(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026133
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 15/05 20210101AFI20250214BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20250214BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20250214BHJP
G03B 15/00 20210101ALN20250214BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B15/02 G
G03B15/02 Q
G03B15/03 W
G03B15/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131522
(22)【出願日】2023-08-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1. 令和5年5月5日、同年5月6日、同年5月7日に開催の美容・アンチエイジング国際医学会及び台湾皮膚科美容外科学会にて撮像装置の公開及びデモンストレーションを実施
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】松尾 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹
【テーマコード(参考)】
2H053
【Fターム(参考)】
2H053AB03
2H053CA06
2H053CA12
2H053CA15
2H053CA45
2H053DA02
(57)【要約】
【課題】撮像対象に向けて好適に光を照射することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、撮像対象に照射する光を発する光源132と、撮像対象を撮像する撮像素子43と、撮像対象の画像を撮像素子43に結像させる撮像レンズ41と、光源132が発した光を導光する導光部134と、を備える。光源132は、撮像レンズ41の先端よりも撮像素子43側に設けられており、導光部134は、光軸に平行に延び、光源132からの光を光入射部134cから入射させて、撮像レンズ41の先端に向けて光軸に平行な方向に導光し、光出射部134dから出射する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象に照射する光を発する光源と、
前記撮像対象を撮像する撮像素子と、
前記撮像対象の画像を前記撮像素子に結像させる撮像レンズと、
前記光源が発した光を導光する導光部と、を備え、
前記光源は、前記撮像レンズの先端よりも前記撮像素子側に設けられており、
前記導光部は、光軸に平行に延び、前記光源からの光を光入射部から入射させて、前記撮像レンズの先端に向けて光軸に平行な方向に導光し、光出射部から出射する、
撮像装置。
【請求項2】
前記導光部の前記光入射部は、前記光源に対向しており、
前記導光部の前記光出射部は、前記撮像レンズの先端の周囲に設けられている、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記導光部は、束ねられた複数の光ファイバーを有している、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光源は、前記撮像レンズの周囲に複数設けられており、
各前記光源に対応して前記導光部が設けられている、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の前記光源のうち、一部は可視光を発する光源であり、一部は紫外光を発する光源である、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
光軸に平行な方向からみた場合、前記光源から発せられた可視光を導光する前記導光部の前記光出射部は、前記撮像レンズの周囲にあり、光軸からの距離は互いに等しい、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記導光部の前記光出射部の光軸からの距離は、前記導光部の前記光入射部の光軸からの距離よりも近く、
前記導光部は、前記撮像レンズの先端に向けて光軸に近づくように傾斜した傾斜部を有する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置の内部に固定され、前記導光部を保持する保持部を備えている、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記保持部の中央には前記撮像レンズを通すための開口が設けられており、
前記開口の周囲に前記導光部が差し込まれる差込孔が形成されている、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記差込孔は、光軸に平行な方向に貫通する孔であり、
前記導光部は、光軸に平行に延び、入射した光を光軸に平行な方向に導光する、
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記光源は、前記撮像レンズを通すための開口が形成された光源用の基板に設けられており、
前記光源用の基板は、前記保持部に固定されている、
請求項9に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚を撮影した画像から、皮膚の状態を評価して診断する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像装置によって人の皮膚を撮影するためには、照明装置に設けた光源からの光を正面から均一に照射することが好ましい。しかしながら、撮像装置には、各種の部品が配置されており、撮像対象に光を照射する光源を最適な配置とすることは難しい。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、撮像対象に向けて好適に光を照射することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の撮像装置は、撮像対象に照射する光を発する光源と、前記撮像対象を撮像する撮像素子と、前記撮像対象の画像を前記撮像素子に結像させる撮像レンズと、前記光源が発した光を導光する導光部と、を備え、前記光源は、前記撮像レンズの先端よりも前記撮像素子側に設けられており、前記導光部は、光軸に平行に延び、前記光源からの光を光入射部から入射させて、前記撮像レンズの先端に向けて光軸に平行な方向に導光し、光出射部から出射する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像対象に向けて好適に光を照射してすることができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す撮像装置からレンズフード及び拡散板を取り外した状態を示した斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の照明装置からレンズフード及び拡散板を取り外した状態を示した正面図である。
【
図5】
図4中の切断線V-Vで切断した場合における照明装置の端面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の保持部と第2LED基板とを分解した様子を示した斜視図である。
【
図7】導光部を保持した
図4に示す保持部に着目した正面図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る撮像装置のレンズフードの先端を撮像対象に当接させた状態で光を照射している様子を示した断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係る撮像装置の照明装置からレンズフード及び拡散板を取り外した状態を示した正面図である。
【
図10】
図9中の切断線X-Xで切断した場合における照明装置の端面図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係る撮像装置の第1導光部と保持部と第2LED基板とを分解した様子を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る撮像装置について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、
図1に示すように、撮像対象(被写体)側を撮像装置1の前方(前面、正面)、その反対側を後方とし、撮像装置1を前方から見たときの上下左右方向をそのまま上下左右方向とした直交座標系に基づいて説明するものとする。
【0010】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る撮像装置1は、撮像対象として人の皮膚を撮影する。撮像装置1は、
図2に示すように、着脱可能なレンズフード70及び拡散板80を有している。レンズフード70を取り付けた状態で先端を皮膚に当接させることで、皮膚と撮像装置1とを所定の位置関係にして撮影することができる。
【0011】
撮像装置1は、
図3に示すように、コントローラ2と、カメラ本体3と、カメラ本体3の前方に設けられた照明装置4と、を有している。
【0012】
コントローラ2は、各種の操作情報や撮像した画像を表示するとともにユーザの操作を受け付けるタッチパネル式の液晶モニタ11が設けられた表示部10と、シャッタボタン21及び電源ボタン22等の操作ボタンが設けられた本体部20と、表示部10と本体部20との間に収容された回路基板30とを有している。表示部10には、後方から各部を操作するための複数の操作ボタン5が、上下方向に並んで設けられている。本体部20の前面には、前方に突出した円筒部23が形成されている。また、回路基板30には、撮像された画像を記憶する記憶部200と、撮像装置1の各部を制御する制御部300とが設けられている。制御部300は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0013】
カメラ本体3は、撮像部40を有している。撮像部40は、光軸OA上に設けられたレンズ群を有する撮像レンズ系41を有している。また、撮像レンズ系41の後方には、
図5に示すように、撮像素子43が収容されている。
【0014】
撮像レンズ系41は、光軸OA上に複数のレンズを有する撮像レンズ群41aと、撮像レンズ群41aを収容した鏡筒41bとを含む。撮像レンズ群41aは、撮像対象である皮膚と撮像素子43との間に介在し、撮像対象の画像を撮像素子43に結像させる。撮像レンズ群41aは前後方向に移動可能なレンズを含み、これにより焦点距離が変化し、拡大倍率を変更することができる。
【0015】
撮像素子43は、公知の撮像素子であって、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどであり、被写体の光学像を電気信号に変換するように構成されている。撮像部40は、撮像素子43を用いて、撮像対象を撮像することができる。撮像部40は、例えば静止画及び動画を撮影することができる。
【0016】
照明装置4は、
図3に示すように、コントローラ2の本体部20に取り付けられる照明装置本体100と、照明装置本体100に設けられた保持部150と、照明装置本体100に着脱自在なレンズフード70と、拡散板80(
図2)とを有している。
【0017】
照明装置本体100は、
図5に示すように、ベース部110と、ベース部110の周囲を覆う円環状のカバー部120とを有している。
【0018】
ベース部110には、光源としてのLED(Light Emitting Diode)が搭載された第1LED基板115及び第2LED基板130と、第2LED基板130に搭載されたLEDから発せられた光を導光する第1導光部134及び第2導光部135(
図6)を保持する保持部150が設けられている。ベース部110は、例えば黒色の合成樹脂で構成されている。ベース部110は円筒部111と、円筒部111の後端から斜め後方に向けて延びる傾斜壁112と、傾斜壁112の後端を接続する底壁113とを有している。ベース部110には、円筒部111の内壁、傾斜壁112の内壁、及び底壁113の内壁により画定され、各種の部品を収容するための収容空間110aが形成されている。
【0019】
円筒部111の外径は、
図3に示す本体部20の円筒部23の内径と概ね同じであり、円筒部111の外周面は円筒部23の内周面に嵌合している。これにより、ベース部110は、円筒部23に取り付けられている。また、
図5に示すように、円筒部111の先端には、第1LED基板115が載置されている。
【0020】
傾斜壁112は、円筒部111の下端と底壁113とを接続する複数の壁体を有する。互いに異なる方向を向いた複数の傾斜壁112は、底壁113に四方から接続している。
【0021】
底壁113は、前方を向いた壁体であり、ベース部110の底部を形成する。底壁113には、保持部150を取り付けるためのねじ孔113bが、合計4箇所形成されている。また、底壁113の中央には、撮像部40の鏡筒41bが挿通される鏡筒挿通孔113aが形成されている。
【0022】
第1LED基板115は、
図4に示すように、円盤状の基板であり、周方向に配置された16個のLED116を有している。なお、LED116は、設置位置を明確にするために、
図5の端面図では切断線V-Vと交差しているものとして2点鎖線で図示している。LED116は、例えば白色の光を出射するLEDであり、照明装置本体100の外周位置から光を前方に向けて出射するリングフラッシュとして機能する。LED116は、一般的なカメラとして、
図1に示すレンズフード70と、拡散板80とを取り外した撮像装置1で皮膚を撮影(第1撮影)する際に、皮膚に向けて光を照射する。
【0023】
第2LED基板130は、
図5に示すように、保持部150の後方に形成された基板収容部156に収容されている。このように保持部150の後方に設けられた第2LED基板130は、撮像レンズ系41の前端(先端)よりも後方(撮像素子側)に配置されている。第2LED基板130は、
図6に示すように略矩形状の外形の基板であり、中央には
図3に示す撮像部40の鏡筒41bが挿通される鏡筒挿通孔130aが形成されている。鏡筒挿通孔130aは、中心を光軸OAに一致させた円孔である。第2LED基板130は、保持部150に後方からねじ131で固定されている。第2LED基板130には、ねじ131を通すための3つのねじ挿通孔130bが形成されている。
【0024】
また、第2LED基板130には、鏡筒挿通孔130aの周縁に、4つの第1LED132と、4つの第2LED133とが設けられている。第1LED132及び第2LED133は、
図1に示すレンズフード70の先端を皮膚に当接させた状態で撮影(第2撮影)する際に、発光する。
【0025】
第1LED132は、白色の可視光を出射する。第1LED132は、
図7に示すように、光軸OAに平行な方向からみた場合、光軸OAに中心を一致させた仮想円C1の上に配置されている。第1LED132は、仮想円C1の中心に対して角度θ1の角度毎に配置されている。角度θ1は90度である。第1LED132の配置を別の観点から記載すると、第1LED132は、中心を光軸OAに一致させた仮想的な正方形の各頂点に設けられている。
【0026】
第2LED133は、紫外光を出射する。第2LED133は、光軸OAに平行な方向からみた場合、光軸OAに中心を一致させた仮想円C2の上に配置されている。仮想円C2の半径は、仮想円C1の半径よりも大きい。第2LED133は、仮想円C2の中心に対して、反時計回りに角度θ2、角度θ3、角度θ2、角度θ3をあけて配置されている。ここで、角度θ2は例えば52度であり、角度θ3は例えば128度である。第2LED133の配置を別の観点から記載すると、第2LED133は、中心を光軸OAに一致させた仮想的な長方形の各頂点に設けられている。
【0027】
このように、撮像装置1には、一般的な撮影である第1撮影をするときに光を出射するLED116と、撮像対象である皮膚と撮像装置1との距離を所定距離にし第2撮影をするときに可視光を出射する第1LED132と紫外光を出射する第2LED133とが設けられている。
【0028】
また、
図6に示すように、各第1LED132の前方には第1導光部134が配置され、各第2LED133の前方には第2導光部135が配置されている。
【0029】
第1導光部134は、複数本の光ファイバーからなる光ファイバー束134aと、その両端部に巻かれた結束部134bとを有している。結束部134bは、例えばステンレス管であるが、その他の金属あるいは樹脂からなる部材により結束してもよい。各光ファイバーの直径は、例えば0.2mmである。光ファイバーを束ねた光ファイバー束134aの直径は、例えば2.0mm程度である。また、撮像装置1は、一般的なカメラのサイズであり、その中に収容される第1導光部134の前後方向における長さは、例えば5mm~10mmである。第1導光部134は、前後方向(光軸OAに平行な方向)に直線状に延設されている。第1導光部134の一端部は光入射部134cとして第1LED132に対向しており、他端部は光出射部134dとして前方に向けられている。第1導光部134は、第1LED132からの光を光入射部134cから内部に入射させ、各光ファイバーの内部で光を全反射させながら前方(撮像レンズ系41の先端方向)へと導光し、光出射部134dから前方へと光を出射する。なお、各光出射部134dは、
図7に示すように、光軸に平行な方向からみた場合、光軸OAに中心を一致させた仮想円C1の上に配置されており、光軸OAからの距離は互いに等しい。
【0030】
第2導光部135も、第1導光部134と同様の構成を有しており、
図6に示すように、複数本の光ファイバーからなる光ファイバー束135aと、その両端部に巻かれた結束部135bとを有している。各光ファイバーの直径は、例えば0.2mmである。光ファイバーを束ねた光ファイバー束135aの直径は、例えば2.0mm程度である。また、第2導光部135の前後方向における長さは、第1導光部134と同様に、例えば5mm~10mmである。第2導光部135は、前後方向に直線状に延設されている。第2導光部135の一端部は光入射部135cとして第2LED133に対向しており、他端部は光出射部135dとして前方に向けられている。第2導光部135は、第2LED133からの光を光入射部135cから内部に入射させ、各光ファイバーの内部で光を全反射させながら前方へと導光し、光出射部135dから前方へと光を出射する。なお、各光出射部135dは、
図7に示すように、光軸に平行な方向からみた場合、光軸OAに中心を一致させた仮想円C2の上に配置されており、光軸OAからの距離は互いに等しい。
【0031】
保持部150は、
図5に示すように、ねじ151を介してベース部110の収容空間110aに固定されている。保持部150は、
図6に示すように、前方からみると略矩形状の平面形状を有し、4つの角部にねじ151を挿通するためのねじ挿通孔152が形成されている。また、
図5に示すように、保持部150の後方を向いた面(背面)には、第2LED基板130を収容するための凹部である基板収容部156が形成されている。
【0032】
保持部150には、
図6に示すように、撮像部40の鏡筒41b(
図3)が挿通される鏡筒挿通孔153と、第1導光部134が差し込まれる第1差込孔と154と、第2導光部135が差し込まれる第2差込孔155とが形成されている。
【0033】
鏡筒挿通孔153は、前方からみた場合、保持部150の中央に形成されている。鏡筒挿通孔153は、中心を光軸OAに一致させた円孔である。鏡筒41bが鏡筒挿通孔153に挿通された撮像レンズ系41は、
図4に示すように、照明装置本体100から前方を臨む。
【0034】
第1差込孔154は、
図6に示すように、鏡筒挿通孔153の周縁に、第1LED132に対応して形成された貫通孔である。すなわち、第1差込孔154は、
図7に示すように、仮想円C1の中心に対して90度の角度毎に配置されている。第1差込孔154の直径は、第1導光部134の径と同程度である。また、第1差込孔154の深さ(前後方向の長さ)は、
図5に示すように、第1導光部134の長さと同程度である。第1導光部134は、第1差込孔154に差し込まれることにより、第1差込孔154内で保持される。
【0035】
第2差込孔155は、鏡筒挿通孔153の周縁に、第2LED133に対応して形成された貫通孔である。すなわち、第2差込孔155は、
図7に示すように、仮想円C2の中心に対して、反時計回りに角度θ2、角度θ3、角度θ2、角度θ3をあけて配置されている。ここで、角度θ2は例えば52度であり、角度θ3は例えば128度である。第2差込孔155の直径は、第2導光部135の径と同程度である。また、第2差込孔155の深さ(前後方向の長さ)は、第2導光部135の長さと同程度である。第2導光部135は、第2差込孔155に差し込まれることにより、第2差込孔155内で保持される。
【0036】
図5に示すように、ベース部110の前端部の周囲を覆うカバー部120は、カバー部本体121と、カバー部本体121の前面に設けられた透光板122とを有している。カバー部本体121は、例えば黒色の合成樹脂製で、その内部には第1LED基板115を収容するための空間が形成されている。カバー部本体121の内周面には、レンズフード70と螺合するめねじ121bが形成されている。また、カバー部本体121には、LED116に対応する位置に光出射孔121aが形成されている。透光板122は、例えば透明な合成樹脂製で、光出射孔121aを通して出射されたLED116からの光を透光するとともに、光出射孔121aを覆うことで撮像装置1の内部に粉塵が進入するのを防止する。このように、LED116からの光を、周方向に配置された複数の光出射孔121aから出射することで、照明装置4をリングフラッシュとして機能させることができる。
【0037】
レンズフード70は、
図1及び
図2に示すように、円錐台形の筒状の形状をなしている。レンズフード70は、光を透過させない材料から構成されており、例えば、ポリ塩化ビニル誘導体、アクリル系樹脂等の樹脂から構成されている。またレンズフード70の表面に光の透過を防止するための塗料を塗布してもよい。また、レンズフード70の後端部には、
図2及び
図5に示すように、カバー部本体121に形成されためねじ121bと螺合するおねじ70aが形成されている。このおねじ70a及びカバー部本体121に形成されためねじ121bは、レンズフード70をカバー部120に着脱するための着脱部として機能する。
【0038】
拡散板80は、
図5に示すように、レンズフード70の後部に、図示しないねじによって固定されている。拡散板80は、
図2に示すように第1円環状部81と、第1円環状部81の開口部に設けられた第2円環状部82と、第1円環状部81の内縁と第2円環状部82の外縁とを接続する上下方向に延びる接続部83と、拡散フィルム84とを有している。拡散フィルム84は、第1円環状部81の内縁と第2円環状部82の外縁と接続部83とにより画定された開口を覆う。拡散フィルム84は、第1導光部134及び第2導光部135の前方に設けられ、これらの導光部から出射された光を拡散する。なお、第2円環状部82の内縁により画定された、撮像レンズ系41の前方に設けられた開口85には、フィルムは設けられておらず開放された状態にある。
【0039】
第2撮影時、
図8に示すように、皮膚S1にレンズフード70の先端を当接させて、皮膚S1と撮像装置1とを所定の位置関係とする。そして、可視光を照射する場合には、第1LED132を発光させて、第1導光部134によって光を前方に導光する。そして、撮像レンズ系41の前端の周囲に設けられた複数の第1導光部134の光出射部134dから、互いに略平行な光を前方へと出射する。なお、光出射部134dは、撮像レンズ系41の前端よりも前方に位置している。なお、
図8では、LEDにより光が照射された範囲にハッチングを施しており、明るく照射された領域ほど濃い色でハッチングを施している。
図8に示すように、複数の第1LED132から出射した光は互いに重なり合い、明るく照射される領域Bが形成される。これにより、レンズフード70に囲まれた皮膚S1の一部は、複数の光源からの光が重なり明るく照射される。なお、レンズフード70は光を透過させにくい材料から形成されていることから、レンズフード70によって囲まれた部分の皮膚S1は外光の影響を受けにくい。そのため、レンズフード70に囲まれた部分の皮膚S1に、第1LED132からの光を効果的に照射することができる。そして、皮膚S1で反射した光は、撮像装置1内に入射し、撮像部40(
図5)に導くことができる。このようにレンズフード70を皮膚S1に押し当てることで、皮膚S1と撮像装置1との距離を一定にすることで、さらに照明する皮膚S1の明るさを一定に保つことができ露出条件が安定するなど、第2撮影を安定して行うことができる。
【0040】
一方、紫外光を照射する場合には、
図6に示す第2LED133を発光させて、第2導光部135によって光を前方に導光する。そして、撮像レンズ系41の前端の周囲に設けられた複数の第2導光部135の光出射部135dから、互いに略平行な光を前方へと光を出射し、紫外光が照射された皮膚S1を撮影する。
【0041】
なお、撮像条件に応じて、拡散板80を取り付けるか取り付けないかは任意である。拡散板80を取り付けずに撮影することにより、皮膚S1からの正反射成分(キメ)を撮影することができる。一方、拡散板80を取り付けることで、色見がかわり、皮溝、皮丘をクリアに撮影することができる。このように、拡散板80の有無により、異なる撮像条件を提供することができる。
【0042】
次に、撮像装置1の動作について説明する。撮像装置1は、ユーザにより電源ボタン22(
図1)が操作されると起動する。起動した撮像装置1は、液晶モニタ11(
図1)を介して、ユーザによる撮影モードの設定を受け付ける。撮影モードには、上述した通常撮影をする第1撮影モードと、レンズフード70を用いた第2撮影モードが含まれる。
【0043】
撮影モードとして第1撮影モードが選択されると、制御部300は、リング状に配されたLED116(
図4)を発光させる。これにより、皮膚が可視光により明るく照射される。続いて、ユーザにより
図1に示すシャッタボタン21が半押しされると、制御部300は、撮像レンズ系41のレンズ群を移動させて、撮像対象である皮膚にオートフォーカスする。続いて、ユーザにより
図1に示すシャッタボタン21が押し込まれることで、制御部300は、皮膚を撮影し、第1撮影した画像を保存する。これにより、第1撮影が完了する。
【0044】
一方、撮影モードとして第2撮影モードが選択されると、制御部300は、可視光を出射する第1LED132(
図6)を発光させる。そして、ユーザのシャッタボタン21(
図1)の操作により、可視光が照射された皮膚が第2撮影されると、続いて、制御部300は、紫外光を出射する第2LED133(
図6)を発光させる。そして、ユーザのシャッタボタン21(
図1)の操作により、紫外光が照射された皮膚が第2撮影される。
【0045】
以上説明したように、実施の形態1によれば、第1LED132及び第2LED133から出射された光を導光部134,135によって前方に導光して、撮像レンズ系41の先端の周囲の光出射部から前方へと出射している。このように、前方へと光を導光することにより、出射された光が撮像レンズ系41といった他の部品を照射することがなく、撮像対象である皮膚S1に効率的に光を照射することができる。
【0046】
また、光出射部134d,135dを撮像レンズ系の先端のぎりぎりまで近づける事ができ、互いの光を平行に近いかたちで出射することができる。これにより、撮像レンズ系41に光が照射されてしまうことを避けるために、撮像レンズ系41から離れた位置から光軸側に傾けて光を出射することによって生じるパララックス(異なる光源からの光が平行にならず角度がつくこと)を抑制することができる。
【0047】
また、導光部134,135の光出射部134d,135dを、撮像レンズ系41の周囲に配置して撮像対象の正面に対峙させている。これにより、4つの光出射部134dからの光を、互いに平行に近づけた状態で、正面から皮膚に照射させることができる。このように光を照射することで、皮膚の皮丘の頂部を少し光らせる一方で、皮溝に影を形成することができ、くっきりと皮膚が見える画像を撮影することができる。4つの光出射部135dからの光も、同様に互いに平行に皮膚に対して正面から照射することができる。
【0048】
また、可視光を出射する第1LED132と紫外光を出射する第2LED133を配置していることから、撮像対象を異なる光で照射することができ、見え方の異なる画像を撮像することができる。
【0049】
また、導光された可視光を出射する第1導光部134の光出射部134dは、撮像レンズ系41の周囲に、中心を光軸OAに一致させた仮想円C1の上に配置されており、別の表現をすると中心を光軸OAに一致させた仮想的な正方形の各頂点に配置されている。これにより、
図8に示すように、複数の第1LED132から互いに平行に出射した可視光を重なり合わせることができ、重なり合った可視光により照射された領域における照度のムラを抑制することができる。
【0050】
また、導光された紫外光を出射する第2導光部135の光出射部135dも同様に、撮像レンズ系41の周囲に、中心を光軸OAに一致させた仮想円C2の上に配置されており、別の表現をすると中心を光軸OAに一致させた仮想的な長方形の各頂点に配置されている。これにより、複数の第2LED133から互いに平行に出射した紫外光を重なり合わせることができ、重なり合った紫外光により照射された領域における照度のムラを抑制することができる。
【0051】
また、導光部134,135を、前後方向にまっすぐ延びた構成としていることで、導光部134,135における光損失を抑制することができる。
【0052】
また、導光部134,135を複数本の光ファイバーからなる構成とした。これにより、前後方向に例えば5mmから10mmといった短い長さの範囲で、何度も光全反射させることができるため発光分布がよく、このような光ファイバーを束ねることで導光部134,135全体での照射分布を良好なものとすることができる。
【0053】
また、導光部134,135は、保持部150に形成された差込孔154,155に差し込むだけで保持されるため、その構成が簡単であり、製造コストを低減できるとともに、組立作業も容易である。
【0054】
また、拡散フィルム84を有する拡散板80をレンズフード70に着脱自在に構成したことにより、撮像対象に照射する光の態様を容易に異ならせることができる。
【0055】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について、
図9~
図11を参照しながら説明する。本実施の形態に係る撮像装置201を上記実施の形態1の撮像装置1と比較すると、第2撮影時に発光するLEDの配置と、LEDの光を導光する導光部の形状と、導光部を保持する保持部の形状とが相違している。その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
第2撮影時に発光する第1LED232は、
図10に示すように、第2LED基板230に設けられている。第2LED基板230は、ベース部110の底壁113の後面にねじ止めされている。第1LED232は、白色の可視光を出射する。第1LED232は、
図9に示すように、仮想円C3上に配置されており、中心を光軸OAに一致させた仮想的な長方形の各頂点に設けられている。仮想円C3の半径は、
図7に示す仮想円C1の半径及び仮想円C2の半径よりも大きい。すなわち、第1LED232は、
図7に示す第1LED132及び第2LED133よりも光軸OAから離れた位置に配置されている。
【0057】
また、底壁113には、
図10の拡大図に示すように、第1LED232に対応する位置に、第1LED232を底壁113の前方に露出させるための矩形状の開口113cが形成されている。この開口113cには、保持部250の当接面252から下方に突出した断面が矩形状の突起251が嵌合される。これにより、第2LED基板230上で、保持部250が固定される。
【0058】
図11に示すように、第1導光部234は、実施の形態1と同様に、複数本の光ファイバーからなる光ファイバー束234aと、その両端部に巻かれた結束部234bとを有している。一方、実施の形態1の導光部は前後方向に直線状に延びる態様であったが、本実施の形態においては、
図10に示すように、前後方向に延びる前側部234c及び後側部234dと、前側部234c及び後側部234dとを接続する傾斜部234eを有している。傾斜部234eは、前方に向かうにつれ光軸OAに近づくように傾斜している。これにより、撮像レンズ系41から離れた位置にある第1LED232からの光は、第1導光部234の一端部である光入射部234fから入射し、傾斜部234eを通り、撮像レンズ系41の前端の周囲に設けられた光出射部234gから前方へと光を出射される。このように、第1導光部234は、第1LED232からの光を、撮像レンズ系41に近づけて、撮像レンズ系41の前端よりも前方まで導光して出射する。第1導光部234の前後方向における長さは、例えば5mm~10mmであるが、傾斜部234eを有していることから、第1導光部234の全長は、上記実施の形態1の第1導光部の全長よりも長い。第1導光部234の光出射部234gは、前方からみると、
図9に示すように、撮像レンズ系41の周囲に、中心を光軸OAに一致させた仮想的な長方形の各頂点に配置されている。
【0059】
保持部250は、第1導光部234を保持する部材であり、各第1導光部234に対応して設けられている。保持部250は、
図9に示すように、前方から見ると略矩形状であり、長手方向が光軸OAを向くように配置されている。保持部250は、
図10の拡大図に示すように、底壁113と当接する後方を向いた当接面252を有し、この当接面252には後方に突出した断面が矩形状の突起251が形成されている。保持部250には、突起251が形成された位置に、前後方向に貫通した孔を有する第1差込部253が形成されている、また、保持部250には、
図11に示すように、第1差込部253に接続し、光軸OAに近づくように斜め前方に延びた溝部を有する第2差込部254と、第2差込部254に接続し前方に延びる第3差込部255とを有している。第1導光部234は、後側部234dが第1差込部253に差し込まれ、傾斜部234eが第2差込部254に差し込まれ、前側部234cが第3差込部255に差し込まれることにより、保持部250に保持されている。
【0060】
本実施の形態に係る撮像装置201によれば、第1LED232が、光軸OAから離れて配置されたとしても、第1LED232からの光を斜め前方に傾いた傾斜部234eにより光軸OAに近づけることができる。これにより、導光部234の光出射部234gを、撮像レンズ系41の周囲に配置し撮像対象の正面に対峙させることができ、これにより、上記実施の形態1と同様に、くっきりとした皮膚の画像が撮影できるとともに、パララックスが生じるのを抑制することができる。
【0061】
また、導光された可視光を出射する第1導光部234の光出射部234gは、撮像レンズ系41の周囲に、中心を光軸OAに一致させた仮想的な長方形の各頂点に配置されている。これにより、複数の第1LED232から出射された可視光を重なり合わせることができ、重なり合った可視光により照射された領域における照度のムラを抑制することができる。
【0062】
また、導光部234は、保持部250に形成された第1差込部253、第2差込部254、及び第3差込部255に差し込むだけで保持されることから、その構成が簡単であり、製造コストを低減できるとともに、組立作業も容易である。
【0063】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、第2撮影をする際の光源として、可視光を出射する光源、及び紫外光を出射する光源とを示したが、求められる撮影条件によって他の光源を設けてもよい。また、光源の配置も一例であって、その他の配置にしてもよい。その場合であっても、導光部により前方にかつ光軸OAに近づくように導光すればよい。
【0064】
また、導光部を所定の姿勢で保持できる構成を有していればよく、上記実施の形態で示した保持部を採用するか否かは任意である。例えば、導光部をLED基板上に接着して固定してもよいし、その他の形状の保持部を用いてもよい。
【0065】
また、導光部として、光ファイバーを用いたが、光源からの光を所望の位置まで導光でき良好な照度分布で照射できるものであれば、適宜採用することができる。例えば、導光部として、棒状の導光部を採用してもよい。
【0066】
また、レンズフードに着脱可能な拡散板には、光を拡散する拡散フィルムが設けられていると説明したが、その他の機能を有するフィルム、例えば偏光フィルムを設けてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…撮像装置、2…コントローラ、3…カメラ本体、4…照明装置、5…操作ボタン、10…表示部、11…液晶モニタ、20…本体部、21…シャッタボタン、22…電源ボタン、23…円筒部、30…回路基板、40…撮像部、41…撮像レンズ系、41a…撮像レンズ群、41b…鏡筒、43…撮像素子、70…レンズフード、70a…おねじ、80…拡散板、81…第1円環状部、82…第2円環状部、83…接続部、84…拡散フィルム、85…開口、100…照明装置本体、110…ベース部、110a…収容空間、111…円筒部、112…傾斜壁、113…底壁、113a…鏡筒挿通孔、113b…ねじ孔、113c…開口、115…第1LED基板、116…LED、120…カバー部、121…カバー部本体、121a…光出射孔、121b…めねじ、122…透光板、130…第2LED基板、130a…鏡筒挿通孔、130b…ねじ挿通孔、132…第1LED、131…ねじ、133…第2LED、134…第1導光部、134a…光ファイバー束、134b…結束部、134c…光入射部、134d…光出射部、135…第2導光部、135a…光ファイバー束、135b…結束部、135c…光入射部、135d…光出射部、150…保持部、151…ねじ、152…ねじ挿通孔、153…鏡筒挿通孔、154…第1差込孔、155…第2差込孔、156…基板収容部、200…記憶部、201…撮像装置、230…第2LED基板、232…第1LED、234…第1導光部、234a…光ファイバー束、234b…結束部、234c…前側部234d…後側部、234e…傾斜部、234f…光入射部、234g…光出射部、250…保持部、251…突起、252…当接面、253…第1差込部、254…第2差込部、255…第3差込部、300…制御部、B…領域、C1,C2,C3…仮想円、OA…光軸、S1…皮膚、θ1,θ2,θ3…角度。