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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026413
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20250214BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20250214BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/06
A61Q1/02
A61K8/891
A61K8/894
A61K8/37
A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131870
(22)【出願日】2024-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2023131142
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】建部 桃子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC331
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC792
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD332
4C083AD432
4C083BB13
4C083BB14
4C083BB21
4C083BB25
4C083CC12
4C083DD32
4C083DD47
4C083DD50
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】化粧持続性に優れ、肌へのフィット感が良好で、乳化安定性にも優れた油中水型乳化組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物。
【請求項2】
請求項1記載の油中水型乳化組成物を含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料。
【請求項3】
成分(C)が、両末端アルキル変性グリセリルエーテル変性シリコーンを含む、請求項2記載の化粧料。
【請求項4】
成分(C)が一般式(2):
【化1】
(R11及びR19は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数の最頻値が1~32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;R12~R18は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数1~5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;Qは炭素数3~20の直鎖又は分岐を有する二価の炭化水素基;R20及びR21はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基で、少なくとも一方は水素原子;pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5以上60以下の数;qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5以上10以下の数;繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい。ただし、式中、1以上の炭素数10以上のアルキル基を有する)
で表わされるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンを含む、請求項2記載の化粧料。
【請求項5】
成分(A)の含有量が、0.1~8質量%であり、成分(B)の含有量が、1~30質量%であり、成分(C)の含有量が、0.1~12質量%であり、成分(D)の含有量が、3~40質量%である請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項6】
成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.5~15である請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項7】
油中水型乳化組成物が、さらに、疎水化処理された着色顔料1~30質量%を含有する請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項8】
油中水型乳化組成物が、さらに、揮発性油1~50質量%を含有する請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項9】
油中水型乳化組成物が、30℃における粘度が、3000~30000mPa・sである、請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項10】
保持体が、発泡体、多孔質体、繊維の集合体である、請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項11】
保持体が、ポリエステル繊維の集合体である、請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項12】
保持体に含浸させた油中水型乳化組成物を、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布することを特徴とする、請求項2又は3記載の化粧料の使用方法。
【請求項13】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キット。
【請求項14】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクト容器に内蔵したスポンジ等の保持体に液状化粧料を含浸させ、使用時に、指や塗布具を用いて保持体から取り、肌に塗布する形態の化粧料が開発されている。
例えば、特許文献1には、化粧料組成物が含浸されたポリエーテル系ウレタンフォームを含む化粧品が、安定性、携帯性及び使用感に優れることが記載されている。
特許文献2には、特定の有機紫外線遮蔽剤を含む化粧料組成物を、水不溶性スポンジに含浸させた化粧品が、紫外線遮断機能に優れることが記載されている。
特許文献3には、架橋型ポリエーテル変性シリコーン又は架橋型ポリグリセリン変性シリコーンと、デンドリマー型シロキサン構造を側鎖に有するアクリルポリマー又はシリコーン化プルランとを含有する含浸用油中水型乳化化粧料が、含浸体への充填適正や保持性を維持しながら、使用感と毛穴等の補正効果に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-530252号公報
【特許文献2】特開2017-088631号公報
【特許文献3】特開2019-131489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の化粧料は、肌への密着性に劣り、テカリや化粧崩れが生じやすく、化粧持続性に劣るという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、カチオン変性粘土鉱物と、フェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、液状のエステル油を組合わせた油中水型乳化組成物が、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感も良好で、化粧崩れが生じにくく、化粧持続性に優れ、乳化安定性にも優れることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、前記油中水型乳化組成物を含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料に関する。
また、本発明は、保持体に含浸させた油中水型乳化組成物を、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布することを特徴とする、前記化粧料の使用方法に関する。
また、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キットに関する。
【0008】
また、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油中水型乳化組成物は、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、長時間経過後も化粧崩れがなく、化粧持続性に優れ、乳化安定性にも優れている。油中水型乳化組成物は、保持体に含浸させ、コンパクト容器に内蔵した化粧料として用いるのに適している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)のカチオン変性粘土鉱物は、第四級アンモニウムイオンで置換されたもので、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されずに用いることができる。例えば、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等の層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で置換して得られるカチオン変性粘土鉱物が好ましい。
ここで、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記式(1):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R1は炭素原子数10~22のアルキル基又はベンジル基を示し、R2はメチル基又は炭素原子数10~22のアルキル基を示し、R3及びR4は炭素原子数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を示す)
で表されるものである。
【0013】
具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、及び上記各化合物のクロリドに代えてブロミド化合物としたもの等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
なかでも、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドがより好ましい。
【0014】
層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で置換して得られるカチオン変性粘土鉱物としては、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライを含むのがさらに好ましい。また、市販品としては、ベントン38、ベントン38VCG、ベントン27(以上、エレメンティスジャパン社製)等が挙げられる。
【0015】
有機変性粘土鉱物は、作業性向上の点、油の増粘効果に優れる点から、溶媒によって希釈された分散液として用いることもできる。
具体的には、有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを用いることが好ましい。溶媒としては、有機変性粘土鉱物によって増粘可能であれば制限されないが、油の増粘効果の点から、C9-12アルカン、C13-15アルカン、ミネラルオイルなど炭化水素油、フェニルトリメチコンなどのシリコーン油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、安息香酸アルキル(C12-15)から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、安息香酸アルキル(C12-15)から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい。
プレミックスゲル中の有機変性粘土鉱物の含有量は、作業性向上の点、油の増粘効果、及び増粘した油性ゲル自体の油分離を抑制する点から、5~25質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。
プレミックスゲルとしては、BENTONE GEL LC V、BENTONE GEL HS V、BENTONE LUXE XO、BENTONE GEL MIOV、BENTONE GEL VS-5 PC V、BENTONE GEL PTM V(以上、Elementis Specialties社製)、BENTONE GEL GTCC V、BENTONE GEL TN V(以上、Elementis Specialties社製)等の市販品を用いることができる。
【0016】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌への密着性、塗布後のカバー力、安定性に優れる観点から、固形分として、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、8質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、固形分として、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1~8質量%であるのが好ましく、0.3~4質量%がより好ましく、0.5~2質量%がさらに好ましい。
【0017】
本発明で用いる成分(B)は、25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上である。
25℃で液状とは、25℃における粘度が、10000mPa・s以下のことを示す。
成分(B)の25℃における粘度としては、4000mPa・s以下が好ましく、600mPa・s以下がより好ましく、200mPa・s以下がさらに好ましく、50mPa・s以下がよりさらに好ましい。
ここで、粘度は、以下の条件で測定される。
粘度測定条件:B型粘度計(TVB-10型、東機産業社製)、ローターNo.4、60rpm、60秒
【0018】
成分(B)のうち、25℃で液状のフェニル変性シリコーンとしては、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキシサン等が挙げられる。
なかでも、塗布後の塗膜の密着性に優れる観点から、メチルフェニルポリシロキサン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、少なくともメチルフェニルポリシロキサンを含むのがより好ましい。
【0019】
25℃で液状のフェニル変性シリコーンとしては、フェニルトリメチコンとして、SH556 Fluid(東レ・ダウコーニング社製);ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンとして、KF-56A(信越化学工業社製);メチルフェニルポリシロキサンとして、DOWSIL FZ-209(ダウ・東レ社製);ジフェニルジメチコンとして、KF-50(信越化学工業社製)、KF-53(信越化学工業社製)、KF-54P(信越化学工業社製);トリメチルシロキシフェニルジメチコンとして、PDM-1000(旭化成ワッカーシリコーン社製);トリメチルペンタフェニルトリシロキシサンとして、PH-1555 HRI Cosmetic Fluid(東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を用いることができる。
【0020】
成分(B)のうち、25℃で液状のアルキル変性シリコーンとしては、炭素数8~28のアルキル基が付加されたシリコーン油が挙げられ、肌への追随性に優れる観点から、アルキル基は、炭素数8~24が好ましく、8~20がより好ましく、8~16がさらに好ましく、8~12がよりさらに好ましい。
【0021】
25℃で液状のアルキル変性シリコーンとしては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等が挙げられる。
なかでも、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むのが好ましく、カプリリルメチコンを少なくとも含むのがより好ましい。
【0022】
成分(B)としては、塗布後の塗膜の密着性や肌への追随性に優れる観点から、25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンを組合わせて用いるのが好ましい。
【0023】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、塗布後の塗膜の密着性や肌への追随性に優れる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、6質量%以上がより好ましく、11質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、21質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に1~30質量%であるのが好ましく、6~21質量%がより好ましく、11~16質量%がさらに好ましい。
【0024】
成分(C)は、炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーンであり、シロキサン骨格と、炭素数10以上のアルキル基と、ポリオキシアルキレン基又はポリグリセリル基とを有するものである。
シロキサン骨格はいわゆるシリコーン鎖をいい、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。シリコーン鎖の長さは特に限定されず、化粧料等に通常使用されている長さのものであればいずれでも良い。
また、成分(C)の変性シリコーンは、主鎖内にポリオキシアルキレン基又はポリグリセリル基の鎖とシリコーン鎖とを含むブロック共重合体型でも、末端変性型でもよく、シロキサン骨格の側鎖としてポリオキシアルキレン基又はポリグリセリル基が結合した側鎖変性タイプでもよい。
変性シリコーンに含まれるポリオキシアルキレン基のオキシアルキレンは、1分子中にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを1種又は2種以上有し、エチレンオキサイドと、プロピレンオキサイドを有するものが好ましい。ポリオキシアルキレン基のオキシアルキレンの付加モル数は、4~12が好ましく、8~10がより好ましい。また、変性シリコーンに含まれるポリグリセリル基のグリセリンの付加モル数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
【0025】
成分(C)の変性シリコーンとしては、伸ばした際に、均一な厚みで伸び広がり、化粧崩れや皮脂によるテカリ等の発生を抑制し、化粧持続性が向上する観点から、HLB2~7であるのが好ましく、2~5がより好ましい。
本発明において、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、下記グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
HLB=20×(親水基の分子量/全体の分子量)
【0026】
成分(C)の変性シリコーンの具体例としては、ラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルジグリセリルトリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG/PPG-18/18メチコン等が挙げられる。
【0027】
また、成分(C)の変性シリコーンとしては、次の一般式(2)で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンが挙げられる。
【0028】
【化2】
【0029】
(R11及びR19は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数の最頻値が1~32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;R12~R18は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数1~5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;Qは炭素数3~20の直鎖又は分岐を有する二価の炭化水素基;R20及びR21はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基で、少なくとも一方は水素原子;pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5以上60以下の数;qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5以上10以下の数;繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい。ただし、式中、1以上の炭素数10以上のアルキル基を有する)
【0030】
一般式(2)において、R11及びR19は、それぞれ独立に炭素数の最頻値が1~32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基を示す。ここで炭素数の最頻値とは、分布を有する炭化水素基の鎖長のうち、最も多く含まれる炭化水素基の炭素数をいい、炭素数の最頻値が8~32であるのが好ましく、より好ましくは12~28、さらに好ましくは16~18である。
【0031】
一般式(2)において、R12~R18は、それぞれ独立に炭素数1~5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基を示し、同一であっても異なってもよい。炭素数がこの範囲である炭化水素基を使用することによって、食事に含まれる油剤による皮膜の可塑化をより効果的に防ぐことができる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、ペンチル基の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖アルキル基などが挙げられる。これらのうち、入手のしやすさの観点から、メチル基が好ましい。
【0032】
また、一般式(2)において、Qは炭素数3~20の直鎖又は分岐を有する二価の炭化水素基を示す。
Qで示される炭素数3~20の二価の炭化水素基としては、例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等の直鎖アルキレン基;プロピレン基、2-メチルテトラメチレン基、2-メチルペンタメチレン基、3-メチルペンタメチレン基、2-エチルオクタメチレン基等の分岐鎖アルキレン基などが挙げられる。これらのうち、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基が好ましい。
【0033】
また、R20及びR21はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基であって、少なくとも一方は水素原子である。炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドエイコシル基、テトラエイコシル基、ヘキサエイコシル基、オクタエイコシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、1-ヘプチルデシル基等の分岐鎖アルキル基などが挙げられる。これらのうち、R20及びR21はともに水素原子であるのが好ましい。
【0034】
一般式(2)において、pは繰り返し単位個数を示し、平均値で5~60の数を示し、20~30の数が好ましい。ここで、pの平均値は1H-NMRにより、ポリシロキサンの両末端に導入された炭化水素基の末端メチル基を基準に、R14及びR15に帰属されるピークの強度比から算出する。
また、qは繰り返し単位個数を示し、平均値で2.5~10の数を示し、3.0~6.0の数が好ましい。ここで、qの平均値は1H-NMRにより、ポリシロキサンの両末端に導入された炭化水素基の末端メチル基を基準に、OR20及びOR21が付加したメチン及びメチレン水素に帰属されるピークの強度比から算出する。
繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。また、pはqよりも大きいことが好ましい。
【0035】
一般式(2)で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンは、例えば、特開平4-134013号公報記載の方法に従って、少なくとも1個のケイ素-水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンに、対応するアルケニルグリセリルエーテルなどをヒドロシリル化反応させることにより製造することができる。
【0036】
一般式(2)で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンとしては、塗布中、塗布後、肌上に存在している水分と成分(D)エステル油とがネットワーク構造を形成することで、化粧崩れしにくい塗膜を肌に形成することで、化粧崩れや皮脂によるテカリ等の発生を抑制し、化粧持続性が向上する、また、高温での保存安定性が向上する観点から、グリセリルウンデシルジメチコン、ビスアルキル(C16-18)グリセリルウンデシルジメチコンが好ましい。
【0037】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、化粧崩れや皮脂によるテカリ等の発生を抑制し、化粧持続性が向上する観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、12質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1~12質量%であるのが好ましく、1~7質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。
【0038】
本発明において、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、長時間経過後も化粧崩れがなく、化粧持続性に優れ、高温での乳化安定性にも優れる観点から、0.05以上であるのが好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、3以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、0.05~3であるのが好ましく、0.1~1がより好ましく、0.2~0.6がさらに好ましい。
【0039】
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、長時間経過後も化粧崩れがなく、化粧持続性に優れ、高温での乳化安定性にも優れる観点から、0.5以上であるのが好ましく、1以上がより好ましく、2.5以上がさらに好ましく、15以下が好ましく、7以下がより好ましく、5.5以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、0.5~15であるのが好ましく、1~7がより好ましく、2.5~5.5がさらに好ましい。
【0040】
成分(D)は、25℃で液状のエステル油である。
ここで、液状とは、成分(B)と同様、25℃における粘度が、10000mPa・s以下のことを示す。粘度は、成分(B)と同様の方法で測定される。
成分(D)のエステル油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル等のモノエステル油;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等のジエステル油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリエステル油;テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル等のテトラエステル油などが挙げられる。
【0041】
これらのうち、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、長時間経過後も化粧崩れがなく、化粧持続性に優れる観点から、分子量300以上のエステル油が好ましい。また、モノエステル、ジエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、少なくともリンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる1種又は2種を含むのがさらに好ましい。
【0042】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、長時間経過後も化粧崩れがなく、化粧持続性に優れる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に3質量%以上であるのが好ましく、6質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に3~40質量%であるのが好ましく、6~25質量%がより好ましく、10~16質量%がさらに好ましい。
【0043】
本発明において、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、長時間経過後も化粧崩れがなく、化粧持続性に優れ、高温での乳化安定性にも優れる観点から、0.2以上であるのが好ましく、0.4以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、0.2~5であるのが好ましく、0.4~3がより好ましく、0.6~1.5がさらに好ましい。
【0044】
本発明の油中水型乳化組成物は、仕上がりのカバー力、顔全体のきれいな化粧仕上がり感を向上させる観点から、さらに、疎水化処理された着色顔料を含有することができる。
着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料、有機色素及びそのレーキ顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられ、これらの着色顔料の複合体、これらの着色顔料を硫酸バリウムやタルク等の体質顔料で希釈した混合顔料などが挙げられる。
着色顔料としては、肌をカバーし、審美性のあるメイクアップ効果を付与する観点から、金属酸化物を含むのが好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい。
【0045】
これらの着色顔料の疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン系化合物、金属石鹸、アミノ酸系化合物、レシチン、油剤、有機チタネート等の表面処理剤を用い、乾式処理、湿式処理等を行えばよい。
表面処理剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリエトキシカプリリルシラン等のアルキルアルコキシシラン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン系化合物;ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びそれらの誘導体等のアミノ酸;ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリシン等のアシル化アミノ酸;レシチン、水添レシチン;ポリイソブチレン、ワックス、油脂、脂肪酸等の油剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等の有機チタネートなどが挙げられる。
なお、前記アシル化アミノ酸としては、アシル化アミノ酸の塩が含まれ、アシル化アミノ酸の塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられ、Na、Ca塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、Na塩を含むのがより好ましい。また、アシル化アミノ酸塩としては、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、化粧持続性に優れ、高温での安定性に優れる観点から、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Naから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naを含むのがより好ましい。
表面処理剤としては、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、化粧持続性に優れ、高温での安定性に優れる観点から、シリコーン系化合物、アシル化アミノ酸、有機チタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naがよりさらに好ましい。
【0046】
疎水化処理は、通常の方法に従って行うことができる。
疎水化処理の処理量は、溶媒へ分散性向上の点から、被覆粉体の量に対して0.1~15質量%であるのが好ましく、1~12質量%がより好ましい。
【0047】
疎水化処理された着色顔料は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、肌への密着性が向上し、肌へのフィット感が良好で、化粧持続性に優れ、高温での安定性に優れる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、疎水化処理された着色顔料の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に1~30質量%であるのが好ましく、3~25質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。
【0048】
本発明の油中水型乳化組成物は、さらに、揮発性油を含有することができる。
揮発性とは、-4~88℃の引火点を有するものである。揮発性油としては、揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油が挙げられる。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン(1cs)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
揮発性炭化水素油としては、例えば、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油;シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油が挙げられる。これらのうち、炭素数8~16の炭化水素油が好ましく、炭素数10~16の炭化水素油がより好ましく、炭素数12の炭化水素油がさらに好ましい。
【0049】
揮発性油としては、肌に均一な塗膜を形成し、密着性が向上し、肌へのフィット感を向上させる観点から、炭化水素油及びシリコーン油から選ばれる1種以上であって、イソドデカン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。なお当該動粘度は、例えばウベローデ粘度計を用いて測定できる。
【0050】
ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンの市販品としては、信越化学工業社製の「KF-96L-0.65cs」(ヘキサメチルジシロキサン)、「TMF1.5」、「KF-96L-1cs」(オクタメチルトリシロキサン)、「KF-96L-1.5cs」、「KF-96L-2cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200C Fluid 1cs」、「SH200C Fluid 1.5cs」,モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「TSF451-0.65」、旭化成ワッカーシリコーン社製の「BELSIL DM0.65」、ダウ・東レ社製の「XIAMETER PMX-200 SILICONE FLUID 0.65CS」等が挙げられる。
【0051】
揮発性油は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌に均一な塗膜を形成し、密着性が向上し、肌へのフィット感を向上させる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、4質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。また、揮発性油の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に1~50質量%であるのが好ましく、4~35質量%がより好ましく、8~25質量%がさらに好ましい。
【0052】
本発明の油中水型乳化組成物は、環境に配慮し、使用感に優れ、高温での安定性に優れる観点から、マイクロプラスチックなどの有機樹脂粉体の含有量が、全組成中に1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないのがさらに好ましい。
具体的には、生分解性に優れるセルロース末以外の有機樹脂粉体のことである。
有機樹脂粉体として、例えば、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、シリコーン樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の重合体又は共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機樹脂粉体などが挙げられる。
【0053】
本発明の油中水型乳化組成物において、水の含有量は、安定した乳化組成物を形成する観点から、全組成中に3~50質量%であるのが好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい。
【0054】
本発明の油中水型乳化組成物は、前記の成分のほか、化粧料に通常使用される各種の成分を任意で使用することができる。これらの成分としては、例えば、前記以外の油性成分、界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、保湿剤、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
【0055】
本発明の油中水型乳化組成物は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状等の剤型にすることができる。
また、本発明の油中水型乳化組成物は、油中水型乳化化粧料とすることができ、例えば、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;スキンケア乳液、スキンケアクリーム、BBクリーム、美容液等のスキンケア化粧料などとして適用することができる。
なかでも、液状の油中水型乳化化粧料として好適である。
【0056】
本発明の油中水型乳化組成物は、肌に均一な塗膜を形成し、密着性が向上し、肌へのフィット感を向上させる観点から、30℃における粘度が、3000~30000mPa・sであるのが好ましく、5000~25000mPa・sがより好ましい。
粘度は、B型粘度計(東機産業社製、TVB-10型)を用い、回転数12rpm、測定時間30秒、温度30℃で測定した。ローターは、組成物の粘度によって、以下のローターを用いた。
粘度2,500mPa・s以上10,000mPa・s未満:ローターNo.3、
粘度10,000mPa・s以上:ローターNo.4
なお、表1中、実施例1の油中水型乳化組成物の粘度は、30℃で12000mPa・sであった。
【0057】
本発明の油中水型乳化組成物は、含浸用油中水型乳化組成物として、保持体に含浸させ、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用することができる。
保持体は、流動性を有する油中水型乳化組成物を含浸保持するものであり、例えば、樹脂、パルプ、綿等の単一又は混合素材からなる不織布、樹脂加工した繊維体、スポンジなどの発泡体、連続機構を備えた多孔質体、繊維の集合体などが挙げられる。
また素材としては、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、NR(天然ゴム)、ウレタン、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエステル、EVA(エチレン酢酸ビニル)、PVA(ポリビニルアルコール)、シリコーンエラストマー等が挙げられるが、内容物を含むことのできる保持体であればこれらの素材に限られるものではない。中でも、ポリエステル繊維の集合体が好ましく、架橋糸によって表層と裏層とが接続されている層構造のポリエステル繊維の集合体でも良い、ポリエステル繊維を用いて成形した繊維体であって、硬度は40~60(F硬度計測定値)が好ましく、見掛け密度(JIS K 6400-1準拠)が0.006~0.1g/cm3のものが好ましく、0.02~0.1g/cm3のものを用いることがより好ましい。
【0058】
これらのうち、繊維の集合体としては、芯鞘構造の繊維の集合体が挙げられる。芯鞘構造の繊維は、芯部分の周囲が鞘部分で包囲された繊維からなるもので、繊維は熱可塑性樹脂からなり、かつ芯部分が、鞘部分よりも融点の高い熱可塑性樹脂で構成されたものが好ましい。また、芯鞘構造の繊維における芯部分及び鞘部分の材質は、特に限定されないが、乳化組成物の成分による経時的な劣化がないことから、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0059】
ポリオレフィン系樹脂の中でも、前記芯部分がポリプロピレン(融点165℃)で構成され、かつ前記鞘部分がポリエチレン(融点130℃)で構成されたもの、あるいは、前記芯部分がポリプロピレン(融点165℃)で構成され、かつ前記鞘部分にポリブテン(融点127℃)で構成されたものが使用できる。また、乳化組成物の含浸保持の観点から、前記芯鞘構造の繊維は、太さが2.0~15dtexのものが好ましく、2.0~13dtexのものがより好ましい。
【0060】
さらに、偏心芯鞘型複合繊維が、立体捲縮するうえで好ましい。偏心芯鞘型の芯部の形状は、円形以外に、楕円形、Y形、X形などの異形であってもよく、偏心芯鞘型繊維の断形状も、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形などの異形又は中空形であってもよい。
【0061】
前記芯鞘構造の繊維の集合体は、公知の方法で製造されたものを使用することができる。例えば、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法等が挙げられる。前記芯鞘構造の繊維における鞘部分の一部で融着したものが、前記芯鞘構造の繊維の集合体としてより好ましい。その製造方法は限定されず、例えば、熱風コンベア炉式、型成形式、メッシュベルトを用いる方法(特許第4195043号公報に記載の方法)等によって行うことができ、その後にプレス等の裁断処理により、保持体に適したサイズにすればよい。
【0062】
また、前記芯鞘構造の繊維の集合体は、見掛け密度(JIS K 6400-1準拠)が0.02~0.1g/cm3のものが、乳化組成物の含浸保持性の点からより好ましい。
なお、芯鞘構造繊維の集合体のサイズは、特に限定されず、使用しやすさ、あるいは収納される容器等のサイズ等に応じて決定することができる。
【0063】
また、保持体は、油中水型乳化組成物に全体又は一部が含浸させた状態でも良く、また、油中水型乳化組成物の表面にスクリーンネットとして配置しても良い。
スクリーンネットの製織形態において、糸の組織の構成方法、糸の形状、糸の撚り数、太さ、材質等は、限定されず、例えば、平織り、1/2綾織、2/1綾織、綾織、絽組織、半絽組織、繻子織のいずれでも良い。
また、スクリーンネットは、例えば、ポリウレタン、TPE(熱可塑性プラスチックエラストマー)、ポリエステル、ポリエーテル、アクリル、オレフィン等からなるものが挙げられる。スクリーンネットを構成するファイバーの太さは、0.01~1.0mmであるのが好ましい。
【0064】
スクリーンネットは、乳化組成物を含浸した保持体と密着させて完全に付着させるか、吸収材とスクリーンネットが互いに付着されずにスクリーンネットと0.1~3.0mmの距離に位置させるのが好ましい。
【0065】
本発明の油中水型乳化組成物は、このような保持体に含浸させ、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用することができる。
また、本発明の油中水型乳化組成物は、このような保持体に含浸させ、スクリーンネットを隣接させ、スクリーンネットから指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用することができる。
肌に塗布するための塗布具としては、通常、液状化粧料を肌に塗布する際に使用するスポンジ、パフ、チップ等が挙げられる。
【0066】
本発明の油中水型乳化組成物は、これを含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料とすることができる。
本発明の油中水型乳化組成物は、これを含浸した保持体と、スクリーンネットを隣接させ、コンパクト容器に内蔵した化粧料とすることができる。
また、本発明の油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キットとすることができる。
【0067】
本発明の油中水型乳化組成物は、保持体に含浸させて使用できるほか、保持体に含浸させずに、通常の液体の油中水型乳化化粧料、特に、リキッドファンデーションとして、好適に使用することもできる。
【0068】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物等を開示する。
【0069】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物。
【0070】
<2>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料。
【0071】
<3>成分(A)が、好ましくは、層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で置換して得られるカチオン変性粘土鉱物であって、層状粘土鉱物を、下記式(1):
【0072】
【化3】
【0073】
(式中、R1は炭素原子数10~22のアルキル基又はベンジル基を示し、R2はメチル基又は炭素原子数10~22のアルキル基を示し、R3及びR4は炭素原子数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を示す)
で表される第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で置換して得られるカチオン変性粘土鉱物がより好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上を含むのがよりさらに好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライを含むのがよりさらに好ましい、前記<2>記載の化粧料。
<4>成分(A)の含有量が、好ましくは、固形分として、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であって、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、8質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい、前記<2>又は<3>記載の化粧料。
【0074】
<5>成分(B)の25℃で液状のフェニル変性シリコーンが、好ましくは、メチルフェニルポリシロキサン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキシサンであって、メチルフェニルポリシロキサン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、少なくともメチルフェニルポリシロキサンを含むのがさらに好ましい、前記<2>~<4>のいずれか1記載の化粧料。
<6>成分(B)の25℃で液状のアルキル変性シリコーンが、好ましくは、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーであって、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むのがより好ましく、カプリリルメチコンを少なくとも含むのがさらに好ましい、前記<2>~<4>のいずれか1記載の化粧料。
【0075】
<7>成分(B)が好ましくは、25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンを組合わせて用いる、前記<2>~<6>のいずれか1記載の化粧料。
<8>成分(B)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であって、6質量%以上がより好ましく、11質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、21質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<7>のいずれか1記載の化粧料。
【0076】
<9>成分(C)が、好ましくは、HLB2~7であって、HLB2~5がより好ましい、前記<2>~<8>のいずれか1記載の化粧料。
<10>成分(C)が、好ましくは、両末端アルキル変性グリセリルエーテルシリコーンを含む、前記<2>~<9>のいずれか1記載の化粧料。
<11>成分(C)が、好ましくは、ラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルジグリセリルトリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG/PPG-18/18メチコンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含む、前記<2>~<10>のいずれか1記載の化粧料。
【0077】
<12>成分(C)が、好ましくは、一般式(2):
【0078】
【化4】
【0079】
(R11及びR19は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数の最頻値が1~32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;R12~R18は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数1~5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;Qは炭素数3~20の直鎖又は分岐を有する二価の炭化水素基;R20及びR21はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基で、少なくとも一方は水素原子;pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5以上60以下の数;qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5以上10以下の数;繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい。ただし、式中、1以上の炭素数10以上のアルキル基を有する)
で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンを含み、グリセリルウンデシルジメチコン、ビスアルキル(C16-18)グリセリルウンデシルジメチコンがより好ましい、前記<2>~<9>のいずれか1記載の化粧料。
【0080】
<13>成分(C)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、12質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<12>のいずれか1記載の化粧料。
【0081】
<14>成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)が、好ましくは、0.05以上であって、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、3以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい、前記<2>~<13>のいずれか1記載の化粧料。
<15>成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、好ましくは、0.5以上であって、1以上がより好ましく、2.5以上がさらに好ましく、15以下が好ましく、7以下がより好ましく、5.5以下がさらに好ましい、前記<2>~<14>のいずれか1記載の化粧料。
【0082】
<16>成分(D)が、好ましくは、分子量300以上のエステル油であって、モノエステル、ジエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、少なくともリンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる1種又は2種を含むのがよりさらに好ましい、前記<2>~<15>のいずれか1記載の化粧料。
<17>成分(D)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に3質量%以上であって、6質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<16>のいずれか1記載の化粧料。
【0083】
<18>成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)が、好ましくは、0.2以上であって、0.4以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい、前記<2>~<17>のいずれか1記載の化粧料。
<19>好ましくは、成分(A)の含有量が、0.1~8質量%であって、成分(B)の含有量が、1~30質量%、成分(C)の含有量が、0.1~12質量%、成分(D)の含有量が、3~40質量%である、前記<2>~<18>のいずれか1記載の化粧料。
【0084】
<20>油中水型乳化組成物が、さらに、疎水化処理された着色顔料を含有するのが好ましく、疎水化処理された着色顔料を、油中水型乳化組成物の全組成中に1~30質量%含有するのがより好ましい、前記<2>~<19>のいずれか1記載の化粧料。
<21>着色顔料が、好ましくは、金属酸化物を含み、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい、前記<20>記載の化粧料。
【0085】
<22>疎水化処理の表面処理剤が、好ましくは、シリコーン系化合物、アシル化アミノ酸、有機チタネートから選ばれる1種又は2種以上を含み、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naがよりさらに好ましい、前記<20>又は<21>記載の化粧料。
<23>疎水化処理された着色顔料の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であって、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい、前記<20>~<22>のいずれか1記載の化粧料。
【0086】
<24>油中水型乳化組成物が、さらに、揮発性油を含有するのが好ましく、揮発性油を、油中水型乳化組成物の全組成中に1~50質量%含有するのがより好ましい、前記<2>~<23>のいずれか1記載の化粧料。
<25>揮発性油が、好ましくは、揮発性炭化水素油及び揮発性シリコーン油から選ばれる1種以上であって、イソドデカン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい、前記<24>記載の化粧料。
<26>揮発性油の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であって、4質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい、前記<24>又は<25>記載の化粧料。
【0087】
<27>油中水型乳化組成物が、好ましくは、有機樹脂粉体の含有量が、全組成中に1質量%以下であって、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないのがさらに好ましい、前記<2>~<26>のいずれか1記載の化粧料。
<28>油中水型乳化組成物が、好ましくは、水の含有量が、全組成中に3~50質量%であって、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい、前記<2>~<27>のいずれか1記載の化粧料。
【0088】
<29>油中水型乳化組成物が、好ましくは、液状の油中水型乳化化粧料である、前記<2>~<28>のいずれか1記載の化粧料。
<30>油中水型乳化組成物の30℃における粘度が、好ましくは、3000~30000mPa・sであって、5000~25000mPa・sがより好ましい、前記<2>~<29>のいずれか1記載の化粧料。
【0089】
<31>保持体が、好ましくは、発泡体、多孔質体、繊維の集合体であって、ポリエステル繊維の集合体がより好ましい、前記<2>~<30>のいずれか1記載の化粧料。
<32>保持体に含浸させた油中水型乳化組成物を、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用する、前記<2>~<31>のいずれか1記載の化粧料の使用方法。
【0090】
<33>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キット。
【0091】
<34>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)第四級アンモニウムイオンで置換されたカチオン変性粘土鉱物、
(B)25℃で液状のフェニル変性シリコーン及びアルキル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(C)炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーン、
(D)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物。
【実施例0092】
製造例1(両末端アルキル(C16-18)変性・ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体の製造):
(1)STEP-1(シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有するテトラメチルジシロキサンの合成):
1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン44.8g、Spiers触媒1.0g(2質量%塩化白金酸の2-プロパノール溶液)を三ツ口フラスコに加え70℃に加温した。窒素雰囲気下に70℃で、α-オレフィン(出光興産社製「リニアレン168」、炭素数16及び18の57/43(質量比)混合物))174.2gを滴下した後、2時間撹拌を行った。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液で反応系内を中和し、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の1H-NMRスペクトル(400MHz)より、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン誘導体であることを確認した(22.1g、収率;85%)。
【0093】
(2)STEP-2(シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有し、シリコーン鎖中にケイ素-水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合成):
(1)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン誘導体44.8g、デカメチルシクロペンタシロキサン78.6g、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン19.8g、n-ヘプタン50g、活性白土5gを三ツ口フラスコに加え12時間環流した。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の1H-NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体(p=23、q=4)であることを確認した(132.8g、収率;95%)。
【0094】
(3)STEP-3(両末端をアルキル基で置換し、かつ、側鎖をグラフト状にアルキルグリセリルエーテル基で変性したポリシロキサンの合成):
(2)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体50.0g、10-ウンデセニルグリセリルエーテル61.0g、5質量%白金担持カーボン触媒0.25gを三ツ口フラスコに加え、70℃で3時間撹拌を行った。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の1H-NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体(p=23、q=4)であることを確認した(63.0g、収率;95%)。
得られた共重合体は、一般式(2)において、以下のとおりのランダム共重合体である。
11及びR19 =炭素数の最頻値が18であるアルキル基、
12~R18 =メチル基、
Q=炭素数11のアルキレン基、
20及びR21 =水素原子
p(平均値)=23、
q(平均値)=4.0
【0095】
実施例1~8、比較例1
表1及び表2に示す組成の油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を製造した。
得られた油中水型乳化化粧料を、保持体に含浸させ、6時間後の化粧崩れのなさ、肌へのフィット感、乳化安定性を評価した。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0096】
(製造方法)
成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含む油相成分に粉体成分を添加して分散した後、水相成分を添加し、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を製造した。
得られた油中水型乳化化粧料を、保持体(ポリエステル繊維の集合体)に含浸させた。
【0097】
(評価方法)
(1)6時間後の化粧崩れのなさ:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化組成物(保持体含浸ファンデーション)をパフでとり、肌に塗布した後の6時間経過後の化粧崩れのなさを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;化粧崩れがまったくない。
4;化粧崩れがない。
3;化粧崩れがあまりない。
2;化粧崩れがややある。
1;化粧崩れがある。
【0098】
(2)肌へのフィット感:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化組成物(保持体含浸ファンデーション)をパフでとり、肌に塗布した際の肌へのフィット感を、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;肌への密着性が非常に良い。
4;肌への密着性が良い。
3;肌への密着性がやや良い。
2;肌への密着性があまり良くない。
1;肌への密着性が良くない。
【0099】
(3)乳化安定性:
各油中水型乳化組成物(保持体含浸ファンデーション)を、40℃環境下で、1か月間保存した後、外観・性状を目視により、以下の基準で評価した。
A;粘度低下も分離も見られない。
B;やや粘度が低下する。
C;やや粘度が低下し、油にじみが見られる。
D;分離が見られる。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
実施例1~8の油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)は、保持体に含浸させずに、ボトル容器やチューブ容器等の容器に充填し、容器から直接指や塗布具に取り、肌に塗布して使用することができる。その場合であっても、化粧持続性や、肌へのフィット感に優れ、乳化安定性にも優れている。