプ12の吐出容量を最小吐出容量に制御し、第1液圧ポンプ11の吐出容量を算出される供給流量に応じて制御する。なお、第1液圧ポンプ11の吐出容量が最小吐出容量に制御され、第2液圧ポンプ12の吐出容量が算出される供給流量に応じて制御されてもよい。これにより、第2液圧ポンプ12のエネルギー消費量が低減される。また、制御装置18は、供給流量に基づいて算出される開度に応じた信号を電磁比例制御弁34a,34bに出力する。これにより、第1ブーム用スプール34の開度が算出される開度に制御され、操作指令に応じた動作速度でブームシリンダ6が作動する。
【0050】
次に、ブームシリンダ6の供給流量が少し大きい場合、制御装置18は、算出される供給流量に応じて第1及び第3液圧ポンプ11,13の吐出容量を制御する。なお、第2液圧ポンプ12の吐出容量は、例えば最小吐出容量に維持される。また、制御装置18は、供給流量に基づいて算出される開度に応じた信号を電磁比例制御弁34a,38a,34b,38bに出力する。これにより、第1及び第2ブーム用スプール34,38の開度が算出される開度に制御される。そうすると、液圧駆動システム1は、第1液圧ポンプ11からの作動液に第3液圧ポンプ13からの作動液を合流させてブームシリンダ6に供給することができる。これにより、第1液圧ポンプ11のみからブームシリンダ6に作動液が供給される場合よりより大きな作動液がブームシリンダ6に供給される。これにより、操作指令に応じて速い動作速度でブームシリンダ6を作動させることができる。
【0051】
更に、ブームシリンダ6の供給流量が更に大きい場合、制御装置18は、算出される供給流量に応じて第1乃至第3液圧ポンプ11~13の吐出容量を制御する。また、制御装置18は、供給流量に基づいて算出される開度に応じた信号を電磁比例制御弁34a,38a,39a,34b,38b,39bに出力する。これにより、第1乃至第3ブーム用スプール34,38,39の開度が算出される開度に制御される。そうすると、液圧駆動システム1は、第1液圧ポンプ11からの作動液に第2及び第3液圧ポンプ12,13からの作動液を合流させてブームシリンダ6に供給することができる。これにより、2つの液圧ポンプ11,13からブームシリンダ6に作動液が供給される場合より大きな作動液がブームシリンダ6に供給される。これにより、操作指令に応じて速い動作速度でブームシリンダ6を作動させることができる。
【0052】
この際、2つの液圧ポンプ11,12から第1ポンプ通路22に作動液が吐出される。吐出される作動液のうち第1液圧ポンプ11からの作動液は、主に第1ブーム用スプール34を介してブームシリンダ6に供給される。また、第2液圧ポンプ12からの作動液は、主に第3ブーム用スプール39を介してブームシリンダ6に供給される。このように、2つの液圧ポンプ11,12から吐出される大流量の作動液は、2つのスプール34,39を介してブームシリンダ6に供給される。それ故、2つのスプール34,39に各々の定格流量を超える流量の作動液が流れることを抑制することができる。それ故、2つのスプール34,39の大型化を抑えつつ、より大きな流量の作動液をブームシリンダ6に供給することができる。
【0053】
また、操作指令に応じてオプションシリンダ9を作動させる場合、制御装置18は、以下のように液圧ポンプ11,12及びマルチコントロール弁2を制御する。即ち、制御装置18は、操作指令に基づいて算出されるオプションシリンダ9の供給流量に応じて第1及び第2液圧ポンプ11,12の吐出容量を制御する。例えば、制御装置18は、例えば、第1液圧ポンプ11の吐出容量を最小吐出容量に制御し、第2液圧ポンプ12の吐出容量を算出される供給流量に応じて制御する。これにより、第1液圧ポンプ11のエネルギー消費量が低減される。なお、第2液圧ポンプ12の吐出容量が最小吐出容量に制御され、第1液圧ポンプ11の吐出容量が算出される供給流量に応じて制御されてもよい。また、制御装置18は、供給流量に基づいて算出される開度に応じた信号を電磁比例制御弁40a,40bに出力する。これにより、オプション用スプール40の開度が算出される開度に制御され、操作指令に応じた動作速度でオプションシリンダ9が作動する。
【0054】
また、操作指令に応じて複数の液圧アクチュエータ、例えばブームシリンダ6、アームシリンダ7、及びバケットシリンダ8を作動させる場合、制御装置18は、以下のように液圧ポンプ11~13、及びマルチコントロール弁2を制御する。即ち、制御装置18は、操作指令に基づいて算出される各シリンダ6~8の供給流量に応じて第1乃至第3液圧ポンプ11~13の吐出容量を制御する。また、制御装置18は、供給流量に基づいて算出される開度に応じた信号を電磁比例制御弁33a,34a,36a~39a,33b,34b,36b~39bの各々に出力する。例えば、制御装置18は、電磁比例制御弁33a,34a,36a~38a,33b,34b,36b~38bの各々に信号を出力する。これにより、第1アーム用スプール33、第1ブーム用スプール34、バケット用スプール32、第2アーム用スプール37、及び第2ブーム用スプール38の各々の開度が算出される開度に制御される。この際、第1ポンプ通路22には、2つの液圧ポンプ11,12から作動液が吐出される。それ故、操作指令に応じて大きな供給流量が要求される場合であっても、ブームシリンダ6及びアームシリンダ7に十分な流量の作動液を供給することができる。これにより、操作指令に応じた動作速度で各シリンダ6~8を作動させることができる。
【0055】
また、制御装置18は、操作具17a~17dが操作されていない状態において、第1及び第2アンロード信号を出力する。そうすると、第1アンロード弁41は、第1アンロード信号に基づいて第1ポンプ通路22をタンク通路24に接続する。これにより、第1及び第2液圧ポンプ11,12がアンロード状態になる。他方、第2アンロード弁42は、第2アンロード信号に基づいて第2ポンプ通路23をタンク通路24に接続する。これにより、第3液圧ポンプ13がアンロード状態になる。
【0056】
更に、液圧駆動システム1では、2つの液圧ポンプ11,12が第1ポンプ通路22に作動液を吐出している。それ故、2つの液圧ポンプ11,12のうち少なくとも一方が作動液を吐出することができれば、第1通路部22aから各液圧アクチュエータ3,6~9に作動液を供給することができる。それ故、液圧駆動システム1は、2つの液圧ポンプ11,12に関してフェールセーフを達成することができる。
【0057】
本実施形態の液圧駆動システム1において、アタッチ弁15は、第1ポンプ通路22の第2通路部22bを有し且つ第2通路部22bに第2液圧ポンプ12が接続される第2バルブブロック25と、第2バルブブロック25に挿通される第3ブーム用スプール39とを含んでいる。第3ブーム用スプール39は、ストロークすることによって第2通路部22bからブームシリンダ6に供給される作動液を制御して第1通路部22aからブームシリンダ6に供給される作動液と合流させる。このようなアタッチ弁15が第1バルブブロック21に設けられている。これにより、第1液圧ポンプ11から吐出される作動液を第1ブーム用スプール34を介してブームシリンダ6に作動液を供給し、且つ第2液圧ポンプ12から吐出される作動液を第3ブーム用スプール39を介してブームシリンダ6に作動液を供給することができる。即ち、2つアタッチスプール34,39からブームシリンダ6に作動液を供給することができるので、各アタッチスプール34,39に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各アタッチスプール34,39が大型化することを抑制することができる。また、2つの液圧ポンプ11,12が第1ポンプ通路22を共有しているので、液圧駆動システム1を構成する部品の点数が増加することを抑えることができる。更に、既存のメインコントロール弁14にアタッチ弁15を設けることによって液圧駆動システム1を容易に構成することができる。
【0058】
また、本実施形態の液圧駆動システム1において、第2ブーム用スプール38は、ストロークすることによって第2ポンプ通路23からブームシリンダ6に供給される作動液の流れを制御して第1通路部22aからブームシリンダ6に供給される作動液と合流させる。それ故、第1乃至第3液圧ポンプ11~13から吐出される作動液を各スプール34,38,39を介してブームシリンダ6に作動液を供給することができる。即ち、3つスプール34,38,39からブームシリンダ6に作動液を供給することができるので、各スプール34,38,39に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各スプール34,38,39が大型化することを抑制することができる。
【0059】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、第1アンロード弁41は、入力される第1アンロード信号に応じて第1ポンプ通路22とタンク通路24とを連通する。それ故、第1及び第2液圧ポンプ11,12は、第1アンロード弁41を供用することができる。これにより、液圧駆動システム1の部品点数を抑えることができる。
【0060】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、第2バルブブロック25は、第1ブロック体25aと、第1ブロック体25aに設けられる第2ブロック体25bとを含む。第2通路部22bは、第1ブロック体25aと第2ブロック体25bとに延在している。また、アタッチ弁15は、第2ブロック体25bに挿通されるオプション用スプール40を更に含む。オプション用スプール40は、ストロークすることによって第2通路部22bからオプションシリンダ9に供給される作動液の流れを制御する。それ故、第2液圧ポンプ12からの作動液を第2通路部22bからオプション用スプール40を介してオプションシリンダ9に供給することができる。従って、液圧駆動システム1において、第1ブロック体25aに第2ブロック体25bを設けることによって、オプションシリンダ9に供給する作動液を制御すべくオプション用スプール40を容易に追加することができる。
【0061】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、第1液圧ポンプ11は、第1ポンプ通路22の第1方向一方側にある第1通路部22aに接続され、第2液圧ポンプ12は、第1ポンプ通路22の第1方向他方側にある第2通路部22bに接続されている。それ故、第1ポンプ通路22において、2つの液圧ポンプ11,12の各々から吐出される作動液を別々のスプール34,39を介してブームシリンダ6に供給することができる。それ故、各液圧ポンプ11,12からブームシリンダ6に供給される作動液に関して圧力損失を小さくすることができる。また、第1ポンプ通路22の所定方向一方側及び他方側の各々に各液圧ポンプ11,12が接続されるので、液圧ポンプ11,12の接続が容易である。
【0062】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、制御装置18は、入力される操作指令に基づいて算出される供給流量に応じて第1ブーム用スプール34及び第3ブーム用スプール39の開度を算出し、算出される開度に応じて第1ブーム用スプール34及び第3ブーム用スプール39の動きを制御する。それ故、制御装置18は、2つの液圧ポンプ11,12から作動液が吐出されて第1ポンプ通路22に大きな流量の作動液が流れても各スプール34,39に供給される場合であっても、各スプール34,39を介してブームシリンダ6に供給される作動液の流量を制御することができる。これにより、制御装置18は、各スプール34,39を供給される作動液の流量を抑えることができる。
【0063】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、制御装置18は、供給流量に応じて第1容量信号及び第2容量信号を出力して第1液圧ポンプ11及び第2液圧ポンプ12の吐出容量を変える。これにより、第1液圧ポンプ11及び第2液圧ポンプ12におけるエネルギー消費量を低減することができる。
【0064】
本実施形態のマルチコントロール弁2において、アタッチ弁15は、第1バルブブロック21に設けられ且つ第2通路部22bが形成されている第2バルブブロック25と、第2バルブブロック25に挿通される第3ブーム用スプール39とを含んでいる。第3ブーム用スプール39は、ストロークすることによって第2通路部22bからブームシリンダ6に供給される作動液を制御して第1通路部22aからブームシリンダ6に供給される作動液と合流させる。これにより、第1液圧ポンプ11から吐出される作動液を第1ブーム用スプール34を介してブームシリンダ6に作動液を供給し、且つ第2液圧ポンプ12から吐出される作動液を第3ブーム用スプール39を介してブームシリンダ6に作動液を供給することができる。即ち、2つスプール34,39からブームシリンダ6に作動液を供給することができるので、各スプール34,39に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各スプール34,39が大型化することを抑制することができる。また、2つの液圧ポンプ11,12が第1ポンプ通路22を共有しているので、マルチコントロール弁2を構成する部品の点数が増加することを抑えることができる。更に、既存のメインコントロール弁14にアタッチ弁15を設けることによってマルチコントロール弁2を容易に構成することができる。
【0065】
<その他の実施形態>
本実施形態の液圧駆動システム1及びマルチコントロール弁2では、第2バルブブロック25の第2ブロック体25bの第1方向他端に、第2液圧ポンプ11が接続される第2通路部22bのポンプポートが形成されている。しかし、第2通路部22bのポンプポートは、第1ブロック体25aに形成されてもよい(例えば、図3参照)。また、本実施形態の液圧駆動システム1では、メイン弁体がメインスプールであるが、ポペット型の弁体やピストン型の弁体であってもよい。また、メイン弁体は、図3の液圧駆動システム1A及びマルチコントロール弁2Aに示されるように、ブームシリンダ6のメータイン流量及びメータアウト流量を独立に制御可能な流量制御スプール34A,34Bのようなものであってもよい。更に、メイン弁体は、流量制御弁の弁体であってもよい。流量制御弁は、例えばピストン型の弁体を有している。流量制御弁は、第1通路部22aとブームシリンダ6のヘッドポートとの間に1つ設けられ、また第1通路部22aとブームシリンダ6のロッドポートとの間に1つ設けられる。流量制御弁の各々は、第1通路部22aからヘッドポートに供給される作動液の流量を制御し、また第1通路部22aからロッドポートに供給される作動液の流量を制御する。更に、アタッチ弁15のブロック体の数も2つに限定されず、3つ以上であってもよい。そして、ブロック体には、必ずしもスプールが設けられている必要はなく、少なくとも第3ブーム用スプール39が設けられていればよい。
【0066】
また、本実施形態の液圧駆動システム1及びマルチコントロール弁2において、メインコントロール弁14に8つのスプール31~38以外のスプールが設けられててもよい。例えば、メインコントロール弁14には、第1及び第3液圧ポンプ11,13の接続先を切換えて一方の液圧ポンプ11から2つの走行モータ3,4に作動液を供給可能にする走行直進用スプールが設けられてもよい。また、オプション用スプール40は、メインコントロール弁14に設けられてもよく、またマルチコントロール弁2に必ずしも備わっている必要はない。更に、メインコントロール弁14の各メインスプール31~38の配置等は、一例に過ぎず、前述する説明に限定されるものではない。
【0067】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1及びマルチコントロール弁2において、第1アンロード弁41は、第1ポンプ通路22において第1液圧ポンプ11側に接続されている。しかし、第1アンロード弁41は、第1ポンプ通路22において第2液圧ポンプ12側に接続されてもよく、第1ポンプ通路22の何れの位置に接続されてもよい。第2アンロード弁42についても同様である。
【0068】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1及びマルチコントロール弁2では、メインスプール32~34,37,38~40の各々に圧力補償弁が対応付けて設けられてもよい。圧力補償弁の各々は、対応するメインスプール32~34,37,38~40の前後差圧を一定にする。それ故、メインスプール32~34,37,38~40の各々は、各々の開度に応じた流量の作動液を対応する液圧アクチュエータ6~9に流すことができる。即ち、メインスプール32~34,37,38~40の各々は、入力される信号に応じた流量を対応する液圧アクチュエータ6~9に供給することができる。
【0069】
<例示的な実施形態>
第1の局面における液圧駆動システムは、第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータの各々に作動液を供給し、供給する作動液の流れを制御する液圧駆動システムであって、第1ポンプ通路の第1通路部に作動液を吐出する第1液圧ポンプと、前記第1ポンプ通路の第2通路部に作動液を吐出する第2液圧ポンプと、前記第1通路部を有する第1バルブブロックと、前記液圧アクチュエータの各々に対応させて前記第1バルブブロックに夫々挿通され且つストロークすることによって前記第1通路部から対応する前記液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する複数のメイン弁体とを含むメインコントロール弁と、前記第2通路部を有し且つ前記第1バルブブロックに設けられる第2バルブブロックと、前記第2バルブブロックに挿通されているアタッチ弁体とを含むアタッチ弁とを備え、前記複数のメイン弁体は、ストロークすることによって前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する第1メイン弁体を含み、前記アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1メイン弁体を介して前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。
【0070】
上記局面に従えば、アタッチ弁は、第1ポンプ通路の第2通路部を有し且つ第2通路部に第2液圧ポンプが接続される第2バルブブロックと、第2バルブブロックに挿通されるアタッチ弁体とを含んでいる。アタッチ弁体は、ストロークすることによって第2通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液を制御して第1通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。このようなアタッチ弁が第1バルブブロックに設けられている。これにより、第1液圧ポンプから吐出される作動液を第1メイン弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給し、且つ第2液圧ポンプから吐出される作動液をアタッチ弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができる。即ち、2つ弁体から第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができるので、各弁体に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各弁体が大型化することを抑制することができる。また、2つの液圧ポンプが第1ポンプ通路を共有しているので、液圧駆動システムを構成する部品の点数が増加することを抑えることができる。更に、既存のメインコントロール弁にアタッチ弁を設けることによって液圧駆動システムを容易に構成することができる。
【0071】
第2の局面における液圧駆動システムは、第1の局面の液圧駆動システムにおいて、第2ポンプ通路に作動液を吐出する第3液圧ポンプを更に備え、前記第1バルブブロックは、前記第2ポンプ通路を更に有し、前記複数のメイン弁体は、前記第1バルブブロックに挿通される第2メイン弁体を有し、前記第2メイン弁体は、ストロークすることによって前記第2ポンプ通路から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。
【0072】
上記局面に従えば、第2メイン弁体は、ストロークすることによって第2ポンプ通路から第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して第1通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。それ故、第1乃至第3液圧ポンプから吐出される作動液を各弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができる。即ち、3つ弁体から第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができるので、各弁体に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各弁体が大型化することを抑制することができる。
【0073】
第3の局面における液圧駆動システムは、第1又は2の局面の液圧駆動システムにおいて、前記メインコントロール弁は、アンロード弁を更に含み、前記第1バルブブロックには、タンクに繋がるタンク通路が形成され、前記アンロード弁は、入力される信号に応じて前記第1通路部と前記タンク通路とを連通する。
【0074】
上記局面に従えば、アンロード弁は、入力される信号に応じて第1通路部とタンク通路24とを連通する。それ故、第1及び第2液圧ポンプは、アンロード弁を供用することができる。これにより、液圧駆動システムの部品点数を抑えることができる。
【0075】
第4の局面における液圧駆動システムは、第1乃至3の何れかの局面の液圧駆動システムにおいて、前記第2バルブブロックは、前記アタッチ弁体である第1アタッチ弁体が挿通される第1ブロック体と、前記第1ブロック体に設けられる第2ブロック体とを含み、前記アタッチ弁は、前記第2ブロック体に挿通される第2アタッチ弁体を更に含み、前記第2通路部は、前記第1ブロック体及び前記第2ブロック体に延在し、前記第2アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記複数の液圧アクチュエータのうちの1つである第2液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する。
【0076】
第5の局面における液圧駆動システムは、第1乃至4の何れかの局面の液圧駆動システムにおいて、前記第1バルブブロック及び前記第2バルブブロックは、所定方向に積層されており、前記第1ポンプ通路は、前記第1バルブブロック及び前記第2バルブブロックにおいて所定方向に延在し、前記第1液圧ポンプは、前記第1ポンプ通路の所定方向一方側にある前記第1通路部に接続され、前記第2液圧ポンプは、前記第1ポンプ通路の所定方向他方側にある前記第2通路部に接続されている。
【0077】
上記局面に従えば、第1液圧ポンプは、第1ポンプ通路の所定方向一方側にある第1通路部に接続され、第2液圧ポンプは、第1ポンプ通路の所定方向他方側にある第2通路部に接続されている。それ故、第1ポンプ通路において、2つの液圧ポンプの各々から吐出される作動液を別々の弁体を介して第1液圧アクチュエータに供給することができる。それ故、各液圧ポンプから第1液圧アクチュエータに供給される作動液に関して圧力損失を小さくすることができる。また、第1ポンプ通路の所定方向一方側及び他方側の各々に各液圧ポンプが接続するので、液圧ポンプの接続が容易である。
【0078】
第6の局面における液圧駆動システムは、第1乃至5の何れかの局面の液圧駆動システムにおいて、前記第1メイン弁体及び前記アタッチ弁体の動きを制御する制御装置を更に備え、前記制御装置は、入力される指令に基づいて算出される前記第1液圧アクチュエータに供給すべき作動液の供給流量に応じて前記第1メイン弁体及び前記アタッチ弁体の開度を算出し、算出される開度に応じて前記第1メイン弁体及び前記アタッチ弁体の動きを制御する。
【0079】
上記局面に従えば、制御装置は、入力される指令に基づいて算出される供給流量に応じて第1メイン弁体及びアタッチ弁体の開度を算出し、算出される開度に応じて第1メイン弁体及びアタッチ弁体の動きを制御する。それ故、制御装置は、2つの液圧ポンプから作動液が吐出されて第1ポンプ通路に大きな流量の作動液が流れても各弁体に供給される場合であっても、各弁体を介して第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流量を制御することができる。これにより、制御装置は、各弁体を供給される作動液の流量を抑えることができる。
【0080】
第7の局面における液圧駆動システムは、第6の局面の液圧駆動システムにおいて、前記第1液圧ポンプは、第1容量信号に応じて吐出容量を変え、前記第2液圧ポンプは、第2容量信号に応じて吐出容量を変え、前記制御装置は、入力される指令に基づいて算出される供給流量に応じて第1容量信号及び第2容量信号を出力して前記第1液圧ポンプ及び前記第2液圧ポンプの吐出容量を制御する。
【0081】
上記局面に従えば、制御装置は、供給流量に応じて第1容量信号及び第2容量信号を出力して第1液圧ポンプ及び第2液圧ポンプの吐出容量を変える。これにより、第1液圧ポンプ及び第2液圧ポンプの各々におけるエネルギー消費量を低減することができる。
【0082】
第8の局面におけるマルチコントロール弁は、第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータの各々に供給される作動液の流れを制御するマルチコントロール弁であって、第1ポンプ通路の第1通路部を有し且つ第1液圧ポンプが前記第1通路部に接続される第1バルブブロックと、前記液圧アクチュエータの各々に対応させて前記第1バルブブロックに夫々挿通され且つストロークすることによって前記第1通路部から対応する前記液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する複数のメイン弁体とを含むメインコントロール弁と、前記第1ポンプ通路の第2通路部を有し且つ第2液圧ポンプが前記第2通路部に接続される第2バルブブロックと、前記第2バルブブロックに挿通されているアタッチ弁体とを含み、前記第1バルブブロックに設けられるアタッチ弁とを備え、前記複数のメイン弁体は、ストロークすることによって前記第1通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御する第1メイン弁体を有し、前記アタッチ弁体は、ストロークすることによって前記第2通路部から前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液の流れを制御して前記第1通路部から前記第1メイン弁体を介して前記第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。
【0083】
上記局面に従えば、アタッチ弁は、第1バルブブロックに設けられ且つ第2通路部が形成されている第2バルブブロックと、第2バルブブロックに挿通されるアタッチ弁体とを含んでいる。アタッチ弁体は、ストロークすることによって第2通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液を制御して第1通路部から第1液圧アクチュエータに供給される作動液と合流させる。これにより、第1液圧ポンプから吐出される作動液をメイン弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給し、且つ第2液圧ポンプから吐出される作動液をアタッチ弁体を介して第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができる。即ち、2つ弁体から第1液圧アクチュエータに作動液を供給することができるので、各弁体に供給される作動液の流量を抑えることができる。これにより、各弁体が大型化することを抑制することができる。また、2つの液圧ポンプが第1ポンプ通路を共有しているので、液圧回路を構成する部品の点数が増加することを抑えることができる。更に、既存のメインコントロール弁にアタッチ弁を設けることによってマルチコントロール弁を容易に構成することができる。
【符号の説明】
【0084】
1,1A 液圧駆動システム
2,2A マルチコントロール弁
3 第1走行モータ(液圧アクチュエータ)
4 第2走行モータ(液圧アクチュエータ)
5 旋回モータ(液圧アクチュエータ)
6 ブームシリンダ(第1液圧アクチュエータ)
7 アームシリンダ(液圧アクチュエータ)
8 バケットシリンダ(液圧アクチュエータ)
9 オプションシリンダ(第2液圧アクチュエータ)
11 第1液圧ポンプ
12 第2液圧ポンプ
13 第3液圧ポンプ
14 メインコントロール弁
15 アタッチ弁
18 制御装置
19 タンク
21 第1バルブブロック
22 第1ポンプ通路
22a 第1通路部
22b 第2通路部
23 第2ポンプ通路
24 タンク通路
25 第2バルブブロック
25a 第1ブロック体
25b 第2ブロック体
31 第1走行用スプール(メイン弁体)
32 バケット用スプール(メイン弁体)
33 第1アーム用スプール(メイン弁体)
34 第1ブーム用スプール(第1メイン弁体)
34A 流量制御スプール
35 第2走行用スプール(メイン弁体)
36 旋回用スプール(メイン弁体)
37 第2アーム用スプール(メイン弁体)
38 第3ブーム用スプール(第2メイン弁体)
39 第3ブーム用スプール(第1アタッチ弁体)
40 オプション用スプール(第2アタッチ弁体)
41 アンロード弁
図1
図2
図3