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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026301
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】ドアクローザ
(51)【国際特許分類】
   E05F 3/10 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
E05F3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080962
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2023129090の分割
【原出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】中前 友裕
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050FA01
2E050GA04
2E050JA01
2E050KA02
(57)【要約】
【課題】前後方向の寸法を容易に小さくすることができるカム式のドアクローザを提供する。
【解決手段】作動油を収容するハウジングと、ハウジングに回転可能に支持され、扉の開閉動作に連動して回転する主軸と、主軸と一体に回転するカムと、カムに接触し、カムの回転により主軸と直交する第一直交方向に移動するカムフォロアであるコロ15と、コロ15の移動により、開扉時に蓄勢され、閉扉時にコロ15及びカムを介して主軸に閉じ力を付与するバネと、コロ15の外周面に当接してコロ15の第一直交方向の移動を案内するコロ案内面77と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の開閉動作に連動して回転する主軸と、
主軸と一体に回転するカムと、
ラックアンドピニオン機構により、主軸の回転に伴って主軸と直交する第一直交方向に移動するピストンと、
扉が開くときに弾性変形し、扉が閉じるときに復元して閉じ力を発生するバネと、
カムとバネの間に配置され、カムの回転に伴って第一直交方向に移動するスライダと、を備え、
閉扉状態において、ピストンはスライダの外周部から離れており、
扉が開くときに、閉扉状態から所定の開き角度までは、カムがスライダを介してバネを弾性変形させ、所定の開き角度になると、ピストンがスライダの外周部に当接し、所定の開き角度を越えると、ピストンがスライダを介してバネを弾性変形させる、ドアクローザ。
【請求項2】
スライダの外周部にバネが当接している、請求項1記載のドアクローザ。
【請求項3】
スライダは、スライダ主部と、スライダ主部よりも大径のスライダヘッド部と、を有し、スライダヘッド部の外周部にバネに当接しており、
閉扉状態において、ピストンはスライダヘッド部の外周部から離れており、
扉が開くときに、所定の開き角度になると、ピストンがスライダヘッド部の外周部に当接する、請求項2記載のドアクローザ。
【請求項4】
スライダは、スライダ本体と、スライダ本体に対して第一直交方向に相対移動可能に設けられ、スライダヘッド部の外周部を構成するヘッドスリーブと、を備え、
扉が開くときに、閉扉状態から所定の開き角度までは、スライダ本体とヘッドスリーブは第一直交方向に一体となって移動し、所定の開き角度になると、ピストンがヘッドスリーブに当接し、所定の開き角度を越えると、ピストンがヘッドスリーブをスライダ本体に対して相対移動させてバネを弾性変形させる、請求項3記載のドアクローザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カムを備えたドアクローザに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1においては、主軸にカムが設けられている。カムを備えたドアクローザは、扉の閉じ際に大きな閉じ力を発生させることができるという利点を有している。カムは、カムフォロアであるコロを押す。コロはスライダに回転自在に支持されている。カムがコロを押すことで、スライダがハウジングに案内されて、左右方向に移動する。左右方向は、主軸と直交する第一直交方向であり、前後方向は、主軸及び左右方向と直交する第二直交方向である。開扉時には、スライダが例えば右側に移動してバネを圧縮させる。閉扉時には、バネの閉じ力がスライダ、コロ及びカムを介して主軸に伝達され、扉を自動的に閉じることができる。コロは、スライダの前後方向の内側に位置しており、ハウジングによって案内されるスライダの被案内面は、コロの回転中心軸の前後方向の両側に位置している。そのため、ドアクローザの前後方向の寸法を小さくすることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5-20547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前後方向の寸法を容易に小さくすることができるカム式のドアクローザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るドアクローザは、作動油を収容するハウジングと、ハウジングに回転可能に支持され、扉の開閉動作に連動して回転する主軸と、主軸と一体に回転するカムと、カムに接触し、カムの回転により主軸と直交する第一直交方向に移動するカムフォロアであるコロと、コロの移動により、開扉時に蓄勢され、閉扉時にコロ及びカムを介して主軸に閉じ力を付与するバネと、コロの外周面に当接してコロの第一直交方向の移動を案内するコロ案内面と、を備える。
【0006】
この構成によれば、コロ案内面がコロの外周面に当接してコロを直接案内する。そのため、コロの前後方向(第二直交方向)の外側に、コロと一体に移動するスライダ等の別途の部材を配置する必要がなくなる。
【0007】
特に、コロに対してバネ側に離れた位置に設けられた被案内面を有し、コロと一体に第一直交方向に移動するスライダと、被案内面を案内するスライダ案内面と、を備えることが好ましい。この構成によれば、スライダの被案内面とコロの外周面が案内され、コロとスライダが一体となって左右方向(第一直交方向)に移動する。また、スライダの被案内面とコロの外周面が左右方向に離間しているので、コロとスライダが左右方向に離間した二箇所で案内されることになる。そのため、コロ及びスライダがスムーズに左右方向に移動でき、バネの閉じ力が無駄なくカム及び主軸に伝達されることになる。
【0008】
更に、コロ案内面は、少なくとも扉の閉じ際においてコロを案内することが好ましい。閉じ際(開き始め)においては、コロにはカムから大きな力が作用する。しかも、閉じ際においてカムからコロに作用する力の方向は、左右方向に対して前後方向に傾斜している。そのため、閉じ際においてコロ案内面がコロの外周面を案内することにより、コロの左右方向の移動がスムーズになる。従って、バネによる閉じ力がカム及び主軸に無駄なく付与されることになる。
【0009】
また、ラックアンドピニオン機構により、主軸の回転に伴って第一直交方向に移動するピストンを備え、ピストンにコロ案内面が設けられていることが好ましい。この構成によれば、ピストンを左右方向に大きなストロークで移動させることができる。そのため、ピストンで作動油を容易に移動させることができ、作動油によって閉扉速度を容易に調整することができる。そして、ピストンにコロ案内面が設けられているので、ピストンとコロを前後方向に重なるように配置でき、ピストンを備えていても、前後方向の寸法が過度に大きくなること防止できる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、カム式のドアクローザにおいて前後方向の寸法を容易に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態におけるドアクローザの開扉角度が0度の状態を示す断面図であって、(a)は平面側から見た断面図、(b)は正面側から見た断面図。
図2】(a)及び(b)は、それぞれ図1(a)及び(b)の要部拡大図。
図3図2のA-A断面図。
図4図2のB-B断面図。
図5】(a)及び(b)は、同ドアクローザのピストンとコロとスライダを示す斜視図。
図6】同ドアクローザのピストンを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のC-C断面図、(c)は(b)のD-D断面図。
図7】同ドアクローザの開扉角度が5度の状態を示す断面図であって、(a)は平面側から見た断面図、(b)は正面側から見た断面図。
図8】同ドアクローザの開扉角度が60度の状態を示す断面図であって、(a)は平面側から見た断面図、(b)は正面側から見た断面図。
図9】同ドアクローザの開扉角度が80度の状態を示す断面図であって、(a)は平面側から見た断面図、(b)は正面側から見た断面図。
図10】同ドアクローザの開扉角度が120度の状態を示す断面図であって、(a)は平面側から見た断面図、(b)は正面側から見た断面図。
図11】(a)は、同ドアクローザの開扉角度が5度の状態を示す要部断面図、(b)は要部の模式図。
図12】本発明の他の実施形態におけるドアクローザの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかるドアクローザについて図1図11を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるドアクローザは、図1に示すように、ドアクローザ本体1と取付板2とアーム3を備えている。ドアクローザ本体1は、扉あるいは扉枠に取り付けられる。扉は、例えば上下方向の軸線まわりに回動する。例えば扉にドアクローザ本体1が取り付けられる場合には、扉枠には左右方向(水平方向)に延びる図示しないレールが取り付けられる。本実施形態のドアクローザは、コンシールドタイプのものであり、ドアクローザ本体1は、扉の内部に配置される。ドアクローザ本体1は、取付板2を介して扉にネジ止めされる。取付板2は、ドアクローザ本体1の上面にネジ止めされている。尚、左右方向(第一直交方向X)は、扉の面に沿った方向であって、扉の回転中心に対して径方向である。また、前後方向(第二直交方向Y)は、扉の面に対して法線方向である。
【0013】
図1及び図2は、扉が全閉状態(開扉角度が0度)のときのドアクローザを示している。ドアクローザ本体1は、ハウジング10と、主軸11と、ピストン12と、カム13と、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオンギヤ14と、コロ15と、スライダ16と、メインコイルバネ17と、サブコイルバネ18と、バネ力調整機構19とを備えている。コロ15とスライダ16は、カムフォロアである。
【0014】
ハウジング10は、全体として、左右方向に長い横長の直方体形状である。尚、図1において、向かって右側を単に右側と称し、向かって左側を単に左側と称する。本実施形態において、扉の回動中心は、ドアクローザ本体1に対して左側に位置するが、右側に位置してもよい。
【0015】
ハウジング10は、左右方向に延びる一つの収容室20を有している。収容室20に、ピストン12とコロ15とスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18が配置されている。収容室20の左右両端部にはそれぞれエンドキャップ21,22が装着されている。収容室20には作動油が入れられている。取付板2は、ハウジング10にネジ止めされている。収容室20は、平面視において左右方向に延びる中心線CLを有している。図1(a)及び図2(a)のような平面視において、収容室20の中心線CL上に、主軸11とピストン12とコロ15とスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18が配置されている。従って、主軸11とピストン12とコロ15とスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18は、平面視において、左右方向に沿った同一線上に位置している。但し、中心線CLに対して主軸11やコロ15等が前後方向に位置ずれして配置されていてもよい。また、図1(b)のような正面視において、ピストン12とスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18は、左右方向に沿った同一線上に位置していて、上下方向において同一高さにある。
【0016】
主軸11は、ハウジング10に回転可能に支持されている。主軸11は、図1のようにハウジング10の左右方向の中央よりも左側に偏って配置されている。主軸11は、図1(a)及び図2(a)のように、ハウジング10の前後方向の略中央に位置していて、具体的には、中心線CL上に位置している。主軸11は、上下方向の軸線まわりに回転する。主軸11の上端部は、ハウジング10から上方に突出していると共に取付板2からも上方に突出している。その主軸11の上端部に、アーム3の第一端部が相対回転不能に取り付けられている。アーム3の第二端部は、上述したレールに係合している。扉が回動すると、アーム3の第二端部がレールに案内されつつ左右方向にスライドする。扉の開閉動作に伴って、主軸11はアーム3と共に回転する。
【0017】
図3にも示しているように、ハウジング10の天面部と底面部にはそれぞれ第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24が取り付けられている。第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24は、それぞれ円筒状である。第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24は、同軸上に配置されている。第一軸受けホルダ23は、その内周面に第一軸受け25を保持している。第二軸受けホルダ24は、その内周面に第二軸受け26を保持している。第一及び第二軸受け25,26は、ニードルベアリングであることが好ましく、特に、総コロタイプのニードルベアリングであることが好ましい。第一軸受け25は、第二軸受け26よりも大径である。主軸11は、第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24にそれぞれ第一軸受け25と第二軸受け26を介して回転可能に支持されている。主軸11の下端部は、第二軸受けホルダ24から下側に突出していない。主軸11の上端部は、第一軸受けホルダ23から上側に所定長さ突出している。
【0018】
主軸11は、上下二分割の構成である。主軸11は、上側に位置する第一軸部材30と、下側に位置する第二軸部材31とを備えている。第一軸部材30と第二軸部材31は、互いに別体である。第一軸部材30と第二軸部材31は、互いに相対回転不能に連結されている。第一軸部材30は第一軸受け25に支持されている。第一軸部材30の上端部にアーム3がネジ止めされる。第一軸部材30は、下側に開口する接合孔を有し、その接合孔には縦セレーションが形成されている。尚、縦セレーションの形状、構成は任意であるが、本実施形態では多角形であって、具体的には六角形である。この接合孔に、第二軸部材31が挿入されて相対回転不能に連結される。
【0019】
第二軸部材31には、カム13と、ピニオンギヤ14が設けられている。カム13は、上下一対設けられていて、互いに上下に離間して配置されている。ピニオンギヤ14は上下一対のカム13同士の間に位置し、カム13は、ピニオンギヤ14に対して上下対称に配置されている。カム13は、第二軸部材31とは別体である。但し、カム13が第二軸部材31に一体的に形成されていてもよい。ピニオンギヤ14は、第二軸部材31に一体的に形成されている。但し、ピニオンギヤ14が第二軸部材31と別体の構成であってもよい。
【0020】
ピニオンギヤ14は、第二軸部材31の上下方向の中間部に位置している。ピニオンギヤ14は、外周面の全周のうち所定角度範囲のみに歯部を有しており、その他の領域には歯部が形成されていない。即ち、ピニオンギヤ14の外周面は、歯部が形成された歯部形成領域と、歯部が形成されずに滑面とされた歯部非形成領域とに区分される。ピニオンギヤ14は、収容室20の上下方向の略中央に位置している。
【0021】
第二軸部材31は、ピニオンギヤ14から上側に延びる上軸部と、ピニオンギヤ14から下側に延びる下軸部とを有している。上軸部の外周面と下軸部の外周面に、それぞれ縦セレーション32が形成されている。上述のように、本実施形態では縦セレーション32は六角形であり、従って、上軸部と下軸部は六角柱となっている。カム13の内周面には縦セレーションが形成されており、上軸部と下軸部にそれぞれカム13が相対回転不能に装着されている。上側のカム13の下端面と下側のカム13の上端面は、それぞれピニオンギヤ14の上端面と下端面に当接している。上軸部が第一軸部材30の接合孔に挿入されている。第一軸部材30の下端面は、上側のカム13の上端面に当接している。第一軸部材30の下端面とピニオンギヤ14の上端面とにより上側のカム13の上下方向の移動が規制されている。下軸部の下部にはカラー33が相対回転不能に装着され、カラー33の外周面が第二軸受け26に支持されている。
【0022】
カム13は、開扉動作時にはメインコイルバネ17及びサブコイルバネ18を圧縮させ、閉扉動作時にはメインコイルバネ17及びサブコイルバネ18からその弾性復元力を受ける。メインコイルバネ17及びサブコイルバネ18の弾性復元力は、カム13を介して主軸11に伝達されて扉を閉じるための閉じ力となる。カム13は、その外周面をカム面とする板カムである。扉の開閉動作において、カム13の全周のうち所定角度領域のみが使用される。
【0023】
カム13の右側に、上下一対のコロ15と、スライダ16が配置されている。コロ15とスライダ16は、メインコイルバネ17及びサブコイルバネ18とカム13との間に位置している。コロ15は、スライダ16に対して左側、即ち、主軸11側に位置している。コロ15は、カム13に対応して上下に配置されている。上下一対のコロ15は、それぞれ上下一対のカム13と当接している。コロ15は、支軸40に回転可能に支持されている。支軸40は、上下方向に沿った軸線を有している。支軸40は、主軸11と平行である。支軸40は、スライダ16の左部に固定されている。コロ15とスライダ16は、支軸40を介して連結されていて、一体となって左右方向に移動する。
【0024】
スライダ16は、図5にも示しているように、主軸11側から順に、軸取付部41とスライダ主部42とスライダヘッド部43とを有している。軸取付部41とスライダ主部42とスライダヘッド部43は、それぞれスライダ16の左部、中央部、右部を構成している。軸取付部41は、スライダ主部42から左側に向けて延びている。軸取付部41は、上下方向を板厚方向とする板状である。軸取付部41に支軸40が取り付けられている。コロ15は、軸取付部41の上側と下側に上下対称に配置されている。尚、上下のコロ15は、互いに同一径である。
【0025】
スライダ主部42は、左右方向に沿って延びている。スライダ主部42は、左右方向の軸線を有する円柱状である。スライダ主部42には、左右方向に沿って長い長孔44が形成されている。長孔44は、スライダ主部42を前後方向に貫通している。尚、スライダ主部42の外周面の前後には、局所的にDカットされて上下方向に沿う平面部45が形成されている。前後の平面部45は互いに平行関係にある。このようにスライダ主部42の外周面に平面部45を設けることにより、作動油がスムーズに左右方向に移動できる。長孔44は、前後の平面部45に開口している。
【0026】
スライダヘッド部43は、スライダ主部42から右側に同軸に延びている。スライダヘッド部43は、スライダ主部42よりも径方向外側に突出している。スライダヘッド部43は、円柱状あるいは円筒状であって、スライダ主部42よりも大径である。スライダヘッド部43の外周面は、ハウジング10の内面(収容室20の壁面20a)によって案内される被案内面43aである。スライダ16が左右方向に移動する際、被案内面43aがハウジング10の内面と摺動する。尚、作動油が通過できるように、スライダヘッド部43の外周面の全周のうち一部が局所的に切り欠かれていてもよく、例えばDカットされた平面部が設けられていてもよい。
【0027】
スライダヘッド部43は、スライダ16に一体に形成されていてもよいが、本実施形態では、別部材の構成となっている。即ち、図5(b)のように、スライダ16は、スライダ本体46と、スライダ本体46とは別体構成のヘッドスリーブ47とを備えている。ヘッドスリーブ47がスライダヘッド部43の外周部を構成し、ヘッドスリーブ47の外周面が被案内面43aとなる。ヘッドスリーブ47は、スライダ本体46に左右方向に移動可能に装着され且つ回転不能に装着される。スライダ本体46は、軸取付部41とスライダ主部42を有すると共に、軸部48が設けられている。軸部48は、スライダ本体46の右端部に設けられている。軸部48は、スライダ主部42よりも小径であって、スライダ主部42から右側に同軸に延びている。スライダ主部42と軸部48との境界部には段差部50が形成されている。
【0028】
ヘッドスリーブ47は、円筒状であって、軸部48の径方向外側に左右方向に沿ってスライド可能に装着される。ヘッドスリーブ47は、左右方向(ヘッドスリーブ47の軸線方向)に貫通した装着孔47aを有している。装着孔47aの全周のうちの所定箇所には径方向外側に凹設された回り止め溝47bが形成されている。一方、軸部48の外周面には径方向外側に突出する回り止め凸部48aが設けられている。回り止め凸部48aは軸部48と一体に形成されてもよいが、本実施形態では軸部48にピンを径方向に取り付けることにより形成される。軸部48の外周面から突出するピンの突出部により回り止め凸部48aが形成される。尚、回り止め溝47b及び回り止め凸部48aは一箇所に設けられてもよいし、二箇所以上に設けられてもよい。回り止め溝47bに回り止め凸部48aが係合することにより、軸部48に対してヘッドスリーブ47が相対回転できなくなる。
【0029】
図5(a)のようにスライダ主部42と軸部48との間の段差部50にヘッドスリーブ47の左端面47c(主軸11に近い側の端面)が当接することにより、ヘッドスリーブ47はそれ以上スライダ本体46に対して左側に移動できず、スライダ本体46に対するヘッドスリーブ47の左右方向の位置が定まる。この状態がヘッドスリーブ47の基準状態である。尚、ヘッドスリーブ47の左端面47cについては、図5の他、図2にも示している。図5(b)は、スライダ本体46からヘッドスリーブ47を取り外した状態である。ヘッドスリーブ47はスライダ本体46には固定されていない。そのため、ヘッドスリーブ47はスライダ本体46に対して左右方向にスライド移動可能である。ヘッドスリーブ47は、図5(a)のようにスライダ主部42に装着された状態から、右側に向けてスライダ主部42から離れるようにスライドできる。尚、本実施形態では、図5(b)のように、スライダ主部42に形成された長孔44は軸部48まで延びている。但し、長孔44が軸部48まで延びていなくてもよい。
【0030】
スライダ16の右側にメインコイルバネ17及びサブコイルバネ18が配置されている。サブコイルバネ18は、メインコイルバネ17の内側に同軸に配置されている。メインコイルバネ17及びサブコイルバネ18は、扉を閉じるための閉じ力を発生させる。メインコイルバネ17及びサブコイルバネ18は、スライダ16、コロ15及びカム13を左側に付勢している。メインコイルバネ17及びサブコイルバネ18は、圧縮バネである。サブコイルバネ18は、メインコイルバネ17よりも小径であって且つバネ力が弱い。扉を閉じるための閉じ力は、メインコイルバネ17の弾性復元力とサブコイルバネ18の弾性復元力の合力となる。尚、メインコイルバネ17の弾性復元力は、サブコイルバネ18の弾性復元力よりも大きい。メインコイルバネ17の左端部はヘッドスリーブ47に当接してヘッドスリーブ47を左側に押し、サブコイルバネ18の左端部は軸部48に当接してスライダ本体46を左側に押している。
【0031】
メインコイルバネ17の右端部はバネ押さえ60に当接している。バネ押さえ60は、メインコイルバネ17の右側に位置している。バネ押さえ60は、収容室20の壁面20aに案内されて左右方向に移動可能である。バネ押さえ60を調整軸61が左右方向に貫通している。調整軸61は、雄ネジ部を有し、バネ押さえ60の雌ネジ部に螺合している。調整軸61を回転させることによりバネ押さえ60を左右方向に移動させることができる。バネ押さえ60が左側に移動するとメインコイルバネ17が圧縮されてバネ力が強くなる。逆に、バネ押さえ60が右側に移動するとメインコイルバネ17の圧縮量が減少してバネ力が弱くなる。調整軸61の左端部にはバネ押さえ用のフランジ部61aが形成されている。サブコイルバネ18の右端部は調整軸61のフランジ部61aに当接している。
【0032】
調整軸61は右側のエンドキャップ22を貫通している。調整軸61は、エンドキャップ22に回転可能に支持されている。調整軸61の右端部はエンドキャップ22の外側に突出していて、その右端部に第一調整ギヤ62が取り付けられている。第一調整ギヤ62は第二調整ギヤ63と噛み合っている。第二調整ギヤ63は、取付板2の下側に位置している。取付板2に操作軸64が回転可能に支持されている。操作軸64の下端部に第二調整ギヤ63が取り付けられている。取付板2の上側から操作軸64を回転操作することにより、第二調整ギヤ63を回転させることができる。第二調整ギヤ63を介して第一調整ギヤ62を回転させることにより、調整軸61を回転させてバネ押さえ60を移動させることができる。本実施形態において、バネ押さえ60、調整軸61、第一調整ギヤ62、第二調整ギヤ63、及び、操作軸64により、バネ力調整機構19が構成されている。尚、調整軸61を回転させても調整軸61のフランジ部61aは左右方向に移動しない。そのため、調整軸61を回転させることでメインコイルバネ17のバネ力を調整することができるが、サブコイルバネ18のバネ力は調整することができない。
【0033】
収容室20には発泡ゴム65が収容されている。発泡ゴム65は、作動油の温度上昇による膨張を吸収するためのものである。発泡ゴム65は例えば棒状である。発泡ゴム65は例えばサブコイルバネ18の内側に配置される。
【0034】
ピストン12は、閉扉動作を緩衝する。ピストン12は、閉扉動作時に作動油を図示しない流量制御流路に押し流すことにより、閉扉動作を緩衝する。ピストン12は、左端部に第一ヘッド部70を有している。第一ヘッド部70は、主軸11よりも左側に位置している。第一ヘッド部70は左右方向を軸線とする円柱状である。第一ヘッド部70の外周面は、収容室20の壁面20aと略同一径である。第一ヘッド部70の外周面は、収容室20の壁面20aに案内される。ピストン12が移動する際、第一ヘッド部70の外周面は収容室20の壁面20aと摺動する。
【0035】
第一ヘッド部70の中心部分には軸線方向(左右方向)に沿って貫通孔71が形成されている。この貫通孔71には逆止弁が設けられている。開扉動作時にピストン12は右側に移動する。開扉動作時に逆止弁の弁体であるボール72が左側に移動して弁を開き、作動油は貫通孔71を挿通できる。一方、閉扉動作時にはピストン12は左側に移動する。閉扉動作時には逆止弁のボール72が作動油の油圧によって右側に押されて貫通孔71を閉じ、作動油は貫通孔71を挿通できない。閉扉動作時にピストン12によって左側に押される作動油は、迂回路である流量制御流路に押し込まれる。作動油は、流量制御流路を通って第一ヘッド部70よりも右側の領域に移動する。流量制御流路には、流量制御流路を流れる作動油の流量を制御するための図示しない調整弁が配置されている。調整弁はハウジング10の上側から調整可能である。流量制御流路を流れる作動油の流量を制御することにより、閉扉動作時の緩衝の程度を調整することができる。尚、第一ヘッド部70には、外力によって強制的に閉扉された際の破損対策として、安全弁80が設けられている。
【0036】
図6にピストン12を単体の状態で示している。ピストン12は、第一ヘッド部70の右側に、前後一対の腕部73を有している。一対の腕部73は互いに平行である。腕部73の外面は、断面視円弧状の曲面である。腕部73の外面は、その一部が収容室20の壁面20aと摺動する。腕部73は、左右方向に沿って直線状に延びている。腕部73は、主軸11を右側に越えて延びている。一方の腕部73の内面に、ピニオンギヤ14と共にラックアンドピニオン機構を構成するラック74が形成されている。ラック74はピニオンギヤ14と噛み合っている。扉の開閉動作に伴って主軸11が回転すると、ピニオンギヤ14は、ピストン12を左右方向に移動させる。主軸11が回転すると、コロ15及びスライダ16とピストン12は何れも同じ方向に移動する。その移動量は、ピストン12の方がコロ15及びスライダ16よりも大きい。そして、ピストン12は、コロ15及びスライダ16に対して、開扉動作時には相対的に右側に大きく移動し、閉扉動作時には相対的に左側に大きく移動する。
【0037】
ピストン12は、右端部に第二ヘッド部75を有している。腕部73は、第二ヘッド部75まで延びている。腕部73は、第一ヘッド部70と第二ヘッド部75を連結している。第二ヘッド部75は、円筒状である。第二ヘッド部75は、左右方向に沿った中心線を有している。第二ヘッド部75の外周面は、収容室20の壁面20aに支持されており、ピストン12が移動する際、第二ヘッド部75の外周面は収容室20の壁面20aを摺動する。
【0038】
ピストン12の内側にコロ15とスライダ16が入り込んでいる。コロ15は、ピストン12の第二ヘッド部75よりも左側に位置している。スライダ16のスライダ主部42は、第二ヘッド部75の内側に位置する。第二ヘッド部75の内周面は、スライダ主部42の外周面よりも大径であり、第二ヘッド部75の内周面とスライダ主部42の外周面との間には所定の隙間が設けられている。従って、スライダ主部42の外周面は、第二ヘッド部75の内周面に接触しない。
【0039】
一対の腕部73の右部の内面には、それぞれ第二ヘッド部75の内周面と同一径の円弧状面76が形成されている。円弧状面76は、第二ヘッド部75の内周面と連続している。また、円弧状面76の上下には、それぞれコロ案内面77が設けられている。図4にも示しているように、コロ案内面77はコロ15を案内する。コロ案内面77は、上下一対のコロ15に対応して上下一対設けられている。コロ案内面77は、左右方向に沿って延びている。コロ案内面77は、法線方向を前後方向とする平面である。尚、本実施形態においては、前後一対の腕部73にそれぞれ設けられており、前後一対のコロ案内面77は互いに対称に設けられている。このようにコロ案内面77を前後一対設けると、ドアクローザを右勝手と左勝手の双方に容易に適用できる。但し、右勝手と左勝手の何れか一方に対応して、コロ案内面77を前側のみ、あるいは、後側のみに設けてもよい。
【0040】
第二ヘッド部75は、前後方向に貫通する横孔78を有し、この横孔78に支持ピン79が挿入設置されている。支持ピン79は、スライダ主部42の長孔44を前後方向に挿通している。支持ピン79により、ピストン12に対するスライダ16の相対的な回転と上下方向の移動が阻止されている。ピストン12がスライダ16に対して相対移動する際、支持ピン79はスライダ16の長孔44を左右方向に移動する。開扉角度が0度の状態、即ち、閉扉状態においては、図2のように、第二ヘッド部75の右端面75a(ピストン12におけるヘッドスリーブ47に対向する端面)はヘッドスリーブ47の左端面47cから左側に離れており、第二ヘッド部75の右端面75aとヘッドスリーブ47の左端面47cとの間には所定の間隔が設けられている。
【0041】
図7図10に扉が開いていく状態を示している。図7は扉が5度だけ開いているときの状態を示しており、閉じ際の状態を示している。図8は扉が60度まで開いたときの状態を示し、図9は扉が80度まで開いたときの状態を示し、そして、図10は、扉が120度まで開いたときの状態を示している。本実施形態のドアクローザの最大開扉角度は120度である。従って、図10は、最大の開扉角度の状態を示している。
【0042】
図1及び図2に示したような全閉状態から扉を開いていくと、主軸11と共にカム13が平面視において左回り(反時計回り)に回転し、カム13に押されてコロ15とスライダ16が右側に移動し始める。コロ15は、コロ案内面77に支持されている。そのため、コロ15は、コロ案内面77に案内されながら右側に移動する。主軸11の回転によってピストン12も右側に移動する。コロ15の右側への移動量よりもピストン12の右側への移動量の方が大きい。そのため、相対的には、コロ15に対してピストン12のコロ案内面77の方が右側に移動していくことになる。スライダ16は、被案内面43aがハウジング10の内面(収容室20の壁面20a)に案内されながら右側に移動していく。ハウジング10の内面が、被案内面43aを案内するスライダ案内面である。
【0043】
コロ15とスライダ16は一体となって右側に移動するが、コロ15とスライダ16の被案内面43aが左右方向に離れていて、コロ15と被案内面43aとの左右方向の間においてはスライダ16は収容室20の壁面20aから内側に離間している。そのため、コロ15とスライダ16が左右方向に離間した二箇所で案内されてスムーズに左右方向に移動できる。特に、スライダ16の左端部にコロ15が位置し、スライダ16の右端部に被案内面43aが位置しているので、コロ15と被案内面43aとの間の左右方向の離間距離を容易に確保することができ、コロ15とスライダ16がスムーズに左右方向に移動できる。
【0044】
また、コロ15の外周面がフリーの状態ではなくコロ案内面77によって案内されるので、コロ15の左右方向の移動がスムーズなものとなり、その結果、コロ15とスライダ16がスムーズに左右方向に移動できる。更に、コロ15の外周面がコロ案内面77によって案内されるので、スライダ16をコロ15の前後の位置まで延長してコロ15の前後の位置にスライダ16の被案内面43aを設ける必要がない。そのため、ドアクローザ本体1の前後方向の寸法を減少することができ、また、前後方向の寸法に余裕が生まれて設計の自由度が高まる。
【0045】
図11にカム13からコロ15に作用する力を矢印Fで示している。図11は、開扉角度が5度の状態を示している。閉じ際の状態ではカム13からコロ15に大きな力が作用する。図11において、カム13からコロ15に作用する力の作用点を符号13aで示している。カム13からコロ15に作用する力Fは、平面視において左右方向に対して前後方向に傾斜しており、本実施形態においては左右方向に対して後側に傾斜している。図11(b)に模式図で示しているように、主軸11の中心11a(回転中心)とコロ15の中心15a(回転中心)とを結ぶ直線は上述した中心線CLであるが、作用点13aがこの中心線CLに対して前側に位置している場合には、力Fは左右方向に対して後側に傾斜し、逆に、作用点13aが後側に位置している場合には、力Fは左右方向に対して前側に傾斜することになる。本実施形態では、作用点13aが中心線CLに対して前側に位置しているので、力Fは左右方向に対して後側に傾斜する。
【0046】
この力Fを左右方向と前後方向に分解する。力Fは、左右方向の分力F1と前後方向の分力F2に分解される。この左右方向の分力F1によってコロ15とスライダ16が右側に移動することになる。一方、前後方向の分力F2は、後側を向いていてコロ15を後側に移動させようとする。しかしながら、コロ15の後側にはコロ案内面77が設けられているので、コロ15の外周面は後側のコロ案内面77によって支持されることになる。そのため、コロ15が左右方向にスムーズに移動でき、コロ15とスライダ16が一体となって左右方向にスムーズに移動できる。尚、本実施形態では、前側にもコロ案内面77が設けられているが、前側のコロ案内面77は省略してもよい。但し、コロ案内面77を前後両方に設けると、ドアクローザを左勝手と右勝手の双方に適用することができ、汎用性が高まる。
【0047】
そして、図7図10のように、扉が開いてスライダ16が右側に移動していくと、メインコイルバネ17及びサブコイルバネ18がスライダ16に押されて圧縮していく。一方、ピニオンギヤ14とラック74によってピストン12もコロ15及びスライダ16と同じ方向である右側に移動していく。
【0048】
主軸11の回転角度に対するピストン12の移動量は、主軸11の回転角度に対するスライダ16の移動量よりも大きい。ピストン12とコロ15及びスライダ16は同一方向に移動するが、ピストン12の移動速度はスライダ16の移動速度よりも全体として速い。そのため、ピストン12は、コロ15及びスライダ16よりも相対的に大きく右側に移動し、ピストン12の第二ヘッド部75は相対的にスライダ主部42よりも右側に移動してヘッドスリーブ47に接近していく。
【0049】
図9のように扉が80度まで開くと、ピストン12の第二ヘッド部75の右端面75aがヘッドスリーブ47の左端面47cに当接する。その際、長孔44を相対的に右側に移動している支持ピン49は、長孔44の右端部には到達していない。80度の開扉角度においても、コロ15はコロ案内面77に案内されている。尚、第二ヘッド部75がヘッドスリーブ47の左端面47cに当接するときの開扉角度は80度に限らず任意であってよい。
【0050】
その後更に扉が開いていくと、ピストン12の第二ヘッド部75がヘッドスリーブ47を右側に押して、ヘッドスリーブ47をスライダ本体46から右側に離していく。ヘッドスリーブ47はピストン12の第二ヘッド部75と共に右側に移動し、スライダ本体46の軸部48に対して相対的に右側に移動していく。ヘッドスリーブ47の左端面47cは、スライダ本体46の段差部50から離れていく。ヘッドスリーブ47が右側に移動することにより、ヘッドスリーブ47はメインコイルバネ17を右側に押し続けることができ、メインコイルバネ17は更に圧縮していくことになる。従って、開扉角度が80度を越えて120度までの間の区間においては、メインコイルバネ17の方がサブコイルバネ18よりも大きな圧縮量で圧縮することになる。開扉角度が80度から120度までの間の区間における閉扉動作時には、メインコイルバネ17の弾性復元力は、ヘッドスリーブ47からピストン12へ伝達され、更にピストン12のラック74に噛み合うピニオンギヤ14を介して主軸14へ伝達されて扉を閉じるための閉じ力となる。尚、この区間においてスライダ16が右側に移動せず、サブコイルバネ18の圧縮量の増加が0であってもよい。
【0051】
また、開扉角度が80度を越えて120度までの間の区間においては、コロ15はコロ案内面77から左側に離れる。つまり、本実施形態においては、コロ15は、開扉角度が0度から80度までの区間においてコロ案内面77に案内され、開扉角度が80度を越えて120度までの区間においてはコロ案内面77には案内されない。開扉角度が80度を越えて120度までの区間においては、コロ15は左右方向に移動しない、あるいは左右方向の移動量が僅かである。そのため、開扉角度が80度を越えて120度までの区間におけるコロ案内面77を省略することができ、コロ案内面77の左右方向の長さを短縮できる。特に、最大開扉角度(本実施形態では120度)において、コロ案内面77がコロ15を案内せずにコロ15から左右方向に離間する構成とすると、コロ案内面77の左右方向の寸法を短縮できて効果的である。このように、コロ案内面77はコロ15を全開扉角度の範囲で案内しなくてもよく、少なくとも閉じ際(開扉角度が0度から5度の区間)においてコロ案内面77がコロ15を案内することで、コロ15とスライダ16の左右方向のスムーズな移動を効果的に確保することができる。
【0052】
尚、本実施形態では、カム13が上下一対設けられていたが、カム13は一つであってもよい。その場合、コロ15も上下一対ではなく一つであってもよい。また、コンシールドタイプのドアクローザを例示したが、扉の外面に取り付けられる構成であってもよい。ドアクローザは、スライド型のものではなく、リンク機構を備えるものであってもよい。更に、閉じ力を発生させるバネとしてメインコイルバネ17とサブコイルバネ18を備えていたが、例えばサブコイルバネ18が省略されてもよい。
【0053】
ドアクローザがラックアンドピニオン機構を備えていたが、例えば図12のようにラックアンドピニオン機構が設けられずに、カム13がピストン12を押す構成であってもよい。コロ案内面77は、ピストン12ではなく、ハウジング10に設けられてもよい。コロ案内面77をハウジング10に設ける場合、ハウジング10に、ハウジング10とは別体の案内部材90を設け、案内部材90の内面をコロ案内面77としてもよい。ピストン12には、カム13に当接するピストン12用の第二コロ91を設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ドアクローザ本体
2 取付板
3 アーム
10 ハウジング
11 主軸
11a 中心
12 ピストン
13 カム
13a 作用点
14 ピニオンギヤ(ラックアンドピニオン機構)
15 コロ
15a 中心
16 スライダ
17 メインコイルバネ
18 サブコイルバネ
19 バネ力調整機構
20 収容室
20a 壁面(スライダ案内面)
21 左側のエンドキャップ
22 右側のエンドキャップ
23 第一軸受けホルダ
24 第二軸受けホルダ
25 第一軸受け
26 第二軸受け
30 第一軸部材
31 第二軸部材
32 縦セレーション
33 カラー
40 支軸
41 軸取付部
42 スライダ主部
43 スライダヘッド部
43a 被案内面
44 長孔
45 平面部
46 スライダ本体
47 ヘッドスリーブ
47a 装着孔
47b 回り止め溝
47c 左端面
48 軸部
48a 回り止め凸部
50 段差部
60 バネ押さえ
61 調整軸
61a フランジ部
62 第一調整ギヤ
63 第二調整ギヤ
64 操作軸
65 発泡ゴム
70 第一ヘッド部
71 貫通孔
72 ボール
73 腕部
74 ラック(ラックアンドピニオン機構)
75 第二ヘッド部
75a 右端面(ピストン12の右端面)
76 円弧状面
77 コロ案内面
78 横孔
79 支持ピン
80 安全弁
90 案内部材
91 第二コロ
CL 中心線
X 第一直交方向
Y 第二直交方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12