(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026412
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】下向き圧力を吸収するレチクル支持体を備えたレチクルポッド
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20250214BHJP
F16F 3/087 20060101ALI20250214BHJP
F16F 1/374 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L21/68 U
F16F3/087
F16F1/374
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131797
(22)【出願日】2024-08-08
(31)【優先権主張番号】63/531,587
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】薛 新民
(72)【発明者】
【氏名】劉 昌達
【テーマコード(参考)】
3J059
5F131
【Fターム(参考)】
3J059AA01
3J059AC03
3J059BA66
3J059BA72
3J059BB04
3J059BC05
3J059CB02
5F131AA10
5F131AA12
5F131BA11
5F131CA09
5F131CA12
5F131CA18
5F131FA10
5F131FA13
5F131GA24
5F131GA32
5F131GA53
5F131GA87
5F131GA94
5F131GA99
(57)【要約】
【課題】EUVリソグラフィープロセスの際に、下向きの圧力を吸収することによってレチクルの損傷や汚染を阻止するレチクル支持体を備えたレチクルポッドを提供する。
【解決手段】レチクルポッドは、ベース(50)およびベース上に設けられていてレチクル(R)を担持する少なくとも1つのレチクル支持体(100)を有する。レチクル支持体は、弾性手段を有する。レチクル支持体に加えられた下向きの圧力が限界値よりも小さくまたはこれに等しい場合、レチクル支持体の高さは、所定の高さに維持され、レチクル支持体に加えられた下向きの圧力が限界値よりも大きい場合、レチクル支持体は、変形することによって下向きの圧力を吸収し、次に、レチクル支持体は、下向きの圧力がもう1つのレチクル支持体によって分担された場合にのみ、所定の高さに復元する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルポッドであって、ベースおよび前記ベース上に設けられた少なくとも1つのレチクル支持体を有する、レチクルポッドにおいて、
前記レチクル支持体は、前記レチクルを担持するためのものであり、前記レチクル支持体は、弾性手段を有し、
前記レチクル支持体に加えられた下向きの圧力が限界値よりも小さくまたはこれに等しい場合、前記レチクル支持体の高さは、所定の高さに維持され、
前記レチクル支持体に加えられた下向きの圧力が限界値よりも大きい場合、前記レチクル支持体は、変形することによって前記下向きの圧力を吸収し、次に、前記レチクル支持体は、前記下向きの圧力がもう1つのレチクル支持体によって分担された場合にのみ、前記所定の高さに復元する、レチクルポッド。
【請求項2】
前記弾性手段は、弾性材料、ばねまたは中空構造体であり、前記限界値は、前記弾性手段に従って定められる、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項3】
前記レチクル支持体は、突起を有し、前記突起は、前記突起が前記レチクルと弾力的な接触関係をなすことができるよう弾性材料を有し、前記弾性材料は、ゴムまたは熱可塑性エラストマー(TPE)である、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項4】
前記レチクル支持体は、前記弾性材料の圧縮および変形によって下向きの圧力を吸収する、請求項3記載のレチクルポッド。
【請求項5】
前記レチクル支持体は、その底部分上に設けられた弾性要素を有し、前記レチクル支持体は、前記弾性要素によって前記ベースと弾力的な連結関係をなすようになっている、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項6】
前記弾性要素は、前記限界値よりも大きな下向き圧力に耐え、それに対応して変形し、沈み、そして前記下向き圧力を吸収する、請求項5記載のレチクルポッド。
【請求項7】
前記弾性要素は、ばねであり、前記レチクル支持体は、前記ばねによって前記ベースに連結されている、請求項5記載のレチクルポッド。
【請求項8】
前記弾性要素は、複数の弾性ワッシャであり、前記レチクル支持体は、前記弾性ワッシャによって前記ベースに連結されている、請求項5記載のレチクルポッド。
【請求項9】
前記複数の弾性ワッシャは、前記レチクル支持体を前記ベースに固定するよう複数の締結要素と合わさる、請求項8記載のレチクルポッド。
【請求項10】
前記レチクル支持体は、突起および前記突起の2つの側部上に配置された2つのエッジリミッタを有し、前記複数の弾性ワッシャは、前記レチクル支持体の前記突起および前記2つのエッジリミッタの下に設けられている、請求項8記載のレチクルポッド。
【請求項11】
前記レチクルの重量は、320g~330g以上であり、前記限界値は、3.14N以上である、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項12】
前記所定の高さは、0.1mmから0.23mmまでの範囲にある、請求項1記載のレチクルポッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチクルポッド、特に、下向きの圧力を吸収するレチクル支持体を備えたレチクルポッドに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の極端紫外線(EUV)リソグラフィープロセスでは、何よりもまず、レチクルをデュアルポッド(極端紫外線(EUV)レチクル移送ポッド)によって保護する必要がある。現行のデュアルポッドは、外側ポッド(EOP)および内側ポッド(EIP)を含む。レチクルは、内側ポッド内に受け入れられ、内側ポッドは、外側ポッド内に受け入れられる。
【0003】
デュアルポッドが動作中の暴露機械内に位置しているとき、外側ポッドと内側ポッドがレチクルを受け入れるよう開かれ、次にレチクルが機械式アームによって取り出される。機械式アームがレチクルを戻している間、レチクルがある幾つかの理由で機械式アームによって水平状態に保たれなければ、すなわち、レチクルの4つのコーナーが実質的に、同一の水平面上に位置しなければ、レチクルのコーナーのうちの1つだけが最初にベースの支持部材のうちの1つに接触する。この時点で、機械式アームに調整またはバッファー機構体がなくて支持体の逆向きの力がレチクルの1つのコーナーに過剰に集中するようになっていれば、強烈な衝突と摩擦がレチクルのこのコーナーと対応の支持部材との間で引き起こされる場合があり、その結果、粒子が生じ、それどころかレチクルの損傷と汚染が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題を考慮して、本発明は、下向き圧力を吸収する支持部材を備えたレチクルポッドを提供する。支持部材は、レチクルがピックアップされ、または置かれたとき、レチクルと対応の支持部材の衝突や摩擦を阻止するように、過度の荷重を吸収することができ、それによりレチクルまたは支持部材の摩耗や汚染が防止される。
【0005】
本発明の目的は、ベースおよびベース上に設けられた少なくとも1つのレチクル支持体を有するレチクルポッドを提供することにある。レチクル支持体は、レチクルを担持するためのものであり、弾性手段を有する。レチクル支持体に加えられた下向きの圧力が限界値よりも小さくまたはこれに等しい場合、レチクル支持体の高さは、所定の高さに維持され、レチクル支持体に加えられた下向きの圧力が限界値よりも大きい場合、レチクル支持体は、変形することによって下向きの圧力を吸収し、次に、レチクル支持体は、下向きの圧力がもう1つのレチクル支持体によって分担された場合にのみ、所定の高さに復元する。
【0006】
特定の実施形態では、弾性手段は、弾性材料、ばねまたは中空構造体であり、限界値は、弾性手段に従って定められる。
【0007】
特定の実施形態では、レチクル支持体は、突起を有する。突起は、突起がレチクルと弾力的な接触関係をなすことができるよう弾性材料を有し、弾性材料は、ゴムまたは熱可塑性エラストマー(TPE)である。
【0008】
特定の実施形態では、レチクル支持体は、弾性材料の圧縮および変形によって下向きの圧力を吸収する。
【0009】
特定の実施形態では、レチクル支持体は、その底部分上に設けられた弾性要素を有し、レチクル支持体は、弾性要素によってベースと弾力的な連結関係をなすようになっている。
【0010】
特定の実施形態では、弾性要素は、限界値よりも大きな下向き圧力に耐え、それに対応して変形し、沈み、そして下向き圧力を吸収する。
【0011】
特定の実施形態では、弾性要素は、ばねであり、レチクル支持体は、ばねによってベースに連結されている。
【0012】
特定の実施形態では、弾性要素は、複数の弾性ワッシャであり、レチクル支持体は、弾性ワッシャによってベースに連結されている。
【0013】
特定の実施形態では、複数の弾性ワッシャは、レチクル支持体をベースに固定するよう複数の締結要素と合わさる。
【0014】
特定の実施形態では、レチクル支持体は、突起および突起の2つの側部上に配置された2つのエッジリミッタを有し、複数の弾性ワッシャは、レチクル支持体の突起および2つのエッジリミッタの下に設けられている。
【0015】
特定の実施形態では、レチクルの重量は、320g~330g以上であり、限界値は、3.14N以上である。
【0016】
特定の実施形態では、所定の高さは、0.17mmから0.23mmまでの範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本発明の第1の実施形態に従ってレチクルを通常の状態で担持するレチクルベースの略図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態に従ってレチクルが外力を受けたときに傾けられるレチクルベースの略図である。
【
図2A】本発明の第2の実施形態としての支持部材の構造の略図である。
【
図2B】本発明の第2の実施形態としての支持部材の構造の変化の略図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態としてのレチクルベースおよびレチクルの分解組立図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態としてのレチクルベースおよびレチクルの平面図である。
【
図5A】本発明の第3の実施形態としての支持部材の分解組立図である。
【
図5B】第3の実施形態に従って
図4のA‐A線に沿って取った支持部材の断面図である。
【
図6A】本発明の第3の実施形態の第1の変形例としての支持部材の分解組立図である。
【
図6B】
図4のA‐A線に沿って取った第3の実施形態の第1の変形例としての支持部材の断面図である。
【
図7A】本発明の第3の実施形態の第2の変形例としての支持部材の分解組立図である。
【
図7B】
図4のA‐A線に沿って取った第3の実施形態の第2の変形例としての支持部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、下向きの圧力を吸収する少なくとも1つのレチクル支持体を有するレチクルポッドを提供する。レチクル支持体は、弾性手段を有し、このレチクル支持体は、下向きの圧力を吸収し、そして弾性手段によって過剰な下向きの圧力を和らげる。本発明の説明を明確にするため、本発明のレチクルポッドのレチクルおよびベースだけが図示してある。
【0019】
図1Aを参照すると、
図1Aは、レチクルRを通常の状態で担持するレチクルベース(例えば、上述のデュアルポッドの内側ポッドのベース)の略図である。本発明のレチクル支持体100が、レチクルポッドのベース50の上面501上に設けられており、このレチクル支持体は、レチクルRを支持するためのものである。レチクルRがレチクル支持体100上に置かれると、所定の高さHがレチクルRの下面R1とベース50の上面501との間に維持され、所定の高さHは、すなわち、圧縮されていないレチクル支持体100が上面501から上方に延びる高さ、より具体的には、レチクル支持体100が上面501から露出する高さである。デュアルポッドの内側ポッド(またはEIP)の一実施形態では、所定の高さHは、0.17mmから0.23mmまでの範囲にある。
【0020】
図1Bに示すように、本発明のレチクル支持体100は、レチクルRが配置されまたはピックアップされ、そしてレチクルRの傾きにより生じる下向きの圧力が単一のまたは数個のレチクル支持体100上に過剰に集中し、また、レチクル支持体100のコーナーに加えられたレチクル支持体100の垂直力が限界値よりも大きい場合、下向きの圧力がレチクル支持体100の弾性手段によって吸収されるよう構成されている。弾性手段により、レチクル支持体100は、下面R1とベース50の上面501との間の所定の高さHよりも低い高さhを必然的に生じ、その結果、下面R1と上面501が角度αをなし、そして、レチクル支持体100が最初にレチクルに接触した後、下向きの圧力がもう1つのレチクル支持体100によって分担された場合にのみ所定の高さHに復元する。レチクル支持体100の限界値に関する設計は、レチクルの重量および/または機械式アームの運動手段によって提供される下向きの圧力に従って決定されるのがよい。例えば、レチクルの重量が320g~330gよりも大きくまたはこれに等しい場合、限界値は、レチクル支持体100の材質または構造に照らして、3.14N以上であるよう設計されるのがよい。この場合、レチクルに接触している1つの単一レチクル支持体100が受ける下向きの圧力が3.14Nよりも大きい場合、レチクル支持体100の弾性手段は、介在して下向きの圧力を吸収する作用を生じさせ、かくして、レチクルの対応のコーナーが過剰に大きい垂直力に耐えることがないようにする。
【0021】
本発明の第1の実施形態では、圧縮可能でありかつ弾性であり、しかも耐熱性、耐摩耗性、または高い可塑性を有する弾性材料は、レチクル支持体100のための弾性手段の材料として選択される。材料としては、例えば、ゴムまたは熱可塑性エラストマー(TPE)、例えば熱可塑性ゴム(TPR)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、もしくは熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0022】
かくして、レチクル支持体100が弾性材料で作られている場合、レチクル支持体100の頂端は、レチクルRの下面R1と弾力的な接触関係をなし、レチクル支持体100は、1つの単一レチクル支持体100に加わる下向きの圧力が限界値よりも大きい場合、自己圧縮および自己変形によって下向きの圧力を吸収する。
【0023】
本発明の第2の実施形態を示す
図2Aおよび
図2Bを参照すると、レチクル支持体200,200′は、それぞれ突起201を有し、レチクル支持体200の突起201は、連結部分202と接合され、レチクル支持体200′の突起201は、連結部分203と接合されている。連結部分202,203は、弾性要素の互いに異なる変形例である。本発明の第2の実施形態では、レチクル支持体200,200′の弾性要素は、下向きの圧力を吸収する弾性手段として用いられる。突起201は、連結部202,203を介して、
図1Aに示すようにベース50に連結されまたは結合されており、その結果、突起201を圧縮することができまたは、上面501に対してスイングすることができるようになっている。連結部分202,203は、下向きの圧力を吸収するよう突起201と比較して変形しやすい構造を有する。好ましくは、連結部分202は、ばねであり、ばねの底部は、適当な連結手段によってベース50内に埋め込まれるのがよく、ばねの頂部は、突起201に連結されている。連結部分203は、中空構造体である。図示のように、連結部203は、主として4本の細い柱および底パネルからなっている。細い柱を形成する材料は、可撓性を示すよう適切に選択されるのがよく、例えば、上述した弾性材料である。かくして、連結部分203の4本の細い柱が力を受けることに起因して変形して撓むことができ、それにより突起201がスイングしまたは沈むということが分かる。
【0024】
かくして、レチクル支持体200,200′の連結部分202,203が弾性要素である場合、レチクル支持体200,200′に加えられた限界値よりも大きい下向きの圧力に応答して、レチクル支持体200,200′の突起201は、レチクルRのコーナーからの下向きの圧力を吸収するよう上面501に対してわずかに沈む。換言すると、レチクル支持部200,200′は、弾性要素を変形させることによって下向きの圧力を吸収する。
【0025】
好ましくは、レチクル支持体200,200′の突起201または連結部分202,203は、例えば、本発明の第1の実施形態の弾性材料によって選択的に形成されるのがよい。突起201は、連結部分202,203を介してベース50の取り付けインターフェース(図面からは省かれている)に連結されまたは結合されており、レチクル支持体200,200′に加えられた下向きの圧力が限界値よりも大きい場合、突起201または接続部分202,203は、圧縮および変形によって下向きの圧力を吸収する。
【0026】
本発明の第3の実施形態を示す
図3~
図5Bを参照する。
図3は、レチクルポッドの内側ポッドのベース50およびレチクルRの略図であり、
図4は、レチクルRを担持したベース50の平面図であり、取り付け穴51がベース50の4つのコーナーに設けられ、支持機構体30が取り付け穴51内に設けられている。
図5Aおよび
図5Bに示すように、支持機構体30は、レチクル支持体31、弾性ワッシャ32および2つの締結部材33を含む。締結部材33は、レチクル支持体31の2つの締結穴314を介してベース50の固定穴114に取り外し可能に固定されるとともに連結されている。本発明の第3の実施形態では、レチクル支持体31は、下向きの圧力を吸収する弾性手段として弾性ワッシャ32を用いる。
【0027】
レチクル支持体31は、突起311(レチクルRの下面に接触する)および、少なくとも1つのエッジリミッタ313(レチクルRの側縁を制限する)を有する。弾性ワッシャ32は、レチクルRがレチクル支持体31上に担持されると、弾性ワッシャ32に接触するよう突起311の頂部に設けられ、レチクルRと突起311との間には弾力的な接触部が形成される。レチクル支持体31に加えられた下向きの圧力が限界値よりも大きい場合、弾性ワッシャ32は、レチクルRのコーナーによって加えられた下向きの圧力を吸収するのに十分である。この場合、
図1Aおよび
図1Bに示す所定の高さHと高さhの関係を考慮して、突起311の露出高さに弾性ワッシャ32の圧縮後の厚さを加えた量は、突起311の露出する高さに非圧縮状態の弾性ワッシャ32の厚さを加えた量よりも必然的に小さい。好ましくは、突起311の頂部には、弾性ワッシャ32と合致してこれに連結することができるよう適切に形成された切欠き312を有するのがよい。好ましくは、切欠き312は、弾性ワッシャ32を突起311に取り外し可能に連結するよう適切に構成されるのがよい。弾性ワッシャ32を突起311の頂部に設けることによって、レチクルRと突起311とのハードな(弾力のない)接触部に代えて弾力的な接触部が用いられることになり、したがって、汚染粒子や突起311の摩耗を減少させることができる。さらに、締結部材33または切欠き312の取り外し可能な手段により、異なるレチクル支持体31または弾性ワッシャ32の交換を容易に行うことができる。
【0028】
本発明の第3の実施形態の第1の変形例を示す
図6Aおよび
図6Bを参照すると、本発明の第3の実施形態の第1の変形例は、レチクル支持体31をベース50に固定するよう互いに合致する2つの弾性ワッシャ32と2つの締結部材33を有する。具体的に説明すると、弾性ワッシャ32は、ベース50の固定穴114とレチクル支持体31との間に設けられ、その結果、レチクル支持体31とベース50との間には弾力的接触部が形成されるが、弾性ワッシャ32は、かかる組立体によって実質的に圧縮されないようになる。締結部材33は、レチクル支持体31の締結穴314、弾性ワッシャ32、および固定穴114を順次通って、レチクル支持体31をベース50の取り付け穴51に取り付ける。弾性ワッシャ32をレチクル支持体31とベース50との間に設けることによって、下向きの圧力を吸収することができる。実施可能な変形例では、2つの弾性ワッシャ32に代えて一対の開口部を有する1つの単一の弾性ワッシャを用いてもよく、弾性ワッシャは、同様に、ベース50の固定穴114とレチクル支持体31との間に設けられる。
【0029】
好ましくは、第3の実施形態の第1の変形例は、2つの締結部材33とそれぞれ協調する2つの弾性ワッシャ32を有し、レチクル支持体31とベース50との間には弾力的接触部が形成され、下向きの圧力は、2つの弾性ワッシャ32によって吸収されるようになる。この場合、
図1Aおよび
図1Bに示す所定の高さHと高さhの関係を考慮して、突起311の露出高さに弾性ワッシャ32の圧縮後の厚さを加えた量は、突起311の露出する高さに非圧縮状態の弾性ワッシャ32の厚さを加えた量よりも必然的に小さい。
【0030】
本発明の第3の実施形態の第2の変形例を示す
図7Aおよび
図7Bを参照すると、3つの弾性ワッシャ32がレチクル支持体31の突起311および2つのエッジリミッタ313の下に設けられており、その結果、レチクル支持体31とベース50との間には弾力的接触部が形成されるようになっている。ベース50の取り付け穴51は、エッジリミッタ313の下部に対応した固定突起113を備えている。組み立て中、弾性ワッシャ32を最初に取り付け穴51中に配置して固定突起113を包囲し、次に、レチクル支持体31を入れて、レチクル支持体31の下向きの圧力によって弾性ワッシャ32を制限し(弾性ワッシャ32を実質的に圧縮しないで)、それにより不必要な変位を阻止するのがよい。もう1つの実施可能な変形例では、弾性ワッシャ32の数は、2つ以下であるのがよく、例えば、2つの弾性ワッシャ32だけがエッジリミッタ313に対応し、あるいは1つの弾性ワッシャ32だけが突起311に対応する。
【0031】
好ましくは、本発明の第3の実施形態の第2の変形例では、3つの弾性ワッシャ32をそれぞれレチクル支持体31の突起311および2つのエッジリミッタ313の下に配置し、これら3つの弾性ワッシャ32によって下向きの圧力を吸収する。この場合、
図1Aおよび
図1Bに示す所定の高さHと高さhと関係を考慮して、突起311の露出高さに弾性ワッシャ32の圧縮後の厚さを加えた量は、突起311の露出する高さに非圧縮状態の弾性ワッシャ32の厚さを加えた量よりも必然的に小さい。
【0032】
弾性ワッシャ32は、荷重を吸収するハードウェア要素、例えば、ゴムワッシャまたはばねワッシャであるのがよい。弾性ワッシャ32が追加的に設けられる場合、異なる機械の動作中における負荷の変化に適合させて、弾性ワッシャ32の取り付け位置および取り付け数を柔軟に調整し、それにより、ピックアップされて配置されるレチクルと支持部材との間に過剰に大きな力を生じるのを阻止し、それゆえ、粒子発生または損傷を防ぐことができる。
【0033】
本発明の技術的思想または技術的原理から逸脱しないで、本発明の実施例および変形例を実際の用途上の要件に応じて協調的に組み合わせまたは実施することができる。
【符号の説明】
【0034】
30 支持機構体
32 弾性ワッシャ
33 締結部材
50 ベース
51 取り付け穴
100 レチクル支持体
201 突起
202,203 連結部分
311 突起
313 エッジリミッタ
R レチクル