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特開2025-2604情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002604
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20241226BHJP
   G06F 40/56 20200101ALI20241226BHJP
【FI】
G06Q10/1053
G06F40/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102898
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】516291402
【氏名又は名称】ファインディ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】志賀 優毅
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA08
5L010AA11
5L049AA08
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】採用面接において用いられる質問の検討を支援する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、企業による求人に関する求人情報を取得する手段、求人情報に基づいて、企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段、想定質問を出力する手段、として機能させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
企業による求人に関する求人情報を取得する手段、
前記求人情報に基づいて、前記企業が前記求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段、
前記想定質問を出力する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記想定質問を取得する手段は、前記求人情報に基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで前記想定質問を取得する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、特定の求職者に関する求職者情報を取得する手段、として機能させ、
前記想定質問を取得する手段は、前記求職者情報と前記求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで前記想定質問を取得する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記モデル入力情報は、前記求職者情報に含まれる個人情報に匿名加工または仮名加工を施した情報と前記求人情報とに基づく、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記求職者情報は、前記求職者の個人属性、経歴、スキル、嗜好、または求職意向の少なくともいずれかに関する情報を含む、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記求職者情報は、前記特定の求職者の経歴またはスキルの少なくとも1つに関する情報を含み、
前記想定質問を取得する手段は、前記求職者情報に基づいて前記自然言語モデルの出力形式を制約する情報と前記求人情報とに基づく前記モデル入力情報を前記自然言語モデルに入力することで、前記想定質問と前記特定の求職者の経歴またはスキルの少なくとも1つとの関連性を特定可能な形式で前記想定質問を取得する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項7】
前記想定質問を取得する手段は、前記企業が前記求人に応募した者の採否を判断するための評価観点に関する評価関連情報に基づいて前記自然言語モデルの出力形式を制約する情報と前記求人情報とに基づく前記モデル入力情報を前記自然言語モデルに入力することで、前記想定質問と前記評価観点との関連性を特定可能な形式で前記想定質問を取得する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、採用面接において質問すべきでない事項に関する禁止事項情報を取得する手段、として機能させ、
前記想定質問を取得する手段は、前記禁止事項情報に基づいて前記自然言語モデルの出力形式を制約する情報と前記求人情報とに基づく前記モデル入力情報を前記自然言語モデルに入力することで、前記想定質問を取得する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項9】
前記想定質問を取得する手段は、前記企業が前記求人に応募した者の採否を判断するための評価観点または評価基準の少なくとも1つに関する評価関連情報に基づいて前記想定質問を取得する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記想定質問を取得する手段は、前記企業が前記求人に応募した特定の求職者に対して既に実施した選考過程に関するヒストリー情報に基づいて前記想定質問を取得する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
前記ヒストリー情報は、前記採用面接の前に実施された面接における問答内容、または当該採用面接の前に実施された選考過程の担当者からの申し送り事項の少なくとも1つに関する、
請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、
特定の求職者に関する求職者情報を取得する手段、
前記求職者情報に基づいて、前記想定質問に対する模範回答を取得する手段、
前記模範回答を出力する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
前記求人情報は、前記採用面接を実施する面談者に関する面談者情報を含み、
前記想定質問を取得する手段は、前記面談者情報に基づいて前記想定質問を取得する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項14】
前記求人情報は、前記求人の募集職種、求人条件、もしくは待遇、または前記企業に関する情報を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項15】
企業による求人に関する求人情報を取得する手段と、
前記求人情報に基づいて、前記企業が前記求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段と、
前記想定質問を出力する手段と
を具備する情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータが、
企業による求人に関する求人情報を取得するステップと、
前記求人情報に基づいて、前記企業が前記求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得するステップと、
前記想定質問を出力するステップと
を実行する方法。
【請求項17】
複数のコンピュータによって構成されるシステムであって、
企業による求人に関する求人情報を取得する手段と、
前記求人情報に基づいて、前記企業が前記求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段と、
前記想定質問を出力する手段と
を具備するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
求人企業が選考において求職者を適切に評価するためには、採用面接において適切な質問をすることが有効である。しかしながら、質問の適切さは求人の内容(例えば求める人物像)だけでなく求職者によっても異なり得るため、特に多数の求職者の面接を行う場合に求人企業の質問の検討負担は大きくなる。
【0003】
他方、求職者にとっても、採用面接の想定問答を事前に検討しておくことは、適切に評価してもらうために有効である。しかしながら、採用面接における想定質問は、求人の内容や求人企業によって異なり得るため、特に多数の求人企業に応募する場合には求職者にある程度の検討負荷がかかる。
【0004】
特許文献1には、マーケティングリサーチのための新規なアンケート方法を実現することを企図した技術的思想が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-272567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術的思想は、マーケティングリサーチのためのアンケートを対象としており、採用面接における質問の検討に直ちに適用することはできない。
【0007】
本開示の目的は、採用面接において用いられる質問の検討を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、企業による求人に関する求人情報を取得する手段、求人情報に基づいて、企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段、想定質問を出力する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態の一態様の説明図である。
図5】本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
図6】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図7】変形例1の情報処理の全体フローを示す図である。
図8】変形例1の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、サーバ30とを備える。
クライアント装置10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0013】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスを当該クライアント装置10に提供する。サーバ30は、情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。
【0014】
サーバ30は、求職者および求人企業が参加する人材マッチングサービス(「人材マッチングプラットフォーム」と呼ぶこともできる)を管理することができる。人材マッチングサービスは、求職者と求人企業とを結びつける場に相当する。本明細書において、求職者とは、転職活動もしくは(再)就職活動を行っている者、これらの活動に興味のある者、または求職の意向がある者を含む。例えば、求職者は、人材マッチングサービス上に自身の情報を登録、または登録の準備(例えば、履歴書ファイルもしくは職務経歴書ファイルのアップロード、または自身の情報の入力)をする者を含むことができる。同様に、求人企業とは、求人の意思のある法人または個人を含む。例えば、求人企業は、人材マッチングサービスを利用して採用活動(例えば、スカウト文書の送付、求人情報の登録もしくは登録の準備、オファーの通知、など)を行う者を含むことができる。
【0015】
クライアント装置10は、サーバ30にリクエストを送信する。クライアント装置10は、情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0016】
クライアント装置10のユーザは、典型的には、求人企業に属する人物(例えば、求人企業の採用担当者)である。ここで、求人企業の採用担当者は、人事部門の担当者に限られず、例えば求人によって人を採用しようとしている部門の担当者であってもよい。クライアント装置10のユーザは、求職者であってもよいが、便宜上、本実施形態の以降の説明では、特に断りのない限り、ユーザが求人企業に属する人物であることを前提とする。
【0017】
ここで、人材マッチングサービスの管理に関するサーバ30の挙動の例について説明する。具体的には、サーバ30は、求職者から提供されたプロフィール情報を、例えば求人企業の採用担当者が閲覧可能な状態(例えば匿名かつ検索可能な状態で公開)とする。採用担当者は、自社にふさわしいと思われる求職者に対して、スカウト文書を作成し、送付することができる。或いは、サーバ30は、求人企業から提供された求人情報を、例えば求職者が閲覧可能な状態で公開する。求職者は、自身にふさわしいと思われる求人企業に対して、レジュメを作成し、求人に応募することができる。このようにして、求人企業と、求職者とを結びつけることができる。
【0018】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。クライアント装置10は、ディスプレイ21に接続される。
【0020】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0021】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、または専用アプリケーション)のプログラム
【0022】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0023】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Gate Array)
【0024】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0025】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0026】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と外部装置(例えば、サーバ30)との間の通信を制御するように構成される。
【0027】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0028】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0030】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0031】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0032】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0033】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0034】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0035】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0036】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えば、クライアント装置10)との間の通信を制御するように構成される。
【0037】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。図4は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0038】
図4に示すように、求人企業の採用担当者に相当するユーザUS1は、当該求人企業による求人に応募した者(求職者)に対して行う採用面接において求職者に問う可能性のある質問(以下、「想定質問」という)の検討を支援してもらうために情報処理システム1を利用する。
【0039】
具体的には、ユーザUS1は、クライアント装置10を操作し、想定質問を検討する対象となる採用面接に対応する求人に関する情報(以下、「求人情報」という)を入力または指定する。クライアント装置10は、求人情報を特定可能な情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator)、識別情報など)をサーバ30へ送信する。
【0040】
サーバ30は、クライアント装置10から受信した情報に基づいて求人情報を取得する。サーバ30は、少なくとも求人情報に基づいて、自然言語モデルLM5に対するモデル入力情報を生成する。サーバ30は、生成したモデル入力情報を自然言語モデルLM5に入力することで、当該自然言語モデルLM5によって生成された想定質問を取得する。
【0041】
ここで、自然言語モデルLM5は、例えば指示文(「モデル入力情報」の一例)に応じた自然言語処理を行い、応答文を生成する学習済みモデルである。本例において、モデル入力情報は、求人情報に基づくテキストである。自然言語モデルLM5は、モデル入力情報の受け付けと、応答文の生成とを交互に行う対話型(チャット型または会話形と呼ぶこともできる)のモデルであってよい。自然言語モデルLM5は、大量のテキストデータで学習した大規模言語モデル、または当該大規模言語モデルを転移学習またはファインチューニングしたモデルであってよい。また、自然言語モデルLM5は、情報処理システム1の外部のシステムにおいて構築されていてもよい。
【0042】
サーバ30は、取得した想定質問をクライアント装置10へ送信する。クライアント装置10は、サーバ30から受信した想定質問をユーザUS1に提示する。
【0043】
これにより、ユーザUS1は、求人企業における所望の求人の趣旨を考慮して適切な質問を自ら検討せずとも、当該求人の採用面接における想定質問を入手することができる。ユーザUS1は、この想定質問をそのまま採用面接において用いることもできるし、当該想定質問をベースとして採用面接において用いる質問を推敲してもよい。このように、情報処理システム1によれば、採用面接において用いられる質問の検討を支援することができる。
【0044】
(3)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。図5は、本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。図6は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0045】
図5の処理は、例えばクライアント装置10が、人材マッチングサービスにアクセスし、求人企業による求人の採用面接における想定質問の作成を開始する指示をユーザ(例えば求人企業の採用担当者)から受け付けることで開始してもよい。
【0046】
図5に示すように、サーバ30は、情報の取得(S130)を実行する。
具体的には、サーバ30は、モデル入力情報の生成に用いられる情報、または当該情報を特定可能な情報をクライアント装置10から受信する。サーバ30は、受信した情報に基づいて、モデル入力情報の生成に用いられる情報を取得する。
【0047】
モデル入力情報の生成に用いられる情報は、少なくとも求人情報を含む。求人情報は、以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・求人の募集職種に関する情報
・求人条件(応募者に求められる条件)に関する情報
・求人において提示されている待遇に関する情報
・求人企業に関する情報
【0048】
募集職種に関する情報は、例えば、職種、役職(例えば、マネージャーなど)開発志向(受託開発か自社開発か)、業務内容、または仕事の魅力に関する情報であってもよい。
【0049】
求人条件に関する情報は、例えば、利用技術、必須スキル、歓迎スキル、必須経験(例えば、何年か以上の業務経験が必須か、未経験可か)、歓迎経験、または求める人物像に関する情報であってよい。
【0050】
待遇に関する情報は、例えば、開発環境、年収、または労働条件(例えば、リモート勤務の可否、または必要とされる出社頻度、等の要素を含み得る)に関する情報であってよい。
【0051】
求人企業に関する情報は、例えば、企業の業種・規模、またはカルチャー系の情報(例えばMVV(Mission Vision Value)等)であってよい。
【0052】
求人情報の取得の第1例として、ユーザは、クライアント装置10のディスプレイ21に表示されている、人材マッチングサービスのUI(User Interface)画面上に配置された情報を受け付けるオブジェクトに、自身が属する企業による求人情報のうち、想定質問の対象となる採用面接に対応するものを入力する。クライアント装置10は、このオブジェクトへの入力内容を求人情報としてサーバ30へ送信する。
【0053】
求人情報の取得の第2例として、ユーザは、クライアント装置10のディスプレイ21に表示されている、人材マッチングサービスのUI画面上で、自身が属する企業による求人情報のリストから、想定質問の対象となる採用面接に対応するものを指定する。クライアント装置10は、指定された情報を識別する情報(例えば、指定された求人情報に対応する求人を識別する求人ID、または指定された求人情報を閲覧可能なURL)を、求人情報を特定可能な情報としてサーバ30へ送信する。
【0054】
求人情報の取得の第3例として、サーバ30は、Webクローリングにより求人情報を取得してもよい。
【0055】
モデル入力情報の生成に用いられる情報は、求人情報とは異なる情報を含むことができる。求人情報とは異なる情報は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・求職者情報
・評価関連情報
・禁止事項情報
・ヒストリー情報
・面談者情報
ただし、評価関連情報、ヒストリー情報、または面談者情報の少なくとも1つは、求人情報に含まれると解釈することも可能である。
【0056】
求職者情報は、想定質問を問う対象となる特定の求職者(ただし、特定の求職者は、実在の人物に限られず、想定される応募者などの仮想上の人物であってもよい)の個人属性、経歴、スキル、嗜好、または求職意向の少なくともいずれかに関する情報を含むことができる。
【0057】
求職者の個人属性に関する情報(以下、「個人属性情報」という)は、例えば、求職者の氏名、性別、年齢、居住地、または現在の年収の少なくとも1つを含むことができる。
【0058】
求職者の経歴に関する情報(以下、「経歴情報」という)は、例えば、求職者の職種、役職、勤務先、職務経歴(例えば、在籍期間、開発実績、経験した職種、または経験したプロジェクトの概要を含み得る)、または学歴の少なくとも1つを含むことができる。
【0059】
求職者のスキルに関する情報(以下、「スキル情報」という)は、例えば、求職者の技術スキル、ビジネススキル、技能、語学力(例えば英語力)、使用技術(例えば使用するプログラミング言語)、適性検査結果の少なくとも1つを含むことができる。
【0060】
求職者の嗜好に関する情報(以下、「嗜好情報」という)は、例えば、求職者の嗜好(例えば、自社開発と受託開発のどちらを好むか)、長所、または短所の少なくとも1つを含むことができる。
【0061】
求職者の求職意向に関する情報(以下、「求職意向情報」という)は、例えば、転職を行いたい気持ちの強さ、転職を急ぎたい気持ちの強さ、将来取り組みたいこと(具体的には、希望職種、希望業務、希望勤務地、リモート勤務もしくは出社頻度の希望、または希望キャリアなどの次の職に求める事項)、将来取り組みたくないこと、または希望収入の少なくとも1つを含むことができる。
【0062】
求職者情報の取得の第1例として、ユーザは、クライアント装置10のディスプレイ21に表示されている、人材マッチングサービスのUI画面上に配置された情報を受け付けるオブジェクトに、求職者の情報を例えばコピーアンドペーストにより入力する。クライアント装置10は、このオブジェクトへの入力内容を求職者情報としてサーバ30へ送信する。
【0063】
求職者情報の取得の第2例として、ユーザは、クライアント装置10のディスプレイ21に表示されている、人材マッチングサービスのUI画面上で所望の求職者の情報を指定する。例えば、人材マッチングサービスには、求職者によって本人の求職者情報が閲覧可能に登録されており、ユーザ(求人企業の担当者)は求人企業が採用面接を予定している求職者の情報を指定することができる。或いは、情報処理システム1の提供する人材マッチングサービスが、採用管理機能も備えている場合に、ユーザは、当該機能によって管理されている、求人企業の求人に応募した求職者の情報から採用面接を予定している求職者の情報を指定してもよい。クライアント装置10は、指定された求職者情報を識別する情報(例えば、指定された求職者情報に対応する求職者を識別するユーザID、または指定された求職者情報を閲覧可能なURL)を、求職者情報を特定可能な情報としてサーバ30へ送信する。
【0064】
求職者情報の取得の第3例として、サーバ30は、求職者が外部システムを利用することで当該外部システムに蓄積された情報に基づいて求職者情報を取得してもよい。具体的には、サーバ30は、外部システムによって提供されるサービス(以下、「外部サービス」という)における求職者のアカウント情報(例えば、アカウント名、ログイン情報、またはそれらの組み合わせ)を用いて、外部システムから求職者情報を取得してもよい。サーバ30は、外部サービスのAPI(Application Programming Interface)を用いて求職者情報を取得してもよいし、外部サービスのWebページをクローリングすることで求職者情報を取得してもよい。サーバ30は、求職者が投稿したコンテンツに関する情報、イシュー管理サービスにおける求職者の活動を表すログ情報、または求職者が外部サービスに登録しているプロフィールに関する情報を取得し得る。外部サービスは、例えば、Qiita(登録商標)、Zenn(登録商標)、LinkedIn(登録商標)、note(登録商標)、Slide Share、またはSpeaker Deckを含み得るがこれらに限られない。
【0065】
また、求職者情報を特定可能な情報は、求職者が作成したレジュメ、求人企業での選考において求職者が発言した内容を記録したメモであってもよい。この場合に、サーバ30は、取得した情報(文書)から、例えば、個人属性情報、経歴情報、スキル情報、嗜好情報、または求職意向情報に該当するテキストを抽出してもよい。かかる処理には、大規模言語モデルが用いられてもよい。
【0066】
なお、求職者情報は、ユーザ(求人企業の採用担当者)による閲覧が許可されていない情報を含んでもよい。例えば、求職意向情報は、求職者本人以外による閲覧が許可されていない情報に該当し得る。
【0067】
評価関連情報は、求人企業が、想定質問に対応する求人に応募した者の採否を判断するための評価観点または評価基準の少なくとも1つに関する情報である。例えば、評価関連情報は、チェックポイント、加点要素、減点要素、足切り得点、または合否基準点、などを含むことができる。
評価関連情報は、例えば、求人企業の業種毎、求人企業毎、求人の対象となる職種毎、または求人毎に予め定められていてもよい。或いは、ユーザが都度指定してもよい。
【0068】
禁止事項情報は、採用面接において質問すべきでない事項に関する情報である。例えば、採用面接において質問すべきでない事項は、求職者の出生地、家族、資産、または思想などを含み得る。
【0069】
禁止事項情報は、例えば、求人企業の業種毎、求人企業毎、求人の対象となる職種毎、もしくは求人毎に、または全企業共通で、予め定められていてもよい。或いは、ユーザが都度指定してもよい。
【0070】
ヒストリー情報は、求人企業が、想定質問に対応する求人に応募した特定の求職者に対して既に実施した選考過程に関する情報である。例えば、ヒストリー情報は、想定質問の対象となる採用面接の前に実施された面接における問答内容、または当該採用面接の前に実施された選考過程の担当者からの申し送り事項の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
【0071】
面談者情報は、想定質問の対象となる採用面接を実施する面談者に関する情報である。面談者情報は、例えば、面談者の役職、または面談者が求職者に期待する事項、などを含むことができる。
【0072】
ステップS130の後に、サーバ30は、モデル入力情報の生成(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS130において取得した情報に基づいて、自然言語モデルLM5に想定質問を生成させるためのモデル入力情報を生成する。一例として、サーバ30は、ステップS130において取得した情報に基づくテキストをモデル入力情報として生成する。テキストは、自然言語モデルLM5に対する指示文に相当してもよい。
【0073】
モデル入力情報は、想定質問(つまり、自然言語モデルLM5によって生成される応答文)の態様(例えば、出力形式)に関する制約条件に相当する情報を含むことができる。
例えば、制約条件は以下の少なくとも1つであってよい。
・想定質問の生成時に従って欲しい事項に関する制約条件
・想定質問の生成時に従わないで欲しい事項に関する制約条件
【0074】
要するに、モデル入力情報は、自然言語モデルLM5に対して、ステップS130において取得した情報に基づき、かつ制約条件を満たすように、求人企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を作成することを指示する文章(指示文)であってよい。また、サーバ30の記憶装置31にはモデル入力情報の元となる情報(テンプレート)が保存されていてもよく、サーバ30はステップS130において取得した情報をテンプレートに当てはめることでモデル入力情報を生成してもよい。制約条件は、テンプレートに予め埋め込まれていてもよい。
【0075】
モデル入力情報の生成(S131)の第1例として、サーバ30は、求人情報に基づいて、かつ求職者情報に基づかないで、モデル入力情報を生成する。これにより、サーバ30は、特定の求職者向けでない、汎用的な想定質問を取得することができる。
【0076】
モデル入力情報の生成(S131)の第2例として、サーバ30は、求人情報および求職者情報に基づいて、モデル入力情報を生成する。これにより、サーバ30は、特定の求職者(つまり、求職者情報に対応する求職者)に適した想定質問を取得することができる。なお、本例において、サーバ30は、求職者情報に含まれる個人情報を、当該個人情報に匿名加工または仮名加工を施した情報に置き換えて用いてもよい。サーバ30は、ヒストリー情報にさらに基づいてモデル入力情報を生成することで、特定の求職者により適した(実施済みの選考過程でのやり取りを考慮した)想定質問を取得することができる。
【0077】
上記の各例において、サーバ30は、求職者情報のうち特に経歴情報またはスキル情報の少なくとも1つに基づいて自然言語モデルLM5の出力形式を制約する情報を含むようにモデル入力情報を生成してもよい。これにより、サーバ30は、想定質問と特定の求職者の経歴またはスキルの少なくとも1つとの関連性を特定可能な形式で想定質問を取得することができる。
【0078】
上記の各例において、サーバ30は、評価関連情報にさらに基づいてモデル入力情報を生成することで、評価観点に沿った想定質問を取得してもよい。一例として、サーバ30は、評価関連情報に基づいて自然言語モデルLM5の出力形式を制約する情報を含むようにモデル入力情報を生成してもよい。これにより、サーバ30は、想定質問と評価観点との関連性を特定可能な形式で想定質問を取得することができる。
【0079】
上記の各例において、サーバ30は、禁止事項情報に基づいて前記自然言語モデルの出力形式を制約する情報を含むようにモデル入力情報を生成してもよい。これにより、サーバ30は、採用面接において質問すべきない事項を扱わない想定質問を取得することができる。
【0080】
上記の各例において、サーバ30は、面談者情報にさらに基づいてモデル入力情報を生成することで、面談者の立場にふさわしい想定質問を取得することができる。
【0081】
ステップS131の後に、サーバ30は、想定質問の取得(S132)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS131において生成したモデル入力情報を、自然言語モデルLM5に入力することで、当該自然言語モデルLM5によって生成された、想定質問(テキスト)を取得する。
【0082】
ステップS132の後に、サーバ30は、想定質問の出力(S133)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS133において取得した想定質問を出力する。一例として、サーバ30は、想定質問を、クライアント装置10を介してユーザに提示する。つまり、サーバ30は、想定質問をクライアント装置10へ送信する。クライアント装置10は、受信した想定質問をディスプレイ21に表示する。例えば、クライアント装置10は、図6の画面をディスプレイ21に表示し得る。
【0083】
図6の画面は、オブジェクトJ20を含む。オブジェクトJ20は、ステップS132において取得した想定質問を表示する。複数の想定質問が取得されている場合に、オブジェクトJ20はこれらをリスト形式で表示し得る。
【0084】
想定質問の出力(S133)は、アプリ画面、またはウェブサイト画面上での提示により行われてもよいし、メールまたはその他のメッセージ(例えば、SNS(Social Networking Service)メッセージ、SMS(Short Message Service)メッセージ、など)の伝送により行われてもよい。また、想定質問の出力(S133)は、例えば電子掲示板、チャットツール、またはSNSにメッセージをユーザ(さらに、ユーザの上司などの正当権限者)が閲覧可能な形式で投稿することによる告知を含み得る。さらに、想定質問の出力(S133)は、例えばcsv形式などのファイルによる提供を含み得る。
【0085】
(4)小括
以上説明したように、サーバ30は、企業による求人に関する求人情報を取得し、求人情報に基づいて、企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得し、想定質問を出力する。これにより、ユーザは、求人企業における所望の求人の趣旨を考慮して適切な質問を自ら検討せずとも、当該求人の採用面接における想定質問を入手することができる。つまり、採用面接において用いられる質問の検討を支援することができる。つまり、ユーザが求人企業の採用担当者である場合に、ユーザはこの想定質問をそのまま採用面接において用いることもできるし、当該想定質問をベースとして採用面接において用いる質問を推敲することもできる。他方、ユーザが求職者である場合に、ユーザは求人企業の採用面接において問われそうな質問に対して自分なりの回答を事前に整理しておくことができる。
【0086】
サーバ30は、求人情報に基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで想定質問を取得してもよい。これにより、想定質問を生成するためのルールを定義せずとも、妥当な想定質問を取得することができる。
【0087】
サーバ30は、特定の求職者に関する求職者情報を取得し、求職者情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで想定質問を取得してもよい。これにより、特定の求職者に適した想定質問を取得することができる。特に、ユーザが特定の求職者に一致する場合に、ユーザは求人企業の採用面接において問われる可能性の高い質問に対して自分なりの回答を事前に整理しておくことができる。
【0088】
モデル入力情報は、求職者情報に含まれる個人情報に匿名加工または仮名加工を施した情報と求人情報とに基づいてもよい。これにより、求職者の個人情報を保護することができる。
【0089】
求職者情報は、求職者の個人属性、経歴、スキル、嗜好、または求職意向の少なくともいずれかに関する情報を含んでもよい。これにより、求職者の個人属性、経歴、スキル、嗜好、または求職意向を考慮した想定質問を取得することができる。
【0090】
求職者情報は、特定の求職者の経歴またはスキルの少なくとも1つに関する情報を含んでもよい。サーバ30は、求職者情報に基づいて自然言語モデルの出力形式を制約する情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで、想定質問と特定の求職者の経歴またはスキルの少なくとも1つとの関連性を特定可能な形式で想定質問を取得してもよい。これにより、特定の求職者の経歴またはスキルに関連した想定質問を取得することができる。
【0091】
サーバ30は、企業が求人に応募した者の採否を判断するための評価観点に関する評価関連情報に基づいて自然言語モデルの出力形式を制約する情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで、想定質問と評価観点との関連性を特定可能な形式で想定質問を取得してもよい。これにより、採用の評価観点に関連した想定質問を取得することができる。
【0092】
サーバ30は、採用面接において質問すべきでない事項に関する禁止事項情報を取得し、禁止事項情報に基づいて自然言語モデルの出力形式を制約する情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで、想定質問を取得してもよい。これにより、不適切な内容の想定質問を取得する事態を防ぐことができる。
【0093】
サーバ30は、企業が求人に応募した者の採否を判断するための評価観点または評価基準の少なくとも1つに関する評価関連情報に基づいて想定質問を取得してもよい。これにより、採用の評価観点または評価基準を考慮した想定質問を取得することができる。
【0094】
サーバ30は、企業が求人に応募した特定の求職者に対して既に実施した選考過程に関するヒストリー情報に基づいて想定質問を取得してもよい。これにより、実施済みの選考過程を考慮した想定質問を取得することができる。
【0095】
ヒストリー情報は、採用面接の前に実施された面接における問答内容、または当該採用面接の前に実施された選考過程の担当者からの申し送り事項の少なくとも1つに関するものであってよい。これにより、実施済みの選考過程における問答内容または申し送り事項を考慮した想定質問を取得することができる。
【0096】
求人情報は、採用面接を実施する面談者に関する面談者情報を含んでもよい。サーバ30は、面談者情報に基づいて想定質問を取得してもよい。これにより、面談者にふさわしい想定質問を取得することができる。
【0097】
求人情報は、求人の募集職種、求人条件、もしくは待遇、または企業に関する情報を含んでもよい。これにより、妥当な想定質問を取得することができる。
【0098】
(5)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0099】
(5-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、想定質問に対する模範回答をさらに取得する例である。なお、変形例1においてクライアント装置10のユーザは典型的には求職者である。ただし、ユーザが求人企業に属する人物であっても変形例1は適用可能である。
【0100】
変形例1の情報処理について説明する。図7は、変形例1の情報処理の全体フローを示す図である。図8は、変形例1の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0101】
図7の処理は、例えばクライアント装置10が、人材マッチングサービスにアクセスし、求人企業による求人の採用面接における想定質問および当該想定質問に対する模範回答の作成を開始する指示をユーザ(例えば求職者)から受け付けることで開始してもよい。
【0102】
図7に示すように、サーバ30は図5と同様に、情報の取得(S130)、モデル入力情報の生成(S131)、および想定質問の取得(S132)を実行する。
【0103】
ステップS132の後に、サーバ30は、モデル入力情報の生成(S234)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS130において取得した情報(特に、求職者情報)と、ステップS132において取得した想定質問に基づいて、自然言語モデルLM5に模範回答を生成させるためのモデル入力情報を生成する。一例として、サーバ30は、ステップS130において取得した情報と、ステップS132において取得した想定質問とに基づくテキストをモデル入力情報として生成する。テキストは、自然言語モデルLM5に対する指示文に相当してもよい。なお、ステップS130において取得した情報(例えば、求人情報)とは異なる情報(例えば、求職者情報、またはヒストリー情報、など)を本ステップにおいて必要とする場合に、サーバ30は当該情報を取得してもよい。
【0104】
モデル入力情報は、模範回答(つまり、自然言語モデルLM5によって生成される応答文)の態様(例えば、出力形式)に関する制約条件に相当する情報を含むことができる。
例えば、制約条件は以下の少なくとも1つであってよい。
・模範回答の生成時に従って欲しい事項に関する制約条件
・模範回答の生成時に従わないで欲しい事項に関する制約条件
【0105】
要するに、モデル入力情報は、自然言語モデルLM5に対して、ステップS130において取得した情報と、ステップS132において取得した想定質問とに基づき、かつ制約条件を満たすように、当該想定質問に対する模範回答を作成することを指示する文章(指示文)であってよい。また、サーバ30の記憶装置31にはモデル入力情報の元となる情報(テンプレート)が保存されていてもよく、サーバ30はステップS130において取得した情報と、ステップS132において取得した想定質問とをテンプレートに当てはめることでモデル入力情報を生成してもよい。制約条件は、テンプレートに予め埋め込まれていてもよい。
【0106】
一例として、サーバ30は、求職者情報および想定質問に基づいてモデル入力情報を生成する。これにより、サーバ30は、想定質問に対し、特定の求職者(求職者情報に対応する求職者)の個人属性、経歴、スキル、嗜好、または求職意向などを考慮した模範回答を取得することができる。なお、本例において、サーバ30は、求職者情報に含まれる個人情報を、当該個人情報に匿名加工または仮名加工を施した情報に置き換えて用いてもよい。サーバ30は、ヒストリー情報にさらに基づいてモデル入力情報を生成することで、特定の求職者により適した(実施済みの選考過程でのやり取りを考慮した)模範回答を取得することができる。
【0107】
ステップS234の後に、サーバ30は、模範回答の取得(S235)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS234において生成したモデル入力情報を、自然言語モデルLM5に入力することで、当該自然言語モデルLM5によって生成された、模範回答(テキスト)を取得する。
【0108】
ステップS235の後に、サーバ30は、想定質問と模範回答の出力(S236)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS132において取得した想定質問とステップS236において取得した模範回答とを出力する。一例として、サーバ30は、想定質問および模範回答を、クライアント装置10を介してユーザに提示する。つまり、サーバ30は、想定質問および模範回答をクライアント装置10へ送信する。クライアント装置10は、受信した想定質問および模範回答をディスプレイ21に表示する。例えば、クライアント装置10は、図8の画面をディスプレイ21に表示し得る。
【0109】
図8の画面は、オブジェクトJ21を含む。オブジェクトJ21は、ステップS132において取得した想定質問とステップS235において取得した模範回答とを表示する。複数組の想定質問および模範回答が取得されている場合に、オブジェクトJ21はこれらを一問一答形式のリスト形式で表示し得る。
【0110】
想定質問と模範回答の出力(S236)は、アプリ画面、またはウェブサイト画面上での提示により行われてもよいし、メールまたはその他のメッセージ(例えば、SNSメッセージ、SMSメッセージ、など)の伝送により行われてもよい。また、想定質問と模範回答の出力(S236)は、例えば電子掲示板、チャットツール、またはSNSにメッセージをユーザ(さらに、ユーザの上司などの正当権限者)が閲覧可能な形式で投稿することによる告知を含み得る。さらに、想定質問と模範回答の出力(S236)は、例えばcsv形式などのファイルによる提供を含み得る。
【0111】
なお、変形例1において、モデル入力情報の生成(S131)~想定質問の取得(S132)と、モデル入力情報の生成(S234)~模範回答の取得(S235)とは、統合されてもよい。つまり、サーバ30は、想定質問および模範回答の両方を生成するためのモデル入力情報を自然言語モデルLM5に入力することで、想定質問および模範回答の両方をまとめて取得してもよい。
【0112】
以上説明したように、変形例1のサーバ30は、特定の求職者に関する求職者情報を取得し、求職者情報に基づいて、想定質問に対する模範回答を取得し、模範回答を出力する。これにより、ユーザは、想定質問に対する回答を自ら検討せずとも、模範回答を入手することができる。
【0113】
(6)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、クライアント装置10と一体化されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0114】
上記の情報処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。また、上記説明では、情報処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。
【0115】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【0116】
(6)付記
実施形態および変形例で説明した事項を、以下に付記する。
【0117】
(付記1)
コンピュータ(30)を、
企業による求人に関する求人情報を取得する手段(S130)、
求人情報に基づいて、企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段(S132)、
想定質問を出力する手段(S133,S236)、
として機能させるプログラム。
【0118】
(付記2)
想定質問を取得する手段は、求人情報に基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで想定質問を取得する、
付記1に記載のプログラム。
【0119】
(付記3)
コンピュータを、特定の求職者に関する求職者情報を取得する手段(S130)、として機能させ、
想定質問を取得する手段は、求職者情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで想定質問を取得する、
付記1に記載のプログラム。
【0120】
(付記4)
モデル入力情報は、求職者情報に含まれる個人情報に匿名加工または仮名加工を施した情報と求人情報とに基づく、
付記3に記載のプログラム。
【0121】
(付記5)
求職者情報は、求職者の個人属性、経歴、スキル、嗜好、または求職意向の少なくともいずれかに関する情報を含む、
付記3に記載のプログラム。
【0122】
(付記6)
求職者情報は、特定の求職者の経歴またはスキルの少なくとも1つに関する情報を含み、
想定質問を取得する手段は、求職者情報に基づいて自然言語モデルの出力形式を制約する情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで、想定質問と特定の求職者の経歴またはスキルの少なくとも1つとの関連性を特定可能な形式で想定質問を取得する、
付記3に記載のプログラム。
【0123】
(付記7)
想定質問を取得する手段は、企業が求人に応募した者の採否を判断するための評価観点に関する評価関連情報に基づいて自然言語モデルの出力形式を制約する情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで、想定質問と評価観点との関連性を特定可能な形式で想定質問を取得する、
付記2に記載のプログラム。
【0124】
(付記8)
コンピュータを、採用面接において質問すべきでない事項に関する禁止事項情報を取得する手段(S130)、として機能させ、
想定質問を取得する手段は、禁止事項情報に基づいて自然言語モデルの出力形式を制約する情報と求人情報とに基づくモデル入力情報を自然言語モデルに入力することで、想定質問を取得する、
付記2に記載のプログラム。
【0125】
(付記9)
想定質問を取得する手段は、企業が求人に応募した者の採否を判断するための評価観点または評価基準の少なくとも1つに関する評価関連情報に基づいて想定質問を取得する、
付記1に記載のプログラム。
【0126】
(付記10)
想定質問を取得する手段は、企業が求人に応募した特定の求職者に対して既に実施した選考過程に関するヒストリー情報に基づいて想定質問を取得する、
付記1に記載のプログラム。
【0127】
(付記11)
ヒストリー情報は、採用面接の前に実施された面接における問答内容、または当該採用面接の前に実施された選考過程の担当者からの申し送り事項の少なくとも1つに関する、
付記10に記載のプログラム。
【0128】
(付記12)
コンピュータ(30)を、
特定の求職者に関する求職者情報を取得する手段(S130)、
求職者情報に基づいて、想定質問に対する模範回答を取得する手段(S235)、
模範回答を出力する手段(S236)、として機能させる、
付記1に記載のプログラム。
【0129】
(付記13)
求人情報は、採用面接を実施する面談者に関する面談者情報を含み、
想定質問を取得する手段は、面談者情報に基づいて想定質問を取得する、
付記1に記載のプログラム。
【0130】
(付記14)
求人情報は、求人の募集職種、求人条件、もしくは待遇、または企業に関する情報を含む、
付記1に記載のプログラム。
【0131】
(付記15)
企業による求人に関する求人情報を取得する手段(S130)と、
求人情報に基づいて、企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段(S132)と、
想定質問を出力する手段(S133,S236)と
を具備する情報処理装置(30)。
【0132】
(付記16)
コンピュータ(30)が、
企業による求人に関する求人情報を取得するステップ(S130)と、
求人情報に基づいて、企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得するステップ(S132)と、
想定質問を出力するステップ(S133,S236)と
を実行する方法。
【0133】
(付記17)
複数のコンピュータ(10,30)によって構成されるシステム(1)であって、
企業による求人に関する求人情報を取得する手段(S130)と、
求人情報に基づいて、企業が求人に応募した者に対して行う採用面接における想定質問を取得する手段(S132)と、
想定質問を出力する手段(S133,S236)と
を具備するシステム。
【符号の説明】
【0134】
1 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8