(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025992
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】電力計測装置、及び電力計測システム
(51)【国際特許分類】
G01R 22/06 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
G01R22/06 130Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131304
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】宮島 隆浩
(57)【要約】
【課題】電力計測装置、及び該電力計測装置を用いた電力計測システムを提供する。
【解決手段】電力計測装置は、第1カレントトランスを用いて第1電力線に流れる電力を計測する。電力計測装置は、第1カレントトランスの出力に接続された第1両波倍電圧整流回路と、第1両波倍電圧整流回路の一方の出力側に並列に接続される第1負荷抵抗と、第1両波倍電圧整流回路の他方の出力側に並列に接続される第2負荷抵抗と、第1負荷抵抗に接続される第1スイッチ素子、及び、第2負荷抵抗に接続される第2スイッチ素子それぞれのオン/オフを切り替え制御する第1制御部と、第1スイッチ素子、及び、第2スイッチ素子をオンとしたときの第1負荷抵抗の一端、及び、第2負荷抵抗の一端における電位を測定し、電流値を求める第1計測部と、第1両波倍電圧整流回路に接続される蓄電部とを備え、蓄電部からの電力により動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カレントトランスを用いて第1電力線に流れる電力を計測する電力計測装置において、
前記第1カレントトランスの出力に接続された第1両波倍電圧整流回路と、
前記第1両波倍電圧整流回路の一方の出力側に並列に接続される第1負荷抵抗と、
前記第1両波倍電圧整流回路の他方の出力側に並列に接続される第2負荷抵抗と、
前記第1負荷抵抗に接続される第1スイッチ素子、及び、前記第2負荷抵抗に接続される第2スイッチ素子それぞれのオン/オフを切り替え制御する第1制御部と、
前記第1スイッチ素子、及び、前記第2スイッチ素子をオンとしたときの前記第1負荷抵抗の一端、及び、前記第2負荷抵抗の一端における電位を測定し、電流値を求める第1計測部と、
前記第1両波倍電圧整流回路に接続される蓄電部と
を備え、
前記第1制御部及び前記第1計測部は、前記蓄電部からの電力により動作する
電力計測装置。
【請求項2】
前記蓄電部は、
前記第1両波倍電圧整流回路の出力に、逆流防止ダイオードを介して接続される定電圧回路と、
前記定電圧回路の出力に接続されるコンデンサと
を含む、
請求項1に記載の電力計測装置。
【請求項3】
前記蓄電部は、
前記第1カレントトランスの出力と前記第1両波倍電圧整流回路の出力とに接続される半波倍電圧整流回路と、
半波倍電圧整流回路の出力に接続されるコンデンサと
を含む
請求項1に記載の電力計測装置。
【請求項4】
前記第1計測部は、
前記第1負荷抵抗の電圧値と、前記第2負荷抵抗の電圧値とを用いた所定の演算により前記第1電力線における電圧の再現波形を算出し、
算出した再現波形に基づき有効電力を算出する
請求項1から3のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項5】
前記第1カレントトランスにおける電圧の位相を測定する位相測定部を備え、
前記第1計測部は、測定された位相を用いて有効電力値を算出する
請求項4に記載の電力計測装置。
【請求項6】
無線通信部を更に備え、
前記第1計測部は、算出した有効電力値を無線により他装置へ送信する、
請求項4に記載の電力計測装置。
【請求項7】
第2電力線に取り付けられる第2カレントトランスと、
前記第2カレントトランスの出力に接続された第2両波倍電圧整流回路と
を更に備え、
前記第1両波倍電圧整流回路と前記第2両波倍電圧整流回路とは並列に接続される
請求項1に記載の電力計測装置。
【請求項8】
前記第1計測部は、
前記第1負荷抵抗の電圧値と、前記第2負荷抵抗の電圧値とを用いた所定の演算により前記第1電力線及び第2電力線における電圧の再現波形を算出し、
算出した再現波形に基づき合計の有効電力を算出する
請求項7に記載の電力計測装置。
【請求項9】
第2電力線に取り付けられる第2カレントトランスと、
前記第2カレントトランスの出力に接続された第2両波倍電圧整流回路と
前記第2両波倍電圧整流回路の一方の出力側に並列に接続される第3負荷抵抗と、
前記第2両波倍電圧整流回路の他方の出力側に並列に接続される第4負荷抵抗と、
前記第3負荷抵抗に接続される第3スイッチ素子、及び、前記第4負荷抵抗に接続される第4スイッチ素子それぞれのオン/オフを切り替え制御する第2制御部と、
前記第3スイッチ素子、及び、前記第4スイッチ素子をオンとしたときの前記第3負荷抵抗の一端、及び、前記第4負荷抵抗の一端における電位を測定し、電流値を求める第2計測部と
を備え、
前記第1両波倍電圧整流回路と前記第2両波倍電圧整流回路と前記蓄電部とが直列に接続され、
前記第2制御部及び前記第2計測部は、前記蓄電部からの電力により動作する
請求項1に記載の電力計測装置。
【請求項10】
前記第1計測部は、
前記第1負荷抵抗の電圧値と、前記第2負荷抵抗の電圧値とを用いた所定の演算により前記第1電力線における電圧の再現波形を算出し、
算出した再現波形に基づき前記第1電力線における有効電力を算出し、
前記第2計測部は、
前記第3負荷抵抗の電圧値と、前記第4負荷抵抗の電圧値とを用いた所定の演算により前記第2電力線における電圧の再現波形を算出し、
算出した再現波形に基づき前記第2電力線における有効電力を算出する
請求項9に記載の電力計測装置。
【請求項11】
前記第1カレントトランス又は第2カレントトランスにおける電圧の位相を測定する位相測定部を備え、
前記第1計測部は、測定された位相を用いて有効電力値を算出する
請求項8又は10に記載の電力計測装置。
【請求項12】
無線通信部を更に備え、
前記無線通信部は、算出された前記第1電力線又は第2電力線における有効電力値を無線により他装置へ送信する
請求項8又は10に記載の電力計測装置。
【請求項13】
請求項6に記載の電力計測装置を複数と、
前記電力計測装置と無線通信によってデータを送受信するサーバ装置と
を含み、
前記サーバ装置は、
複数の前記電力計測装置から得られる電気負荷毎の有効電力値を取得し、
取得した電気負荷毎の有効電力値に基づき、複数の前記電力計測装置が設置されている場所における前記電気負荷の使用に関するデータを出力する
記載の電力計測システム。
【請求項14】
前記電力計測装置が設置されている場所の環境指標を測定し、無線により測定結果を前記サーバ装置へ送信する測定装置を含み、
前記サーバ装置は、
取得した電気負荷毎の有効電力値と、前記測定装置で測定された測定結果との相関を示すデータを出力する
請求項13に記載の電力計測システム。
【請求項15】
請求項12に記載の電力計測装置を複数と、
前記電力計測装置と無線通信によってデータを送受信するサーバ装置と
を含み、
前記サーバ装置は、
複数の前記電力計測装置から得られる電気負荷毎の有効電力値を取得し、
取得した電気負荷毎の有効電力値に基づき、複数の前記電力計測装置が設置されている場所における前記電気負荷の使用に関するデータを出力する
記載の電力計測システム。
【請求項16】
前記電力計測装置が設置されている場所の環境指標を測定し、無線により測定結果を前記サーバ装置へ送信する測定装置を含み、
前記サーバ装置は、
取得した電気負荷毎の有効電力値と、前記測定装置で測定された測定結果との相関を示すデータを出力する
請求項15に記載の電力計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流量を精度よく計測できるクランプ式で工事免除不要な非接触且つ無給電の電力計測装置、及び該電力計測装置を用いた電力計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力線にクランプし、その電力線を介して電気負荷への供給電流量を測定する工事不要で設置できる非接触の電力計測装置が普及している(特許文献1等)。このような電力計測装置を用いることにより、家庭や施設における電気負荷の消費電力量を逐次計測し、電力の過不足を検知して異常を検知したり、適切な消費電力となっているかを監視するエネルギーマネジメントを実現したりする試みがなされている。
【0003】
非接触の電力計測装置は、測定対象の電力線を挟持するクランプの形状に沿ったコアに、巻線を巻回させたカレントトランスを用いているタイプが多い。このようなクランプ式で工事免許不要である非接触の電力計測装置は、自身の稼働のための電力源が必要であり、小型電池を内蔵するものも多く提案されている。小型電池の寿命が尽きた場合に使用できなくなることを防止するべく、非接触の電力計測装置は、特許文献1等に開示されているように、カレントトランスの出力から電力を得て無給電を実現しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触且つ無給電の電力計測装置は、カレントトランスの出力から自身への電力を得るため、カレントトランスにおける入力電流の波形情報をそのまま取得することは容易でなく、測定結果の有効電力の精度を低下させる可能性がある。
【0006】
本開示は、電力量を精度よく計測できる工事不要な非接触且つ無給電の電力計測装置、及び該電力計測装置を用いた電力計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の電力計測装置は、第1カレントトランスを用いて第1電力線に流れる電力を計測する電力計測装置において、前記第1カレントトランスの出力に接続された第1両波倍電圧整流回路と、前記第1両波倍電圧整流回路の一方の出力側に並列に接続される第1負荷抵抗と、前記第1両波倍電圧整流回路の他方の出力側に並列に接続される第2負荷抵抗と、前記第1負荷抵抗に接続される第1スイッチ素子、及び、前記第2負荷抵抗に接続される第2スイッチ素子それぞれのオン/オフを切り替え制御する第1制御部と、前記第1スイッチ素子、及び、前記第2スイッチ素子をオンとしたときの前記第1負荷抵抗の一端、及び、前記第2負荷抵抗の一端における電位を測定し、電流値を求める第1計測部と、前記第1両波倍電圧整流回路に接続される蓄電部とを備え、前記第1制御部及び前記第1計測部は、前記蓄電部からの電力により動作する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、両波倍電圧整流回路を用いることにより、動作用の電力を得たとしても、正負それぞれの出力から計測対象の電力線における電流波形を再現することが可能となる。両波倍電圧整流回路を用いて小さな電流でも電力を取得できる。電流波形を再現できることから、非接触且つ無給電でも精度よく電力量を計測可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】配電盤内で使用する電力計測装置の概要図である。
【
図2】電力計測装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】第2実施形態の電力計測装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】第3実施形態の電力計測装置の概要図である。
【
図6】第3実施形態の電力計測装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】第4実施形態の電力計測装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】電力計測装置を用いた電力計測システムの概要図である。
【
図9】電力計測装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】情報端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】電力計測システムにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】サーバ装置によって提供されるグラフィックデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、配電盤内で使用する電力計測装置1の概要図である。電力計測装置1は、例えば、計測対象の電力線L1が配置されている配電盤で使用される。電力計測装置1は、本体10と、クランプ体11とを含む。本体10は、直方体状のケース内に回路を収容しており、ケーブル13を介してクランプ体11に接続されている。本体10は、液晶ディスプレイである出力部109を露出させている。クランプ体11は、円環状のケース内にカレントトランスのコアを収容している。ケーブル13は、カレントトランスに巻回された巻線と、本体10内の回路に接続される導線を被覆して収容している。
【0012】
電力計測装置1は、電力線L1の被覆の上からクランプ体11を取り付けることで使用される。電力線L1に電流が供給されていれば、本体10に内蔵されている蓄電部に電力が溜まるように構成されている。これにより、電力計測装置1は、電源に電気的に接続されていなくても、蓄電部からの電力によって電力計測を実行可能である。
【0013】
図2は、電力計測装置1の構成を示すブロック図である。電力計測装置1は、クランプ体11に収容されたカレントトランス110を備える。電力計測装置1において、本体10に収容された基板には、第1両波倍電圧整流回路101が実装されている。第1両波倍電圧整流回路101の2つの出力のうち、正側の出力には、第1負荷抵抗102が並列に接続されている。第1負荷抵抗102と、第1両波倍電圧整流回路101の負側の出力との間には、第1スイッチ素子104が接続される。第1両波倍電圧整流回路101の負側の出力には、第2負荷抵抗103が並列に接続されている。第2負荷抵抗103と、接地電圧との間には、第2スイッチ素子105が接続される。
【0014】
本体10の基板には、第1スイッチ素子104と、第2スイッチ素子105とのそれぞれについて、オン/オフを切り替え制御する第1制御部106が設けられている。
【0015】
本体10の基板には、第1負荷抵抗102の電圧(Vo1P)と、第2負荷抵抗103の電圧(Vo1M)とに基づき、有効電力を計測する第1計測部107が設けられている。第1計測部107は、第1制御部106にて第1スイッチ素子104及び第2スイッチ素子105をオンとしたときの第1負荷抵抗102の一端(
図2にてVo1Pと示す)及び第2負荷抵抗103の一端(
図2にてVo1Mと示す)の電位、すなわちグランドとの電圧を計測する。第1スイッチ素子104及び第2スイッチ素子105のオン抵抗は、第1負荷抵抗102及び第2負荷抵抗103の抵抗値とから、第1負荷抵抗102及び第2負荷抵抗103を流れる電流、すなわち、カレントトランスを流れる電流を算出できる。具体的な算出方法については後述する。
【0016】
第1計測部107は、マイクロコントローラである。第1計測部107は、CPU(Central Processing Unit )、メモリ、A/D変換器等を含み、メモリに記憶されているプログラムに基づき、A/D変換器により入力された電圧を測定し、電流を再現算出する処理を実行する。第1計測部107は、入力される第1負荷抵抗102の電圧(Vo1P)と、第2負荷抵抗103の電圧(Vo1M)とに対し、前者から後者の倍数を減算する処理を実行する(
図3参照)。これにより、第1計測部107は、カレントトランス110にて得られる電流波形を再現し、位相と所定の電圧波形(所定サイン波)を用いて有効電力を算出することができる。
【0017】
第1計測部107は、カレントトランス110における電圧の位相を測定する位相測定部(図示省略)を用い、測定された位相を用いて有効電力値を算出する。位相測定部は一例として、電力線L1の静電誘導による電圧を検出する電圧位相測定用の電界プローブを備え、皮相電力値だけではなく、有効電力値を算出する。測定対象とする電力線L1の電圧波形は、サイン波としてよく、またその振幅は、100Vなど一定と考えてよい。したがって、第1計測部107は、電圧波形の位相を測定できれば、電力値も正確に測定できる。
【0018】
第1制御部106と第1計測部107とは、1つの処理部(マイクロコントローラ)のの機能として実装されていてもよい。
【0019】
第1両波倍電圧整流回路101には、蓄電部108が接続されている。蓄電部108は、第1両波倍電圧整流回路101の正側の出力に対し、逆流防止ダイオード181を介して接続される定電圧回路182と、定電圧回路182の出力に接続されるコンデンサ183とを含む。コンデンサ183に蓄積される電力によって、第1制御部106、第1計測部107及び後述の他の各回路が動作する。
【0020】
第1計測部107には、出力部109が接続されている。出力部109は、液晶ディスプレイ、7セグメントディスプレイ等である。出力部109は、本体10の表面に配置されている。第1計測部107は、蓄電部108から電力を供給されて起動している間、所定のサンプリング周期にてA/D変換器がサンプリングした電圧を用いて算出した有効電力の数値を、出力部109に出力する。これにより、電力計測装置1のユーザは、電力を視認可能である。
【0021】
図3は、第1計測部107の動作概要図である。
図3は、計測対象の電力線に取り付けた場合に、他の回路を無視してカレントトランス110に流れる電流を得るための回路を示す。カレントトランス110の両端には、負荷抵抗が接続されているため、負荷抵抗の両端電圧VoB からカレントトランス110を流れる電流は、算出可能である。第1実施形態においては、第1両波倍電圧整流回路101を用い、小さい電流であっても蓄電部108に電力を取得することを可能とした。また、第1両波倍電圧整流回路101を用いることにより、その2つの出力はマイナスの電流振幅を示すVo1Mとプラスの電流振幅を示すVo1Pとに分かれる。
図3に示されているように、Vo1M、Vo1Pのいずれも、正の値を有しているので、第1計測部107に内蔵されるA/D変換器は、正の値のみを入力できればよく、単一電源の安価なマイクロコントローラを用いることができる。第1計測部107は、それらの振幅を、A/D変換器でデジタル値とした後に、Vo1P-2×Vo1Mという演算処理を実行することにより、正負の両方向に振れた波形データを得る。これにより、第1計測部107は、波形Vo1aのように、カレントトランス110にて発生する電流の波形を再現算出できる。これにより、精度よく有効電力を算出することが可能である。
【0022】
第1実施形態の電力計測装置1の構成により、カレントトランス110の両端電圧を測定するための正負の電源を用意する必要なしに、蓄電部108の構成で動作可能である。第1実施形態の電力計測装置1の構成では、第1両波倍電圧整流回路101を用いた回路によって、ブリッジ整流や、半波整流回路と異なり、整流後の電圧が2倍となって定電圧回路への入力電圧が高まるので、計測対象の電力線に流れる電流量が少なくても十分な電力が蓄電部108に得られる。第1両波倍電圧整流回路101からの出力から、
図3に示したように、カレントトランス110にて得られる電流の波形を再現することができる。
【0023】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の電力計測装置1の構成を示すブロック図である。第2実施形態の電力計測装置1の構成は、蓄電部108の構成を除き、第1実施形態の電力計測装置1の構成と同様であるから、共通する構成部には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
図4に示すように、第2実施形態における電力計測装置1の蓄電部108は、カレントトランス110の出力と第1両波倍電圧整流回路101の入力との間の接点と、第1両波倍電圧整流回路101の出力とに接続される半波倍電圧整流回路184を含む。蓄電部108は、半波倍電圧整流回路184の出力に、コンデンサ183が接続されて構成される。半波倍電圧整流回路184は、多段化させた構成として更に昇圧できるようにしてもよい。
【0025】
第2実施形態の半波倍電圧整流回路184を用いた構成により、整流後の電圧を昇圧させることができ、計測対象の電力線に流れる電流量が更に少なかったとしても十分な電力が蓄電部108に得られる。
【0026】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態の電力計測装置2の概要図である。第3実施形態の電力計測装置2は、カレントトランスを2つ用い、2つの電力線から供給される電力の合計を計測する。第3実施形態の電力計測装置2は、本体20と、第1のクランプ体21と、第2のクランプ体22とを含む。本体20は、直方体状のケース内に回路を収容しており、ケーブル23を介して第1のクランプ体21及び第2のクランプ体22に接続されている。本体20は、液晶ディスプレイである出力部209を露出させている。第1のクランプ体21及び第2のクランプ体22はそれぞれ、円環状のケース内にカレントトランスのコアを収容している。ケーブル23は、カレントトランスに巻回された巻線と、本体20内の回路に接続される導線を被覆して収容している。
【0027】
第3実施形態の電力計測装置2は、電力線L1の被覆の上から第1のクランプ体21を取り付け、電力線L2に第2のクランプ体22を取り付けることで使用される。電力線L1,L2に電流が供給されていれば、本体20に内蔵されている蓄電部に電力が溜まるように構成されている。これにより、電力計測装置2は、電源に電気的に接続されていなくても、蓄電部からの電力によって電力計測を実行可能である。
【0028】
図6は、第3実施形態の電力計測装置2の構成を示すブロック図である。電力計測装置2は、第1のクランプ体21に収容された第1カレントトランス210と、第2のクランプ体22に収容された第2カレントトランス220とを備える。
【0029】
電力計測装置2において、本体20に収容された基板には、第1両波倍電圧整流回路201と、第2両波倍電圧整流回路221が、並列に接続されて実装されている。第1両波倍電圧整流回路201は、第1カレントトランス210に接続されており、第2両波倍電圧整流回路221は、第2カレントトランス220に接続されている。
【0030】
第1両波倍電圧整流回路201の2つの出力のうち、正側の出力には、第1負荷抵抗202が並列に接続されている。第1負荷抵抗202と、第1両波倍電圧整流回路201の負側の出力との間には、第1スイッチ素子204が接続される。第1両波倍電圧整流回路201の負側の出力には、第2負荷抵抗203が並列に接続されている。第2負荷抵抗203と、接地電圧との間には、第2スイッチ素子205が接続される。
【0031】
第2両波倍電圧整流回路221は、コンデンサを第1両波倍電圧整流回路201と共有している。第2両波倍電圧整流回路221の正側のダイオードの出力は、第1両波倍電圧整流回路201の正側の出力に接続されている。第2両波倍電圧整流回路221の負側のダイオードは、第1両波倍電圧整流回路201の負側のダイオードと並列に接続されている。
【0032】
本体20の基板には、第1スイッチ素子204と、第2スイッチ素子205とのそれぞれについて、オン/オフを切り替え制御する第1制御部206が設けられている。
【0033】
本体20の基板には、第1負荷抵抗202の電圧(Vo1P)と、第2負荷抵抗203の電圧(Vo1M)とに基づき、有効電力を計測する第1計測部207が設けられている。第1計測部207は、第1制御部206にて第1スイッチ素子204及び第2スイッチ素子205をオンとしたときの第1負荷抵抗202の一端(
図6にてVo1Pと示す)及び第2負荷抵抗203の一端(
図6にてVo1Mと示す)の電位、すなわちグランドとの電圧から、電力を算出する。電力の算出方法は、第1実施形態の第1計測部107と同様である。なお、第3実施形態における第1両波倍電圧整流回路201と第2両波倍電圧整流回路221が並列に接続された構成では、第1計測部207で算出される実効電力量は、電力線L1及び電力線L2の電力量の合計である。
【0034】
第1計測部207は、第1実施形態と同様に、第1カレントトランス210及び/又は第2カレントトランス220における電圧の位相を測定する位相測定部を用い、測定された位相を用いて有効電力値を算出する。第1計測部207は、第1実施形態と同様に、電界プローブを用いて有効電力値を算出する。
【0035】
第1両波倍電圧整流回路201には、蓄電部208が接続されている。第3実施形態において、蓄電部208は、第2実施形態で示した半波倍電圧整流回路284を採用している。蓄電部208の半波倍電圧整流回路284は、第1カレントトランス210の出力と第1両波倍電圧整流回路201の入力との間の接点との間に第1コンデンサ285を含む。蓄電部208の半波倍電圧整流回路284は、第2カレントトランス220の出力と第2両波倍電圧整流回路221の入力との間の接点との間にコンデンサ286を含む。蓄電部208は、第1実施形態に示した定電圧回路を用いたものに代替されてもよい。
【0036】
第1計測部207には、出力部209が接続されている。出力部209は、液晶ディスプレイ、7セグメントディスプレイ等である。出力部209は、本体20の表面に配置されている。第1計測部207は、蓄電部208から電力を供給されて起動している間、所定のサンプリング周期にてサンプリングした電圧を用いて算出した有効電力の数値を、出力部209に出力する。これにより、電力計測装置2のユーザは、電力を視認可能である。
【0037】
第3実施形態の電力計測装置2では、第1実施形態、第2実施形態の電力計測装置1による効果と同様に、カレントトランスの両端電圧を測定するための正負の電源を用意する必要なしに、蓄電部208の構成で動作可能である。第3実施形態の電力計測装置2の構成では、第1両波倍電圧整流回路201及び第2両波倍電圧整流回路221を用いた回路によって、ブリッジ整流や、半波整流回路と異なり、整流後の電圧を昇圧して利用できるので、計測対象の電力線L1,L2に流れる電流量が少なくても十分な電力が蓄電部208に得られる。第1両波倍電圧整流回路201及び第2両波倍電圧整流回路221からの出力から、第1カレントトランス210及び第2カレントトランス220にて得られる合計電流の波形を再現することができる。2つの電力線L1,L2について合計電力を算出するために、回路規模を小さいままとすることができる。
【0038】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態の電力計測装置3の構成を示すブロック図である。第4実施形態の電力計測装置3は、カレントトランスを2つ用い、2つの電力線L1,L2から供給される電力をそれぞれ計測して出力する。第4実施形態の電力計測装置3の外観は、第3実施形態の電力計測装置2と同様であるから図示を省略する。
【0039】
電力計測装置3は、第1のクランプ体に収容された第1カレントトランス310と、第2のクランプ体に収容された第2カレントトランス320とを備える。
【0040】
電力計測装置3において、本体に収容された基板には、第1カレントトランス310に接続された第1両波倍電圧整流回路311が実装されている。同基板には、第2カレントトランス320に接続された第2両波倍電圧整流回路321が実装されている。第4実施形態の電力計測装置3では、第1両波倍電圧整流回路311と前記第2両波倍電圧整流回路321とが、直列に接続されている。
【0041】
第1両波倍電圧整流回路311の2つの出力のうち、正側の出力には、第1負荷抵抗312が並列に接続されている。第1負荷抵抗312と、第1両波倍電圧整流回路311の負側の出力との間には、第1スイッチ素子314が接続される。第1両波倍電圧整流回路311の負側の出力には、第2負荷抵抗313が並列に接続されている。第2負荷抵抗313と、接地電圧との間には、第2スイッチ素子315が接続される。
【0042】
第2両波倍電圧整流回路321の2つの出力のうち、正側の出力は、第1両波倍電圧整流回路311の負側のダイオードとコンデンサとの間に接続されている。第2両波倍電圧整流回路321の2つの出力のうち、正側の出力には、第3負荷抵抗322が並列に接続されている。第3負荷抵抗322と、第2両波倍電圧整流回路321の負側の出力との間には、第3スイッチ素子324が接続される。第2両波倍電圧整流回路321の負側の出力には、第4負荷抵抗323が並列に接続されている。第4負荷抵抗323と、接地電圧との間には、第4スイッチ素子325が接続される。
【0043】
基板には、第1スイッチ素子314と、第2スイッチ素子315とのそれぞれについて、オン/オフを切り替え制御する第1制御部316が設けられている。基板には、第3スイッチ素子324と、第4スイッチ素子325とのそれぞれについて、オン/オフを切り替え制御する第2制御部326が設けられている。
【0044】
基板には、第1負荷抵抗312の電圧(Vo1P)と、第2負荷抵抗313の電圧(Vo1M)とに基づき、有効電力を計測する第1計測部317が設けられている。第1計測部317は、第1制御部316にて第1スイッチ素子314及び第2スイッチ素子315をオンとしたときの第1負荷抵抗312の一端(
図7にてVo1Pと示す)及び第2負荷抵抗113の一端(
図7にてVo1Mと示す)の電位、すなわちグランドとの電圧から、電力を算出する。電力の算出方法は、第1実施形態の第1計測部107と同様である。
【0045】
基板には、第3負荷抵抗322の電圧(Vo2P)と、第4負荷抵抗323の電圧(Vo2M)とに基づき、有効電力を計測する第2計測部327が設けられている。第2計測部327は、第2制御部326にて第3スイッチ素子324及び第4スイッチ素子325をオンとしたときの第3負荷抵抗322の一端(
図7にてVo2Pと示す)及び第4負荷抵抗323の一端(
図7にてVo2Mと示す)の電位、すなわちグランドとの電圧から、電力を算出する。電力の算出方法は、第1実施形態の第1計測部107と同様である。
【0046】
第4実施形態における第1両波倍電圧整流回路311と第2両波倍電圧整流回路321が直列に接続された構成では、同一の基板上で、第1電力線L1における実行電力量と、第2実効電力量とをそれぞれ、第1計測部317及び第2計測部327でそれぞれ算出する。
【0047】
第1実施形態と同様に、第1計測部317及び第2計測部327はそれぞれ、第1カレントトランス310及び/又は第2カレントトランス320における電圧の位相を測定する位相測定部(図示省略)を用い、測定された位相を用いて有効電力値を算出する。第1計測部317及び第2計測部327は、第1実施形態と同様に、電界プローブを用いて有効電力値を算出する。
【0048】
電力計測装置3の蓄電部308は、上述したように2組の電力計測のための回路に対して共通に電力を供給するように構成される。蓄電部308は、第1両波倍電圧整流回路311の正側の出力に、逆流防止ダイオード381を介して接続される定電圧回路382と、定電圧回路382の出力に接続されるコンデンサ383とを含む。コンデンサ383に蓄積される電力によって、第1制御部316、第1計測部317、第2制御部326、第2計測部327及び後述の他の各回路が動作する。
【0049】
蓄電部308は、第2実施形態に示した半波倍電圧整流回路を用いた昇圧回路に代替されてもよい。
【0050】
第4実施形態の電力計測装置3は、出力部309を備える。出力部309は、第1計測部317及び第2計測部327に接続されている。出力部309は、液晶ディスプレイ、7セグメントディスプレイ等である。出力部309は、本体の表面に配置されている。第1計測部317及び第2計測部327はそれぞれ、蓄電部308から電力を供給されて起動している間、所定のサンプリング周期にてサンプリングした電圧を用いて算出した有効電力の数値を、出力部309に出力する。これにより、電力計測装置3のユーザは、電力を視認可能である。
【0051】
(第5実施形態)
図8は、電力計測装置4を用いた電力計測システム600の概要図である。電力計測システム600は、家庭又は施設の配電盤それぞれの電力線にクランプ体41を取り付けた1又は複数の電力計測装置4と、1又は複数の計測センサ5と、各電力計測装置4及び計測センサ5とデータの送受信が可能なサーバ装置6とを含む。電力計測システム600は、サーバ装置6と通信接続が可能な情報端末装置7を更に含む。情報端末装置7は、家庭又は施設の所有者、又は管理者である。電力計測装置4、計測センサ5、サーバ装置6及び情報端末装置7は、ネットワークNを介して通信接続可能である。
【0052】
ネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1、キャリアネットワークN2、及び各ローカルネットワークN3を含む。ローカルネットワークN3は、家庭又は施設に敷設されている有線及び/又は無線のネットワークである。
【0053】
電力計測システム600は、家庭又は施設に配備されている空調設備へ電力を供給する電力線に取り付けられた電力計測装置4から計測された電力データをサーバ装置6へ送信し、同じ家庭又は施設に取り付けられた温度計である計測センサ5から、温度データをサーバ装置6へ送信させる。それらのデータには、データ内容を識別する識別データが付加されており、サーバ装置6にていずれの家庭又は施設における何のデータであるかを識別可能である。
【0054】
電力計測システム600においてサーバ装置6は、各家庭又は施設に設けられたEMS(Energy Management System)として機能し、電力計測装置4から得られる電力と温度とに基づき、電力と環境データ(温度)とを併せて可視化したグラフィックデータを作成する。サーバ装置6は、グラフィックデータを情報端末装置7へ送信し、家庭又は施設の所有者、又は管理者から閲覧可能とする。これにより、家庭又は施設の所有者、又は管理者は、空調設備による部屋の冷やし過ぎなど、適切な電力利用を把握可能となる。
【0055】
図9は、電力計測装置4の構成を示すブロック図である。電力計測装置4は、カレントトランス410と、カレントトランス410に接続される第1両波倍電圧整流回路401とを含む。第1両波倍電圧整流回路401の2つの出力のうち、正側の出力には、第1負荷抵抗402が並列に接続されている。第1負荷抵抗402と、第1両波倍電圧整流回路401の負側の出力との間には、第1スイッチ素子404が接続される。第1両波倍電圧整流回路401の負側の出力には、第2負荷抵抗403が並列に接続されている。第2負荷抵抗403と、接地電圧との間には、第2スイッチ素子405が接続される。
【0056】
電力計測装置4は、第1スイッチ素子404と、第2スイッチ素子405とのそれぞれについて、オン/オフを切り替え制御する第1制御部406を含む。電力計測装置4は、第1負荷抵抗402の電圧(Vo1P)と、第2負荷抵抗403の電圧(Vo1M)とに基づき、有効電力を計測する第1計測部407が設けられている。第1計測部407は、第1制御部406にて第1スイッチ素子404及び第2スイッチ素子405をオンとしたときの第1負荷抵抗402の一端及び第2負荷抵抗403の一端の電位から、すなわちグランドとの電圧を計測し、後述するように電力を算出する。第1計測部407の動作内容は、第1実施形態の電力計測装置1の動作内容と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0057】
第1両波倍電圧整流回路401には、蓄電部408が接続されている。蓄電部408は、第1両波倍電圧整流回路401の正側の出力に対し、逆流防止ダイオード481を介して接続される定電圧回路482と、定電圧回路482の出力に接続されるコンデンサ483とを含む。コンデンサ483に蓄積される電力によって、第1制御部406、第1計測部407、及び後述の無線通信部440の各回路が動作する。
【0058】
電力計測装置4は、第1計測部407にて算出した有効電力値を無線により他装置へ送信する無線通信部440を備える。第1制御部406、第1計測部407及び無線通信部440は、1つの処理部(マイクロコントローラ)のの機能として実装されていてもよい。無線通信部440は、無線LAN(Local Area Network)の通信デバイスであってもよいし、 Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信の通信デバイスであってもよい。
【0059】
第1計測部407は、所定のサンプリング周期にてサンプリングした電圧を用いて算出した有効電力の数値を時間情報と対応付けてメモリに記憶する。第1計測部407は、メモリに記憶した有効電力の数値を、定期的に、あるいはサーバ装置6からの要求に応じて、メモリに記憶されている識別データを付加して無線通信部440からサーバ装置6に向けて送信する。
【0060】
計測センサ5は、温度センサと、メモリ、CPU及び無線通信部を含む処理部とを含む。計測センサ5は、処理部が、メモリに記憶されている識別データと共に、温度センサから得られる温度データを、無線通信部からサーバ装置6へ向けて定期的に送信する。
【0061】
図10は、サーバ装置6の構成を示すブロック図である。サーバ装置6は、以下の説明において、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のコンピュータで処理の内容別、機能別等で分散するように構成されてもよい。サーバ装置6は、処理部60、記憶部61、及び通信部62を備える。
【0062】
処理部60は、CPU及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサである。処理部60は、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。処理部60は、プロセッサ、メモリ、通信デバイス等を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。処理部60は、記憶部61に記憶されている情報処理プログラムP6に基づき、後述の処理を実行する。
【0063】
記憶部61は、ハードディスク等の不揮発性記憶媒体を用い、処理部60が参照するプログラム及びデータを記憶する。記憶部61は、情報処理プログラムP6を記憶する。記憶部61に記憶されている情報処理プログラムP6は、処理部60が記憶媒体9に記憶されている情報処理プログラムP6を読み出して複製したものであってもよい。情報処理プログラムP6は、図示しないプログラムサーバからサーバ装置6がダウンロードして記憶部61に記憶し、インストールしたものであってもよい。
【0064】
通信部62は、ネットワークNを介した通信を実現する通信デバイスである。通信部62は例えば、ネットワークNに対応するネットワークカードである。通信部62は、無線通信を実現するものであってもよい。
【0065】
このように構成されるサーバ装置6は、電力計測装置4及び計測センサ5からデータが送信される都度、これを受信する。電力計測装置4及び計測センサ5から送信されるデータには、電力計測装置4及び計測センサ5それぞれに付与されている識別データと共に、算出された有効電力値、温度データが時間情報と対応付けて含まれる。サーバ装置6は、受信したデータを、電力計測装置4及び計測センサ5それぞれに付与されている識別データと対応付けて記憶部61に逐次記憶する。サーバ装置6の記憶部61は、家庭又は施設を識別する施設識別データと対応付けて、そこに設置されている電力計測装置4及び計測センサ5の識別データを記憶している。施設識別データには、その家庭又は施設の所有者又は管理者のアカウントデータと、家庭又は施設の住所、連絡先とが対応付けられている。
【0066】
図11は、情報端末装置7の構成を示すブロック図である。情報端末装置7は、所謂スマートフォン又はタブレット型の通信端末であってもよいし、デスクトップ型もしくはラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。情報端末装置7は、処理部70、記憶部71、通信部72、表示部73、及び操作部74を備える。
【0067】
処理部70は、CPU又はGPUを用いたプロセッサである。処理部70は、記憶部71に記憶されているアプリプログラムP7に基づき、サーバ装置6により提供されるグラフィックデータに基づく画面を表示部73に表示させる。アプリプログラムP7は、Webブラウザプログラムであってもよい。
【0068】
記憶部71は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部71には、アプリプログラムP7を含む各種プログラムと、情報端末装置7のユーザである各家庭又は施設の所有者又は管理者のアカウントデータが記憶される。アプリプログラムP7は、記憶媒体8に記憶してあるアプリプログラムP8を処理部70が読み出して記憶部71に複製したものであってもよい。アプリプログラムP8は、図示しないプログラムサーバから情報端末装置7がダウンロードして記憶部71に記憶し、インストールしたものであってもよい。
【0069】
通信部72は、ネットワークNを介したサーバ装置6との通信を実現する通信デバイスである。有線通信用のネットワークカード、キャリア通信用の無線通信デバイス、又は無線LANデバイスを用いる。処理部70は、通信部72により、ネットワークNを介してサーバ装置6と通信接続が可能である。
【0070】
表示部73は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを用いる。表示部73は、処理部70のアプリプログラムP7に基づく処理により、サーバ装置6により提供されるグラフィックデータに基づく画面を表示する。表示部73は、タッチパネル内蔵型ディスプレイであってもよいし、タッチパネル非内蔵型ディスプレイであってもよい。
【0071】
操作部74は、処理部70との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイス、もしくは音声入力部等のユーザインタフェースである。操作部74は、表示部73のタッチパネル、又は筐体に設けられた物理ボタンを用いてもよい。操作部74は、操作情報を処理部70へ通知する。
【0072】
図12は、電力計測システム600における処理手順の一例を示すフローチャートである。各家庭又は施設の所有者又は管理者が、情報端末装置7を用いて、アプリプログラムP7に基づき、サーバ装置6へ、対象の家庭又は施設における電力の使用状況の取得をリクエストする(ステップS101)。リクエストには、各家庭又は施設の所有者又は管理者のアカウントデータが含まれる。
【0073】
サーバ装置6は、電力の使用状況の取得のリクエストを受信すると(ステップS201)、リクエストに含まれるアカウントデータに基づき、対象の家庭又は施設の施設識別データを特定する(ステップS202)。処理部60は、対象の家庭又は施設に設置された電力計測装置4及び計測センサ5、つまり、施設識別データに対応付けられた電力計測装置4及び計測センサ5の識別データを特定する(ステップS203)。処理部60は、特定した識別データに対応付けられた直近の所定期間における有効電力値の分布と、所定期間における温度データの分布とをグラフィックデータ化した画面を作成する(ステップS204)。処理部60は、作成した画面を情報端末装置7で表示させるための画面データを、リクエスト元の情報端末装置7へ送信する(ステップS205)。
【0074】
情報端末装置7は、リクエストに対する画面データを受信し(ステップS102)、受信した画面データに基づき、画面を表示部73に表示し(ステップS103)、処理を終了する。
【0075】
図13は、サーバ装置6によって提供されるグラフィックデータの一例を示す図である。
図13は、情報端末装置7のアプリプログラムP7に基づき、表示部73に表示される画面730の一例を示す。画面730は、所定期間における有効電力値の分布を示すグラフ731と、所定期間における温度データの分布を示すグラフ732とを含む。電力計測装置4による有効電力値と、計測センサ5による温度データを、情報端末装置7の表示部73に並列表示することにより、環境データと使用電力量とを比較し、見える化することができる。計測センサ5の例は、他にも照度センサ、湿度センサ、人感センサなどが例示できる。照度センサと、照明装置の使用電力量との比較、湿度センサと、加湿器の使用電力量との比較、人感センサによる人の在/不在と、テレビなどのデジタル家電の使用電力量との比較などにも適用可能である。
【0076】
図13に示すようなグラフィックデータにより、家庭又は施設の所有者、又は管理者は、情報端末装置7にて空調設備による部屋の冷やし過ぎなど、適切な電力利用を把握可能となる。
【0077】
第5実施形態の電力計測システム600は、第1実施形態に例示した電力計測装置1を利用する構成として説明したが、第1実施形態から第4実施形態に示した電力計測装置1,2,3のいずれを利用してもよいし、混在させてもよい。
【0078】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1,2,3,4 電力計測装置
10,20 本体
110,410 カレントトランス
210,310 第1カレントトランス
220,320 第2カレントトランス
101,201,311,401 第1両波倍電圧整流回路
221,321 第2両波倍電圧整流回路
102,202,312,402 第1負荷抵抗
103,203,313,403 第2負荷抵抗
322 第3負荷抵抗
323 第4負荷抵抗
104,204,314,404 第1スイッチ素子
105,205,315、405 第2スイッチ素子
324 第3スイッチ素子
325 第4スイッチ素子
106,206,316,406 第1制御部
107,207,317,407 第1計測部
326 第2制御部
327 第2計測部
108,208,308,408 蓄電部
181,381,481 逆流防止ダイオード
182,382,482 定電圧回路
183,283,383,483 コンデンサ
184,284 半波倍電圧整流回路
109,209,309 出力部
440 無線通信部
5 計測センサ
600 電力計測システム
6 サーバ装置
60 処理部
7 情報端末装置
73 表示部
730 画面