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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026191
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】弾性支持部材、懸架装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20250214BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20250214BHJP
   B60G 11/16 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F16F9/32 B
F16F1/12 N
B60G11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131619
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】増田 昴弘
(72)【発明者】
【氏名】榊原 怜
(72)【発明者】
【氏名】竹中 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智晶
【テーマコード(参考)】
3D301
3J059
3J069
【Fターム(参考)】
3D301AA79
3D301DA08
3D301DA45
3D301DB02
3D301DB12
3J059AD02
3J059AD03
3J059BA01
3J059BB01
3J059BC02
3J059CB06
3J059CC01
3J059GA02
3J069AA50
3J069CC02
3J069DD48
(57)【要約】
【課題】抜け荷重を小さくすることなく、挿入荷重を小さくすることができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】弾性支持部材1は、コイルばねと、コイルばねの端部を支持するばね支持部材130との間に介在する弾性支持部材1であって、ばね支持部材130と対向する対向面12から突出して、ばね支持部材130に形成された貫通孔134に挿入される突出部を20有し、突出部20は、対向面12に平行な方向の大きさが貫通孔134の大きさよりも小さく貫通孔134に嵌め込まれる基部30と、基部30における外周部から外側に突出するとともに、基部30が貫通孔134に嵌め込まれた状態で、ばね支持部材130に対して対向面12とは反対側に位置する凸部40と、を備え、凸部40は、基部30との間に、対向面12から離れる側に凹んだ凹部42を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばねと、前記ばねの端部を支持するばね支持部材との間に介在する弾性支持部材であって、
前記ばね支持部材と対向する対向面から突出して、前記ばね支持部材に形成された貫通孔に挿入される突出部を有し、
前記突出部は、
前記対向面に平行な方向の大きさが前記貫通孔の大きさよりも小さく前記貫通孔に嵌め込まれる基部と、
前記基部における外周部から外側に突出するとともに、前記基部が前記貫通孔に嵌め込まれた状態で、前記ばね支持部材に対して前記対向面とは反対側に位置する凸部と、
を備え、
前記凸部は、前記基部との間に、前記対向面から離れる側に凹んだ凹部を有する、
弾性支持部材。
【請求項2】
前記凸部は、前記基部の周囲に複数設けられている、
請求項1に記載の弾性支持部材。
【請求項3】
複数の前記凸部の内の2つの前記凸部は、前記基部に対して反対側に設けられ、前記2つの前記凸部の外縁間の前記対向面に平行な方向の大きさは、前記貫通孔の大きさよりも大きい、
請求項2に記載の弾性支持部材。
【請求項4】
前記基部における前記対向面と平行な断面形状は、前記ばねの半径方向よりも前記ばねの巻き方向に大きい、
請求項1に記載の弾性支持部材。
【請求項5】
前記基部における前記凸部よりも前記対向面から離れる部位の前記貫通孔の深さ方向の大きさは、前記貫通孔自身の前記深さ方向の大きさよりも大きい、
請求項1に記載の弾性支持部材。
【請求項6】
ばねと、
前記ばねの端部を支持するばね支持部材と、
前記ばねと前記ばね支持部材との間に介在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の弾性支持部材と、
を備える懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性支持部材及び懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された弾性支持部材は、コイルスプリングの座巻部を支持するスプリング支持面を含むラバー本体部を備えている。ラバー本体部のスプリング支持面と相反する側の下面には、スプリングシートに形成された貫通孔に嵌合する2つの嵌合突部が一体に突出形成されている。嵌合突部は、ラバー本体部の側に設けられた柱部と、ラバー本体部から離間する側に設けられ、スプリングシートの貫通孔に嵌合する嵌合部とを有している。柱部は、スプリングシートの貫通孔の直径と同じか若干小さい直径及び、スプリングシートの厚さよりも若干大きな高さを有している。嵌合部は、下方に向けて小径となる円錐形或いは円錐台形をなしており、基端側においてスプリングシートの貫通孔の直径よりも大きく、先端側において貫通孔の直径よりも小さな直径を有している。嵌合突部は、嵌合部の上端に形成される環状肩面をスプリングシートの下面に係合させることにより、スプリングシートの貫通孔に嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-46910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された弾性支持部材においては、嵌合突部の嵌合部のスプリングシートの貫通孔への挿入荷重、及び、嵌合部のスプリングシートの貫通孔からの抜け荷重は、スプリングシートの貫通孔以下の大きさまで嵌合部を変形させる力に依存する。それゆえ、挿入荷重を低減させる工夫をしないと、弾性支持部材をスプリングシートに組み付け易くするために挿入荷重を小さくさせると、抜け荷重も小さくなってしまう。
本発明は、抜け荷重を小さくすることなく、挿入荷重を小さくすることができる弾性支持部材等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、ばねと、前記ばねの端部を支持するばね支持部材との間に介在する弾性支持部材であって、前記ばね支持部材と対向する対向面から突出して、前記ばね支持部材に形成された貫通孔に挿入される突出部を有し、前記突出部は、前記対向面に平行な方向の大きさが前記貫通孔の大きさよりも小さく前記貫通孔に嵌め込まれる基部と、前記基部における外周部から外側に突出するとともに、前記基部が前記貫通孔に嵌め込まれた状態で、前記ばね支持部材に対して前記対向面とは反対側に位置する凸部と、を備え、前記凸部は、前記基部との間に、前記対向面から離れる側に凹んだ凹部を有する、弾性支持部材である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、抜け荷重を小さくすることなく、挿入荷重を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】懸架装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】コイルばね、ばね支持部材及び弾性支持部材が組み付けられた状態の一例を示す斜視図である。
図3】ばね支持部材と弾性支持部材が組み付けられる前の状態の一例を示す斜視図である。
図4】突出部20を半径方向に見た外観の一例を示す図である。
図5】突出部20を図4のV方向に見た外観の一例を示す図である。
図6図4のVI-VI部の断面の一例を示す図である。
図7図4のVII-VII部の断面の一例を示す図である。
図8図4のVIII-VIII部の断面の一例を示す図である。
図9図4のIX-IX部の断面の一例を示す図である。
図10図9のX部の拡大図である。
図11】突出部がばね支持部材の貫通孔に挿入された状態の一例を示す図である。
図12】突出部がばね支持部材の貫通孔から抜ける前の状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、懸架装置100の概略構成の一例を示す図である。
懸架装置100は、ストラット式サスペンションであり、図1に示すように、油圧緩衝装置110と、油圧緩衝装置110の外側に配置されたコイルばね120(ばねの一例)と、を備える。また、懸架装置100は、コイルばね120の一方側(図1では下側)の端部を支持するばね支持部材130と、コイルばね120の他方側(図1では上側)の端部を支持するばね支持部材140と、を備える。また、懸架装置100は、コイルばね120とばね支持部材130との間に介在する弾性支持部材1を備えている。
【0009】
懸架装置100は、後述するピストンロッド112の軸方向の他方側の端部に取り付けられて、この懸架装置100を車両に取り付けるための車体側ブラケット150と、後述するダンパケース111におけるピストンロッド112の軸方向の一方側の端部に固定されて、懸架装置100を車輪に取り付けるための車輪側ブラケット160と、を備える。また、懸架装置100は、ピストンロッド112の少なくとも一部を覆うダストカバー170を備える。
【0010】
油圧緩衝装置110は、オイルを収容するダンパケース111と、ダンパケース111内に同軸で設けられたシリンダ(不図示)と、シリンダ内を摺動するピストン(不図示)と、一方側の端部にピストンを保持するとともに他方側の端部がダンパケース111から突出して設けられるピストンロッド112と、を備えている。ピストンロッド112は、円柱状または円筒状の部材である。
【0011】
コイルばね120は、線材121が螺旋状に巻かれて形成されている。コイルばね120における一方側の端部の約3/5円弧状に、弾性支持部材1が装着されている。以下、コイルばね120における弾性支持部材1が装着された部分の線材121の巻き方向を、単に「巻き方向」と称する場合がある。また、螺旋状に巻かれた線材121の半径方向を、単に「半径方向」と称する場合がある。
【0012】
図2は、コイルばね120、ばね支持部材130及び弾性支持部材1が組み付けられた状態の一例を示す斜視図である。
図3は、ばね支持部材130と弾性支持部材1が組み付けられる前の状態の一例を示す斜視図である。
ばね支持部材130は、ダンパケース111(図1参照)に固定されて、コイルばね120の端部を支持する部材である。ばね支持部材130は、鋼板等の金属製の薄い板に対してプレス加工が施されることにより成形されていることを例示することができる。
【0013】
ばね支持部材130には、弾性支持部材1が配置される溝131が形成されている。溝131は、弾性支持部材1を載せる載せ面132を有する。以下、載せ面132の反対側の面を裏面133(図11参照)と称する。そして、ばね支持部材130には、載せ面132と裏面133とを連通するように、貫通孔134が形成されている。貫通孔134は、巻き方向に2つ形成されている。
【0014】
弾性支持部材1は、コイルばね120とばね支持部材130との間に介在するゴム製の部品であり、コイルばね120とばね支持部材130との間の衝撃を緩和してノイズの発生を抑制する。
弾性支持部材1は、コイルばね120が着座する着座部10と、弾性支持部材1がコイルばね120から脱落することを防止する脱落防止部50と、を備えている。
【0015】
(着座部10)
着座部10は、コイルばね120側に位置してコイルばね120を支持する支持面11と、ばね支持部材130側の面であり、ばね支持部材130の載せ面132と対向する対向面12と、を有している。また、着座部10は、半径方向内側の側面である内側側面13と、半径方向外側の側面である外側側面14と、を有している。
【0016】
また、着座部10は、対向面12からばね支持部材130側に突出した突出部20を巻き方向に2つ有している。突出部20については、後で詳述する。
弾性支持部材1は、着座部10の突出部20がばね支持部材130に形成された貫通孔134に挿入されることで、ばね支持部材130に対する位置が定まるとともに、弾性支持部材1がばね支持部材130から脱落することが抑制される。
【0017】
(脱落防止部50)
脱落防止部50は、弾性支持部材1をコイルばね120へ装着した後、弾性支持部材1がコイルばね120から脱落することを防止する部位であり、弾性支持部材1の巻き方向の中央部に設けられた第1防止部60と、弾性支持部材1の巻き方向の端部に設けられた第2防止部70とを有している。
【0018】
第1防止部60は、図3に示すように、内側側面13から半径方向内側及び上方に突出するとともに線材121を囲むように半径方向外側に延びる第1内側防止片61を有する。また、第1防止部60は、外側側面14から半径方向外側及び上方に突出するとともに線材121を囲むように半径方向内側に延びる第1外側防止片62を有する。
【0019】
第2防止部70は、図3に示すように、内側側面13から半径方向内側及び上方に突出するとともに線材121を囲むように半径方向外側に延びる第2内側防止片71を有する。また、第2防止部70は、外側側面14から半径方向外側及び上方に突出するとともに線材121を囲むように半径方向内側に延びる第2外側防止片72を備えている。
【0020】
((突出部20))
図4は、突出部20を半径方向に見た外観の一例を示す図である。
図5は、突出部20を図4のV方向に見た外観の一例を示す図である。
図6は、図4のVI-VI部の断面の一例を示す図である。
図7は、図4のVII-VII部の断面の一例を示す図である。
図8は、図4のVIII-VIII部の断面の一例を示す図である。
図9は、図4のIX-IX部の断面の一例を示す図である。
図10は、図9のX部の拡大図である。
【0021】
突出部20は、柱状の基部30と、基部30における外周部から外側に突出した凸部40とを有する。以下では、基部30の中心線方向を、単に「中心線方向」と称する場合がある。また、中心線方向において、図4の下側、上側を、それぞれ、「第1側」、「第2側」と称する場合がある。
【0022】
(((基部30)))
基部30は、対向面12側(第2側)に設けられた基端部31と、対向面12から最も離れた部位に設けられた先端部32と、基端部31と先端部32との間に設けられた中間部33とを有する。
基部30は、中心線方向に見た場合の形状が、図5に示すように、正円を2つに割った半円30cの間に正円の直径(半円30cの半径の2倍の大きさ)と同じ大きさの幅の四角30sが設けられた形状(以下、この形状を「長円」と称する場合がある。)である。なお、基部30の中心線方向に見た場合の形状は、本実施形態の様な長円に限らず半径方向よりも巻き方向の寸法が大きければ良い。例えば楕円や角を丸めた長方形、および三角形でも良い。
【0023】
例えば、基端部31は、図6に示すように、正円を2つに割った半円31cの間に、正円の直径(半円31cの半径31rの2倍の大きさ)と同じ大きさの幅の四角31sが設けられた形状である。
【0024】
先端部32は、図7に示すように、正円を2つに割った半円32cの間に、正円の直径(半円32cの半径32rの2倍の大きさ)と同じ大きさの幅の四角32sが設けられた形状である。
【0025】
中間部33は、図8に示すように、正円を2つに割った半円33cの間に、正円の直径(半円33cの半径33rの2倍の大きさ)と同じ大きさの幅の四角33sが設けられた形状である。
【0026】
そして、図9に示すように、中間部33の半円33cの半径33rは、基端部31側から先端部32側に行くに従って徐々に小さくなっている。また、先端部32の半円32cの半径32rは、中間部33から離れるに従って徐々に小さくなっている。
また、半径32rの変化量は、半径33rの変化量よりも大きい。言い換えれば、先端部32の外周面が中心線方向となす角θ32は、中間部33の外周面が中心線方向となす角θ33よりも大きい。
【0027】
(((凸部40)))
凸部40は、図9及び図10に示すように、基端部31の外周面から外側に突出した部位である。
また、凸部40は、図5に示すように、基端部31の外周面の周方向に4つ設けられている。より具体的には、凸部40は、2つの半円31cの外周面それぞれに1つずつ、四角31sにおける長手方向の2つの外周面それぞれに1つずつ設けられている。
【0028】
凸部40は、基端部31における第1側の部位に設けられている。凸部40の外周面は、中間部33の外周面と連続するように設けられており、中心線方向に対して傾斜している。凸部40の外周面における基端部31からの突出量Mの変化量は、中間部33の半円33cの半径33rの変化量と同一であり、凸部40の外周面が中心線方向となす角θ40は、中間部33の外周面が中心線方向となす角θ33と同一である。
【0029】
それゆえ、図10に示すように、凸部40における第2側の端部の外周部が、基端部31から対向面12に平行な方向に最も突出した、凸部40の外縁41となる。
図4に示す、巻き方向に対向する2つの凸部40の外縁41間の対向面12に平行な方向の大きさL1は、貫通孔134の大きさH1(図3参照)よりも大きい。
図9に示す、半径方向に対向する2つの凸部40の外縁41間の対向面12に平行な方向の大きさL2は、貫通孔134孔の大きさH2(図3参照)よりも大きい。
【0030】
凸部40は、外縁41と基端部31との間に、対向面12から離れる側に凹んだ凹部42を有する。凹部42は、外縁41から対向面12に対して傾斜する傾斜面43と、傾斜面43と基端部31の外周面とを接続する曲面44とを有する。曲面44により、外縁41が基端部31側に近づくように弾性変形し易くなっている。
【0031】
図11は、突出部20がばね支持部材130の貫通孔134に挿入された状態の一例を示す図である。
以上のように構成された弾性支持部材1は、コイルばね120の端部を保持した状態で、突出部20が、ばね支持部材130の貫通孔134に挿入される。より具体的には、突出部20の先端部32側から貫通孔134に差し込まれていく。その後、巻き方向に対向する2つの凸部40、及び、半径方向に対向する2つの凸部40が、貫通孔134の縁に接触する。その後、さらに第1側に差し込まれると、凸部40の外縁41が基端部31側に弾性変形して、凸部40が貫通孔134内を通ってばね支持部材130よりも第1側に移動する。そして、図11に示すように、突出部20の基端部31における凸部40よりも第2側の部位が貫通孔134内に嵌り込む。これにより、突出部20の基端部31における凸部40よりも第2側の部位が貫通孔134内に嵌め込まれた状態で、凸部40がばね支持部材130の裏面133よりも第1側に位置する。
【0032】
凸部40が貫通孔134内を通る際には、外縁41と基端部31との間に凹部42があることから、外縁41が基端部31側に弾性変形し易くなる。その結果、弾性支持部材1をばね支持部材130に装着するにあたって、突出部20を貫通孔134に挿入する際の挿入荷重が、凸部40が凹部42を有していない構成よりも小さくなる。
【0033】
また、凸部40は、基部30の周囲の全てに設けられているのではなく、基部30の周囲の一部に設けられている。それゆえ、弾性支持部材1によれば、例えば基部30の全周に基部30から外側に突出した部位が設けられている構成と比べて、挿入荷重が小さくなる。
【0034】
図12は、突出部20がばね支持部材130の貫通孔134から抜ける前の状態の一例を示す図である。
突出部20が貫通孔134から抜けようとする際には、凸部40が、ばね支持部材130の裏面133における貫通孔134の周囲の部位に張り付くので、抜け難い。つまり、外縁41がばね支持部材130の裏面133に接触した後に基端部31側から離れる方向に移動して凹部42が第2側に移動するように変形することで、傾斜面43や曲面44がばね支持部材130の裏面133に接触する面積が増加する。その結果、凸部40が凹部42を有していない構成よりも、突出部20が貫通孔134から抜けるための抜け荷重が大きくなる。
【0035】
また、4つの凸部40の内の、2つの半円31cの外周面それぞれに設けられた一の組の凸部40は、基部30に対して反対側に設けられている。言い換えれば、一の組の凸部40は、互いに基部30を挟んで対向する位置に設けられる。また、4つの凸部40の内の、四角31sにおける長手方向の2つの外周面それぞれに設けられた他の組の凸部40は、基部30に対して反対側に設けられている。言い換えれば、他の組の凸部40は、互いに基部30を挟んで対向する位置に設けられる。それゆえ、突出部20が貫通孔134から抜けようとする際に、確度高く、凸部40が、ばね支持部材130の裏面133に張り付き易くなる。その結果、弾性支持部材1によれば、確度高く抜け荷重が大きくなる。
【0036】
以上、説明したように、弾性支持部材1は、ばね支持部材130と対向する対向面12から突出して、ばね支持部材130に形成された貫通孔134に挿入される突出部20を有する。そして、突出部20は、対向面12に平行な方向の大きさが貫通孔134における対向面12に平行な方向の大きさよりも小さく貫通孔134に嵌め込まれる基部30を有する。また、突出部20は、基部30における外周部から外側に突出するとともに、基部30が貫通孔134に嵌め込まれた状態で、ばね支持部材130に対して対向面12とは反対側に位置する凸部40を有する。そして、凸部40は、基部30との間に、対向面12から離れる側に凹んだ凹部42を有する。
【0037】
上述したように、以上のように構成された弾性支持部材1によれば、凸部40が貫通孔134内を通る際に、凸部40が基部30側に弾性変形し易くなり、突出部20を貫通孔134に挿入する際の挿入荷重が小さくなる。また、突出部20が貫通孔134から抜けようとする際に、凸部40がばね支持部材130に張り付き易くなり、抜け荷重が大きくなる。
【0038】
ここで、凸部40は、基部30の周囲に複数設けられている。それゆえ、凸部40と貫通孔134の縁とが接触する面積が、例えば凸部40が基部30の全周に亘って形成されている構成と比較して小さくなる。その結果、弾性支持部材1によれば、突出部20を貫通孔134に挿入する際の挿入荷重が小さくなる。
【0039】
また、弾性支持部材1においては、複数の凸部40の内の2つの凸部40は、基部30に対して反対側、つまり、互いに基部30を挟んで対向する位置に設けられ、2つの凸部40の外縁41間の対向面12に平行な方向の大きさは、貫通孔134における対向面12に平行な方向の大きさよりも大きい。これにより、突出部20が貫通孔134から抜けようとする際に、凸部40が、ばね支持部材130の裏面133に確度高く張り付き易くなり、抜け荷重が大きくなる。
【0040】
また、基部30における対向面12と平行な断面形状は、正円を2つに割った半円30cの間に正円と同じ直径の幅の四角30sが設けられた長円である。これにより、例えば基部30及び貫通孔134が正円である場合と比較して、突出部20及び貫通孔134を大きくすることができる。
また、先述の通り、長円に限らず半径方向よりも巻き方向の寸法が大きければ良い。
また、基部30における凸部40よりも対向面12から離れる部位の一例としての先端部32や中間部33の、貫通孔134の深さ方向の大きさ、言い換えれば中心線方向の大きさは、貫通孔134自身の深さ方向の大きさよりも大きい。
【0041】
それゆえ、弾性支持部材1をばね支持部材130に対して組み付けるにあたって、弾性支持部材1の突出部20の先端部32や中間部33を貫通孔134に挿入したときに、先端部32がばね支持部材130の裏面133から第1側に突出する量が大きくなり、この裏面133から第1側に突出した部分を手感やセンサなどで確認することで、弾性支持部材1がばね支持部材130に対して正しい位置にセットされているかの確認が容易となる。その結果、弾性支持部材1をばね支持部材130に対して組み付ける際に、弾性支持部材1とばね支持部材130との位置決めを行い易くなる。なお、基部30及び貫通孔134の形状は、短軸が半径方向となる楕円であっても良い。
【0042】
なお、弾性支持部材1の対向面12は、弾性支持部材1がコイルばね120やばね支持部材130に組み付けられる前の状態では、半径方向の中央部が第2側に凹んでいて、弾性支持部材1がコイルばね120やばね支持部材130に組み付けられた状態でばね支持部材130の載せ面132に接触して載せ面132に平行な面となっても良い。すなわち、対向面12に平行な方向とは、言い換えれば、載せ面132に平行な方向である。
【符号の説明】
【0043】
1…弾性支持部材、10…着座部、11…支持面、12…対向面、20…突出部、30…基部、30c…半円、30s…四角、31…基端部、32…先端部、33…中間部、40…凸部、41…外縁、42…凹部、120…コイルばね、121…線材、130…ばね支持部材
図1
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図12