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2025-25987情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025987
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20250214BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B65G47/86 B
G01B21/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131297
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】桑原 脩
(72)【発明者】
【氏名】田口 和也
(72)【発明者】
【氏名】福井 花菜
(72)【発明者】
【氏名】古谷 文明
【テーマコード(参考)】
2F069
3F072
【Fターム(参考)】
2F069AA02
2F069JJ11
2F069NN09
2F069NN25
2F069QQ01
3F072AA06
3F072GA03
3F072KC01
3F072KC06
(57)【要約】
【課題】搬送装置の保持部の位置調整を容易化する情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】本実施の形態に係る情報処理方法は、物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理方法であって、情報処理装置が、前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理方法であって、
情報処理装置が、
前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、
取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、
前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、
前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記第1の搬送装置の保持部に対する前記第2の搬送装置の保持部の距離基準値を取得し、
前記距離基準値に対して許容される距離管理幅を取得し、
前記距離基準値、前記距離管理幅、前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記距離基準値及び前記距離管理幅に基づき、前記第1センサ距離が最大値の保持部及び最小値の保持部について調整基準範囲をそれぞれ算出し、
前記第1センサ距離が最大値の保持部についての調整基準範囲と前記第1センサ距離が最小値の保持部についての調整基準範囲との共通調整基準範囲を算出し、
前記第2センサ距離を基に、前記第2の搬送装置の保持部が前記共通調整基準範囲内となるように、前記保持部の調整量を算出する、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記共通調整基準範囲が存在しない場合、前記第1センサ距離が最大値の保持部についての逸脱範囲と前記第1センサ距離が最小値の保持部についての逸脱範囲との共通最小逸脱範囲を算出し、
前記第2の搬送装置の保持部が前記共通最小逸脱範囲内となるように、前記保持部の調整量を算出する、
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記保持部は、2つの爪部で前記物品を保持し、
前記保持部の爪部毎に調整量を算出する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
第1の搬送装置の保持部と第2の搬送装置の保持部との上下関係に関する情報を取得し、
取得した前記情報に基づいて調整量を算出する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記物品を授受する前記第1の搬送装置の保持部と前記第2の搬送装置の保持部との組み合わせに関する情報を取得し、
前記組み合わせ毎に、前記共通調整基準範囲の算出及び前記調整量の算出を行う、
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記第1の搬送装置の保持部について測定された第1センサ距離及び前記第2の搬送装置の保持部について測定された第2センサ距離を示すグラフ、又は、算出した前記第2の搬送装置の保持部の調整量に関する情報を表示部に表示する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記センサは各保持部までの距離を複数回測定し、
複数回の測定結果の統計値を前記第1センサ距離又は前記第2センサ距離として扱う、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理を実施させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、
取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、
前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、
前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する
処理を実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項11】
物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理を行う処理部を備える情報処理装置であって、
前記処理部が、
前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、
取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、
前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、
前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置の保持部の位置を調整するための情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、複数の搬送装置の間で物品の保持位置を調整する調整方法が提案されている。この調整方法では、まず、第1搬送装置の複数の保持部の中から代表保持部を決定し、保持部が移動している間に各保持部について代表保持部に対する偏差を非接触の距離センサを用いて連続的に測定し、各保持部について測定された偏差に基づいて代表保持部に対する位置を調整する。次いで、第2搬送装置の複数の保持部の中から代表保持部を決定し、第2搬送装置の代表保持部について第1搬送装置の代表保持部に対する位置を調整し、第2搬送装置の保持部が移動している間に各保持部の各々についての代表保持部に対する偏差を非接触の距離センサを用いて連続的に測定し、各保持部について測定された偏差に基づいて代表保持部に対する位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-94070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料の充填ラインなどでは、搬送装置が飲料の容器を保持部で保持して搬送する。搬送装置において保持部による対象物品の保持位置が適切でない場合、搬送する対象物品の破損又は搬送装置自身の保持部の破損等が生じ得る。これらを避けるために、搬送装置の保持部の位置調整が定期的に行われる必要がある。位置調整の作業は作業員等による手作業で行われており、調整の作業には多大な時間を要する。多大な時間を要することから搬送装置が有する複数の保持部について、その全ての位置調整を行うことが難しい場合もある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、搬送装置の保持部の位置調整を容易化する情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る情報処理方法は、物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理方法であって、情報処理装置が、前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態による場合は、搬送装置の保持部の位置調整を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る情報処理システムが扱う搬送システムの一例を説明するための模式図である。
図2】本実施の形態に係る情報処理システムが扱う搬送システムの一例を説明するための模式図である。
図3】本実施の形態に係る情報処理システムが扱う搬送システムの一例を説明するための模式図である。
図4】本実施の形態に係る情報処理システムが扱う搬送システムの一例を説明するための模式図である。
図5】本実施の形態に係る情報処理システムの概略を説明するための模式図である。
図6】本実施の形態に係る情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
図7】センサ3による測定結果の一例を示すグラフである。
図8】距離基準値及び距離管理幅を説明するための模式図である。
図9】共通調整基準範囲を説明するための模式図である。
図10】共通最小逸脱範囲を説明するための模式図である。
図11】本実施の形態に係る情報処理装置が行う調整量算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12】情報処理装置が表示する調整情報画面の一例を示す模式図である。
図13】グラフ表示の一例を示す模式図である。
図14】調整量の一表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る情報処理システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
<搬送システム>
図1図4は、本実施の形態に係る情報処理システムが扱う搬送システムの一例を説明するための模式図である。なお図1には、搬送システムの平面視の構成が模式的に示されている。また図2には、搬送システムの側面視の構成が模式的に示されている。本実施の形態に係る搬送システムは、3つの搬送装置101~103を備えている。各搬送装置101~103は、例えば円盤状の回転体の外周部に、周方向へ等間隔に複数の保持部を設けた構成である。各搬送装置101~103は、各保持部に例えば飲料容器などの対象物品を保持し、図示しないモータ等により回転体を回転させることで、保持部に保持した対象物品を搬送することができる。
【0011】
図1に示した例では、径が小さい搬送装置101及び103にはそれぞれ8個の保持部が設けられ、径が大きい搬送装置102には12個の保持部が設けられている。3つの搬送装置101~103は、搬送装置101、搬送装置102、搬送装置103の順番に並べて配されている。また平面視で搬送装置101及び103は反時計回りに回転し、搬送装置102は時計回りに回転する。搬送装置101の保持部111に保持された対象物品は、搬送装置101及び102が近接する地点で、搬送装置101の保持部111から搬送装置102の保持部121へ受け渡される。そして搬送装置102の保持部121に保持された対象物品は、搬送装置102及び103が近接する地点で、搬送装置102の保持部121から搬送装置103の保持部131へ受け渡される。これにより対象物品は、搬送装置101、搬送装置102、搬送装置103の順に搬送されることとなる。
【0012】
各搬送装置101~103に設けられる保持部111~131は、上下方向(垂直方向、回転体の軸方向)に関して定められた位置(高さ)に設けられる。しかし各保持部111~131の位置には、図2に示すようにバラツキが生じ得る。各搬送装置101~103の保持部111~131の位置は調整可能であり、搬送システムを利用するユーザは、定期的に保持部111~131の位置を点検し、必要に応じて位置を調整する作業を行う。なお図2は、説明のために複数の保持部111~113の位置のバラツキを誇張して描いたものであり、実際のバラツキは例えば1ミリメートル又はそれ以下である。
【0013】
図3には、搬送装置101及び102が最も近接する箇所、即ち図1において破線円で囲まれた箇所及び図2において破線四角で囲まれた箇所が拡大した側面視で示されている。この箇所において搬送装置101の保持部111と搬送装置102の保持部121とは、その一部分が上下に所定の距離を隔てて重なり合う。この箇所において保持部111が保持していた対象物品を保持部121が保持し、保持部111が対象物品を解放することで、対象物品が搬送装置101から搬送装置102へと受け渡される。搬送システムにおいては、対象物品を受け渡す位置における2つの保持部111、121の距離の適正値が定められており、ユーザは2つの保持部111、121がこの適正値となるように保持部111、121の位置を調整する。なお図3においては、対象物品として飲料の容器を想定し、容器の形状を破線で示している。ただし対象物品は飲料の容器に限らず、どのようなものであってもよい。
【0014】
図4には、搬送装置101の保持部111の一例の写真が示されている。本例の保持部111は、対象物品を保持するための2つの爪部111a及び111bを有する構成である。2つの爪部111a及び111bは湾曲した形状であり、この湾曲部分に対象物品を挟み込むことで対象物品を保持することができる。2つの爪部111a及び111bはそれぞれ個別に上下方向の位置が調整可能であり、ユーザは各爪部111a及び111bについて位置の点検及び調整を行う必要がある。なお図4に示す保持部111の構成は一例であって、これに限るものではなく、保持部111の構成は搬送する対象物品の形状等に基づいて適宜に決定され得る。
【0015】
<情報処理システム>
図5は、本実施の形態に係る情報処理システムの概略を説明するための模式図である。本実施の形態に係る情報処理システムでは、上述のように対象物品の受け渡しを行う2つの搬送装置を対象に、一方の搬送装置の保持部の位置を基準として、他方の搬送装置の保持部の位置を調整するため、他方の搬送装置の保持部の調整量を情報処理装置1が算出するシステムである。以下、対象物品の受け渡しを行う2つの搬送装置のうち、基準となる一方の搬送装置を第1搬送装置201と呼び、保持部の位置を調整する他方の搬送装置を第2搬送装置202と呼ぶ。2つの搬送装置のいずれを第1搬送装置201とし、いずれを第2搬送装置202とするかは、搬送システムの構成により定められるか、又は、調整を行うユーザにより適宜に定められる。
【0016】
情報処理装置1が保持部の位置の調整量を算出するため、本実施の形態に係る情報処理システムでは、対象までの距離を測定するセンサ3が用いられる。センサ3は、例えばレーザ光、超音波又は電波等の出射及びその反射波の検出により対象までの距離を測定するセンサである。本例においてセンサ3は、例えば搬送装置の保持部の上方に配置され、保持部へ向けて下方へ光等を出射してその反射波を検出する。ただしセンサ3は、保持部の下方に配置され、保持部へ向けて上方へ光等を出射してその反射波を検出してもよい。
【0017】
本実施の形態に係る情報処理システムでは、このセンサ3を用いて、第1搬送装置201に設けられた複数の保持部211までの距離の測定と、第2搬送装置202に設けられた複数の保持部212までの距離とを測定する。第1搬送装置201の保持部211の測定と、第2搬送装置202の保持部212の測定とには、同じセンサ3が用いられてもよく、異なるセンサ3が用いられてもよい。ただし、測定の際の垂直方向に関するセンサ3の位置(即ちセンサ3の高さ)は、以降の演算において基準の位置(即ち距離0となる位置)となるため、保持部211の測定を行う際と保持部212の測定を行う際とで同じ位置とするか、又は、差がある場合にはその差を測定して測定結果を補正できることが望ましい。
【0018】
本実施の形態に係る情報処理システムでは、例えばセンサ3を所定位置に設置した後、搬送装置の回転体を回転させながらセンサ3による距離の測定を連続的に行うことにより、搬送装置が有する複数の保持部までの距離を連続的に測定する。1つのセンサ3を用いて第1搬送装置201及び第2搬送装置202の測定を行う場合、例えばまず第1搬送装置201に対してセンサ3を設置して測定を行った後、第2搬送装置202に対してセンサ3を設置して測定を行う。2つのセンサ3を用いて測定を行う場合には、例えば第1搬送装置201及び第2搬送装置202の両方の測定を同時的に行うこともできる。センサ3が測定した距離の情報は、情報処理装置1へ与えられる。
【0019】
搬送装置の回転体を回転させて連続的に距離を測定した場合、センサ3の測定結果は、測定した距離の時系列データとなる。情報処理装置1は、センサ3から得られた測定結果の時系列データを基に、搬送装置が備える複数の保持部について、センサ3から各保持部までの距離を特定(又は算出等)する。情報処理装置1は、第1搬送装置201に関するセンサ3の測定結果を基に、第1搬送装置201の各保持部211についてセンサ3からの距離を特定する。また情報処理装置1は、第2搬送装置202に関するセンサ3の測定結果を基に、第2搬送装置202の各保持部212についてセンサ3からの距離を特定する。以下、第1搬送装置201の各保持部211についてセンサ3により測定された距離を第1センサ距離と呼び、第2搬送装置202の各保持部212についてセンサ3により測定された距離を第2センサ距離と呼ぶ。
【0020】
情報処理装置1は、センサ3の測定結果に基づいて得られた第1搬送装置201の各保持部211についての第1センサ距離と、第2搬送装置202の各保持部212についての第2センサ距離とに基づいて、第2搬送装置202の各保持部212の上下方向の位置に関する調整量を算出する処理を行う。図6は、本実施の形態に係る情報処理装置1の一構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る情報処理装置1は、処理部11、記憶部(ストレージ)12、通信部(トランシーバ)13、表示部14及び操作部15等を備えて構成されている。なお本実施の形態においては、1つの情報処理装置1にて処理が行われるものとして説明を行うが、複数の情報処理装置が分散して処理を行ってもよい。情報処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン又はタブレット型端末装置等の種々の汎用的な装置であってよく、また例えば搬送装置を制御するコンピュータ又は搬送装置自身であってよい。
【0021】
処理部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)又は量子プロセッサ等の演算処理装置、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を用いて構成されている。処理部11は、記憶部12に記憶されたプログラム12aを読み出して実行することにより、センサ3から得られた測定結果に基づいて搬送装置の保持部の位置の調整量を算出する処理、及び、算出結果を表示する処理等の種々の処理を行う。
【0022】
記憶部12は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部12は、処理部11が実行する各種のプログラム、及び、処理部11の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部12は、処理部11が実行するプログラム12aを記憶する。本実施の形態においてプログラム(コンピュータプログラム、プログラム製品)12aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体99に記録された態様で提供され、情報処理装置1は記録媒体99からプログラム12aを読み出して記憶部12に記憶する。ただし、プログラム12aは、例えば情報処理装置1の製造段階において記憶部12に書き込まれてもよい。また例えばプログラム12aは、遠隔の他のサーバ装置等が配信するものを情報処理装置1が通信にて取得してもよい。例えばプログラム12aは、記録媒体99に記録されたものを書込装置が読み出して情報処理装置1の記憶部12に書き込んでもよい。プログラム12aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体99に記録された態様で提供されてもよい。
【0023】
通信部13は、例えばUSB(Universal Serial Bus)又はイーサネット等の適宜の通信規格の通信ケーブルが接続され、通信ケーブルを介して他の装置との間でデータの送受信を行う。本実施の形態において通信部13は、通信ケーブルを介してセンサ3が接続され、センサ3が測定した距離の情報を受信して処理部11へ与える。なお通信部13は、無線LAN(Local Area Network)等の通信規格に基づく無線通信をセンサ3との間で行う構成であってもよい。また本実施の形態においてはセンサ3が搬送装置及び情報処理装置1とは別体の装置であるものとするが、これに限るものではなく、センサ3が搬送装置又は情報処理装置1に搭載されるものであってもよい。また情報処理装置1は、センサ3の測定結果を通信により取得するのではなく、例えばメモリカード等の記録媒体を介して取得してもよく、ユーザ等が測定結果を手作業で入力したものを取得してもよい。
【0024】
表示部14は、液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理部11の処理に基づいて種々の画像及び文字等を表示する。本実施の形態において表示部14は、例えば搬送装置の各保持部の位置、調整の要否及び調整量等の情報を表示する。操作部15は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作を処理部11へ通知する。例えば操作部15は、マウス及びキーボード等の入力デバイスであってよく、これらの入力デバイスは情報処理装置1に対して取り外すことが可能な構成であってもよい。また例えば操作部15は、機械式のボタン又は表示部14の表面に設けられたタッチパネル等の入力デバイスによりユーザの操作を受け付けてもよい。
【0025】
なお記憶部12は、情報処理装置1に接続された外部記憶装置であってよい。また情報処理装置1は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。また情報処理装置1は、上記の構成に限定されず、例えば表示部14及び操作部15等を備えていなくてもよい。
【0026】
また本実施の形態に係る情報処理装置1には、記憶部12に記憶されたプログラム12aを処理部11が読み出して実行することにより、距離情報取得部11a、最大最小特定部11b、条件情報取得部11c、調整基準範囲算出部11d、調整量算出部11e及び表示処理部11f等が、ソフトウェア的な機能部として処理部11に実現される。なお本図においては、処理部11の機能部として、搬送装置の保持部の位置の調整量を算出する処理に関連する機能部を図示し、これ以外の処理に関する機能部は図示を省略している。
【0027】
距離情報取得部11aは、通信部13にてセンサ3との通信を行うことにより、センサ3による保持部までの距離の測定結果の情報を取得する処理を行う。本実施の形態においては、搬送装置の回転体を回転させて複数の保持部に関する測定を連続的に行うため、センサ3から取得される測定結果の情報は、複数のセンサ値の時系列データとなる。距離情報取得部11aは、センサ3から測定結果として取得した時系列データを基に、搬送装置が備える各保持部についてセンサ3からの距離が時系列データに含まれるデータのいずれであるかを特定する。これにより距離情報取得部11aは、第1搬送装置201についての測定結果の時系列データを基に各保持部211についての第1センサ距離を取得し、第2搬送装置202についての測定結果の時系列データを基に各保持部212についての第2センサ距離を取得する。
【0028】
最大最小特定部11bは、基準となる第1搬送装置201についてセンサ3から得られた複数の第1センサ距離の中から、最大値及び最小値を特定する処理を行う。第1搬送装置201がN個の保持部211を備えている場合、距離情報取得部11aによりN個の第1センサ距離が得られ、最大最小特定部11bは、これらN個の第1センサ距離を比較して、その中から最大値及び最小値を特定する。
【0029】
条件情報取得部11cは、第2搬送装置202の各保持部212の調整量を算出する際に満たすべき条件に関する情報を取得する処理を行う。本実施の形態において条件情報取得部11cが取得する情報には、第1搬送装置201の保持部211に対する第2搬送装置202の保持部212の距離基準値と、この距離基準値に対して許容される距離管理幅との2つの条件が含まれる。条件情報取得部11cは、例えばユーザからの条件の入力を受け付けることで条件情報を取得してもよく、また例えば予め条件が記載された設定ファイルなどを読み込むことで条件情報を取得してもよく、これら以外の方法で条件情報を取得してもよい。
【0030】
調整基準範囲算出部11dは、条件情報取得部11cが取得した距離基準値及び距離管理幅の条件情報に基づいて、第2搬送装置202の各保持部212の位置調整の目標範囲となる調整基準範囲を算出する処理を行う。また調整基準範囲算出部11dは、算出した調整基準範囲と、最大最小特定部11bが特定した第1センサ距離の最大値及び最小値とを基に、第1センサ距離が最大値の保持部211に対する調整基準範囲と最小値の保持部211に対する調整基準範囲とで共通する範囲(共通調整基準範囲)を算出する処理を行う。
【0031】
また第1センサ距離の最大値及び最小値と条件情報に含まれる距離基準値及び距離管理幅との値によっては、共通調整基準範囲が存在しない場合があり得る。この場合に調整基準範囲算出部11dは、第1センサ距離が最大値の保持部211に対する調整基準範囲と最小値の保持部211に対する調整基準範囲とから逸脱した範囲において、共通する最小の範囲を共通最小逸脱範囲として算出する。
【0032】
なお、上述の距離基準値、距離管理幅、調整基準範囲、共通調整基準範囲及び共通最小逸脱範囲の定義及び算出方法の詳細は、後述する。
【0033】
調整量算出部11eは、距離情報取得部11aが取得した第2搬送装置202の各保持部212の第2センサ距離と、調整基準範囲算出部11dが算出した共通調整基準範囲又は共通最小逸脱範囲とに基づいて、第2搬送装置202の各保持部212の調整量を算出する処理を行う。調整量算出部11eは、共通調整基準範囲又は共通最小逸脱範囲の中央位置を調整の目標位置とし、現在の位置からこの目標位置まで保持部212を移動させる距離を算出することで、各保持部212の調整量を算出することができる。
【0034】
表示処理部11fは、種々の文字及び画像を表示部14に表示する処理を行う。本実施の形態において表示処理部11fは、例えば距離情報取得部11aが取得した第1センサ距離及び第2センサ距離に基づいて、第1搬送装置201の保持部211及び第2搬送装置202の保持部212について、調整前の時点における上下方向の位置を示すグラフを表示する。また例えば表示処理部11fは、調整量算出部11eが算出した第2搬送装置202の各保持部212の調整量を表形式又はグラフ形式で表示する。また表示処理部11fは、これら以外の種々の情報を表示部14に表示してよい。
【0035】
<センサ距離の取得処理>
本実施の形態に係る情報処理システムでは、搬送装置が備える複数の保持部について上下方向の位置を把握するため、センサ3を用いた距離の測定が行われる。ユーザは、例えば複数の保持部が設けられた回転体の上方又は下方の適宜の位置にセンサ3を設置する。センサ3は例えば光等の出射及び反射光の検出により距離を測定するものであり、ユーザはセンサ3からの出射光等が搬送装置の保持部の1つへ照射されるように、センサ3の配置を適宜に設定することが好ましい。その後、ユーザは搬送装置を動作させて複数の保持部が設けられた回転体を回転させ、例えば回転体の1回転において得られたセンサ3の出力値を測定結果として情報処理装置1へ送信する。
【0036】
図7は、センサ3による測定結果の一例を示すグラフである。センサ3は、搬送装置の回転体の回転周期と比較して短い周期で、距離の測定を繰り返し行っている。このためセンサ3から得られる測定結果は、多数の測定値が時系列的に並ぶ時系列データとなる。また搬送装置の回転体には所定間隔で複数の保持部が配置されており、回転体を回転させることで、センサ3は、保持部が存在している箇所の距離測定と、保持部が存在していない箇所の距離測定とを順に繰り返し行うこととなる。図7に示すようにセンサ3の測定結果をグラフ化したものは、凹部分と凸部分とが交互に繰り返される形状となる。測定した搬送装置がN個の保持部を備えている場合、回転体を1回転させてセンサ3により距離を測定して得られる時系列データには、N回の凹凸の繰り返しが含まれる。このうち凸部分が保持部の距離を示す値である場合、情報処理装置1は、1つの凸部分に含まれる複数の測定値について例えば平均値、中央値、最大値又は最小値等の統計値を算出し、算出した統計値を対応する保持部についての距離測定の結果とすることができる。
【0037】
情報処理装置1は、第1搬送装置201についてのセンサ3による測定結果の時系列データから保持部211についての複数の第1センサ距離を取得し、第2搬送装置202についてのセンサ3による測定結果の時系列データから保持部212についての複数の第2センサ距離を取得することができる。得られる第1センサ距離の個数と、第2センサ距離の個数とは異なっていてよい。
【0038】
なお搬送装置が備える複数の保持部は、例えば1から順に識別番号が付されるなど、ユーザが区別可能な構成であることが好ましい。ユーザは、例えば1番目の保持部から順にセンサ3による距離の測定を行うことで、測定により得られた複数のセンサ距離がいずれの保持部に対応するものであるかを判別し易くすることができる。センサ3は単に距離の測定を繰り返し行うのみであり、いずれの保持部の測定を行っているかを判断することがないため、情報処理装置1は、センサ3の測定結果の時系列データから得られる複数のセンサ距離がいずれの保持部のものであるかを区別することはできず、例えば時系列データに収められた順に1番目の保持部のセンサ距離、2番目の保持部のセンサ距離、…として対応付けて扱えばよい。また例えば情報処理装置1は、測定結果として複数のセンサ値を表示部14に表示し、いずれのセンサ値がいずれの保持部に対応するかに関する設定をユーザから受け付けてもよい。
【0039】
<調整量算出処理>
第1搬送装置201の保持部211に関する第1センサ距離及び第2搬送装置202の保持部212に関する第2センサ距離を取得した情報処理装置1は、調整対象となる第2搬送装置202の各保持部212の調整量を算出する処理を開始する。このために情報処理装置1は、まず、調整量の算出の条件となる情報の入力をユーザから受け付ける。本実施の形態に係る情報処理システムでは、第1搬送装置201の保持部211に対する第2搬送装置202の保持部212の距離基準値と、この距離基準値に対して許容される距離管理幅との2つの条件情報の入力を、情報処理装置1が適宜の入力画面等を表示してユーザから受け付ける。
【0040】
図8は、距離基準値及び距離管理幅を説明するための模式図である。図8には、センサ3と、第1搬送装置201の保持部211と、第2搬送装置202の保持部212との上下方向の位置関係が示されている。なお本図及び以下の説明では、センサ3が保持部211及び保持部212に対して上から距離を測定し、且つ、第1搬送装置201の保持部211の下方に第2搬送装置202の保持部212が配されるものとする。ただしこれらの位置関係に限定されるものではなく、例えばセンサ3が下から距離を測定してもよく、また例えば第1搬送装置201の保持部211の上方に第2搬送装置202の保持部212が配されてもよい。
【0041】
本図に示すように、第1センサ距離は、センサ3から第1搬送装置201の保持部211の上面までの距離である。同様に第2センサ距離は、センサ3から第2搬送装置202の保持部212の上面までの距離である。また本実施の形態において第1センサ距離及び第2センサ距離は、センサ3の位置を原点として保持部211及び212の位置を示す情報でもあるため、第1センサ距離の測定時のセンサ3の位置(高さ)と第2センサ距離の測定時のセンサ3の位置とが同じであるか、又は、両位置が異なる場合にはその差異を測定しておき、原点を揃えた値になるよう第1センサ距離又は第2センサ距離のいずれかを補正することが好ましい。
【0042】
本実施の形態においてユーザからの入力を受け付ける距離基準値は、第1搬送装置201の保持部211の下面と第2搬送装置202の保持部212の上面との距離の最適値(目標値)である。図8において距離基準値がAの破線矢印で示されており、本例では保持部211及び212が距離基準値Aよりも離れている。また距離管理幅は、上記の前記距離基準値に対して許容される幅であり、図8において距離管理幅がBの破線矢印で示されている。即ち、第1搬送装置201の保持部211の下面と第2搬送装置202の保持部212の上面との距離が、(距離基準値A-距離管理幅B)から(距離基準値A+距離管理幅B)までの範囲に収まるよう、第2搬送装置202の保持部212の位置を調整することが、本実施の形態において保持部212の調整の目標である。
【0043】
また本例の場合、ユーザから受け付ける条件情報には、上記の距離基準値A及び距離管理幅Bの他に、第1搬送装置201の保持部211の厚みPが含まれる。(第1センサ距離+厚みP)が、保持部211の下面の位置となる。ただし、距離基準値Aを、第1搬送装置201の保持部211の上面と第2搬送装置202の保持部212の上面との距離と定義する場合には、厚みPの条件は不要である。
【0044】
本実施の形態においては、この(距離基準値A-距離管理幅B)から(距離基準値A+距離管理幅B)までの範囲を、調整基準範囲と呼ぶ。また、この調整基準範囲の外側の範囲を、逸脱範囲と呼ぶ。即ち、第1搬送装置201の保持部211の下面と第2搬送装置202の保持部212の上面との距離が、0から(距離基準値A-距離管理幅B)までの範囲と、(距離基準値A+距離管理幅B)より大きい範囲とが、逸脱範囲に相当する。これらの調整基準範囲及び逸脱範囲は、条件情報として得られた距離基準値A、距離管理幅B及び厚みPに応じて、各保持部211に対して一意的に定まる。
【0045】
情報処理装置1は、第1センサ距離が最大値の保持部211と最小値の保持部211とを特定し、この2つの保持部211についてそれぞれ定まる調整基準範囲及び逸脱範囲を基に、共通調整基準範囲又は共通最小逸脱範囲を算出する処理を行う。図9は、共通調整基準範囲を説明するための模式図である。本実施の形態に係る情報処理装置1は、第1搬送装置201の複数の保持部211についてセンサ3の測定により得られる複数の第1センサ距離を基に、第1センサ距離が最大の保持部211と、第1センサ距離が最小の保持部211とを特定する。図9の左側には、第1センサ距離が最小の保持部211について、調整基準範囲及び逸脱範囲等の関係を示している。また図9の右側には、第1センサ距離が最大の保持部211について、調整基準範囲及び逸脱範囲等の関係を示している。
【0046】
第1搬送装置201の保持部211との間で搬送する対象物品の受け渡しを行う第2搬送装置202の保持部212は、第1搬送装置201の保持部211の調整基準範囲内に位置することが望まれる。本実施の形態に係る情報処理システムでは、第1搬送装置201の保持部211について位置の調整は行わず、第2搬送装置202の保持部212について位置の調整を行う。このため第2搬送装置202の各保持部212は、第1搬送装置201の全ての保持部211の調整基準範囲内に収まるように位置の調整がなされる必要がある。即ち、第2搬送装置202の各保持部212は、第1搬送装置201の最も上に位置する(第1センサ距離が最小の)保持部211の調整基準範囲と、最も下に位置する(第1センサ距離が最大の)保持部211の調整基準範囲との共通部分に収まる必要がある。この共通部分を本実施の形態においては共通調整基準範囲といい、図9には太線の四角枠で共通調整基準範囲が示されている。
【0047】
図9に示す例において共通調整基準範囲は、センサ3の位置を原点として、(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A-距離管理幅B)から(最小第1センサ距離+厚みP+距離基準値A+距離管理幅B)までの範囲となる。
【0048】
ただし、第1搬送装置201の複数の保持部211の配置についてバラツキが大きい場合、共通調整基準範囲が存在しない可能性がある。これは、(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A-距離管理幅B)>(最小第1センサ距離+厚みP+距離基準値A+距離管理幅B)に相当する場合である。このような場合に情報処理装置1は、共通調整基準範囲に代えて、共通最小逸脱範囲を算出する。
【0049】
図10は、共通最小逸脱範囲を説明するための模式図である。共通調整基準範囲が存在しない場合、第2搬送装置202の保持部212を調整したとしても、第1搬送装置201の保持部211と第2搬送装置202の保持部212との間で搬送の対象物品の受け渡しが正しく行われない可能性はある。しかしながら本実施の形態に係る情報処理システムでは、搬送に対する悪影響を最小限に抑えるため、第1搬送装置201の保持部211に関する共通最小逸脱範囲を算出し、この共通最小逸脱範囲を調整の目標範囲とする。
【0050】
共通最小逸脱範囲は、第1搬送装置201の第1センサ距離が最大の保持部211の逸脱範囲と、第1センサ距離が最小の保持部211の逸脱範囲とで共通する範囲(共通逸脱範囲)のうち、その範囲が最も狭い(最小の)ものである。第1センサ距離が最大の保持部211と第1センサ距離が最小の保持部211との共通逸脱範囲は、(最小第1センサ距離+厚みP+距離基準値A-距離管理幅B)より上の範囲と、(最小第1センサ距離+厚みP+距離基準値A+距離管理幅B)から(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A-距離管理幅B)までの範囲と、(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A+距離管理幅B)より下の範囲との3つの範囲である。これらのうちで範囲が最小となるのは、(最小第1センサ距離+厚みP+距離基準値A+距離管理幅B)から(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A-距離管理幅B)までの範囲であり、この範囲が共通最小逸脱範囲である。換言すると、共通最小逸脱範囲は、第1センサ距離が最小の保持部211の調整基準範囲の下端から第1センサ距離が最大値の保持部211の調整基準範囲の上端までの範囲である。図10には太線の四角枠で共通最小逸脱範囲が示されている。
【0051】
共通調整基準範囲を算出した情報処理装置1は、算出した共通調整基準範囲と、第2搬送装置202の各保持部212に関する第2センサ距離とを基に、第2搬送装置202の各保持部212の調整量を算出する処理を行う。情報処理装置1は、例えば共通調整基準範囲の中央位置を目標位置として、各保持部212の現状の位置(第2センサ距離)との差分を算出することで、各保持部212の調整量を算出する。
【0052】
例えば共通調整基準範囲が(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A-距離管理幅B)から(最小第1センサ距離+厚みP+距離基準値A+距離管理幅B)までの範囲である場合、調整の目標位置となる共通調整基準範囲の中央位置は(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A)である。情報処理装置1は、各保持部212の調整量を、(最大第1センサ距離+厚みP+距離基準値A)-(第2センサ距離)の演算を行うことで算出することができる。本例では、調整量の符号がプラスの場合には保持部212を下方へ移動させることを示し、調整量の符号がマイナスの場合には保持部212を上方へ移動させることを示している。
【0053】
また、情報処理装置1は、共通調整基準範囲が存在しない場合には、算出した共通最小逸脱範囲と、第2搬送装置202の各保持部212に関する第2センサ距離とを基に、第2搬送装置202の各保持部212の調整量を算出する処理を行う。情報処理装置1は、共通調整基準範囲に基づく調整量の算出と同様に、例えば共通最小逸脱範囲の中央位置を目標位置として、各保持部212の現状の位置(第2センサ距離)との差分を算出することで、各保持部212の調整量を算出することができる。
【0054】
情報処理装置1は、第2搬送装置202の各保持部212について算出した調整量を表示部14に表示して、ユーザに調整量を通知する。なお情報処理装置1は、共通調整基準範囲内に既に位置している保持部212について、例えば調整の対象外又は調整量を0としてユーザに通知してもよく、また例えば共通調整基準範囲の中央位置への調整を促すべく調整量を算出してユーザに通知してもよい。
【0055】
図11は、本実施の形態に係る情報処理装置1が行う調整量算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。本実施の形態に係る情報処理装置1の処理部11の距離情報取得部11aは、第1搬送装置201が備える複数の保持部211についてのセンサ3による距離の測定結果の時系列データを基に、例えば適宜のデータ抽出及び統計値の算出等を行うことによって、センサ3から各保持部211までの第1センサ距離を取得する(ステップS1)。同様に、距離情報取得部11aは、第2搬送装置202が備える複数の保持部212についてのセンサ3による距離の測定結果の時系列データを基に、センサ3から各保持部212までの第2センサ距離を取得する(ステップS2)。
【0056】
処理部11の条件情報取得部11cは、例えば適宜の入力画面を表示部14に表示してユーザによる情報の入力を受け付けることにより、調整量算出に関する条件情報を取得する(ステップS3)。なお本実施の形態において取得する条件情報には、距離基準値A、距離管理幅B及び保持部211の厚みP等の情報が含まれる。また処理部11の最大最小特定部11bは、ステップS1にて取得した第1搬送装置201の保持部211に関する複数の第1センサ距離から、最大値及び最小値を特定する(ステップS4)。
【0057】
次いで処理部11の調整基準範囲算出部11dは、ステップS3にて取得した条件情報を基に、ステップS4にて特定した最小第1センサ距離の保持部211について、調整基準範囲を算出する(ステップS5)。同様に、調整基準範囲算出部11dは、ステップS3にて取得した条件情報を基に、ステップS4にて特定した最大第1センサ距離の保持部211について、調整基準範囲を算出する(ステップS6)。調整基準範囲算出部11dは、ステップS5にて算出した最小第1センサ距離に関する調整基準範囲と、ステップS6にて算出した最大第1センサ距離に関する調整基準範囲とに重複する範囲が存在するか否かを調べることにより、共通調整基準範囲の有無を判定する(ステップS7)。
【0058】
共通調整基準範囲が存在する場合(S7:YES)、調整基準範囲算出部11dは、最小第1センサ距離に関する調整基準範囲と最大第1センサ距離に関する調整基準範囲との共通調整基準範囲を算出し(ステップS8)、ステップS10へ処理を進める。共通調整基準範囲が存在しない場合(S7:NO)、調整基準範囲算出部11dは、最小第1センサ距離に関する逸脱範囲と、最大第1センサ距離に関する逸脱範囲との共通最小逸脱範囲を算出し(ステップS9)、ステップS10へ処理を進める。
【0059】
処理部11の調整量算出部11eは、ステップS8にて算出した共通調整基準範囲又はステップS9にて算出した共通最小逸脱範囲を基に、第2搬送装置202の保持部212の目標位置を決定する(ステップS10)。このときに調整量算出部11eは、例えば共通調整基準範囲又は共通最小逸脱範囲の中央位置を保持部212の調整の目標位置と決定することができる。調整量算出部11eは、ステップS2にて取得した各保持部212の第2センサ距離と、ステップS10にて決定した目標位置とに基づいて、各保持部212の調整量を算出する(ステップS11)。処理部11の表示処理部11fは、ステップS11における保持部212の調整量の算出結果を適宜の表示態様で表示部14に表示し(ステップS12)、処理を終了する。
【0060】
<表示処理>
図12は、情報処理装置1が表示する調整情報画面の一例を示す模式図である。本実施の形態に係る情報処理装置1は、上述の調整量算出処理により算出した各保持部212の調整量を含む種々の情報を、図示の調整情報画面300にまとめて表示する。本例の調整情報画面300には、測定情報表示領域301、設定情報表示領域302、グラフ作成ボタン303、グラフ削除ボタン304、調整量算出ボタン305、グラフ表示領域306及び調整量表示領域307等が設けられている。
【0061】
例えば調整情報画面300の上側の広い領域には、測定情報表示領域301が左側に設けられ、且つ、設定情報表示領域302が右側に設けられる。調整情報画面300の上下方向の中央の狭い領域には、左端に寄せてグラフ作成ボタン303及びグラフ削除ボタン304が左右に並べて設けられ、右端に寄せて調整量算出ボタン305が設けられている。また調整情報画面300の下側の広い領域には、グラフ表示領域306及び調整量表示領域307が上下に並べて設けられている。
【0062】
測定情報表示領域301は、調整対象となる搬送装置等に関する種々の情報を表示するための領域である。本例において測定情報表示領域301には、情報の種類とその内容とが「情報の種類:情報の内容」の態様で一覧表示される。例えば図示の測定情報表示領域301には、測定情報として「工場名:AA工場」、「ライン名:BBライン」、「測定名称:CCホイールバラツキ」、「測定日時:2023/8/31 13:57」及び「測定周期:1ms」等の情報が表示されている。また例えば図示の測定情報表示領域301には、第1搬送装置201に関する情報として「部品名称:ホイールA」、「開始No.:1」、「測定数:N」及び「回転方向:時計回り」等の情報が表示されている。また例えば図示の測定情報表示領域301には、第2搬送装置202に関する情報として「部品名称:ホイールB」、「開始No.:1」、「測定数:M」及び「回転方向:時計回り」等の情報が表示されている。これらの情報は、例えばユーザにより予め入力されるか、又は、情報処理装置1により自動的に取得もしくは生成される。
【0063】
設定情報表示領域302は、保持部212の調整量の算出に関してユーザが設定した条件及び情報の表示に関してユーザが設定した条件等の情報を表示するための領域である。例えば設定情報表示領域302には、設定情報として「データクレンジング設定」、「グリッパ位置の算出方法選択」、「グラフ表示の種類選択」、「固定側装置選択」、「距離基準値」、「距離管理幅」及び「保持部の厚み」等の設定項目名が一覧表示されている。ユーザはこれらの設定項目に対するクリック操作又はタップ操作等の選択操作を行うことにより、選択した設定項目に関する設定画面(図示は省略する)を表示させて、条件を入力することができる。情報処理装置1は、ユーザにより条件が設定された設定項目については、例えば「設定項目名:設定値」の態様で情報を表示してよい。
【0064】
グラフ作成ボタン303は、例えばユーザによるクリック操作又はタップ操作等の操作を受け付けることにより、ユーザからグラフ作成の指示を受け付けるための図形要素である。例えば情報処理装置1は、第1搬送装置201又は第2搬送装置202のセンサ3による測定が終了して第1センサ距離又は第2センサ距離の情報を取得した後、グラフ作成ボタン303に対する操作を受け付けた場合に、取得した第1センサ距離又は第2センサ距離のグラフを作成して、グラフ表示領域306に表示する。
【0065】
グラフ削除ボタン304は、例えばユーザによるクリック操作又はタップ操作等の操作を受け付けることにより、ユーザからグラフ削除の指示を受け付けるための図形要素である。例えば情報処理装置1は、グラフ表示領域306にグラフを表示している状態で、グラフ削除ボタン304に対する操作を受け付けた場合に、作成済みのグラフのデータを削除すると共に、グラフ表示領域306に表示しているグラフを消去する(非表示にする)。
【0066】
調整量算出ボタン305は、例えばユーザによるクリック操作又はタップ操作等の操作を受け付けることにより、第2搬送装置202の各保持部212の調整量算出の指示を受け付けるための図形要素である。例えば情報処理装置1は、第1センサ距離又は第2センサ距離の情報を取得し、且つ、調整量算出に関する条件情報を取得した後、調整量算出ボタン305に対する操作を受け付けた場合に、取得した第1センサ距離、第2センサ距離及び条件情報を基に各保持部212の調整量を算出し、算出結果の情報を調整量表示領域307に表示する。
【0067】
グラフ表示領域306は、第1センサ距離又は第2センサ距離に基づいて作成された各保持部211,212の位置等を示すグラフを表示するための領域である。図13は、グラフ表示の一例を示す模式図である。本例のグラフは、第1搬送装置201の各保持部211の位置と、第2搬送装置202の保持部212の位置とを、散布図としてグラフ化したものであり、横軸が保持部211,212に付された通し番号であり、縦軸が保持部211,212の上下方向の位置である。なおグラフ縦軸の位置は、第1搬送装置201の1番目の保持部211の位置を基準とした相対的な位置である。なお本例ではグラフ表示領域306に散布図を表示しているが、グラフの種類は散布図に限らず、折れ線グラフ又は棒グラフ等の種々のグラフが採用され得る。また本例においてグラフの種類は、設定情報としてユーザが適宜に設定することが可能である。
【0068】
調整量表示領域307は、情報処理装置1が算出した第2搬送装置202の各保持部212の調整量に関する情報を表示するための領域である。図14は、調整量の一表示例を示す模式図である。本実施の形態に係る情報処理装置1は、算出した各保持部212の調整量を表形式で調整量表示領域307に表示する。本例において情報処理装置1は、「グリッパNo.(保持部212の識別番号)」と「調整距離(調整量)」とが対応付けられたテーブルを調整量表示領域307に表示している。
【0069】
調整作業を行うユーザは、情報処理装置1の表示部14に表示された各保持部212の調整量を基に、第2搬送装置202の各保持部212の位置を調整する。またユーザは、例えば調整作業後に第2搬送装置202の保持部212についてセンサ3を用いた再測定を行い、調整作業の成否を判定することもできる。
【0070】
<変形例>
なお本例では、第1搬送装置201の保持部211が上側、且つ、第2搬送装置202の保持部212が下側の上下関係で対象物品の受け渡しを行うものとしているが、これに限るものではない。第1搬送装置201の保持部211が下側、且つ、第2搬送装置202の保持部212が上側の上下関係で対象物品の受け渡しを行う構成であってもよい。この構成の場合についての詳細な説明は省略するが、上記の説明にて例示した演算式について符号の調整等を適宜に行うことで、同様の調整量算出処理を行うことができる。
【0071】
情報処理装置1は、第1搬送装置201の保持部211が上側、且つ、第2搬送装置202の保持部212が下側の上下関係の場合に調整量を算出するための演算式と、第1搬送装置201の保持部211が下側、且つ、第2搬送装置202の保持部212が上側の上下関係の場合に調整量を算出するための演算式とを予め記憶部12に記憶しておき、搬送システムの構成に応じて演算式を切り替えて用いることができる。情報処理装置1は、例えばセンサ3から取得した2つの測定結果のいずれが第1搬送装置201(基準となる搬送装置)のもので、いずれが第2搬送装置202(保持部を調整する搬送装置)であるかの設定を条件情報として取得し、取得した設定に応じて演算式を選択することができる。
【0072】
また本例では、センサ3が第1搬送装置201の保持部211及び第2搬送装置202の保持部212の上方に配置されて距離の測定を行うものとしているが、これに限るものではない。第1搬送装置201の保持部211及び第2搬送装置202の保持部212の下方にセンサ3を配置して距離の測定を行ってもよい。この場合についての詳細な説明は省略するが、上記の説明にて例示した演算式について符号の調整等を適宜に行うことで、同様の調整量算出処理を行うことができる。
【0073】
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る情報処理システムは、対象物品を保持する複数の保持部211を有する第1搬送装置201と、同じ対象物品を保持する複数の保持部212を有する第2搬送装置202との間で対象物品の受け渡しを行う搬送システムについて、第2搬送装置202の各保持部212の位置を調整するための情報をユーザに提供する。情報処理装置1は、第1搬送装置201についてセンサ3から各保持部211までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、取得した複数の第1センサ距離のから最大値及び最小値を特定し、第2搬送装置202についてセンサ3から各保持部212までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、取得した第1センサ距離の最大値、第1センサ距離の最小値、及び、第2センサ距離を基に、第2搬送装置202の各保持部212の位置に関する調整量を算出する。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、算出した各保持部212の調整量の情報をユーザに提供することができ、ユーザによる第2搬送装置202の各保持部212の位置調整を容易化できる。
【0074】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置1が、第1搬送装置201の保持部211に対する第2搬送装置202の保持部212の距離基準値A、及び、この距離基準値Aに対して許容される距離管理幅Bの条件情報を取得し、取得した距離基準値A、距離管理幅B、第1センサ距離の最大値、第1センサ距離の最小値、及び、第2センサ距離を基に、第2搬送装置202の各保持部212の位置に関する調整量を算出する。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザ等による条件情報を考慮した調整量を算出することができ、より精度よく調整量を算出することが期待できる。
【0075】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置1が、距離基準値A及び距離管理幅Bに基づいて第1センサ距離が最大値の保持部211及び最小値の保持部211について調整基準範囲をそれぞれ算出し、算出した2つの調整基準範囲について共通調整基準範囲を算出し、第2搬送装置202の各保持部212の位置が共通調整基準範囲内となるように各保持部212の調整量を算出する。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、第1搬送装置201の複数の保持部211のバラツキを考慮して、より精度のよい調整量を算出することが期待できる。
【0076】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置1が、共通調整基準範囲が存在しない場合に、第1センサ距離が最大値の保持部211についての逸脱範囲と第1センサ距離が最小の保持部211についての逸脱範囲との共通最小逸脱範囲を算出し、第2搬送装置202の保持部212が共通最小逸脱範囲内となるように調整量を算出する。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、共通調整基準範囲が存在せず、条件を満たす調整を行うことができない場合であっても、出来るだけ第2搬送装置の複数の保持部212のバラツキを低減させるべく調整量の算出を行うことができる。
【0077】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、第1搬送装置201の保持部211及び/又は第2搬送装置202の保持部212が、2つの爪部111a及び111bで搬送の対象物品を保持する構成である場合、情報処理装置1が、第2搬送装置202の保持部212の爪部111a及び111b毎に調整量の算出を行う。このときに情報処理装置1は、各保持部212の2つの爪部111a及び111bを個別に1つの保持部とみなして上述の調整量算出処理を行えばよい。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、2つの爪部111a及び111bを有する保持部212についてより精度よく位置の調整を行うことが期待できる。
【0078】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置1が、第1搬送装置201の保持部211と第2搬送装置202の保持部212との上下関係に関する条件情報を取得し、取得した条件情報に基づいて例えば適宜に演算式を選択する事によって、第2搬送装置202の各保持部212の調整量を算出する。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、第1搬送装置201の保持部211と第2搬送装置202の保持部211との上下関係がいずれの場合であっても適切に調整量の算出を行うことが期待できる。
【0079】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、情報処理装置1が、例えば第1センサ距離及び第2センサ距離に基づき保持部211,212の位置を示すグラフ、又は、算出した第2搬送装置202の各保持部212の調整量に関する情報を表示部14に表示する。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、第2搬送装置202の各保持部212の位置を調整するために有用な種々の情報をユーザに提供することが期待できる。
【0080】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、センサ3が対象までの測定を繰り返し行うことによって各保持部211,212までの距離を複数回測定し、情報処理装置1が複数回の測定結果の平均値又は中央値等の統計値を算出して第1センサ距離及び第2センサ距離とする。これにより本実施の形態に係る情報処理システムは、第1搬送装置201の保持部211および第2搬送装置202の保持部212の位置を精度よく把握し、各保持部212の調整量を精度よく算出することが期待できる。
【0081】
<実施の形態2>
搬送の対象物品の受け渡しを行う第1搬送装置201及び第2搬送装置202がそれぞれ備える保持部211,212の数によっては、対象物品の受け渡しが特定の組み合わせでのみ行われる場合がある。実施の形態2に係る情報処理装置1は、対象物品の受け渡しを行う保持部211,212の組み合わせを考慮して、第2搬送装置202の各保持部212の調整量を算出することができる。
【0082】
例えば、第1搬送装置201が8個の保持部211を備え、第2搬送装置202が12個の保持部212を備える場合、両個数の最大公約数は4であるため、保持部211が8/4=2個、且つ、保持部212が12/4=3個の組み合わせが4通り存在する。第1搬送装置201の8個の保持部211をA1~A8とし、第2搬送装置202の12個の保持部212をB1~B12とし、A1及びB1が対象物品の受け渡しを行うものとすると、対象物品の受け渡しを行う組み合わせは以下の4通りである。
【0083】
・A1,A5及びB1,B5,B9
・A2,A6及びB2,B6,B10
・A3,A6及びB3,B7,B11
・A4,A7及びb4,b8,b12
【0084】
実施の形態2に係る情報処理システムでは、例えば上記の組み合わせに関する設定を組み合わせリストとしてユーザが予め作成し、情報処理装置1に組み合わせリストの情報を与える。情報処理装置1は、与えられた組み合わせリストに基づいて、第1センサ距離の最大値及び最小値を特定する処理、共通調整基準範囲又は共通最小逸脱範囲を算出する処理、並びに、各保持部212の調整量を算出する処理を組み合わせ毎に分けて行う。
【0085】
以上の構成の実施の形態2に係る情報処理システムでは、情報処理装置1が、対象物品の受け渡しを行う第1搬送装置201の保持部211と第2搬送装置202の保持部212との組み合わせに関する情報を例えば条件情報として取得し、取得した情報に基づいて組み合わせ毎に調整量の算出を行う。これにより実施の形態2に係る情報処理システムは、調整量の算出に対する条件の制約が緩むため、より実使用に適した調整量を算出することが期待できる。
【0086】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
<付記>
(付記1)
物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理方法であって、
情報処理装置が、
前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、
取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、
前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、
前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する、
情報処理方法。
(付記2)
前記第1の搬送装置の保持部に対する前記第2の搬送装置の保持部の距離基準値を取得し、
前記距離基準値に対して許容される距離管理幅を取得し、
前記距離基準値、前記距離管理幅、前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する、
付記1に記載の情報処理方法。
(付記3)
前記距離基準値及び前記距離管理幅に基づき、前記第1センサ距離が最大値の保持部及び最小値の保持部について調整基準範囲をそれぞれ算出し、
前記第1センサ距離が最大値の保持部についての調整基準範囲と前記第1センサ距離が最小値の保持部についての調整基準範囲との共通調整基準範囲を算出し、
前記第2センサ距離を基に、前記第2の搬送装置の保持部が前記共通調整基準範囲内となるように、前記保持部の調整量を算出する、
付記2に記載の情報処理方法。
(付記4)
前記共通調整基準範囲が存在しない場合、前記第1センサ距離が最大値の保持部についての逸脱範囲と前記第1センサ距離が最小値の保持部についての逸脱範囲との共通最小逸脱範囲を算出し、
前記第2の搬送装置の保持部が前記共通最小逸脱範囲内となるように、前記保持部の調整量を算出する、
付記3に記載の情報処理方法。
(付記5)
前記保持部は、2つの爪部で前記物品を保持し、
前記保持部の爪部毎に調整量を算出する、
付記1から付記4までのいずれか1つに記載の情報処理方法。
(付記6)
第1の搬送装置の保持部と第2の搬送装置の保持部との上下関係に関する情報を取得し、
取得した前記情報に基づいて調整量を算出する、
付記1から付記5までのいずれか1つに記載の情報処理方法。
(付記7)
前記物品を授受する前記第1の搬送装置の保持部と前記第2の搬送装置の保持部との組み合わせに関する情報を取得し、
前記組み合わせ毎に、前記共通調整基準範囲の算出及び前記調整量の算出を行う、
付記3に記載の情報処理方法。
(付記8)
前記第1の搬送装置の保持部について測定された第1センサ距離及び前記第2の搬送装置の保持部について測定された第2センサ距離を示すグラフ、又は、算出した前記第2の搬送装置の保持部の調整量に関する情報を表示部に表示する、
付記1から付記7までのいずれか1つに記載の情報処理方法。
(付記9)
前記センサは各保持部までの距離を複数回測定し、
複数回の測定結果の統計値を前記第1センサ距離又は前記第2センサ距離として扱う、
付記1から付記8までのいずれか1つに記載の情報処理方法。
(付記10)
コンピュータに、物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理を実施させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、
取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、
前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、
前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する
処理を実施させる、コンピュータプログラム。
(付記11)
物品を保持する複数の保持部を有する第1の搬送装置と、前記物品を保持する複数の保持部を有する第2の搬送装置との間で前記物品を搬送する搬送システムについて前記保持部の位置を調整するための情報処理を行う処理部を備える情報処理装置であって、
前記処理部が、
前記第1の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第1センサ距離の情報を取得し、
取得した複数の前記第1センサ距離から最大値及び最小値を特定し、
前記第2の搬送装置についてセンサから各保持部までの距離を測定した第2センサ距離の情報を取得し、
前記第1センサ距離の最大値、前記第1センサ距離の最小値及び前記第2センサ距離を基に、前記保持部の調整量を算出する、
情報処理装置。
【符号の説明】
【0088】
1 情報処理装置
3 センサ
11 処理部
11a 距離情報取得部
11b 最大最小特定部
11c 条件情報取得部
11d 調整基準範囲算出部
11e 調整量算出部
11f 表示処理部
12 記憶部
12a プログラム
13 通信部
14 表示部
15 操作部
99 記録媒体
101,102,103 搬送装置
111,121,131 保持部
111a,111b 爪部
201 第1搬送装置
202 第2搬送装置
211 保持部
212 保持部
300 調整情報画面
301 測定情報表示領域
302 設定情報表示領域
303 グラフ作成ボタン
304 グラフ削除ボタン
305 調整量算出ボタン
306 グラフ表示領域
307 調整量表示領域
図1
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