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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025956
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】眼科装置及び眼科装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/16 20060101AFI20250214BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61B3/16 300
A61B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131249
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】柳 英一
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA20
4C316FA12
4C316FA14
4C316FB15
4C316FC01
4C316FC02
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】模型眼を用いた測定ヘッドの状態確認を従来よりも簡単かつ短時間に実行可能な眼科装置及び眼科装置の作動方法を提供する。
【解決手段】被検者の顔を支持する顔支持部12と、被検眼Eの眼特性を測定する測定ヘッド14と、測定ヘッド14を移動させる移動機構13と、顔支持部12のうちで被検者の顔が配置される顔配置領域とは異なる位置に固定された模型眼18と、移動機構13を駆動して、測定ヘッド14を模型眼18の眼特性を測定可能な模型眼測定位置まで移動させ、模型眼測定位置で測定ヘッド14による模型眼18の眼特性の測定を実行させる模型眼測定制御部42と、測定ヘッド14による模型眼18の眼特性の測定で得られるデータ(圧平波形W1)に基づいて、測定ヘッド14が正常であるか否かを判定する判定部43と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の顔を支持する顔支持部と、
被検眼の眼特性を測定する測定ヘッドと、
前記測定ヘッドを移動させる移動機構と、
前記顔支持部のうちで前記被検者の顔が配置される顔配置領域とは異なる位置に固定され、人眼を模した模型眼と、
前記移動機構を駆動して、前記測定ヘッドを前記模型眼の眼特性を測定可能な模型眼測定位置まで移動させ、前記模型眼測定位置で前記測定ヘッドによる前記模型眼の眼特性の測定を実行させる模型眼測定制御部と、
前記測定ヘッドによる前記模型眼の眼特性の測定で得られるデータに基づいて、前記測定ヘッドが正常であるか否かを判定する判定部と、
を備える眼科装置。
【請求項2】
前記模型眼が、前記顔支持部と一体化している請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記顔支持部が、前記被検者の額に当接する額当て部を備え、
前記模型眼が、前記額当て部の前記測定ヘッドに対向するヘッド対向面に固定されている請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記顔支持部が、前記模型眼を覆う保護位置と、前記模型眼を露出させる露出位置とに変位自在に設けられたカバーを備える請求項1に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記カバーが、前記測定ヘッドから見た場合に左右方向に平行な回転軸を中心として、前記保護位置と、前記保護位置よりも上方側に回転した前記露出位置と、に変位自在に設けられており、
前記模型眼測定制御部が、前記移動機構を駆動して前記測定ヘッドを前記模型眼測定位置まで移動させる間に、前記測定ヘッドにより前記保護位置にある前記カバーを上方側に押圧して前記カバーを前記露出位置まで変位させ、
前記模型眼測定制御部が、前記移動機構を駆動して前記測定ヘッドを前記模型眼測定位置から退避させた場合に、前記カバーが前記露出位置から前記保護位置に変位する請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記カバーを前記保護位置と前記露出位置との間で変位させるカバー回転機構を備える請求項4に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記測定ヘッドが正常に動作しないと前記判定部が判定した場合には、警告情報を報知する警告部を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記被検眼の眼特性として前記被検眼の眼圧値を非接触測定する前記測定ヘッドを備え、
前記測定ヘッドが、少なくとも、ノズルから前記被検眼の角膜に対して空気を吹き付ける吹付機構と、前記角膜に対して光束を投影する投影光学系と、前記角膜にて反射された前記光束の反射光を受光して受光信号を出力する受光光学系と、を有し、
前記模型眼測定制御部が、
前記移動機構を駆動して前記測定ヘッドを前記模型眼測定位置に移動させる移動処理と、
前記移動処理が完了した場合に、前記吹付機構を駆動して前記ノズルから前記模型眼へ前記空気を吹き付ける吹付処理と、
前記吹付処理が実行されている間、前記投影光学系から前記模型眼に対して前記光束を投影する投影処理と、
前記吹付処理が実行されている間、前記受光光学系から、前記模型眼にて反射された前記光束の反射光を受光した前記受光信号を出力させる信号出力処理と、
を実行し、
前記判定部が、前記受光光学系から出力された前記受光信号の時系列変化に基づいて前記ノズルへの付着物の無有を判定することで、前記測定ヘッドが正常であるか否かを判定する請求項1から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記被検眼の眼特性として前記被検眼の眼屈折力を測定する前記測定ヘッドを備え、
前記模型眼測定制御部が、
前記移動機構を駆動して前記測定ヘッドを前記模型眼測定位置に移動させる移動処理と、
前記移動処理が完了した場合に、前記測定ヘッドによる前記模型眼の眼屈折力の測定を実行する測定処理と、
を実行し、
前記判定部が、前記測定ヘッドによる前記模型眼の眼屈折力の測定結果と、既知の前記模型眼の眼屈折力の測定結果と、に基づいて、前記測定ヘッドが正常であるか否かを判定する請求項1から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項10】
被検者の顔を支持する顔支持部と、被検眼の眼特性を測定する測定ヘッドと、前記測定ヘッドを移動させる移動機構と、を備える眼科装置の作動方法において、
前記移動機構を駆動して前記測定ヘッドを、前記顔支持部のうちで前記被検者の顔が配置される顔配置領域とは異なる位置に固定された人眼を模した模型眼の眼特性を測定可能な模型眼測定位置まで移動させ、前記模型眼測定位置で前記測定ヘッドによる前記模型眼の眼特性の測定を実行させる模型眼測定ステップと、
前記測定ヘッドによる前記模型眼の眼特性の測定で得られるデータに基づいて、前記測定ヘッドが正常であるか否かを判定する判定ステップと、
を有する眼科装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の眼特性を測定する眼科装置及び眼科装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の眼特性を測定する眼科装置の一つとして、被検眼の眼圧を非接触で測定する非接触式眼圧計が知られている(例えば特許文献1参照)。非接触式眼圧計の測定ヘッド内には、ピストン、シリンダ、チャンバー室及ノズルなどにより構成される吹付機構が設けられている。これにより、非接触式眼圧計は、ノズルから被検眼の角膜に空気を吹き付けることで角膜を変形させてその変形状態を検出することにより、角膜に接触することなく被検眼の眼圧値を測定する。
【0003】
特許文献1に記載の非接触式眼圧計は、被検者の顔を支持する顔支持部の顎受け部上に固定された模型眼(ガラス球)を用いて、測定ヘッドのチャンバー窓ガラス及びカバーガラスの汚れ具合を検出する。この特許文献1に記載の非接触式眼圧計は、最初に、測定ヘッドの投影光学系から顎受け部上の模型眼に向けてアライメント指標光を照射して、この模型眼にて反射されたアライメント指標光の反射光を測定ヘッドの受光光学系で受光する。次いで、特許文献1に記載の非接触式眼圧計は、受光光学系で受光した反射光の受光量に基づいてチャンバー窓ガラス及びカバーガラスの汚れ具合を演算回路により演算する。そして、特許文献1に記載の非接触式眼圧計は、演算回路による汚れ具合の演算結果をモニタに表示させる。
【0004】
また、非接触式眼圧計では、その立ち上げ時(電源ON時)に、被検眼及び模型眼が無い状態での眼圧測定である所謂「空測定」が実行される場合がある。この空測定を実行することで、ノズル内に塵芥があれば風圧により除去することが可能である。また、ノズル内に大きな詰まりなどがある場合には、ピストンが動かないので、チャンバー内圧の変化から異常を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-065612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非接触式眼圧計の測定ヘッドのチャンバー窓ガラス及びカバーガラスが汚れている場合には、測定ヘッドが正常ではなく、非接触式眼圧計の測定精度が低下するおそれがある。このため、特許文献1に記載されているように、事前に模型眼を用いて測定ヘッドが正常であるか否かを確認することが望ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の非接触式眼圧計では、測定ヘッドの状態確認を実行する場合には検者が顎受け部上に模型眼を固定する必要があり、さらにこの確認完了後には検者が顎受け部上から模型眼を取り外す必要がある。このため、特許文献1に記載の非接触式眼圧計では、測定ヘッドの状態確認を行う度に検者が模型眼の固定及び取り外しを行う必要があるので、手間と時間がかかる。なお、特許文献1に記載の非接触式眼圧計では、測定ヘッドの状態確認としてチャンバー窓ガラス及びカバーガラスの汚れ以外を検出、例えば、ノズルに対する付着物(異物)の付着を検出することができない。
【0008】
また、上述の空測定を実行したとしても、この空測定の風圧で除去することができない微小な付着物がノズルの内部に付着している場合には、チャンバー内圧に目立った変化が見られないものの、ノズルから噴出される空気の気流に乱れが生じる。この場合には、角膜を十分に圧平することができないので、被検眼の正確な眼圧測定が困難になる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、模型眼を用いた測定ヘッドの状態確認を従来よりも簡単かつ短時間に実行可能な眼科装置及び眼科装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するための眼科装置は、被検者の顔を支持する顔支持部と、被検眼の眼特性を測定する測定ヘッドと、測定ヘッドを移動させる移動機構と、顔支持部のうちで被検者の顔が配置される顔配置領域とは異なる位置に固定され、人眼を模した模型眼と、移動機構を駆動して、測定ヘッドを模型眼の眼特性を測定可能な模型眼測定位置まで移動させ、模型眼測定位置で測定ヘッドによる模型眼の眼特性の測定を実行させる模型眼測定制御部と、測定ヘッドによる模型眼の眼特性の測定で得られるデータに基づいて、測定ヘッドが正常であるか否かを判定する判定部と、を備える。
【0011】
この眼科装置によれば、検者が模型眼の取り付け(固定)及び取り外しを行う必要がなくなる。
【0012】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、模型眼が、顔支持部と一体化している。これにより、検者が模型眼の取り付け及び取り外しを行う必要がなくなる。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、顔支持部が、被検者の額に当接する額当て部を備え、模型眼が、額当て部の測定ヘッドに対向するヘッド対向面に固定されている。これにより、検者が模型眼の取り付け及び取り外しを行う必要がなくなる。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、顔支持部が、模型眼を覆う保護位置と、模型眼を露出させる露出位置とに変位自在に設けられたカバーを備える。これにより、被検者等が誤って模型眼に触れてしまうことが防止される。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、カバーが、測定ヘッドから見た場合に左右方向に平行な回転軸を中心として、保護位置と、保護位置よりも上方側に回転した露出位置と、に変位自在に設けられており、模型眼測定制御部が、移動機構を駆動して測定ヘッドを模型眼測定位置まで移動させる間に、測定ヘッドにより保護位置にあるカバーを上方側に押圧してカバーを露出位置まで変位させ、模型眼測定制御部が、移動機構を駆動して測定ヘッドを模型眼測定位置から退避させた場合に、カバーが露出位置から保護位置に変位する。これにより、移動機構により移動される測定ヘッドを利用して、カバーを保護位置と露出位置との間で自動的に変位させることができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、カバーを保護位置と露出位置との間で変位させるカバー回転機構を備える。これにより、カバーを保護位置と露出位置との間で自動的に変位させることができる。
【0017】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、測定ヘッドが正常に動作しないと判定部が判定した場合には、警告情報を報知する警告部を備える。これにより、検者に対して測定ヘッドの点検を促すことができる。また、眼特性の測定精度の低下、及び測定のやり直しによる被検者の負担発生が防止される。
【0018】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、被検眼の眼特性として被検眼の眼圧値を非接触測定する測定ヘッドを備え、測定ヘッドが、少なくとも、ノズルから被検眼の角膜に対して空気を吹き付ける吹付機構と、角膜に対して光束を投影する投影光学系と、角膜にて反射された光束の反射光を受光して受光信号を出力する受光光学系と、を有し、模型眼測定制御部が、移動機構を駆動して測定ヘッドを模型眼測定位置に移動させる移動処理と、移動処理が完了した場合に、吹付機構を駆動してノズルから模型眼へ空気を吹き付ける吹付処理と、吹付処理が実行されている間、投影光学系から模型眼に対して光束を投影する投影処理と、吹付処理が実行されている間、受光光学系から、模型眼にて反射された光束の反射光を受光した受光信号を出力させる信号出力処理と、を実行し、判定部が、受光光学系から出力された受光信号の時系列変化に基づいてノズルへの付着物の無有を判定することで、測定ヘッドが正常であるか否かを判定する。これにより、ノズルへの付着物の付着を検出することができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、被検眼の眼特性として被検眼の眼屈折力を測定する測定ヘッドを備え、模型眼測定制御部が、移動機構を駆動して測定ヘッドを模型眼測定位置に移動させる移動処理と、移動処理が完了した場合に、測定ヘッドによる模型眼の眼屈折力の測定を実行する測定処理と、を実行し、判定部が、測定ヘッドによる模型眼の眼屈折力の測定結果と、既知の模型眼の眼屈折力の測定結果と、に基づいて、測定ヘッドが正常であるか否かを判定する。これにより、眼屈折力測定用の測定ヘッドが正常であるか否かを判定することができる。
【0020】
本発明の目的を達成するための眼科装置の作動方法は、被検者の顔を支持する顔支持部と、被検眼の眼特性を測定する測定ヘッドと、測定ヘッドを移動させる移動機構と、を備える眼科装置の作動方法において、移動機構を駆動して測定ヘッドを、顔支持部のうちで被検者の顔が配置される顔配置領域とは異なる位置に固定された人眼を模した模型眼の眼特性を測定可能な模型眼測定位置まで移動させ、模型眼測定位置で測定ヘッドによる模型眼の眼特性の測定を実行させる模型眼測定ステップと、測定ヘッドによる模型眼の眼特性の測定で得られるデータに基づいて、測定ヘッドが正常であるか否かを判定する判定ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、模型眼を用いた測定ヘッドの状態確認を従来よりも簡単かつ短時間に実行すすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態の非接触式眼圧計の側面図である。
図2】顔支持部を測定ヘッド側から見た斜視図である。
図3】模型眼の側面拡大図である。
図4】測定ヘッド内の複数種類の光学系を上方(Y方向)側から見た上面概略図である。
図5】測定ヘッド内の複数種類の光学系を側方(X方向)側から見た側面概略図である。
図6】制御装置の機能ブロック図である。
図7】模型眼測定制御部による模型眼に対する測定ヘッドのオートアライメントを説明するための説明図である。
図8】付着物が付着してない正常なノズルから模型眼の表面に吹き付けられる空気の気流を示した説明図である。
図9】正常なノズルから模型眼に空気を吹き付けた場合に圧平検出光学系から出力される圧平信号の時系列変化を示す圧平波形と、圧力センサから出力されるチャンバーの内圧の時系列変化を示す内圧波形と、を示したグラフである。
図10】測定に影響を与えうる微小付着物が付着したノズルから模型眼の表面に吹き付けられる空気の気流を示した説明図である。
図11】測定に影響を与えうる微小付着物が付着したノズルから模型眼に空気を吹き付けた場合に圧平検出光学系から出力される圧平信号の時系列変化を示す圧平波形と、圧力センサから出力されるチャンバーの内圧の時系列変化を示す内圧波形と、を示したグラフである。
図12】警告制御部によりモニタに表示される警告情報の一例を示した図である。
図13】非接触式眼圧計の測定ヘッドのヘッド状態確認処理の流れを示したフローチャートである。
図14】第2実施形態の非接触式眼圧計の額当て部及び模型眼の側面拡大図である。
図15】測定ヘッドのヘッド状態確認時における、カバーの保護位置から露出位置への自動回転を説明するための説明図である。
図16】測定ヘッドのヘッド状態確認後における、カバーの露出位置から保護位置への自動回転を説明するための説明図である。
図17】第2実施形態の非接触式眼圧計の変形例を説明するための説明図である。
図18】第3実施形態のレフラクトメータの側面図である。
図19】第3実施形態の模型眼の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の非接触式眼圧計10の側面図である。図1に示すように、非接触式眼圧計10は、本発明の眼科装置に相当するものであり、被検眼Eの眼特性として眼圧値を非接触測定する。この非接触式眼圧計10は、ベース11と、顔支持部12と、移動機構13と、測定ヘッド14と、モニタ15と、制御装置16と、を備える。
【0024】
なお、図中の互いに直交するXYZ方向(3軸方向)のうちで、Y方向は上下方向であり、Z方向は被検者(被検眼E)に近づいたり遠ざかったりする前後方向(作動距離方向ともいう)であり、X方向は上下方向及び前後方向の双方に垂直な左右方向である。また、Z方向(前後方向)のうちで被検眼E(被検者)に近づく側をZ方向前方側といい、被検眼E(被検者)から遠ざかる側をZ方向後方側という。
【0025】
ベース11上には、Z方向前方側からZ方向後方側に向かって顔支持部12と移動機構13とが設けられている。ベース11は、移動機構13を介して、測定ヘッド14をXYZ方向に移動可能に支持している。
【0026】
顔支持部12は、ベース11に固定されている。この顔支持部12は、被検者の顎を受ける顎受け部12aと、被検者の額が当接する額当て部12bと、額当て部12bを支持する一対の支柱12cと、を備え、被検者の顔を支持する。
【0027】
図2は、顔支持部12を測定ヘッド14側から見た斜視図である。図2及び既述の図1に示すように、顔支持部12には、顔支持部12により支持される被検者の顔が配置される顔配置領域とは異なる位置、ここでは額当て部12bの測定ヘッド14に対向するヘッド対向面17に人眼を模した模型眼18が固定されている。
【0028】
ここで「顔配置領域とは異なる位置」とは、被検眼Eの眼圧測定時に顔支持部12による被検者の顔の支持を妨げない位置であり、すなわち被検眼Eの眼圧測定時に模型眼18を取り外す必要がない位置である。また、「顔配置領域とは異なる位置」は、この位置に対する測定ヘッド14(後述のノズル21b)のアライメントが可能な位置でもある。従って、模型眼18は、顔支持部12の「顔配置領域とは異なる位置」であればヘッド対向面17以外の位置に固定されていてもよく、例えば、支柱12cに固定されていてもよい。
【0029】
図3は、模型眼18の側面拡大図である。図3に示すように、模型眼18は、額当て部12bのヘッド対向面17に着脱不能に固定されており、額当て部12b(顔支持部12)と一体化している。なお、模型眼18が額当て部12bのヘッド対向面17に着脱可能に固定されていてもよい。
【0030】
模型眼18は、例えばゴムなどの薄膜を球形(半球形でも可)に成形したものであり、測定ヘッド14のノズル21bからの空気の吹き付けにより被検眼Eの角膜Ec(図4参照)と同様に変形する。この模型眼18は、後述の測定ヘッド14が正常であるか否かを確認するヘッド状態確認に用いられる。なお、模型眼18は、非接触式眼圧計10での眼圧測定に使用可能であれば、その形状及び構造は特に限定はされない。
【0031】
図1に戻って、測定ヘッド14は、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ec(図4参照)に向けて空気を吹き付けることで角膜Ecを変形させてその変形状態を検出することにより、非接触で被検眼Eの眼圧値を測定する。
【0032】
モニタ15は、例えばタッチパネル式モニタであり、測定ヘッド14の背面側に取り付けられている。このモニタ15は、後述の制御装置16の制御の下、測定ヘッド14により撮影された被検眼Eの撮影画像(観察像)と、被検眼Eの眼圧値の測定結果と、各種操作及び各種設定を行うためのメニュー画面と、を含む各種画像を表示する。また、モニタ15は、詳しくは後述するが、制御装置16の制御の下、各種警告情報の表示を行う(図12参照)。
【0033】
図4は、測定ヘッド14内の複数種類の光学系を上方(Y方向)側から見た上面概略図である。図5は、測定ヘッド14内の複数種類の光学系を側方(X方向)側から見た側面概略図である。
【0034】
図4及び図5に示すように、測定ヘッド14は、前眼部観察光学系21と、XYアライメント指標投影光学系22と、固視標投影光学系23と、圧平検出光学系24と、Zアライメント指標投影光学系25と、Zアライメント検出光学系26と、吹付機構34と、を備える。
【0035】
前眼部観察光学系21は、被検眼Eの前眼部の観察、及び被検眼Eに対する測定ヘッド14のXY方向のXYアライメントに用いられる。この前眼部観察光学系21には、前眼部照明光源21a(図4参照)が設けられている。また、前眼部観察光学系21の光軸O1上には、空気吹き付け用のノズル21bと、ノズル21bの先端部を保持する前眼部窓ガラス21c(図5参照)と、チャンバー窓ガラス21dと、ハーフミラー21eと、ハーフミラー21gと、対物レンズ21fと、撮像素子21iと、が設けられている。
【0036】
前眼部照明光源21aは、前眼部窓ガラス21cの周囲位置に複数個設けられており、被検眼Eの前眼部を直接照明する。
【0037】
ノズル21bは、吹付機構34のチャンバー室34a(図5参照)に接続しており、被検眼Eの角膜Ecに空気を吹き付ける。
【0038】
被検眼Eの前眼部の像(前眼部からの像光)は、ノズル21bの外側を通り、前眼部窓ガラス21c、後述のガラス板34b、チャンバー窓ガラス21d、ハーフミラー21g、及びハーフミラー21eを通過し、対物レンズ21fにより撮像素子21iの受光面上に結像される。
【0039】
撮像素子21iは、例えばCCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型のイメージセンサが用いられる。この撮像素子21iは、その受光面に入射した前眼部の像を撮像して撮像信号を生成し、この撮像信号を制御装置16へ出力する。これにより、制御装置16の制御の下、撮像素子21iから出力された撮像信号に基づく被検眼Eの前眼部の観察像がモニタ15に表示される。
【0040】
また、前眼部観察光学系21は、後述のXYアライメント指標投影光学系22から被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、撮像素子21iの受光面へと導く。この反射光は、ノズル21b、チャンバー窓ガラス21d、ハーフミラー21g、及びハーフミラー21eを通過して、対物レンズ21fにより撮像素子21iの受光面上に結像される。これにより、撮像素子21iの受光面上には、測定ヘッド14と角膜EcとのXY方向の位置関係(相対位置)に応じた位置にXYスポットが形成される。その結果、測定ヘッド14に対する被検眼EのXY方向の相対位置を検出するXYアライメント検出を行うことができる。
【0041】
撮像素子21iは、その受光面上に形成されたXYスポットを撮像し、このXYスポットの撮像信号を制御装置16へと出力する。これにより、制御装置16の制御の下、前眼部の観察像とXYスポットとがモニタ15に重畳表示される。なお、モニタ15には、アライメント補助マークも表示される。
【0042】
XYアライメント指標投影光学系22は、本発明の投影光学系に相当し、本発明の光束に相当するXYアライメント指標光を被検眼Eの角膜Ecに正面から投影する。このXYアライメント指標光は、被検眼Eに対する測定ヘッド14のXYアライメントに用いられる。また、XYアライメント指標光は、被検眼Eの眼圧値の測定にも用いられる。以下、角膜EcによるXYアライメント指標光の反射光を単に「XY指標反射光」と略す。
【0043】
XYアライメント指標投影光学系22は、XYアライメント用光源22aと、集光レンズ22bと、開口絞り22cと、ピンホール板22dと、ダイクロイックミラー22eと、コリメータレンズ22fと、を有する(図5参照)。なお、XYアライメント指標投影光学系22は、ハーフミラー21eを前眼部観察光学系21と共用している。
【0044】
XYアライメント用光源22aは赤外光を出射する。コリメータレンズ22fは、その焦点がピンホール板22dに一致するように、XYアライメント指標投影光学系22の光路上に配置されている。XYアライメント用光源22aから出射された赤外光は、集光レンズ22bにより集束されつつ開口絞り22cを通過して、ピンホール板22dの穴部へと導かれる。
【0045】
ピンホール板22dの穴部を通過した赤外光は、ダイクロイックミラー22eにより反射されてコリメータレンズ22fへと導かれ、さらにコリメータレンズ22fで平行光とされた後、コリメータレンズ22fからハーフミラー21eへ出射される。この赤外光の平行光は、ハーフミラー21eで反射された後、前眼部観察光学系21の光軸O1に沿って進行する。これにより、赤外光の平行光は、ハーフミラー21g及びチャンバー窓ガラス21dを透過した後、ノズル21bの内部を通過することでXYアライメント指標光として被検眼Eに入射する。
【0046】
被検眼Eに入射したXYアライメント指標光は、図示は省略するが、角膜Ecの表面で反射されてXYスポットを形成する。なお、開口絞り22cは、コリメータレンズ22fに関して角膜Ecの角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。
【0047】
固視標投影光学系23は、被検眼Eに固視標を投影する。この固視標投影光学系23は、固視標用光源23aとピンホール板23bとを有する(図5参照)。また、固視標投影光学系23は、ダイクロイックミラー22e及びコリメータレンズ22fをXYアライメント指標投影光学系22と共用し、且つハーフミラー21eを前眼部観察光学系21と共用している。
【0048】
固視標用光源23aは、可視光を固視標光として出射する。この固視標光は、ピンホール板23bの穴部へと導かれ、ピンホール板23bの穴部及びダイクロイックミラー22eを透過した後、コリメータレンズ22fへ出射される。そして、固視標光は、コリメータレンズ22fにより略平行光とされてからハーフミラー21eに向けて出射され、ハーフミラー21eで反射されることで前眼部観察光学系21の光軸O1に沿って進行する。これにより、固視標光は、ハーフミラー21g及びチャンバー窓ガラス21dを透過した後、ノズル21bの内部を通過して被検眼Eに至る。この固視標を被検者に固視目標として注視させることにより、被検者の視線を固定することができる。
【0049】
圧平検出光学系24(図5参照)は、本発明の受光光学系に相当し、XY指標反射光を受光して、このXY指標反射光の光量を示す受光信号である圧平信号(角膜変形信号ともいう)を出力する。圧平検出光学系24は、レンズ24aとピンホール板24bと受光センサ24cとを有すると共に、ハーフミラー21gを前眼部観察光学系21と共用している。
【0050】
レンズ24aは、角膜Ecの表面が平面とされた場合に、XY指標反射光を、ピンホール板24bの開口に集光させる。ピンホール板24bの開口は、レンズ24aの焦点位置に設けられている。
【0051】
受光センサ24cは、例えば受光したXY指標反射光の光量に応じた圧平信号を出力するフォトダイオードである。この受光センサ24cは圧平信号を制御装置16へ出力する。
【0052】
XY指標反射光は、ノズル21bの内部を通り、チャンバー窓ガラス21dを透過してハーフミラー21gに至る。そして、XY指標反射光の一部は、ハーフミラー21gで反射された後、レンズ24aを経てピンホール板24bに入射する。
【0053】
圧平検出光学系24は、ノズル21bからの空気の吹き付けにより角膜Ecの表面が平らな圧平状態(扁平状態)になった場合に、圧平検出光学系24に進行してきたXY指標反射光の全体を、ピンホール板24bを通して受光センサ24cに到達させる。また、圧平検出光学系24は、角膜Ecが圧平状態以外の状態ではXY指標反射光をピンホール板24bで部分的に遮りつつ受光センサ24cに到達させる。従って、圧平検出光学系24から出力されるXY指標反射光の検出信号の信号強度は、角膜Ecの表面が凸状態から圧平状態に変化するのに従って次第に増加し、さらに圧平状態から凹状態に変化するのに従って次第に減少する。
【0054】
Zアライメント指標投影光学系25(図4参照)は、角膜Ecに対して斜め方向からZ軸方向のZアライメント用のZアライメント指標光を投影する。このZアライメント指標投影光学系25は、光軸O2上に沿って、Zアライメント用光源25aと、集光レンズ25bと、開口絞り25cと、ピンホール板25dと、コリメータレンズ25eと、を備える。
【0055】
Zアライメント用光源25aは、赤外光(例えば波長860nm)を出射する。開口絞り25cは、コリメータレンズ25eに関して角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。コリメータレンズ25eは、ピンホール板25dの穴部に焦点を一致させるように配置されている。
【0056】
Zアライメント用光源25aから出射された赤外光は、集光レンズ25bにより集光されつつ開口絞り25cを通過してピンホール板25dへと進行する。そして、ピンホール板25dの穴部を通過した赤外光は、コリメータレンズ25eで平行光とされた後に、Zアライメント指標光として被検眼Eに入射して、角膜Ecで反射されることにより被検眼Eに輝点像を形成する。
【0057】
Zアライメント検出光学系26は、Zアライメント指標光の角膜Ecによる反射光(以下、Z指標反射光と略す)を受光して、測定ヘッド14と角膜EcとのZ軸方向の位置関係を検出する。このZアライメント検出光学系26は、光軸O3上に沿って、結像レンズ26aと、シリンドリカルレンズ26bと、受光センサ26cと、を有している。
【0058】
シリンドリカルレンズ26bは、Y軸方向にパワーを有するものが用いられる。受光センサ26cは、その受光面におけるZ指標反射光の受光位置を検出可能なセンサであり、例えばラインセンサ又はPSD(Position Sensitive Detector)が用いられる。
【0059】
Z指標反射光は、結像レンズ26aで集束した後にシリンドリカルレンズ26bへと進行し、このシリンドリカルレンズ26bによりY軸方向に集光されることで受光センサ26c上に輝点像を形成する。
【0060】
受光センサ26cは、XZ平面内においては結像レンズ26aに関して、Zアライメント指標投影光学系25により被検眼Eに形成された前述の輝点像と共役な位置関係にある。また、受光センサ26cは、YZ平面内においては結像レンズ26a及びシリンドリカルレンズ26bに関して、角膜頂点Epと共役な位置関係にある。すなわち、受光センサ26cは開口絞り25cと共役関係にあるので、Y方向に角膜Ecがずれたとしても角膜Ecの表面におけるZ指標反射光は効率良く受光センサ26cに入射する。そして、受光センサ26cは、シリンドリカルレンズ26bにより集光されたZ指標反射光の検出信号(以下、Z検出信号という)を制御装置16へと出力する。このZ検出信号は、測定ヘッド14に対する被検眼EのZ方向の相対位置、より具体的には、測定ヘッド14と被検眼E(角膜頂点Ep)との間のZ方向の距離を示すものである。これにより、Zアライメント検出を行うことができる。
【0061】
吹付機構34(図5参照)は、既述のノズル21bの他に、チャンバー室34aと、ガラス板34bと、圧力センサ34cと、シリンダ34dと、連通管34eと、ピストン34fと、ソレノイド34gと、を有する。
【0062】
チャンバー室34aには、透明なガラス板34bを介してノズル21bが取り付けられている。また、チャンバー室34a内には、ノズル21bと対向する位置にチャンバー窓ガラス21dが設けられている。さらに、チャンバー室34a内には、圧力センサ34cが設けられている。この圧力センサ34cは、チャンバー室34aの内部の圧力(内圧)を示す圧力検出信号を制御装置16へ出力する。
【0063】
シリンダ34dは、連通管34eを介してチャンバー室34aに接続している。これにより、シリンダ34dの内部とチャンバー室34aの内部とが連通管34eを介して連通する。また、シリンダ34dの内部にはピストン34fが移動自在に設けられている。これらシリンダ34d及びピストン34fにより空気の圧縮室が構成される。
【0064】
ソレノイド34gは、シリンダ34d内でピストン34fを移動させる公知のソレノイドアクチュエータである。このソレノイド34gは、制御装置16の制御下、ピストン34fを移動させてシリンダ34d内の空気を圧縮する。これにより、連通管34e及びチャンバー室34aを介して、ノズル21bから角膜Ecに対して空気が吹き付けられる。
【0065】
なお、吹付機構34では、圧力センサ34cによりチャンバー室34aの内圧を検出することにより、ノズル21bから角膜Ecに空気を吹き付けた際の空気の圧力を取得することができる。
【0066】
図6は、制御装置16の機能ブロック図である。図6に示すように、制御装置16は、非接触式眼圧計10の動作を統括制御する。制御装置16は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置16の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0067】
制御装置16には、既述の移動機構13、測定ヘッド14、及びモニタ15等が接続されている。この制御装置16は、非接触式眼圧計10の動作を統括制御する。
【0068】
制御装置16は、不図示の制御プログラムを読み出して実行することにより、測定制御部40、眼圧値演算部41、模型眼測定制御部42、判定部43及び警告制御部44として機能する。なお、制御装置16の「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
【0069】
測定制御部40は、被検眼Eの眼圧測定時に作動して、被検眼Eに対する測定ヘッド14のXYZ方向のオートアライメントと、測定ヘッド14による被検眼Eの眼圧測定と、を制御する。
【0070】
具体的には測定制御部40は、既述の前眼部観察光学系21及びXYアライメント指標投影光学系22を制御して、測定ヘッド14に対する被検眼EのXY方向の相対位置を検出するXYアライメント検出を行う。また、測定制御部40は、Zアライメント指標投影光学系25及びZアライメント検出光学系26を制御して、測定ヘッド14に対する被検眼EのZ方向の相対位置を検出するZアライメント検出を行う。なお、非接触式眼圧計10のXYアライメント検出及びZアライメント検出については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。次いで、測定制御部40は、XYZアライメント検出結果に基づいて、移動機構13を駆動して被検眼Eに対する測定ヘッド14のXYZ方向のオートアライメントを実行する。
【0071】
そして、測定制御部40は、オートアライメントの完了後に吹付機構34を作動させて、この吹付機構34のノズル21bから角膜Ecに空気の吹き付ける吹付処理を実行する。また、測定制御部40は、吹付処理が実行されている間、XYアライメント指標投影光学系22による角膜EcへのXYアライメント指標光の投影処理と、圧平検出光学系24によるXY指標反射光の受光及び圧平信号の出力を含む信号出力処理と、を連続的に実行させる。
【0072】
眼圧値演算部41は、圧平検出光学系24から連続的に出力される圧平信号と、圧力センサ34cの検出結果とに基づいて、被検眼Eの眼圧値を演算する。例えば眼圧値演算部41は、圧平検出光学系24から出力された圧平信号に基づいて圧平波形W1(図9参照)のピークの重心位置或いは最大値を演算する。そして、眼圧値演算部41は、ピークの重心位置或いは最大値に対応する圧平信号の信号強度(光量)及び圧力センサ34cの検出結果(空気の圧力)に基づいて、公知の方法で被検眼Eの眼圧値を演算する。なお、被検眼Eの眼圧値の演算方法は、上述の方法に限定されるものではなく、公知の各種方法を採用可能である。
【0073】
模型眼測定制御部42、判定部43及び警告制御部44は、模型眼18を用いて測定ヘッド14が正常であるか否かを確認する「ヘッド状態確認」を実行する場合に作動する。このヘッド状態確認は、例えば、非接触式眼圧計10の電源ON時、一定時間経過するごと、或いは毎回の被検眼Eの眼圧測定前などの任意のタイミングで実行される。
【0074】
図7は、模型眼測定制御部42による模型眼18に対する測定ヘッド14のオートアライメントを説明するための説明図である。
【0075】
図7及び既述の図6に示すように、模型眼測定制御部42は、ヘッド状態確認時に移動機構13を駆動して、模型眼18に対する測定ヘッド14のオートアライメントを実行する。このオートアライメントでは、測定ヘッド14が模型眼18の眼圧を測定可能な模型眼測定位置まで測定ヘッド14を移動させる。例えば模型眼測定位置は、XY方向においては光軸O1(図4参照)が模型眼18の中心に一致(略一致を含む)する位置であり、Z方向においてはノズル21bの先端と模型眼18との間が所定の作動距離に調整される位置である。
【0076】
ここで、額当て部12bに固定されている模型眼18のXYZ位置は既知である。また、模型眼測定制御部42は、不図示のヘッド位置検出センサにより測定ヘッド14のXYZ位置を検出可能である。このため、模型眼測定制御部42は、既知の模型眼18のXYZ位置と、現在の測定ヘッド14のXYZ位置とに基づいて、移動機構13を駆動して測定ヘッド14を模型眼測定位置まで移動させるオートアライメントを実行可能である。
【0077】
模型眼測定制御部42は、模型眼18に対する測定ヘッド14のオートアライメントが完了すると、測定ヘッド14による模型眼18の眼圧測定を実行する。具体的には模型眼測定制御部42は、既述の測定制御部40による被検眼Eの眼圧測定時と同様に、吹付機構34を駆動してノズル21bから模型眼18に対して空気の吹き付ける吹付処理を実行する。また、模型眼測定制御部42は、吹付処理を実行している間、XYアライメント指標投影光学系22による模型眼18へのXYアライメント指標光の投影処理と、圧平検出光学系24によるXY指標反射光の受光及び圧平信号の出力を含む信号出力処理と、を連続的に実行させる。
【0078】
図6に戻って、判定部43は、測定ヘッド14による模型眼18の眼圧測定で得られるデータ、すなわち圧平検出光学系24から連続的に出力される圧平信号の時系列変化(圧平波形AS、図9参照)に基づいて、測定ヘッド14が正常であるか否かを判定する。ここで「正常」とは、眼圧測定の測定精度を低下させるような異常(ノズル21bに対する付着物、チャンバー窓ガラス21d等の汚れ、ノズル21bの詰まりなど)が発生していないことである。
【0079】
図8は、付着物が付着してない正常なノズル21bから模型眼18の表面(角膜Ecに相当)に吹き付けられる空気の気流A1を示した説明図である。図9は、正常なノズル21bから模型眼18に空気を吹き付けた場合に圧平検出光学系24から出力される圧平信号の時系列変化を示す圧平波形W1と、圧力センサ34cから出力されるチャンバー室34aの内圧の時系列変化を示す内圧波形W2と、を示したグラフである。
【0080】
図8に示すようにノズル21bが正常である場合には、図9に示すような圧平波形W1及び内圧波形W2が得られる。この場合の圧平波形W1は、模型眼18の表面が凸状態から凹状態に変形する途中で圧平状態になることを示すピークP1と、模型眼18の表面が凹状態から凸状態に復元する途中で圧平状態になることを示すピークP2と、が識別可能である。
【0081】
図10は、測定に影響を与えうる微小付着物Dが付着したノズル21bから模型眼18の表面に吹き付けられる空気の気流A1を示した説明図である。図11は、測定に影響を与えうる微小付着物Dが付着したノズル21bから模型眼18に空気を吹き付けた場合に圧平検出光学系24から出力される圧平信号の時系列変化を示す圧平波形W1と、圧力センサ34cから出力されるチャンバー室34aの内圧の時系列変化を示す内圧波形W2と、を示したグラフである。
【0082】
図10に示すように、ノズル21bに対して測定に影響を与えうる微小付着物D(以下、単に「微小付着物D」と略す)が付着している場合には、ノズル21bから噴出される空気の気流A1に乱れが生じて、図11に示すような圧平波形W1及び内圧波形W2が得られる。ここで、この場合の内圧波形W2は、図9に示した正常な場合の波形と目立った違いが見られない。一方、ノズル21bから噴出される空気の気流A1に乱れが生じた場合には模型眼18の表面が十分に圧平されない。このため、この場合の圧平波形W1は、図9に示した正常な場合の波形とは異なる形状となる。その結果、圧平波形W1からのピークP1,P2の検出は困難である。
【0083】
従って、判定部43は、模型眼18の眼圧測定で得られた圧平波形W1が図9に示したような正常な波形(例えばピークP1,P2を検出可能な波形)であるか否かに基づいて、ノズル21bに対する微小付着物Dの付着の無有を判定可能、すなわち測定ヘッド14が正常であるか否かを判定可能である。
【0084】
また、判定部43は、上記特許文献1に記載の発明と同様に、模型眼18の眼圧測定で得られた圧平波形W1(圧平信号)の信号強度、すなわちXY指標反射光の受光量に基づいて、チャンバー窓ガラス21d等の汚れ具合を検出可能である。これにより、判定部43は、チャンバー窓ガラス21d等の汚れ具合が所定の閾値以下であるか否かに基づいて、測定ヘッド14が正常であるか否かを判定可能である。
【0085】
さらに、判定部43は、模型眼18の眼圧測定で得られた内圧波形W2に基づいて、ノズル21bの詰まりの発生を検出可能である。これにより、判定部43は、ノズル21bの詰まりの無有に基づいて、測定ヘッド14が正常であるか否かを判定可能である。
【0086】
図12は、警告制御部44によりモニタ15に表示される警告情報48の一例を示した図である。図12及び既述の図6に示すように、警告制御部44は、モニタ15と共に本発明の警告部を構成する。この警告制御部44は、測定ヘッド14が正常ではないと判定部43が判定した場合には、その旨を示す警告情報48をモニタ15に表示させることで、検者に対して警告情報48を報知する。
【0087】
なお、図示は省略するが警告制御部44は、警告情報48として、さらに測定ヘッド14の異常の原因(ノズル21bへの微小付着物Dの付着、チャンバー窓ガラス21d等の汚れ、ノズル21bの詰まり等)を合わせて表示してもよい。また、警告制御部44は、警告情報48をモニタ15に表示すると共に或いは表示する代わりに、不図示のスピーカから警告情報48を音声出力してもよい。
【0088】
[第1実施形態の作用]
図13は、本発明の眼科装置の作動方法に係る、上記構成の非接触式眼圧計10の測定ヘッド14のヘッド状態確認処理の流れを示したフローチャートである。
【0089】
図13に示すように、制御装置16は、非接触式眼圧計10の電源ON時などの所定のタイミングに達した場合、或いは検者により不図示の操作部に対してヘッド状態確認の開始操作が入力された場合に、模型眼測定制御部42、判定部43及び警告制御部44として機能して、測定ヘッド14のヘッド状態確認を開始する。
【0090】
最初に模型眼測定制御部42が、模型眼18のXYZ位置及び測定ヘッド14のXYZ位置に基づいて、ヘッド状態確認時に移動機構13を駆動して、額当て部12bに固定された模型眼18に対する測定ヘッド14のオートアライメントを実行する。これにより、測定ヘッド14が模型眼測定位置まで自動的に移動されて、測定ヘッド14による模型眼18の眼圧測定が実行可能になる(ステップS1)。このように、模型眼18を額当て部12bのヘッド対向面17に固定しておくことで、検者が顎受け部12a等に模型眼18をセットする必要がなくなる。
【0091】
次いで、模型眼測定制御部42は、測定ヘッド14による模型眼18の眼圧測定を開始させる(ステップS2)。具体的には模型眼測定制御部42は、吹付機構34、XYアライメント指標投影光学系22及び圧平検出光学系24を制御して、模型眼18への空気の吹付処理(ステップS3)と、模型眼18へのXYアライメント指標光の投影処理(ステップS4)と、圧平検出光学系24からの圧平信号の信号出力処理(ステップS5)と、を実行する。なお、ステップS1からステップS5は、本発明の模型眼測定ステップに相当する。
【0092】
模型眼18の眼圧測定が完了すると、判定部43が、測定ヘッド14による模型眼18の眼圧測定で得られるデータに基づいて、測定ヘッド14が正常であるか否かを判定する(ステップS6、本発明の判定ステップに相当)。例えば判定部43は、既述の図8から図11に示したように、模型眼18の眼圧測定で得られる圧平波形W1に基づいて、ノズル21bに対する微小付着物Dの付着の無有を判定することで、測定ヘッド14が正常であるか否かを判定する。
【0093】
測定ヘッド14が正常であると判定部43が判定した場合には、測定ヘッド14のヘッド状態確認が完了する(ステップS7でYES)。ここで、本実施形態では模型眼18が額当て部12bに固定されているので、ヘッド状態確認の完了後に検者が模型眼18の取り外しを行う必要がなくなる。
【0094】
一方、測定ヘッド14が正常ではないと判定部43が判定した場合には(ステップS7でNO)、警告制御部44が警告情報48をモニタ15に表示させる(ステップS8)。これにより、検者に対して測定ヘッド14の点検を促すことができる。その結果、測定ヘッド14に異常がある状態での被検眼Eの眼圧測定の実行が防止されるので、眼圧測定の測定精度の低下、及び眼圧測定のやり直しによる被検者の負担発生が防止される。
【0095】
以上のように第1実施形態の非接触式眼圧計10では、顔支持部12の顔配置領域とは異なる位置に模型眼18を固定しているので、測定ヘッド14のヘッド状態確認を実行する場合に、検者が模型眼18の取り付け及び取り外しを行う必要がなくなる。その結果、測定ヘッド14のヘッド状態確認を簡単かつ短時間に実行することができる。
【0096】
また、第1実施形態の非接触式眼圧計10では、チャンバー室34aの内圧から判定不能な「ノズル21bに対する微小付着物Dの付着の有無」を、模型眼18の眼圧測定で得られた圧平波形W1(圧平信号の時系列変化)に基づいて判定可能である。その結果、測定ヘッド14のヘッド状態確認をより正確に実行することができる。
【0097】
[第2実施形態]
図14は、第2実施形態の非接触式眼圧計10の額当て部12b及び模型眼18の側面拡大図である。上記第1実施形態の非接触式眼圧計10では、被検者の近くに位置する額当て部12bに模型眼18を固定しているので、被検者が誤って模型眼18に触れてしまうおそれがある。そこで、図14に示すように、第2実施形態の非接触式眼圧計10では、測定ヘッド14のヘッド状態確認時以外、すなわち模型眼18の不使用時にこの模型眼18を覆うカバー50が額当て部12bのヘッド対向面17に設けられている。
【0098】
なお、第2実施形態の非接触式眼圧計10は、額当て部12bにカバー50が設けられている点を除けば上記第1実施形態の非接触式眼圧計10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0099】
図14に示すように、カバー50は、測定ヘッド14から見た場合にX方向に平行な回転軸50aを有する。この回転軸50aは、額当て部12bのヘッド対向面17の中で模型眼18のY方向上方位置に固定されている。カバー50は、回転軸50aを中心として、模型眼18を覆う保護位置(図14の符号XIVA参照)と、保護位置よりもY方向上方側に回転して模型眼18を露出させる露出位置(図14の符号XIVB参照)と、の間で回転自在に設けられている。
【0100】
カバー50の保護位置から露出位置への回転と、カバー50の露出位置から保護位置への回転とは、移動機構13による測定ヘッド14の移動を利用して自動的に行われる。
【0101】
図15は、測定ヘッド14のヘッド状態確認時における、カバー50の保護位置から露出位置への自動回転を説明するための説明図である。図15に示すように、カバー50の保護位置から露出位置への回転は、ヘッド状態確認時のオートアライメントで移動機構13により模型眼測定位置に向けて移動される測定ヘッド14により押圧されることで実行される。
【0102】
具体的にはオートアライメントでの測定ヘッド14の移動経路を調整して、模型眼測定制御部42が移動機構13を駆動して測定ヘッド14を模型眼測定位置まで移動させる間に、図中の矢印Y1に示すように測定ヘッド14をカバー50のY方向下方側からカバー50に接触させる(図15の符号XVA及び符号XVB参照)。
【0103】
引き続き、模型眼測定制御部42は、移動機構13を駆動して測定ヘッド14を模型眼測定位置に向けてY方向上方側(矢印Y1参照)に移動させることで、保護位置にあるカバー50を測定ヘッド14によりY方向上方側に押圧する(図15の符号XVC参照)。この押圧によってカバー50が回転軸50aを中心として保護位置からY方向上方側に向けて回転される。そして、測定ヘッド14が模型眼測定位置に到達すると、カバー50が露出位置まで回転される。これにより、カバー50を回転駆動する回転機構を設けることなく、カバー50を保護位置から露出位置まで自動的に回転させることができる。そして、カバー50は、模型眼測定位置で停止した測定ヘッド14によって露出位置に保たれる。
【0104】
図16は、測定ヘッド14のヘッド状態確認後における、カバー50の露出位置から保護位置への自動回転を説明するための説明図である。図16に示すように、模型眼測定制御部42は、測定ヘッド14のヘッド状態確認が完了すると、移動機構13を駆動して測定ヘッド14を模型眼測定位置からY方向下方側(図中の矢印Y2参照)に退避させる。この測定ヘッド14の退避に伴い、カバー50も自重により保護位置からY方向下方側に回転する(図15の符号XVIA及び符号XVIB参照)。
【0105】
引き続き、模型眼測定制御部42は、移動機構13を駆動して測定ヘッド14をY方向下方側に退避させることで、測定ヘッド14とカバー50との接触が解除されて、カバー50が露出位置まで回転する。これにより、カバー50の回転機構を設けることなく、カバー50を露出位置から保護位置まで自動的に回転させることができる。
【0106】
なお、回転軸50aにねじばねバネ等の弾性部材を設けて、測定ヘッド14の退避後に弾性部材の復元力によりカバー50を露出位置から保護位置まで回転させてもよい。
【0107】
以上のように第2実施形態の非接触式眼圧計10では、額当て部12bに保護位置と露出位置との間で回転自在なカバー50を設けることで、模型眼18の不使用時には保護位置に回転させたカバー50により模型眼18を覆うことができる。その結果、被検者が誤って模型眼18に触れてしまうことが防止される。
【0108】
また、第2実施形態の非接触式眼圧計10では、オートアライメントで移動機構13により模型眼測定位置に向けて移動される測定ヘッド14を利用してカバー50を保護位置から露出位置へ回転させ、逆に測定ヘッド14を模型眼測定位置から退避させることでカバー50を露出位置から保護位置に回転させることができる。その結果、カバー50の回転機構を設けることなく、カバー50の保護位置から露出位置への回転と、カバー50の露出位置から保護位置への回転とを自動的に実行することができる。これにより、非接触式眼圧計10の部品数を減らして低コストが図れる。
【0109】
図17は、第2実施形態の非接触式眼圧計10の変形例を説明するための説明図である。上記第2実施形態では測定ヘッド14を利用してカバー50を回転させているが、図17に示すように、モータ及びギヤ等で構成されるカバー回転機構52を用いて、カバー50を保護位置(図17の符号XVIIA参照)と露出位置(図17の符号XVIIB参照)との間で回転させてもよい。
【0110】
模型眼測定制御部42は、測定ヘッド14のヘッド状態確認時には、移動機構13が測定ヘッド14を模型眼測定位置に移動させる前にカバー回転機構52を駆動してカバー50を露出位置に回転させる。また、模型眼測定制御部42は、ヘッド状態確認の完了後には、移動機構13が測定ヘッド14を模型眼測定位置から退避させた後でカバー回転機構52を駆動してカバー50を保護位置に回転させる。
【0111】
なお、上記第2実施形態及びその変形例では、顔支持部12に対してカバー50が回転軸50aを中心として保護位置と露出位置との間で回転自在に設けられているが、回転軸50aの向きは特に限定されず、Z方向に平行であったり或いはY方向に平行であったりしてもよい。また、カバー50は、模型眼18の保護と露出とを切替可能であれば、顔支持部12に対して回転自在に設けられている必要はなく、例えば、カバー50がXYZ方向のいずれかの方向に開閉自在に設けられていてもよい。すなわち、カバー50は、保護位置と露出位置との間で変位自在(変形自在を含む)であれば、その構造及び顔支持部12に対する取付方法は特に限定はされない。
【0112】
[第3実施形態]
図18は、第3実施形態のレフラクトメータ10Aの側面図である。上記各実施形態では、本発明の眼科装置として非接触式眼圧計10を例に挙げて説明したが、図18に示すように被検眼Eの眼特性として眼屈折力を測定するレフラクトメータ10Aにも本発明を適用可能である。
【0113】
レフラクトメータ10Aは、非接触式眼圧計10とは異なる測定ヘッド14A及び模型眼18Aを備える点を除けば、上記各実施形態の非接触式眼圧計10と基本的には同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0114】
測定ヘッド14Aは、各種光学系及びセンサを用いて被検眼Eの眼屈折力を測定する機能を有している。なお、眼屈折力測定用の測定ヘッド14Aの具体的な構成については公知技術(例えば特開2015-112437号公報参照)であるので、ここでは説明を省略する。
【0115】
模型眼18Aは、上記各実施形態の模型眼18と同様に、額当て部12bのヘッド対向面17に固定されている。なお、模型眼18Aは、顔支持部12の「顔配置領域とは異なる位置」であれば額当て部12bのヘッド対向面17以外の位置に固定されていてもよい。
【0116】
図19は、第3実施形態の模型眼18Aの側面図である。図19及び既述の図18に示すように、模型眼18Aは、先端部が半球形に成形されたガラスである。また、模型眼18Aの底面には反射塗料膜54が形成されている。なお、模型眼18Aは、レフラクトメータ10Aでの眼屈折力測定に使用可能であれば、その形状及び構造は特に限定はされない。
【0117】
第3実施形態の制御装置16は、図示は省略するが、眼圧値演算部41の代わりに公知の眼屈折力演算部として機能する点を除けば、上記各実施形態の制御装置16と基本的に同じ構成である。
【0118】
第3実施形態の模型眼測定制御部42は、測定ヘッド14Aのヘッド状態確認時に、移動機構13を駆動してこの測定ヘッド14Aを模型眼測定位置まで移動させる移動処理を実行した後、模型眼測定位置での測定ヘッド14Aによる模型眼18Aの眼屈折力の測定処理を実行させる。
【0119】
第3実施形態の判定部43は、測定ヘッド14Aによる模型眼18Aの眼屈折力測定で得られるデータ、すなわち模型眼18Aの眼屈折力の測定値に基づいて、測定ヘッド14Aが正常であるか否かを判定する。具体的には判定部43は、模型眼18Aの眼屈折力の測定値と、既知の模型眼18Aの眼屈折力と、を比較して両者の差が閾値以下であれば測定ヘッド14Aが正常であると判定し、逆に両者の差が閾値よりも大きくなる場合には測定ヘッド14Aが正常ではないと判定する。
【0120】
第3実施形態の警告制御部44は、測定ヘッド14Aが正常ではないと判定部43が判定した場合には、その旨を示す警告情報48をモニタ15に表示させる。なお、警告制御部44が、警告情報48を不図示のスピーカから音声出力してもよい。
【0121】
以上のように第3実施形態のレフラクトメータ10Aにおいても、顔支持部12の顔配置領域とは異なる位置に模型眼18Aを固定することで、上記各実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0122】
[その他]
上記各実施形態では、本発明の眼科装置として非接触式眼圧計10及びレフラクトメータ10Aを例に挙げて説明したが、例えば接触式眼圧計、ケラトメータ、オートレフケラトメータ及び角膜内皮細胞検査装置などの被検眼Eの各種眼特性を取得する各種の眼科装置(複合機を含む)に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0123】
10…非接触式眼圧計
10A…レフラクトメータ
11…ベース
12…顔支持部
12a…顎受け部
12b…額当て部
12c…支柱
13…移動機構
14…測定ヘッド
14A…測定ヘッド
15…モニタ
16…制御装置
17…ヘッド対向面
18…模型眼
18A…模型眼
21…前眼部観察光学系
21a…前眼部照明光源
21b…ノズル
21c…前眼部窓ガラス
21d…チャンバー窓ガラス
21e…ハーフミラー
21f…対物レンズ
21g…ハーフミラー
21i…撮像素子
22…XYアライメント指標投影光学系
22a…XYアライメント用光源
22b…集光レンズ
22c…開口絞り
22d…ピンホール板
22e…ダイクロイックミラー
22f…コリメータレンズ
23…固視標投影光学系
23a…固視標用光源
23b…ピンホール板
24…圧平検出光学系
24a…レンズ
24b…ピンホール板
24c…受光センサ
25…Zアライメント指標投影光学系
25a…Zアライメント用光源
25b…集光レンズ
25c…開口絞り
25d…ピンホール板
25e…コリメータレンズ
26…Zアライメント検出光学系
26a…結像レンズ
26b…シリンドリカルレンズ
26c…受光センサ
34…吹付機構
34a…チャンバー室
34b…ガラス板
34c…圧力センサ
34d…シリンダ
34e…連通管
34f…ピストン
34g…ソレノイド
40…測定制御部
41…眼圧値演算部
42…模型眼測定制御部
43…判定部
44…警告制御部
48…警告情報
50…カバー
50a…回転軸
52…カバー回転機構
54…反射塗料膜
A1…気流
AS…圧平波形
D…微小付着物
E…被検眼
Ec…角膜
Ep…角膜頂点
O1…光軸
O2…光軸
O3…光軸
P1…ピーク
P2…ピーク
W1…圧平波形
W2…内圧波形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19