(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026282
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】磁場検出装置及び磁場検出装置アレイ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
G01R33/02 L
G01R33/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051381
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2023128966
(32)【優先日】2023-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】山地 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】笠島 多聞
(72)【発明者】
【氏名】上 正史
(72)【発明者】
【氏名】原川 修
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA03
2G017AB07
2G017AC06
2G017BA05
2G017BA15
(57)【要約】
【課題】磁場を3軸方向に検出可能な磁場検出装置において、磁気センサ間における磁気的な干渉を低減する。
【解決手段】磁場検出装置100は、支持体10と、支持体10の切り欠き121~123にそれぞれ収容された磁気センサS1~S3とを備える。切り欠き121は、支持体10の面11,14の少なくとも一方に設けられ、切り欠き122は、支持体10の面12,15の少なくとも一方に設けられ、切り欠き123は、支持体10の面13,16の少なくとも一方に設けられる。磁気センサS1はX方向を感磁方向とし、磁気センサS2はY方向を感磁方向とし、磁気センサS3はZ方向を感磁方向とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2及び第3の切り欠きを有する支持体と、
前記第1、第2及び第3の切り欠きにそれぞれ収容された第1、第2及び第3の磁気センサと、
を備え、
前記支持体は、第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記第1及び第2の方向と直交する第3の方向における位置が互いに異なる第1及び第2の面と、前記第1及び第3の方向に延在し、前記第2の方向における位置が互いに異なる第3及び第4の面と、前記第2及び第3の方向に延在し、前記第1の方向における位置が互いに異なる第5及び第6の面とを有し、
前記第1の切り欠きは、前記第1及び第4の面の少なくとも一方に設けられ、
前記第2の切り欠きは、前記第2及び第5の面の少なくとも一方に設けられ、
前記第3の切り欠きは、前記第3及び第6の面の少なくとも一方に設けられ、
前記第1の磁気センサは、前記第1の方向を感磁方向とし、
前記第2の磁気センサは、前記第2の方向を感磁方向とし、
前記第3の磁気センサは、前記第3の方向を感磁方向とする、
磁場検出装置。
【請求項2】
前記第1の磁気センサは、前記第1及び第4の面から突出することなく前記第1の切り欠きに収容され、
前記第2の磁気センサは、前記第2及び第5の面から突出することなく前記第2の切り欠きに収容され、
前記第3の磁気センサは、前記第3及び第6の面から突出することなく前記第3の切り欠きに収容される、
請求項1に記載の磁場検出装置。
【請求項3】
前記第1の切り欠きは、前記第1の面の端部と前記第4の面の端部によって構成される第1の辺を切り欠くよう、前記第1の方向に沿って設けられ、
前記第2の切り欠きは、前記第2の面の端部と前記第5の面の端部によって構成される第2の辺を切り欠くよう、前記第2の方向に沿って設けられ、
前記第3の切り欠きは、前記第3の面の端部と前記第6の面の端部によって構成される第3の辺を切り欠くよう、前記第3の方向に沿って設けられる、
請求項1に記載の磁場検出装置。
【請求項4】
前記第1の切り欠きは、前記第1の面の端部と、前記第4の面の端部と、前記第6の面の端部とによって構成される第1の頂点を切り欠くように設けられ、
前記第2の切り欠きは、前記第2の面の端部と、前記第4の面の端部と、前記第5の面の端部とによって構成される第2の頂点を切り欠くように設けられ、
前記第3の切り欠きは、前記第2の面の端部と、前記第3の面の端部と、前記第6の面の端部とによって構成される第3の頂点を切り欠くように設けられる、
請求項3に記載の磁場検出装置。
【請求項5】
前記第3の方向から見て、前記第1の磁気センサと前記第2の磁気センサは重ならない、
請求項1に記載の磁場検出装置。
【請求項6】
前記第1の方向から見て、前記第2の磁気センサと前記第3の磁気センサは重ならない、
請求項5に記載の磁場検出装置。
【請求項7】
前記第2の方向から見て、前記第1の磁気センサと前記第3の磁気センサは重ならない、
請求項6に記載の磁場検出装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁場検出装置を複数備える磁場検出装置アレイ。
【請求項9】
前記複数の磁場検出装置のうち、隣接する2つの磁場検出装置は、前記支持体の向きが互いに180°異なる、請求項8に記載の磁場検出装置アレイ。
【請求項10】
前記第1の磁気センサに接続された第1のケーブルと、
前記第2の磁気センサに接続された第2のケーブルと、
前記第3の磁気センサに接続された第3のケーブルと、
前記第1、第2及び第3のケーブルをまとめて外部に引き出す第4のケーブルと、
をさらに備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁場検出装置。
【請求項11】
前記第1、第2及び第3の磁気センサから出力されるアナログ信号をAD変換するADコンバータと、
前記ADコンバータから出力されるデジタル信号を処理するコントローラと、
をさらに備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁場検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は磁場検出装置に関し、特に、磁場を3軸方向に検出可能な磁場検出装置に関する。また、本開示は、このような磁場検出装置を複数備える磁場検出装置アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁場を3軸方向に検出可能な磁場検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された磁場検出装置は、複数の磁気センサ間において磁気的な干渉が生じやすいという問題があった。
【0005】
本開示においては、磁場を3軸方向に検出可能な磁場検出装置において、磁気センサ間における磁気的な干渉を低減する技術が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面による磁場検出装置は、第1、第2及び第3の切り欠きを有する支持体と、第1、第2及び第3の切り欠きにそれぞれ収容された第1、第2及び第3の磁気センサとを備え、支持体は、第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向に延在し、第1及び第2の方向と直交する第3の方向における位置が互いに異なる第1及び第2の面と、第1及び第3の方向に延在し、第2の方向における位置が互いに異なる第3及び第4の面と、第2及び第3の方向に延在し、第1の方向における位置が互いに異なる第5及び第6の面とを有し、第1の切り欠きは、第1及び第4の面の少なくとも一方に設けられ、第2の切り欠きは、第2及び第5の面の少なくとも一方に設けられ、第3の切り欠きは、第3及び第6の面の少なくとも一方に設けられ、第1の磁気センサは、第1の方向を感磁方向とし、第2の磁気センサは、第2の方向を感磁方向とし、第3の磁気センサは、第3の方向を感磁方向とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、磁場を3軸方向に検出可能な磁場検出装置において、磁気センサ間における磁気的な干渉を低減する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a),(b)は、本開示に係る技術の一実施形態による磁場検出装置100の外観を示す略斜視図であり、互いに異なる方向から見た形状を示している。
【
図2】
図2(a),(b)は、支持体10の構造を説明するための略斜視図であり、互いに異なる方向から見た形状を示している。
【
図3】
図3は、磁気センサS1の構造を説明するための略透視斜視図であり、磁気センサS1の筐体を構成する樹脂ケースを削除した状態を示している。
【
図4】
図4は、複数の磁場検出装置100がアレイ状に配置された構造を有する磁場検出装置アレイの略斜視図である。
【
図5】
図5は、磁場検出装置100Aと磁場検出装置100Bの向きを説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、磁場検出装置100に含まれる3つの磁気センサS1~S3から出力される出力信号の取り出し方法を説明するための模式図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例、(c)は第3の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る技術の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1(a),(b)は、本開示に係る技術の一実施形態による磁場検出装置100の外観を示す略斜視図であり、互いに異なる方向から見た形状を示している。
【0011】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態による磁場検出装置100は、樹脂などの非磁性材料からなる支持体10と、支持体10に支持された3つの磁気センサS1~S3とを備えている。
【0012】
図2(a),(b)は、支持体10の構造を説明するための略斜視図であり、互いに異なる方向から見た形状を示している。
【0013】
図2(a),(b)に示すように、支持体10は、略直方体形状を有するブロックの一部に切り欠き121~123を設けた構造を有している。切り欠き121~123は、直方体のブロックを加工することによって形成しても構わないし、金型などを用いた支持体10の作製と同時に形成しても構わない。後者の方法に依れば、切り欠き121~123の相対的な位置精度が高められる。
【0014】
切り欠き121~123には、それぞれ磁気センサS1~S3が収容される。より具体的に説明すると、支持体10は、XY面を構成し、互いにZ方向における反対側に位置する面11,12と、XZ面を構成し、互いにY方向における反対側に位置する面13,14と、YZ面を構成し、互いにX方向における反対側に位置する面15,16とを有する。また、支持体10には、面11から面12に亘ってZ方向に設けられた貫通孔17が設けられている。
【0015】
図2(a),(b)には、支持体10に切り欠き121~123が存在しない場合における仮想的な辺が破線で示されている。切り欠き121~123や貫通孔17が存在しない場合、支持体10は直方体であっても構わないし、立方体であっても構わない。
図2(a),(b)に示す例では、切り欠き121~123や貫通孔17が存在しない場合における支持体10の形状が直方体であり、X方向におけるサイズとY方向におけるサイズが同じであり、且つ、Z方向におけるサイズがX方向におけるサイズ及びY方向におけるサイズよりもやや小さい。
【0016】
面11と、面13~16は、互いに直交する。そして、面11の+Y方向側における端部と、面14の+Z方向側における端部は、辺101を構成する。面11の-Y方向側における端部と、面13の+Z方向側における端部は、辺107を構成する。面11の+X方向側における端部と、面16の+Z方向側における端部は、辺104を構成する。面11の-X方向側における端部と、面15の+Z方向側における端部は、辺112を構成する。辺101,107はX方向に延在し、辺104,112はY方向に延在する。
【0017】
面12と、面13~16は、互いに直交する。そして、面12の+Y方向側における端部と、面14の-Z方向側における端部は、辺105を構成する。面12の-Y方向側における端部と、面13の-Z方向側における端部は、辺106を構成する。面12の+X方向側における端部と、面16の-Z方向側における端部は、辺108を構成する。面12の-X方向側における端部と、面15の-Z方向側における端部は、辺102を構成する。辺105,106はX方向に延在し、辺102,118はY方向に延在する。
【0018】
面13,14と、面15,16は、互いに直交する。そして、面13の+X方向側における端部と、面16の-Y方向側における端部は、辺103を構成する。面13の-X方向側における端部と、面15の-Y方向側における端部は、辺111を構成する。面14の+X方向側における端部と、面16の+Y方向側における端部は、辺110を構成する。面14の-X方向側における端部と、面15の+Y方向側における端部は、辺109を構成する。辺103,109~111はいずれもZ方向に延在する。
【0019】
さらに、支持体10には、8つの頂点131~138が定義される。このうち、3つの頂点131~133は、それぞれ切り欠き121~123によって除去されているため、支持体10を直方体(または立方体)とした場合における仮想的な頂点を構成する。まず、頂点131は、辺101,104,110の延長線が交差する仮想的な頂点である。言い換えれば、頂点131は、面11,14,16の仮想点な端部によって構成される。頂点132は、辺102,105,109の延長線が交差する仮想的な頂点である。言い換えれば、頂点132は、面12,14,15の仮想点な端部によって構成される。頂点133は、辺103,106,108の延長線が交差する仮想的な頂点である。言い換えれば、頂点133は、面12,13,16の仮想点な端部によって構成される。
【0020】
本実施形態においては、他の頂点134~138には切り欠きが設けられていない。つまり、頂点134~138は、仮想的ではない実際の頂点を構成する。頂点134は、辺101,109,112の終端部によって構成される。頂点135は、辺107,111,112の終端部によって構成される。頂点136は、辺103,104,107の終端部によって構成される。頂点137は、辺105,108,110の終端部によって構成される。頂点138は、辺102,106,111の終端部によって構成される。
【0021】
切り欠き121は、頂点131を切り欠くよう、辺101に沿ってX方向に沿って設けられる。これにより、面11,14,16の一部が切り欠き121によって除去されるとともに、辺101,104,110の一部が除去される。切り欠き121は、XY面を構成する内壁141と、XZ面を構成する内壁142と、YZ面を構成する内壁143とを有する。内壁141の+Z方向側は、面11の一部を構成する突起部144を除き、空間に開放されている。内壁142の+Y方向側は、面14の一部を構成する突起部145を除き、空間に開放されている。内壁143の+X方向側は、空間に開放されている。
【0022】
切り欠き121のX方向におけるサイズは、磁気センサS1のX方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。内壁141と突起部144の内壁144aのZ方向における距離は、磁気センサS1のZ方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。内壁142と突起部145の内壁145aのY方向における距離は、磁気センサS1のY方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。これにより、磁気センサS1を切り欠き121にX方向側から挿入すると、内壁141と突起部144の内壁144aによって磁気センサS1がZ方向に位置決めされ、内壁142と突起部145の内壁145aによって磁気センサS1がY方向に位置決めされる。磁気センサS1を切り欠き121に挿入した後は、
図1(b)に示すように、切り欠き121の一部をX方向から覆うよう、面16にストッパー201をネジ止めする。これにより、切り欠き121からの磁気センサS1の脱落が防止される。
【0023】
切り欠き122は、頂点132を切り欠くよう、辺102に沿ってY方向に沿って設けられる。これにより、面12,14,15の一部が切り欠き122によって除去されるとともに、辺102,105,109の一部が除去される。切り欠き122は、XY面を構成する内壁151と、YZ面を構成する内壁152と、XZ面を構成する内壁153とを有する。内壁151の-Z方向側は、面12の一部を構成する突起部154を除き、空間に開放されている。内壁152の-X方向側は、面15の一部を構成する突起部155を除き、空間に開放されている。内壁153の+Y方向側は、空間に開放されている。
【0024】
切り欠き122のY方向におけるサイズは、磁気センサS2のY方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。内壁151と突起部154の内壁154aのZ方向における距離は、磁気センサS2のZ方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。内壁152と突起部155の内壁155aのX方向における距離は、磁気センサS2のX方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。これにより、磁気センサS2を切り欠き122にY方向側から挿入すると、内壁151と突起部154の内壁154aによって磁気センサS2がZ方向に位置決めされ、内壁152と突起部155の内壁155aによって磁気センサS2がX方向に位置決めされる。磁気センサS2を切り欠き122に挿入した後は、
図1(b)に示すように、切り欠き122の一部をY方向から覆うよう、面14にストッパー202をネジ止めする。これにより、切り欠き122からの磁気センサS2の脱落が防止される。
【0025】
切り欠き123は、頂点133を切り欠くよう、辺103に沿ってZ方向に沿って設けられる。これにより、面12,13,16の一部が切り欠き123によって除去されるとともに、辺103,106,108の一部が除去される。切り欠き123は、XZ面を構成する内壁161と、YZ面を構成する内壁162と、XY面を構成する内壁163とを有する。内壁161の-Y方向側は、面13の一部を構成する突起部164を除き、空間に開放されている。内壁162の+X方向側は、面16の一部を構成する突起部165を除き、空間に開放されている。内壁163の-Z方向側は、空間に開放されている。
【0026】
切り欠き123のZ方向におけるサイズは、磁気センサS3のZ方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。内壁161と突起部164の内壁164aのY方向における距離は、磁気センサS3のY方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。内壁162と突起部165の内壁165aのX方向における距離は、磁気センサS3のX方向におけるサイズとほぼ同じかやや大きく設計される。これにより、磁気センサS3を切り欠き123にZ方向側から挿入すると、内壁161と突起部164の内壁164aによって磁気センサS3がY方向に位置決めされ、内壁162と突起部165の内壁165aによって磁気センサS3がX方向に位置決めされる。磁気センサS3を切り欠き123に挿入した後は、
図1(b)に示すように、切り欠き123の一部をZ方向から覆うよう、面12にストッパー203をネジ止めする。これにより、切り欠き123からの磁気センサS3の脱落が防止される。
【0027】
図3は、磁気センサS1の構造を説明するための略透視斜視図であり、磁気センサS1の筐体を構成する樹脂ケースを削除した状態を示している。
【0028】
図3に示すように、磁気センサS1は、X方向を長手方向とする基板211と、基板211の+X方向における先端近傍に搭載された感磁素子212とを備えている。感磁素子212の感磁方向はX方向である。これにより、磁気センサS1の筐体を構成する樹脂ケースの+X方向における端面210が磁気センサS1のセンサヘッドを構成し、端面210の近傍の空間におけるX方向の磁場が磁気センサS1によって検出される。感磁素子212は、基板211に固定されたケーブル213を介して、コネクタ214に接続される。
【0029】
他の磁気センサS2,S3も同様の構成を有している。つまり、磁気センサS2においては、筐体内にY方向を感磁方向とする感磁素子212が設けられており、筐体を構成する樹脂ケースの+Y方向における端面がセンサヘッドを構成する。磁気センサS3においては、筐体内にZ方向を感磁方向とする感磁素子212が設けられており、筐体を構成する樹脂ケースの-Z方向における端面がセンサヘッドを構成する。磁気センサS1~S3は互いに同じ構造を有していても構わない。
【0030】
このように、本実施形態による磁場検出装置100は、支持体10に設けられた切り欠き121~123にそれぞれ感度軸方向の異なる磁気センサS1~S3が収容されていることから、磁場を3軸方向(X方向、Y方向及びZ方向)に検出することが可能となる。しかも、切り欠き121~123がそれぞれ支持体10の互いに交差しない(共通の頂点を持たない)辺101~103に沿って配置されていることから、磁気センサS1~S3の物理的な干渉を防止することができる。また、磁気センサS1~S3のセンサヘッド間における距離も確保されることから、磁気センサS1~S3間における磁気的な干渉についても低減することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態による磁場検出装置100では、Z方向から見て磁気センサS1と磁気センサS2が重ならず、X方向から見て磁気センサS2と磁気センサS3が重ならないため、磁気センサS1と磁気センサS2の磁気的な干渉や、磁気センサS2と磁気センサS3の磁気的な干渉が抑制される。尚、本実施形態による磁場検出装置100では、Y方向から見て磁気センサS1と磁気センサS3が僅かに重なっているが、支持体10のX方向におけるサイズ、Y方向におけるサイズ、及びZ方向におけるサイズを互いにほぼ同じとすることにより、Y方向から見て磁気センサS1と磁気センサS3が重ならないよう構成しても構わない。
【0032】
さらに、切り欠き121~123は、それぞれ磁気センサS1~S3を位置決めするための内壁を有していることから、磁気センサS1~S3を切り欠き121~123の内壁に沿って高精度に位置決めすることが可能となる。また、各磁気センサS1~S3が支持体10の表面11~16から突出しないことから、小型化を実現することができるとともに、複数の磁場検出装置100を近接してアレイ状に配置することが可能となる。
【0033】
図4は、複数の磁場検出装置100がアレイ状に配置された構造を有する磁場検出装置アレイの略斜視図である。
【0034】
図4に示す磁場検出装置アレイは、8個の磁場検出装置100A~100Hがアレイ状に配置された構造を有している。
図4に示す例では、磁場検出装置100A~100CがX方向に配列され、磁場検出装置100D,100EがX方向に配列され、磁場検出装置100F~100HがX方向に配列されている。磁場検出装置100A~100HのY方向における位置は互いに同じである。また、磁場検出装置100Aと磁場検出装置100FはZ方向に配列されており、磁場検出装置100Bと磁場検出装置100GはZ方向に配列されており、磁場検出装置100Cと磁場検出装置100HはZ方向に配列されている。これら磁場検出装置100A~100Hは、例えば、支持体10に設けられた貫通孔17にシャフトなどを通すことにより、測定空間内の任意の位置に固定することができる。
【0035】
また、磁場検出装置100DのX方向における位置は、磁場検出装置100A,100FのX方向における位置と、磁場検出装置100B,100GのX方向における位置の中間に位置する。磁場検出装置100DのZ方向における位置は、磁場検出装置100A~100CのZ方向における位置と、磁場検出装置100F~100HのZ方向における位置の中間に位置する。磁場検出装置100EのX方向における位置は、磁場検出装置100B,100GのX方向における位置と、磁場検出装置100C,100HのX方向における位置の中間に位置する。磁場検出装置100EのZ方向における位置は、磁場検出装置100A~100CのZ方向における位置と、磁場検出装置100F~100HのZ方向における位置の中間に位置する。
【0036】
このように、複数の磁場検出装置100をアレイ状に配置すれば、より広範囲に亘る空間内の磁場を検出することが可能となる。しかも、
図4に示す例では、X方向に隣接する2つの磁場検出装置において、支持体10の向きが互いに180°異なっている。例えば、磁場検出装置100Bの支持体10は、磁場検出装置100Aの支持体10を、Z軸を中心に支持体10を180°回転させた向きに固定されている。これにより、模式図である
図5に示すように、磁場検出装置100Aに含まれる磁気センサS1の感度軸と、磁場検出装置100Bに含まれる磁気センサS1の感度軸が、互いに一致することなくY方向にずれることから、測定空間内の磁場をより効率よく検出することが可能となる。尚、
図5において、矢印の向きは感磁方向を意味し、矢印の位置は検出位置(センサヘッドの位置)を意味している。
【0037】
また、
図4に示す例では、複数の磁場検出装置を互いに離間させて配置しているが、隣接する磁場検出装置の支持体10同士が接触するように配置しても構わない。複数の磁場検出装置を互いに離間させて配置する場合、両者の間隔が固定されるよう、両者間にスペーサー等を配置しても構わない。
【0038】
図6は、磁場検出装置100に含まれる3つの磁気センサS1~S3から出力される出力信号の取り出し方法を説明するための模式図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例、(c)は第3の例を示している。
【0039】
図6(a)に示す第1の例は、磁気センサS1~S3にそれぞれ接続されたケーブル301~303を磁場検出装置100から別個に引き出す例を示している。ケーブル301~303は、磁気センサS1~S3から出力される出力信号を伝送する信号ケーブルだけでなく、磁気センサS1~S3に動作電源を供給する電源ケーブル及びグランドケーブルを含んでいても構わない。
図6(a)に示す第1の例によれば、磁場検出装置100の構成がシンプルとなる。
【0040】
図6(b)に示す第2の例は、磁場検出装置100に回路基板311が設けられ、磁気センサS1~S3が回路基板311を介してケーブル312に接続される例を示している。ケーブル312は、磁気センサS1~S3から出力される出力信号を伝送する信号ケーブルだけでなく、磁気センサS1~S3に動作電源を供給する電源ケーブルを含んでいても構わない。
図6(b)に示す第2の例によれば、磁場検出装置100から外部に引き出されるケーブル及びコネクタの数を削減することが可能となる。
【0041】
図6(c)に示す第3の例は、磁場検出装置100にADコンバータ321及びコントローラ322が設けられ、コントローラ322にケーブル323が接続される例を示している。ADコンバータ321は、磁気センサS1~S3から出力されるアナログ信号をAD変換することによってデジタル信号を生成する。ADコンバータ321から出力されるデジタル信号は、コントローラ322に供給され、コントローラ322内で信号処理される。コントローラ322には、ケーブル323が接続される。ケーブル323は、磁気センサS1~S3から出力される出力信号を伝送する信号ケーブルだけでなく、磁気センサS1~S3に動作電源を供給する電源ケーブルを含んでいても構わない。
図6(c)に示す第3の例によれば、磁場検出装置100からデジタル信号が出力されることから、磁場検出装置100の取り扱いが容易となる。
【0042】
以上、本開示に係る技術の実施形態について説明したが、本開示に係る技術は、上記の実施形態に限定されることなく、その主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示に係る技術の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、支持体10の切り欠き121~123がそれぞれ支持体10の辺101~103を切り欠くように配置されているが、切り欠き121~123がそれぞれ辺101~103自体を切り欠く必要はない。したがって、辺101~103自体を切り欠くことなく、切り欠き121~123を辺101~103に沿って設けても構わない。一例として、切り欠き121を辺101に沿って面11又は面14の一方に設け、切り欠き122を辺102に沿って面12又は面15の一方に設け、切り欠き123を辺103に沿って面13又は面16の一方に設けても構わない。
【0044】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0045】
本開示の一側面による磁場検出装置は、第1、第2及び第3の切り欠きを有する支持体と、第1、第2及び第3の切り欠きにそれぞれ収容された第1、第2及び第3の磁気センサとを備え、支持体は、第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向に延在し、第1及び第2の方向と直交する第3の方向における位置が互いに異なる第1及び第2の面と、第1及び第3の方向に延在し、第2の方向における位置が互いに異なる第3及び第4の面と、第2及び第3の方向に延在し、第1の方向における位置が互いに異なる第5及び第6の面とを有し、第1の切り欠きは、第1及び第4の面の少なくとも一方に設けられ、第2の切り欠きは、第2及び第5の面の少なくとも一方に設けられ、第3の切り欠きは、第3及び第6の面の少なくとも一方に設けられ、第1の磁気センサは、第1の方向を感磁方向とし、第2の磁気センサは、第2の方向を感磁方向とし、第3の磁気センサは、第3の方向を感磁方向とする。これによれば、第1~第3の磁気センサによって3軸方向に磁場を検出することができるとともに、第1~第3の磁気センサ間における磁気的な干渉を抑制することが可能となる。
【0046】
上記の磁場検出装置において、第1の磁気センサは、第1及び第4の面から突出することなく第1の切り欠きに収容され、第2の磁気センサは、第2及び第5の面から突出することなく第2の切り欠きに収容され、第3の磁気センサは、第3及び第6の面から突出することなく第3の切り欠きに収容されても構わない。これによれば、全体のサイズを小型化することが可能となる。
【0047】
上記の磁場検出装置において、第1の切り欠きは、第1の面の端部と第4の面の端部によって構成される第1の辺を切り欠くよう、第1の方向に沿って設けられ、第2の切り欠きは、第2の面の端部と第5の面の端部によって構成される第2の辺を切り欠くよう、第2の方向に沿って設けられ、第3の切り欠きは、第3の面の端部と第6の面の端部によって構成される第3の辺を切り欠くよう、第3の方向に沿って設けられても構わない。これによれば、第1~第3の辺が互いに交差しないことから、第1~第3の磁気センサ間における物理的な干渉が生じることがない。
【0048】
上記の磁場検出装置において、第1の切り欠きは、第1の面の端部と、第4の面の端部と、第6の面の端部とによって構成される第1の頂点を切り欠くように設けられ、第2の切り欠きは、第2の面の端部と、第4の面の端部と、第5の面の端部とによって構成される第2の頂点を切り欠くように設けられ、第3の切り欠きは、第2の面の端部と、第3の面の端部と、第6の面の端部とによって構成される第3の頂点を切り欠くように設けられても構わない。これによれば、第1~第3の磁気センサのセンサヘッドをそれぞれ第1~第3の頂点近傍に配置することが可能となる。
【0049】
上記の磁場検出装置において、第3の方向から見て、第1の磁気センサと第2の磁気センサは重ならなくても構わない。これによれば、第1の磁気センサと第2の磁気センサの磁気的な干渉をより低減することが可能となる。
【0050】
上記の磁場検出装置において、第1の方向から見て、第2の磁気センサと第3の磁気センサは重ならなくても構わない。これによれば、第2の磁気センサと第3の磁気センサの磁気的な干渉をより低減することが可能となる。
【0051】
上記の磁場検出装置において、第2の方向から見て、第1の磁気センサと第3の磁気センサは重ならなくても構わない。これによれば、第1の磁気センサと第3の磁気センサの磁気的な干渉をより低減することが可能となる。
【0052】
本開示の一側面による磁場検出装置アレイは、上記の磁場検出装置を複数備えている。これによれば、測定空間内の磁場をより広範囲に検出することが可能となる。
【0053】
上記の磁場検出装置アレイにおいて、複数の磁場検出装置のうち、隣接する2つの磁場検出装置は、支持体の向きが互いに180°異なっていても構わない。これによれば、測定空間内の磁場をより効率よく検出することが可能となる。
【0054】
上記の磁場検出装置は、第1の磁気センサに接続された第1のケーブルと、第2の磁気センサに接続された第2のケーブルと、第3の磁気センサに接続された第3のケーブルと、第1、第2及び第3のケーブルをまとめて外部に引き出す第4のケーブルと、をさらに備えていても構わない。これによれば、磁場検出装置から外部に引き出されるケーブル及びコネクタの数を削減することが可能となる。
【0055】
上記の磁場検出装置は、第1、第2及び第3の磁気センサから出力されるアナログ信号をAD変換するADコンバータと、ADコンバータから出力されるデジタル信号を処理するコントローラと、をさらに備えていても構わない。これによれば、磁場検出装置からデジタル信号を出力することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
10 支持体
11~16 面
17 貫通孔
100,100A~100H 磁場検出装置
101~112 辺
121~123 切り欠き
131~138 頂点
141~143 内壁
144,145 突起部
144a,145a 内壁
151~153 内壁
154,155 突起部
154a,155a 内壁
161~163 内壁
164,165 突起部
164a,165a 内壁
201~203 ストッパー
210 端面
211 基板
212 感磁素子
213 ケーブル
214 コネクタ
S1~S3 磁気センサ
301~303,312,323 ケーブル
311 回路基板
321 ADコンバータ
322 コントローラ