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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026136
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】販売データ処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/01 20060101AFI20250214BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20250214BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250214BHJP
【FI】
G07G1/01 311
G07G1/12 331A
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131527
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 真結子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真紀
(72)【発明者】
【氏名】大熊 裕美子
【テーマコード(参考)】
3E142
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E142DA11
3E142EA04
3E142EA05
3E142GA02
3E142GA16
3E142GA35
3E142GA43
3E142JA01
3E142KA01
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】店舗の所在地で最も使われている言語を得意としない人物に対して、当該人物が得意とする言語での案内を可能とする販売データ処理システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】販売データ処理システムおよびプログラムは、販売データ処理装置を操作する店員の情報を取得する操作者情報取得部と、前記販売データ処理装置が表示する画面に対応付けられた音声案内情報を取得する案内取得部と、前記操作者情報取得部が、店員の情報として、当該店員が指定する言語を示す情報である指定言語情報を取得した場合、前記案内取得部が取得した音声案内情報に基づいて、前記指定言語情報が示す言語によって、店員を案内する音声を出力させる音声案内部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売データ処理装置を操作する店員の情報を取得する操作者情報取得部と、
前記販売データ処理装置が表示する画面に対応付けられた音声案内情報を取得する案内取得部と、
前記操作者情報取得部が、店員の情報として、当該店員が指定する言語を示す情報である指定言語情報を取得した場合、前記案内取得部が取得した音声案内情報に基づいて、前記指定言語情報が示す言語によって、店員を案内する音声を出力させる音声案内部と、
を備える販売データ処理システム。
【請求項2】
前記音声案内部は、前記操作者情報取得部が、店員の情報として、当該店員の業務の習熟度を示す情報を取得した場合、前記習熟度に応じて、前記案内取得部が取得した音声案内情報に基づいて行う案内に、量的な差をつける
請求項1に記載の販売データ処理システム。
【請求項3】
前記音声案内部は、前記販売データ処理装置が表示する画面が複数の入力欄を含み、当該入力欄にフォーカスの順序が予め定められている場合、一つの前記入力欄への入力が行われてフォーカスが移動したときに、当該移動した先の前記入力欄に関連付けられた前記音声案内情報に基づいた音声を出力させる
請求項1に記載の販売データ処理システム。
【請求項4】
前記音声案内部は、前記操作者情報取得部が取得した店員の情報に関連づけられたイヤホンIDで識別されるイヤホンに対して、音声を出力させる信号を送信する
請求項1に記載の販売データ処理システム。
【請求項5】
販売データ処理装置を操作する顧客の情報を取得する顧客情報取得部をさらに備え、
前記音声案内部は、
前記顧客情報取得部が、顧客の情報として、当該顧客が指定する言語を示す情報である指定言語情報を取得した場合、前記案内取得部が取得した音声案内情報に基づいて、前記指定言語情報が示す言語によって、顧客を案内する音声を出力させる
請求項1に記載の販売データ処理システム。
【請求項6】
販売データ処理システムが備えるコンピュータを、
販売データ処理装置を操作する店員の情報を取得する操作者情報取得部と、
前記販売データ処理装置が表示する画面に対応付けられた音声案内情報を取得する案内取得部と、
前記操作者情報取得部が、店員の情報として、当該店員が指定する言語を示す情報である指定言語情報を取得した場合、前記案内取得部が取得した音声案内情報に基づいて、前記指定言語情報が示す言語によって、店員を案内する音声を出力させる音声案内部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で、店舗の所在地が属する国とは異なる国を出身地とする店員(外国人店員)が従事することが増えてきている。このような場合、店舗所在地で最も使われている言語(例えば現地の公用語)が、店員にとって得意とする言語であるとは限らない。
【0003】
店舗で使用されるPOS端末等の端末装置が表示する業務画面は、通常、店舗の所在地で最も多く使用される言語(例えば日本にある店舗であれば日本語)による文字情報を含んでいる。文字情報は、業務にかかる操作を案内するために含められているが、当該言語を得意としない店員にとっては、案内の機能を十分に果たすことができず、不都合である。なお、上記不都合は、POS端末の客用画面を見る顧客にとっても、起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、店舗の所在地で最も使われている言語を得意としない人物に対して、当該人物が得意とする言語での案内を可能とする販売データ処理システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の販売データ処理システムは、販売データ処理装置を操作する店員の情報を取得する操作者情報取得部と、前記販売データ処理装置が表示する画面に対応付けられた音声案内情報を取得する案内取得部と、前記操作者情報取得部が、店員の情報として、当該店員が指定する言語を示す情報である指定言語情報を取得した場合、前記案内取得部が取得した音声案内情報に基づいて、前記指定言語情報が示す言語によって、店員を案内する音声を出力させる音声案内部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態におけるPOSシステムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかるPOS端末を、操作者から見た斜視図である。
図3図3は、POS端末8のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、店舗サーバ5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、POSシステムが備える機能部の一例を示すブロック図である。
図6図6は、POSシステムにおける処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、業務画面60の一例を示す図である。
図8図8は、業務画面60の一例を示す図である。
図9図9は、業務画面60の一例を示す図である。
図10図10は、業務画面60の一例を示す図である。
図11図11は、第2表示部862を見て操作する顧客に音声で操作案内する場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態におけるPOSシステムの構成例を示す図である。ここで、POSは、Point Of Sale(販売時点情報管理)の略である。POSシステムは、販売データ処理システムの一例であって、店舗サーバ5および1台以上のPOS端末8を含む。POS端末8は、販売データ処理装置の一例である。店舗サーバ5は、POS端末8を含む店内の端末装置を統括する情報処理装置の一例である。
【0008】
店舗サーバ5とPOS端末8とは、LAN(Local Area Network)等の通信回線Lにより、互いに通信可能に接続されている。店舗サーバ5とPOS端末8とは、通信回線Lを介して、情報の送受信を行う。
【0009】
店舗サーバ5は、店舗のバックヤードに設置されている。店舗サーバ5は、POS端末8に対して上位サーバとして機能する。店舗サーバ5は、クラウド上の会員サービス3から、顧客情報の提供を受ける。会員サービス3は、ユーザ端末1から会員であるユーザ(顧客)の情報(顧客情報)の登録や更新を受け付ける。ユーザ端末1は、顧客が使用する端末装置である。また、ユーザ端末1は、例えば、スマートフォン等の携帯可能な端末装置である。なお、ユーザ端末1として、PC(Personal Computer)等の情報処理装置が併用されてもよい。
【0010】
POS端末8は、店頭に設置され、商品の受け渡しや代金の支払い(会計処理)にあたって店員により使用される装置である。図2は、実施形態にかかるPOS端末8を、操作者(オペレータ、店員)側から見た斜視図である。図3は、POS端末8のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
POS端末8は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、通信部84、記憶部85、表示部86、第2表示部862、操作部87、第2操作部872、スキャナ88、入出金部89、プリンタ90等を備えている。これらの各部は、バスを介して接続されている。CPU81、ROM82およびRAM83は、コンピュータ構成の制御部80を構成する。
【0012】
表示部86は、液晶表示器等で構成され、POS端末8の操作者に商品情報や決済情報等を表示する。ここで、POS端末8の操作者は、店員(店舗の従業員)である。
【0013】
操作部87は数字を入力する置数キー等のキーを備えたキーボードである。また、操作部87は、表示部86の表面に重ねて設けられ、表示部86の表示内容に応じた操作を受け付けるタッチパネルを備える。操作部87は、店員の手入力による操作を受け付ける。
【0014】
第2表示部862は、液晶表示器等で構成され、顧客に商品情報、決済情報等を表示する客用表示部である。第2操作部872は、第2表示部862に重ねて設けられたタッチパネルであって、第2表示部862の表示内容に応じた操作を受け付ける。なお、以下で、第2表示部862が表示する客用の画面を「客用画面」とすることがある。
【0015】
スキャナ88は、例えばハンディタイプの装置であって、例えば可視光線を使用して、バーコードや二次元コード等のコードシンボルを読み取り、コードシンボルをデコードした値を、制御部80に受け渡す。
【0016】
スキャナ88が読み取るコードシンボルは、例えば、商品コードや会員コードが符号化されたものである。商品コードを示すコードシンボルは、商品や商品のパッケージに付されている。会員コードを示すコードシンボルは、例えば、会員アプリ(アプリケーションソフトウェアの略)が動作中のユーザ端末1の画面に表示される。
【0017】
なお、会員アプリは、例えば会員サービス3により頒布される。ユーザ端末1は、会員アプリを会員サービス3からダウンロードしインストールすることにより、会員アプリが提供する各種機能を利用可能となる。
【0018】
入出金部89は、硬貨や紙幣の金銭を収納するドロワを有し、顧客から預かった金銭や商品券等の有価証券類、および顧客に手渡す釣銭等を収納している。
【0019】
プリンタ90は、筐体に収納されたロール状のレシート用紙を引き出して、例えば熱転写型の印字ヘッドを備えたサーマルプリンタ等で商品情報や決済情報、レシートヘッダ情報等を印字し、レシートとして発行する。
【0020】
CPU81は、プロセッサの一例であり、店舗サーバ5の動作を統括的に制御する。ROM82は、各種プログラムを記憶する。RAM83は、プログラムや各種データを展開するワークスペースである。
【0021】
制御部80では、CPU81がROM82や記憶部85に記憶されRAM83に展開されたプログラムに従って動作することによって、各種の処理を実行する。制御部80は、記憶部85が記憶するプログラム851をCPU81が実行することにより、後述の各種機能部(図5参照、後述)として機能する。
【0022】
通信部84は、店内の各端末(例えば店舗サーバ5)と、通信回線Lにより通信可能に接続するインタフェースである。また、通信部84は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を有する。例えば、通信部84は、POS端末8の周辺に存在するイヤホン7と、近距離無線通信を行う。イヤホン7は、店員が装着して使用するものである。
【0023】
記憶部85は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶デバイスで構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部85は、CPU81が実行する各種のプログラム851を記憶する。
【0024】
また、記憶部85は、店舗サーバ5から定期的に取得する商品マスタ、設定情報、店員情報および顧客情報を記憶する。商品マスタ、設定情報、店員情報および顧客情報は、店舗サーバ5が記憶する商品マスタ、設定情報552、店員情報553および顧客情報554(後述)に対応し、基本的には同内容である。本実施形態では、説明を平易にするため、記憶部85が記憶する商品マスタ、設定情報、店員情報および顧客情報と、店舗サーバ5が記憶する商品マスタ、設定情報552、店員情報553および顧客情報554とは、同内容であるとする。
【0025】
図4は、店舗サーバ5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。店舗サーバ5は、CPU51、ROM52、RAM53、通信部54、記憶部55等を備えている。これらの各部は、バスを介して接続されている。
【0026】
CPU51、ROM52、RAM53、制御部50、記憶部55およびプログラム551は、上述のCPU81、ROM82、RAM83、制御部80、記憶部85およびプログラム851に対応するので、詳細な説明を省略する。
【0027】
通信部54は、店内の各端末(例えばPOS端末8)と、通信回線Lにより通信可能に接続するインタフェースである。また、通信部54は、公衆ネットワークを介して外部装置(例えばクラウド上の会員サービス3)に通信可能に接続するインタフェースである。
【0028】
記憶部55は、商品マスタ、設定情報552、店員情報553および顧客情報554を記憶する。商品マスタ、設定情報552、店員情報553および顧客情報554は、所定のタイミング(例えば日次のルーチン)で、店舗サーバ5からPOS端末8へ送信される(取得される、取り込まれる)。POS端末8は、自身の記憶部85が記憶する商品マスタ、設定情報、店員情報および顧客情報を、店舗サーバ5から受信した情報で更新する。
【0029】
店員情報553は、店舗の従業員すなわち店員に関する情報であって、例えばテーブルの形式で記憶部55に記憶されている。店員情報553は、例えば、下記の項目で構成される。
・店員ID
・顔情報
・イヤホンID
・指定言語
・習熟度情報
記憶部55は、上記各項目の情報を、関連づけて記憶する。
【0030】
店員IDは、店員を一意に識別する識別番号である。顔情報は、各店員の顔を撮像した画像(顔画像)や、或いは顔の特徴をパラメータ化した情報である。
【0031】
イヤホンIDは、店員が使用するイヤホン7を一意に識別する識別番号である。イヤホン7は、制御部80に対し、近距離無線通信でイヤホンIDを共有する。制御部80は、店員IDに関連づけられたイヤホンIDであれば、処理に応じた音声を出力するための信号を、イヤホン7に送信する。これにより、イヤホン7が、制御部80の処理に応じた音声を出力可能となる。
【0032】
指定言語は、店員が音声案内を希望する場合に指定する言語、つまり音声案内用の言語である。指定言語は、言語の名称を表記したテキストデータで特定されてもよいし、記号や番号で識別されてもよい。
【0033】
表示部86が表示する文字情報には、店舗所在地で最も使われている言語(例えば現地の公用語。以下、メイン言語とする)が、使用される。メイン言語に対し、指定言語としては、例えば店員の母国語など、得意とする言語が適している。なお、メイン言語話者であれば、指定言語にメイン言語を設定してもよいし、或いは指定言語を設定しなくてもよい。
【0034】
なお、指定言語が設定されていない場合、音声案内不要として処理してもよいし、メイン言語と同じとして処理してもよい。また、指定言語がメイン言語と一致する場合、メイン言語による音声案内を行ってもよいし、音声案内不要として処理してもよい。
【0035】
習熟度情報は、例えば下記の下位項目で構成される。
・業務コード
・業務名
・経験回数
・技能レベル
・自動更新フラグ
記憶部55は、上記各項目の情報を、関連づけて記憶する。つまり記憶部55は、1つの店員IDに対し、業務コード毎の、1以上の習熟度情報を記憶可能である。
【0036】
業務コードは、業務を一意に識別する識別番号である。業務名は、業務の名称であって、例えば業務内容を端的に理解可能に表現したものである。
【0037】
経験回数は、店員IDで識別される店員による、業務コードで識別される業務の、実行回数である。制御部80は、業務コードで識別される業務が実行された際に、その時の操作者のものとして入力されている店員IDの経験回数に、1を加算する。
【0038】
技能レベルは、店員IDで識別される店員による、業務コードで識別される業務の、技能の程度を示す情報である。本実施形態では、技能レベルを「熟達」、「未熟」、「初心者」の3段階とする。
【0039】
なお、実施にあたっては、技能レベルは「高」/「低」の2段階でもよいし、4段階以上でもよいし、或いは、段階を設けず一律の取り扱いであってもよい。また、技能レベルは、例えば等級を示す数値等であってもよい。技能レベルとしての数値は、例えば、小さいほど技能が高いことを示し、大きいほど未熟であることを示す。
【0040】
自動更新フラグは、経験回数による技能レベルの自動更新を行うか否かを設定するためのフラグ情報であって、例えば「1」か「0」かの値をとる。例えば、制御部80は、自動更新フラグの値が「0」の場合は経験回数による技能レベルの自動更新を行わず、自動更新フラグの値が「1」の場合、経験回数による技能レベルの自動更新を行う。
【0041】
自動更新を行う場合、例えば、制御部80は、同業務の経験回数が、0回であれば「初心者」であるとし、所定の閾値(例えば5回)未満であれば技能レベル「未熟」であるとし、閾値以上であれば技能レベル「熟達」であるとする。
【0042】
なお、自動更新は、上述の経験回数に応じての更新の他、例えば、業務の開始から完了までの所要時間の前回値が閾値(例えば2分)以下であった場合に技能レベル「熟達」とするのであってもよい。或いは、業務の開始から完了まで、手戻り(戻り操作)なしに完了した場合に技能レベル「熟達」とするのであってもよい。
【0043】
また、自動更新を行わない場合、技能レベルは、権限ある店員(例えば店長など)の手動操作により、変更されるのであってもよい。
【0044】
顧客情報554は、店舗を利用する顧客のうち、会員として登録された顧客の情報であって、例えばテーブルの形式で記憶部55に記憶されている。顧客情報554は、例えば、下記の項目で構成される。
・会員ID
・氏名
・会員種別
・保有ポイント
・指定言語
・音声案内フラグ
記憶部55は、上記各項目の情報を、関連づけて記憶する。
【0045】
会員IDは、会員である顧客を一意に識別する識別番号である。氏名は、会員である顧客の名称である。会員種別は、会員としての分類である。会員種別が異なると、例えば優待や特典の程度や条件が異なる。保有ポイントは、会員である顧客が保有するポイント(点数)である。ポイントは、例えば購入金額に応じて付与され、特典との交換や決済時の値引き等で消費される。
【0046】
指定言語は、顧客が音声案内を希望する場合に指定する言語、つまり音声案内用の言語である。指定言語は、言語の名称を表記したテキストデータで特定されてもよいし、記号や番号で識別されてもよい。
【0047】
第2表示部862が表示する文字情報には、メイン言語(店舗所在地で最も使われている言語。例えば現地の公用語)が、使用される。メイン言語に対し、指定言語は、例えば顧客の母国語などである。なお、メイン言語話者であれば、指定言語にメイン言語を設定してもよいし、或いは指定言語を設定しなくてもよい。
【0048】
音声案内フラグは、音声による案内を行うか否かを設定するためのフラグ情報であって、例えば「1」か「0」かの値をとる。例えば、制御部80は、音声案内フラグの値が「0」の場合は顧客への音声案内を行わず、音声案内フラグの値が「1」の場合、顧客への音声案内を行う。
【0049】
会員である顧客は、商品購入時に、会員IDを提示することにより、会員としての優待(例えばポイントの付与やポイント消費による値引き)を享受できる。会員IDの提示は、例えば、会員である顧客が、自身が保持するユーザ端末1で会員アプリを動作させ、会員アプリでユーザ端末1の画面にコードシンボルを表示させることにより、行われる。ユーザ端末1および会員アプリを介してコードシンボルの提示を受けた店員は、スキャナ88に、ユーザ端末1の画面に表示されたコードシンボルを読み取らせる。これにより、制御部80は、会員IDの入力を受ける(取得する)ことができる。
【0050】
設定情報552は、例えば、下記の情報を含んでいる。
・レベル設定情報
・業務案内情報
・客操作案内情報
【0051】
設定情報552に含まれるレベル設定情報は、技能レベルと案内レベルを対応付けて記憶したものである。技能レベルと案内レベルとは、1:1で対応付けられていてもよいし、或いは、例えば複数の技能レベルに対して1つの案内レベルが対応づけられていても構わない。
【0052】
本実施形態では、技能レベル「熟達」に案内レベル「なし」を対応付け、技能レベル「未熟」に案内レベル「簡易」を対応付け、技能レベル「初心者」に案内レベル「詳細」を対応付ける。なお、案内レベル「簡易」の音声案内と、案内レベル「詳細」の音声案内との、端的な差としては、案内の量である。
【0053】
このような設定に基づいて、制御部80は、店員の操作者としてのレベルの高低に応じて、音声案内を増減する。つまり、店員が不慣れであれば手厚い案内を行い、レベルが高くなれば案内を減らす。
【0054】
上記例において自動更新フラグが「1」、閾値が「5」の場合、制御部80は、業務の経験回数に応じて、自動的に音声案内を変更する。例えば、制御部80は、店員が未経験の業務を行う際には案内レベル「詳細」の音声案内を行い、経験回数が1回以上4回未満のときには「簡易」の音声案内を行い、さらに経験回数が5回以上になると音声案内を行わない(停止する)。
【0055】
なお、実施にあたって、例えば、案内レベルを「なし」と「あり」との2段階とし、技能レベル「熟達」に案内レベル「なし」を対応付け、技能レベル「未熟」および「初心者」に案内レベル「あり」を対応付ける等してもよい。
【0056】
設定情報552に含まれる業務案内情報は、業務に音声案内を対応付ける情報であって、例えばテーブルの形式で記憶部55に記憶されている。業務案内情報は、例えば、下記の項目で構成される。
・業務コード
・業務名
・フォーカスID
・音声案内情報
記憶部55は、上記各項目の情報を、関連づけて記憶する。
【0057】
業務コードおよび業務名は、店員情報553の習熟度情報で説明したものと同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0058】
フォーカスIDは、業務コードで識別される業務に対応する画面(業務画面)における、フォーカス位置を識別可能な識別情報である。フォーカス位置は、業務画面において、操作部87やスキャナ88による入力を受け付けている入力欄の位置である。記憶部55は、1つの業務コードに対し、1以上のフォーカスIDを記憶可能である。例えば、宅配便を受け付ける業務に対応する画面であれば、サイズの入力欄や送り先の入力欄など多くの欄があり、フォーカス位置は、業務画面が含む各入力欄に予め定められた順序で、移動していく。
【0059】
音声案内情報は、案内レベル毎のテキストデータと、いくつかの代表的な指定言語に対応した音声データで構成される。具体的には、音声案内情報は、例えば下記の下位項目で構成される。
・案内レベル
・テキストデータ
・指定言語
・音声データ
記憶部55は、1つのフォーカスIDに対し、案内レベル毎の、1以上の音声案内情報を記憶可能である。案内レベルは、設定情報552のレベル設定情報で説明したものと同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0060】
テキストデータは、音声案内において読み上げられる内容であって、メイン言語で表記される。
【0061】
音声データは、テキストデータを、指定言語で機械翻訳したものを、機械音声で読み上げたものである。指定言語は、店員情報553で説明したものと同じであるので、詳細な説明を省略する。音声データは、使用される頻度が高い(指定言語として多く設定されている)言語のものが、記憶されている。
【0062】
店員情報553と設定情報552が含むレベル設定情報とにより、店員のイヤホンID、指定言語および業務毎に要する案内レベルが得られる。また、設定情報552が含む業務案内情報により、業務画面の入力欄毎のテキストデータ或いは音声データが得られる。これにより、POS端末8での業務実行にあたって店員IDを取得することで、店員の技能レベルに適する音声案内を、指定の言語で、行うことができる。
【0063】
設定情報552に含まれる客操作案内情報は、第2表示部862が表示する客用画面に音声案内を対応付ける情報であって、例えばテーブルの形式で記憶部55に記憶されている。客操作案内情報は、例えば、下記の項目で構成される。
・客用画面コード
・画面名
・音声案内情報
記憶部55は、上記各項目の情報を、関連づけて記憶する。
【0064】
客用画面コードは、客用画面のそれぞれを一意に識別する識別番号である。画面名は、客用画面の名称であって、例えば、表示される場面や受け付ける入力内容を端的に理解可能に表現したものである。
【0065】
音声案内情報は、テキストデータと、いくつかの代表的な指定言語に対応した音声データで構成される。具体的には、音声案内情報は、例えば下記の下位項目で構成される。
・テキストデータ
・指定言語
・音声データ
記憶部55は、1つの客用画面に対し、1以上の音声案内情報を記憶可能である。テキストデータ、指定言語、音声データは、設定情報552が含む業務案内情報で説明したものと同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0066】
顧客情報554と設定情報552が含む客操作案内情報とにより、会員の指定言語および客用画面を案内するためのテキストデータ或いは音声データが得られる。これにより、POS端末8での客用画面表示にあたって会員IDを取得することで、会員の指定言語に適する音声案内を、行うことができる。
【0067】
商品マスタは、商品の情報(商品情報)を記憶したファイルであって、例えばテーブルの形式で記憶部55に記憶されている。商品マスタは、例えば、下記の項目で構成される。
・商品コード
・商品名
・価格(単価)
・画像
・特徴量
記憶部55は、上記各項目の情報を、関連づけて記憶する。
【0068】
図5は、POSシステムが備える機能部の一例を示すブロック図である。
【0069】
ユーザ端末1の制御部10は、ユーザ端末1が備えるCPUやROM、RAM等により構成され、CPUがROM等に記憶されたプログラムを実行することにより各種機能部を実現してユーザ端末1を統括的に制御するものである。
【0070】
会員アプリ105は、会員サービス3からダウンロードされインストールされたアプリケーションソフトウェアを実行することにより実現される一機能部である。会員アプリ105は、ユーザ端末1が備える不揮発性の記憶部(例えばSSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリ等)に記憶されている。会員アプリ105が使用する設定情報も、ユーザ端末1の上記記憶部に記憶される。設定情報は、例えば、会員である顧客の情報(会員IDや氏名、会員アプリ105がインストールされた端末の識別情報、指定言語、音声案内の要否など)である。
【0071】
POS端末8の制御部80は、CPU81がプログラム851を読み出して実行することにより、操作者情報取得部801、案内取得部802、音声案内部803、および顧客情報取得部806として機能する。
【0072】
制御部50は、CPU51がプログラム551を読み出して実行することにより、店員情報提供部501、顧客情報登録部505、および顧客情報提供部506として機能する。
【0073】
操作者情報取得部801は、POS端末8を操作する操作者である店員の情報を取得する。具体的には、操作者情報取得部801は、スキャナ88または操作部87が店員IDを出力すると、当該店員IDを店舗サーバ5に送信して、店員IDで識別される店員の情報を店舗サーバ5に要求し、店舗サーバ5からの応答として店員の情報を取得する。
【0074】
案内取得部802は、POS端末8の表示部86が表示する業務画面において、フォーカスIDおよび案内レベルに応じた音声案内情報を取得し、当該情報を、音声案内部803に受け渡す。
【0075】
音声案内部803は、案内取得部802が取得した音声案内情報に基づいて、イヤホン7に音声を出力させる。
【0076】
また、音声案内部803は、案内取得部802が取得した音声案内情報が、音声データでなくテキストデータであった場合には、当該テキストデータを、店員IDに関連づけられた指定言語のテキストデータに変換(機械翻訳)し、この変換テキストデータを機械音声で読み上げる処理を行う。
【0077】
顧客情報取得部806は、会員アプリ105および顧客情報提供部506から、会員である顧客の情報を取得する。具体的には、顧客情報取得部806は、会員アプリ105がユーザ端末1に表示させたコードシンボルをスキャナ88が読み取って会員IDを出力すると、当該会員IDを店舗サーバ5に送信して、会員IDで識別される会員の情報を店舗サーバ5に要求し、店舗サーバ5からの応答として会員の情報(指定言語および音声案内フラグ)を取得する。
【0078】
案内取得部802は、POS端末8の第2表示部862に客用画面を表示させるに際し、当該客用画面に関連づけられた音声案内情報を取得し、当該情報を、音声案内部803に受け渡す。
【0079】
店舗サーバ5の店員情報提供部501は、POS端末8から店員IDを添えた店員情報の要求を受信した場合に、店員IDに合致する店員情報を記憶部55から情報を抽出してPOS端末8に送信(提供)する。
【0080】
顧客情報登録部505は、会員アプリ105から、会員である顧客の情報を登録(或いは変更、更新)する情報を受信すると、受信した情報に基づいて、顧客情報554を登録(或いは変更、更新)する。
【0081】
顧客情報提供部506は、POS端末8から受信する問い合わせに応じて、顧客の情報を送信する。
【0082】
このような構成において、POS端末8は、次のような処理を行う。図6は、本実施形態のPOSシステムにおける処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0083】
POS端末8の制御部80は、業務の開始にあたり、まず、操作者情報取得部801として、操作者の登録(選択)を行う(ステップS1)。具体的には、例えば、操作者である店員が、自身の名札に表示されたバーコード等のコードシンボルを、スキャナ88に読み取らせる。これにより、スキャナ88は、コードシンボルをデコードした値である店員IDを、制御部80に出力する。
【0084】
次に制御部80(操作者情報取得部801)は、ステップS1で取得した店員IDを添えた店員情報の要求を、店舗サーバ5に送信する(ステップS2)。要求を受信した店舗サーバ5の制御部50は、店員情報提供部501として、店員IDに合致する情報を、記憶部55が記憶する店員情報553から抽出する(ステップS3)。続いて制御部50は、ステップS3で抽出した情報を、要求への応答としてPOS端末8に送信する(ステップS4)。
【0085】
なお、上記例では、コードシンボルのスキャナ88読み取りにより、操作者を認証するようにしているが、実施にあたってはこれに限らない。例えば、操作者認証を、顔認証により行うようにしてもよい。顔認証には、店員IDに関連づけて記憶された顔情報を用いる。顔認証については既存技術の転用であって構わないので詳細な説明を省略するが、例えば、POS端末8に設けたカメラで撮像された店員の顔画像を、店員情報553に記憶された顔情報に照合することにより行われる。
【0086】
ステップS3およびステップS4により、制御部80は、店員IDに関連づけられたイヤホンID、指定言語および習熟度情報を取得する。なお、制御部80は、店員IDにイヤホンIDや指定言語、習熟度情報が関連づけられていなくこれらが取得されなかった場合には、案内取得部802および音声案内部803による処理を行わない。
【0087】
店員IDに関連づけられたイヤホンID、指定言語および習熟度情報を取得した制御部80は、案内取得部802として、イヤホンや言語設定の有無に応じて音声案内を準備する。具体的には、制御部80は、POS端末8の表示部86が表示する業務画面に対応する、操作者の案内レベルに応じた音声案内情報を、設定情報552から取得する(ステップS5)。
【0088】
次に制御部80は、業務を開始し、業務画面を表示する(ステップS6)。続いて制御部80は、音声案内部803として、フォーカス位置のフォーカスIDに関連づけられた音声案内情報に基づいて、音声をイヤホン7から出力させる(ステップS7)。より具体的には、制御部80は、ステップS1で取得した店員IDに関連づけられたイヤホンIDのイヤホン7に対し、音声出力用の信号を送信する。
【0089】
ステップS7において、フォーカス位置に音声案内情報関連づけられていなければ、制御部80は、イヤホンによる音声案内を行わない。また、ステップS5で取得した音声案内情報が、音声データでなくテキストデータであった場合、制御部80は、当該テキストデータを指定言語のテキストデータに変換し、この変換テキストデータを機械音声で読み上げた音声をイヤホン7から出力させる。
【0090】
店員がフォーカス位置の入力欄に情報を入力すると、制御部80は、フォーカス位置を次へ移動させ、処理をステップS7に戻す(ステップS8)。
【0091】
図7図10に示す宅配便受付画面を用いて、ステップS7における業務画面60および案内音声71~74の一例について、説明する。図7図10は、業務画面60の一例を示す図である。
【0092】
業務画面60は、入力欄61~64、運賃表示欄65、戻るキー68、OKキー69を含む。入力欄61は、サイズの入力を受け付ける。入力欄62は、電話番号の入力を受け付ける。入力欄63は、郵便番号の入力を受け付ける。入力欄64は、配達予定日の入力を受け付ける。戻るキー68は、宅配便受付業務を取り止めて本業務開始前の画面に戻すための操作を受け付ける。OKキー69は、入力欄61~64のいずれかが未入力であると操作不可能状態であって、全ての入力欄61~64が入力されると操作可能状態になる。OKキー69は、入力内容に応じた宅配便を受け付け、本業務を終了するための操作を受け付ける。
【0093】
この例において、1番目にフォーカスがあたる位置は、サイズの入力欄61である。サイズの入力欄61にフォーカスがあたったとき、制御部80は、店員のイヤホン7から、例えば、「メジャーで、3辺のサイズを測ってください」という意味の、指定言語での案内音声71を出力させる。この案内音声は、スピーカーが出力するものではないので、顧客や他の店員には聞こえない。
【0094】
図7に示すように、サイズの入力欄61にフォーカスがあるとき、業務画面60には、サイズ選択キー611が表示されている。サイズ選択キー611は、宅配便のサイズの分類が表示されたキーである。サイズの分類は、例えば、60サイズ、80サイズ、100サイズ、120サイズ、140サイズ、160サイズである。店員は、案内音声71を聞くと、音声の案内に従って荷物のサイズを測定して、測定結果に適するサイズ選択キー611を操作する。
【0095】
制御部80は、操作部87から、サイズ選択キー611の位置に対応する信号の出力を受けると、サイズの入力欄61に、操作されたサイズ選択キー611に対応するサイズを表示させて、次の電話番号の入力欄62にフォーカスを移動させる(図8参照)。
【0096】
電話番号の入力欄62にフォーカスがあたったとき、制御部80は、店員のイヤホン7から、例えば、「伝票に記載されている電話番号を入力してください」という意味の、指定言語での案内音声72を出力させる。
制御部80は、操作部87から電話番号の出力を受けると、入力された電話番号を入力欄62に表示させて、次の郵便番号の入力欄63にフォーカスを移動させる。
【0097】
郵便番号の入力欄63にフォーカスがあたったとき、制御部80は、店員のイヤホン7から、例えば、「送り先の郵便番号を7桁の数字で入力してください」という案内音声を出力させる。
制御部80は、操作部87から郵便番号の出力を受けると、入力された郵便番号を入力欄63に表示させて、次の配達予定日の入力欄64にフォーカスを移動させる(図9参照)。
【0098】
図9に示すように、配達予定日の入力欄64にフォーカスがあるとき、業務画面60には、日付指定キー641が表示されている。日付指定キー641は、日付を示す数字が例えばカレンダー状に並べて表示されたキーである。
また、配達予定日の入力欄64にフォーカスがあるとき、制御部80は、店員のイヤホン7から、例えば、「明日から1週間以内で配達時間を選んでください。全時間帯で配達指定が可能です」という意味の、指定言語での案内音声73を出力させる。
店員は、日付指定キー641を操作し、さらに、音声の案内に従って、時間帯を指定する操作を行う。
【0099】
制御部80は、操作部87から配達予定日や時間帯を示す信号の出力を受けると、入力された値を入力欄64に表示させる(図10参照)。これに伴い、制御部80は、運賃を自動算出して運賃表示欄65に表示させ、また、OKキー69を使用可能状態に切り替える。
さらにこれに伴い、制御部80は、店員のイヤホン7から、例えば、「間違いないか確認し、料金支払いに進んでください」という意味の、指定言語での案内音声74を出力させる。
【0100】
このような構成において、POS端末8は、顧客との取引において、顧客が購入する商品の商品登録処理および決済処理を実行する。
【0101】
商品登録処理において、POS端末8の制御部80は、まず、取引対象の商品に付されたバーコード等のコードシンボルをスキャナ88で読み取り、対応する商品を識別する商品コードを取得する。次に制御部80は、取得した商品コードをキーとして、商品マスタから商品情報(商品名、価格等)を取得する。続いて制御部80は、取得した商品情報に基づいて、商品の商品名や価格を表示部86に表示させるとともに、当該商品情報を、所定の記憶部(例えば記憶部85)に記憶させる(登録する)。
【0102】
なお、POS端末8は、商品に付されたコードシンボルを、光学的に読み取った画像データから、商品コードを取得するようにしてもよい。さらにPOS端末8は、コードシンボルを介さず、商品を撮像して得る画像データから得られる商品の外観の特徴量を、商品マスタが含む特徴量に照らし合わせることにより商品を識別して、商品コードを取得するのであってもよい。
【0103】
また、決済処理において、POS端末8の制御部80は、商品登録処理で登録された商品情報に基づいて、当該取引に係る合計金額を表示し、顧客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示し、釣銭の発行を釣銭機に指示する。また、決済処理は、商品登録処理した商品情報や決済情報(合計金額、預り金額、釣銭額等)を印字したレシートを発行する処理を含む。
【0104】
また、POS端末8は、図7図10で示した業務画面を表示させて、宅配便受付にかかる処理を実行する。
【0105】
このような本実施形態のPOS端末8の制御部80は、図7図10で示した例のように、業務画面の表示中に、適宜、音声による案内を行う。案内のタイミングは、例えば、フォーカス位置の移動時でもよいし、或いは画面の切替り時であってもよい。また、案内の内容は、フォーカス位置に関連づけられていてもよいし、業務画面に関連づけられていてもよい。さらに、案内の内容は、操作者(店員)の習熟度(技能レベル)に応じて変更されてもよく、この場合、例えば、習熟度が高いほど簡易な内容での案内とし、習熟度が未熟であるほど詳細な内容での案内とすると好適である。
【0106】
本実施形態によれば、業務画面の案内を音声出力により手厚くすることができるので、不慣れな操作者自力で問題解決しやすくなるため、解決に要する時間を短縮することができる。
【0107】
POS端末8の制御部80は、音声による案内を、操作者の指定言語により行う。このため、例えば業務画面の文字情報を操作者の指定言語に変更しなくとも、操作者は、得意とする言語での音声案内を聴くことで、業務画面に対してすべき操作を理解することができる。このように、業務画面の文字情報での案内と音声での案内を併用することにより、文字情報での案内の量を最小限に抑えることができる。また、業務画面に表示される文字情報を指定言語に変更する場合に比べ、工数および製作コストを抑えることができる。
【0108】
また、業務画面が、操作者の指定言語に応じて変更されず、メイン言語(店舗所在地で最も使われている言語。例えば現地の公用語など)のままにできることで、指導する立場の店員(上長)と指導される店員との指定言語が異なっていたとしても、上長はメイン言語で表記された業務画面により業務の進み状態を把握することができ、円滑に指導することができる。
【0109】
なお、上長が、メイン言語の話者でない場合もあり得るが、上長は、立場上業務に熟達している可能性が高く、指導される店員よりは、メイン言語で表記された業務画面に慣れていると想定される。つまり仮に、上長と指導される店員とがともにメイン言語の非話者同士であったとしても、メイン言語が両者の共通言語として機能し、円滑な指導の一助とすることができる。
【0110】
上述した実施形態は、上述した各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0111】
(変形例1)
POS端末8は、第2表示部862を介して、顧客による操作を求める場合がある。そのような場合の具体例としては、酒やタバコ等の購入に際しての年齢確認や、チケット発券の確認等がある。
【0112】
図11は、第2表示部862を見て操作する顧客に音声で操作案内する場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0113】
ユーザ端末1が会員サービス3に対して行った情報の登録や更新は、会員サービス3から店舗サーバ5へ送信される(ステップS11)。店舗サーバ5は、会員サービス3から受信した情報を、記憶部55の顧客情報554として記憶させる(ステップS12)。
【0114】
店舗を訪れた顧客が、所持したユーザ端末1で会員アプリ105を起動し(ステップS21)、会員IDを示すコードシンボルを表示した画面を、POS端末8の操作者である店員に提示すると(ステップS22)、店員は、スキャナ88にコードシンボルを読み取らせる(ステップS23)。これにより、POS端末8の制御部80は、会員IDを取得できる。
【0115】
会員IDを取得した制御部80は、会員対応にかかる処理を開始する(ステップS24)。会員対応において、制御部80は、まず、会員IDを店舗サーバ5に送信し(ステップS25)、会員IDに合致する顧客情報(指定言語や音声案内フラグ)の抽出(ステップS26)および送信(ステップS27)を受ける。
【0116】
次に制御部80は、音声案内フラグが「1」であれば、指定言語による音声案内のための準備を行う(ステップS28)。当該準備においては、第2表示部862が表示する客用画面に応じた客操作案内情報の取得を行う。
【0117】
そして制御部80は、ステップS28で取得した客操作案内情報に基づく音声案内と、第2表示部862による客用画面の表示とを行う(ステップS29)。音声案内では、客用画面コードに音声案内情報が関連づけて記憶されていれば、これを顧客の会員IDに関連づけられた指定言語で読み上げる(ステップS30)。この場合の読み上げには、例えば、POS端末8に備え付けのスピーカーが使用される。そして制御部80は、第2操作部872を介した入力を受け付けると、第2表示部862が表示する客用画面を遷移させ、処理をステップS30に戻す。
【0118】
上記変形例によれば、顧客が、指定言語による音声案内を希望する会員である場合に、顧客に求める操作を、音声により案内することができる。
【0119】
なお、上記変形例では、POS端末8のスピーカーを音声案内に使用したが、実施にあたってはこれに限らず、例えば、店舗サーバ5や会員サービス3を経由してユーザ端末1に情報を送信することにより、ユーザ端末1が備えるスピーカーやユーザ端末1に接続されたイヤホンを使用して音声案内を行っても構わない。
【0120】
(変形例2)
上記実施形態において、音声案内情報は、設定情報552として記憶部55に記憶させておくとしたが、実施にあたっては、例えば、業務にかかる処理を行うためのプログラムの流れに基づいて、自動で生成するようにすることも考えられる。例えば、図9に示す日付指定キー641の操作を待機するタイミングで、画面に表示されたキーの選択を促すとともに、1週間以内の日付が選択可能であることを説明する案内音声を出力させる。なお、音声案内情報をプログラムの流れから自動生成する場合には、プログラムの流れに載っていない作業(例えば、「宅配伝票を荷物に貼付してください」等)を案内することはできないので、そういった内容については別途準備を要する。
【0121】
(変形例3)
上記実施形態において、指定言語は、店員情報553や顧客情報554に設定されているとしたが、実施にあたっては、それ以外でも構わない。例えば、業務開始時に表示部86に操作受付画面等を表示させて、店員に、指定言語の選択や音声案内の要否を選択する操作を求めるようにしてもよい。
【0122】
(変形例4)
店舗サーバ5の記憶部55が記憶する設定情報552や顧客情報554は、一般に、系列に属する複数の店舗で共有される情報であるか、その一部であるが、実施にあたっては、音声案内情報を、店舗で独自に設定可能としてもよい。この場合、例えば、設定用の専用アプリを店舗サーバ5に設けると好適である。これによれば、系列の全体的には使用頻度が低い言語を指定言語とする店員が所属する店舗において、当該店員の指定言語の音声データを、予め準備しておくことができるので、都度の翻訳や読み上げの処理を行う必要をなくすことができる。
【0123】
(まとめ)
以上のように、POS端末8は、表示部86や第2表示部862に、文字情報を含んだ画面(業務画面や客用画面)を表示させるが、本実施形態によれば、画面と異なる言語による音声案内を行うことができる。
【0124】
また、画面に表示したメイン言語による文字情報よりも、詳細な内容を音声で伝えるように構成してもよい。この場合、音声で伝える情報の言語としては、メイン言語と異なる言語に限らず、メイン言語と同じ言語が用いられていても構わない。
【0125】
上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0126】
さらに、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 …ユーザ端末、10…制御部、105…会員アプリ、
3 …会員サービス、
5 …店舗サーバ、
50…制御部、
501…店員情報提供部、505…顧客情報登録部、506…顧客情報提供部、
51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…通信部、
55…記憶部、
551…プログラム、552…設定情報、553…店員情報、554…顧客情報、
60…業務画面、
61~64…入力欄、611…サイズ選択キー、641…日付指定キー、
65…運賃表示欄、68…戻るキー、69…OKキー、
71~74…案内音声、
7 …イヤホン、
8 …POS端末、
80…制御部、
801…操作者情報取得部、802…案内取得部、803…音声案内部、
806…顧客情報取得部、
81…CPU、82…ROM、83…RAM、84…通信部、
85…記憶部、851…プログラム、
86…表示部、862…第2表示部、
87…操作部、872…第2操作部、
88…スキャナ、89…入出金部、90…プリンタ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0129】
【特許文献1】特開2013-045288号公報
【特許文献2】特開2018-147186号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11