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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026107
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】植物育成装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20250214BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20250214BHJP
【FI】
A01G7/00 601A
A01G31/00 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131477
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】大木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】城下 沙織
【テーマコード(参考)】
2B022
2B314
【Fターム(参考)】
2B022DA08
2B314PD59
(57)【要約】      (修正有)
【課題】藻の発生を抑制するとともに、作業者の作業性を向上させることが可能な、植物育成装置を提供する。
【解決手段】植物育成装置は、植物に供給するための液体を貯留する貯留槽10と、貯留槽10の上方から貯留槽10に向けて光を照射する複数の光源20とを備えている。各々の光源20が光を照射する領域は、互いに異なっている。各々の光源20は、貯留槽10を覆う第1の位置と、貯留槽10を覆わない第2の位置とをとる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を育成するための植物育成装置であって、
前記植物に供給するための液体を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽の上方から前記貯留槽に向けて光を照射する複数の光源とを備え、
各々の前記光源が光を照射する領域は、互いに異なり、
各々の前記光源は、前記貯留槽を覆う第1の位置と、前記貯留槽を覆わない第2の位置とをとる、植物育成装置。
【請求項2】
前記光源は、シート状の照明装置である、請求項1に記載の植物育成装置。
【請求項3】
前記光源を収納する収納部を更に備え、
前記光源が前記第2の位置をとるとき、前記光源は、前記収納部に巻き取られる、請求項2に記載の植物育成装置。
【請求項4】
前記光源が前記第2の位置をとるとき、前記光源は、蛇腹状に折り畳まれる、請求項2に記載の植物育成装置。
【請求項5】
前記光源の上方に設けられた予備光源を更に備える、請求項1に記載の植物育成装置。
【請求項6】
前記予備光源が照射する光の色温度は、前記光源が照射する光の色温度とは異なる、請求項5に記載の植物育成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物を育成する植物育成工場が知られている。植物育成工場では、セルトレイ育苗(セル成型苗)又はポッド育苗によって、植物が育成されている。このうち、セルトレイ育苗は、大量かつ効率的に植物を育成できるため、近年着目されている。しかしながら、セルトレイ育成では、ポッド育苗よりも培土量が少ないことが一般的であるため、ポッド育成と比較して、精密な水の管理が求められる。
【0003】
このような植物育成工場において、植物への潅水は、散水、噴霧、点滴又は底面潅水等によって行われている。このうち、底面潅水は、植物に培土が跳ねないこと、水量が少なくて良いこと及び水量が均一になること等の利点がある。このため、底面潅水を行う植物育成装置が着目されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、照明装置を備えた苗栽培装置であって、照明装置が、半導体光源と、該半導体光源からの光を拡散する樹脂製のカバーとを備える苗栽培装置が開示されている。この苗栽培装置の照明装置では、各棚の栽培面1mあたりの照明装置から出力される光束が17000ルーメン以上になっている。また、この照明装置では、LEDからの光を拡散させて下方に出射させるためのカバーが設けられている。このカバーは、下方に向かって凸となるように設置されている。また、カバーは、底板からの突出高さが40mm以下となるように設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/163629号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、病害虫が植物に悪影響を及ぼすことを抑制するため、植物の育成は、農業ハウス等のような閉鎖された空間で行われることがある。しかしながら、養分、水及び光が存在することにより、植物育成装置内に藻が発生する可能性がある。藻が発生した場合、植物育成装置の配管等に藻が流れてしまう場合があり、植物を育成するための水(養液)が汚染されてしまうおそれがある。また、配管等に藻が流れてしまった場合、配管等の清掃に手間がかかるといった問題も発生する。さらに、藻が発生した場合、病害虫の発生、水の栄養バランスの変化、又は、藻が培土に付着することに起因する根の酸素取り込み量の低下等、植物に悪影響を及ぼす可能性がある。このように、植物育成装置内に藻が発生する可能性がある場合、藻の発生への対策及び発生した藻の処理に労力がかかることが問題となり得る。
【0007】
一方、藻の発生への対策として、防藻効果のあるパネルを用いること、及び藻が発生し得る場所に紫外線を照射すること等が知られている。しかしながら、防藻効果のあるパネルは、主に水耕栽培向けの資材である。このため、防藻効果のあるパネルは、底面潅水を行う植物育成装置へは適用しにくく、かつ、通常の資材よりもコストが高いという問題がある。また、植物の栽培時に紫外線を照射する場合、植物に悪影響を及ぼす可能性がある。このため、水はけが良く、藻の発生を抑制できる植物育成装置が求められている。
【0008】
また、植物を育成する際、光源を植物に近接させることにより、光効率が向上する。また、植物育成装置を上下方向に複数に配置する場合には、光源を植物に近接させることにより、空間効率が向上し得る。一方、光源を植物に近接させた場合、植物が十分に育った後に植物を植物育成装置から取り出す際に、植物が光源に接触してしまう可能性がある。そして、植物が光源に接触した場合、植物及び光源が、損傷を受けてしまうおそれがある。このため、植物が光源に接触しないようにするために、植物を植物育成装置から取り出す際に、作業者には細心の注意が求められ得る。この場合、作業者の作業性が低下するおそれがある。
【0009】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであって、藻の発生を抑制するとともに、作業者の作業性を向上させることが可能な、植物育成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[6]に関する。
【0011】
[1]
植物を育成するための植物育成装置であって、
前記植物に供給するための液体を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽の上方から前記貯留槽に向けて光を照射する複数の光源とを備え、
各々の前記光源が光を照射する領域は、互いに異なり、
各々の前記光源は、前記貯留槽を覆う第1の位置と、前記貯留槽を覆わない第2の位置とをとる、植物育成装置。
【0012】
[2]
前記光源は、シート状の照明装置である、[1]に記載の植物育成装置。
【0013】
[3]
前記光源を収納する収納部を更に備え、
前記光源が前記第2の位置をとるとき、前記光源は、前記収納部に巻き取られる、[2]に記載の植物育成装置。
【0014】
[4]
前記光源が前記第2の位置をとるとき、前記光源は、蛇腹状に折り畳まれる、[2]に記載の植物育成装置。
【0015】
[5]
前記光源の上方に設けられた予備光源を更に備える、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の植物育成装置。
【0016】
[6]
前記予備光源が照射する光の色温度は、前記光源が照射する光の色温度とは異なる、[5]に記載の植物育成装置。
【発明の効果】
【0017】
本実施の形態によれば、藻の発生を抑制できるとともに、作業者の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施の形態による植物育成装置を示す概略斜視図である。
図2図2は、一実施の形態による植物育成装置を示す断面図(図1のII-II線断面図)である。
図3図3は、一実施の形態による植物育成装置を示す断面図(図2のIII-III線断面図)である。
図4図4は、一実施の形態による植物育成装置を示す断面図(図2のIV-IV線断面図)である。
図5図5は、一実施の形態による植物育成装置を示す平面図である。
図6図6(a)-(c)は、一実施の形態による植物育成装置の使用方法を説明する図である。
図7図7は、一実施の形態による植物育成装置の変形例を示す断面図(図4に対応する断面図)である。
図8図8は、一実施の形態による植物育成装置の他の変形例を示す断面図(図4に対応する断面図)である。
図9図9は、一実施の形態による植物育成装置の他の変形例を示す断面図(図4に対応する断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら一実施の形態について具体的に説明する。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0020】
(植物育成装置)
まず、図1乃至図5を参照して、本実施の形態による植物育成装置1について説明する。図1は、一実施の形態による植物育成装置1を示す概略斜視図であり、図2乃至図4は、一実施の形態による植物育成装置1を示す断面図であり、図5は、一実施の形態による植物育成装置1を示す平面図である。植物育成装置1は、底面潅水により植物PLを育成するための装置である。植物PLは、セルトレイCt(図2及び図3参照)に植えられた状態で、育成されても良い。なお、底面灌水とは、育成容器(セルトレイCt)の底面を液体Lqに浸すことにより植物PLへ液体Lqを供給する灌水方法である。また、図面を明瞭にするために、図1において植物PL等の図示を省略し、図2乃至図4においてハッチングを省略し、図5において、後述する光源20及び支持体50等の図示を省略している。
【0021】
図1乃至図4に示すように、植物育成装置1は、液体Lqを貯留する貯留槽10と、貯留槽10の上方から貯留槽10に向けて光を照射する複数の光源20とを備えている。また、植物育成装置1は、光源20を収納する収納部3を更に備えていても良い。また、植物育成装置1は、貯留槽10と光源20との間に設けられ、植物PLを支持する支持体50を更に備えていても良い。また、植物育成装置1は、貯留槽10内の液体Lqを排出する排出機構70を更に備えていても良い。また、植物育成装置1は、貯留槽10内の水位を調整する調整機構80を更に備えていても良い。さらに、植物育成装置1は、貯留槽10内に液体Lqを供給する供給部90を更に備えていても良い。
【0022】
(貯留槽)
図1に示すように、貯留槽10は、複数(4本)の支柱2に取り付けられている。なお、図示しない支持台が支柱2に取り付けられていても良く、貯留槽10は、図示しない支持台上に載置されていても良い。
【0023】
この貯留槽10は、上述したように、液体Lq(図2乃至図4参照)を貯留する。この液体Lqは、植物PLに供給するための液体である。この場合、液体Lqは、水であっても良く、水に肥料を溶かした液肥であっても良い。
【0024】
図1乃至図5に示すように、貯留槽10は、底部11と、底部11の上方に設けられた側部12とを有している。本実施の形態では、底部11の平面形状は、長方形である。なお、底部11の平面形状は、正方形であっても良く、四角形以外の多角形であっても良く、円形等であっても良い。
【0025】
貯留槽10の底面(底部11の上面)11aは、排出機構70に向けて下方に傾斜している。これにより、貯留槽10に貯留された液体Lqを排出機構70から排出させやすくなっている。本実施の形態では、排出機構70は、貯留槽10の底部11のうち、平面形状が構成する長方形の短辺近傍に設けられている。より具体的には、排出機構70は、長方形の短辺のうち、X方向プラス側の短辺の近傍に設けられている。このため、貯留槽10の底面11aは、X方向マイナス側からX方向プラス側に向けて、下方に傾斜している。
【0026】
水平面に対する底面11aの傾斜角度θ(図2参照)は、0.28°以上1.72°以下であっても良い。傾斜角度θが0.28°以上であることにより、貯留槽10内の水を排出する際に、水が、排出機構70に向かって流れやすくなる。また、傾斜角度θが1.72°以下であることにより、貯留槽10の高さが、必要以上に高くなってしまうことを抑制できる。このため、複数の植物育成装置1を重ねて使用する際に、植物育成装置1の設置スペースを低減できる。
【0027】
また、底面11aには、突起部等の凹凸は形成されていない。すなわち、本実施の形態では、貯留槽10にセルトレイCtを支持するための支持部は設けられていない。このため、底面11aに液体Lqが溜まりにくくなり、かつ、貯留槽10の清掃を容易にできる。
【0028】
貯留槽10の長手方向(X方向)の長さは、800mm以上2000mm以下であっても良い。また、貯留槽10の幅方向(Y方向)の長さは、500mm以上800mm以下であっても良い。貯留槽10が上記サイズであることにより、セルトレイCtを複数設置しやすくなるとともに、植物PLを育成する環境管理を容易にできる。また、貯留槽10が上記サイズであることにより、排出機構70及び供給部90を貯留槽10に設置しやすくなる。
【0029】
また、貯留槽10を構成する材料は、耐水性を有するとともに、軽量な材料であれば良い。例えば、貯留槽10を構成する材料は、発泡スチロール(EPS:Expanded Poly-Styrene)又はポリプロピレン(PP)等であっても良い。また、貯留槽10を構成する材料に、抗菌剤又は防藻剤等が練り込まれていても良い。
【0030】
(光源)
図1に示すように、光源20は、支柱2に取り付けられた収納部3に取り付けられている。
【0031】
光源20は、LED照明装置であっても良い。本実施の形態では、光源20は、シート状の照明装置であり、いわゆる片面出光型の面状の光源シートである。図2及び図3に示すように、光源20の発光面(Z方向マイナス側の面)側に、複数のLEDチップ21が配列されている。このような直下型の光源シートを用いることで、LEDチップ21からの照射光がそのまま発光面を通過する。このため、照射光が直接直下の植物に到達するので、光量を強くして植物の育成の促進を図ることができる。また、光源20が面状の光源シートであることにより、全体の厚みを薄くできるため、LEDチップ21の側部側に影が発生することを抑制できる。
【0032】
また、光源20が面状の光源シートであることにより、光源20が可撓性と軽量性を有する。このため、光源20の支柱2への取り付けを容易に行うことができる。また、光源20が可撓性を有することにより、光源20を、様々なサイズ及び形状からなる植物育成装置1へ適用できる。なお、本明細書中、「可撓性を有する」とは、「折り曲げた際の曲率半径が、少なくとも1m以下、好ましくは50cm、より好ましくは30cm、更に好ましくは10cm、特に好ましくは5cmであること」をいう。
【0033】
また、光源20が面状の光源シートであることにより、光源20の厚みを薄くできる。これにより、植物育成装置1の高さを低くすることができ、複数の植物育成装置1を重ねて使用することもできる。このため、単位面積あたりの植物PLの収穫量を増加できる。
【0034】
光源20の全体形状は、平面視で長方形であるが、光源20のサイズ及び平面形状については特に限定されない。光源20が面状の光源シートである場合、サイズ及び形状の自由度が高いため、この点に関する様々な需要に対しても柔軟に対応できる。また、光源20が可撓性を有するため、フラットな形状をもつ設置面に限らず、様々な形状をもつ設置面への取付けができる。
【0035】
図示された例においては、4つの光源20が設けられている。すなわち、図1及び図2に示すように、植物育成装置1は、第1光源25と、第2光源26と、第3光源27と、第4光源28とを備えている。各々の光源20(第1光源25乃至第4光源28)のサイズは、例えば、セルトレイCtのサイズと同等であっても良く、セルトレイCtのサイズよりも大きくても良い。このとき、1つの光源20(1枚の光源シート)の長手方向(Y方向)の長さは、例えば、500mm以上であっても良く、550mm以上であっても良い。また、1つの光源20の長手方向(Y方向)の長さは、750mm以下であっても良く、650mm以下であっても良い。1つの光源20の幅方向(X方向)の長さは、300mm以上であっても良く、350mm以上であっても良い。また、1つの光源20の幅方向(X方向)の長さは、500mm以下であっても良く、450mm以下であっても良い。なお、図示はしないが、3つ以下又は5つ以上の光源20が設けられていても良い。
【0036】
上述したように、植物育成装置1は、第1光源25と、第2光源26と、第3光源27と、第4光源28とを備えている。第1光源25乃至第4光源28は、X方向マイナス側からプラス側に向けて、この順に配置されている。本実施の形態では、第1光源25乃至第4光源28は、上下方向(Z方向)において互いに重なることなく、水平方向(X方向)に沿って配置されている。このため、各々の光源20(第1光源25乃至第4光源28)が光を照射する領域は、互いに異なっている。なお、本明細書中、光源が光を照射する領域とは、上下方向(Z方向)に沿って見たときに、光源と重なる領域をいう。
【0037】
各々の光源20は、貯留槽10を覆う第1の位置と、貯留槽10を覆わない第2の位置とをとる。第1の位置は、光源が貯留槽10に向けて(真下に向けて)光を照射するように意図された位置である。一方、第2の位置は、光源が貯留槽10に向けて光を照射しないように意図された位置である。
【0038】
図1乃至図4に示す例においては、第1光源25及び第2光源26は、それぞれ第1の位置をとっている。このため、第1光源25及び第2光源26は、それぞれ貯留槽10に向けて(真下に向けて)光を照射する。また、第1光源25及び第2光源26の真下には、植物PLが植えられたセルトレイCtが配置されている(図2及び図3参照)。このため、第1光源25及び第2光源26は、それぞれ真下に配置されたセルトレイCt(植物)に対して、光を照射する。
【0039】
光源20が第1の位置をとる場合、光源20の一端(Y方向マイナス側の端部)は、支柱2に取り付けられた固定部材4に固定されても良い。図示された例においては、固定部材4は、貯留槽10の長手方向(X方向)に沿って延びる棒状の部材である。この場合、光源20は、例えば、フック又は磁石等を用いて、固定部材4に着脱自在に取り付けられていても良い。光源20の他端(Y方向プラス側の端部)は、収納部3に取り付けられていても良い。なお、固定部材4の形状は特に限定されず、例えば、第1の位置をとる光源20の全面を覆うような板状の部材であっても良い。
【0040】
本実施の形態では、各々の光源20は、第1の位置をとった状態において、水平に配置されている。これにより、光源20の下方に位置する植物PLに照射される光のばらつきを抑制できる。
【0041】
一方、図1乃至図4に示す例においては、第3光源27及び第4光源28は、それぞれ第2の位置をとっている。このため、第3光源27及び第4光源28は、それぞれ貯留槽10に向けて(真下に向けて)光を照射しない。ここで、第3光源27及び第4光源28の真下には、植物PLが植えられたセルトレイCtは配置されていない(図2及び図4参照)。このため、第3光源27及び第4光源28が第2の位置をとることにより、セルトレイCtが配置されていない領域に光が照射されることを抑制できる。このため、貯留槽10のうち、植物PLの育成を行っていない領域に光が照射されることを抑制でき、貯留槽10に藻が発生することを抑制できる。
【0042】
本実施の形態では、光源20が第2の位置をとるとき、光源20は、収納部3に巻き取られる。これにより、作業者がセルトレイCtを植物育成装置1から取り出す際に、光源20が作業の邪魔になることを抑制できる。
【0043】
なお、図1乃至図4では、光源20が直下型のLEDシートである例を示しているが、これに限定されず、光源20は、導光板等を介在させたエッジライト型のLEDシートであっても良い。エッジライト型のLEDシートは、発光面からの光量のばらつきを抑制しやすい。また、光源20は、バーライトであっても良い。この場合、光源20は、複数のLEDが配列された直管型のLEDバーライトであっても良く、蛍光灯であっても良い。なお、光源20がバーライトである場合、光源20は、例えば、収納部3から吊り下げられることにより、第2の位置をとっても良い。
【0044】
(収納部)
図1に示すように、収納部3は、支柱2に取り付けられている。図1図3及び図4に示すように、収納部3は、貯留槽10の長手方向(X方向)に沿って延びている。上述したように、収納部3には、光源20の他端(Y方向プラス側の端部)が取り付けられている。収納部3は、手動で光源20を巻き取るように構成されていても良く、光源20から手を離すことにより、光源20が自動で巻き取られるように構成されていても良い。また、図示しないスイッチを操作することにより、光源20が自動で巻き取られるように構成されていても良い。図示された例においては、収納部3は、円筒形状を有している。この場合、収納部3の直径は、30mm以上150mm以下程度であっても良い。収納部3の直径が30mm以上であることにより、光源20が巻き取られた際に、光源20のLEDチップ21に対して負荷がかかることを抑制できる。また、収納部3の直径が150mm以下であることにより、収納部3が作業の邪魔になることを抑制できる。なお、一般的に、植物育成装置1では、貯留槽10の長手方向(X方向)に沿って、作業者用の通路が設けられ得る。このため、収納部3は、通路とは反対側に設けられていることが好ましい。これにより、収納部3が作業の邪魔になることを抑制できる。
【0045】
(支持体)
図1に示すように、支持体50は、取付部材51を介して、複数(4本)の支柱2に取り付けられている。取付部材51は、例えば、紐状の部材であっても良い。また取付部材51は、フック又はネジ等を用いて、支持体50を支柱2に取り付けても良い。取付部材51は、支持体50の高さを調整できるようになっている。これにより、セルトレイCtが液体Lqに浸かる高さを容易に変更できる。また、支持体50の高さを調整できることにより、植物PLと光源20との間の距離を容易に調整できる。さらに、支持体50は、支柱2から容易に取り外し可能になっていても良い。これにより、貯留槽10の清掃を容易に行うことができる。
【0046】
支持体50は、セルトレイCtごと植物PLを支持していても良い。なお、図示された例においては、支持体50の一部分のみにセルトレイCtが載置されているが、支持体50の略全面にセルトレイCtが載置されていても良い。
【0047】
支持体50は、貯留槽10の底面11aに接触していない。言い換えれば、支持体50と、貯留槽10の底面11aとの間に、隙間が形成されている。このため、貯留槽10内から液体Lqを排出させた後に、貯留槽10の底面11a上に液体Lqが残留してしまうことを抑制できる。
【0048】
平面視において、支持体50の面積は、貯留槽10の底面11aの面積よりも小さい(図1参照)。この場合、支持体50は、貯留槽10内に配置されるように構成されている(図1乃至図4参照)。このようにして、支持体50に載置されたセルトレイCtの少なくとも一部が、液体Lqの液面よりも下方に位置するように構成されている(図2及び図3参照)。
【0049】
本実施の形態では、支持体50は、複数の開口部を有するネットであっても良い。この場合、ネットの開口率は、10%以上70%以下であってもよい。ネットの開口率が10%以上であることにより、貯留槽10内から液体Lqを排出させた後に、支持体50上に液体Lqが残留してしまうことを抑制できる。また、開口率が70%以下であることにより、支持体50に載置されるセルトレイCtの安定性を高めることができる。
【0050】
また、支持体50がネットである場合、開口部の形状は、セルトレイCtを安定して支持できる限り、任意の形状であっても良い。例えば、開口部の形状は、正方形であっても良く、円形、三角形、菱形又は星形等であっても良い。開口部の形状が正方形である場合、正方形のサイズは、1辺が3mm以上30mm以下程度であっても良い。
【0051】
さらに、支持体50がネットである場合、ネットは、セルトレイCtを複数載置させた場合であってもたわまない程度の剛性を有していることが好ましい。なお、ネットがたわむ場合等、ネットの高さを調整するために、貯留槽10内に、支持体50の高さを調整する高さ調整部材が設置されていても良い。
【0052】
本実施の形態では、支持体50は、水平に配置されている。これにより、セルトレイCtが液体Lqに浸かる高さを均一にできる。
【0053】
(排出機構)
図1図2及び図5に示すように、排出機構70は、貯留槽10の底部11のうち、平面形状が構成する長方形の短辺近傍に設けられている。具体的には、排出機構70は、底部11の平面形状が構成する長方形の短辺のうち、X方向プラス側の短辺近傍に設けられている。また、上述したように、貯留槽10の底面11aは、排出機構70に向けて下方に傾斜している。このため、排出機構70が上述した長方形の短辺近傍に設けられていることにより、貯留槽10内の液体Lqが、排出機構70から排出されやすくなっている。なお、上述したように、一般的に、植物育成装置1では、貯留槽10の長手方向(X方向)に沿って、作業者用の通路が設けられ得る。このため、排出機構70が上述した長方形の短辺近傍に設けられていることにより、作業者がセルトレイCtを植物育成装置1から取り出す際に、排出機構70が作業の邪魔になることを抑制できる。
【0054】
本実施の形態では、2つの排出機構70が設けられている。2つの排出機構70のうち、一方の排出機構70は、底部11の平面形状が構成する長方形の角部のうち、X方向プラス側かつY方向プラス側の角部の近傍に設けられている。2つの排出機構70のうち、他方の排出機構70は、底部11の平面形状が構成する長方形の角部のうち、X方向プラス側かつY方向マイナス側の角部の近傍に設けられている。このように、複数の排出機構70が設けられていることにより、排出機構70に異物が詰まった場合であっても、貯留槽10内から液体Lqを排出できる。
【0055】
排出機構70は、電力を用いることなく、貯留槽10内から液体Lqを排出するように構成されている。本実施の形態では、排出機構70は、サイフォン71を有している。サイフォン71は、底部11を貫通している。サイフォン71は、J字状に延びている。サイフォン71の頂点は、調整機構80の後述する開口部82よりも下方に位置していることが好ましい。これにより、貯留槽10内に液体Lqを供給した際に、サイフォン71の内部を自動的に液体Lqで満たすことができる。なお、サイフォン71の内部には、段差及び角部が存在しないことが好ましい。これにより、サイフォン71の内部に空気が溜まってしまう部分が形成されることを抑制できる。また、サイフォン71は、ベルサイフォンであっても良い。
【0056】
また、サイフォン71は、一端が貯留槽10内で終端し、他端が貯留槽10外で終端している。この場合、貯留槽10内で終端する一端は、貯留槽10の底面11aに近接していることが好ましい。これにより、貯留槽10内のほとんどの液体Lqを排出機構70から排出できる。
【0057】
サイフォン71の内径は、例えば、13mm以上25mm以下程度であっても良い。内径が13mm以上であることにより、サイフォン71からの液体Lqの排出速度を速くできる。このため、貯留槽10に藻が発生することを効果的に抑制できる。また、内径が25mm以下であることにより、液体Lqの供給量及び排出量を容易にコントロールできる。このため、植物PLに液体Lqが行き渡る前に、貯留槽10から液体Lqが排出されてしまうことを抑制できる。また、内径が25mm以下であることにより、サイフォン71が大きくなりすぎることを抑制できる。このため、サイフォン71を所望の位置に配置できる。また、サイフォン71が大きくなりすぎることを抑制できるため、植物育成装置1のサイズが大きくなりすぎることを抑制できる。
【0058】
サイフォン71(排出機構70)を構成する材料は、耐水性を有するとともに、加工が容易な材料であれば良い。例えば、サイフォン71を構成する材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)等であっても良い。また、サイフォン71は、透明であっても良い。これにより、サイフォン71内の異物を容易に確認できる。このため、サイフォン71が詰まった場合であっても、サイフォン71の詰まりを容易に解消できる。
【0059】
(調整機構)
調整機構80は、貯留槽10の底部11のうち、平面形状が構成する長方形の短辺近傍に設けられている。具体的には、調整機構80は、底部11の平面形状が構成する長方形の短辺のうち、X方向プラス側の短辺近傍に設けられている。調整機構80は、筒状の本体部81と、本体部81に形成された開口部82とを有している。このうち本体部81は、貯留槽10の底部11を貫通している。
【0060】
本実施の形態では、本体部81は、円筒状に形成されている。本体部81の内径は、13mm以上50mm以下程度であっても良い。本体部81の内径が13mm以上であることにより、貯留槽10内の液体Lqの量が所定の量以上となった場合に、液体Lqを素早く排出できる。また、本体部81の内径が50mm以下であることにより、本体部81が大きくなりすぎることを抑制できる。このため、本体部81を所望の位置に配置できる。また、本体部81が大きくなりすぎることを抑制できるため、植物育成装置1のサイズが大きくなりすぎることを抑制できる。
【0061】
本体部81は、複数の部材から構成されていても良い。この場合、一の部材が、他の部材に対して、上下方向に移動可能になっていても良い。例えば、一の部材と他の部材とを互いに螺合させ、一の部材を回転させることにより、当該一の部材の上下方向位置が変化するように構成されていても良い。これにより、本体部81に形成された開口部82の上下方向位置を容易に調整できる。
【0062】
開口部82は、本体部81の上部の側面に形成されている。開口部82が本体部81の側面に形成されていることにより、光源20からの光が本体部81の内部に入りにくくなり、本体部81内部での藻の発生を効果的に抑制できる。この開口部82は、貯留槽10内の液体Lqの量が所定の量以上となった際に、液体Lqを排出する役割を果たす。すなわち、貯留槽10内の液体Lqの量が所定の量以上となった場合に、開口部82から本体部81内へ液体Lqが導入される。そして、本体部81内へ導入された液体Lqは、本体部81を介して、貯留槽10の外部へ排出される。このようにして、貯留槽10内の液体Lqの水位が調整される。なお、開口部82は、本体部81の上面に形成されていても良い。
【0063】
本体部81(調整機構80)を構成する材料は、耐水性を有するとともに、加工が容易な材料であれば良い。例えば、本体部81を構成する材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)等であっても良い。
【0064】
(供給部)
供給部90は、貯留槽10の底部11のうち、平面形状が構成する長方形の短辺近傍に設けられている。具体的には、供給部90は、底部11の平面形状が構成する長方形の短辺のうち、X方向マイナス側の短辺近傍に設けられている。供給部90は、貯留槽10の側部12に取り付けられた供給パイプ91と、供給パイプ91と図示しない液体供給源とを互いに連結する連結パイプ92とを有している。このうち供給パイプ91には、貯留槽10内に液体Lqを供給するための複数の貫通孔93が形成されている。
【0065】
なお、複数の植物育成装置1を重ねて使用する場合、各々の植物育成装置1の貯留槽10には、互いに異なる供給部90から液体Lqが供給され得る。すなわち、各々の貯留槽10には、それぞれ供給部90が設けられ得る。また、複数の植物育成装置1を重ねて使用する場合、液体Lqを各々の貯留槽10に供給するために、自動ポンプが用いられても良い。この場合、潅水時間(潅水開始時間及び/又は潅水終了時間)を設定することにより、自動的に植物PLへの潅水ができる。また、潅水時間を調整することにより、植物PLの生育段階及び種類に合わせて、植物PLの育成の管理ができる。
【0066】
なお、植物育成装置1には、植物PLに風を送るために、ファン(図示せず)が設けられていても良い。この場合、ファンが送る風の風速は、植物PLの光合成を促進できる風速であることが好ましく、0.5m/s以上2.0m/s以下程度であっても良い。また、貯留槽10内から液体Lqを排出した後に、当該ファンを使用して、貯留槽10内に残った液体Lqを乾燥させても良い。この場合、ファンは、排出機構70の近傍に設けられていても良い。ファンとしては、例えば、いわゆるケースファンであっても良い。また、ファンとして、パイプに複数の開口部を形成し、開口部から風が送られるように構成されていても良い。
【0067】
(植物育成装置の使用方法)
次に、本実施の形態による植物育成装置の使用方法について説明する。
【0068】
まず、図6(a)に示すように、植物育成装置1を準備する。図示された例においては、第1光源25乃至第4光源28は、それぞれ、第2の位置をとっている。なお、図示はしないが、第1光源25乃至第4光源28が、それぞれ第1の位置をとっていても良い。
【0069】
次に、図6(b)に示すように、支持体50上に、植物PLが植えられたセルトレイCtを載置する。この場合、例えば、第1光源25及び第2光源26の真下に、セルトレイCtを載置する。次いで、第1光源25及び第2光源26が第1の位置をとるように、第1光源25及び第2光源26の一端(Y方向マイナス側の端部)を、固定部材4に取り付ける。一方、真下にセルトレイCtが載置されていない第3光源27及び第4光源28は、第2の位置をとった状態に維持される。このようにして、第1光源25及び第2光源26のみを用いて、植物PLの育成が行われる。
【0070】
ここで、第3光源27及び第4光源28の真下には、植物PLが植えられたセルトレイCtは配置されていない。このため、第3光源27及び第4光源28が第2の位置をとることにより、セルトレイCtが配置されていない領域に光が照射されることを抑制できる。このため、貯留槽10のうち、植物PLの育成を行っていない領域に光が照射されることを抑制でき、貯留槽10に藻が発生することを抑制できる。
【0071】
その後、植物PLの育成を終了する。
【0072】
このとき、まず、図6(c)に示すように、第1光源25及び第2光源26の一端(Y方向マイナス側の端部)を、固定部材4から取り外す。これにより、第1光源25及び第2光源26が収納部3に巻き取られることにより、第1光源25及び第2光源26が、第2の位置をとる。
【0073】
その後、作業者がセルトレイCtを植物育成装置1から取り出す。このとき、セルトレイCtの真上に位置する第1光源25及び第2光源26は、それぞれ第2の位置をとっている。このため、作業者がセルトレイCtを植物育成装置1から取り出す際に、光源20が作業の邪魔になることを抑制できる。この結果、植物PLが光源20に接触してしまうことを容易に抑制できるため、作業者の作業性を向上できる。このようにして、育成された植物PLが得られる。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態によれば、植物育成装置1が、植物PLに供給するための液体Lqを貯留する貯留槽10と、貯留槽10の上方から貯留槽10に向けて光を照射する複数の光源20とを備えている。また、各々の光源20が光を照射する領域が、互いに異なっている。そして、各々の光源20が、貯留槽10を覆う第1の位置と、貯留槽10を覆わない第2の位置とをとる。これにより、作業者がセルトレイCtを植物育成装置1から取り出す際に、セルトレイCtの真上に位置する光源20を第2の位置にすることにより、光源20が作業の邪魔になることを抑制できる。このため、作業者の作業性を向上できる。
【0075】
また、上述したように、各々の光源20が、貯留槽10を覆う第1の位置と、貯留槽10を覆わない第2の位置とをとることができる。このため、セルトレイCtが真下に配置されていない光源20を第2の位置にすることにより、セルトレイCtが配置されていない領域に光が照射されることを抑制できる。このため、貯留槽10のうち、植物PLの育成を行っていない領域に光が照射されることを抑制でき、貯留槽10に藻が発生することを抑制できる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、光源20が、シート状の照明装置である。これにより、光源20が第2の位置をとった際に、光源20が嵩張ってしまうことを抑制できる。
【0077】
さらに、本実施の形態によれば、植物育成装置1が、光源20を収納する収納部3を更に備えている。また、光源20が第2の位置をとるとき、光源20が、収納部3に巻き取られる。これにより、光源20が第2の位置をとった際に、光源20をコンパクトに収納できる。
【0078】
なお、上述した実施の形態においては、光源20が第2の位置をとるとき、光源20が収納部3に巻き取られる例について説明したが、これに限られない。例えば、図7に示すように、光源20が第2の位置をとるとき、光源20が、蛇腹状に折り畳まれても良い。この場合においても、光源20が第2の位置をとった際に、光源20をコンパクトに収納できる。
【0079】
また、上述した実施の形態においては、各々の光源20が、第1の位置をとった状態において、水平に配置されている例について説明したが、これに限られない。例えば、図8に示すように、各々の光源20が、第1の位置をとった状態において、湾曲するように配置されていても良い。この場合、収納部3の下端及び固定部材4の下端は、貯留槽10の下端と同一平面上に位置していても良く、貯留槽10の下端よりも下方に位置していても良い。これにより、光源20から植物PLに照射された光が、植物育成装置1の外部に漏れることを抑制できる。このため、植物PLに対して効果的に光を照射することができ、植物PLの育成を促進できる。なお、光源20を湾曲させるために、光源20の中央部(Y方向中央部)を支持する支持部材(図示せず)が、光源20の上方に設けられていても良い。
【0080】
また、上述した実施の形態においては、植物育成装置1が複数の光源を備えている例について説明した。この場合、例えば、図9に示すように、植物育成装置1が、光源20の上方に設けられた予備光源30を更に備えていても良い。この予備光源30は、予備光源30を収納する予備収納部5に取り付けられていても良い。予備収納部5の構成は、収納部3の構成と同一であっても良く、予備収納部5は、支柱2(図1参照)に取り付けられていても良い。
【0081】
予備光源30は、光源20と同様に、LED照明装置であっても良く、シート状の照明装置であっても良い。この場合、予備光源30は、いわゆる片面出光型の面状の光源シートであっても良く、予備光源30の発光面(Z方向マイナス側の面)側に、複数のLEDチップ31が配列されていても良い。
【0082】
予備光源30の全体形状、サイズ及び個数は、光源20の全体形状、サイズ及び個数と同一であっても良い。
【0083】
予備光源30は、貯留槽10を覆う第1の位置と、貯留槽10を覆わない第2の位置とをとっても良い。図9に示す例においては、予備光源30は、第1の位置をとっている。この場合、予備光源30は、貯留槽10に向けて(真下に向けて)光を照射する。なお、予備光源30を用いて植物PLを育成する場合、図9に示す光源20は、第2の位置をとるように、収納部3に巻き取られる。
【0084】
予備光源30が第1の位置をとる場合、予備光源30の一端(Y方向マイナス側の端部)は、予備固定部材6に取り付けられても良い。予備固定部材6の構成は、固定部材4の構成と同一であっても良く、予備固定部材6は、支柱2(図1参照)に取り付けられていても良い。この場合、予備光源30は、例えば、フック又は磁石等を用いて、予備固定部材6に着脱自在に取り付けられていても良い。予備光源30の他端(Y方向プラス側の端部)は、上述したように、予備収納部5に取り付けられていても良い。
【0085】
本実施の形態では、各々の予備光源30は、第1の位置をとった状態において、水平に配置されている。これにより、予備光源30の下方に位置する植物PLに照射される光のばらつきを抑制できる。
【0086】
一方、予備光源30が第2の位置をとるとき、予備光源30は、予備収納部5に巻き取られても良い。これにより、作業者がセルトレイCtを植物育成装置1から取り出す際に、予備光源30が作業の邪魔になることを抑制できる。なお、図示はしないが、予備光源30が第2の位置をとるとき、予備光源30が、蛇腹状に折り畳まれても良い。
【0087】
なお、予備光源30は、第2の位置をとることなく、第1の位置の状態で固定されていても良い。
【0088】
ここで、予備光源30が照射する光の色温度は、光源20が照射する光の色温度とは異なっていても良い。これにより、植物PLの育成段階及び植物PLの種類に応じて、植物PLに対して、育成に適した光を照射することができる。このため、植物PLの育成効率を向上できる。また、例えば、常設の光源を用いる場合、生育段階及び植物PLの種類に応じて植物PLに照射される光を変えるためには、植物PLを違う場所に移動させる必要がある。これに対して本変形例によれば、植物PLを移動させることなく、植物PLに対して異なる光を照射できる。このため、余計な労力をかけることなく植物PLを育成できるとともに、植物育成装置1のサイズをコンパクトにできる。
【0089】
本変形例によれば、植物育成装置1が、光源20の上方に設けられた予備光源30を更に備えている。これにより、光源20が破損した場合であっても、予備光源30により植物PLを育成し続けることができる。
【0090】
また、上述した実施の形態においては、植物PLを光源20によって育成する例について説明したが、これに限られない。例えば、植物育成装置1を屋外で使用することにより、太陽光によって植物PLを育成しても良い。この場合、光源20を第2の位置にすることにより、太陽光によって、植物PLを育成できる。なお、太陽光では光量が不十分な場合には、光源20を第1の位置にすることにより、光源20からの光によって植物PLを育成しても良い。
【0091】
また、上述した実施の形態においては、排出機構70がサイフォン71を有している例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、排出機構70が、不織布等によって、貯留槽10内の液体Lqを吸い上げることにより、液体Lqを貯留槽10の外部に排出するように構成されていても良い。また、図示はしないが、排出機構70は、電磁弁等で排出口を開閉する機構であっても良い。
【0092】
また、上述した実施の形態においては、セルトレイCt(植物PL)が支持体50によって支持されている例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、セルトレイCtが、貯留槽10の底面11a上に直接載置されても良い。
【0093】
さらに、上述した実施の形態においては、貯留槽10の底面(底部11の上面)11aが排出機構70に向けて下方に傾斜している例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、貯留槽10の底面11aが水平面と平行であっても良い。
【0094】
上記実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0095】
1 植物育成装置
3 収納部
10 貯留槽
20 光源
25 第1光源
26 第2光源
27 第3光源
28 第4光源
30 予備光源
PL 植物
Lq 液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9