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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002626
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20241226BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20241226BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
G01B7/00 101C
G01B7/00 102C
G06F3/044 126
G06F3/041 422
G06F3/041 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102940
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】足利 亨
(72)【発明者】
【氏名】松岡 大貴
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063AA03
2F063BA28
2F063BA29
2F063BB08
2F063CA04
2F063CA09
2F063DA02
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063HA01
2F063HA04
2F063HA11
2F063LA03
2F063LA19
(57)【要約】
【課題】タッチ位置に拘わらず、正確なタッチ位置を推定できる位置検出装置を提供する。
【解決手段】誘電体層12を挟んで第1電極層11と第2電極層13とが積層された位置検出シートへ10のタッチ位置を検出する位置検出装置1であって、位置検出シート10は、中心軸CLに対して線対称(中心点Cに対して点対称)の形状であり、第1電極層11の検出方向の両端には、シート電極E1とシート電極E2とが中心軸CLに対して線対称(中心点Cに対して点対称)の位置にそれぞれ貼り付けられ、第2電極層13には、コモン線に接続されるシート電極E3とシート電極E4とが中心軸CLに対して線対称(中心点Cに対して点対称)の位置にそれぞれ貼り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を挟んで第1電極層と第2電極層とが積層された位置検出シートへのタッチ位置を検出する位置検出装置であって、
前記位置検出シートは、タッチ位置を検出する検出方向と直行する中心軸に対して線対称の形状であり、
前記第1電極層の前記検出方向の両端には、第1シート電極と第2シート電極とが前記中心軸に対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、
前記第2電極層には、コモン線に接続される第3シート電極と第4シート電極とが前記中心軸に対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、
前記第1シート電極への交流電圧の印加時における前記第2シート電極の第2端部電圧及び前記第1シート電極への第1入力電流を検出すると共に、前記第2シート電極への交流電圧の印加時における前記第1シート電極の第1端部電圧及び前記第2シート電極への第2入力電流を検出する検出部と、
前記第1端部電圧及び前記第2端部電圧と前記第1入力電流及び前記第2入力電流とに基づいてタッチ位置を推定する位置推定部と、を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
誘電体層を挟んで第1電極層と第2電極層とが積層された位置検出シートへのタッチ位置を検出する位置検出装置であって、
前記位置検出シートは、タッチ位置を検出する検出方向の中心点に対して点対称の形状であり、
前記第1電極層の前記検出方向の両端には、第1シート電極と第2シート電極とが前記中心点に対して点対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、
前記第2電極層には、コモン線に接続される第3シート電極と第4シート電極とが前記中心点に対して点対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、
前記第1シート電極への交流電圧の印加時における前記第2シート電極の第2端部電圧及び前記第1シート電極への第1入力電流を検出すると共に、前記第2シート電極への交流電圧の印加時における前記第1シート電極の第1端部電圧及び前記第2シート電極への第2入力電流を検出する検出部と、
前記第1端部電圧及び前記第2端部電圧と前記第1入力電流及び前記第2入力電流とに基づいてタッチ位置を推定する位置推定部と、を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項3】
前記第3シート電極と前記第4シート電極とは、共用とし、前記第2電極層の端部を取り囲むように貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ位置を検出する位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容量(キャパシタンス)を持つシートを用い、タッチ位置を検出する位置検出装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
図7は、従来の位置検出装置2を横から見たときの等価回路である。位置検出装置2は、容量を持つ位置検出シート20として、第1電極層21と誘電体層22と第2電極層23と、を備え、第1電極層21と第2電極層23とで誘電体層22を挟む構造になっている。
【0004】
第1電極層21は、抵抗成分があり、且つ伸縮性のある電極膜が使用される。抵抗R1~R4は、第1電極層21の抵抗成分を示す。誘電体層22は、誘電率が高く、且つ柔らかい(ヤング率が低い)素材、例えば、誘電エラストマー等が使用される。第2電極層23は、抵抗成分ゼロで、且つ伸縮性のある電極膜が使用される。キャパシタC1~C5は、位置検出シート20の容量成分を示す。
【0005】
第1電極層21の両端には、第1端子T1と第2端子T2とがそれぞれ設けられる。第2電極層23の一端には、グランド等のコモン線への接続端子である第3端子T3が設けられる。第3端子T3が接続されたコモン線と第2端子T2との間には、交流電源ACと、電流検出抵抗RSとが直列に接続される。交流電源ACからの交流電圧は、電流検出抵抗RSを介して第2端子T2に印加される。
【0006】
位置検出装置2は、第1端子T1の端部電圧Vdetによって第1電極層21へのタッチ位置を推定する。例えば、第1電極層21のポジション(position)P2が押された場合、P2付近の誘電体層22が縮み電極間距離が小さくなるため、キャパシタC2の容量値が上がる。キャパシタに流れる電流は、vin×2πfCで表される。すなわち、C(容量)が増えると電流が増える。この増えた分の電流は、抵抗R1を流れてくるので抵抗R1での電圧降下が大きくなる。その結果、端部電圧Vdetは、どこも押されていないときの電圧V0よりも下がる。同様にP5が押された場合、キャパシタC5の容量値が上がり、キャパシタC5に流れる電流が増える。この増えた分の電流は抵抗R1~R4を流れるので抵抗R1~R4での電圧降下が大きくなり、Vdet1端部電圧はP2を押されたときよりも大きく下がる。すなわち、第1電極層21での電流分布は、タッチ位置により変化する。従って、端部電圧Vdetは、図8(a)に示すように、タッチ位置により変化するため、タッチ位置を推定できる。
【0007】
しかし、図8(a)に示すように、端部電圧Vdetは、押された圧力によって位置検出精度が変わってしまう。そこで、位置検出装置2は、電流検出抵抗RSに流れる電流値を第2端子T2に入力される入力電流Idetとして検出することで、圧力を推定する。第1電極層21へのタッチによって、キャパシタC1~C5の総容量値は、増える。強く押されるほど、キャパシタC1~C5総容量値は、さらに増える。C(容量)が増えると電流が増える。つまり、総容量値が増えると、第2端子T2に入力される入力電流Idetが増える。同じ強さ、同じ面積で押した場合、総容量値はタッチ位置に依存しない。従って、位置検出装置2は、タッチ位置に関係なく、図8(b)に示すように、入力電流Idetによって圧力値を推定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2005-530996号公報
【特許文献2】特表2017-521656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術は、タッチ位置が交流電源ACからの交流電圧が入力される第2端子T2に近いほど、検出感度が低下してしまう。すなわち、図8(a)に示すように、交流電源ACからの交流電圧が入力される第2端子T2の直近のP1がタッチ位置である場合、抵抗R1~R5において電圧降下の量に変化がないため、端部電圧Vdetにほとんど変化が無い。つまり、どこもタッチされていないときとの区別がつきにくい。
【0010】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タッチ位置に拘わらず、正確なタッチ位置を推定できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る位置検出装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
本発明に係る位置検出装置は、誘電体層を挟んで第1電極層と第2電極層とが積層された位置検出シートへのタッチ位置を検出する位置検出装置であって、前記位置検出シートは、タッチ位置を検出する検出方向と直行する中心軸に対して線対称の形状であり、前記第1電極層の前記検出方向の両端には、第1シート電極と第2シート電極とが前記中心軸に対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、前記第2電極層には、コモン線に接続される第3シート電極と第4シート電極とが前記中心軸に対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、前記第1シート電極への交流電圧の印加時における前記第2シート電極の第2端部電圧及び前記第1シート電極への第1入力電流を検出すると共に、前記第2シート電極への交流電圧の印加時における前記第1シート電極の第1端部電圧及び前記第2シート電極への第2入力電流を検出する検出部と、前記第1端部電圧及び前記第2端部電圧と前記第1入力電流及び前記第2入力電流とに基づいてタッチ位置を推定する位置推定部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る位置検出装置は、誘電体層を挟んで第1電極層と第2電極層とが積層された位置検出シートへのタッチ位置を検出する位置検出装置であって、前記位置検出シートは、タッチ位置を検出する検出方向の中心点に対して点対称の形状であり、前記第1電極層の前記検出方向の両端には、第1シート電極と第2シート電極とが前記中心点に対して点対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、前記第2電極層には、コモン線に接続される第3シート電極と第4シート電極とが前記中心点に対して点対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、前記第1シート電極への交流電圧の印加時における前記第2シート電極の第2端部電圧及び前記第1シート電極への第1入力電流を検出すると共に、前記第2シート電極への交流電圧の印加時における前記第1シート電極の第1端部電圧及び前記第2シート電極への第2入力電流を検出する検出部と、前記第1端部電圧及び前記第2端部電圧と前記第1入力電流及び前記第2入力電流とに基づいてタッチ位置を推定する位置推定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の位置検出装置は、第1電極層及び第2電極層に、抵抗成分がある安価な電極膜を使用しても、タッチ位置による感度の差を改善できると共に、タッチ位置に依存しない圧力情報を得ることができるため、タッチ位置に拘わらず、正確なタッチ位置を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る位置検出装置の構成例を示す図である。
図2】第2電極層におけるシート電極の配置例を示す図である。
図3図1に示す位置検出装置の等価回路である。
図4図1に示す位置検出装置の検出結果例を示す図である。
図5】本発明に係る位置検出装置の他の構成例を示す図である。
図6】本発明に係る位置検出装置の他の構成例を示す図である。
図7】従来の位置検出装置の構成例を示す図である。
図8】従来の位置検出装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
本実施の形態の位置検出装置1は、図1を参照すると、容量を持つ位置検出シート10と、検出切替部3と、検出部4と、位置推定部5と、を備える。位置検出装置1は、位置検出シート10へのX軸方向のタッチ位置を検出する。すなわち、X軸方向は、タッチ位置を検出するタッチ位置検出方向である。
【0016】
位置検出シート10は、図1に示すXY面に配置されたシートであり、第1電極層11と誘電体層12と第2電極層13とを備え、第1電極層11と第2電極層13とで誘電体層12を挟む積層構造になっている。図1において、位置検出シート10は、平面で示されているが、X軸方向とY軸方向とのいずれか若しくは両方が曲面であってもよい。
【0017】
位置検出シート10(第1電極層11、誘電体層12、第2電極層13)は、Y軸方向の中心軸CLに対して線対称の形状で構成される。位置検出シート10は、X軸方向及びY軸方向の中心点Cに対して点対称の形状でもよい。以下の説明において、位置検出シート10が点対称の形状である場合、線対称は、点対称と適宜言いかえることができる。
【0018】
第1電極層11は、抵抗成分があり、且つ伸縮性のある電極膜が使用される。第1電極層11のX軸方向の両端には、抵抗成分ゼロの金属テープや金属パット等のシート電極E1とシート電極E2とが、中心軸CLに対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられる。シート電極E1、E2の形状には、特に制限はない。第1端子T1は、シート電極E1から引き出された配線に、第2端子T2は、シート電極E2から引き出された配線にそれぞれ接続される。
【0019】
誘電体層12は、誘電率が高く、且つ柔らかい(ヤング率が低い)素材、例えば、誘電エラストマー等が使用される。
【0020】
第2電極層13は、抵抗成分があり、且つ伸縮性のある電極膜が使用される。第2電極層13は、従来のように抵抗成分がないことを前提とする必要がない。抵抗成分がない伸縮性のある電極膜は、高価であるが、第2電極層13は、第1電極層11と同じ材質の安価なものを使用でき、材料コスト、製造コスト、部品管理コスト等を抑えることができる。
【0021】
第2電極層13の端部には、グランド等のコモン線に接続される抵抗成分ゼロの金属テープや金属パット等のシート電極E3とシート電極E4とが、中心軸CLに対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられる。第3端子T3は、シート電極E3から引き出された配線に、第4端子T4は、シート電極E4から引き出された配線にそれぞれ接続される。
【0022】
シート電極E3、E4の形状や数には、特に制限なく、図2(a)、(b)に示すように、シート電極E3、E4を貼り付けてもよい。なお、図1に示す位置検出シート10は、点対称でもあるため、図2(c)~(e)に示すように、シート電極E3、E4を中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれ貼り付けてもよい。また、シート電極E3、E4を共用とし、図2(g)に示すように、第2電極層13の端部を取り囲むように貼り付けてもよい。この場合、シート電極E3、E4の形状は、中心軸CLに対して線対称(中心軸CLに対して線対称)に構成される。
【0023】
検出切替部3は、交流電源ACから電流検出抵抗RSを介して供給される交流電圧を、第1端子T1もしくは第2端子T2に切り替えて印加する。検出切替部3は、交流電圧の第1端子T1への印加時には、第2端子T2を検出部4に接続する。検出切替部3は、交流電圧の第2端子T2への印加時に、第1端子T1を検出部4に接続する。
【0024】
検出部4は、交流電圧の第2端子T2への印加時における第1端子T1の端部電圧Vdet1と、交流電圧の第1端子T1への印加時における第2端子T2の端部電圧Vdet2とを検出し、位置推定部5に端部電圧Vdet1及び端部電圧Vdet2を出力する。また、検出部4は、電流検出抵抗RSの両端間電圧に基づいて、交流電圧の第1端子T1への印加時における入力電流Idet1と、交流電圧の第2端子T2への印加時における入力電流Idet2とを検出し、位置推定部5に入力電流Idet1及び入力電流Idet2を出力する。
【0025】
位置推定部5は、端部電圧Vdet1及び端部電圧Vdet2と、入力電流Idet1及び入力電流Idet2とを用いて、第1電極層11へのタッチ位置を推定する。
【0026】
図3は、位置検出装置1をY方向から見たときの等価回路である。キャパシタC1~C5は、位置検出シート10の容量成分を示す。抵抗R1~R4は、第1電極層11の抵抗成分を示す。抵抗R5~R8は、第2電極層13の抵抗成分を示す。
【0027】
図3(a)は、第1の検出動作として、交流電源ACからの交流電圧が電流検出抵抗RSを介して第2端子T2(シート電極E2)に印加された状態を示す。検出切替部3は、交流電圧の第2端子T2への印加時に、第1端子T1を検出部4に接続する。そのため、検出部4は、第1端子T1(シート電極E1)の電圧を端部電圧Vdet1として検出して位置推定部5に出力する。また、検出部4は、電流検出抵抗RSを流れる電流を第2端子T2(シート電極E2)への入力電流Idet2として検出し、位置推定部5に出力する。
【0028】
図3(b)は、第2の検出動作として、交流電源ACからの交流電圧が電流検出抵抗RSを介して第1端子T1(シート電極E1)に印加された状態を示す。検出切替部3は、交流電圧の第1端子T1への印加時に、第2端子T2を検出部4に接続する。そのため、検出部4は、第2端子T2(シート電極E2)の電圧を端部電圧Vdet2として検出して位置推定部5に出力する。また、検出部4は、電流検出抵抗RSを流れる電流を第1端子T1(シート電極E1)への入力電流Idet1として検出し、位置推定部5に出力する。
【0029】
第2電極層13が中心軸CLに対して線対称の形状であり、コモン線に接続されたシート電極E3とシート電極E4とは、第2電極層13の端部に中心軸CLに対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられる。そのため、図3(a)、(b)に示すように、第2電極層13に抵抗成分(抵抗R5~R8)が存在しても、第1の検出動作と第2の検出動作とを同じ条件で行うことができる。
【0030】
従って、端部電圧Vdet1と端部電圧Vdet2とは、図4(a)に示すように、中心軸CLに対して線対称になる。これにより、端部電圧Vdet1と端部電圧Vdet2とを用いて演算処理(例えば、減算処理:Vdet1-Vdet2)を行うことで、図4(b)に示すように、タッチ位置に比例する演算結果を得ることができ、タッチ位置による感度の差を改善できる。
【0031】
同様に、入力電流Idet1と入力電流Idet2とは、図4(c)に示すように、中心軸CLに対して線対称になる。これにより、入力電流Idet1と入力電流Idet2とを用いて演算処理{例えば、平均処理:(Idet1+Idet2)/2}を行うことで、図4(d)に示すように、タッチ位置に依存しない圧力情報を得ることができる。
【0032】
位置推定部5は、端部電圧Vdet1及び端部電圧Vdet2を用いて演算することで、タッチ位置による感度の差のない位置情報を得る。Vdet1及びVdet2を用いた位置情報には、圧力情報が含まれる。そこで、位置推定部5は、入力電流Idet1及び入力電流Idet2を用いて演算することで、タッチ位置に依存しない圧力情報を得る。位置推定部5は、Vdet1及びVdet2を用いて得た位置情報を、入力電流Idet1及び入力電流Idet2を用いて得た圧力情報で補正することで、第1電極層11へのタッチ位置を正確に推定できる。
【0033】
図5に示す位置検出シート10aは、第2電極層13、誘電体層12、第1電極層11、誘電体層12、第2電極層13の順に積層された5層構造になっている。位置検出シート10aは、第2電極層13へのタッチ位置を検出する。従って、位置検出シート10aは、第1電極層11に人体などが触れることがないため、検出する端部電圧Vdetや入力電流Idetへのノイズの混入を防止できる。
【0034】
図6に示す位置検出シート10bは、X軸方向のタッチ位置を検出する位置検出シート10と、Y軸方向のタッチ位置を検出する位置検出シート10とが、絶縁層14を挟んで積層されている。位置検出シート10bは、XY平面上でのタッチ位置を検出できる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態は、誘電体層12を挟んで第1電極層11と第2電極層13とが積層された位置検出シート10のタッチ位置を検出する位置検出装置1であって、位置検出シート10は、タッチ位置を検出する検出方向(X軸方向)と直行する中心軸CLに対して線対称の形状であり、第1電極層11の検出方向の両端には、第1シート電極(シート電極E1)と第2シート電極(シート電極E2)とが中心軸CLに対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、第2電極層13には、コモン線に接続される第3シート電極(シート電極E3)と第4シート電極(シート電極E4)とが中心軸CLに対して線対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、第1シート電極への交流電圧の印加時における第2シート電極の第2端部電圧(端部電圧Vdet2)及び第1シート電極への第1入力電流(入力電流Idet1)を検出すると共に、第2シート電極への交流電圧の印加時における第1シート電極の第1端部電圧(端部電圧Vdet1)及び第2シート電極への第2入力電流(入力電流Idet2)を検出する検出部4と、第1端部電圧及び第2端部電圧と第1入力電流及び第2入力電流とに基づいてタッチ位置を推定する位置推定部5と、を備える。
この構成により、第1電極層11及び第2電極層13に抵抗成分がある安価な電極膜を使用しても、タッチ位置による感度の差を改善でき、タッチ位置に依存しない圧力情報を得ることができるため、タッチ位置に拘わらず、正確なタッチ位置を推定できる。
【0036】
さらに、本実施形態において、誘電体層12を挟んで第1電極層11と第2電極層13とが積層された位置検出シートへ10のタッチ位置を検出する位置検出装置1であって、位置検出シート10は、タッチ位置を検出する検出方向(X軸方向)の中心点Cに対して点対称の形状であり、第1電極層11の検出方向の両端には、第1シート電極(シート電極E1)と第2シート電極(シート電極E2)とが中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、第2電極層13には、コモン線に接続される第3シート電極(シート電極E3)と第4シート電極(シート電極E4)とが中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれ貼り付けられ、第1シート電極への交流電圧の印加時における第2シート電極の第2端部電圧(端部電圧Vdet2)及び第1シート電極への第1入力電流(入力電流Idet1)を検出すると共に、第2シート電極への交流電圧の印加時における第1シート電極の第1端部電圧(端部電圧Vdet1)及び第2シート電極への第2入力電流(入力電流Idet2)を検出する検出部4と、1端部電圧及び第2端部電圧と第1入力電流及び第2入力電流とに基づいてタッチ位置を推定する位置推定部5と、を備える。
この構成により、第1電極層11及び第2電極層13に抵抗成分がある安価な電極膜を使用しても、タッチ位置による感度の差を改善でき、タッチ位置に依存しない圧力情報を得ることができるため、タッチ位置に拘わらず、正確なタッチ位置を推定できる。
【0037】
さらに、本実施形態において、第3シート電極と第4シート電極とは、共用とし、第2電極層13の端部を取り囲むように貼り付けられている。
【0038】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、同一構成要素には、各図において、同一符号を付している。
【符号の説明】
【0039】
1 位置検出装置
3 検出切替部
4 検出部
5 位置推定部
10、10a、10b、 位置検出シート
11 第1電極層
12 誘電体層
13 第2電極層
14 絶縁層
AC 交流電源
E1、E2、E3、E4 シート電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8