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  • 特開-通信装置、及び通信システム 図1
  • 特開-通信装置、及び通信システム 図2
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  • 特開-通信装置、及び通信システム 図4
  • 特開-通信装置、及び通信システム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025954
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】通信装置、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20250214BHJP
   H04B 7/155 20060101ALI20250214BHJP
   H01Q 3/08 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01Q1/12 B
H04B7/155
H01Q3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131243
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599016110
【氏名又は名称】株式会社エスシー・マシーナリ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大垣 博
(72)【発明者】
【氏名】関口 光
(72)【発明者】
【氏名】江村 裕太
(72)【発明者】
【氏名】寺本 喜周
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
5K072
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021DA02
5J021DA07
5J021GA02
5J021HA07
5J047AA02
5J047AA12
5J047AB03
5J047BB12
5K072AA29
5K072BB02
5K072BB13
5K072BB22
5K072DD03
5K072DD16
5K072GG02
5K072GG05
(57)【要約】
【課題】高層建築物を建設する際に、建設の進捗に応じたネットワーク構築作業が容易な通信装置を提供すること。
【解決手段】通信装置は、地球低軌道に配備されている複数の衛星から電波を受信する受信対象衛星を選択し、前記受信対象衛星に対する方位角及び仰角を調整するように駆動する複数のアンテナ素子を有するアンテナと、タワークレーンのジブをワイヤを介して支持するガイサポート上部に前記アンテナを固定する固定部材と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球低軌道に配備されている複数の衛星から電波を受信する受信対象衛星を選択し、前記受信対象衛星に対する方位角及び仰角を調整するように駆動する複数のアンテナ素子を有するアンテナと、
タワークレーンのジブをワイヤを介して支持するガイサポート上部に前記アンテナを固定する固定部材と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナ素子は、前記受信対象衛星からの受信感度を最大化するように前記受信対象衛星に対する方位角及び仰角を調整することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記固定部材は、前記ガイサポート上部に位置する手すりのコーナー部に前記アンテナを固定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記アンテナは、電波を受信する受信面の背面に位置する背面部材を有し、
前記固定部材は、前記背面部材と前記手すりのコーナー部とを固定することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の通信装置と、
前記通信装置が前記ガイサポートに取り付けられているタワークレーンと、
を備えることを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高層建築物を建設する際に、高層階(例えば、地上から100m以上の高さ)では携帯電話回線の電波が受信できなくなる。
【0003】
特許文献1には、地上から光回線をルータに接続し、複数の中継器によりメッシュネットワーク機能を実現することにより、建設中の建築物の高層階に通信環境を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-153235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、建設の進捗に応じて中継器を増設する等のネットワーク構築作業を繰り返す必要があり、手間が掛かっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高層建築物を建設する際に、建設の進捗に応じたネットワーク構築作業が容易な通信装置、及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る通信装置は、地球低軌道に配備されている複数の衛星から電波を受信する受信対象衛星を選択し、前記受信対象衛星に対する方位角及び仰角を調整するように駆動する複数のアンテナ素子を有するアンテナと、タワークレーンのジブをワイヤを介して支持するガイサポート上部に前記アンテナを固定する固定部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る通信装置は、前記複数のアンテナ素子は、前記受信対象衛星からの受信感度を最大化するように前記受信対象衛星に対する方位角及び仰角を調整することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る通信装置は、前記固定部材は、前記ガイサポート上部に位置する手すりのコーナー部に前記アンテナを固定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る通信装置は、前記アンテナは、電波を受信する受信面の背面に位置する背面部材を有し、前記固定部材は、前記背面部材と前記手すりのコーナー部とを固定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る通信システムは、通信装置と、前記通信装置が前記ガイサポートに取り付けられているタワークレーンと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高層建築物を建設する際に、建設の進捗に応じたネットワーク構築作業が容易な通信装置、及び通信システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る通信装置を含む通信システムの概略的な構成図である。
図2図2は、図1に示すガイサポートの拡大図である。
図3図3は、図2の上面図である。
図4図4は、ガイサポートの手すりのコーナー部にアンテナを取り付けた様子を表す図である。
図5図5は、固定部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明に係る通信装置、及び通信システムの実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。本発明は、通信装置、及び通信システム一般に適用することができる。
【0015】
また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合やタワークレーンの機種によっても異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0016】
(実施の形態)
〔通信システムの構成〕
図1は、本発明に係る通信装置を含む通信システムの概略的な構成図である。図1に示すように、通信システム1は、建造物2と、タワークレーン3と、通信装置4と、通信ネットワーク5と、受信対象衛星6と、を備える。通信システム1は、建設中の建造物2における通信環境を提供するものである。
【0017】
建造物2は、建設中の高層建築物である。
【0018】
タワークレーン3の架台は、建設中の建造物2の躯体部分に固定されている。タワークレーン3は、架台から上方に延在するマスト31と、マスト31に取り付けられている旋回可能な旋回台32と、旋回台32から前方に延在するジブ33と、ジブ33を起伏させ起伏ワイヤ、又は揚重物を巻き上げる巻上ワイヤ等のワイヤ34と、ジブ33をワイヤ34を介して支持するガイサポート35と、を備える。
【0019】
通信ネットワーク5は、建設中の建造物2に通信環境を提供する。通信ネットワーク5は、メッシュWiFi51~53と、ルータ54、55と、光回線ケーブル56と、を備える。建造物2の高層階では、通信装置4にルータ54が接続され、メッシュWiFi51により無線通信が提供される。建造物2の低層階では、光回線ケーブル56にルータ55が接続され、メッシュWiFi52、53により無線通信が提供される。ただし、メッシュWiFi51~53に替えて、ローカル5Gにより無線通信を提供してもよい。
【0020】
受信対象衛星6は、地球低軌道に配備されている複数(数百~数万)の衛星から電波を受信する対象として選択された衛星である。受信対象衛星6は、例えば、通信装置4から最も近い衛星であってよいが、各衛星の位置や性能等に応じて選択してもよい。また、複数の衛星から電波を受信するテストを実施し、その結果に応じて受信対象衛星6を選択してもよい。
【0021】
〔通信装置の構成〕
図2は、図1に示すガイサポートの拡大図である。図2に示すように、通信装置4は、タワークレーン3のガイサポート35上部に位置する手すり351に取りけられている。
【0022】
図3は、図2の上面図であり、図2のA矢視図に対応する。図3に示すように、通信装置4は、手すり351のコーナー部351aにU字ボルト等で取り付けられている。
【0023】
図4は、ガイサポートの手すりのコーナー部にアンテナを取り付けた様子を表す図である。図4に示すように、通信装置4は、アンテナ41と、固定部材42と、を備える。
【0024】
アンテナ41は、平板上をなし、内部に複数のアンテナ素子が収容されている本体部411と、電波を受信する受信面の背面に位置する背面部材412と、を有する。アンテナ素子は、受信対象衛星6からの受信強度を最大化するように受信対象衛星6に対する方位角及び仰角を調整するように駆動する。このとき、本体部411の内部のアンテナ素子は駆動するが、本体部411は静止している。
【0025】
図5は、固定部材の上面図である。図5に示すように、固定部材42は、L字状をなす平板上の部材であり、複数のネジ穴42a、42bが形成されている。ネジ42aには、ネジ等を螺合することにより、アンテナ41の背面部材412が取り付けられる。ネジ穴42bには、U字ボルト等を螺合することにより、タワークレーン3のガイサポート35上部に位置する手すり351のコーナー部351aが固定される。その結果、固定部材42は、ガイサポート35上部に位置する手すり351のコーナー部351aにアンテナ41を固定する。また、固定部材42は、背面部材412と手すり351のコーナー部351aとを固定する。
【0026】
以上説明した通信装置4によれば、タワークレーン3のクライミングの際に通信装置4、メッシュWiFi51、及びルータ54も上方に移動するため、高層階の通信環境を再構築する必要がない。従って、高層建築物を建設する際に、建設の進捗に応じたネットワーク構築作業は、低層階のネットワークの増設のみとなり容易である。
【0027】
また、通信装置4によれば、アンテナ41がガイサポート35上部に位置する手すり351に取り付けられているため、アンテナ41の上部に障害物がなく電波の受信感度を高めることができる。
【0028】
また、通信装置4によれば、アンテナ41が手すり351のコーナー部351aに固定されており、アンテナ41がコーナー部351aの内側には張り出していないため、手すり351の内側で点検等の作業する人の邪魔になることが防止されている。
【0029】
また、通信装置4によれば、アンテナ41が旋回台32の上部に位置するガイサポート35に取り付けられており、ジブ33を旋回させるとアンテナ41も移動するため、ジブ33の動作にアンテナ41の受信感度が影響されない。
【0030】
また、受信対象衛星6から電波を受信するアンテナには、アンテナの受信面全体が受信対象衛星6に対する方位角及び仰角を調整するように駆動するものがある。このようなアンテナを高層建築物の高層階に設置すると、風の影響により破損する危険性があるため好ましくない。これに対して、アンテナ41では、本体部411内部のアンテナ素子のみが駆動するため破損の危険性を低減することができる。
【0031】
なお、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 通信システム
2 建造物
3 タワークレーン
4 通信装置
5 通信ネットワーク
6 受信対象衛星
31 マスト
32 旋回台
33 ジブ
34 ワイヤ
35 ガイサポート
41 アンテナ
42 固定部材
42a ネジ穴
51、52、53 メッシュWiFi
54、55 ルータ
56 光回線ケーブル
351 手すり
351a コーナー部
411 本体部
412 背面部材
図1
図2
図3
図4
図5