(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026373
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】綿棒型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20250214BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20250214BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/10
A45D34/04 510E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024127924
(22)【出願日】2024-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2023130570
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 井手・小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 麻里恵
(72)【発明者】
【氏名】大杉 有紀子
(72)【発明者】
【氏名】藤森 浩史
(72)【発明者】
【氏名】麻生 綾子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC582
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD111
4C083CC14
4C083DD27
4C083DD47
4C083DD50
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の目的は、まつ毛及びまつ毛の生え際への使用性および効果感が向上した新たな綿棒型化粧料を提供することにある。また、経時的に安定な、まつ毛及びまつ毛の生え際用の綿棒型化粧料を提供することにある。
【解決手段】一方の端部において3個から5個の塊状の綿球部が連結した繊維塊部を備え、もう一方の端部において円錐型の形状を有した繊維塊部を備え、繊維塊部に化粧料を含浸させた綿棒型化粧料は、まつ毛及びまつ毛の生え際への適用時に使用性および効果感が向上し、経時的にも安定であることを見出した。本発明により、衛生的かつ効果的にまつ毛とまつ毛の生え際を含む目元周りのケアを行う綿棒型化粧料を提供できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿棒に化粧料(但し、洗浄料を除く)が含浸された、まつ毛及びまつ毛の生え際用の綿棒型化粧料であって、
前記綿棒は、
a)棒状の軸部を備え、
b)前記棒状の軸部が、一方の端部において、3個から5個の塊状の綿球部が連結した繊維塊部を備え、もう一方の端部において円錐型の形状を有した繊維塊部を備えた
綿棒型化粧料。
【請求項2】
前記綿棒の棒状の軸部の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の綿棒型化粧料。
【請求項3】
個包装フィルムに収容された請求項1又は2に記載の綿棒型化粧料。
【請求項4】
前記化粧料は、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ペンチレングリコール、及びフェノキシエタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の綿棒型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛及びまつ毛の生え際用の綿棒型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
まつ毛には、美しく魅力的な目を印象付ける目的で、日常的に様々な化粧行為が施されている。その化粧行為においては、マスカラを塗布したり、カール効果をもたせるためにビューラーを使用したり、塗布したマスカラを除去するためにコットンなどにリムーバーなどを含ませ使用したりするが、いずれの行為においても、化学的又は物理的なダメージをまつ毛に与えている。実際に、多くの女性から、まつ毛が短い、細くなる、つやがないなどのまつ毛に対しての悩みの声が多く上げられている。
【0003】
現在、様々なまつ毛周辺用化粧料が市販されているが、その多くがマスカラタイプやアイライナータイプ、またはチップタイプのものである。マスカラタイプのものはまつ毛に塗りやすい反面、まつ毛の生え際など粘膜に近い部分の塗布作業には向いておらず、また、ブラシに付いた汚れを拭き取りにくいため、あまり衛生的ではないという欠点を有している。アイライナータイプやチップタイプはまつ毛の生え際には塗りやすいが、まつ毛への塗布には不便である。
一方で、衛生面を考慮した1回使い切りのまつ毛美容液を含む綿棒型化粧料が存在する。従来知られた綿棒型化粧料の綿棒の形状は、棒状の軸部の各端部に1個の塊状の綿球部を有する一般的な綿棒形状のものであり、まつ毛やまつ毛の生え際に塗布しにくく、十分な化粧効果が得られるとは言い難かった。
また、本化粧料は、綿棒が長期的に化粧料に含浸されるため、化粧料の特性によっては綿棒の成型性が低下してしまう課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、まつ毛及びまつ毛の生え際への使用性および効果感が向上した新たな綿棒型化粧料を提供することにある。また、経時的に安定な、まつ毛及びまつ毛の生え際用の綿棒型化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、一方の端部において3個から5個の塊状の綿球部が連結した繊維塊部を備え、もう一方の端部において円錐型の形状を有した繊維塊部を備え、繊維塊部に化粧料を含浸させた綿棒型化粧料は、まつ毛及びまつ毛の生え際への適用時に使用性および効果感が向上し、経時的にも安定であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)綿棒に化粧料(但し、洗浄料を除く)が含浸された、まつ毛及びまつ毛の生え際用の綿棒型化粧料であって、
前記綿棒は、
a)棒状の軸部を備え、
b)前記棒状の軸部が、一方の端部において、3個から5個の塊状の綿球部が連結した繊維塊部を備え、もう一方の端部において円錐型の形状を有した繊維塊部を備えた
綿棒型化粧料、
(2)前記綿棒の棒状の軸部の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(1)に記載の綿棒型化粧料、
(3)個包装フィルムに収容された(1)又は(2)に記載の綿棒型化粧料、
(4)前記化粧料は、1,3-ブチレングリコールとグリセリン、ペンチレングリコール、及びフェノキシエタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(1)又は(2)に記載の綿棒型化粧料、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、経時的に安定な、まつ毛及びまつ毛生え際用の綿棒型化粧料の提供が可能となった。また、まつ毛および生え際への適用時に使用性が良好で、効果感に優れ、長期的に安定な綿棒型化粧料の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の綿棒型化粧料の一実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明の綿棒型化粧料の一実施形態を構成する繊維塊部の平面図(a)、一部を拡大して示す平面図(b)である。
【
図3】本発明の綿棒型化粧料を構成する繊維塊部の正面図(a)、A-A線断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本発明の綿棒型化粧料は、綿棒の両端の繊維塊部に化粧料が含浸された綿棒型化粧料(化粧料含浸綿棒)である。
図1は本発明の一実施形態に係る綿棒型化粧料であり、
図2及び
図3はその繊維塊部の拡大図である。
本実施形態に用いる綿棒1は、a)棒状の軸部2と、b)前記棒状の軸部が、一方の端部において3個から5個の塊状の綿球部4が連結した繊維塊部3を備え、もう一方の端部において円錐型の形状を有した繊維塊部6を備えている。
本発明に用いる綿棒1の全体の長さは特に制限はないが、79.5±2mmが好ましく、80.5±2mmがより好ましい。
【0011】
本実施形態に用いる綿棒1の軸部2の一方の端部における繊維塊部3は、3個から5個の塊状の綿球部4が連結したものであり、より好ましくは4個から5個連結したものである。連結した塊状の綿球部4はそれぞれ同形状であっても良いし、異なる形状でも良い。好適な形状として、軸部の軸方向に圧縮させた形状の偏平球状が挙げられる。複数個の各綿球部の大きさについては特に制限はないが、軸方向に直行する方向の直径が4.7±1mmであることが好ましく、繊維塊部3の軸方向の全体の長さは10~20mmであることが好ましく、塊状の綿球部4が4個連結したものの場合は13.5±1.5mmが好ましく、5個連結したものの場合は16.8±1.5mmが好ましい。本実施形態では、繊維塊部3は、4個の偏平球状の綿球部4a~4dが連結している。隣接する綿球部4間で溝部5が形成され、本実施形態では綿球部4aと4b間、4bと4c間、4cと4d間にそれぞれ溝部5a~5cが形成される。2つの繊維塊部のうち、繊維塊部3は主にまつ毛に対し化粧料を塗布するために用いられる。繊維塊部3において、隣接する綿球部4のうち、いずれか低い方の接平面Sからの溝部5の深さdは、まつ毛への塗布のしやすさの観点から、0.1~1.0mmであることが好ましく、0.2~0.5mmであることがより好ましい。また隣り合う溝部5の間隔は、まつ毛への塗布のしやすさから、1.0~5.0mmであることが好ましく、2.0~4.0mmであることがより好ましい。また、繊維塊部3が5個の扁平球状の綿球部が連結した形態では、繊維塊部3において、溝部5の深さdは、まつ毛への塗布のしやすさの観点から、0.1~1.0mmであることが好ましく、0.4~0.8mmであることがより好ましい。また隣り合う溝部5の間隔は、まつ毛への塗布のしやすさから、1.0~5.0mmであることが好ましく、2.0~4.0mmであることがより好ましい。
【0012】
綿棒1の軸部のもう1方の端部における繊維塊部6は、円錐型の形状を有した先端部7と円柱状の形状を有した基体部8を有するものであり、主にまつ毛の生え際を塗布するために用いられる。円錐型とは、一般的な綿棒の繊維塊部は繭型であるのに対し、先端部が細くなっている形状のことを指し、大きさや詳細な形状に制限はない。本実施形態では、先端部7は略円錐形であり、その底面(A-A断面)の直径D1と高さHについて、まつ毛の生え際への塗りやすさの観点から、D1は4.9±1mmが好ましく、Hは5.0±2mmであることが好ましい。繊維塊部6の軸方向の全体の長さは12.5±1.5mmであることが好ましい。
【0013】
本発明に用いる綿棒1の軸部2の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む材質が好ましく、このうち特にポリプロピレンが好ましい。また、軸部2の長さは、50mm~100mmが好ましく、特に好ましくは、70mm~90mmである。
本発明に用いる綿棒1の繊維塊部3,6は、パルプ、レーヨン、コットン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、及びポリエチレンのいずれかから選ばれる単繊維又は混合繊維を含むことが好ましい。このうち、特にレーヨン、コットンから選ばれる単繊維または混合繊維が好ましい。
【0014】
本発明に用いる綿棒に含浸させる化粧料は、まつ毛及びまつ毛の生え際に適用できる化粧料である。化粧料とは、化粧水、美容液、クリーム、乳液、化粧用油などが挙げられるが、洗浄料は含まれない。洗浄料とは、メイク汚れや皮脂汚れなど皮膚の汚れを落とすことを目的に使用する化粧料であり、具体的にはメイク落とし、クレンジングである。
【0015】
次に、本発明に用いる綿棒の繊維塊部に含浸される化粧料について説明する。
本発明に用いる化粧料は、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ペンチレングリコール、及びフェノキシエタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。1,3-ブチレングリコールの含有量は、本発明に用いる化粧料中、0.001~50質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。グリセリンの含有量は、本発明に用いる化粧料中、0.001~20質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。ペンチレングリコールの含有量は、本発明に用いる化粧料中、0.001~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。フェノキシエタノールの含有量は、本発明に用いる化粧料中、0.001~0.5質量%が好ましく、0.01~0.3質量%がより好ましい。
【0016】
本発明の繊維塊部に含浸させる化粧料は、上記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品などに用いられる各種成分を適宜配合することができる。また、化粧料は、スキンケア剤以外の他の成分も含み得る。そのような他の成分としては、例えば、エキス類、ビタミン類、アミノ酸類、脂質、保湿成分、皮膚収斂剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗セルライト剤、美白剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、香料、着色料などが挙げられる。
これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの成分の添加量は、特に制約はなく、使用感等を考慮しながら適宜定めることができる。薬理成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
本発明に用いる綿棒の繊維塊部に含浸させる化粧料の含浸量は特に限定されないが、好ましくは両端の繊維塊部で計0.1~1.0gであり、より好ましくは0.16~0.4gであり、最も好ましくは0.2~0.24gである。
また、本発明の綿棒型化粧料は、個包装フィルムに一本ずつ収容されて提供されることが好ましい。包装用フィルムは、非通気性フィルムが好ましく、包装用材料としてアルミを含む積層フィルムが好ましい。積層フィルムの種類としては、ポリエチレンテレフタレート層、ポリエチレン層等が挙げられる。
【0017】
本発明の綿棒型化粧料は、常法により製造することができる。本発明の綿棒型化粧料を個包装フィルムに収容する方法は特に限定されない。充填機を用いて収容しても良いし、ピペット等の器具を用いて収容してもよい。
さらに、本発明の綿棒型化粧料は、前記綿棒型化粧料が収容された個包装フィルムが複数個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個)連設されたキットとして提供されてもよい。当該キットは、1回使用ごとに指等で連設部を切り離して使用することができる。個包装フィルムに収容される綿棒型化粧料の化粧料の量は特に限定されないが、通常0.1~1gが好ましく、0.16~0.4gがより好ましく、0.2~0.24gが最も好ましい。
【実施例0018】
以下に、実施例等を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例等に限定されるものではない。
【0019】
<実施例1、比較例1>
1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ペンチレングリコール、エキス類、アミノ酸類、フェノキシエタノール、及び水を混合・溶解して化粧料を調製した。これを
図1に示す形状を有した綿棒及び
図4に示す形状を有した綿棒の両端繊維塊部に各0.11g含浸させ、実施例1および比較例1の綿棒型化粧料を得た。実施例1及び比較例1の綿棒型化粧料を、PET/AL/PEで構成される非通気性の積層フィルムに一本ずつ収容した。それぞれの綿棒の軸部の素材はポリプロピレンであり、両端繊維塊部の素材はコットンとレーヨンの混合繊維である。
【0020】
試験例1:安定性の評価
個包装された実施例1の綿棒型化粧料を40℃湿度75%条件下、及び低温条件下で6か月保管後、個包装を開封し、綿棒型化粧料の状態について評価を行った。軸部の外観・性状、繊維塊部の外観・性状、色調、及び使用性について、製造直後品との比較評価を行った。なお、使用性については、内腕に製剤を少量塗布し、塗り広げて、伸びや異物の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0021】
【0022】
表1に示すように各項目において、製造直後品と比較して変化は認められず、安定性に問題なかった。
【0023】
<実施例2~4、比較例3、4>
1,3-ブチレングリコール5質量%及び水95質量%を混合・溶解して化粧料を調製した。本実施形態に用いる綿棒1の軸部2の一方の端部における繊維塊部3が、2個から6個の塊状の綿球部4が連結したものを繊維塊部3に浸るよう上記化粧料に浸漬し、それぞれ約0.1~0.2gの化粧料を含浸させた。それぞれの綿棒の軸部の素材はポリプロピレンであり、両端繊維塊部の素材はコットン繊維である。
【0024】
試験例2:綿棒の成型性(凹凸性)評価
化粧料を含浸させた実施例2~4及び比較例3、4の綿棒型化粧料について、綿棒の成型性(凹凸性)評価を行った。繊維塊部3を化粧料に浸して、室温に5分静置させた後、綿棒を化粧料から取り出し、それぞれの繊維塊部3の凹凸性を目視にて評価した。
<凹凸性評価項目>
非含浸時の綿球部が連結した繊維塊部と比較して、
含浸後の繊維塊部の凹凸が顕著である :〇
含浸後の繊維塊部の凹凸が不明瞭である:×
【0025】
<実施例2~4、比較例2~4>
1,3-ブチレングリコール3質量%、グリセリン3質量%、ペンチレングリコール3質量%、フェノキシエタノール0.4質量%、及び水90.6質量%を混合・溶解して化粧料を調製した。本実施形態に用いる綿棒1の軸部2の一方の端部における繊維塊部3が、1個から6個の塊状の綿球部4が連結したものを繊維塊部3に浸るよう上記化粧料を浸漬し、それぞれ約0.1~0.2gの化粧料を含浸させた。それぞれの綿棒の軸部の素材はポリプロピレンであり、両端繊維塊部の素材はレーヨン繊維である。
【0026】
試験例3:綿棒の成型性(耐久性)評価
化粧料を含浸させた実施例2~4及び比較例2~4の綿棒型化粧料を80℃の湯浴で1時間加温し、加温後の綿棒の成型性(耐久性)評価を行った。それぞれの繊維塊部3の耐久性を目視にて評価した。
<耐久性評価項目>
綿球部が連結した繊維塊部の形状が維持され、繊維のほつれ等がない :〇
綿球部が連結した繊維塊部の形状が維持されず、繊維のほつれ等がある:×
【0027】
【0028】
表2に、綿棒の成型性(凹凸性及び耐久性)について評価をした結果を示す。
凹凸性を評価した結果、非含浸時と比較して、2から5個の綿球部が連結した繊維塊部を有する綿棒型化粧料(実施例2~4、比較例3)は、顕著な凹凸性を有していた。一方、6個の綿球部が連結した繊維塊部を有する綿棒型化粧料(比較例4)は、繊維塊部が化粧料を含むことで膨潤し、凹凸性が不明瞭な形状であった。
耐久性を評価した結果、含浸及び加温処理前と比較して、3から6個の綿球部が連結した繊維塊部を有する綿棒型化粧料(実施例2~4,比較例4)は、繊維塊部の形状が維持され、繊維のほつれ等は認められなかった。一方、1個又は2個の綿球部が連結した繊維塊部を有する綿棒型化粧料(比較例2~3)は、繊維塊部の形状が維持されず、繊維が一部飛び出す等のほつれが認められた。
【0029】
試験例4:使用感の評価
実施例1と比較例1の綿棒型化粧料について、使用感試験を行った。具体的には、上記の個包装された実施例1の綿棒型化粧料は294名の女性に、比較例1の綿棒型化粧料は137名の女性にそれぞれ使用してもらい、使用初日に、まつ毛とまつ毛の生え際への使用性の良さを問う以下評価項目に対して、「とてもあてはまる」を最も良好な結果として6段階(とてもあてはまる、あてはまる、ややあてはまる、あまりあてはまらない、あてはまらない、まったくあてはまらない)で評価してもらった。実施例1の綿棒型化粧料は、
図1に示す球綿部が連結した繊維塊部3の方をまつ毛に適用し、円錐型の形状を有する繊維塊部6の方をまつ毛の生え際に適用して評価してもらった。
<評価項目>
まつ毛の根元から毛先まで塗りやすい
上の生え際に塗りやすい
下の生え際に塗りやすい
生え際に使うことに抵抗がない
【0030】
表2に、使用性について、綿棒形状の違いによる評価をした結果を示す。
6段階の評価結果のうち、上位2つの評価(とてもあてはまる、あてはまる)を選択した人の割合を示した。
【0031】
【0032】
表3に示すように、実施例1は比較例1と比較して、まつ毛へおよびまつ毛の生え際への使用性が明らかに向上していることが確認できた。
【0033】
試験例5:効果感の評価
実施例1と比較例1の綿棒型化粧料について、効果感試験を行った。具体的には、上記の個包装された実施例1の綿棒型化粧料は284名の女性に、比較例1の綿棒型化粧料は133名の女性に、それぞれ1か月間毎日連用してもらい、まつ毛およびまつ毛への生え際への効果感の高さを問う以下評価項目に対し、「とてもあてはまる」を最も良好な結果として6段階(とてもあてはまる、あてはまる、ややあてはまる、あまりあてはまらない、あてはまらない、まったくあてはまらない)で評価してもらった。実施例1の綿棒型化粧料は、
図1に示す球綿部が連結した繊維塊部3の方をまつ毛に適用し、円錐型の形状を有する繊維塊部6の方をまつ毛の生え際に適用して評価してもらった。
<評価項目>
まつげのツヤがアップした
まつげ1本1本が太くなったと感じた
まつげが長くなったと感じた
生え際の環境が良くなったと感じた
【0034】
表3に、効果感について、綿棒形状の違いによる評価をした結果を示す。
6段階の評価結果のうち、上位2つの評価(とてもあてはまる、あてはまる)を選択した人の割合を示した。
【0035】
【0036】
表4に示すように、実施例1と比較例1の綿棒型化粧料を使用した場合の効果に関する評価の試験結果において、同一処方の化粧料を塗布しているにも関わらず、比較例1と比較して、実施例1の綿棒型化粧料は効果感に優れていることが確認できた。
すなわち、実施例1は比較例1と比較して、まつ毛へおよびまつ毛の生え際への効果感が明らかに向上していることが確認できた。
【0037】
以上より、本発明の綿棒型化粧料は、従来の綿棒に含浸させた綿棒型化粧料と比較し、同一処方の化粧料を浸漬させた綿棒型化粧料でありながら、まつ毛およびまつ毛の生え際への良好な使用性および高い効果感を示すことが示された。
本発明により、まつ毛に健康的な光沢やハリを付与する効果を持ちながら、繊細なまつ毛の生え際にも違和感なく塗布できる機能を持ち合わせ、まつ毛とまつ毛の生え際の両方に効果的に塗布できる、優れた綿棒型化粧料の提供が可能となった。また、1本使いきりで衛生面にも優れ、両端の形状の特徴により、まつ毛および生え際への適用時に使用性および効果感が優れた綿棒型化粧料の提供が可能となった。