(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025946
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】蓋体及び包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/036 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
B65D21/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131229
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】内田 景
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA02
3E006BA02
3E006CA01
3E006DA03
3E006DA04
3E006DB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】突起部の変形を抑制することができると共に、蓋体の製造を容易化することができる蓋体及び包装容器を提供する。
【解決手段】蓋体20は、容器本体に取り付けられて容器1を構成する。蓋体20は、天板部21及び側壁部22を備えている。天板部21の縁部21aには、容器1が積み重ねられて蓋体20上に容器本体が配置された場合における容器本体と蓋体20との間の位置ずれを規制するための少なくとも2つの突起部31が設けられている。突起部31の各々は、台座部32と、台座部32上に間隔をあけて配置された一対の凸部35とを有している。一対の凸部35の各々は、天板部21の縁部21aに沿って延在しており、台座部32は、一対の凸部35の間に位置する中間部分34を有している。縁部21aと交差する方向において、中間部分34の天面34aの最大幅W1は、一対の凸部35の各々の天面35aの最大幅W2よりも広い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に取り付けられて包装用容器を構成する蓋体であって、
天板部及び側壁部を備え、
前記天板部の縁部には、前記包装用容器が積み重ねられて前記蓋体上に前記容器本体が配置された場合における前記容器本体と前記蓋体との間の位置ずれを規制するための少なくとも2つの突起部が設けられ、
前記突起部の各々は、台座部と、前記台座部上に間隔をあけて配置された一対の凸部とを有し、前記一対の凸部の各々は、前記天板部の前記縁部に沿って延在しており、前記台座部は、前記天板部に垂直な方向から見た場合に前記一対の凸部の間に位置する中間部分を有し、
前記縁部と交差する方向において、前記中間部分の天面の最大幅は、前記一対の凸部の各々の天面の最大幅よりも広い、蓋体。
【請求項2】
前記天板部に垂直な方向において、前記台座部の天面は、前記天板部と、前記凸部の天面との間に位置している、請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記縁部に沿った方向における前記凸部の長さは、前記天板部からの前記凸部の前記天面の高さの5倍以下である、請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記縁部に沿った方向における前記突起部の端部には、前記台座部と前記凸部とにより段差部が形成されている、請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項5】
前記天板部の中心側を向いた前記突起部の内側面は、前記天板部の中心とは反対側に向かって窪むように湾曲した湾曲部分を含み、前記湾曲部分において前記天板部に接続されている、請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項6】
前記突起部において、前記天板部の中心側を向いた内側面、及び前記天板部の中心とは反対側を向いた外側面は、それぞれ前記天板部に垂直な方向に対して傾斜したスロープ面となっており、
前記天板部に対する前記内側面の傾斜は、前記天板部に対する前記外側面の傾斜よりも緩やかである、請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の蓋体と、
前記蓋体が取り付けられた前記容器本体と、を備える包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体及び包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器本体と、容器本体に取り付けられる蓋体と、を備える包装用容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような包装用容器は、例えば弁当や惣菜等の食品を包装するために用いられる。そのような包装用容器は、運搬や店頭陳列の際に、食品を収容した状態で積み重ねられ得る。当該状態において蓋体の上に載置された容器本体の位置がずれてしまうことを防止するために、蓋体の隅部にずれ防止用の突起部が設けられる場合がある。しかし、例えば蓋体を容器本体に取り付ける際の外力や蓋体の上に容器本体を積み重ねる際の外力によって当該突起部が変形することで、ずれ防止機能が損なわれてしまうことがあった。また、突起部が変形して潰れると、商品価値が低下してしまう。変形しても元の形状に復元するように突起部の形状が工夫されてきたが、そのような形状を採用したとしても、大きく変形してしまったり何度も変形したりした場合には、復元したとしても変形箇所が跡として残ってしまい、この跡が原因となって突起部が破損してしまうことがある。このように、包装用容器の蓋体には突起部の変形を抑制することが求められる。また、包装用容器には、製造が容易であることが併せて求められる。
【0005】
そこで、本発明は、突起部の変形を抑制することができると共に、蓋体の製造を容易化することができる蓋体及び包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓋体は、[1]「容器本体に取り付けられて包装用容器を構成する蓋体であって、天板部及び側壁部を備え、前記天板部の縁部には、前記包装用容器が積み重ねられて前記蓋体上に前記容器本体が配置された場合における前記容器本体と前記蓋体との間の位置ずれを規制するための少なくとも2つの突起部が設けられ、前記突起部の各々は、台座部と、前記台座部上に間隔をあけて配置された一対の凸部とを有し、前記一対の凸部の各々は、前記天板部の前記縁部に沿って延在しており、前記台座部は、前記天板部に垂直な方向から見た場合に前記一対の凸部の間に位置する中間部分を有し、前記縁部と交差する方向において、前記中間部分の天面の最大幅は、前記一対の凸部の各々の天面の最大幅よりも広い、蓋体」である。
【0007】
この蓋体では、各突起部が、台座部と、台座部上に間隔をあけて配置された一対の凸部とを有している。このような構成とすることで、突起部の変形(潰れ)を抑制することができる。また、各突起部において、台座部における一対の凸部の間に位置する中間部分の天面の最大幅が、各凸部の天面の最大幅よりも広くなっている。このように台座部の中間部分の幅を凸部の幅よりも広くすることで、突起部の変形を一層抑制することができる。更に、当該中間部分の幅が凸部の幅よりも広い場合、中間部分の幅が凸部の幅以下である場合と比べて、突起部の側面の傾斜を緩やかにすることができる。突起部の側面の傾斜が緩やかであると、当該傾斜が急である場合と比べて、蓋体の成形を容易化することができる。よって、この蓋体によれば、突起部の変形を抑制することができると共に、蓋体の製造を容易化することができる。
【0008】
本発明の蓋体は、[2]「前記天板部に垂直な方向において、前記台座部の天面は、前記天板部と、前記凸部の天面との間に位置している、[1]に記載の蓋体」であってもよい。この場合、凸部の天面と台座部の天面との間の高さの差を小さくすることができ、突起部の変形を一層抑制することができる。すなわち、当該差が大きい場合、凸部と台座部の中間部分との間の境界部分が起点となって突起部が変形する可能性があるが、当該差を小さくすることで、当該部分が変形の起点になることを抑制することができる。また、当該差が小さいことで、蓋体の成形を容易化することができる。
【0009】
本発明の蓋体は、[3]「前記縁部に沿った方向における前記凸部の長さは、前記天板部からの前記凸部の前記天面の高さの5倍以下である、[1]又は[2]に記載の蓋体」であってもよい。この場合、縁部に沿った方向における凸部の長さを短くすることができ、凸部が変形の起点となることを抑制することができる。
【0010】
本発明の蓋体は、[4]「前記縁部に沿った方向における前記突起部の端部には、前記台座部と前記凸部とにより段差部が形成されている、[1]~[3]のいずれかに記載の蓋体」であってもよい。この場合、突起部の端部の強度を高めることができ、突起部の変形を一層抑制することができる。
【0011】
本発明の蓋体は、[5]「前記天板部の中心側を向いた前記突起部の内側面は、前記天板部の中心とは反対側に向かって窪むように湾曲した湾曲部分を含み、前記湾曲部分において前記天板部に接続されている、[1]~[4]のいずれかに記載の蓋体」であってもよい。この場合、突起部に作用した外力を好適に天板部に逃がすことができ、突起部の変形を一層抑制することができる。また、蓋体上に容器本体を配置する場合に湾曲部分によって容器本体を案内することができ、蓋体上に容器本体を容易に且つ精度良く配置することができる。
【0012】
本発明の包装用容器は、[6]「前記突起部において、前記天板部の中心側を向いた内側面、及び前記天板部の中心とは反対側を向いた外側面は、それぞれ前記天板部に垂直な方向に対して傾斜したスロープ面となっており、前記天板部に対する前記内側面の傾斜は、前記天板部に対する前記外側面の傾斜よりも緩やかである、[1]~[5]のいずれかに記載の蓋体」であってもよい。この場合、突起部の内側面及び外側面がスロープ面となっていることで、突起部の変形を一層抑制することができる。また、蓋体上に容器本体を配置する場合に、傾斜が緩やかな内側面によって容器本体を案内することができ、蓋体上に容器本体を容易に且つ精度良く配置することができる。
【0013】
本発明の包装用容器は、[7]「[1]~[6]のいずれかに記載の蓋体と、前記蓋体が取り付けられた前記容器本体と、を備える包装用容器」であってもよい。この包装用容器によれば、上述した理由により、突起部の変形を抑制することができると共に、蓋体の製造を容易化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、突起部の変形を抑制することができると共に、蓋体の製造を容易化することができる蓋体及び包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図7】
図5のVII-VII線に沿っての断面図である。
【
図8】
図5のVIII-VIII線に沿っての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[包装用容器]
【0017】
図1~
図4に示されるように、容器1(包装用容器)は、内容物を収容するための容器本体10と、容器本体10に着脱可能に取り付けられる蓋体20と、を備えている。容器1に収容(包装)される内容物は、例えば弁当や惣菜等の食品である。容器1は、全体として略直方体状に形成されている。
【0018】
以下の説明では、容器本体10に対する蓋体20の取付方向(
図1~
図4中の上下方向)を上下方向とし、容器本体10に蓋体20が取り付けられた状態において蓋体20が容器本体10に対して位置する側(
図1及び
図3中の上側)を上側とし、容器本体10が蓋体20に対して位置する側(
図1及び
図3中の下側)を下側とする。また、上下方向から見た場合に、後述する天板部21の中心Cの側を内側とし、中心Cとは反対側を外側とする。なお、これらの方向は容器1の使用態様を限定するものではない。容器1は、通常、蓋体20が容器本体10に対して鉛直方向の上側に位置する状態で使用されるが、この使用態様に限られない。
【0019】
容器本体10及び蓋体20の各々は、例えば、合成樹脂のシート材料を所定の金型を用いて所定の形状に成形することにより製造される。
【0020】
容器本体10の材料は、非発泡シート材料であってもよい。非発泡シート材料は、ポリエチレンテレフタレートでもよいし、ポリスチレンでもよいし、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンでもよい。非発泡シート材料は、炭酸カルシウム、タルク、フィラー等の無機成分を含有し、耐熱性を向上させたシートであってもよい。非発泡シート材料は、多層でも単層でもよい。非発泡シート材料にフィルムが貼り付けられてもよい。非発泡シート材料は、透明でもよいし、種々の色又は柄を有してもよい。非発泡シート材料を製造するために種々の添加剤が加えられてもよい。
【0021】
容器本体10の材料は、発泡合成樹脂のシート材料であってもよい。発泡合成樹脂のシート材料は、ポリエチレンテレフタレートでもよいし、ポリスチレンでもよいし、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンでもよい。例えば、ポリスチレンを発泡させた発泡ポリスチレンシート、又は、耐熱性に優れたポリスチレンを発泡させた耐熱性発泡ポリスチレンシートが用いられてもよい。
【0022】
蓋体20の材料は、透明な合成樹脂のシート材料であってもよい。透明な合成樹脂のシート材料は、ポリエチレンテレフタレートでもよいし、ポリスチレンでもよいし、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンでもよい。例えば、ポリスチレンを二軸延伸させたポリスチレンシート、又は、耐熱性二軸延伸スチレン系樹脂シートが用いられてもよい。蓋体20の材料は、半透明又は不透明な合成樹脂のシート材料であってもよい。透明ではない合成樹脂のシート材料は、ゴム成分を含むことで耐衝撃性の高めたハイインパクトポリスチレン(HIPS)でもよいし、PPフィラー(フィラー入りポリプロピレン)でもよい。
【0023】
容器本体10及び蓋体20を成形する手法の例として、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、熱盤成形が挙げられる。いずれかの方法により合成樹脂シートを熱成形することにより容器本体10及び蓋体20を製造し得る。延伸シートを用いる場合には、加熱した熱盤と金型とでシートを挟んで成形を行う熱盤成形が採用されてもよい。
[容器本体]
【0024】
図3及び
図4に示されるように、容器本体10は、底板部11と、側壁部12と、嵌合部13と、フランジ部14と、を有している。底板部11は、略長方形状に形成されている。底板部11には、下側に突出した一対の凸部15が形成されている。一対の凸部15は、底板部11の一対の短辺に沿ってそれぞれ延在するように配置されており、底板部11の長辺方向において互いに向かい合っている。この例では、凸部15は、平面視において(上下方向から見た場合に)底板部11の短辺に沿った長辺を有する略長方形状に形成されており、底板部11の短辺の略全体に沿って延在している。凸部15の底面15aの縁部(内面側縁部及び外面側縁部の両方)は隅部において湾曲しており、凸部15の底面15aと側面15bとは、湾曲面を介して滑らかに(互いの間に尖った部分が形成されないように)接続されている。
【0025】
側壁部12は、平面視において底板部11を囲むように形成されており、底板部11の縁部に接続されて当該縁部から上側に延在している。側壁部12は、上側に向かうほど外側に向かうように、上下方向に対して傾斜して延在している。嵌合部13は、側壁部12の上側に形成されている。この例では、嵌合部13は、側壁部12とフランジ部14と間の境界部分に全周にわたって形成された段差部(凹部)である。嵌合部13には、後述する蓋体20の嵌合部23が嵌め合わされる。フランジ部14は、嵌合部13から外側に延在している。フランジ部14は、全周にわたって形成されており、平面視において矩形環状を呈している。
[蓋体]
【0026】
図1及び
図2に示されるように、蓋体20は、天板部21と、側壁部22と、嵌合部23と、フランジ部24と、を有している。天板部21は、容器本体10の底板部11に対応した略長方形状に形成されている。天板部21には、上側に突出した4つの突起部31が形成されている。突起部31の詳細については後述する。
【0027】
側壁部22は、平面視において天板部21を囲むように形成されており、天板部21の縁部21aに接続されて縁部21aから下側に延在している。側壁部22は、下側に向かうほど外側に向かうように、上下方向に対して傾斜して延在している。嵌合部23は、側壁部22の下側に形成されている。この例では、嵌合部23は、側壁部22とフランジ部24と間の境界部分に全周にわたって形成された凸部であり、側壁部22及びフランジ部24に対して下側に突出している。嵌合部23は、上述した容器本体10の嵌合部13と嵌め合わされる。フランジ部24は、嵌合部23から外側に延在している。フランジ部24は、全周にわたって形成されており、平面視において矩形環状を呈している。
【0028】
蓋体20の嵌合部23が容器本体10の嵌合部13と嵌め合わされることにより、蓋体20が容器本体10に取り付けられ、容器1が構成される。この取付状態においては、容器本体10の底板部11と蓋体20の天板部21とが上下方向において向かい合うと共に、容器本体10のフランジ部14と蓋体20のフランジ部24とが上下方向において向かい合う。フランジ部14,24は、取り付け状態において互いに接触してもよいし、互いに僅かな隙間をあけて向かい合っていてもよい。蓋体20を取り外す際には、蓋体20に容器本体10から離れる方向の力を加えることにより、嵌合部13,23の間の係合が解除され、蓋体20が容器本体10から取り外される。
【0029】
また、容器1は、別の容器1の上に積み重ねられて使用され得る。この場合には、一の容器1の蓋体20の上に別の容器1の容器本体10が載置される。この際には、容器本体10の底板部11に形成された凸部15と蓋体20の天板部21に形成された突起部31とにより、容器本体10と蓋体20との間の横方向(上下方向と交差する方向)における位置ずれが規制される。具体的には、例えば上側に配置された容器本体10が下側に配置された蓋体20に対して横方向に移動しようとした場合、容器本体10の凸部15の移動が蓋体20の突起部31によって規制されることで、両者の間の位置ずれが規制される。以下、突起部31の詳細について説明する。
[突起部]
【0030】
図1及び
図2に示されるように、4つの突起部31は、天板部21の縁部21aに形成されている。この例では、4つの突起部31は、天板部21の4つの隅部21bにそれぞれ配置されている。
図5及び
図6に特に示されるように、各突起部31は、台座部32と、台座部32上に間隔をあけて配置された一対の凸部35と、を有している。
【0031】
台座部32は、天板部21の縁部21aに沿って延在している。より具体的には、台座部32は、縁部21aのうち隅部21bを構成する一対の辺部に沿って延在する一対の延在部33と、一対の延在部33の間に位置する中間部分34と、を有している。上述した突起部31は、延在部33上に形成されており、中間部分34上には形成されていない。すなわち、中間部分34は、平面視において(天板部21に垂直な方向から見た場合に)一対の凸部35の間に位置している。この例では、中間部分34は、隅部21bに沿って湾曲して延在している。なお、台座部32は、上述したとおりシート材料を成形することにより形成されており、台座部32は中実ではなく、台座部32の内部には空間が形成されている。
【0032】
各凸部35は、天板部21の縁部21aに沿って延在している。この例では、凸部35の天面35aは、内側の縁を第1辺35a1とし、外側の縁を第1辺35a1と平行で且つ第1辺35a1よりも長い第2辺35a2として有する略台形状に形成されている。凸部35の天面35aの縁部は隅部において湾曲しており、凸部35の天面35aと側面35bとは、湾曲面を介して滑らかに(互いの間に尖った部分が形成されないように)接続されている。この例では、天面35aの4つの隅部のうち、内側に位置する2つ隅部を含むすべての隅部において、天面35aと側面35bとが滑らかに接続されている。
【0033】
天板部21の縁部21aに沿った方向における突起部31の両端部には、台座部32(延在部33)と凸部35とにより段差部36が形成されている。すなわち、突起部31の両端部は、階段状に形成されている。段差部36は、延在部33が凸部35に対して縁部21aに沿った方向における外側に突出していることにより形成されている。
【0034】
この例では、突起部31において、内側を向いた内側面31a、及び外側を向いた外側面31bは、それぞれ上下方向(天板部21に垂直な方向)に対して傾斜したスロープ面となっている。すなわち、内側及び外側の両方において、台座部32の側面と凸部35の側面35bとは、共通のスロープ面を構成している。内側面31aは、外側に向かって窪むように湾曲した湾曲面となっている。外側面31bは、上下方向に対して傾斜した方向に沿って真っ直ぐに延在する傾斜面となっている。この例では、外側面31bは、側壁部22と共通のスロープ面を構成している。換言すれば、蓋体20の外側面は、側壁部22及び突起部31にわたって延在するスロープ面となっている。内側面31a及び外側面31bのいずれにも、段差は形成されていない。
【0035】
図8に示されるように、天板部21に対する内側面31aの傾斜は、天板部21に対する外側面31bの傾斜よりも緩やかになっている。なお、ここでの傾斜とは、外側面31bのように真っ直ぐに延在している場合には傾斜角度であり、内側面31aのように湾曲している場合には、湾曲せずに真っ直ぐに延在していると仮定した場合の傾斜角度である。
【0036】
以下、各部の寸法関係を説明する。
図5及び
図6に示されるように、台座部32の中間部分34の天面34aの最大幅W1は、凸部35の天面35aの最大幅W2よりも広い。最大幅W1,W2は、天板部21の縁部21aと交差する方向(例えば直交する方向)における幅である。一例として、最大幅W1は8mm程度であり、最大幅W2は3mm程度である。また、凸部35の天面35aの最大幅W2は、中間部分34の天面34aの最小幅(台座部32の最小幅)よりも小さい。このように、凸部35の天面35aの最大幅W2は、中間部分34の天面34aの最小幅(台座部32の最小幅)と同じか又はそれよりも小さいことが好ましい。なお、上述した説明とは異なる見方として、突起部31には、一対の凸部35同士を隔てるように凹部が形成されているとみなすこともできる。この場合、中間部分34の天面34aは、当該凹部の底面に対応する。
【0037】
図7に示されるように、台座部32の天面(中間部分34の天面34a)は、上下方向において、天板部21と凸部35の天面35aとの間に位置している。天板部21の縁部21aに沿った方向における凸部35の天面35aの長さL1(
図5及び
図6)は、天板部21からの凸部35の天面35aの高さH1(
図7)の5倍以下となっている。長さL1は、高さH1の3倍以下であってもよい。一例として、長さL1は8mm程度であり、高さH1は3mm程度である。上述した凸部35の天面35aの最大幅W2は、凸部35の天面35aの長さL1の1/3倍以上となっている。
【0038】
縁部21aに沿った方向における中間部分34の天面34aの長さL2(
図5及び
図6)は、天板部21からの中間部分34の天面34aの高さH2(
図7)の2倍以上となっている。一例として、長さL2は7mm程度であり、高さH2は1.5mm程度である。天板部21からの凸部35の天面35aの高さH1は、天板部21からの中間部分34の天面34aの高さH2の5倍以下となっている。なお、この例では、天板部21からの中間部分34の天面34aの高さH2は、天板部21からの延在部33の天面の高さよりも低くなっている。
【0039】
上述したとおり、蓋体20の上に別の容器1の容器本体10が載置される場合には、突起部31と当該容器本体10の凸部15とにより、容器本体10と蓋体20との間の横方向における位置ずれが規制される。より具体的には、例えば、凸部15の一方の端部が一の突起部31に接触すると共に凸部15の他方の端部が他の突起部31に接触するように、容器本体10が蓋体20の上に載置される。この際には、突起部31の内側面31aによって凸部15が案内されながら、容器本体10が蓋体20の上に載置される。これにより、蓋体20上に容器本体10を容易に且つ精度良く配置することができる。
[作用及び効果]
【0040】
蓋体20では、各突起部31が、台座部32と、台座部32上に間隔をあけて配置された一対の凸部35とを有している。このような構成とすることで、突起部31の変形(潰れ)を抑制することができる。また、各突起部31において、台座部32における一対の凸部35の間に位置する中間部分34の天面34aの最大幅W1が、各凸部35の天面35aの最大幅W2よりも広くなっている。このように台座部32の中間部分34の幅を凸部35の幅よりも広くすることで、突起部31の変形を一層抑制することができる。更に、中間部分34の幅が凸部35の幅よりも広い場合、中間部分34の幅が凸部35の幅以下である場合と比べて、突起部31の側面(内側面31a)の傾斜を緩やかにすることができる。突起部31の側面の傾斜が緩やかであると、当該傾斜が急である場合と比べて、蓋体20の成形を容易化することができる。よって、蓋体20によれば、突起部31の変形を抑制することができると共に、蓋体20の製造を容易化することができる。
【0041】
蓋体20の成形の容易化について更に説明する。蓋体20の成形時には、例えば、加熱した金型にシート材料を真空吸引により接触させて変形させる。この場合、シート材料は、フランジ部24に対応する部分が先に金型に接触し、天板部21や突起部31に対応する部分はそれよりも後に金型に接触することとなる。そのため、天板部21や突起部31の成形は比較的難しい。特に、高さの落差が大きな箇所が存在していると、成形が難しくなり得る。この点、実施形態の蓋体20では、中間部分34の天面34aの最大幅W1が各凸部35の天面35aの最大幅W2よりも広いことで、突起部31の側面の傾斜を緩やかにすることができ、蓋体20の成形を容易化することができる。
【0042】
上下方向(天板部21に垂直な方向)において、台座部32の天面32aが、天板部21と、凸部35の天面35aとの間に位置している。これにより、凸部35の天面35aと台座部32の天面32aとの間の高さの差を小さくすることができ、突起部31の変形を一層抑制することができる。すなわち、当該差が大きい場合、凸部35と台座部32の中間部分34との間の境界部分が起点となって突起部31が変形する可能性があるが、当該差を小さくすることで、当該部分が変形の起点になることを抑制することができる。また、当該差が小さいことで、蓋体20の成形を容易化することができる。
【0043】
縁部21aに沿った方向における凸部35の天面35aの長さL1が、天板部21からの凸部35の天面35aの高さH1の5倍以下である。これにより、凸部35の天面35aの長さL1を短くすることができ、凸部35が変形の起点となることを抑制することができる。
【0044】
縁部21aに沿った方向における突起部31の端部に、台座部32と凸部35とにより段差部36が形成されている。これにより、突起部31の端部の強度を高めることができ、突起部31の変形を一層抑制することができる。
【0045】
内側(天板部21の中心C側)を向いた突起部31の内側面31aが、外側(天板部21の中心Cとは反対側)に向かって窪むように湾曲した湾曲面となっている。これにより、突起部31に作用した外力を好適に天板部21に逃がすことができ、突起部31の変形を一層抑制することができる。また、蓋体20上に容器本体10を配置する場合に内側面31aによって容器本体10を案内することができ、蓋体20上に容器本体10を容易に且つ精度良く配置することができる。
【0046】
突起部31の内側面31a及び外側面31bが、天板部21に対して傾斜したスロープ面となっており、天板部21に対する内側面31aの傾斜が、天板部21に対する外側面31bの傾斜よりも緩やかである。これにより、内側面31a及び外側面31bがスロープ面となっていることで、突起部31の変形を一層抑制することができる。また、蓋体20上に容器本体10を配置する場合に、傾斜が緩やかな内側面31aによって容器本体10を案内することができ、蓋体20上に容器本体10を容易に且つ精度良く配置することができる。
【0047】
凸部35の天面35aの隅部のうち少なくとも天板部21の中心C側に位置する2つの隅部において、天面35aの縁部21aが湾曲している。これにより、突起部31の変形を一層抑制することができる。
【0048】
天板部21の縁部21aに沿った方向における中間部分34の天面34aの長さL2が、天板部21からの中間部分34の天面34aの高さH2の2倍以上である。これにより、中間部分34の長さL2を長くすることができ、突起部31の変形を一層抑制することができる。
【0049】
天板部21からの凸部35の天面35aの高さH1が、天板部21からの中間部分34の天面34aの高さH2の5倍以下である。これにより、凸部35の高さを低くすることができ、突起部31の変形を一層抑制することができる。
【0050】
凸部35の天面35aの最大幅W2が、縁部21aに沿った方向における凸部35の天面35aの長さL1の1/3倍以上である。これにより、凸部35の天面35aの幅を広くすることができ、突起部31の変形を一層抑制することができる。
【0051】
凸部35の天面35aが、内側(天板部21の中心C側)の縁を第1辺35a1とし、外側(天板部21の中心Cとは反対側)の縁を第1辺35a1と平行で且つ第1辺35a1よりも長い第2辺35a2として有する略台形状に形成されている。これにより、凸部35が変形の起点となることを抑制することができ、突起部31の変形を一層抑制することができる。
【0052】
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。各部の寸法関係は上述した例に限られない。例えば、凸部35の天面35aの長さL1は、凸部35の天面35aの高さH1の5倍よりも大きくてもよい。突起部31の内側面31aは、湾曲面となっていなくてもよく、例えば真っ直ぐに延在していてもよい。天板部21に対する内側面31aの傾斜は、必ずしも天板部21に対する外側面31bの傾斜よりも緩やかでなくてもよく、例えば外側面31bの傾斜と等しくてもよい。上記実施形態では内側面31aの全体が湾曲面となっていたが、内側面31aは、外側に向かって窪むように湾曲した湾曲部分を有し、当該湾曲部分において天板部21に接続されていればよく、内側面31aの一部のみが湾曲していてもよい。
【0053】
上記実施形態では突起部31が天板部21の隅部21bに形成されていたが、突起部31は天板部21の縁部21aに形成されていればよく、例えば隅部21bから離れた辺部に形成されてもよい。上記実施形態では蓋体20の天板部21が長方形状に形成されていたが、天板部21の形状は正方形状、四角形以外の多角形状、円形状、楕円形状、長円形状等の任意の形状であってよい。例えば、天板部21及び底板部11は円形状に形成されてもよい。この場合、突起部31は、天板部21の円形状の縁部21aに形成され、縁部21aに沿って円弧状に延在する。例えば、4つの突起部が、周方向において等間隔に並ぶように90°間隔で配置されてもよい。突起部31は、少なくとも2つ形成されていればよく、例えば2つのみが形成されてもよいし、3つ又は5つ以上形成されてもよい。
【0054】
上記実施形態では蓋体20の嵌合部23が容器本体10の嵌合部13と嵌め合わされることにより蓋体20が容器本体10に取り付けられたが、蓋体20と容器本体10との間の取付方法は任意の方法であってよく、嵌合部13,23は形成されていなくてもよい。フランジ部14,24は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…容器(包装用容器)、10…容器本体、20…蓋体、21…天板部、21a…縁部、22…側壁部、31…突起部、31a…内側面、31b…外側面、32…台座部、32a…天面、34…中間部分、34a…天面、35…凸部、35a…天面、36…段差部、C…中心、W1,W2…最大幅、L1…長さ、H1…高さ。