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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026073
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】害獣侵入防止装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20250214BHJP
【FI】
A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131430
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】593192058
【氏名又は名称】ターナー色彩株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 聡史
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BB26
2B121BB32
2B121EA25
2B121FA01
2B121FA03
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】害獣の侵入を防ぐ機能を有しつつ、製造工程が簡便であり、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能な害獣侵入防止装置を提供する。
【解決手段】底部から上方へ延びる柱部および突起部を備え、底部、柱部、および突起部が一体成形されてなる構造とすることで、害獣の侵入を防ぐ機能を有しつつ、製造工程が簡便であり、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能な害獣侵入防止装置を提供できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害獣侵入防止装置であって、
当該害獣侵入防止装置は、セルが連続して配置され、一体成形されることでなる構造を有し、
セルは、底部、底部から上方へ延びる柱部、及び複数の柱部に囲まれるように備えられる突起部から構成され、
柱部は、天面が平坦であり、
柱部は突起部よりΔH高く形成されている、害獣侵入防止装置。
【請求項2】
害獣侵入防止装置であって、
当該害獣侵入防止装置は、セルが連続して配置され、一体成形されることでなる構造を有し、
セルは、底部、底部から上方へ延びる柱部、及び3~6の柱部に囲まれるように備えられる突起部から構成され、
柱部は、天面が平坦であり、
柱部は突起部よりΔH高く形成され、
突起部は、底部に配置された3~6の柱部に囲まれるように配置される、
害獣侵入防止装置。
【請求項3】
害獣侵入防止装置同士は嵌合可能である、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置。
【請求項4】
地面に固定可能な地面固定部を備える、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置。
【請求項5】
地面追従部を備える、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害獣侵入防止装置に関し、より詳しくは、製造工程が簡便であり、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能な害獣侵入防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より野生鳥獣による農作物被害、野生鳥獣による住宅地への侵入に関する被害が多数報告されている。
被害を防ぐために、人が日常生活や社会生活を営む区域に野生鳥獣や家庭動物(主に人に被害をもたらす恐れのある動物、あるいは害獣)の侵入を防止する方法がいくつも提案されてきた。
例えば、侵入を防止する方法として、野生鳥獣や家庭動物が忌避する音や超音波を発する装置を設置する方法、野生鳥獣や家庭動物が忌避するにおい(例えばオオカミの尿、唐辛子など)を発する装置あるいは薬品を使用する方法、フラッシュライトなどの光を用いる方法、鷹、鷲、人などの、野生鳥獣や家庭動物の天敵を模した人形やプレートを設置する方法などの、野生鳥獣の官能に働きかけ、危険を察知させることで侵入を防ぐ方法が挙げられる。
これらの方法は、使用して初めのうちは効果があるが、野生鳥獣や家庭動物が次第にその環境に慣れてしまうことにより、効力が次第に弱まってしまう問題がある。
【0003】
害獣の侵入を防止する別の方法としては、柵(例えばトタン柵、ワイヤーメッシュ柵、金網柵、電気柵など)を使用して、害獣の侵入を物理的に防ぐ方法がある。
この方法は、野生鳥獣や家庭動物の、慣れに依存して侵入防止効果が弱まる問題は発生しづらく、野生鳥獣や家庭動物の侵入を防止する方法として有用であるが、柵のつなぎ目に隙間ができたり、地面の土が雨水等によって流れ、柵と地面の隙間ができると、野生鳥獣や家庭動物がその隙間からもぐりこんで侵入することがある。
他にも電気柵の場合、鼻などの体毛が薄い箇所への接触に対しては効果があるが、体毛に覆われた部分には効果が薄いという問題もある。
以下に記載する特許文献は、害獣の侵入を防ぐ方法に関し記載した文献である。
【0004】
特許文献1には、刺激用突起を設けることで比較的大型の動物の侵入を防ぐことができ、その上面を人や車両が通行できる動物侵入防止用敷設パネルが提案されている。
この動物侵入防止用敷設パネルには、底部と格子枠部という2つの構成物を組み合わせて使用する構造上、製造工程が複雑となること、動物侵入防止用敷設パネルそのものが重いため、当該パネルの設置、およびメンテナンス(例えば経時により当該パネルに蓄積される落葉、土といったごみを掃除する等)が容易ではないこと、等の問題が生じる。
特許文献2には、グレーチング部材とU字溝部材との取付部を千鳥状に配置した害獣侵入防止効果の高い害獣侵入防止装置が提案されている。
このような害獣侵入防止装置には、設置する際に道路工事に関する認可が必要である場合が多いこと、道路工事には多額の費用が生じること、一度設置すると該装置の移動が困難であり、装置の設置場所が限られてしまうこと、等の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-193624号
【特許文献2】特開2013-223484号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、害獣の侵入を防ぐ機能を有しつつ、製造工程が簡便であり、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能な害獣侵入防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、害獣侵入防止装置であって、当該害獣侵入防止装置は、セルが連続して配置され、一体成形されることでなる構造を有し、セルは、底部、底部から上方へ延びる柱部、及び複数の柱部に囲まれるように備えられる突起部から構成され、柱部は、天面が平坦であり、柱部は突起部よりΔH高く形成されている、害獣侵入防止装置に関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、害獣侵入防止装置であって、当該害獣侵入防止装置は、セルが連続して配置され、一体成形されることでなる構造を有し、セルは、底部、底部から上方へ延びる柱部、及び3~6の柱部に囲まれるように備えられる突起部から構成され、柱部は、天面が平坦であり、柱部は突起部よりΔH高く形成され、突起部は、底部に配置された3~6の柱部に囲まれるように配置される、害獣侵入防止装置に関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、害獣侵入防止装置同士は嵌合可能である、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置に関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、地面に固定可能な地面固定部を備える、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置に関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、地面追従部を備える、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、害獣侵入防止装置であって、当該害獣侵入防止装置は、セルが連続して配置され、一体成形されることでなる構造を有し、セルは、底部、底部から上方へ延びる柱部、及び複数の柱部に囲まれるように備えられる突起部から構成され、柱部は、天面が平坦であり、柱部は突起部よりΔH高く形成されている、害獣侵入防止装置であることを特徴とすることから、害獣の侵入を防ぐ機能を有しつつ、製造工程が簡便であり、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能な害獣侵入防止装置を提供できるという有利な効果を奏する。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、害獣侵入防止装置であって、当該害獣侵入防止装置は、セルが連続して配置され、一体成形されることでなる構造を有し、セルは、底部、底部から上方へ延びる柱部、及び3~6の柱部に囲まれるように備えられる突起部から構成され、柱部は、天面が平坦であり、柱部は突起部よりΔH高く形成され、突起部は、底部に配置された3~6の柱部に囲まれるように配置される、害獣侵入防止装置であることを特徴とすることから、害獣の侵入を防ぐ機能を有しつつ、製造工程が簡便であり、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能な害獣侵入防止装置を提供できるという有利な効果を奏する。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、害獣侵入防止装置同士は嵌合可能である、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置であることを特徴とすることから、使用者が自ら当該装置を持ち運びして設置することができ、かつ、使用者が害獣の侵入を防止するための境界を広範囲にわたって設定することができる害獣侵入防止装置を提供できるという有利な効果を奏する。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、地面に固定可能な地面固定部を備える、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置であることを特徴とすることから、害獣侵入防止装置を地面に固定させるための地面固定部を備えることで、当該装置が容易に設置場所から移動されないため、当該装置が害獣侵入を防止する機能を維持することができるという有利な効果を奏する。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、地面追従部を備える、請求項1又は2に記載の害獣侵入防止装置であることを特徴とすることから、地面に不陸が生じていても安定して地面に設置可能な害獣侵入防止装置を提供できるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る一実施例の斜視図を示す図である。
図2】本発明に係る一実施例の側面図を示す図である。
図3】本発明に係る一実施例の平面図を示す図である。
図4】本発明に係る一実施例の底面図を示す図である。
図5】本発明に係る他の実施例の斜視図を示す図である。
図6】本発明に係る他の実施例の側面図を示す図である。
図7】本発明に係る他の実施例の平面図を示す図である。
図8】本発明に係る他の実施例の底面図を示す図である。
図9】本発明に係る、地面直接固定部を備えた場合の一実施例の側面図を示す図である。
図10】本発明に係る、様々な形状の地面固定部(地面直接固定部)における側面図である。それぞれ押さえ部位(フック)を有するピン、複数のフックを有するピン、フックを有しないピン、およびスパイクが記載される。
図11】本発明に係る、底部と底部間に地面追従部を備えた場合の一実施例の平面図を示す図である。
図12】本発明に係る、底部と底部間に地面追従部を備えた場合の一実施例の側面図を示す図である。
図13】本発明に係る、様々な形状の地面追従部における側面図である。それぞれ平板、U字型の板、屈曲できる平板、蛇腹状の板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る害獣侵入防止装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらの記載によって制限されるべきものではない。
【0019】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、底部(2)から上方へ延びる柱部(3)および突起部(5)を備え、底部(2)、柱部(3)、および突起部(5)が一体成形されてなることを基本構造とする。
突起部(5)は、底部(2)から上方へ延びる複数の柱部(3)に囲まれるように備えられる。
柱部(3)の高さHpは突起部(5)の高さHnよりΔH高く形成されている。(すなわちΔH=Hp-Hnである。)
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)において、底部(2)から上方へ延びる複数の柱部(3)に囲まれるように突起部(5)が備えられる構成を「セル」と称し、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)とは、セルが連続して配置されることでなる構造を有する。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、その上を通行する場合、人や車は通行可能であり、害獣は通行が困難となるように設計されている。
具体的には、人や車は、その足底や地面に接するタイヤの幅が、柱部(3)と柱部(3)の間の幅より大きい態様が多いため、害獣侵入防止装置(1)に備えられる複数の柱部(3)の天面(4)上を踏むことによって、害獣侵入防止装置(1)の上を通行することができる。
一方、害獣、例えば偶蹄目の場合、肢の地面に接する面積(例えば足裏の面積)が柱部(3)と柱部(3)の間の幅より小さく、柱部(3)の天面(4)の面積より大きい態様が多い。
そのため害獣は、複数の柱部(3)の天面(4)上に自身の肢を置くことができない。これは、仮に天面(4)上に自身の肢を置いた場合、肢を踏み外し、さらには突起部(5)で、足裏など、肢を損傷する危険性があるため(すなわち、肢の損傷は生命活動の危機につながるため)である。
さらに害獣は、柱部(3)と柱部(3)の間に自身の肢を置くように試みる場合(この場合、セル内に自身の肢を置く場合が多い)、既に突起部(5)が備えられている場所へ自身の肢を置く態様が多く、例えば足裏が突起部(5)に突き刺さることにより痛みを感じることになるため、害獣は自身の肢の置き場が無い。
以上の害獣侵入防止装置(1)が備える特徴により、害獣は害獣侵入防止装置(1)上を通行することが困難となる。その結果、害獣は本発明の害獣侵入防止装置(1)を、自身の生命活動に危害を与える装置、あるいは装置が設置された領域であることを認識(学習)し、当該装置、あるいは装置が設置された領域には容易に近づかなくなる。
【0020】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)において、底部(2)と突起部(5)と柱部(3)は一体成形されてなる。
一体成形にすることで、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、耐久強度、特に人や車が当該装置の上を通過した際にかかる重みに耐えることができる、耐圧強度を有し、かつ製造工程も簡便にすることができる。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、害獣の侵入を防ぐ機能を有しつつ、製造工程が簡便であり、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能とするために、高耐久で軽い素材により製造されることが好ましく、特に樹脂により製造されることが好ましい。
樹脂の種類については特に限定されないが、例えばポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、ポリ乳酸、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデンフェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、エポキシ樹脂(EP)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ポリウレタン(PUR)、アルキド樹脂ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。
本発明の害獣侵入防止装置(1)、とりわけ樹脂にさらに、害獣の忌避する成分や、設置周辺の環境になじむような着色成分を練りこむこともできる。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は製造後に、害獣の忌避する成分や設置周辺の環境になじむような着色成分を含むよう塗装することもできる。
一体成形する際に、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)には、例えば底部(2)、柱部(3)、および突起部(5)のうちの少なくとも1つに、耐久強度、特に耐圧強度を高めるためのリブ(補強部位)が備わっていてもよい。
【0021】
セルは、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)において、底部(2)から上方へ延びる複数の柱部(3)に囲まれるように突起部(5)が備えられる構成のことをいう。
セルの大きさは、本発明の害獣侵入防止装置(1)が底部(2)、柱部(3)、および突起部(5)により一体成形されてなり、害獣の侵入を防止できる機能を発揮する範囲において任意に設計でき、1つの態様として、人の足やタイヤが入り込まず、害獣の足裏が1つ分収まる程度の大きさであることが好適である。
セルの大きさは、上から見た場合、例えば(縦5cmから15cm)×(横5cmから15cm)の四角形に収まる程度の大きさが態様としてあり得る。
セルの大きさは、上から見た場合、(縦約10cm)×(横約10cm)の四角形に収まる程度の大きさであることが好適である。
セルの形状は、本発明の害獣侵入防止装置(1)が底部(2)、柱部(3)、および突起部(5)により一体成形されてなり、害獣の侵入を防止できる機能を発揮する範囲(例えば人の足やタイヤが入り込まず、害獣の足裏が1つ分収まる程度の大きさを有するセル)において、任意に設計できる。
セルの形状は、上から見た場合(すなわち、セルの構成の1つである柱部(3)の天面(4)を頂点と見た場合)、例えば三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形などが態様としてあり得る。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、例えば三角形と四角形など、形状が異なるセルを組み合わせて連続して配置し、害獣侵入防止装置(1)としてもよい。
【0022】
突起部(5)の高さHnは、使用者自身が本発明の害獣侵入防止装置(1)を任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能である範囲において任意に設計できる。
突起部(5)は、本発明の害獣侵入防止装置(1)が底部(2)、柱部(3)、および突起部(5)により一体成形されてなり、害獣の侵入を防止できる機能を発揮する範囲において、任意に形状を設計できる。
突起部(5)の先端は、害獣の侵入を防止することができる程度に鋭いことが望ましいが、人や車が万が一に接触した場合にけがや、損傷、破損が起こらないよう注意しなければならない。
当該注意を踏まえ、突起部(5)の先端は、例えば針状、球状、または平坦であることが態様としてあり得る。
突起部(5)は、1つのセルの中に複数備わってもよい。
突起部(5)は、底部(2)から上方へ延びる複数の柱部(3)に囲まれるように備えられる。
突起部(5)を囲む柱部(3)の数に特に限定は無いが、例えば3から6の柱部(3)に囲まれるように配置される態様があり得る。
【0023】
柱部(3)の高さHpは、使用者自身が本発明の害獣侵入防止装置(1)を任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能である範囲において任意に設計できる。
柱部(3)の高さHpは、突起部(5)の高さHnよりΔH高く形成されている必要がある。
柱部(3)の高さHpは、例えば高さ約5cmから約30cmが態様としてあり得る。
柱部(3)の高さHpは、約5cmを下回ると、害獣侵入防止装置(1)の構成上、突起部(5)の高さHnが低くなるため、突起部(5)が害獣(例えば偶蹄目)の足裏に十分届かず、突起部(5)としての痛みを与える効果が十分に発揮されなくなるおそれがある。
柱部(3)の高さHpは、約30cmを上回ると、害獣侵入防止装置(1)の有する耐久強度、特に耐圧強度が減少するおそれがある。
柱部(3)の高さHpは、高さ約10cmから約15cmが好適である。
柱部(3)は、本発明の害獣侵入防止装置(1)が底部(2)、柱部(3)、および突起部(5)により一体成形されてなり、害獣の侵入を防止できる機能を発揮する範囲において、任意に形状を設計できる。
柱部(3)の天面(4)は、その上を人や車が通行可能であることを鑑み、例えば平坦であることが好ましい。
柱部(3)の形状は、例えば円錐台、円柱、三角柱、四角柱などの多角柱が態様としてあり得る。
柱部(3)の天面(4)の大きさは、天面(4)を人や車が通行可能であり、害獣が通行できない機能を有する必要がある。
柱部(3)の天面(4)の大きさは、例えば直径約10mmから約30mmの円に収まる程度の大きさが態様としてあり得る。天面(4)の大きさが直径約30mmの円を上回ると、害獣、例えば偶蹄目、が天面(4)に自身の肢を置きやすくなり、害獣侵入防止装置(1)上を通行しやすくなるおそれがある。逆に天面(4)の大きさが直径約10mmの円を下回ると、柱部(3)の天面(4)側は針状に近づくように鋭くなるため、害獣侵入防止装置(1)上を通行する人や車に損傷が起こりやすくなることと、害獣侵入防止装置(1)の有する耐久強度が減少するおそれがある。
柱部(3)の天面(4)の大きさは、直径約20mmの円に収まる程度の大きさが好適である。
柱部(3)の高さが約10cmから約15cm、天面(4)が直径約20mmの大きさである円錐台が最も好適である。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、セルが連続して配置されることでなる構造を有するため、セルを連続して配置すると、柱部(3)は規則を有するように配置される(例えばマトリックス状など)こととなる。
【0024】
柱部(3)の高さHpは突起部(5)の高さHnよりΔH高く形成されている。(すなわちΔH=Hp-Hnである。)
ΔHは、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)が害獣の侵入を防止でき、その上面を人や車が通行可能である機能を発揮する範囲において任意に設計できる。
設計の際のΔHは、人の足裏やタイヤが触れず、害獣(例えば偶蹄目)の肢の裏に効果的に痛みを与える高さとなるように、柱部(3)の高さHp及び突起部(5)の高さHnを調整して設計するのが望ましい。
ΔHは、例えば1mmから10mmの範囲が態様としてあり得る。
ΔHは、約5mmであることが好適である。
【0025】
底部(2)は、柱部(3)、および突起部(5)と一体成形されて、本発明の害獣侵入防止装置(1)となる。
底部(2)は、セルを形成するための一部分(すなわち、セルを上から見た場合、頂点となる柱部(3)を連結させるための一辺)、柱部(3)と突起部(5)を連結させるための一部分、及び/またはセル同士を連続して配置するための連結部分としての機能を有する。
害獣侵入防止装置(1)が害獣の侵入を防止できる機能を発揮する範囲において、底部(2)の高さを任意に設計できる。底部(2)の高さを低く設計する(例えば0.5cmから1.0cmなど)ことで、地面に凹凸や穴など(不陸)が生じていても、地面の形状に追従するように本発明に係る害獣侵入防止装置(1)を設置することができる。
【0026】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、当該装置同士が嵌合できる構造を有していてもよい。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)の大きさは、使用者が自ら当該装置を持ち運びし、設置し、自らメンテナンスできる大きさであれば特に限定されない。
例えば1辺あたり約50cmの四角形状である態様や、縦横約50cmのハニカム構造の態様があり得る。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)の、例えば底部(2)や柱部(3)に、当該装置同士が嵌合できる構造を有することができる。
この嵌合できる構造により、使用者は害獣の侵入を防止するための境界を広範囲にわたって設定することができる。
【0027】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、地面に置く(設置する)だけで、害獣の侵入防止の機能を発揮することができるが、当該装置は地面に固定させるための地面固定部(6)を備えていてもよい。
地面固定部(6)の大きさは、害獣侵入防止装置(1)を地面に固定させるための機能を有していれば特に限定はない。
地面固定部(6)は、地面補助固定部と地面直接固定部に大別される。
地面補助固定部とは、地面に固定するために、害獣侵入防止装置(1)の構造に関係のない道具を使用して地面に固定するための補助的な機能を有する構造部位のことである。
地面補助固定部として、例えばペグ、杭の打ち込みによる固定のために、ペグや杭が1本通る程度の穴が空いた構造や、石などの重しを置くことによる固定のために、重しを置くためのくぼんだ(陥没)構造が考えられる。
地面直接固定部とは、害獣侵入防止装置(1)を地面に直接固定するための構造部位のことである。
地面直接固定部として、地面に固定するアンカーとしての機能を有するピン、スパイク等が考えられるが、地面に直接固定するための構造部位としての機能を有していれば、地面直接固定部の形状は特に限定されない。
地面直接固定部がピン、スパイクの場合は、例えば柱部(3)や突起部(5)の底面側から垂直下方向に伸びる態様が考えられ、例えばその大きさは0.5cmから15cmの態様が考えられ、例えばその側面部あるいは先端部に、地面に固定した場合に容易に離れないための押さえ部位(例えばフック)が備えられる態様が考えられる。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、地面に固定させるために、地面補助固定部と地面直接固定部のいずれか、もしくは両方を備えていてもよい。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、地面固定部(6)を複数備えていてもよい。
地面固定部(6)は、害獣侵入防止装置(1)に一体成形されてもよいし、当該装置(1)から着脱可能であってもよい。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、害獣の侵入を防止する機能を発揮できる範囲の中で、突起部(5)が地面から突出する程度に、地面に埋め込むことが可能である。
【0028】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、当該装置(1)の底面側において、例えば当該装置(1)と装置(1)の間、セルとセルの間、底部(2)と底部(2)の間、柱部(3)と柱部(3)の間、底部(2)と柱部(3)の間、柱部(3)と突起部(5)の間に、地面追従部(7)を単独で、あるいは複数備えていてもよい。
地面追従部(7)を備えることで、地面に凹凸や穴など(不陸)が生じていても安定して地面に設置可能な害獣侵入防止装置(1)を提供できる。
地面追従部(7)は害獣侵入防止装置(1)に一体成形されている。
地面追従部(7)はたわむ、又は、しなることができ、態様として例えば、平板、U字型の板、屈曲できる平板、蛇腹状の板等が挙げられるが、地面に凹凸や穴など(不陸)が生じていても安定して地面に害獣侵入防止装置(1)を設置できる機能を有していれば特に限定されない。
地面追従部(7)を備える害獣侵入防止装置(1)の場合、底部(2)の高さと地面追従部(7)の高さを均一に揃えること、さらに均一に揃えられる高さがより低くなるように(例えば0.5cmから1cmなど)設計することで、図11図12に記載された均一に揃えない場合と比べて、地面に凹凸や穴など(不陸)が生じていても、より安定して当該装置(1)を地面に設置することができる。
【0029】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、地面に固定させるための地面固定部(6)および連続して配置されるセル間に地面追従部(7)の両方を備えた装置としてもよい。
【0030】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、もともと害獣侵入を防止するために備えられた柵の付近に設置することで、害獣の侵入を防止する機能をより高めることができる。害獣は、その種類や大きさによっては、設置されている柵の隙間からや、地面に穴を掘り、設置された柵の下を掻い潜ることで侵入することができる。本発明に係る害獣侵入防止装置(1)を、害獣が侵入する恐れのある柵近辺に設置することにより、害獣は設置されている柵に近づくことができなくなる。
以上により、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、もともと害獣侵入を防止するために備えられた柵の付近に設置することで、害獣の侵入を防止する機能をより高めることができる。
【0031】
使用者とは、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)を使用する者のことである。本発明に係る害獣侵入防止装置(1)を使用する者であれば特に限定は無いが、例えば害獣が出没する地域において日常生活や社会生活を営む者(農業従事者など)が考えられる。
【0032】
本発明における害獣は、野生鳥獣や家庭動物(あるいは愛玩動物)のうち、主に人に被害をもたらす恐れのある動物のことを指す。
ここでの被害とは、人の生活圏に出没する野生鳥獣や家庭動物(あるいは愛玩動物)による生活被害(該動物による威嚇や家屋侵入、該動物により外傷を被るなど)や農作物被害が考えられる。
害獣として、例えば、イノシシ、鹿などの偶蹄目、イタチ、アナグマ、狸、ハクビシン、犬(または野良犬)、猫(または野良猫)等が挙げられる。
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、特にイノシシ、鹿などの偶蹄目の動物に効果があると考えられる。
【実施例0033】
以下、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらの記載によって制限されるべきものではない。
【0034】
(実施例1)
図1から図4は、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)における、一実施例(それぞれ斜視図、側面図、平面図、底面図)を示す図である。
【0035】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)における実施例1は以下の構成を備えた構造を有する。
害獣侵入防止装置(1)の大きさ(上から見た場合) 縦約40cm×約横40cm
セルの形状(上から見た場合) 四角形(一辺約10.0cm)
セルの大きさ(上から見た場合) 約100cm
(一辺約10.0cmで計算)
柱部(3)
柱部(3)の形状 円錐台
柱部(3)の高さ 約10cm
柱部(3)の天面(4)の直径 約2cm
柱部(3)の底面の直径 約4cm
突起部(5)
突起部(5)の高さ 約9.5cm
ΔH 約0.5cm
【0036】
(実施例2)
図5から図8は、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)における、他の実施例(それぞれ斜視図、側面図、平面図、底面図)を示す図である。
【0037】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)における実施例2は以下の構成を備えた構造を有する。
害獣侵入防止装置(1)の大きさ(上から見た場合) 縦約40cm×約横50cm
セルの形状(上から見た場合) 六角形(一辺約5.5cm)
セルの大きさ(上から見た場合) 約80cm
(一辺約5.5cmで計算)
柱部(3)
柱部(3)の形状 円錐台
柱部(3)の高さ 約10cm
柱部(3)の天面(4)の直径 約2cm
柱部(3)の底面の直径 約4cm
突起部(5)
突起部(5)の高さ 約9.5cm
ΔH 約0.5cm
【0038】
(実施例3)
図9は、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)における、地面直接固定部(地面方向の長さ約5cm)を備えた場合の一実施例(側面図)を示す図である。
図9の地面直接固定部として、先端部に押さえ部位(フック)を有するピンが記載されており、当該地面直接固定部は、地面に固定するアンカーとしての機能を有する。
図9の害獣侵入防止装置(1)では、ピンが柱部(3)の底面側から垂直下方向に伸びる態様を記載したが、底部(2)、突起部(5)、またはそれ以外の害獣侵入防止装置(1)を構成する部位の底面側から垂直下方向に伸びる態様も可能である。
図10は、様々な形状の地面固定部(6)(地面直接固定部)における側面図である。それぞれ押さえ部位(フック)を有するピン、複数のフックを有するピン、フックを有しないピン、およびスパイクを記載したが、害獣侵入防止装置(1)を地面に直接固定するための構造部位としての機能を有していれば、地面直接固定部の形状は特に限定されない。
【0039】
(実施例4)
図11、12は、本発明に係る害獣侵入防止装置(1)における、底部(2)と底部(2)間に地面追従部(7)を備えた場合の一実施例(それぞれ平面図、側面図)を示す図である。
セルとセルの間に地面追従部(7)を備えることで、地面に凹凸や穴など(不陸)が生じていても安定して地面に設置可能な害獣侵入防止装置(1)を提供することができる。
図13は、様々な形状の地面追従部(7)における側面図である。それぞれ平板、U字型の板、屈曲できる平板、蛇腹状の板を記載したが、地面に凹凸や穴など(不陸)が生じていても安定して地面に害獣侵入防止装置(1)を設置できる機能を有していれば、地面追従部(7)の形状は特に限定されない。
【0040】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)における実施例4は以下の構成を備えた構造を有する。実施例4の害獣侵入防止装置(1)の態様では、四角形のセルが2×2=4で連結された1ユニットの装置(1)同士を、地面追従部(7)でさらに連ねるように記載している。図示されたセルの合計数は、4×4=16となる。
害獣侵入防止装置(1)の大きさ(上から見た場合) 縦約43cm×約横43cm
セルの形状 四角形(一辺約10.0cm)
セルの大きさ(上から見た場合) 約100cm
(一辺約10.0cmで計算)
柱部(3)
柱部(3)の形状 円錐台
柱部(3)の高さ 約10cm
柱部(3)の天面(4)の直径 約2cm
柱部(3)の底面の直径 約4cm
突起部(5)
突起部(5)の高さ 約9.5cm
ΔH 約0.5cm
地面追従部(7)
形状 平板
地面追従部(7)の大きさ 約3cm×約1cm
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る害獣侵入防止装置(1)は、使用者自身が任意に目的の場所に容易に設置することおよび移動させることができ、使用者自身が容易にメンテナンス可能で、その上面を人や車が通行可能な構造を有する。
野生鳥獣や家庭動物、特にイノシシ、鹿などの偶蹄目が出没する地域への設置に有用である。
野生鳥獣や家庭動物、とりわけ害獣に進入してほしくない領域について、該領域を取り囲む、あるいは害獣の接近を防ぐためのバリケードとして該領域に本発明(害獣侵入防止装置(1))を使用することで、害獣の侵入を広範囲にわたって防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 害獣侵入防止装置
2 底部
3 柱部
4 天面
5 突起部
6 地面固定部
7 地面追従部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13