(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002593
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
F16F 9/32 20060101AFI20241226BHJP
F16F 9/49 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F16F9/32 H
F16F9/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102882
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】安河内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森 拓仁
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA54
3J069CC06
3J069CC09
3J069EE01
3J069EE52
(57)【要約】
【課題】リザーバを利用した液圧ロック機能を発揮できるとともに下方室内の負圧を防ぎ異音の発生を抑制と安定した減衰力の発生が可能な緩衝器を提供する。
【解決手段】本発明の緩衝器Dは、シリンダ1と、シリンダ1内に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に伸側室R1と圧側室R2とを区画するピストン3と、液体と気体とを貯留するとともにシリンダ1内に出入りするピストンロッド2の体積を補償するリザーバRと、ピストン3が中立位置にある状態でリザーバR内の液面Sより上方に収容されてリザーバR内を上方室Uと下方室Lとに仕切る仕切部材4とを備え、上方室Uと下方室Lとの間に、上方室Uと下方室Lとを連通するポート4aと、上方室Uと下方室Lとを連通する通路5と、通路5の上端であってポート4aの上方室Uに開口する開口端よりも上方に配置されるオリフィス6とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッドと、
前記ピストンロッドに連結されるとともに前記シリンダ内に移動可能に挿入されて前記シリンダ内に液体が充満する伸側室と圧側室とを区画するピストンと、
液体と気体とを貯留するとともに前記圧側室に連通されて前記シリンダ内に出入りする前記ピストンロッドの体積を補償するリザーバと、
前記リザーバ内であって前記ピストンが前記シリンダに対して中立位置にある状態で液面よりも上方に収容されて前記リザーバ内を上方室と下方室とに仕切る仕切部材とを備え、
前記上方室と前記下方室との間に、
前記上方室と前記下方室とを連通するポートと、
前記上方室と前記下方室とを連通する通路と、
前記通路の上端であって前記ポートの前記上方室に開口する開口端よりも上方に配置されるオリフィスとを有する
ことを特徴とする緩衝器。
【請求項2】
前記ポートの下端を開閉するとともに前記上方室から前記下方室へ向かう流れのみを許容するチェックバルブを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記シリンダの外周に前記シリンダとの間に前記リザーバを形成する外筒を備え、
前記ポートと前記通路は、前記仕切部材に対して周方向にずれた位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記通路の途中に設けられるとともに、前記オリフィスよりも液体の流れに与える抵抗が小さな抵抗要素を備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に利用される緩衝器にあっては、たとえば、シリンダと、シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、ピストンロッドの先端に連結されるとともにシリンダ内に移動可能に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダを覆ってシリンダとの間にシリンダ内に出入りするピストンロッドの体積を補償するリザーバを形成する外筒とを備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このように複筒型に構成された従来の緩衝器では、最収縮時の衝撃を緩和するためにシリンダから外方へ突出するピストンロッドの外周に装着されるバンプクッションラバーをシリンダの上端に取り付けられたバンプクッションに衝合させるものが一般的であるが、近年のスポーツ・ユーティリティ・ビークルのブームによって、年々車両重量が重くなるとともに車両の重心高さが高くなっており、急制動時や急転舵時の車体の振動を軽減すべく、収縮側のストロークエンドでの衝撃の緩和について弾性反発を生じないオイルロックの利用が要望されるようになっている。
【0004】
他方、テレスコピック型に形成されて伸縮可能な伸縮体内に伸縮時に減衰力を発生するダンパカートリッジを収容する二輪車用のフロントフォークでは、伸縮体内であってダンパカートリッジ外の空間に充填された作動油の油面が伸縮体の伸縮時に前記作動油の油面が伸縮体内で上下動することに着目して、ダンパカートリッジの外周に伸縮体内を上方室と下方室とに区画するとともに上方室と下方室とを連通するオリフィスを備えた区画部材を設け、ストロークエンド近傍まで収縮すると作動油にオリフィスを通過させて、ダンパカートリッジが発生する減衰力に前記オリフィスによる減衰力を重畳させて収縮側へのストローク速度を減少させるものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-002988号公報
【特許文献2】特開2004-286197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、従来の複筒型の緩衝器のリザーバ内に特許文献2に開示されているような区画部材を設けてリザーバ内を上下に区画すれば、緩衝器がストロークエンド近傍まで収縮する際に、リザーバ内の作動油が区画部材のオリフィスを通過して区画部材の上方へ移動するようにすれば、最収縮時の衝撃を緩和できると考えられる。ところが、複筒型の緩衝器では伸長作動時にシリンダ内にピストンロッドがシリンダから退出する体積分の作動油を供給しなければならず、区画部材のオリフィスを通過した作動油が区画部材の下方へ戻る際にオリフィスを通過しなければならず、緩衝器の伸長速度によってはリザーバ内の下方室内への作動油の供給が間に合わず下方室内が負圧となってしまい油中に気泡が生じて減衰力発生応答性が悪化したり異音が発生したりする心配がある。
【0007】
フロントフォークでは、ダンパカートリッジの伸長時にダンパカートリッジ外の作動油を多量に吸い込むことを想定していないため、前述のような問題は生じないが、複筒型の緩衝器では伸縮時にシリンダ内とリザーバとで作動油のやり取りが行われるため、前述の問題が生じてしまう恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、リザーバを利用した液圧ロック機能を発揮できるだけでなく、下方室内の負圧を防ぎ異音の発生を抑制と安定した減衰力の発生が可能な緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の緩衝器は、シリンダと、シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッドと、ピストンロッドに連結されるとともにシリンダ内に移動可能に挿入されてシリンダ内に液体が充満する伸側室と圧側室とを区画するピストンと、液体と気体とを貯留するとともに圧側室に連通されてシリンダ内に出入りするピストンロッドの体積を補償するリザーバと、リザーバ内であってピストンがシリンダに対して中立位置にある状態で液面よりも上方に収容されてリザーバ内を上方室と下方室とに仕切る仕切部材とを備え、上方室と下方室との間に、上方室と下方室とを連通するポートと、上方室と下方室とを連通する通路と、通路の上端であってポートの上方室に開口する開口端よりも上方に配置されるオリフィスとを備えている。
【0010】
このように構成された緩衝器は、収縮作動時にピストンがシリンダに対して中立位置から収縮方向へ移動する際に、リザーバ内の液面がオリフィスに到達すると、収縮が進むのに伴ってオリフィスによって収縮を妨げる液圧ロック機能を発揮して、最収縮時の衝撃の緩和と底付きの防止が可能である。また、緩衝器では、緩衝器が液圧ロック機能を発揮した後伸長作動を呈して下方室から液体がシリンダ内へ移動する際、オリフィスがポートの上方室側の開口端よりも上方に配置されており、通路とオリフィスとを通じて上方室の気体が下方室へ移動できるので、ピストンロッドの補償を行うリザーバを利用して液圧ロック機能を発揮しても、下方室内の圧力が負圧なるような事態が生じない。
【0011】
また、緩衝器は、ポートの下端を開閉するとともに上方室から下方室へ向かう流れのみを許容するチェックバルブを備えてもよい。このように構成された緩衝器によれば、緩衝器がリザーバを利用した液圧ロック機能を発揮した後に伸長作動を呈するとチェックバルブが開弁して上方室へ移動した液体が下方室へ移動するので、緩衝器が伸縮作動を繰り返しても上方室に液体が過剰に取り残されて下方室内の液体が不足する心配もない。
【0012】
さらに、緩衝器は、シリンダの外周にシリンダとの間にリザーバを形成する外筒を備え、ポートと通路とが仕切部材に対して周方向にずれた位置に配置されてもよい。このように構成された緩衝器によれば、シリンダと外筒との狭い環状隙間に収容される仕切部材に対してポートと通路とが周方向でずれた位置に配置されているので、シリンダと外筒との狭い環状隙間に収容される仕切部材がポートと通路とを備えていても大型化するのを回避でき、緩衝器の大型化を招かずにリザーバを利用した液圧ロック機能を発揮できる。
【0013】
そしてさらに、緩衝器は、通路の途中に設けられるとともに、オリフィスよりも液体の流れに与える抵抗が小さな抵抗要素を備えてもよい。このように構成された緩衝器によれば、液圧ロック機能の発揮の前後で緩衝器Dが発生する減衰力の急変を緩和でき、液圧ロック機能の発揮によって車両における乗心地を損なうこともない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の緩衝器によれば、液圧ロック機能を発揮できるとともに製造が容易で製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施の形態における緩衝器の断面図である。
【
図2】一実施の形態における緩衝器の一部拡大断面図である。
【
図3】一実施の形態の第1変形例の緩衝器の一部拡大断面図である。
【
図4】一実施の形態の第2変形例の緩衝器の一部拡大断面図である。
【
図5】一実施の形態の第3変形例の緩衝器の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の緩衝器を図に基づいて説明する。一実施の形態における緩衝器Dは、
図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン3と、液体と気体とを貯留するリザーバRと、リザーバR内に収容されてリザーバR内を上方室Uと下方室Lとに仕切る仕切部材4と、上方室Uと下方室Lとを連通するポート4aと、上方室Uと下方室Lとを連通する通路5と、通路5の上端に設けたオリフィス6とを備えている。緩衝器Dは、図示しない車両における車体と車輪との間に介装されて伸縮時に減衰力を発生して車体の振動を抑制する。
【0017】
以下、緩衝器Dの各部について詳細に説明する。シリンダ1は、筒状であって内部に前述したようにピストンロッド2およびピストン3が軸方向となる
図1中上下方向へ移動可能に挿入されている。シリンダ1内は、ピストン3によって、
図1中上方の伸側室R1と
図1中下方の圧側室R2とに区画されている。また、伸側室R1と圧側室R2内には、液体として、具体的にはたとえば、作動油が充填されている。なお、液体としては、作動油の他にも、水、水溶液等を充填してもよい。
【0018】
また、シリンダ1は、外周側に配置される有底筒状の外筒7内に収容されており、シリンダ1と外筒7との間の環状隙間でリザーバRが形成されている。このリザーバR内は、この場合、液体としての作動油と気体とが貯留されている。なお、リザーバR内に充填される気体は、作動油の劣化を防止するべく窒素等といった不活性ガスとされているが、それ以外の気体とされてもよい。また、リザーバRは、本実施の形態では、シリンダ1と外筒7との間に形成されているが、シリンダ1とは別個に設けられたタンクによってリザーバRが形成されてもよい。
【0019】
ピストンロッド2は、シリンダ1の
図1中上端に嵌合する環状のロッドガイド8の内周に挿通されて先端側がシリンダ1内に挿入されており、基端側となる
図1中上端がシリンダ1の外方へ突出している。ロッドガイド8は、環状であって外周にフランジ8aを備えており、シリンダ1の上端内周にフランジ8aよりも小径の部分を嵌合させつつ、フランジ8aの外周を外筒7の上端内周に嵌合させて、シリンダ1と外筒7の上端を閉塞する。また、ロッドガイド8は、ピストンロッド2の外周に摺接して、内周側に挿通されるピストンロッド2のシリンダ1に対する軸方向への移動を案内する。また、ロッドガイド8の
図1中上方には、ピストンロッド2と外筒7との間に挿入される環状のシール部材9が積層されている。シール部材9は、ピストンロッド2と外筒7との間を封止して、シリンダ1および外筒7からの液体および気体の漏洩を防止している。
【0020】
ピストン3は、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側通路3aおよび圧側通路3bと、伸側通路3aに設けられて伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容するとともに当該作動油の流れに抵抗を与える伸側減衰バルブ3cと、圧側通路3bに設けられて圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する圧側チェックバルブ3dとを備えている。
【0021】
さらに、シリンダ1の
図1中下端には外筒7の底部に載置されるバルブケース10が嵌合されている。バルブケース10は、
図1中で下端の外周に外筒7の内周に嵌合するとともにシリンダ1の下端に当接するフランジ10aを備えており、シール部材9、ロッドガイド8およびシリンダ1とともに外筒7内に挿入され、外筒7の上端に螺子結合されるキャップ11と外筒7の底部とで挟持されて外筒7内で固定される。
【0022】
また、バルブケース10は、圧側室R2とリザーバRとを仕切っており、圧側室R2とリザーバRとを連通する排出通路10bおよび吸込通路10cと、排出通路10bに設けられて圧側室R2からリザーバRへ向かう作動油の流れのみを許容するとともに当該作動油の流れに抵抗を与える圧側減衰バルブ10dと、吸込通路10cに設けられてリザーバRから圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する伸側チェックバルブ10eとを備えている。
【0023】
よって、緩衝器Dは、シリンダ1に対してピストン3が
図1中上方へ移動する伸長作動時には、ピストン3の移動によって縮小される伸側室R1の作動油が伸側減衰バルブ3cを通過して拡大する圧側室R2へ移動し、作動油の流れに対して伸側減衰バルブ3cが抵抗を与えて伸側室R1の圧力が上昇するため、伸長作動を妨げる減衰力を発生する。また、緩衝器Dの伸長作動時には、ピストンロッド2がシリンダ1内から退出するため、ピストンロッド2がシリンダ1内から退出する体積分の作動油が伸側チェックバルブ10eを介してリザーバRからシリンダ1内に供給される。
【0024】
また、緩衝器Dは、シリンダ1に対してピストン3が
図1中下方へ移動する収縮作動時には、ピストン3の移動によって縮小される圧側室R2の作動油が圧側チェックバルブ3dを通過して拡大する伸側室R1へ移動し、圧側チェックバルブ3dが作動油の流れに対して然程抵抗を与えないため、伸側室R1と圧側室R2との圧力は略等しくなる。緩衝器Dの収縮作動時には、ピストンロッド2がシリンダ1内に侵入して、ピストンロッド2がシリンダ1内へ侵入する体積分の作動油がシリンダ1内で過剰となるため、過剰分の作動油が圧側減衰バルブ10dを通過してリザーバRへ排出される。このように、作動油がシリンダ1内からリザーバRへ排出される際に、作動油の流れに対して圧側減衰バルブ10dが抵抗を与えるために伸側室R1および圧側室R2の圧力が略等しく上昇する。ここで、ピストン3の圧側室R2の圧力を受ける受圧面積がピストン3の伸側室R1の圧力を受ける受圧面積よりもピストンロッド2の断面積だけ大きいため、伸側室R1と圧側室R2との圧力の上昇によってピストン3を押し上げる力が大きくなり、緩衝器Dは収縮作動を妨げる減衰力を発生する。
【0025】
このように、緩衝器Dは、振動の入力によって伸縮作動を呈すると伸縮を妨げる減衰力を発生する。また、リザーバRは、緩衝器Dの伸縮作動によってシリンダ1内に出入りするピストンロッド2の体積分の作動油をシリンダ1とでやり取りすることによって、シリンダ1内に出入りするピストンロッド2の体積を補償する。
【0026】
つづいて、仕切部材4は、環状であって、シリンダ1と外筒7との間に形成されたリザーバR内に収容されてリザーバR内を仕切部材4よりも上方側の上方室Uと下方側の下方室Lとに仕切っている。仕切部材4は、上方室Uと下方室Lとを連通するポート4aと、内周に設けられてシリンダ1の外周に密着するシールリング4bと、外周に設けられて外筒7の内周に密着するシールリング4cと、上端から上方へ向けて延びる筒状の通路形成部4dと、下端であってポート4aの内周側から下方へ向けて突出する内周シート部4eと、下端であってポート4aの外周側から下方へ向けて突出する外周シート部4fとを備えている。
【0027】
ポート4aは、仕切部材4の肉厚を上下方向へ貫通して上方室Uと下方室Lとを連通している。ポート4aの
図2中下端の開口端は、仕切部材4の下端であってポート4aの内外周からそれぞれ
図2中下方へ向けて突出する環状の内周シート部4eと外周シート部4fとの間に開口している。内周シート部4eの上下方向長さとなる高さは、外周シート部4fの上下方向長さとなる高さよりも高くなっており、内周シート部4eの
図2中下端面は、外周シート部4fの
図2中下端面よりも下方に配置されており、両者の間に段差が形成されている。なお、本実施の形態では、ポート4aは、内周シート部4eと外周シート部4fとの間に開口していれば仕切部材4に2つ以上設けられてもよい。
【0028】
また、通路形成部4dは、頂部を有する筒となっており、仕切部材4の上端から
図2中徐放へ向けて突出しており、内部が仕切部材4の下端から開口する孔4gを介して下方室Lに連通されるとともに、頂部に設けられたオリフィス6を介して上方室Uに連通されている。このように、通路形成部4dと孔4gとは、一続きの通路5を形成しており、通路5によって上方室Uと下方室Lとが連通され、通路5の上端にオリフィス6が設けられている。
【0029】
オリフィス6は、前述したとおり、通路5の上端、具体的には仕切部材4の上端から上方へ向けて突出する通路形成部4dの頂部に形成されているので、リザーバR内でポート4aの上方室U側の開口端よりも上方に配置されている。このように、オリフィス6の設置位置は、ポート4aの上方室U側の開口端よりもリザーバR内で上方に位置しており、オリフィス6の設置位置とポート4aの上方室U側の開口端との間に高低差が設けられている。なお、複数の通路形成部4dと孔4gとを仕切部材4に設けて、通路5とオリフィス6を複数設けてもよい。
【0030】
このように構成された仕切部材4の内周シート部4eの下方には、弾性を備えた環状板で形成されたチェックバルブ13が重ねられている。チェックバルブ13の内径は、仕切部材4の内径とほぼ等しく、外径は外周シート部4fの外径よりも大径となっている。
【0031】
仕切部材4とチェックバルブ13が重ねられた状態で、シリンダ1の外周に装着された環状のストッパ14,15によって挟持されてシリンダ1の外周に固定される。なお、図示はしないが、ストッパ14,15の代わりに、シリンダ1の外周に嵌合されるとともにロッドガイド8と仕切部材4との間に配置される第1筒部材と、シリンダ1の外周に嵌合されるとともにバルブケース10と仕切部材4との間に配置される第2筒部材とによって仕切部材4とチェックバルブ13とを挟持して、シリンダ1の外周に仕切部材4とチェックバルブ13とを固定してもよい。また、仕切部材4は、仕切部材4の上方室U側への移動を規制するストッパ14に換えてコイルスプリング等の弾性体を用いることで、上方室U側への移動が許容されつつ支持されてもよい。
【0032】
このように仕切部材4とチェックバルブ13とがシリンダ1の外周に固定されると、チェックバルブ13は、内周が固定端として仕切部材4の内周シート部4eの下面に当接した状態でシリンダ1に固定されるとともに、自由端となる外周側の撓みが許容される。また、内周シート部4eと外周シート部4fとに段差があるため、チェックバルブ13は、外力が作用しない無負荷の状態では外周シート部4fとの間に隙間を介して対向する。
【0033】
よって、チェックバルブ13は、無負荷状態では、外周部分が外周シート部4fに対して隙間を介して対向するため、ポート4aの下方室L側の開口端が閉塞しないが、下方室Lの圧力が上方室Uの圧力より高くなって下方室Lから上方室Uへ作動油が移動するようになると、下方室Lの圧力を受けて外周を撓ませて外周シート部4fに着座してポート4aを閉塞する。
【0034】
他方、チェックバルブ13は、上方室Uの圧力が下方室Lの圧力より高くなる状況では、外周を外周シート部4fから離間させるので、無負荷状態の時と同様に、ポート4aを開放する。
【0035】
また、仕切部材4は、ピストン3がシリンダ1に対して中立位置にある状態でリザーバR内の液面Sよりも上方となる位置に固定されている。なお、中立位置は、ピストン3のシリンダ1に対するストローク中心であってもよいし、緩衝器Dを車両における車体と車輪との間に介装した際にピストン3がシリンダ1に対する配置される位置であってもよい。
【0036】
さらに、詳しくは後述するが、緩衝器Dが収縮作動を呈してリザーバR内の液面Sが上昇して通路5におけるオリフィス6を通過するようになると下方室L内の圧力が上昇して緩衝器Dの収縮作動を妨げるオイルロック機能が発揮されるようになるため、オリフィス6の設置位置は、緩衝器Dが最収縮するよりも少し前に作動油の液面Sがオリフィス6に到達するような位置に設定されるのが好ましい。緩衝器Dの収縮作動時には、ピストンロッド2がシリンダ1内に侵入することでリザーバRへ作動油が排出されてリザーバR内で作動油の液面Sが上昇するが、車両が凹凸の少ない良路を走行中に入力される振動で緩衝器Dが収縮しても、液面Sがオリフィス6に到達しないようにするとよい。また、通路5の上端、つまりオリフィス6は、緩衝器Dが最収縮しても上方室U内の作動油の油中に埋没しないように作動油の液面Sよりも常に上方に配置されるとよい。
【0037】
緩衝器Dは、以上のように構成されており、以下に緩衝器Dの作動を説明する。緩衝器Dが伸縮作動を呈すると減衰力を発生するのは前述した通りであるが、シリンダ1に対してピストン3が
図1中下方へ移動する収縮作動時には、ピストンロッド2がシリンダ1内に侵入することによって、作動油が排出通路10bを通じてリザーバRへ排出される。よって、緩衝器Dの収縮作動時には作動油がリザーバRに流入してリザーバR内の作動油の液面Sが上昇する。
【0038】
ピストン3がシリンダ1内で中立位置にある状態では、リザーバR内の液面Sは、仕切部材4の
図1中下面よりも下方に位置しているが、ピストン3のシリンダ1に対する下降に伴って上昇して、ピストン3の下降が進むとやがて仕切部材4に到達する。
【0039】
液面Sが仕切部材4に到達するまでは液面Sの上昇に伴って、リザーバR内の気体のみがポート4a、通路5およびオリフィス6を然程の抵抗を受けず通過して下方室Lから上方室Uへ移動する。液面Sが仕切部材4に到達するまでの間は、下方室Lの圧力と上方室Uの圧力とに殆ど差が生じず、緩衝器Dは、圧側減衰バルブ10dのみによって収縮を妨げる減衰力を発生する。
【0040】
液面Sが仕切部材4に到達して作動油がポート4aと通路5とに侵入するようになると、気体と異なり粘度が高い作動油が抵抗を受けて下方室Lの圧力が上昇するため、チェックバルブ13が撓んで外周シート部4fに着座してポート4aを遮断する。その状態で緩衝器Dの収縮が進行すると、ポート4aが遮断されているので、下方室Lから上方室Uへ向けて作動油は通路5内で液面Sを上昇させつつ移動する。
【0041】
さらに、緩衝器Dの収縮に伴って通路5内における作動油の液面Sが上昇してオリフィス6に到達し、さらに緩衝器Dが収縮すると作動油はオリフィス6を通過して上方室Uへ流入する。通路5内に侵入した作動油は、オリフィス6に到達するまでは、オリフィス6を通過するのは気体のみであるから、殆ど抵抗なく通路5内を上昇できるが、オリフィス6に到達してオリフィス6を通過するようになるとオリフィス6によって抵抗を受けるようになる。
【0042】
この状態となると、緩衝器Dが収縮作動する際にシリンダ1からリザーバR内に流入した作動油の全流量がオリフィス6を通過するようになり、作動油の流れにオリフィス6によって抵抗が与えられて、下方室L内の圧力が上昇する。下方室Lの圧力が上昇する分、シリンダ1内の圧力も上昇するため、緩衝器Dは、液圧ロック機能を発揮して液面Sがオリフィス6に到達する前よりも高い減衰力を発生して自身の収縮を妨げるようになり、シリンダ1に対するピストン3の移動速度を低下させて最収縮時の衝撃を緩和する。
【0043】
このように、緩衝器Dは、シリンダ1に対してピストン3が
図1中下方へ移動する収縮作動時において、液面Sがオリフィス6にまで到達し、その後、ピストン3が
図1中下方へ移動すると、オリフィス6が作動油の流れに与える抵抗によって液圧ロック機能を発揮して減衰力を高くして衝撃の緩和と底付きを防止する。オリフィス6を通過した作動油は仕切部材4の上方に溜まるものの、通路形成部4dの上端は上方室U内における作動油の液面Sより上方へ突出する。
【0044】
緩衝器Dが収縮作動を呈して、作動油がオリフィス6を通じて下方室Lから上方室Uへ移動した後、緩衝器Dの伸縮方向が切り換わって伸長作動を呈すると、ピストンロッド2がシリンダ1から退出してリザーバRの下方室Lから作動油がシリンダ1内に移動する。下方室L内の作動油がシリンダ1に移動に伴って通路5内の作動油は下降して下方室Lへ移動するが、通路形成部4dが上方室Uの液面Sよりも上方に突出してオリフィス6が気体に面しているので、通路5内の作動油の下降に伴ってオリフィス6から上方室U内の気体が通路5内に侵入する。気体がオリフィス6を通過する際に然程の抵抗受けないので、通路5内の作動油は速やかに下方室Lへ移動し、その後、緩衝器Dが伸長を継続して下方室L内の作動油が減少しても通路5を通じて上方室Uから気体が下方室Lへ然程の抵抗を受けずに移動するので、シリンダ1へ作動油が移動しても下方室L内の圧力が負圧になることはない。このように、通路5を通じて上方室Uから下方室Lへ気体が然程の抵抗を受けずに移動するので、下方室Lと上方室Uとの圧力がほぼ等しくなりチェックバルブ13が外周シート部4fから離間してポート4aを開放し、緩衝器Dの収縮作動によって上方室U内であって仕切部材4の上方に溜まった作動油がポート4aを介して下方室Lへ戻される。
【0045】
以上、本実施の形態の緩衝器Dは、シリンダ1と、シリンダ1内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッド2と、ピストンロッド2に連結されるとともにシリンダ1内に移動可能に挿入されてシリンダ1内に作動油(液体)が充満する伸側室R1と圧側室R2とを区画するピストン3と、作動油(液体)と気体とを貯留するとともに圧側室R2に連通されてシリンダ1内に出入りするピストンロッド2の体積を補償するリザーバRと、リザーバR内であってピストン3がシリンダ1に対して中立位置にある状態で液面Sよりも上方に収容されてリザーバR内を上方室Uと下方室Lとに仕切る仕切部材4とを備え、上方室Uと下方室Lとの間に、上方室Uと下方室Lとを連通するポート4aと、上方室Uと下方室Lとを連通する通路5と、通路5の上端であってポート4aの上方室Uに開口する開口端よりも上方に配置されるオリフィス6とを有している。
【0046】
このように構成された緩衝器Dは、収縮作動時にピストン3がシリンダ1に対して中立位置から収縮方向へ移動する際に、リザーバR内の液面Sがオリフィス6に到達すると、収縮が進むのに伴ってオリフィス6によって収縮を妨げる液圧ロック機能を発揮して、最収縮時の衝撃の緩和と底付きの防止が可能である。また、本実施の形態の緩衝器Dでは、緩衝器Dが液圧ロック機能を発揮した後伸長作動を呈して下方室Lから作動油がシリンダ1内へ移動する際、オリフィス6がポート4aの上方室U側の開口端よりも上方に配置されており、通路5とオリフィス6とを通じて上方室Uの気体が下方室Lへ移動できるので、ピストンロッド2の補償を行うリザーバRを利用して液圧ロック機能を発揮しても、下方室L内の圧力が負圧なるような事態が生じない。よって、本実施の形態の緩衝器Dによれば、リザーバRを利用した液圧ロック機能を発揮した後に緩衝器Dの伸縮方向が収縮作動から伸長作動へ転じてもリザーバRの下方室L内が負圧にならないので、減衰力発生応答性が悪化したり異音が発生したりといった問題を生じない。以上より、本実施の形態の緩衝器Dによれば、リザーバRを利用した液圧ロック機能を発揮できるだけでなく、下方室L内の負圧を防ぎ異音の発生を抑制できるとともに安定した減衰力を発生できる。
【0047】
また、本実施の形態の緩衝器Dは、ポート4aの下端を開閉するとともに上方室Uから下方室Lへ向かう流れのみを許容するチェックバルブ13を備えている。このように構成された緩衝器Dによれば、緩衝器DがリザーバRを利用した液圧ロック機能を発揮した後に伸長作動を呈するとチェックバルブ13が開弁して上方室Uへ移動した作動油(液体)が下方室Lへ移動するので、緩衝器Dが伸縮作動を繰り返しても上方室Uに作動油(液体)が過剰に取り残されて下方室L内の作動油(液体)が不足する心配もない。なお、本実施の形態の緩衝器Dでは、仕切部材4は、それぞれ高さが異なりチェックバルブ13の内周を支持する内周シート部4eとチェックバルブ13の自由端となる外周が離着座する外周シート部4fとを備えているので、チェックバルブ13が無負荷状態ではポート4aを開放するため、緩衝器Dが停止した時でも上方室U内に作動油があるとポート4aを介して下方室Lへ作動油を戻し得る。よって、このように構成された緩衝器Dによれば、上方室U内に流入した作動油を緩衝器Dの伸長作動時のみならず停止時にも下方室Lへ戻すことができる。
【0048】
ポート4aの開閉するチェックバルブ13を設けない場合、ポート4aの断面積を小さくして絞りとして機能するように設定すればよい。このようにポート4aを絞りとする場合、緩衝器Dが収縮作動時に作動油がポート4aを通じて下方室Lから上方室Uへ移動するのを抑制でき、作動油がオリフィス6を通過するようになると、作動油のみがポート4aとオリフィス6を通過するようになるので、下方室Lから上方室Uへ移動する作動油は、ポート4aとオリフィス6とから抵抗を受けるようになり、緩衝器Dは液圧ロック機能を発揮して減衰力を高くして収縮作動を妨げる。このように、緩衝器Dは、ポート4aを絞りとして機能するように設定すれば、チェックバルブ13を備えなくても、リザーバRを利用して液圧ロック機能を発揮でき、収縮作動から伸長作動に切り換わると作動油よりも開口が上方に配置されるオリフィス6を備えた通路5を介して気体が上方室Uから下方室Lへ移動できるため、異音の発生を抑制できるとともに安定した減衰力を発生できる。
【0049】
なお、ポート4aは、仕切部材4に設けられているが、上端の開口端がオリフィス6よりも下方に配置されていれば、仕切部材4に設けた孔ではなく仕切部材4の内周或いは外周に設けた溝によって形成されてもよいし、仕切部材4以外に設けられてもよい。ただし、仕切部材4にポート4aを設けると、仕切部材4の上方室Uの下端に面した部分にポート4aの上方室U側の開口端を設けることより、上方室U内に流入した作動油の殆どを下方室Lへ戻すことができる点で有利となる。
【0050】
また、通路5は、仕切部材4に筒状の通路形成部4dを設けて形成されているが、
図3に示すように、仕切部材4の外周にシールリング4cを設けずに仕切部材4の外周の全周から上方へ立ち上がるとともに外筒7の内周面との間に環状隙間を形成する筒4hを設けて、当該筒4hと外筒7との間を通路5として利用してもよい。筒4hは、
図3中上端外周から外筒7側へ向けて径方向へ延びる環状のフランジ4iを備えており、フランジ4iと外筒7との間の隙間でオリフィス6を形成している。このように構成された仕切部材4をリザーバR内に収容してシリンダ1に固定すると、仕切部材4における筒4hと外筒7との間に通路5が形成されて、通路5の上端にフランジ4iと外筒7との間の極狭い環状隙間でオリフィス6が形成される。このように構成された第1変形例の緩衝器D1によれば、筒4hを備えた仕切部材4をリザーバR内に収容することによって、ポート4aの上方室U側の開口端よりも上方にオリフィス6が設置されるので、緩衝器Dと同様に、リザーバR内の液面Sがオリフィス6に到達すると、収縮が進むのに伴ってオリフィス6によって収縮を妨げる液圧ロック機能を発揮して、最収縮時の衝撃の緩和と底付きの防止が可能である。また、本実施の形態の緩衝器D1では、緩衝器D1が液圧ロック機能を発揮した後伸長作動を呈して下方室Lから作動油がシリンダ1内へ移動する際、オリフィス6がポート4aの上方室U側の開口端よりも上方に配置されており、通路5とオリフィス6とを通じて上方室Uの気体が下方室Lへ移動できるので、ピストンロッド2の補償を行うリザーバRを利用して液圧ロック機能を発揮しても、下方室L内の圧力が負圧なるような事態が生じない。よって、本実施の形態の緩衝器D1によれば、リザーバRを利用した液圧ロック機能を発揮できるだけでなく、異音の発生を抑制できるとともに安定した減衰力を発生できる。
【0051】
さらに、
図4に示した第2変形例の緩衝器D2のように、仕切部材4における通路形成部4dの断面積を途中で小さくして、通路5中であってオリフィス6よりも下方室L側にオリフィス6に直列して抵抗要素16を設けている。抵抗要素16は、通路5の断面積を下方よりも上方側を小さくすることによって形成された断面積が小さな上方側の部分pによって形成されており、抵抗要素16を形成する当該部分pの断面積はオリフィス6の断面積よりも大きく、抵抗要素16が作動油の流れに与える抵抗はオリフィス6が作動油の流れに与える抵抗よりも小さくなっている。
【0052】
このように構成された第2変形例の緩衝器D2によれば、収縮作動時にリザーバRの下方室L内の作動油が上昇して通路5内に侵入して、抵抗要素16に到達すると抵抗要素16から抵抗を受けるようになって下方室L内の圧力が上昇するようになる。よって、緩衝器D2は、抵抗要素16によって下方室Lの圧力を上昇させて収縮作動を妨げる減衰力を高くする。さらに、緩衝器D2が収縮作動を続けて作動油がオリフィス6を通過するようになると、緩衝器D2は、作動油の流れにより大きな抵抗を与えるようになって、下方室Lの圧力がさらに上昇させて収縮作動を妨げる減衰力をより一層高くする。
【0053】
このように第2変形例の緩衝器D2では、作動油が通路5内に侵入するようになってからさらに収縮を継続すると、抵抗要素16とオリフィス6とが作動油の上昇とともに順番に抵抗を与え始めて徐々に減衰力を高めて収縮を抑制するので、液圧ロック機能の発揮の前後で緩衝器Dが発生する減衰力の急変を緩和でき、液圧ロック機能の発揮によって車両における乗心地を損なうこともない。
【0054】
なお、前述したところでは、抵抗要素16は、通路5の断面積を途中で小さくすることによって形成されているが、弁体によって抵抗を与えるバルブとされてもよい。また、それぞれ作動油の流れに与える抵抗が異なる複数の抵抗要素16を通路5の途中に下方室L側から抵抗が大きくなる順番に設けられてもよい。
【0055】
また、
図5に示した第3変形例の緩衝器D3のように、シリンダ1と外筒7との間に収容される環状の仕切部材4に対してポート4aと通路5とを周方向でずれた位置に配置してもよい。この場合、ポート4aを開閉するチェックバルブ17は、環状板とするのではなく弾性を備えて一端が仕切部材4の下端に固定されて他端側でポート4aの下方室L側の開口端を開閉する板状の弁体とされればよく、通路5を形成する通路形成部4dをポート4aに対して仕切部材4の周方向でずれた位置に設ければよい。このように構成された第3変形例の緩衝器D3によれば、シリンダ1と外筒7との狭い環状隙間に収容される仕切部材4に対してポート4aと通路5とが周方向でずれた位置に配置されているので、シリンダ1と外筒7との狭い環状隙間に収容される仕切部材4がポート4aと通路5とを備えていても大型化するのを回避でき、緩衝器D3の大型化を招かずにリザーバRを利用した液圧ロック機能を発揮できる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・シリンダ、2・・・ピストンロッド、3・・・ピストン、4・・・仕切部材、4a・・・ポート、5・・・通路、6・・・オリフィス、7・・・外筒、13,17・・・チェックバルブ、16・・・抵抗要素、D,D1,D2,D3・・・緩衝器、R・・・リザーバ、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室