(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026350
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10F 10/166 20250101AFI20250214BHJP
【FI】
H01L31/06 455
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115714
(22)【出願日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】202311007485.2
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517366220
【氏名又は名称】横店集団東磁股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】任 勇
(72)【発明者】
【氏名】方 超炎
(72)【発明者】
【氏名】陳 徳爽
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA05
5F251CB18
5F251CB24
5F251CB25
5F251CB29
5F251DA07
5F251GA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】太陽電池及びその製造方法である。
【解決手段】該太陽電池(100)の製造方法では、第1側のトンネル酸化物層(120)に非晶質シリコン層を形成し、拡散ドーピング処理によって第1過程でドープトポリシリコン層(130)を形成し、第2過程でドープトポリシリコン層にドープ酸化物層を形成する。ドープ酸化物層を形成した後、レーザードーピングプロセスにより第1側に選択的再ドーピングを行い、高濃度ドープ領域に選択的エミッタ電極を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の製造方法であって、
シリコン基板の第1側にトンネル酸化物層を形成する工程と、
前記トンネル酸化物層に非晶質シリコン層を形成する工程と、
非晶質シリコン層に対して拡散ドーピング処理を行う工程であって、前記非晶質シリコン層にドープトポリシリコン層と、前記ドープトポリシリコン層上にあるドープ酸化物層とが形成されるように、拡散チャンバーにドーピング源及び酸素源を注入し、前記非晶質シリコン層を加熱する第1過程と、前記ドーピング源の注入を停止し、そのまま酸素源を注入して、前記ドープ酸化物層の厚さを増加する第2過程と、を含む工程と、
レーザードーピングプロセスによって前記ドープトポリシリコン層に高濃度ドープ領域を形成する工程と、を含む
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(2)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記第1過程で、プロセス温度は820~880℃であり、
(2)前記第2過程で、プロセス温度は850~920℃である
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記第2過程で、前記ドープ酸化物層の厚さを80~120nmとして制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(2)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記トンネル酸化物層の厚さは0.5~2nmであり、
(2)前記非晶質シリコン層の厚さは15~40nmである
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(3)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記レーザードーピングプロセスで用いられる光源波長は350~700nmであり、
(2)前記レーザードーピングプロセスで形成されたライトスポットの幅は60~120nmであり、
(3)前記高濃度ドープ領域のドープ濃度は2×1020atoms/cm3~2×1021atoms/cm3であり、
(4)前記高濃度ドープ領域のシート抵抗は10~25ohmである
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記レーザードーピングプロセスの後、前記製造方法は、
熱酸化プロセスによって背面に熱酸化層を形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(3)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記熱酸化プロセスの温度は1000~1200℃であり、
(2)前記熱酸化プロセスの時間は4000~10000秒であり、
(3)前記熱酸化層の厚さは60~200nmである
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記製造方法は、
前記シリコン基板の第2側にエミッタ電極を形成する工程であって、前記第2側が前第1側と対向して設けられる工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記製造方法は、
前記高濃度ドープ領域に接触する第1電極を製造する工程、及び/または、
前記エミッタ電極に接触する第2電極を製造する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
太陽電池であって、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の製造方法で製造された
ことを特徴とする太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、太陽光発電の技術分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電の技術分野で、TOPCon電池(トンネル酸化物層不動態化接触セル,Tunnel Oxide Passivated Contactcell)の前面は、一般的なPERC電池(エミッタ電極背面不動態化セル,Passivated Emitterand Rear Cell)と類似し、TOPCon電池の特徴としては、背面に一層のトンネル酸化物層が設けられ、トンネル酸化物層に一層のドープトポリシリコン層が設けられ、両者がともに不動態化接触構造を形成し、シリコンウェーハの背面に優れた界面不動態化を提供する。
【0003】
SE(SelectiveEmitter)プロセスは選択的エミッタ電極技術で、グリッドとシリコンウェーハとの接触位置で高濃度ドーピング(即ち高濃度ドーピング)を行い、電極以外の領域で低濃度ドーピング(即ち低濃度ドーピング)を行う技術である。選択的エミッタ電極技術は、一方で、シリコンウェーハとグリッドとの間の接触抵抗を低減させ、電池の直列抵抗を低下させることができ、他方で、低濃度ドーピング領域は、表面複合を低下させ、少数キャリアの寿命を延ばし、よって電池の短絡電流及び開回路電圧を向上させることができる。
【0004】
関連技術において、まず低濃度ドーピングの第1シリコン層を蒸着し、さらにこの上で、高濃度ドーピングの第2シリコン層を蒸着し、その後、メタライゼーションパターンに応じて非メタライゼーションパターン領域の第2シリコン層を除去する。第2シリコン層及び第1シリコン層は、本質的にいずれもシリコンであるが、相違としてはドープ濃度の違いのみであるため、第2シリコン層の除去に使用される方法に関係なく、プロセスウィンドウはいずれも制御しにくく、第1シリコン層も除去しやすく、シリコン基板を露出し、背面不動態化構造がなくなる。
【発明の概要】
【0005】
これにより、関連プロセスでシリコン層を除去し、シリコン基板を露出し、背面の不動態化構造を失うことが容易になる問題を解決する太陽電池及びその製造方法を提供する必要がある。
【0006】
太陽電池の製造方法であって、
シリコン基板の第1側にトンネル酸化物層を形成する工程と、
前記トンネル酸化物層に非晶質シリコン層を形成する工程と、
拡散ドーピング処理を行う工程であって、前記非晶質シリコン層にドープトポリシリコン層と、前記ドープトポリシリコン層上にあるドープ酸化物層とが形成されるように、前記拡散チャンバーにドーピング源及び酸素源を注入し、前記非晶質シリコン層を加熱する第1過程と、前記ドーピング源の注入を停止し、そのまま酸素源を注入して、前記ドープ酸化物層の厚さを増加する第2過程と、を含む工程と、
レーザードーピングプロセスによって前記ドープトポリシリコン層に高濃度ドープ領域を形成する工程と、を含む。
【0007】
一実施例において、前記製造方法は、下記の特徴(1)~(2)のうちの少なくとも一つに合致し、
(1)前記第1過程で、プロセス温度は820~880℃であり、
(2)前記第2過程で、プロセス温度は850~920℃である。
【0008】
一実施例において、前記製造方法は、下記の特徴(1)~(2)のうちの少なくとも一つに合致し、
(1)ドープトポリシリコン層のドープ濃度は1×1020atoms/cm3~3×1021atoms/cm3であり、ドープトポリシリコン層のドープ濃度は1×1020atoms/cm3~3×1021atoms/cm3であり、
(2)ドープトポリシリコン層のシート抵抗は25~45ohmである。
【0009】
一実施例において、前記第2過程で、前記ドープ酸化物層の厚さを80~120nmとして制御する。
【0010】
一実施例において、前記製造方法は、下記の特徴(1)~(2)のうちの少なくとも一つに合致し、
(1)前記トンネル酸化物層の厚さは0.5~2nmであり、
(2)前記非晶質シリコン層の厚さは15~40nmである。
【0011】
一実施例において、前記製造方法は、下記の特徴(1)~(3)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記レーザードーピングプロセスで用いられる光源波長は350~700nmであり、
(2)前記レーザードーピングプロセスで形成されたライトスポットの幅は60~120nmであり、
(3)前記高濃度ドープ領域のドープ濃度は2×1020atoms/cm3~2×1021atoms/cm3であり、
(4)前記高濃度ドープ領域のシート抵抗は10~25ohmである。
【0012】
一実施例において、前記レーザードーピングプロセスの後、前記製造方法は、
熱酸化プロセスによって背面に熱酸化層を形成する工程をさらに含む。
【0013】
一実施例において、前記製造方法は、下記の特徴(1)~(3)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記熱酸化プロセスの温度は1000~1200℃であり、
(2)前記熱酸化プロセスの時間は4000~10000秒であり、
(3)前記熱酸化層の厚さは60~200nmである。
【0014】
一実施例において、前記製造方法は、
前記シリコン基板の第2側にエミッタ電極を形成する工程であって、前記第2側が前記第1側と対向して設けられる工程をさらに含む。
【0015】
一実施例において、前記製造方法は、
前記高濃度ドープ領域に接触する第1電極を製造する工程、及び/または、
前記エミッタ電極に接触する第2電極を製造する工程をさらに含む。
【0016】
太陽電池であって、上記いずれか一つの実施例に記載の製造方法で製造されたものである。
【0017】
本出願の1つ又は複数の実施例の詳細は、下記の図面及び説明で提出される。本出願の他の特徴、目的及び利点については、明細書、図面及び特許請求の範囲から明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本出願の実施例又は関連技術における技術案をより明確に説明するために、以下に実施例又は関連技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は本発明の実施例に過ぎなく、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、開示される図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【
図1】
図1は一実施例の製造方法で製造された太陽電池の構造概略図である。
【
図2】
図2は一実施例の製造方法で製造された太陽電池の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明らかにするために、以下に図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。以下の説明において、本発明を十分に理解するように、多くの具体的な詳細を説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明するものと異なる多くの方式で実施されることができ、当業者は本発明の内容に反しない状況で類似する改良を行うことができるので、本発明は以下に開示される具体的な実施例に限定されるものではない。
【0020】
特別な定義がない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学的用語は、本出願の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書において本出願の明細書に使用される用語は具体的な実施例を説明する目的だけであり、本出願を限定するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は一つ又は複数の関連する列挙された項目の任意の全部又は全ての組み合わせを含む。
【0021】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等の用語に指示される向き又は位置関係は、添付図面に示すものに基づく向き又は位置関係で、本発明の説明を容易にし簡略化するためのものに過ぎなく、指摘された装置又は素子が特定の向きを有し、特定の向きで構築され操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないので、本発明を限定すると理解されることができない。
【0022】
また、「第1」、「第2」の用語は単に目的を説明するために用いられ、相対的な重要性を指示し或いは暗示し、或いは指示された技術的特徴の数を暗示すると理解されることができない。これにより、「第1」、「第2」が限定された特徴は少なくとも一つの当該特徴を含むと明示し或いは暗示することができる。本発明の説明において、「複数」とは少なくとも2つという意味であり、特に明確な具体的な限定がない限り、例えば2つ、3つなどである。
【0023】
本発明において、明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」等の用語は広く理解されるべきであり、特に明確な限定がない限り、例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能に接続されてもよいし、又は一体であってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接的に接続されてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本実用新案における具体的な意味を理解してもよい。
【0024】
本出願では、太陽電池の製造方法が提供される。
図1及び
図2は、一実施例の製造方法で製造し得られた太陽電池100を示す。
【0025】
本出願の一実施例の太陽電池100の製造方法は下記の工程を含む。
【0026】
シリコン基板110の第1側にトンネル酸化物層120を形成する。
【0027】
トンネル酸化物層120に非晶質シリコン層を形成する。
【0028】
拡散ドーピング処理を行う工程であって、非晶質シリコン層にドープトポリシリコン層130と、ドープトポリシリコン層130上にあるドープ酸化物層と131が形成されるように、拡散チャンバーにドーピング源及び酸素源を注入し、非晶質シリコン層を加熱する第1過程と、ドーピング源の注入を停止し、そのまま酸素源を注入して、ドープ酸化物層131の厚さを増加する第2過程と、を含む。
【0029】
レーザードーピングプロセスによってドープトポリシリコン層130に高濃度ドープ領域140を形成する。
【0030】
上記太陽電池100の製造方法では、背面トンネル酸化物層120に非晶質シリコン層を形成し、拡散ドーピング処理によって第1過程でドープトポリシリコン層130を形成し、第2過程でドープトポリシリコン層130にドープ酸化物層131を形成する。ドープ酸化物層131を形成した後、レーザードーピングプロセスによって背面の選択的再ドーピングを実現し、高濃度ドープ領域140は、選択的エミッタ電極を形成する。一方で、ドープ酸化物層131は、十分な不純イオンを提供してSEドーピングすることができ、他方で、ドープ酸化物層131は、トンネル酸化物層120を保護し、トンネル酸化物層120がレーザードーピングSE過程で破壊されることを低減、または回避し、優れた不動態化効果を奏させることができる。
【0031】
また、ドープ酸化物層131の保護作用があるため、ドープトポリシリコン層130を薄くすることに有利であり、ドープトポリシリコン層130の厚さを低減させると、長波長帯域の寄生吸収を大幅に低減させ、太陽電池100の短絡電流を増加させることができる。
【0032】
一例の製造方法では、シリコン基板110の第2側にエミッタ電極150を形成し、第2側を第1側に対向して設ける。
【0033】
エミッタ電極150は、第2側に不純イオンをドーピングすることによって形成されることができ、エミッタ電極150とシリコン基板110との間にはPN接合が形成される。例えば、シリコン基板110はN型シリコンであり、エミッタ電極150はボロン拡散プロセスによって形成されたP+ドーピング層であってもよい。
【0034】
一例において、エミッタ電極150を形成する前に、シリコン基板110をテクスチャ洗浄し、第2側にスエード構造を形成し、反射防止効果を奏することができる。
【0035】
一例の製造方法では、エミッタ電極150に第1不動態化層160を形成する。一例において、第1不動態化層160は、酸化アルミニウム層161及び第1窒化ケイ素層162を含み、酸化アルミニウム層161はエミッタ電極150と第1窒化ケイ素層162との間に位置している。
【0036】
太陽電池100の背面の非晶質シリコン層に高濃度ドーピングすると、大きい寄生吸収を引き起こすため、ドープトポリシリコン層130を薄くする必要があるが、同時に、スラリーの焼結ウィンドウの焼き抜きの防止を兼ねる必要もある。従って、関連蒸着プロセス、拡散プロセス及びレーザーパラメータは、太陽電池100の背面SE技術の鍵となる。
【0037】
一例において、トンネル酸化物層120は、CVDプロセスを用いて蒸着して形成され、一例において、LPCVD(低圧化学蒸着,Low Pressure Chemical Vapor Deposition)プロセスを用いて蒸着して形成される。理解できるように、トンネル酸化物層120の前駆体としては、O2が用いられてもよい。
【0038】
一例において、トンネル酸化物層120の蒸着プロセスパラメータとして、圧力は740~780torrであり、一例において、755~765torrであり、一例において、より好ましくは760torrである。温度は550~650℃であり、一例において、590~610℃であり、一例において、600℃である。酸素源のフローは20000~40000sccmであり、一例において、25000~35000sccmであり、一例において、30000sccmである。時間は500~1500秒であり、一例において、900~1100秒であり、一例において1000秒である。
【0039】
一例において、トンネル酸化物層120の厚さは0.5~2nmである。一例において、トンネル酸化物層120の厚さは1.5nmである。
【0040】
一例において、非晶質シリコン層は、CVDプロセスを用いて蒸着して形成され、一例において、LPCVDプロセスを用いて蒸着して形成される。理解できるように、非晶質シリコン層の前駆体としては、SiH4が用いられてもよい。
【0041】
一例において、非晶質シリコン層の蒸着プロセスパラメータとして、圧力は0.1~1torrであり、一例において0.2~0.4torrであり、一例において0.3torrである。温度は550~650℃であり、一例において590~610℃であり、一例において600℃である。SiH4フローは500~2000sccmであり、一例において、1300~1500sccmであり、一例において、1400sccmである。時間は150~400秒であり、一例において、180~220秒であり、一例において、200秒である。
【0042】
一例において、非晶質シリコン層の厚さは15nm以上であり、例えば15~40nmである。研究した結果、厚さが約15nmである非晶質シリコン層は、電池の不動態化要求を満たすことができ、非晶質シリコン層の厚さを増加すると、メタライゼーション過程で非晶質シリコン層を焼き抜くことを避けることができる。一例において、非晶質シリコン層の厚さは15~20nmである。一例において、非晶質シリコン層の厚さは20nmである。本例では、非晶質シリコン層の厚さを15~40nmの範囲で設定し、長波長帯域の寄生吸収を大幅に低減させ、太陽電池100の短絡電流を増加させることができる。
【0043】
拡散ドーピング処理の第1過程では、ドーピング源及び酸素源を注入し蒸着し、熱拡散を行って、非晶質シリコン層をドーピングし、ドープトポリシリコン層130を形成する。
【0044】
一例において、ドーピング源は、リン源、例えばオキシ塩化リンであり、非晶質シリコン層に対してリンドーピングを行う。
【0045】
第1過程では、ドーピング源を注入する方式としては、窒素を注入し、窒素によってソースボトル内の液体ドーピング源、例えばオキシ塩化リンをファーネスチューブ内に導入することである。
【0046】
一例において、第1過程でのプロセス温度は、820~880℃であり、一例において、860~880℃であり、一例において、870℃である。本例では、通常のプロセスよりも、拡散温度を低減させ、非晶質シリコン層が薄くなる時にドーピング源の内部膨張が深刻すぎて、不動態化構造が破壊されることを防止する。
【0047】
一例において、第1過程のプロセスパラメータとして、
窒素フローは500~1500sccmであり、一例において、800~1200sccmであり、一例において、1000sccmである。酸素源のフローは500~1500sccmであり、一例において、900~1100sccmであり、一例において、1000sccmである。圧力は100~500torrであり、一例において、150~250torrであり、一例において、200torrである。時間は400~2000秒であり、一例において、600~1000秒であり、一例において、800秒である。
【0048】
拡散ドーピング処理の第2過程では、酸素源を注入して、ドープトポリシリコン層130にドープ酸化物層131を形成する。第2過程で、ドーピング源を注入しなくなり、厚いドープ酸化物層131を形成することを主要目的とする。
【0049】
例えば、上記ドーピング源がリン源、具体的にオキシ塩化リンであると、形成されたドープ酸化物層131は、リンケイ酸ガラス層(PSG層)である。
【0050】
一例において、第2過程のプロセスパラメータとしては、温度が850~920℃であり、一例において、865~875℃であり、一例において、870℃である。酸素源のフローは1000~4000sccmであり、一例において、1500~2500sccmであり、一例において、2000sccmである。圧力は100~500torrであり、一例において、350~450torrであり、一例において、400torrである。時間は2000~5000秒であり、一例において、2500~3500秒であり、一例において、3000秒である。
【0051】
一例において、ドープ酸化物層131の厚さは80~120nmである。一例において、ドープ酸化物層131の厚さは90~110nmである。一例において、ドープ酸化物層131の厚さは100nmである。一方で、厚いドープ酸化物層131は、十分な不純イオンを提供してレーザードーピングし、SE電池片を形成することができ、他方で、該厚さのドープ酸化物層131は、レーザードーピング過程でトンネル酸化物層120が破壊されないように保護し、優れた不動態化効果を奏させることができる。
【0052】
一例において、ドープトポリシリコン層130のドープ濃度は1×1020atoms/cm3~3×1021atoms/cm3であり、一例において、1.5×1021atoms/cm3~2.5×1021atoms/cm3であり、一例において、2×1021atoms/cm3である。
【0053】
一例において、ドープトポリシリコン層130のシート抵抗は25~45ohmであり、一例において、32~38ohmであり、一例において、35ohmである。
【0054】
ドープ酸化物層131を形成した後、レーザーの方式を用いてシリコン基板の背面の選択的再ドーピングを実現し、高濃度ドープ領域140は、選択的エミッタ電極を形成する。
【0055】
一例において、レーザードーピングプロセスで用いられる光源波長は350~700nmである。一例において、レーザードーピングプロセスで用いられる光源波長は532nm(緑色の光)である。一例において、レーザードーピングプロセスで用いられる光源波長は355nm(紫色の光)である。
【0056】
一例において、レーザードーピングプロセスで形成されたライトスポットの幅は60~120nmである。一例において、レーザードーピングプロセスで形成されたライトスポットは幅80nmの四角スポットである。
【0057】
一例において、高濃度ドープ領域140のドープ濃度は2×1020atoms/cm3~2×1021atoms/cm3であり、一例において、6×1020atoms/cm3~1×1021atoms/cm3であり、一例において、8×1020atoms/cm3である。
【0058】
一例において、高濃度ドープ領域140のシート抵抗は10~25ohmであり、一例において、13~17ohmであり、一例において、15ohmである。
【0059】
一例の製造方法で、レーザードーピングプロセスの後、熱酸化プロセスによりシリコン基板の背面に熱酸化層を形成する工程をさらに含む。
【0060】
上記例において、背面SEを基に熱酸化して一層の熱酸化層170を生成し、一方で、該熱酸化層170は、金属スラリーのバリア層とし、ドープトポリシリコン層130の焼き抜きを回避することができる一方、熱酸素により成長した熱酸化層170も、優れた不動態化材料であり、不動態化の補助効果を奏することができる。
【0061】
一例において、熱酸化プロセスのプロセスパラメータとしては、温度が1000~1200℃、時間が4000~10000秒である。
【0062】
熱酸化層は、一定の厚さを有し、ドープトポリシリコン層130は、焼き切れないように保証する。一例において、熱酸化層の厚さは60~200nmであり、一例において、70~100nmであり、一例において80nmである。
【0063】
一例の製造方法では、エッチング洗浄プロセスによって、シリコン基板110の第2側及び側面のドープ酸化物層131とドープトポリシリコン層130を除去する。エッチング洗浄プロセスは、上記レーザードーピングプロセスの後、或いは上記熱酸化プロセスの後に行われてもよい。
【0064】
一例の製造方法では、背面に第2不動態化層180を蒸着する。一例において、第2不動態化層180は第2窒化ケイ素層を含む。第2不動態化層180を蒸着する工程は、上記レーザードーピングプロセスの後、或いは上記熱酸化プロセスの後、或いはエッチング洗浄プロセスの後であってもよい。
【0065】
上記太陽電池100は、TOPCon電池であってもよいが、これに限定しない。
【0066】
上記太陽電池100の製造方法では、背面トンネル酸化物層120に非晶質シリコン層を形成し、拡散ドーピング処理によって第1過程でドープトポリシリコン層130を形成し、第2過程でドープトポリシリコン層130にドープ酸化物層131を形成する。ドープ酸化物層131を形成した後、レーザードーピングプロセスによって背面の選択的再ドーピングを実現し、高濃度ドープ領域140は、選択的エミッタ電極を形成する。一方で、ドープ酸化物層131は、十分な不純イオンを提供してレーザードーピングすることができ、他方で、ドープ酸化物層131は、トンネル酸化物層120を保護し、トンネル酸化物層120がレーザードーピング過程で破壊されることを低減、または回避し、優れた不動態化効果を奏させることができる。
【0067】
また、ドープ酸化物層131の保護作用があるため、ドープトポリシリコン層130を薄くすることに有利であり、ドープトポリシリコン層130の厚さを低減させると、長波長帯域の寄生吸収を大幅に低減させ、太陽電池100の短絡電流を増加させることができる。
【0068】
本出願は、工程が簡単、過程を制御しやすく、上記製造過程も複雑なマスクまたは関連するグラフィカル工程に関わらず、量産要件を満たし、効率を向上させると同時に、生産コストを大幅に低減させることができる。
【0069】
更には、本出願では、上記いずれか一つの例の製造方法で製造された太陽電池がさらに提供される。
【0070】
以下、具体的な実施例を提供して本出願をさらに説明する。
実施例1
【0071】
本実施例では、下記の工程を含む太陽電池の製造方法が提供される。
【0072】
テクスチャ洗浄S1:N型シリコンウェーハを提供し、アルカリ洗浄プロセスにより、N型シリコンウェーハの前面にピラミッドテクスチャーを形成する。
【0073】
ボロン拡散S2:N型シリコンウェーハの前面にボロン拡散プロセスを行い、エミッタ電極を製造し、PN接合を形成する。
【0074】
バックエッチングS3:N型シリコンウェーハ背面のPN接合メッキを洗浄し、N型シリコンウェーハの背面を研磨する。
【0075】
LPCVD S4:LPCVDの方式によってトンネル酸化シリコン層及び非晶質シリコン層を順に蒸着する。
【0076】
トンネル酸化シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとして、圧力が760torr、温度が600℃、酸素フローが30000sccm、時間が1000秒である。
【0077】
形成されたトンネル酸化物層の厚さは1.5nmである。
【0078】
非晶質シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとしては、圧力が0.3torr、温度が600℃、SiH4フローが1400sccm、時間が200秒である。
【0079】
形成された非晶質シリコン層の厚さは20nmである。
リン拡散S5:N型シリコンウェーハの背面にリン拡散プロセスを行い、N型ドープトポリシリコン層(n-poly)を形成する。
【0080】
リン拡散は主に第1過程と第2過程に分けられる。
【0081】
第1過程で、リン源及び酸素を注入して蒸着すると同時に、高温でリンドーピングを推進する。リン源の注入は、窒素によってソースボトル内の液体オキシ塩化リンをファーネスチューブ内に導入することである。
【0082】
第1過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が860℃、窒素フローが1000sccm、酸素フローが1000sccm、圧力が200torr、時間が800秒である。
【0083】
第2過程で、酸素を注入し、リン源を注入せず、厚いPSG層を形成することを主要目的とする。
【0084】
第2過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が870℃、酸素フローが2000sccm、圧力が400torr、時間が3000秒である。
【0085】
このリン拡散工程で形成されたPSG層は、厚さが100nm、ドープ濃度が2×1020atoms/cm3、シート抵抗が35ohmである。
【0086】
バックレーザーSE S6:レーザーにより、バックグリッドに再ドーピングして選択的エミッタ電極を形成する。
【0087】
プロセスでは、532nmグリーンレーザーを用いる。ライトスポットは幅80nmの四角スポットである。高濃度ドープ領域のドープ濃度は8×1020atoms/cm3である。高濃度ドープ領域のシート抵抗は15ohmである。
【0088】
熱酸化S7:管状熱酸化ファーネスチューブにより、N型シリコンウェーハの背面に一層の熱酸化層を成長させる。
【0089】
プロセスパラメータとしては、温度が1100℃、時間が8000秒である。
【0090】
熱酸化層の厚さは80nmである。
【0091】
エッチング洗浄S8:チェーンの研磨方法と溝の研磨方法により、前面、側面のPSG層及び非晶質シリコン層を洗浄、除去する。
【0092】
塗装S9:N型シリコンウェーハの前面に酸化アルミニウム層及び第1窒化ケイ素層を順に蒸着し、背面に第2窒化ケイ素層を蒸着する。
【0093】
メタライゼーションS10:N型シリコンウェーハの前面に銀アルミペーストを印刷し、背面に銀ペーストを印刷し、高温焼結による金属化で、グリッドラインを得る。
実施例2
【0094】
本実施例では、
単結晶シリコンウェーハを提供し、アルカリ洗浄プロセスにより、単結晶シリコンウェーハ前面にピラミッドテクスチャーを形成するテクスチャ洗浄S1と、
単結晶シリコンウェーハの前面にボロン拡散プロセスを行い、エミッタ電極を製造し、PN接合を形成するボロン拡散S2と、
単結晶シリコンウェーハの背面のPN接合メッキを洗浄し、単結晶シリコンウェーハの背面を研磨するバックエッチングS3と、
LPCVDの方式によってトンネル酸化シリコン層及び非晶質シリコン層を順に蒸着するLPCVD S4と、を含む太陽電池の製造方法が提供される。
【0095】
トンネル酸化シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとして、圧力が760torr、温度が600℃、酸素フローが30000sccm、時間が1000秒である。
【0096】
形成されたトンネル酸化物層の厚さは1.5nmである。
【0097】
非晶質シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとしては、圧力が0.3torr、温度が600℃、SiH4フローが1400sccm、時間が200秒である。
【0098】
形成された非晶質シリコン層の厚さは20nmである。
【0099】
リン拡散S5:単結晶シリコンウェーハの背面にリン拡散プロセスを行い、N型ドープトポリシリコン層(n-poly)を形成する。
【0100】
リン拡散は主に第1過程と第2過程に分けられる。
【0101】
第1過程で、リン源及び酸素を注入して蒸着すると同時に、高温でリンドーピングを推進する。リン源の注入は、窒素によってソースボトル内の液体オキシ塩化リンをファーネスチューブ内に導入することである。
【0102】
第1過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が860℃、窒素フローが1000sccm、酸素フローが1000sccm、圧力が200torr、時間が800秒である。
【0103】
第2過程で、酸素を注入し、リン源を注入せず、厚いPSG層を形成することを主要目的とする。
【0104】
第2過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が870℃、酸素フローが2000sccm、圧力が400torr、時間が1000秒である。
【0105】
このリン拡散工程で形成されたPSG層は、厚さが100nm、ドープ濃度が2×1020atoms/cm3、シート抵抗が35ohmである。
【0106】
バックレーザーSE S6:レーザーにより、バックグリッドに再ドーピングして選択的エミッタ電極を形成する。
【0107】
プロセスでは、532nmグリーンレーザーを用いる。ライトスポットは幅80nmの四角スポットである。高濃度ドープ領域のドープ濃度は8×1020atoms/cm3である。高濃度ドープ領域のシート抵抗は15ohmである。
【0108】
熱酸化S7:管状熱酸化ファーネスチューブにより、単結晶シリコンウェーハの背面に一層の熱酸化層を成長させる。
【0109】
プロセスパラメータとしては、温度が1100℃、時間が8000秒である。
【0110】
熱酸化層の厚さは80nmである。
【0111】
エッチング洗浄S8:チェーンの研磨方法と溝の研磨方法により、前面、側面のPSG層及び非晶質シリコン層を洗浄、除去する。
【0112】
塗装S9:前面に酸化アルミニウム層及び第1窒化ケイ素層を順に蒸着し、背面に第2窒化ケイ素層を蒸着する。
【0113】
メタライゼーションS10:前面に銀アルミペーストを印刷し、背面に銀ペーストを印刷し、高温焼結による金属化で、グリッドを得る。
比較例1
【0114】
本比較例の太陽電池の製造方法は、下記の工程を含む。
【0115】
テクスチャ洗浄S1:単結晶シリコンウェーハを提供し、アルカリ洗浄プロセスにより、単結晶シリコンウェーハの前面にピラミッドテクスチャーを形成する。
【0116】
ボロン拡散S2:単結晶シリコンウェーハの前面にボロン拡散プロセスを行い、エミッタ電極を製造し、PN接合を形成する。
【0117】
バックエッチングS3:単結晶シリコンウェーハの背面のPN接合メッキを洗浄し、単結晶シリコンウェーハの背面を研磨する。
【0118】
LPCVD S4:LPCVDの方式によってトンネル酸化シリコン層及び非晶質シリコン層を順に蒸着する。
【0119】
トンネル酸化シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとして、圧力が760torr、温度が600℃、酸素フローが30000sccm、時間が1000秒である。
【0120】
形成されたトンネル酸化物層の厚さは1.5nmである。
【0121】
非晶質シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとしては、圧力が0.3torr、温度が600℃、SiH4フローが1400sccm、時間が1200秒である。
【0122】
形成された非晶質シリコン層の厚さは120nmである。
【0123】
リン拡散S5:N型シリコンウェーハの背面にリン拡散プロセスを行い、N型ドープトポリシリコン層(n-poly)を形成する。
【0124】
リン拡散は主に第1過程と第2過程に分けられる。
【0125】
第1過程で、リン源及び酸素を注入して蒸着すると同時に、高温でリンドーピングを推進する。リン源の注入は、窒素によってソースボトル内の液体オキシ塩化リンをファーネスチューブ内に導入することである。
【0126】
第1過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が860℃、窒素フローが1000sccm、酸素フローが1000sccm、圧力が200torr、時間が800秒である。
【0127】
第2過程で、酸素を注入し、リン源を注入しない。
【0128】
第2過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が870℃、酸素フローが2000sccm、圧力が400torr、時間が1000秒である。
【0129】
このリン拡散工程で形成されたPSG層は、厚さが100nm、ドープ濃度が2×1020atoms/cm3、シート抵抗が35ohmである。
【0130】
エッチング洗浄S6:チェーンの研磨方法と溝の研磨方法により、前面、側面のPSG層及び非晶質シリコン層を洗浄、除去する。
【0131】
塗装S7:前面に酸化アルミニウム層及び第1窒化ケイ素層を順に蒸着し、背面に第2窒化ケイ素層を蒸着する。
【0132】
メタライゼーションS8:前面に銀アルミペーストを印刷し、背面に銀ペーストを印刷し、高温焼結による金属化で、グリッドを得る。
比較例2
【0133】
本比較例の太陽電池の製造方法は、下記の工程を含む。
【0134】
テクスチャ洗浄S1:単結晶シリコンウェーハを提供し、アルカリ洗浄プロセスにより、単結晶シリコンウェーハの前面にピラミッドテクスチャーを形成する。
【0135】
ボロン拡散S2:単結晶シリコンウェーハの前面にボロン拡散プロセスを行い、エミッタ電極を製造し、PN接合を形成する。
【0136】
バックエッチングS3:単結晶シリコンウェーハの背面のPN接合メッキを洗浄し、単結晶シリコンウェーハの背面を研磨する。
【0137】
LPCVD S4:LPCVDの方式によってトンネル酸化シリコン層及び非晶質シリコン層を順に蒸着する。
【0138】
トンネル酸化シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとして、圧力が760torr、温度が600℃、酸素フローが30000sccm、時間が1000秒である。
【0139】
形成されたトンネル酸化物層の厚さは1.5nmである。
【0140】
非晶質シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとしては、圧力が0.3torr、温度が600℃、SiH4フローが1400sccm、時間が200秒である。
【0141】
形成された非晶質シリコン層の厚さは20nmである。
【0142】
リン拡散S5:単結晶シリコンウェーハの背面にリン拡散プロセスを行い、N型ドープトポリシリコン層(n-poly)を形成する。
【0143】
リン拡散は主に第1過程と第2過程に分けられる。
【0144】
第1過程で、リン源及び酸素を注入して蒸着すると同時に、高温でリンドーピングを推進する。リン源の注入は、窒素によってソースボトル内の液体オキシ塩化リンをファーネスチューブ内に導入することである。
【0145】
第1過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が860℃、窒素フローが1000sccm、酸素フローが1000sccm、圧力が200torr、時間が800秒である。
【0146】
第2過程で、酸素を注入し、リン源を注入しない。
【0147】
第2過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が870℃、酸素フローが2000sccm、圧力が400torr、時間が1000秒である。
【0148】
このリン拡散工程で形成されたPSG層は、厚さが100nm、ドープ濃度が2×1020atoms/cm3、シート抵抗が35ohmである。
【0149】
エッチング洗浄S6:チェーン式および槽式洗浄により前面、側面のPSG層及び非晶質シリコン層を除去する。
【0150】
塗装S7:前面に酸化アルミニウム層及び第1窒化ケイ素層を順に蒸着し、背面に第2窒化ケイ素層を蒸着する。
【0151】
メタライゼーションS8:前面に銀アルミペーストを印刷し、背面に銀ペーストを印刷し、高温焼結による金属化で、グリッドを得る。
比較例3
【0152】
本比較例の太陽電池の製造方法は、下記の工程を含む。
【0153】
テクスチャ洗浄S1:単結晶シリコンウェーハを提供し、アルカリ洗浄プロセスにより、単結晶シリコンウェーハの前面にピラミッドテクスチャーを形成する。
【0154】
ボロン拡散S2:単結晶シリコンウェーハの前面にボロン拡散プロセスを行い、エミッタ電極を製造し、PN接合を形成する。
【0155】
バックエッチングS3:単結晶シリコンウェーハの背面のPN接合メッキを洗浄し、単結晶シリコンウェーハの背面を研磨する。
【0156】
LPCVD S4:LPCVDの方式によってトンネル酸化シリコン層及び非晶質シリコン層を順に蒸着する。
【0157】
トンネル酸化シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとして、圧力が760torr、温度が600℃、酸素フローが30000sccm、時間が1000秒である。
【0158】
形成されたトンネル酸化物層の厚さは1.5nmである。
【0159】
非晶質シリコン層を蒸着する場合に、プロセスパラメータとしては、圧力が0.3torr、温度が600℃、SiH4フローが1400sccm、時間が200秒である。
【0160】
形成された非晶質シリコン層の厚さは20nmである。
【0161】
リン拡散S5:単結晶シリコンウェーハの背面にリン拡散プロセスを行い、N型ドープトポリシリコン層(n-poly)を形成する。
【0162】
リン拡散は主に第1過程と第2過程に分けられる。
【0163】
第1過程で、リン源及び酸素を注入して蒸着すると同時に、高温でリンドーピングを推進する。リン源の注入は、窒素によってソースボトル内の液体オキシ塩化リンをファーネスチューブ内に導入することである。
【0164】
第1過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が860℃、窒素フローが1000sccm、酸素フローが1000sccm、圧力が200torr、時間が800秒である。
【0165】
第2過程で、酸素を注入し、リン源を注入しない。
【0166】
第2過程のプロセスパラメータとしては、蒸着温度が870℃、酸素フローが2000sccm、圧力が400torr、時間が1000秒である。
【0167】
このリン拡散工程で形成されたPSG層は、厚さが100nm、ドープ濃度が2×1020atoms/cm3、シート抵抗が35ohmである。
【0168】
熱酸化S6:管状熱酸化ファーネスチューブにより、背面に一層の熱酸化層を成長させる。
【0169】
プロセスパラメータとしては、温度が1100℃、時間が8000秒である。
【0170】
熱酸化層の厚さは80nmである。
【0171】
エッチング洗浄S8:チェーン式および槽式洗浄により前面、側面のPSG層及び非晶質シリコン層を除去する。
【0172】
塗装S9:前面に酸化アルミニウム層及び第1窒化ケイ素層を順に蒸着し、背面に第2窒化ケイ素層を蒸着する。
【0173】
メタライゼーションS10:前面に銀アルミペーストを印刷し、背面に銀ペーストを印刷し、高温焼結による金属化で、グリッドを得る。
【0174】
上記実施例1~2及び比較例1~3の相違を表1に示す。
表1 実施例1~2及び比較例1~3の相違
【0175】
上記実施例1~2及び比較例1~3の製造した太陽電池に対して電気的性能試験を行い、結果を表2に示す。試験方法については、国際電気標準会議が制定・発行したIECTS63202-3Photovoltaiccells-Part3:Measurementofcurrent-voltagecharacteristicsofbicialphotovoltaiccellsを参照して行う。
【0176】
表2 実施例1~2及び比較例1~3の製造した太陽電池の電気的性能
【0177】
表2の試験結果から分かるように、比較例1は、比較例2よりも、ドープトポリシリコン層の厚さが厚くなるため、寄生吸収が厳しくなり、短絡電流が低くなる。比較例2では、薄いドープトポリシリコン層の厚さを形成するが、比較例1よりも、開回路電圧が深刻に低下し、これは、単純にドープトポリシリコン層が薄くなり、電流ゲインが比較的大きいが、背面の銀ペーストがドープトポリシリコン層を焼き抜いてシリコン基板に直接的に接触することによって多量の複合を引き起こし、さらに開回路電圧を低減するからである。
【0178】
比較例3は、比較例2よりも、ドープトポリシリコン層に一層の厚い熱酸化層を成長させ、高密度の熱酸化層が優れたバリア及び不動態化の効果を奏するため、高い電流増幅を得ると同時に、高い開回路電圧を維持することができる。
【0179】
実施例1及び実施例2では、いずれもドープトポリシリコン層にPSG層を形成し、并レーザードーピングプロセスを実行する。電気的結果から見ると、実施例1及び実施例2は、比較例1~3よりも、開回路電圧が明らかに向上し、少なくとも7mV以上向上する。実施例1が実施例2に比べると、実施例2は、PSG層を形成してドープトポリシリコン層に一定の保護作用を発揮するが、その厚さが薄いため、レーザードーピングプロセス過程でレーザーは、トンネル酸化シリコン層にまだ一定の損傷が存在し、よって実施例2の開回路電圧を相対的に低くする。
【0180】
上記前述した実施例の各技術的特徴は任意の組み合わせを行うことができ、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴のすべての可能な組み合わせについて説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、いずれも本明細書に記載の範囲であると考えられるべきである。
【0181】
上記した実施例は本発明のいくつかの実施形態のみを示し、その説明は具体的で詳細であるが、これによって本発明の特許範囲を限定するものと理解すべきではない。指摘すべきこととして、当業者にとって、本出願の思想から逸脱することなく、さらにいくつかの変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本出願の保護範囲に属する。したがって、本発明特許の保護範囲は添付する特許請求の範囲を基準とするべきであり、明細書は請求項の内容を説明するために用いられる。
【符号の説明】
【0182】
100、太陽電池
110、シリコン基板
120、トンネル酸化物層
130、ドープトポリシリコン層
131、ドープ酸化物層
140、高濃度ドープ領域
150、エミッタ電極
160、第1不動態化層
161、酸化アルミニウム層
162、第1窒化ケイ素層
170、熱酸化層
180、第2不動態化層
191、第1電極
192、第2電極
【手続補正書】
【提出日】2024-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の製造方法であって、
シリコン基板の第1側にトンネル酸化物層を形成する工程と、
前記トンネル酸化物層に非晶質シリコン層を形成する工程と、
非晶質シリコン層に対して拡散ドーピング処理を行う工程であって、前記非晶質シリコン層としてドープトポリシリコン層が形成され、前記ドープトポリシリコン層上にドープ酸化物層が形成されるように、拡散チャンバーにドーピング源及び酸素源を注入し、前記非晶質シリコン層を加熱する第1過程と、前記ドーピング源の注入を停止し、そのまま酸素源を注入して、前記ドープ酸化物層の厚さを増加する第2過程と、を含み、前記第2過程で、前記ドープ酸化物層の厚さを80~120nmとして制御する工程と、
レーザードーピングプロセスによって前記ドープトポリシリコン層に高濃度ドープ領域を形成する工程と、を含む
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(2)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記第1過程で、プロセス温度は820~880℃であり、
(2)前記第2過程で、プロセス温度は850~920℃である
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(2)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記トンネル酸化物層の厚さは0.5~2nmであり、
(2)前記非晶質シリコン層の厚さは15~40nmである
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(4)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記レーザードーピングプロセスで用いられる光源波長は350~700nmであり、
(2)前記レーザードーピングプロセスで形成されたライトスポットの幅は60~120nmであり、
(3)前記高濃度ドープ領域のドープ濃度は2×1020atoms/cm3~2×1021atoms/cm3であり、
(4)前記高濃度ドープ領域のシート抵抗は10~25ohmである
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記レーザードーピングプロセスの後、前記製造方法は、
熱酸化プロセスによって背面に熱酸化層を形成する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に前記の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記製造方法は、以下の特徴(1)~(3)の少なくとも一つに合致し、
(1)前記熱酸化プロセスの温度は1000~1200℃であり、
(2)前記熱酸化プロセスの時間は4000~10000秒であり、
(3)前記熱酸化層の厚さは60~200nmである
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記製造方法は、
前記シリコン基板の第2側にエミッタ電極を形成する工程であって、前記第2側が前第1側と対向して設けられる工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に前記の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記製造方法は、
前記高濃度ドープ領域に接触する第1電極を製造する工程、及び/または、
前記エミッタ電極に接触する第2電極を製造する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池の製造方法。