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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026300
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】集塵アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20250214BHJP
   B25D 17/18 20060101ALI20250214BHJP
   B23B 45/00 20060101ALI20250214BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20250214BHJP
   B23B 47/34 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25D17/18
B23B45/00 Z
B23Q11/00 M
B23B47/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079689
(22)【出願日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2023131431
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】ワン バン
(72)【発明者】
【氏名】温 雄斐
(72)【発明者】
【氏名】多田 祥朗
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴大
【テーマコード(参考)】
2D058
3C011
3C036
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058CA05
2D058DA23
3C011BB03
3C011BB06
3C036EE18
3C036EE28
3C036HH09
3C064BA11
3C064BA13
3C064BA18
3C064BB82
3C064CB82
(57)【要約】
【課題】簡単な操作で取り外しが行え、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能とする。
【解決手段】集塵アタッチメント1は、先端工具が貫通可能な吸込口を有する吸塵部と、吸塵部と連通して外部のホースが接続可能な集塵通路16を有する本体部3と、を含み、本体部3に、集塵通路16と連通して被加工材Wへの吸着口28を開口させた吸引空間20と、吸引空間20を外部に開放させる空気抜き穴30と、常態で空気抜き穴30を閉塞し、所定の操作によって空気抜き穴30を開口させる空気抜きレバー13と、が設けられている。空気抜きレバー13は、本体部3を被加工材Wから取り外す方向へ操作することで空気抜き穴30を開口させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端工具が貫通可能な吸込口を有する吸塵部と、前記吸塵部と連通して外部のホースが接続可能な集塵通路を有する本体部と、を含み、
前記本体部に、前記集塵通路と連通して被加工材への吸着口を開口させた吸引空間と、前記吸引空間を外部に開放させる空気抜き穴と、常態で前記空気抜き穴を閉塞し、所定の操作によって前記空気抜き穴を開口させる空気抜き操作部と、が設けられた集塵アタッチメントであって、
前記空気抜き操作部は、前記本体部を前記被加工材から取り外す動作と共に操作されて前記空気抜き穴を開口させることを特徴とする集塵アタッチメント。
【請求項2】
前記空気抜き操作部の操作方向は、前記本体部を前記被加工材から取り外す方向と同じであることを特徴とする請求項1に記載の集塵アタッチメント。
【請求項3】
前記空気抜き操作部に、指掛け部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵アタッチメント。
【請求項4】
前記集塵通路の一部は、前記本体部の表面に膨出して所定方向へ直線状に延びるハンドル部を形成しており、前記空気抜き操作部は、前記ハンドル部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の集塵アタッチメント。
【請求項5】
前記空気抜き操作部は、前記ハンドル部の中心線の両側に一対設けられていることを特徴とする請求項4に記載の集塵アタッチメント。
【請求項6】
前記一対の前記空気抜き操作部は、一体に繋がっていることを特徴とする請求項5に記載の集塵アタッチメント。
【請求項7】
前記空気抜き操作部は、1箇所であることを特徴とする請求項4に記載の集塵アタッチメント。
【請求項8】
前記空気抜き操作部は、前記ハンドル部の中心線の両側の何れか一方に設けられ、前記ハンドル部を挟んだ前記空気抜き操作部の反対側で前記ハンドル部に前記指掛け部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の集塵アタッチメント。
【請求項9】
前記外部のホースは、前記ハンドル部に接続可能であることを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載の集塵アタッチメント。
【請求項10】
前記空気抜き操作部は、前記空気抜き穴の閉塞状態では前記指掛け部を除いて前記ハンドル部の外形から突出しないことを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の集塵アタッチメント。
【請求項11】
前記空気抜き操作部に、ハンドルが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の集塵アタッチメント。
【請求項12】
先端工具が貫通可能な吸込口を有する吸塵部と、前記吸塵部と連通して外部のホースが接続可能な集塵通路を有すると共に、当該集塵通路と連通して被加工材への吸着口を開口させた吸引空間を備える本体部と、を含み、
前記本体部は、前記集塵通路と前記吸引空間とが設けられる本体ハウジングと、前記本体ハウジングに設けられ、前記被加工材側へ突出して前記吸着口を形成する、弾性材料からなるパッドと、を有する集塵アタッチメントであって、
前記本体ハウジングに、前記被加工材側に突出し、前記被加工材への前記吸着口の吸着状態で前記被加工材に当接する当接部が設けられていることを特徴とする集塵アタッチメント。
【請求項13】
前記吸着口を前記被加工材へ吸着させない状態で、前記当接部における前記被加工材側への突出面は、前記パッドにおける前記被加工材側への突出面と同一平面上であるか、或いは前記パッドの前記突出面よりも前記本体ハウジング側に位置していることを特徴とする請求項12に記載の集塵アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンマドリル等の電動工具による作業時に被加工材から発生する粉塵を集塵するために用いられる集塵アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンマドリル等のように装着した先端工具で穿孔作業等を行う場合、加工位置で被加工材から発生する粉塵を飛散させることなく集塵するための集塵アタッチメントが用いられる場合がある。特許文献1(米国特許出願公開第2011/0142561号明細書)には、その一例が開示されている。ここに開示される集塵アタッチメントは、左右に拡がるハウジングの上部に、先端工具が貫通する筒状の吸塵部を設けて、ハウジングの表側に、吸塵部と連通する集塵通路を有する円筒状のハンドル部を形成する一方、ハウジングの裏側に、吸着口が開口する吸引空間を形成している。
この集塵アタッチメントは、ハンドル部にホースを介して外部の集塵機を接続して使用される。集塵機を運転させて吸着口を被加工材の表面に当接させると、ホースと連通するハンドル部及び吸塵部が負圧となり、ハンドル部と連通する吸引空間も負圧となる。よって、吸着口がそのまま被加工材に吸着して位置決めされる。電動工具の先端工具を吸塵部に差し込んで加工を行えば、発生した粉塵は、吸塵部から直接吸い込まれてハンドル部及びホースを介して集塵機に集塵される。
【0003】
ハンドル部の左右の側面には、吸引空間と連通する空気抜き穴がそれぞれ形成されている。空気抜き穴には、常態で空気抜き穴を閉塞するボタンがそれぞれ設けられている。
加工位置を変更等するために集塵アタッチメントを被加工材から取り外す場合、作業者は、左右のボタンを指で押し込んで空気抜き穴を開口させる。すると、吸引空間内に外気が流入して吸着力が低下するため、そのまま集塵アタッチメントを被加工材から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0142561号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の集塵アタッチメントは、取り外しの際、左右方向からボタンを押し込む操作を維持しながら左右方向と交差する手前側に引っ張る操作となる。すなわち、2つの操作が必要となるため、操作性がよくない。
また、ボタンを押し込む方向と集塵アタッチメントを引っ張る方向とが異なるため、鉛直な壁等に対する作業では取り外す際に誤って集塵アタッチメントを落下させてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本開示は、簡単な操作で取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる集塵アタッチメントを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、先端工具が貫通可能な吸込口を有する吸塵部と、吸塵部と連通して外部のホースが接続可能な集塵通路を有する本体部と、を含み、
本体部に、集塵通路と連通して被加工材への吸着口を開口させた吸引空間と、吸引空間を外部に開放させる空気抜き穴と、常態で空気抜き穴を閉塞し、所定の操作によって空気抜き穴を開口させる空気抜き操作部と、が設けられた集塵アタッチメントである。
そして、空気抜き操作部は、本体部を被加工材から取り外す動作と共に操作されて空気抜き穴を開口させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、空気抜き操作部による空気抜きと集塵アタッチメントの取り外しとが別々の操作とならない。よって、簡単な操作で集塵アタッチメントの取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の集塵アタッチメントの後方からの斜視図である。
図2】実施例1の集塵アタッチメントの前方からの斜視図である。
図3】実施例1の集塵アタッチメントの背面図である。
図4図3のA-A線拡大断面図である。
図5図3のB-B線拡大断面図である。
図6図3のC-C線部分拡大断面図である。
図7】空気抜きレバーの操作状態でのB-B線拡大断面図である。
図8】空気抜きレバーの操作状態でのC-C線部分拡大断面図である。
図9】実施例2の集塵アタッチメントの後方からの斜視図である。
図10】実施例2の集塵アタッチメントの背面図である。
図11図10のD-D線拡大断面図である。
図12】実施例3の集塵アタッチメントの後方からの斜視図である。
図13】実施例3の集塵アタッチメントの背面図である。
図14図13のE-E線拡大断面図である。
図15】実施例4の集塵アタッチメントの後方からの斜視図である。
図16】実施例4の集塵アタッチメントの背面図である。
図17】実施例4の集塵アタッチメントの正面図である。
図18図16のF-F線拡大断面図である。
図19図16のG-G線拡大断面図である。
図20】実施例5の集塵アタッチメントの後方からの斜視図である。
図21】実施例5の集塵アタッチメントの背面図である。
図22図21のH-H線拡大断面図である。
図23】実施例6の集塵アタッチメントの後方からの斜視図である。
図24】実施例6の集塵アタッチメントの前方からの斜視図である。
図25】実施例6の集塵アタッチメントの背面図である。
図26】実施例6の集塵アタッチメントの正面図である。
図27図25のI-I線拡大断面図である。
図28】小径のカフスを接続した実施例6の集塵アタッチメントの背面図である。
図29】大径のカフスを接続した実施例6の集塵アタッチメントの背面図である。
図30図28のJ-J線部分の拡大断面図である。
図31図29のK-K線部分の拡大断面図である。
図32】使用状態での図29のL-L線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態において、空気抜き操作部の操作方向は、本体部を被加工材から取り外す方向と同じであってもよい。
この構成によれば、空気抜き操作部による空気抜き操作と集塵アタッチメントの取り外し操作とを連続してスムーズに行うことができる。
本開示の一実施形態において、空気抜き操作部に、指掛け部が設けられていてもよい。
この構成によれば、空気抜き操作部による空気抜き操作が容易に行える。
本開示の一実施形態において、集塵通路の一部は、本体部の表面に膨出して所定方向へ直線状に延びるハンドル部を形成しており、空気抜き操作部は、ハンドル部に設けられていてもよい。
この構成によれば、ハンドル部を把持する手で空気抜き操作部による空気抜き操作と集塵アタッチメントの取り外し操作とが連続して行え、両手で操作する手間が生じない。
本開示の一実施形態において、空気抜き操作部は、ハンドル部の中心線の両側に一対設けられていてもよい。
この構成によれば、空気抜き操作部による空気抜き操作と集塵アタッチメントの取り外し操作とがバランスよく確実に行える。
本開示の一実施形態において、一対の空気抜き操作部は、一体に繋がっていてもよい。
この構成によれば、空気抜き穴を開口させるタイミングが同時となる。よって、集塵アタッチメントを取り外す際に集塵アタッチメントが回転したり傾いたりすることがなく、バランスよく操作できる。
【0011】
本開示の一実施形態において、空気抜き操作部は、1箇所であってもよい。
この構成によれば、空気抜き操作部を設けても部品点数を少なくして製造コストを抑えることができる。
本開示の一実施形態において、空気抜き操作部は、ハンドル部の中心線の両側の何れか一方に設けられ、ハンドル部を挟んだ空気抜き操作部の反対側でハンドル部に指掛け部が設けられていてもよい。
この構成によれば、空気抜き操作部を1箇所としても一対の指掛け部によって取り外しの際の操作性を損なうことがない。
本開示の一実施形態において、外部のホースは、ハンドル部に接続可能であってもよい。
この構成によれば、ホースが接続されてもハンドル部で安定して支持でき、ホースが作業の邪魔になりにくくなる。
本開示の一実施形態において、空気抜き操作部は、空気抜き穴の閉塞状態では指掛け部を除いてハンドル部の外形から突出しないものであってもよい。
この構成によれば、空気抜き操作部を設けてもハンドル部の使用感を損なうことがなく、電動工具との干渉も生じにくくなる。
本開示の一実施形態において、空気抜き操作部に、ハンドルが設けられていてもよい。
この構成によれば、ハンドルを利用して空気抜き操作部による空気抜き操作と集塵アタッチメントの取り外し操作とがより簡単に行える。
【0012】
本開示の一実施形態において、本体部は、集塵通路と吸引空間とが設けられる本体ハウジングと、本体ハウジングに設けられ、被加工材側へ突出して吸着口を形成する、弾性材料からなるパッドと、を含むものであってもよい。
そして、本体ハウジングに、被加工材側に突出し、被加工材への吸着口の吸着状態で被加工材に当接する当接部が設けられていてもよい。
この構成によれば、被加工材の表面に凹凸があってもパッドの変形で吸収でき、本体ハウジングの浮き上がりを抑えて吸着力の低下を防止することができる。
本開示の一実施形態において、吸着口を被加工材へ吸着させない状態で、当接部における被加工材側への突出面は、パッドにおける被加工材側への突出面と同一平面上であるか、或いはパッドの突出面よりも本体ハウジング側に位置しているものであってもよい。
この構成によれば、当接部を設けてもパッドによる被加工材の表面への密着を妨げることがない。
【実施例0013】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、集塵アタッチメントの一例を示す後方からの斜視図、図2は前方からの斜視図、図3は背面図である。
集塵アタッチメント1は、吸塵部2と、本体部3と、フレキシブルホース4とを有する。便宜上、吸塵部2側を上方、吸塵部2及び本体部3における後述する吸込口5及び吸着口28側を前方として説明する。
吸塵部2は、軸線が前後方向に延びる円筒状となっている。吸塵部2の前面には、吸込口5が開口している。吸塵部2の後面には、ゴムキャップ6が取り付けられている。ゴムキャップ6には、中心に位置する貫通孔7と、貫通孔7から放射方向に延びる複数の切込み8,8・・とが形成されている。
【0014】
本体部3は、本体ハウジング10と、パッド11と、内枠12と、空気抜きレバー13とを有している。
本体ハウジング10は、背面視で左右方向に広がり、上部が台形、下部が四角形の多角形状となっている。本体ハウジング10の上部には、吸塵部2との連結部14が上下方向に連設されている。本体ハウジング10の外周には、全周に亘って前方へ突出する帯状のスカート部15が形成されて、前方が開口している。
本体ハウジング10内には、図4及び図5にも示すように、上下方向に筒状の集塵通路16が形成されている。集塵通路16は、本体ハウジング10の左右方向の中央で連結部14を貫通して上端が吸塵部2の下側内面に開口している。集塵通路16の下部は、本体ハウジング10の上部から下部にかけて後方へ膨出し、本体ハウジング10の背面で下端が開口するハンドル部17となっている。本体ハウジング10の背面には、ハンドル部17から下側に連続して伸びる横断面半円状の凹部18が形成されている。
【0015】
本体ハウジング10の前面には、スカート部15よりも一回り小さい同形状の内側リブ19が形成されている。内側リブ19の内側に吸引空間20が形成されている。スカート部15と内側リブ19との間には、内側リブ19から放射状に突出する複数の連結リブ21,21・・が架設されている。ハンドル部17の上端前部には、吸引空間20と連通する連通口22が形成されている。
パッド11は、弾性材料で形成され、正面視の外形が本体ハウジング10よりやや大きい相似形状となっている。パッド11の中央には、内側リブ19に沿って同形状となる開口23が形成されている。パッド11は、本体ハウジング10の前面でスカート部15と内側リブ19との間を覆う格好で配置されている。パッド11は、外周から開口23側へ向かうに従って前面が後退する浅いテーパ状となっている。開口23の内周縁には、全周に亘って後方へ凹む薄肉部24が形成されている。
内枠12は、パッド11の薄肉部24に嵌合して薄肉部24に沿って周回するリング状である。内枠12の内周側で上下には、左右一対のネジ止め部25,25がそれぞれ形成されている。ネジ止め部25,25は、本体ハウジング10の前面で上下にそれぞれ左右一対ずつ立設されたネジボス26,26に、ネジ27,27によってそれぞれ固定される。これによりパッド11が固定されて、パッド11及び内枠12の前面には、中央の吸引空間20と連通する吸着口28が形成される。
【0016】
本体ハウジング10には、吸引空間20内に臨む空気抜き穴30が形成されている。空気抜き穴30は、上下方向に延びる長方形状で、図5及び図6に示すように、上側の左右のネジボス26,26の間で左右に2つずつ、上下に並べて配置されている。
左右の空気抜き穴30,30は、背面側ではハンドル部17の左右に位置している。ハンドル部17の左右には、側面から背面側に跨がる一対の切欠部31,31が形成されている。各切欠部31は、上下の空気抜き穴30,30を含む四角形状の領域で上下方向に延びている。空気抜き穴30,30は、本体ハウジング10を貫通して切欠部31に連通している。
【0017】
空気抜きレバー13,13は、切欠部31,31に嵌合してハンドル部17の側面から背面に跨がる四角ブロック状である。空気抜きレバー13,13は、図3及び図5に示すように、ハンドル部17の中心線Lを中心とした左右対称位置に設けられて、切欠部31,31内で前後移動可能となっている。各空気抜きレバー13の前面には、図6に示すように、切欠部31の底面に当接する前進位置で空気抜き穴30,30に嵌合して空気抜き穴30,30を閉塞する上下一対の閉栓部32,32が突設されている。
各空気抜きレバー13は、前進位置で切欠部31に嵌合してハンドル部17の外形内に収まる。但し、各空気抜きレバー13の側面と背面との間には、左右外側且つ後方へ斜めに張り出す指掛け片33が上下方向に一体形成されている。
空気抜きレバー13は、本開示の空気抜き操作部の一例である。指掛け片33は、本開示の指掛け部の一例である。
【0018】
各空気抜きレバー13は、前方へ突出するガイドピン34を備えている。各ガイドピン34は、閉栓部32,32の間で後部が空気抜きレバー13にインサート成形により一体に固定されている。本体ハウジング10における上下の空気抜き穴30の間には、前方へ突出するガイド筒35がそれぞれ形成されている。各ガイドピン34は、ガイド筒35を後方から貫通している。ガイド筒35の前方で各ガイドピン34の前端には、サークリップ36がそれぞれ取り付けられている。
各ガイド筒35の前方で各ガイドピン34の前部には、コイルバネ37が外装されている。コイルバネ37は、ガイド筒35の内周に形成した受け凹部38とサークリップ36との間に介在されている。よって、各空気抜きレバー13は、ガイドピン34がコイルバネ37により前方へ付勢されることで、常態では、閉栓部32,32が空気抜き穴30,30を閉塞する前進位置に位置している。
フレキシブルホース4は、本体ハウジング10のハンドル部17に上端が接続されている。フレキシブルホース4は、本体ハウジング10の凹部18に嵌合して下向きに延びている。フレキシブルホース4の下端には、筒状のジョイント40が取り付けられている。
【0019】
以上の如く構成された集塵アタッチメント1を使用する場合、作業者は、図4に示すように、ハンドル部17に接続したフレキシブルホース4のジョイント40に、図示しない集塵機に接続される外部のホース41を接続する。そして、作業者は、本体部3のハンドル部17を把持し、吸塵部2を加工位置に合わせて本体部3を鉛直方向の被加工材Wの表面に位置決めして、吸着口28を被加工材Wに密着させる。この状態で集塵機を運転させると、ホース41を介してフレキシブルホース4及び集塵通路16に吸引力が発生し、集塵通路16と連通する吸塵部2の吸込口5にも吸引力が発生する。
本体部3の吸引空間20は、連通口22を介して集塵通路16と連通しているため、吸引空間20内の空気が連通口22を介して集塵通路16に吸引されて吸引空間20が負圧となる。よって、吸着口28が被加工材Wの表面に吸着し、集塵アタッチメント1はそのまま被加工材Wの表面に固定される。
作業者は、吸塵部2の後方から図示しない電動工具の先端工具Tを貫通させて穿孔作業等を行う。すると、被加工材Wから発生した粉塵は、空気と共に吸込口5から吸塵部2に吸い込まれ、集塵通路16からフレキシブルホース4及びホース41を介して集塵機に集塵される。
【0020】
そして、加工位置を変える等するために集塵アタッチメント1を被加工材Wから取り外す場合、作業者は、ハンドル部17の左右の空気抜きレバー13,13の指掛け片33,33に前側から指を引っ掛けてそのまま後方へ引っ張る。すると、図7及び図8に示すように、空気抜きレバー13,13がコイルバネ37,37の付勢に抗して後退し、左右の切欠部31,31を開放して空気抜き穴30,30をそれぞれ開口させる。すると、各空気抜き穴30から吸引空間20に外気が流入して吸着力が低下するため、そのまま集塵アタッチメント1を被加工材Wから後方へ取り外すことができる。この取り外しは、空気抜きレバー13,13を指掛け片33,33を介して後方へ引っ張る操作と連続して行うことができる。
集塵アタッチメント1を取り外して空気抜きレバー13,13の引っ張りを解除すると、空気抜きレバー13,13は、コイルバネ37,37の付勢により前進位置へ移動する。よって、再び閉栓部32,32により空気抜き穴30,30が閉塞される。
【0021】
上記実施例1の集塵アタッチメント1は、先端工具Tが貫通可能な吸込口5を有する吸塵部2と、吸塵部2と連通して外部のホース41が接続可能な集塵通路16を有する本体部3と、を含む。本体部3には、集塵通路16と連通して被加工材Wへの吸着口28を開口させた吸引空間20と、吸引空間20を外部に開放させる空気抜き穴30と、常態で空気抜き穴30を閉塞し、所定の操作によって空気抜き穴30を開口させる空気抜きレバー13と、が設けられている。
そして、空気抜きレバー13は、本体部3を被加工材Wから取り外す動作と共に操作されて空気抜き穴30を開口させる。
この構成によれば、空気抜きレバー13による空気抜きと集塵アタッチメント1の取り外しとが別々の操作とならない。よって、簡単な操作で集塵アタッチメント1の取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる。
【0022】
空気抜きレバー13の操作方向は、本体部3を被加工材Wから取り外す方向と同じである。
よって、空気抜きレバー13による空気抜き操作と集塵アタッチメント1の取り外し操作とを連続してスムーズに行うことができる。
空気抜きレバー13に、指掛け片33が設けられている。
よって、空気抜きレバー13による空気抜き操作が容易に行える。
集塵通路16の一部は、本体部3の表面に膨出して上下方向へ直線状に延びるハンドル部17を形成しており、空気抜きレバー13は、ハンドル部17に設けられている。
よって、ハンドル部17を把持する手で空気抜きレバー13による空気抜き操作と集塵アタッチメント1の取り外し操作とが連続して行え、両手で操作する手間が生じない。
空気抜きレバー13,13は、ハンドル部17の中心線Lの左右両側(ここでは線対称位置)に一対設けられている。
よって、空気抜きレバー13による空気抜き操作と集塵アタッチメント1の取り外し操作とがバランスよく確実に行える。
【0023】
外部のホース41は、フレキシブルホース4を介してハンドル部17に接続可能となっている。
よって、ホース41が接続されてもハンドル部17で安定して支持でき、ホース41が作業の邪魔になりにくくなる。
空気抜きレバー13は、空気抜き穴30の閉塞状態では指掛け片33を除いてハンドル部17の外形から突出しない。
よって、空気抜きレバー13を設けてもハンドル部17の使用感を損なうことがなく、電動工具との干渉も生じにくくなる。
【0024】
上記実施例1においては、以下の変更が可能である。
空気抜きレバーによる空気抜き穴の閉塞構造は、上記例に限定しない。例えば、左右の各空気抜きレバーに設けるガイドピンを1本でなく上下2本として、ガイドピンの間に1つの閉栓部を形成し、本体ハウジングに設けた1つの空気抜き穴を閉塞するようにしてもよい。空気抜きレバーのガイドは、ガイドピンによるものに限らず、板状のガイド部を空気抜きレバーに設けてもよい。空気抜きレバーにガイド部を一体に形成してもよい。
空気抜き穴及び閉栓部の形状も適宜変更できる。空気抜き穴及び閉栓部は、長方形でなく、正方形や円形等としてもよい。
空気抜き操作部の形状も、上記例の四角ブロック状の空気抜きレバーに限定しない。空気抜き操作部は、半円ブロック状や棒状であってもよい。
指掛け部は、上記例の指掛け片のように上下方向に同じ張り出し量で形成しなくてもよい。例えば、指掛け部は、背面視を半円形状として、上下方向の中央での張り出し量を大きくしてもよい。
指掛け部は、上記例の指掛け片のように空気抜き操作部から突出する構造でなくてもよい。例えば指掛け部は、空気抜き操作部に形成される凹部であってもよい。
【実施例0025】
以下、本開示の他の実施例を説明する。但し、上記実施例1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明を省略し、異なる構成を主に説明する。
図9は、実施例2の集塵アタッチメント1Aの一例を示す後方からの斜視図、図10は背面図、図11図10のD-D線拡大断面図である。
この集塵アタッチメント1Aは、空気抜き穴30が左右一対でなく右側にのみ設けられている点が実施例1と異なる。よって、ハンドル部17においても、切欠部31及び空気抜きレバー13は、右側にのみ設けられている。ハンドル部17の左側面において、右側の空気抜きレバー13の指掛け片33に対し、中心線Lを通る上下及び前後方向の平面を中心とした対称位置には、同様の指掛け片45が形成されている。その他の構造は上記実施例1と同じである。
【0026】
よって、加工位置を変える等するために集塵アタッチメント1Aを被加工材Wから取り外す場合、作業者は、ハンドル部17の右側の空気抜きレバー13の指掛け片33と、ハンドル部17の指掛け片45とに前側から指を引っ掛けてそのまま後方へ引っ張る。すると、図11に二点鎖線で示すように、右側の空気抜きレバー13がコイルバネ37の付勢に抗して後退し、右側の切欠部31を開放して空気抜き穴30,30をそれぞれ開口させる。すると、各空気抜き穴30から吸引空間20に外気が流入して吸着力が低下するため、そのまま集塵アタッチメント1Aを被加工材Wから後方へ取り外すことができる。この取り外しは、空気抜きレバー13を指掛け片33を介して後方へ引っ張る操作と連続して行うことができる。
【0027】
上記実施例2の集塵アタッチメント1Aにおいても、空気抜きレバー13による空気抜きと集塵アタッチメント1Aの取り外しとが別々の操作とならない。よって、簡単な操作で集塵アタッチメント1Aの取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる。
特に、空気抜きレバー13は、1箇所であるため、実施例1よりも部品点数を少なくして製造コストを抑えることができる。
空気抜きレバー13は、ハンドル部17の中心線Lの右側に設けられ、ハンドル部17を挟んだ空気抜きレバー13の反対側でハンドル部17に指掛け片45が設けられている。
よって、空気抜きレバー13を1箇所としても左右の指掛け片33,45によって取り外しの際の操作性を損なうことがない。
【0028】
上記実施例2においては、上記実施例1の変更で適用できるものに加えて、以下の変更が可能である。
空気抜き穴及び空気抜きレバーは、ハンドル部の右側でなく、左側に設けてもよい。
ハンドル部に設ける指掛け部の形状も適宜変更できる。この指掛け部は、空気抜きレバーの指掛け部と異なる形状であってもよく、例えば凹部であってもよい。
【実施例0029】
図12は、実施例3の集塵アタッチメント1Bの一例を示す後方からの斜視図、図13は背面図、図14は、図13のE-E線拡大断面図である。
この集塵アタッチメント1Bは、左右の空気抜きレバー13,13が架橋部46によって繋がっている点が実施例1と異なる。架橋部46は、空気抜きレバー13の上下幅と同じ上下幅でハンドル部17の上面に沿って平面視円弧状に形成されている。架橋部46は、左右の空気抜きレバー13,13と一体成形されている。
そして、加工位置を変える等するために集塵アタッチメント1Bを被加工材Wから取り外す場合、作業者は、ハンドル部17の左右の空気抜きレバー13,13の指掛け片33,33に前側から指を引っ掛けてそのまま後方へ引っ張る。すると、図14に二点鎖線で示すように、空気抜きレバー13,13がコイルバネ37,37の付勢に抗して後退し、左右の切欠部31,31を開放して空気抜き穴30,30をそれぞれ開口させる。すると、各空気抜き穴30から吸引空間20に外気が流入して吸着力が低下するため、そのまま集塵アタッチメント1Bを被加工材Wから後方へ取り外すことができる。この取り外しは、空気抜きレバー13,13を指掛け片33,33を介して後方へ引っ張る操作と連続して行うことができる。
【0030】
上記実施例3の集塵アタッチメント1Bにおいても、空気抜きレバー13による空気抜きと集塵アタッチメント1Bの取り外しとが別々の操作とならない。よって、簡単な操作で集塵アタッチメント1Bの取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる。
特に、一対の空気抜きレバー13,13は、架橋部46によって一体に繋がっているので、空気抜き穴30,30を開口させるタイミングが常に同時となる。よって、集塵アタッチメント1Bを取り外す際に集塵アタッチメント1Bが回転したり傾いたりすることがなく、バランスよく操作できる。
【0031】
上記実施例3においては、上記実施例1の変更で適用できるものに加えて、以下の変更が可能である。
架橋部の形状は、適宜変更できる。架橋部は、例えば空気抜きレバーよりも上下幅が小さくてもよいし、大きくてもよい。
架橋部は、空気抜きレバーと別部材で形成してもよい。
【実施例0032】
図15は、実施例4の集塵アタッチメント1Cの一例を示す後方からの斜視図、図16は背面図、図17は正面図、図18は、図16のF-F線拡大断面図である。
この集塵アタッチメント1Cでは、ハンドル部17の左右ではなく、ハンドル部17の左側に、正面視が縦長長方形の空気抜き穴50が形成されている。空気抜き穴50の前側には、空気抜きレバー51が設けられている。空気抜きレバー51は、空気抜き穴50よりも一回り大きい正面視縦長長方形の板体である。空気抜きレバー51の背面には、空気抜き穴50を貫通して後方へ突出する平板状のレバー部52が、上下方向に形成されている。
本体ハウジング10の前面で空気抜きレバー51の上下および左側には、空気抜きレバー51の外周に沿って延びるガイドリブ53,53・・が突設されている。このガイドリブ53により、空気抜きレバー51は、空気抜き穴50を閉塞する左スライド位置(図18に実線で示す位置)と、空気抜き穴50を開放する右スライド位置(図18に二点鎖線で示す位置)との間をスライド可能となっている。左スライド位置では、レバー部52は空気抜き穴50の左端に当接している。
本体ハウジング10の前面で空気抜きレバー51の右側には、板バネ54が設けられている。板バネ54は、本体ハウジング10の前面に突設された上下の支持リブ55,55・・により上下端が支持されて空気抜きレバー51側に膨出している。板バネ54は、空気抜きレバー51に当接して常態で空気抜きレバー51を左スライド位置へ付勢している。
【0033】
空気抜きレバー51と板バネ54との前側には、図19にも示すように、抑え板56が設けられている。抑え板56は、空気抜きレバー51の右側と板バネ54の中央部とに跨がる形状で両者に当接している。抑え板56の上下には、一対のリング部57,57が一体形成されている。このリング部57,57は、内枠12のネジ止め部25を取り付けるための上下のネジボス26に貫通されている。下側のネジボス26は、実施例1から追加したものである。この上下のネジ止め部25をネジ27でそれぞれ固定すると、ネジ止め部25がリング部57にそれぞれ前方から当接し、抑え板56の前方への移動を規制する。よって、空気抜きレバー51及び板バネ54も、本体ハウジング10と抑え板56との間で前後方向への移動が規制される。
【0034】
そして、被加工材に吸着した集塵アタッチメント1Cを被加工材から取り外す場合、作業者は、左側のレバー部52ごとハンドル部17を把持する。すると、図18に二点鎖線で示すように、レバー部52と共に空気抜きレバー51が板バネ54の付勢に抗して右スライド位置へスライドし、空気抜き穴50を開口させる。すると、空気抜き穴50から吸引空間20に外気が流入して吸着力が低下するため、そのまま集塵アタッチメント1Cを被加工材Wから後方へ取り外すことができる。この取り外しは、ハンドル部17を把持して後方へ引っ張る操作と同時に行うことができる。
上記実施例4の集塵アタッチメント1Cにおいても、レバー部52ごとハンドル部17を把持して本体部3を被加工材Wから取り外す方向へ操作することになる。すなわち、空気抜きレバー51による空気抜きと集塵アタッチメント1Cの取り外しとが別々の操作とならない。よって、簡単な操作で集塵アタッチメント1Cの取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる。
【0035】
上記実施例4の集塵アタッチメント1Cにおいては、以下の変更が可能である。
空気抜き穴及び空気抜きレバーは、ハンドル部の左側でなく右側に設けてもよい。
空気抜き穴及び空気抜きレバーの形状は、四角形状に限らず、正方形等の他の形状であってもよい。空気抜き穴の閉塞が可能であれば、空気抜きレバーの形状は、空気抜き穴と異なるものであってもよい。
空気抜きレバーのレバー部の形状も、適宜変更できる。レバー部は、平板状でなく、例えば左右方向の外側に湾曲させてもよい。
空気抜きレバーを閉塞位置に付勢する弾性部材は、板バネに限らず、コイルバネ等の他の弾性部材も採用できる。
抑え板の形状や取付構造も適宜変更可能である。抑え板は、ネジボスを利用せずに直接本体ハウジングへネジ止めすることもできる。
抑え板は、省略することができる。この場合、ガイドリブや支持リブの前端をL字状に折曲して、空気抜きレバー等の空気抜き操作部の前後移動を規制するようにしてもよい。
【実施例0036】
図20は、実施例5の集塵アタッチメント1Dの一例を示す後方からの斜視図、図21は背面図、図22は、図21のH-H線拡大図である。
この集塵アタッチメント1Dは、左右の空気抜きレバー13,13に、指掛け片に代えて、両者を連結するハンドル60を設けている点が実施例1と異なっている。ハンドル60は、平面視四角形状で、左右の腕部61,61の前端が空気抜きレバー13,13にそれぞれ一体に連結されてループ状となっている。空気抜きレバー13,13は、架橋部46によって繋げられている。
また、ここでは空気抜きレバー13に閉栓部が設けられておらず、ガイドピン34の中間部位に、後方へ向かうに従って大径となるテーパ部62が設けられている。空気抜きレバー13,13の前進位置では、テーパ部62,62の後端の大径部分が円形の空気抜き穴30,30に嵌合して空気抜き穴30,30を閉塞するようになっている。
【0037】
よって、加工位置を変える等するために集塵アタッチメント1Dを被加工材から取り外す場合、作業者は、ハンドル60を把持してそのまま後方へ引っ張る。すると、図22に二点鎖線で示すように、空気抜きレバー13,13及びテーパ部62,62がコイルバネ37,37の付勢に抗して後退し、左右の切欠部31,31を開放して空気抜き穴30,30をそれぞれ開口させる。すると、各空気抜き穴30から吸引空間20に外気が流入して吸着力が低下するため、そのまま集塵アタッチメント1Dを被加工材Wから後方へ取り外すことができる。この取り外しは、ハンドル60を後方へ引っ張る操作と連続して行うことができる。
【0038】
上記実施例5の集塵アタッチメント1Dにおいても、空気抜きレバー13による空気抜きと集塵アタッチメント1Dの取り外しとが別々の操作とならない。よって、簡単な操作で集塵アタッチメント1Dの取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる。
特に、空気抜きレバー13に、ハンドル60が設けられているので、ハンドル60を利用して空気抜きレバー13による空気抜き操作と集塵アタッチメント1Dの取り外し操作とがより簡単に行える。
【0039】
上記実施例5においては、上記実施例1の変更で適用できるものに加えて、以下の変更が可能である。
ハンドルの形状は、上記例に限定しない。ハンドルは、例えば平面視半円形等の他の形状であってもよい。ハンドルは、平面視をL字状又は逆T字状として架橋部に連結することもできる。但し、架橋部は、ハンドルの設置に支障がなければ省略することができる。
空気抜き穴の閉塞は、ガイドピンに設けたテーパ部に限らない。実施例1と同様に空気抜きレバーに閉栓部を設けてもよい。逆に、実施例1~3において、空気抜きレバーの閉栓部に代えてガイドピンにテーパ部を設けて円形の空気抜き穴を閉塞させてもよい。
【実施例0040】
図23は、実施例6の集塵アタッチメント1Eの一例を示す後方からの斜視図、図24は前方からの斜視図である。図25は、集塵アタッチメント1Eの背面図、図26は正面図である。
この集塵アタッチメント1Eは、実施例2と同様に、上下の空気抜き穴30,30が左右一対でなく右側にのみ設けられている。本体ハウジング10は、背面視が円形状となっている。よって、パッド11及び内枠12も正面視が円形であるが、パッド11及び内枠12の上端は、左右方向の直線となる面取り状となっている。
内枠12の前面で上下左右には、前方(被加工材W側)へ突出する4つの当接部65,65・・が形成されている。上側の当接部65は、内枠12の上端形状に合わせて左右方向へ延びている。他の下側及び左右の3つの当接部65,65・・は、内枠12の周方向へ円弧状に延びている。
各当接部65は、被加工材Wへの吸着前では、図27に示すように、前面がパッド11の前端面よりもやや後側に位置する突出高さで形成されている。この状態でパッド11のテーパ状部分は、本体ハウジング10のスカート部15に当接しない位置にある。当接部65の前面は、本開示の当接部における被加工材側への突出面の一例である。パッド11の前端面は、本開示のパッドにおける被加工材側への突出面の一例である。
【0041】
一方、フレキシブルホース4に接続されるジョイント40は、上部が最大径の大径部66、中間が中径部67、下部が最小径の小径部68となる三段径となっている。中径部67の外周には、肉盗みによる溝が周方向に形成されている。小径部68の外周には、リング状の外リブ69,69・・が軸方向に複数形成されている。
このため、ジョイント40には、図28に示す小径のカフス80と、図29に示す大径のカフス81との何れも接続できるようになっている。
小径のカフス80は、図30に示すように、先端を小径部68に外装させることで接続できる。カフス80の内周面には、リング状の内リブ82,82・・が、軸方向に複数形成されている。内リブ82は、小径部68への接続状態で外リブ69,69の間に係合して抜け止め作用を生じさせる。
大径のカフス81は、図31に示すように、先端を大径部66の手前で中径部67に外装させて押し込むことで接続できる。
よって、作業者は、外部のホース41の先端がカフス80とカフス81との何れであっても、1つのジョイント40で対応でき、カフス80,81に合わせてジョイント40を使い分ける必要がなくなる。
【0042】
そして、作業者が本体部3を被加工材Wの表面に吸着させて作業を行う場合、内枠12の各当接部65は、図32に示すように、前面が被加工材Wの表面に当接してそれ以上の本体ハウジング10の前進を規制する。よって、パッド11が本体ハウジング10のスカート部15との間で押しつぶされることがなくなり、スカート部15との非接触状態が維持される。
パッド11がスカート部15に接触した状態であると、被加工材Wの表面に凸形状がある場合、パッド11と共にスカート部15も凸部に乗り上がってパッド11と被加工材Wの表面との間の隙間を広げてしまい、吸着力を低下させるおそれが生じる。
しかし、ここでは当接部65によって本体ハウジング10の前方位置を規制してパッド11とスカート部15との非接触状態を維持している。このため、被加工材Wの表面に凸形状があっても、パッド11のみが変形し、本体ハウジング10の浮き上がりを防止して吸着力を低下させることがなくなる。
【0043】
一方、加工位置を変える等するために集塵アタッチメント1Eを被加工材Wから取り外す場合、作業者は、ハンドル部17の右側の空気抜きレバー13の指掛け片33と、ハンドル部17の左側の指掛け片33Aとに前側から指を引っ掛けてそのまま後方へ引っ張る。すると、図32に二点鎖線で示すように、右側の空気抜きレバー13がコイルバネ37の付勢に抗して後退し、右側の切欠部31を開放して空気抜き穴30,30をそれぞれ開口させる。すると、各空気抜き穴30から吸引空間20に外気が流入して吸着力が低下するため、そのまま集塵アタッチメント1Eを被加工材Wから後方へ取り外すことができる。この取り外しは、空気抜きレバー13を指掛け片33を介して後方へ引っ張る操作と連続して行うことができる。
【0044】
上記実施例6の集塵アタッチメント1Eにおいても、空気抜きレバー13による空気抜きと集塵アタッチメント1Eの取り外しとが別々の操作とならない。よって、簡単な操作で集塵アタッチメント1Eの取り外しが行えると共に、取り外しの際の不意の落下も効果的に防止可能となる。
特に、本体部3は、集塵通路16と吸引空間20と空気抜き穴30と空気抜きレバー13とが設けられる本体ハウジング10と、本体ハウジング10の前側に設けられるリング状の内枠12と、内枠12の外周を囲んで前方へ突出して吸着口28を形成する、弾性材料からなるパッド11と、を含む。
そして、内枠12に、本体ハウジング10よりも前方に突出し、被加工材Wへの吸着口28の吸着状態で被加工材Wに当接する当接部65が設けられている。
よって、被加工材Wの表面に凹凸があってもパッド11の変形で吸収でき、本体ハウジング10の浮き上がりを抑えて吸着力の低下を防止することができる。
吸着口28を被加工材Wへ吸着させない状態で、当接部65の前面は、パッド11の前端面よりも本体ハウジング10側に位置している。
よって、当接部65を設けてもパッド11による被加工材Wの表面への密着を妨げることがない。
【0045】
上記実施例6においては、上記実施例2の変更で適用できるものに加えて、以下の変更が可能である。
当接部の数及び形状は、適宜変更できる。例えば、当接部は、上記例よりも内枠の周方向に長く延ばしたり、逆に短くしたりしてもよい。
上記例では、吸着前の状態で当接部の前面をパッドの前端面よりもやや後方に位置させているが、吸着前の状態で当接部の前面が、パッドの前端面と同一平面(ここでは上下左右方向で規定される平面)上に位置するようにしてもよい。
当接部については、上記例のように空気抜き穴と空気抜き操作部とを備える集塵アタッチメントへの適用に限らない。
すなわち、先端工具が貫通可能な吸込口を有する吸塵部と、吸塵部と連通して外部のホースが接続可能な集塵通路を有すると共に、当該集塵通路と連通して被加工材への吸着口を開口させた吸引空間を備える本体部と、を含み、本体部が、集塵通路と吸引空間とが設けられる本体ハウジングと、本体ハウジングに設けられ、被加工材側へ突出して吸着口を形成する、弾性材料からなるパッドと、を含む集塵アタッチメントであれば、当接部は適用対象となる。
この場合、当接部は、被加工材側に突出して、被加工材への吸着口の吸着状態で被加工材に当接するものであれば、内枠に設ける上記例に限らず、内枠以外の本体ハウジングに設けてもよい。
ジョイントは、集塵機側のホースのカフス形状に合わせて適宜変更できる。例えば径が異なる段数を増やして3種類以上のカフスに対応して接続可能としてもよい。ジョイントとカフスとの接続は、リブ同士の係合や押し込みによる接続に限らない。例えば接続構造として、ネジ結合やバヨネット結合も採用できる。
【0046】
各実施例に共通して、以下の変更が可能である。
吸塵部及び本体部の形状は、適宜変更できる。例えば本体部は、背面視多角形や円形でなく、正方形や長方形、三角形、長円形といった他の形状も採用できる。
吸着口の形状も適宜変更できる。
パッド及び内枠も、形状や取付構造は適宜変更可能である。
フレキシブルホースは、省略してもよい。この場合、外部のホースをハンドル部の下端に直接接続すればよい。
各実施例では、集塵アタッチメントを鉛直方向の被加工材に吸着させる例としているが、被加工材が傾斜していたり、水平方向であったりしても本開示の集塵アタッチメントは使用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1,1A~1E・・集塵アタッチメント、2・・吸塵部、3・・本体部、5・・吸込口、10・・本体ハウジング、11・・パッド、12・・内枠、13,51・・空気抜きレバー、16・・集塵通路、17・・ハンドル部、20・・吸引空間、22・・連通口、28・・吸着口、30,50・・空気抜き穴、31・・切欠部、32・・閉栓部、33,45・・指掛け片、34・・ガイドピン、35・・ガイド筒、37・・コイルバネ、41・・ホース、46・・架橋部、60・・ハンドル、65・・当接部、80,81・・カフス、W・・被加工材。
図1
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