(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026248
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20250214BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F27/29 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213975
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2023131422
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】神戸 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】中本 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】苅森 盛治
(72)【発明者】
【氏名】石田 将之
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB08
5E070BA03
5E070CA15
(57)【要約】
【課題】交差箇所における、絶縁被膜の溶融を抑制する。
【解決手段】コイル部品10は、巻芯部11及び第1鍔部21、第2鍔部22を有するドラムコア10C、第1外部電極31、第2外部電極32、第3外部電極33、第4外部電極34、第1ワイヤ41、及び第2ワイヤ42を備えている。第1ワイヤ41を第1線端41Aから第2線端41Bへと辿っていったときに最後に巻芯部11の外周面と接触する箇所を含むターンをNターン目とする。第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったときに最後に巻芯部11の外周面と接触する箇所を含むターンをMターン目とする。このとき、第2ワイヤ42のMターン目と、第1ワイヤ41のNターン目とは、互いに交差する交差箇所を有していない。第2ワイヤ42の(M-1)ターン目と、第1ワイヤ41の(N-1)ターン目とは、互いに交差する第1交差箇所51を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、
前記第1鍔部の表面に位置する第1外部電極及び第2外部電極と、
前記第2鍔部の表面に位置する第3外部電極及び第4外部電極と、
前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第1外部電極に接続し、第2線端が前記第3外部電極に接続する第1ワイヤと、
前記第1ワイヤと同一方向に前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第2外部電極に接続し、第2線端が前記第4外部電極に接続する第2ワイヤと、
を備え、
N及びMを2以上の整数とし、
前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第1ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとし、前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最後に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を含むターンをNターン目とし、
前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに前記中心軸を中心とする角度位置が前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所の角度位置に最初に一致する箇所を前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第2ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとし、前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最後に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を含むターンをMターン目としたとき、
前記第2ワイヤのMターン目と前記第1ワイヤのNターン目とは、互いに交差する交差箇所を有しておらず、
前記第2ワイヤの(M-1)ターン目と、前記第1ワイヤの(N-1)ターン目とは、互いに交差する第1交差箇所を有している
コイル部品。
【請求項2】
前記第2ワイヤは、
複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される外周巻回部を備え、
前記外周巻回部は、前記第1交差箇所に対して前記第1線端側において、前記第1ワイヤの同一の層に至ることなく前記第1ワイヤを跨ぐ第1横断箇所を有している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、前記第1交差箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向と、前記第1横断箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向とが反対方向である
請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2ワイヤは、
複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される第1外周巻回部と、
前記第1外周巻回部に対して前記第2線端側に位置し、複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される第2外周巻回部と、
前記中心軸に沿う方向において前記第1外周巻回部と前記第2外周巻回部との間に位置し、少なくとも一部が前記巻芯部の外周面に巻回されており、且つ前記第2ワイヤにおいて前記第1ワイヤの外周側に連続して巻回されている範囲が1.0ターン未満である内周巻回部と、
を有しており、
前記内周巻回部は、前記第1ワイヤに対して交差する第2交差箇所を有している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、前記第1交差箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向と、前記第2交差箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向とが同じ方向である
請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第2交差箇所は、前記第1交差箇所を通り、前記中心軸に平行な仮想線上に位置していない
請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記中心軸に直交する特定の方向を正方向としたとき、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記中心軸に対して前記第1鍔部の前記正方向側の表面に位置しており、
前記第3外部電極及び前記第4外部電極は、前記中心軸に対して前記第2鍔部の前記正方向側の表面に位置しており、
前記第1交差箇所は、前記中心軸に対して前記巻芯部の前記正方向側の外周面上に位置している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記正方向側から前記第1交差箇所を視たときに前記巻芯部を前記中心軸及び前記特定の方向の双方に直交する方向で3つの領域に等分したとき、前記第1交差箇所は、中央の前記領域に位置している
請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第2ワイヤは、複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される外周巻回部を備え、
前記外周巻回部は、1ターン以上に亘って連続して前記第2ワイヤが2層以上に亘って巻回される多層部分を有する
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記外周巻回部は、前記第1交差箇所に対して前記第1線端側且つ前記多層部分に対して前記第2線端側において、前記第1ワイヤの同一の層に至ることなく前記第1ワイヤを跨ぐ第1横断箇所を有している
請求項9に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコイル部品は、コアと、4つの外部電極と、第1ワイヤと、第2ワイヤと、を備えている。コアは、巻芯部と、第1鍔部と、第2鍔部と、を備えている。巻芯部は四角柱状である。第1鍔部は、巻芯部の第1端に接続している。第2鍔部は、巻芯部の第2端に接続している。4つの外部電極のうちの2つは、第1鍔部の表面に位置している。残りの2つの外部電極は、第2鍔部の表面に位置している。
【0003】
第1ワイヤは、巻芯部に巻回されている。第1ワイヤの第1端は、第1鍔部上の外部電極に接続している。第1ワイヤの第2端は、第2鍔部側上の外部電極に接続している。第2ワイヤは、巻芯部に巻回されている。第2ワイヤの第1端は、第1鍔部上の外部電極に接続している。第2ワイヤの第2端は、第2鍔部上の外部電極に接続している。第2ワイヤは、第1ワイヤと同一方向に巻回されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているようなコイル部品において、各ワイヤが、第2端の近傍で交差していることがある。各ワイヤが第2端の近傍で交差していると、外部電極からの熱がワイヤの交差箇所に伝わって、当該交差箇所に熱が集中しやすい。そのため、各ワイヤが第2端の近傍で交差していると、ワイヤの交差箇所における絶縁被膜の溶融などを招きやすい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記第1鍔部の表面に位置する第1外部電極及び第2外部電極と、前記第2鍔部の表面に位置する第3外部電極及び第4外部電極と、前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第1外部電極に接続し、第2線端が前記第3外部電極に接続する第1ワイヤと、前記第1ワイヤと同一方向に前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第2外部電極に接続し、第2線端が前記第4外部電極に接続する第2ワイヤと、を備え、N及びMを2以上の整数とし、前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第1ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとし、前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最後に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を含むターンをNターン目とし、前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに前記中心軸を中心とする角度位置が前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所の角度位置に最初に一致する箇所を前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第2ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとし、前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最後に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を含むターンをMターン目としたとき、前記第2ワイヤのMターン目と前記第1ワイヤのNターン目とは、互いに交差する交差箇所を有しておらず、前記第2ワイヤの(M-1)ターン目と、前記第1ワイヤの(N-1)ターン目とは、互いに交差する第1交差箇所を有しているコイル部品である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、第1交差箇所における、絶縁被膜の溶融を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図3は、第3負方向を向いてコイル部品を視たときの、ワイヤの巻回の様態を説明する図である。
【
図4】
図4は、第2正方向を向いてコイル部品を視たときの、ワイヤの巻回の様態を説明する図である。
【
図5】
図5は、第2正方向を向いて変更例のコイル部品を視たときの、ワイヤの巻回の様態を説明する図である。
【
図7】
図7は、第3負方向を向いてコイル部品を視たときの、ワイヤの巻回の様態を説明する図である。
【
図8】
図8は、第2正方向を向いてコイル部品を視たときの、ワイヤの巻回の様態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、コイル部品の第1実施形態及び第2実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0010】
<第1実施形態のコイル部品について>
(全体構成について)
図1に示すように、コイル部品10は、ドラムコア10Cと、天板10Fと、を備えている。
【0011】
ドラムコア10Cは、巻芯部11、第1鍔部21、第2鍔部22を有している。
巻芯部11は、四角柱状である。巻芯部11の中心軸11Cに直交する断面は長方形状である。なお、ここでいう「長方形状」は、4つの辺を有していて全体として長方形状であればよく、長方形の角が面取りされた形状も含む。巻芯部11の材質は、第1実施形態では、Ni-Zn系フェライトである。また、巻芯部11の材質は、例えば、アルミナ、Ni-Zn系フェライト、合成樹脂、及びこれらの混合物等とすることができる。
【0012】
ここで、巻芯部11の中心軸11Cに平行な特定の軸を第1軸Xとする。第1軸Xに直交する軸を第2軸Yとする。第1実施形態では、第2軸Yは、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の4つの辺のうち2つと平行である。また、第1軸X及び第2軸Yの双方に直交する軸を第3軸Zとする。第1実施形態では、第3軸Zは、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の4つの辺のうちの残りの2つと平行である。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの一方を第1正方向X1とし、第1正方向X1とは反対方向を第1負方向X2とする。同様に、第2軸Yに沿う方向のうちの一方を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1とは反対方向を第2負方向Y2とする。また、第3軸Zに沿う方向のうちの一方を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1とは反対方向を第3負方向Z2とする。なお、第1実施形態において、中心軸11Cに直交する特定の方向は、第3正方向Z1と一致する。
【0013】
図1に示すように、第1鍔部21は、巻芯部11の第1正方向X1の端である第1端に接続している。第1鍔部21は、巻芯部11との一体成形物である。したがって、第1鍔部21の材質は、巻芯部11と同じNi-Zn系フェライトである。
【0014】
第1鍔部21は、第2軸Yに沿う方向及び第3軸Zに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。また、第1鍔部21のうち、第2軸Yに沿う方向の中央の部分21Aは、第2軸Yに沿う方向の両端に対して第3正方向Z1に突出している。換言すると、第1鍔部21のうちの第2正方向Y1の端部と、第2負方向Y2の端部は、第2軸Yに沿う方向の中央の部分21Aに対して第3負方向Z2に窪んでいる。
【0015】
第2鍔部22は、巻芯部11の第1負方向X2側の端である第2端に接続している。第2鍔部22は、巻芯部11との一体成形物である。したがって、第2鍔部22の材質は、巻芯部11と同じNi-Zn系フェライトである。
【0016】
第2鍔部22は、第2軸Yに沿う方向及び第3軸Zに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。また、第2鍔部22のうち、第2軸Yに沿う方向の中央の部分22Aは、第2軸Yに沿う方向の両端に対して第3正方向Z1に突出している。換言すると、第2鍔部22のうちの第2正方向Y1の端部と、第2負方向Y2の端部は、第2軸Yに沿う方向の中央の部分22Aに対して第3負方向Z2に窪んでいる。
【0017】
天板10Fは、長方形の板状である。天板10Fは、第3軸Zの寸法が、第1軸Xに沿う方向の寸法及び第2軸Yに沿う方向の寸法に比して小さくなっている。天板10Fの長辺は、第1軸Xと平行である。天板10Fの短辺は、第2軸Yと平行である。天板10Fは、ドラムコア10Cに対して第3負方向Z2側に位置する。天板10Fは、第1鍔部21における第3負方向Z2を向く面、及び第2鍔部22における第3負方向Z2を向く面の双方に接続している。つまり、天板10Fは、第1鍔部21及び第2鍔部22の間に架け渡されている。天板10Fの材質は、ドラムコア10Cと同じNi-Zn系フェライトである。なお、
図3~
図5では、天板10Fの図示を省略している。
【0018】
コイル部品10は、4つの外部電極30を備えている。4つの外部電極30は、第1外部電極31、第2外部電極32、第3外部電極33、及び第4外部電極34である。
第1外部電極31は、第1鍔部21に取り付けられている。第1外部電極31は、第1鍔部21における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2正方向Y1側の表面に位置している。また、第1外部電極31の大部分は、巻芯部11に対して第3正方向Z1側に位置している。
【0019】
第1外部電極31は、接着部BPと、連結部CPと、接合部JPと、を有している。なお、接着部BP、連結部CP、接合部JPは、一体成形物である。すなわち、第1外部電極31の内部においてこれらの部材の間に明確な境界はない。
【0020】
接着部BPは、略板状である。接着部BPを第2軸Yに沿う方向から視たとき、接着部BPは、略L字状である。すなわち、接着部BPは、第1軸Xに直交する面と、第3軸Zに直交する面と、を有している。接着部BPのうちの第1軸Xに直交する面の一部は、第1鍔部21の第1正方向X1側の面に接着されている。
【0021】
連結部CPは、略板状である。連結部CPは、接着部BPにおける第2正方向Y1側の端面に接続している。連結部CPは、第3負方向Z2に向かうにつれて第2正方向Y1に向かって延びている。そして、第1軸Xに沿う方向から視たとき、接着部BPは、略L字状である。したがって、連結部CPは、第2軸Yに直交する面と、第3軸Zに直交する面と、を有している。
【0022】
接合部JPは、略板状である。接合部JPは、連結部CPの第2正方向Y1側の端面に接続している。接合部JPは、第1鍔部21の第3正方向Z1を向く面上に位置している。すなわち、接合部JPは、中心軸11Cに対して第1鍔部21の第3正方向Z1側の表面に位置している。接合部JPの第3正方向Z1側を向く面に、後述のワイヤの線端が接続される。このように、ワイヤの線端が接続される接合部JPが、中心軸11Cに対して第1鍔部21の第3正方向Z1側の表面に位置していれば、第1外部電極31は、中心軸11Cに対して第1鍔部21の第3正方向Z1側の表面に位置しているといえる。
【0023】
第2外部電極32は、第1鍔部21に取り付けられている。第2外部電極32は、第1鍔部21における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2負方向Y2側の表面に位置している。第2外部電極32の大部分は、巻芯部11に対して第3正方向Z1側に位置している。第2外部電極32は、第1外部電極31に対して対称形状である。具体的には、第2外部電極32と、第1外部電極31とは、中心軸11Cを通り、第2軸Yに直交する仮想平面について面対称である。したがって、第2外部電極32は、中心軸11Cに対して第1鍔部21の第3正方向Z1側の表面に位置している。
【0024】
第3外部電極33は、第2鍔部22に取り付けられている。第3外部電極33は、第2鍔部22における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2正方向Y1側の表面に位置している。第3外部電極33の大部分は、巻芯部11に対して第3正方向Z1側に位置している。第3外部電極33は、第1外部電極31に対して対称形状である。具体的には、第3外部電極33と、第1外部電極31とは、中心軸11Cに直交し、巻芯部11の幾何中心を通る仮想平面について面対称である。したがって、第3外部電極33は、中心軸11Cに対して第2鍔部22の第3正方向Z1側の表面に位置している。
【0025】
第4外部電極34は、第2鍔部22に取り付けられている。第4外部電極34は、第2鍔部22における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2負方向Y2側の表面に位置している。第4外部電極34の大部分は、巻芯部11に対して第3正方向Z1側に位置している。第4外部電極34は、第3外部電極33に対して対称形状である。具体的には、第4外部電極34と、第3外部電極33とは、中心軸11Cを通り、第2軸Yに直交する仮想平面について面対称である。したがって、第4外部電極34は、中心軸11Cに対して第2鍔部22の第3正方向Z1側の表面に位置している。
【0026】
第1実施形態において、コイル部品10の第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、3.2mmである。また、コイル部品10の第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、2.5mmである。また、コイル部品10の第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、2.3mmである。
【0027】
(第1ワイヤ及び第2ワイヤについて)
図1に示すように、コイル部品10は、第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42を備えている。第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42は、巻芯部11に巻回されている。図示は省略するが、第1ワイヤ41は、導線と、絶縁被膜と、を有している。絶縁被膜は、導線の外面を覆っている。第1ワイヤ41は、当該第1ワイヤ41が延びる方向に直交する断面で、略円形状である。
【0028】
第2ワイヤ42は、第1ワイヤ41と同じ構成である。すなわち、第2ワイヤ42は、導線と、絶縁被膜と、を有している。なお、
図3~
図5において、第1ワイヤ41にドットで色を付している。
【0029】
図2に示すように、第1ワイヤ41の第1線端41Aは、第1外部電極31に接続している。第1ワイヤ41の第2線端41Bは、第3外部電極33に接続している。第1線端41A及び第2線端41Bは、対応する外部電極30の接合部JPに対して熱圧着で接続されている。なお、熱圧着とは、外部電極30と加熱した治具との間にワイヤを挟み込んで、ワイヤを溶融させつつ外部電極30に固定する方法である。
【0030】
ここで、第1ワイヤ41を第1線端41Aから第2線端41Bへと辿っていったときに、最初に巻芯部11の外周面と接触する箇所を第1ワイヤ41の1.0ターンの箇所とする。第1実施形態では、第1ワイヤ41の1.0ターンの箇所は、巻芯部11の第2負方向Y2側、且つ第3正方向Z1側の稜線上に位置する。
【0031】
図3及び
図4に示すように、第1ワイヤ41の第1線端41Aから第2線端41Bに向かって中心軸11Cを中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとする。第1ワイヤ41は、第1負方向X2を向いて視たとき、ターン数が増加するにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。したがって、例えば、第1負方向X2を向いて視たとき、第1ワイヤ41の1.0ターンの箇所から中心軸11Cを中心として36度進行した箇所は、第1ワイヤ41の1.1ターンの箇所である。なお、
図3においては、巻芯部11の第3正方向Z1側の稜線位置での各ワイヤのターン数を模式的に図示している。また、
図4においては、第2正方向Y1を向いて視たときに、巻芯部11の中心軸11C上に位置する各ワイヤのターン数を模式的に図示している。
【0032】
図3に示すように、第1ワイヤ41は、全周において第2ワイヤ42を介することなく巻芯部11に直接巻回されている。ここで、直接巻回されるとは、巻芯部11の外周面に接触している状態だけでなく、ワイヤが浮いた状態であっても巻芯部11との間に他のワイヤを介さずに巻回されている状態も含む。
【0033】
また、第1ワイヤ41の1ターン目とは、第1ワイヤ41の1.0ターンの箇所から2.0ターンの箇所の直前までの区間を示す。この点、第2ワイヤ42も同様である。なお、
図3及び
図4において、各ワイヤの1.0ターンよりも第1線端側に位置する部分を、0ターンとして図示している。
【0034】
図2に示すように、第2ワイヤ42の第1線端42Aは、第2外部電極32に接続している。第2ワイヤ42の第2線端42Bは、第4外部電極34に接続している。第1線端42A及び第2線端42Bは、対応する外部電極30の接合部JPに熱圧着で接続している。
【0035】
ここで、第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿って行ったときに、中心軸11Cを中心とする角度位置が第1ワイヤ41の1.0ターンの箇所の角度位置に最初に一致する箇所を、第2ワイヤ42の1.0ターンの箇所とする。すなわち、第1実施形態では、第2ワイヤ42の1.0ターンの箇所は、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側の稜線と中心軸11Cとを結ぶ直線上に位置する。第1実施形態では、第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったときに、第2ワイヤ42の1.0ターンの箇所は、第1ワイヤ41の外周面のうち、中心軸11Cを向く面とは反対側の外周面に接触している。なお、第2ワイヤ42の1.0ターンの箇所は、巻芯部11の外周面と接触していてもよい。
【0036】
図3及び
図4に示すように、第2ワイヤ42の第1線端42Aから第2線端42Bに向かって中心軸11Cを中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとする。第2ワイヤ42は、第1負方向X2を向いて視たとき、ターン数が増加するにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。すなわち、第2ワイヤ42は、第1ワイヤ41と同一方向に巻回されている。そして、第2ワイヤ42の一部は、第1ワイヤ41に対して外側から巻芯部11に巻回されている。換言すると、第2ワイヤ42の一部は、第1ワイヤ41の外周面のうち、中心軸11Cを向く面とは反対側の外周面に接触している。
【0037】
(第1ワイヤ及び第2ワイヤの交差について)
以下、N及びMを2以上の整数として説明する。第1ワイヤ41を第1線端41Aから第2線端41Bへと辿っていったときに最後に巻芯部11の外周面と接触する箇所を含むターンをNターン目とする。また、第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったときに最後に巻芯部11の外周面と接触する箇所を含むターンをMターン目とする。
【0038】
このとき、第2ワイヤ42のMターン目と、第1ワイヤ41のNターン目とは、互いに交差する交差箇所を有していない。一方で、第2ワイヤ42の(M-1)ターン目と第1ワイヤ41の(N-1)ターン目とは、互いに交差する第1交差箇所51を有している。ここでいう「交差する」とは、一方のワイヤを第1線端から第2線端へと辿っていったときに、他方のワイヤと同層にある一方のワイヤが、一旦、他方のワイヤの外周側に乗り上げて、再び他方のワイヤと同層に至ることをいう。具体的には、第2ワイヤ42の(M-1)ターン目は、第1ワイヤ41の(N-1)ターン目に対して交差する第1交差箇所51を有している。第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったときに、第1交差箇所51では、中心軸11Cに沿う方向において、第2ワイヤ42は、第1負方向X2側から第1正方向X1側に第1ワイヤ41を跨いでいる。なお、この実施形態では、
図2に示すように、巻芯部11の中心軸11Cに直交する方向を向いて視たときに、第2ワイヤ42の中心線が、第1ワイヤ41の中心線に対して横切る箇所を「交差箇所」とする。なお、ここでは、「第2ワイヤ42の中心線が、第1ワイヤ41の中心線に対して横切る」と説明したが、これは「第1ワイヤ41の中心線が、第2ワイヤ42の中心線に対して横切る」ことと同義である。
【0039】
図3及び
図4に示すように、第1実施形態において、Nは、30である。Mは、30である。すなわち、第2ワイヤ42の30ターン目は、第1ワイヤ41の30ターン目に対して交差していない。そして、第2ワイヤ42の29ターン目は、第1ワイヤ41の29ターン目に対して交差している。また、第2ワイヤ42の29.0ターンの箇所は、第1ワイヤ41を介することなく巻芯部11の外周面に接触している。そのため、第1交差箇所51は、第2ワイヤ42が巻芯部11の外周に巻回されるターンの途中において、第1ワイヤ41に乗り上げて第1ワイヤ41と交差している。
【0040】
第2ワイヤ42は、第1外周巻回部61と、第2外周巻回部62と、内周巻回部63と、を有している。
第1外周巻回部61は、複数のターンに亘って第1ワイヤ41に対して外周側に巻回されている部分である。第1外周巻回部61は、第1交差箇所51に対して第2ワイヤ42の第1線端42A側に位置している。具体的には、第1外周巻回部61は、第2ワイヤ42の1ターン目から13ターン目までの区間である。
【0041】
第2外周巻回部62は、第1外周巻回部61に対して第2ワイヤ42の第2線端42B側に位置し、且つ第1交差箇所51に対して第2ワイヤ42の第1線端42A側に位置している。第2外周巻回部62は、複数のターンに亘って第1ワイヤ41に対して外周側に巻回されている部分である。具体的には、第2外周巻回部62は、第2ワイヤ42の17ターン目から27ターン目までの区間である。
【0042】
第2外周巻回部62は、第1交差箇所51に対して第1線端42A側において第1ワイヤ41を横断する第1横断箇所52を有している。ここでいう「横断する」とは、一方のワイヤが、他方のワイヤと同一の層に至ることなく当該他方のワイヤ跨ぐことをいう。すなわち、第2外周巻回部62は、第1ワイヤ41の同一の層に至ることなく第1ワイヤ41を跨ぐ第1横断箇所52を有している。このように第1横断箇所52が存在することから、第2外周巻回部62は、1ターンの範囲内で、第1ワイヤ41のXターン目に接触する箇所、X+1ターン目に接触する箇所、X+2ターン目に接触する箇所を有している(Xは正の整数)。
図3に示すように、第1実施形態では、第2ワイヤ42の23.0ターンの箇所では、第2ワイヤ42は、第1ワイヤ41の21ターン目及び22ターン目の間に位置している。一方で、第2ワイヤ42の24.0ターンの箇所では、第2ワイヤ42は、第1ワイヤ41の24ターン目及び25ターン目の間に位置している。すなわち、上層の第2ワイヤ42の23ターン目は、第1ワイヤ41の22ターン目、23ターン目、及び24ターン目のそれぞれに対する接触箇所を有している。ここで、隣り合う2ターンのワイヤの間により構成される溝を、ワイヤの谷とする。このとき、第2ワイヤ42の23ターン目は、中心軸11Cに沿う方向において、第1ワイヤ41の谷を2つ分に亘っている。
【0043】
第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったときに、第1横断箇所52では、第2ワイヤ42は、第1正方向X1側から第1負方向X2側に第1ワイヤ41を跨いでいる。すなわち、第1交差箇所51で、中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向と、第1横断箇所52で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向とが反対である。なお、ここでは、上層側のワイヤが、より下層側のワイヤを跨いでいる場合に、「上層側のワイヤが下層側のワイヤを跨いでいる」と表現している。したがって、例えば、「第2ワイヤ42は、第1ワイヤ41を跨いでいる」とは、上層の第2ワイヤ42が、より下層に巻回されている第1ワイヤ41に対して交差する場合をいう。
【0044】
内周巻回部63は、中心軸11Cに沿う方向において第1外周巻回部61と第2外周巻回部62との間に位置している。また、内周巻回部63は、第2ワイヤ42において少なくとも一部が巻芯部11の外周面に連続して巻回されており、第1ワイヤ41の外周側に連続して巻回されている範囲が1.0ターン未満の巻回部である。具体的には、内周巻回部63は、第2ワイヤ42の14ターン目から16ターン目までの区間である。
【0045】
内周巻回部63は、第1ワイヤ41に対して交差する第2交差箇所53を有している。すなわち、第2ワイヤ42は、第1交差箇所51に対して第1線端42A側において第1ワイヤ41に対して交差する第2交差箇所53を有している。第2交差箇所53は、第2ワイヤ42の15ターン目が、第1ワイヤ41の15ターン目に交差する箇所である。第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったときに、第2交差箇所53では、第2ワイヤ42は、第1負方向X2側から第1正方向X1側に第1ワイヤ41を跨いでいる。すなわち、第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったとする。このときに、第1交差箇所51で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向と、第2交差箇所53で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向とが同じ方向である。
【0046】
このように、第2ワイヤ42は、第1交差箇所51、2つの第1横断箇所52、及び第2交差箇所53の4箇所で第1ワイヤ41を跨いでいる。そして、これら4つのうちの2つにおいては、第2ワイヤ42を第1線端42Aから第2線端42Bへと辿っていったときに、第2ワイヤ42は、第1正方向X1側から第1負方向X2側に第1ワイヤ41を跨いでいる。そして、残りの2つでは、第2ワイヤ42は、その反対方向に第1ワイヤ41を跨いでいる。
【0047】
(交差箇所及び横断箇所の位置について)
図1に示すように、第1交差箇所51、第1横断箇所52、及び第2交差箇所53は、中心軸11Cに対して第3正方向Z1側に位置している。具体的には、第1交差箇所51、第1横断箇所52、及び第2交差箇所53は、中心軸11Cに対して巻芯部11の第3正方向Z1側の外周面上に位置している。このように、各箇所は、中心軸11Cを基準としたときに、各外部電極30の接合部JPと同じ側に位置している。
【0048】
図2に示すように、第3正方向Z1側から第1交差箇所51を視たとき、巻芯部11を、中心軸11Cに直交する方向で3つの領域に等分する。すなわち、巻芯部11のうちの第3正方向Z1を向く面を、巻芯部11を第2軸Yに沿う方向に3つの領域に等分する。このとき、第1交差箇所51は、中央の領域Pに位置している。
【0049】
ここで、第1交差箇所51を通り、中心軸11Cに平行な仮想線Lを引いたとする。このとき、第2交差箇所53は、仮想線L上に位置していない。すなわち、第2交差箇所53の第2軸Yに沿う方向における位置は、第1交差箇所51と異なっている。具体的には、第3負方向Z2を向いて視たときに、第2交差箇所53は、第1交差箇所51に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0050】
(モード変換特性について)
第1実施形態のコイル部品10と、比較例のコイル部品と、を対象として、モード変換特性に関する指標として、Ssd12を測定した。比較例のコイル部品の各種寸法は、第1実施形態のコイル部品10と同じである。また、比較例のコイル部品のドラムコアの材質及び天板の材質は、第1実施形態のコイル部品10と同じである。また、比較例のコイル部品の第1ワイヤ及び第2ワイヤの巻き数は、第1実施形態のコイル部品10と同じで、30ターンである。比較例のコイル部品の巻回の様態は、第1交差箇所以外は、第1実施形態のコイル部品10と同じである。比較例のコイル部品において最も第2線端側に位置する交差箇所は、中心軸11Cを基準としたときに、各外部電極30の接合部JPと同じ側ではなく、巻芯部11の第2負方向Y2側の外周面上に位置している。具体的には、比較例のコイル部品における交差箇所は、第1ワイヤ及び第2ワイヤの30ターン目である。それぞれのコイル部品を、20個ずつ作成した。すなわち、各コイル部品においてサンプル数を20とした。
【0051】
測定では、第1実施形態のコイル部品10及び比較例のコイル部品を、それぞれ、Open Alliance準拠の3port基板に実装した。そして、各コイル部品にSOLT校正を行った後に、各コイル部品のSsd12を測定した。そして、各コイル部品から取得される測定結果、すなわち、20個の測定結果の平均値を、測定結果の代表値とした。
【0052】
第1実施形態のコイル部品10では、測定周波数が500kHzのとき、Ssd12は、-82.0dBであった。また、比較例のコイル部品では、測定周波数が500kHzのとき、Ssd12は、-79.6dBであった。すなわち、第1交差箇所51の位置が、第3正方向Z1側、すなわち外部電極30の接合部JPと同じ側に位置している方が、Ssd12の値を抑制できることが分かった。特に、比較例と比較した場合の第1実施形態のコイル部品10におけるSsd12の値を抑制する効果は、周波数が1GHz以下の場合において特に顕著にみられた。
【0053】
(第1実施形態の効果)
(1-1)上記実施形態によれば、第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42は、最終ターン以降では、交差箇所を有していない。換言すると、第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42は、巻芯部11から離れて対応する外部電極30へと引き出されている領域のような第2鍔部22の近傍においては交差していない。その一方で、第1交差箇所51は、第2ワイヤ42の最終ターンの1つ前のターンに位置している。すなわち、第1交差箇所51は、第2ワイヤ42の線上において第2線端42Bから相当に離れている。そのため、第1交差箇所51には、外部電極30からの熱が伝わりにくい。したがって、第1交差箇所51において、熱により第1ワイヤ41の被膜及び第2ワイヤ42の被膜などが溶融することを抑制できる。
【0054】
(1-2)上記実施形態では、内周巻回部63は、第1ワイヤ41に対して交差する第2交差箇所53を有している。さらに、第2ワイヤ42は、第1交差箇所51に対して第1線端42A側において第1ワイヤ41に対して横断する第1横断箇所52を有している。この構成によれば、第2交差箇所53前後と第1横断箇所52前後の、浮遊容量のバランスをととのえることができ、電気的特性が改善される。
【0055】
(1-3)上記実施形態では、第1交差箇所51で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向と、第1横断箇所52で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向とが反対方向である。ワイヤが跨ぐ箇所では、第1ワイヤ41は、第2ワイヤ42に押し付けられて巻回される。そのため、第1ワイヤ41には、第2ワイヤ42が跨ぐ方向の外力が作用する。第1交差箇所51と第1横断箇所52とで、跨ぐ方向が異なることにより、第1ワイヤ41に作用する外力は、打ち消すように作用する。その結果、上記構成によれば、第1ワイヤ41の位置がずれにくく、第2ワイヤ42の巻回が安定する。
【0056】
(1-4)第1交差箇所51で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向と、第2交差箇所53で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向とが同じ方向である。すなわち、第1交差箇所51、第1横断箇所52、及び第2交差箇所53で、跨ぐ方向が交互に変化している。この構成によれば、第2ワイヤ42を巻回する際に、第2ワイヤ42によって第1ワイヤ41に作用する外力の向きが、偏らない。そのため、第1ワイヤ41の位置がずれにくく、第2ワイヤ42の巻回が安定する。
【0057】
(1-5)上記実施形態では、第2交差箇所53は、第1交差箇所51を通り、中心軸11Cに平行な仮想線L上に位置していない。すなわち、第3負方向Z2を向いて視たときに、第1交差箇所51と、第2交差箇所53とで第2軸Yに沿う方向の交差位置が異なる。このような構成によれば、第2軸Yに沿う方向において交差箇所の位置が特定の位置に集中している様態と比較して、第2ワイヤ42の巻きが安定する。
【0058】
(1-6)上記実施形態では、第1交差箇所51は、中心軸11Cに対して第3正方向Z1側に位置している。換言すると、第1交差箇所51は、外部電極30の接合部JPと同じ側に位置している。この構成によれば、インダクタンス、及びキャパシタンス等の電気特性の非対称性が低減しているので、Ssd12の測定結果に示されるように、モード変換特性が改善される。すなわち、この構成によれば、第1交差箇所51が30ターン目において第2負方向Y2側に位置するコイル部品と比較して、Ssd12が改善される。
【0059】
(1-7)上記実施形態では、第3正方向Z1側から第1交差箇所51を視たときに巻芯部11を第2正方向Y1に沿う方向で3つの領域に等分したとき、第1交差箇所51は、中央の領域Pに位置している。第1交差箇所51が、中央の領域Pに位置することにより、第1交差箇所51における巻き乱れが生じにくい。特に最終ターン近傍では、隣接する他のターンによって位置ずれを規制する効果が得られにくい。そのため、上記構成によれば効率的に第1交差箇所51における巻き乱れを抑制できる。
【0060】
<第2実施形態のコイル部品について>
以下、第2実施形態のコイル部品100について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については符号を同一とし、説明を省略又は簡略化する。
【0061】
図6に示すように、第2実施形態のコイル部品100において第2ワイヤ42は、内周巻回部63を有していない点が第1実施形態とは異なる。また、第2実施形態のコイル部品100において、第2ワイヤ42は後述する多層部分TLを備えている点が、第1実施形態とは異なる。
【0062】
その一方で、
図7及び
図8に示すように、第2実施形態において、第2ワイヤ42が第1交差箇所51を有している点は、第1実施形態と同様である。すなわち、第2ワイヤ42のMターン目と第1ワイヤ41のNターン目とは、互いに交差する交差箇所を有していない。且つ、第2ワイヤ42の(M-1)ターン目と第1ワイヤ41の(N-1)ターン目とは、互いに交差する第1交差箇所51を有している。第2実施形態においても、N及びMはいずれも30である。
【0063】
(第2ワイヤについて)
第2実施形態のコイル部品100において、第2ワイヤ42は外周巻回部161を備えている。外周巻回部161は、複数のターンに亘って第1ワイヤ41に対して外周側に巻回されている部分である。外周巻回部161は、第1交差箇所51に対して第2ワイヤ42の第1線端42A側に位置している。具体的には、外周巻回部161は、第2ワイヤ42の1ターン目から27ターン目までの区間である。
【0064】
外周巻回部161は、第1交差箇所51に対して第1線端42A側において第1ワイヤ41を横断する第1横断箇所52を有している。第1横断箇所52が存在することから、第2ワイヤ42の外周巻回部161は、1ターンの範囲内で、第1ワイヤ41のXターン目に接触する箇所、X+1ターン目に接触する箇所、X+2ターン目に接触する箇所を有している(Xは正の整数)。
【0065】
具体的には、
図7に示すように、第2ワイヤ42の23.0ターンの箇所は、第1ワイヤ41の21ターン目と22ターン目との間に位置している。一方で、第2ワイヤ42の24.0ターンの箇所は、第1ワイヤ41の24ターン目と25ターン目の間に位置している。すなわち、上層の第2ワイヤ42の23ターン目は、第1ワイヤ41の22ターン目、23ターン目、及び24ターン目のそれぞれに対する接触箇所を有している。
【0066】
図7及び
図8に示すように、第2ワイヤ42の外周巻回部161は、多層部分TLを有している。多層部分TLは、外周巻回部161のうち、1ターン以上に亘って連続して、第2ワイヤ42が2層以上に亘って巻き回される部分である。多層部分TLは、第1横断箇所52に対して第1線端42A側に位置している。換言すると、第1横断箇所52は、第1交差箇所51に対して第1線端42A側且つ多層部分TLに対して第2線端42B側に位置している。本実施形態において多層部分TLは、第2ワイヤ42の16ターン目の途中から18ターン目の途中までの部分である。したがって、多層部分TLにおいては、第2ワイヤ42は、約2ターンに亘って連続して、2層以上巻き回されている。
【0067】
具体的には、外周巻回部161において第2ワイヤ42は、1.0ターンの箇所から約16.5ターンの箇所まで、第1ワイヤ41の外周側に直接巻回されている。また、第2ワイヤ42は、約18.5ターンの箇所から約28.0ターンの箇所まで、第1ワイヤ41の外周側に直接巻回されている。これに対して、第2ワイヤ42は、約16.5ターンの箇所から約18.5ターンの箇所まで、当該第2ワイヤ42の16ターン目以前の部分の外周側に直接巻回されている。換言すると、第2ワイヤ42は、約16.5ターンの箇所から約18.5ターンの箇所まで、当該第2ワイヤ42の1層目部分の外周側に乗り上げている。なお、「直接巻回されている」とは、第2ワイヤ42が第1ワイヤ41又は第2ワイヤ42の外周面に接触している状態だけでなく、第2ワイヤ42が下層のワイヤに対して浮いている状態を含む。
【0068】
より詳細には、多層部分TLにおいて第2ワイヤ42の約16.5ターンの箇所は、当該第2ワイヤ42の約13.5ターンの箇所と約14.5ターンの箇所との間に位置している。第2ワイヤ42の17.5ターンの箇所は、当該第2ワイヤ42の14.5ターンの箇所と15.5ターンの箇所との間に位置している。すなわち、第2ワイヤ42の16ターン目は、約16.5ターンの箇所から、当該第2ワイヤ42の13ターン目及び14ターン目の外周側に乗り上げている。第2ワイヤ42の17ターン目は、当該第2ワイヤ42の14ターン目及び15ターン目の外周側に乗り上げている。したがって、多層部分TLにおいて第2ワイヤ42は、2層に重なっている。そのため、多層部分TLにおいて、第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42は、合計で3層に重なっている。また、第2ワイヤ42は、多層部分TLにおいて、当該第2ワイヤ42が交差した部分を有する。この第2ワイヤ42同士が交差した部分では、中心軸11Cに直交する方向において3つの第2ワイヤ42が並んでいる。
【0069】
このように、多層部分TLにおける第2ワイヤ42の16ターン目では、第1鍔部21側に向かって約2ターン分巻き戻したような状態になっている。したがって、多層部分TLよりも前のターンでは、第2ワイヤ42のXターン目が、第1ワイヤ41のXターン目と(X+1)ターン目の谷の間に位置している。その一方で、多層部分TLよりも後、且つ第1横断箇所52よりも前のターンでは、第2ワイヤ42のXターン目が、第1ワイヤ41の(X-2)ターン目と(X-1)ターン目の谷の間に位置している。したがって、第2ワイヤ42を第1線端41Aから第2線端42Bへと辿っていったときに、第2ワイヤ42は、多層部分TLにおいて、第1ワイヤ41を第1負方向X2側から第1正方向X2側へと横断している。また、第2ワイヤ42は、多層部分TLの後、2層から1層へと巻き進むときに、第1ワイヤ41を第1正方向X1側から第1負方向X2側へと横断している。
【0070】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態によれば、上記第1実施形態の(1-1)、(1-3)、(1-5)~(1-7)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0071】
(2-1)上記第2実施形態において、第2ワイヤ42の外周巻回部161は、第1ワイヤ41に対して外周側で2層以上に亘って巻回される多層部分TLを有している。そして、この多層部分TLが存在することにより、第1ワイヤ41のXターン目に対して、第2ワイヤ42のXターン目が、第1正方向X1側に位置しているか第1負方向X2側に位置しているかを入れ替えることができる。このように、中心軸11Cに沿う方向での各ワイヤの位置関係を途中で入れ替えることで、ワイヤ間で発生する浮遊容量を調整できる。
【0072】
(2-2)上記第2実施形態において、外周巻回部161は、第1交差箇所51に対して第1線端42A側且つ多層部分TLに対して第2線端42B側において第1横断箇所52を有している。このように、第1横断箇所52を極端に第1鍔部21側又は第2鍔部22側に配置しないことで、インダクタンス、及びキャパシタンス等の電気特性の非対称性が低減される。そのため、モード変換特性を改善できる。
【0073】
<変更例>
上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0074】
(コイル部品に関する変更例について)
・上記実施形態において、コイル部品10の天板10Fを省略可能である。また、コイル部品10の各種寸法は、上記実施形態の例に限定されない。
【0075】
・巻芯部11の形状は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、巻芯部11の形状は、円柱状でもよいし、四角柱状以外の多角柱状でもよい。
・ドラムコア10Cの構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1鍔部21及び第2鍔部22は、第2軸Yに沿う方向の中央部分において第3正方向Z1に突出していなくてもよい。例えば、第1鍔部21及び第2鍔部22は、第2軸Yに沿う方向の中央部分において窪んでいて、二又に分かれたような形状であってもよい。
【0076】
・外部電極30の接合部JPと、各ワイヤの線端との接続方法は、熱圧着に限定されない。例えば、各ワイヤの線端が接合部JPに対してレーザーで接合されていてもよいし、その他の方法で接合されていてもよい。
【0077】
・外部電極30の材料及び形状は、上記実施形態の例に限定されない。外部電極30は、第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42と接続可能であればよい。例えば、外部電極30は、金属層及びめっき層を有しており、当該めっき層に各ワイヤが接続されていてもよい。
【0078】
(ワイヤに関する変更例について)
・上記実施形態において、N及びMの値は、2以上の整数であれば限定されない。例えば、Nの値とMの値とが異なっていてもよい。
【0079】
・第1外周巻回部61のターン数、第2外周巻回部62のターン数、及び内周巻回部63のターン数は、上記実施形態の例に限定されない。
例えば、
図5に示す例では、第2ワイヤ42の1.0ターンの箇所は、第1ワイヤ41を介さずに巻芯部11の外周面に直接巻回されている。具体的には、第2ワイヤ42の1ターン目は、第1ワイヤ41の1ターン目に対して第1負方向X2側に位置している。そして、第2ワイヤ42は、2ターン目から13ターン目までに亘って、第1ワイヤ41に対して外周側に巻回されている。すなわち、第1外周巻回部61は、2ターン目から13ターン目までの区間である。
【0080】
また、
図5に示す例では、第2ワイヤ42は、17ターン目から26ターン目までに亘って、第1ワイヤ41に対して外周側に巻回されている。そして、第2ワイヤ42は、27ターン目の途中で、第1ワイヤ41を介さずに巻芯部11の外周面に直接巻回されている。すなわち、第2外周巻回部62は、17ターン目から26ターン目までの区間である。
【0081】
また、
図5に示す例では、内周巻回部63は、中心軸11Cに沿う方向において第1外周巻回部61と第2外周巻回部62との間に位置している。内周巻回部63は、第2ワイヤ42において第1ワイヤ41の外周側に連続して巻回されている範囲が1.0ターン未満の部分である。具体的には、内周巻回部63は、第2ワイヤ42の14ターン目から16ターン目までの区間である。
【0082】
図5に示す例においては、巻芯部11の外周面上において、第1ワイヤ41の2ターン目以前に、第1ワイヤ41の1ターン目だけでなく第2ワイヤ42の2ターン目も存在している。このように2つのワイヤの1ターン目で、第1ワイヤ41の2ターン目以降の第1正方向X1側への位置ずれを規制できるので、2ターン目以降で第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42の巻き崩れが生じることは抑制できる。
【0083】
・第2ワイヤ42は、第1外周巻回部61及び第2外周巻回部62の他に、複数のターンに亘って第1ワイヤ41に対して外周側に巻回される外周側巻回部を備えていてもよい。また、第2ワイヤ42は、内周巻回部63の他に、第2ワイヤ42の各ターンにおいて第1ワイヤ41の外周側に連続して巻回されている範囲が1.0ターン未満の内周巻回部を備えていてもよい。例えば、上記実施形態において、第2ワイヤ42は、内周巻回部63の第2線端42B側に、第3外周側巻回部と、第2内周巻回部と、第2外周巻回部62と、をこの順で備えていてもよい。
【0084】
・第2ワイヤ42は、第1横断箇所52及び第2交差箇所53を省略可能である。具体的には、第2ワイヤ42は、第1横断箇所52及び第2交差箇所53の双方を省略してもよいし、第1横断箇所52及び第2交差箇所53のいずれかを省略してもよい。例えば、各ワイヤが巻芯部11から引き出されて外部電極30へと至る部分でのワイヤが跨ぐ数、及びワイヤが跨ぐ方向等に応じて、第1横断箇所52及び第2交差箇所53を適宜に採用すればよい。
【0085】
・第1交差箇所51で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向と、第1横断箇所52で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向とが同じ方向でもよい。この跨ぐ方向は、他のワイヤの跨ぎの有無及びそのワイヤの跨ぎ箇所での跨ぐ方向等に応じて適宜に変更できる。
【0086】
・第1交差箇所51で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向と、第2交差箇所53で中心軸11Cに沿う方向において第2ワイヤ42が第1ワイヤ41を跨ぐ方向とが反対方向でもよい。この跨ぐ方向は、他のワイヤの跨ぎの有無及びそのワイヤの跨ぎ箇所での跨ぐ方向等に応じて適宜に変更できる。
【0087】
・第2正方向Y1を向いてコイル部品10を視たときに、第2ワイヤ42の1.0ターン近傍において、第2ワイヤ42は、第1ワイヤ41に対して交差していなくてもよい。第2ワイヤ42が第1ワイヤ41に対する交差の向きが異なる一対の跨ぎ箇所を複数組有していれば、ワイヤのねじれは全体としては解消される。
【0088】
・第1交差箇所51は、中央の領域P以外の箇所に位置していてもよい。また、第1交差箇所51の中心軸11Cに沿う方向の位置、及び第2軸Yに沿う方向の位置、及び第3軸Zに沿う方向の位置は、上記実施形態の例に限定されない。すなわち、第1交差箇所51は、巻芯部11の外周面のうち、第3正方向Z1を向く面以外の外周面上に位置していてもよい。その結果、第1交差箇所51は、各鍔部において外部電極30が位置する方向と異なる方向における巻芯部11の外周面上に位置していてもよい。
【0089】
・第1交差箇所51は、第1ワイヤ41が第2ワイヤ42を外周側から跨いでいてもよい。すなわち、第2ワイヤ42の(M-1)ターン目と、第1ワイヤ41の(N-1)ターン目とは、互いに交差していれば、第1交差箇所51において外周側に位置するワイヤがどちらのワイヤであってもよい。
【0090】
(多層部分に関する変更例について)
・第2実施形態において、多層部分TLの始端となるターン数、及び多層部分TLの終端となるターン数は、上記実施形態の例に限られない。少なくとも1ターン以上に亘って連続して第2ワイヤ42が2層以上巻き回されていればよい。そのため、多層部分TLは1ターンに亘っていてもよいし、3ターン以上に亘っていてもよい。
【0091】
・多層部分TLの位置は、上記実施形態の例に限られない。すなわち、多層部分TLは、第1横断箇所52に対して第2線端42B側に位置していてもよい。換言すると、第1横断箇所52は、多層部分TLに対して第1線端42A側に位置していてもよい。
【0092】
<付記>
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記第1鍔部の表面に位置する第1外部電極及び第2外部電極と、前記第2鍔部の表面に位置する第3外部電極及び第4外部電極と、前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第1外部電極に接続し、第2線端が前記第3外部電極に接続する第1ワイヤと、前記第1ワイヤと同一方向に前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第2外部電極に接続し、第2線端が前記第4外部電極に接続する第2ワイヤと、を備え、N及びMを2以上の整数とし、前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第1ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとし、前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最後に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を含むターンをNターン目とし、前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに前記中心軸を中心とする角度位置が前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所の角度位置に最初に一致する箇所を前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第2ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周する毎にターン数が1ずつ増加するものとし、前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに最後に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を含むターンをMターン目としたとき、前記第2ワイヤのMターン目と前記第1ワイヤのNターン目とは、互いに交差する交差箇所を有しておらず、前記第2ワイヤの(M-1)ターン目と、前記第1ワイヤの(N-1)ターン目とは、互いに交差する第1交差箇所を有しているコイル部品。
【0093】
[2]前記第2ワイヤは、複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される外周巻回部を備え、前記外周巻回部は、前記第1交差箇所に対して前記第1線端側において、前記第1ワイヤの同一の層に至ることなく前記第1ワイヤを跨ぐ第1横断箇所を有している[1]に記載のコイル部品。
【0094】
[3]前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、前記第1交差箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向と、前記第1横断箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向とが反対方向である[2]に記載のコイル部品。
【0095】
[4]前記第2ワイヤは、複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される第1外周巻回部と、前記第1外周巻回部に対して前記第2線端側に位置し、複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される第2外周巻回部と、前記中心軸に沿う方向において前記第1外周巻回部と前記第2外周巻回部との間に位置し、少なくとも一部が前記巻芯部の外周面に巻回されており、且つ前記第2ワイヤにおいて前記第1ワイヤの外周側に連続して巻回されている範囲が1.0ターン未満である内周巻回部と、を有しており、前記内周巻回部は、前記第1ワイヤに対して交差する第2交差箇所を有している[1]~[3]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0096】
[5]前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、前記第1交差箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向と、前記第2交差箇所で前記中心軸に沿う方向において前記第2ワイヤが前記第1ワイヤを跨ぐ方向とが同じ方向である[4]に記載のコイル部品。
【0097】
[6]前記第2交差箇所は、前記第1交差箇所を通り、前記中心軸に平行な仮想線上に位置していない[5]に記載のコイル部品。
[7]前記中心軸に直交する特定の方向を正方向としたとき、前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記中心軸に対して前記第1鍔部の前記正方向側の表面に位置しており、前記第3外部電極及び前記第4外部電極は、前記中心軸に対して前記第2鍔部の前記正方向側の表面に位置しており、前記第1交差箇所は、前記中心軸に対して前記巻芯部の前記正方向側の外周面上に位置している[1]~[6]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0098】
[8]前記正方向側から前記第1交差箇所を視たときに前記巻芯部を前記中心軸及び前記特定の方向の双方に直交する方向で3つの領域に等分したとき、前記第1交差箇所は、中央の前記領域に位置している[7]に記載のコイル部品。
【0099】
[9]前記第2ワイヤは、複数のターンに亘って前記第1ワイヤに対して外周側に巻回される外周巻回部を備え、前記外周巻回部は、1ターン以上に亘って連続して前記第2ワイヤが2層以上に亘って巻回される多層部分を有する[1]~[8]のいずれか一つに記載のコイル部品。
【0100】
[10]前記外周巻回部は、前記第1交差箇所に対して前記第1線端側且つ前記多層部分に対して前記第2線端側において、前記第1ワイヤの同一の層に至ることなく前記第1ワイヤを跨ぐ第1横断箇所を有している[9]に記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0101】
P…領域
10…コイル部品
10C…ドラムコア
11…巻芯部
11C…中心軸
21…第1鍔部
22…第2鍔部
31…第1外部電極
32…第2外部電極
33…第3外部電極
34…第4外部電極
41…第1ワイヤ
42…第2ワイヤ
51…第1交差箇所
52…第1横断箇所
53…第2交差箇所
61…第1外周巻回部
62…第2外周巻回部
63…内周巻回部
100…コイル部品
161…外周巻回部
TL…多層部分