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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026414
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20250214BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/90 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250214BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/06
A61K8/02
A61K8/90
A61K8/37
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131871
(22)【出願日】2024-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2023131143
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】建部 桃子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC331
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC792
4C083AC842
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD332
4C083AD432
4C083BB13
4C083BB14
4C083BB21
4C083BB25
4C083CC12
4C083DD23
4C083DD32
4C083DD47
4C083DD50
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレしにくく、艶やかな仕上がりが得られ、化粧持続性にも優れた油中水型乳化組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物。
【請求項2】
請求項1記載の油中水型乳化組成物を含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料。
【請求項3】
成分(A)の疎水化処理が、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理、アルコキシシラン処理から選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項2記載の化粧料。
【請求項4】
成分(D)の球状シリカが、比表面積150m2/g以下である、請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項5】
成分(A)の含有量が、1~30質量%であり、成分(B)の含有量が、0.01~5質量%であり、成分(C)の含有量が、0.1~12質量%であり、成分(D)の含有量が、0.1~20質量%であり、成分(E)の含有量が、3~40質量%である請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項6】
成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)が、0.01~1である請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項7】
油中水型乳化組成物が、さらに、揮発性油1~50質量%を含有する請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項8】
油中水型乳化組成物が、水の含有量が3~50質量である請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項9】
油中水型乳化組成物が、30℃における粘度が、3000~30000mPa・sである、請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項10】
保持体が、発泡体、多孔質体、繊維の集合体である、請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項11】
保持体が、ポリエステル繊維の集合体である、請求項2又は3記載の化粧料。
【請求項12】
保持体に含浸させた油中水型乳化組成物を、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布することを特徴とする、請求項2又は3記載の化粧料の使用方法。
【請求項13】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キット。
【請求項14】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクト容器に内蔵したスポンジ等の保持体に液状化粧料を含浸させ、使用時に、指や塗布具を用いて保持体から取り、肌に塗布する形態の化粧料が開発されている。
例えば、特許文献1には、化粧料組成物が含浸されたポリエーテル系ウレタンフォームを含む化粧品が、安定性、携帯性及び使用感に優れることが記載されている。
特許文献2には、特定の有機紫外線遮蔽剤を含む化粧料組成物を、水不溶性スポンジに含浸させた化粧品が、紫外線遮断機能に優れることが記載されている。
特許文献3には、架橋型ポリエーテル変性シリコーン又は架橋型ポリグリセリン変性シリコーンと、デンドリマー型シロキサン構造を側鎖に有するアクリルポリマー又はシリコーン化プルランとを含有する含浸用油中水型乳化化粧料が、含浸体への充填適正や保持性を維持しながら、使用感と毛穴等の補正効果に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-530252号公報
【特許文献2】特開2017-088631号公報
【特許文献3】特開2019-131489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の化粧料は、仕上がりが不均一になり、色ムラカバー力にも劣るという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、疎水化処理された着色顔料、アクリルシリコーン系ポリマーと、ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、球状シリカ、液状のエステル油を組合わせた油中水型乳化組成物が、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレしにくく、艶やかな仕上がりが得られ、化粧持続性にも優れることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物に関する。
【0007】
また、本発明のは、前記油中水型乳化組成物を含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料に関する。
また、本発明は、保持体に含浸させた油中水型乳化組成物を、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布することを特徴とする、前記化粧料の使用方法に関する。
また、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キットに関する。
【0008】
また、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明で用いる油中水型乳化組成物は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレしにくく、艶やかな仕上がりが得られ、化粧持続性にも優れている。油中水型乳化組成物は、保持体に含浸させ、コンパクト容器に内蔵した化粧料として用いるのに適している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)は、疎水化処理された着色顔料である。
着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料、有機色素及びそのレーキ顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられ、これらの着色顔料の複合体、これらの着色顔料を硫酸バリウムやタルク等の体質顔料で希釈した混合顔料などが挙げられる。
着色顔料としては、肌をカバーし、審美性のあるメイクアップ効果を付与する観点から、金属酸化物を含むのが好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい。
【0011】
これらの着色顔料の疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン系化合物、金属石鹸、アミノ酸系化合物、レシチン、油剤、有機チタネート等の表面処理剤を用い、乾式処理、湿式処理等を行えばよい。
表面処理剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリエトキシカプリリルシラン等のアルキルアルコキシシラン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン系化合物;ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びそれらの誘導体等のアミノ酸;ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリシン等のアシル化アミノ酸;レシチン、水添レシチン;ポリイソブチレン、ワックス、油脂、脂肪酸等の油剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等の有機チタネートなどが挙げられる。
なお、前記アシル化アミノ酸としては、アシル化アミノ酸の塩が含まれ、アシル化アミノ酸の塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられ、Na、Ca塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、Na塩を含むのがより好ましい。また、アシル化アミノ酸塩としては、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れる観点から、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Naから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naを含むのがより好ましい。
表面処理剤としては、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れる観点から、シリコーン系化合物、アミノ酸、アシル化アミノ酸、有機チタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、アルキルアルコキシシラン、アミノ酸、アシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上を含むのがよりさらに好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naがよりさらに好ましい。
【0012】
疎水化処理は、通常の方法に従って行うことができる。
疎水化処理の処理量は、溶媒へ分散性向上の点から、被覆粉体の量に対して0.1~15質量%であるのが好ましく、1~12質量%がより好ましい。
【0013】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に1~30質量%であるのが好ましく、3~25質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。
【0014】
本発明で用いる成分(B)のアクリルシリコーン系ポリマーとしては、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体等が挙げられる。
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体において、カルボシロキサンデンドリマー構造としては、柔軟な被膜を形成する観点から、次式(1)で表される基が好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】
式中、Zは2価の有機基であり、pは0又は1であり、R11は炭素原子数1~10のアルキル基又はアリール基である。なお、複数のR11は、同じであっても、異なっても良い。
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0017】
【化2】
【0018】
式中、R11は前記と同じであり、R12は炭素原子数2~10のアルキレン基であり、R13は炭素原子数1~10のアルキル基である。尚、複数のR11は、同じであっても、異なっても良い。
i+1は水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、アリール基及び上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1~10の整数であり、aiは0~3の整数である。
【0019】
式(1)中、Zは2価の有機基であり、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、エステル含有2価有機基、エーテル含有2価有機基、ケトン含有2価有機基、アミド基含有2価有機基が例示される。これらの中でも、次式で示される有機基が好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
式中、R19は炭素原子数1~10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が例示される。これらの中でもエチレン基、プロピレン基が好ましい。R20は炭素原子数1~10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。R21は炭素原子数1~10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が例示される。これらの中でもエチレン基が好ましい。dは0~4の整数であり、eは0又は1である。
【0022】
また、式(1)中、R11は炭素原子数1~10のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示され、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0023】
【化4】
【0024】
式中、R11は前記と同じである。R12は炭素原子数2~10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等の直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示される。これらの中でも、エチレン基、メチルエチレン基、ヘキシレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基が好ましい。R13は炭素原子数1~10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基が例示される。Xi+1は水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、アリール基及び上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。aiは0~3の整数である。iは1~10の整数であり、これは該シリルアルキル基の階層数、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している。
【0025】
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、(B1)(B2)以外のビニル系単量体 0~99.9質量部と、(B2)一般式(2):
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R11及びX1は前記と同じである。)
で表されるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー 100~0.1質量部とを(共)重合させてなるカルボシロキサンデンドリマー構造を含有するビニル系重合体が好ましい。
【0028】
上記式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R11は炭素原子数1~10のアルキル基もしくはアリール基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示される。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これら中でもメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0029】
このビニル系重合体において、成分(B1)のビニル系単量体は、ラジカル重合性のビニル基を有するものであれば良く、その種類等については特に限定されない。かかるビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の低級アルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の高級アルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミド等のアミド基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリセリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸含有ビニル型単量体及びそれらの塩;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2ーエチルヘキシルビニルエーテル等のエーテル結合含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性基含有モノマー;片末端に(メタ)アクリル基を含有したポリジメチルシロキサン、片末端にスチリル基を含有するポリジメチルシロキサンなどのマクロモノマー類;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリロニトリル;フマル酸ジブチル;無水マレイン酸;スチレンスルホン酸、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のようなスルホン酸基を有するラジカル重合性不飽和単量体、及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのような(メタ)アクリル酸から誘導される4級アンモニウム塩;メタクリル酸ジエチルアミノエチルのような3級アミノ基を有するアルコールのメタクリル酸エステル、ビニルピリジン及びそれらの4級アンモニウム塩などが例示される。
【0030】
また、多官能ビニル系単量体も使用可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、スチリル基封鎖ポジメチルシロキサン等の不飽和基含有シリコ-ン化合物などが例示される。
【0031】
成分(B2)のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式(2)で表されるラジカル重合可能な有機基を有するものであれば良く、その種類等については特に限定されない。一般式(2)中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、ラジカル反応可能な有機基であればよいが、具体的には、下記一般式で表される(メタ)アクリロキシ基含有有機基、(メタ)アクリルアミド基含有有機基、スチリル基含有有機基、炭素原子数2~10のアルケニル基等が挙げられる。
【0032】
【化6】
【0033】
(式中、R14及びR16は水素原子又はメチル基であり、R15及びR18は炭素原子数1~10のアルキレン基であり、R17は炭素原子数1~10のアルキル基である。bは0~4の整数であり、cは0又は1である。)
【0034】
このようなラジカル重合可能な有機基としては、例えば、2-アクリロイルオキシエチル基、3-アクリロイルオキシプロピル基、2-メタクリロイルオキシエチル基、3-メタクリロイルオキシプロピル基、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-(2-プロペニル)フェニル基、3-(2-プロペニル)フェニル基、2-(4-ビニルフェニル)エチル基、2-(3-ビニルフェニル)エチル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、5-ヘキセニル基が挙げられる。
【0035】
一般式(2)において、i=1、すなわちシリルアルキル基の階層数が1である場合、成分(B2)のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式:
【0036】
【化7】
【0037】
(式中、Y、R11、R12及びR13は前記と同じであり、R22は水素原子又は前記R11と同じである。a1は前記aiと同じであるが、1分子中のa1の平均合計数は0~7である。)
で表される。
このようなラジカル重合可能な有機基を含有するカルボキシデンドリマー(B2)としては、下記平均組成式で示されるカルボシロキサンデンドリマーが例示される。
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
成分(B2)としては、柔軟な被膜を形成する観点から、下記平均組成式で示されるカルボシロキサンデンドリマーが好ましい。
【0041】
【化10】
【0042】
このようなカルボシロキサンデンドリマーは、例えば、特開平11―1530号公報、特開2000-63225号公報等に記載された製造方法に従って製造することができる。
【0043】
本発明で用いられるデンドリマー構造を含有するビニル系重合体において、上記成分(B1)と成分(B2)の質量割合は、(B1):(B2)=0:100~99.9:0.1が好ましく、5:95~90:10がより好ましく、10:90~80:20となる範囲であるのがさらに好ましい。
【0044】
本発明で用いられるカルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル系重合体の数平均分子量は、柔軟な被膜を形成する観点から、3,000~2,000,000であるのが好ましく、5,000~800,000がより好ましい。
また、その性状は、25℃で液状、ガム状、ペースト状、固体状などのいずれでも良いが、柔軟な被膜を形成する観点から、固体状のものが好ましい。また、肌への追随性、皮膜を形成する観点からは、溶媒によって希釈された溶液や分散液であることが好ましい。なかでも、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上を用いるのが好ましく、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種又は2種以上を用いるのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種又は2種以上を用いるのがさらに好ましく、ジメチルポリシロキサンがよりさらに好ましい。
【0045】
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体が好ましく、化粧品表示名称「(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Polytrimethylsiloxymethacrylate Copolymer」)が好ましく、予め溶剤に溶解させたFA4001CM(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、FA4002ID(40質量%イソドデカン溶液)、DOWSIL FA 4003 DM Silicone Acrylate(40質量%メチルポリシロキサン(2cs)溶液)(以上、ダウ・東レ社製)等の市販品を用いることができる。
【0046】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体としては、皮膜形成性・柔軟性に優れる観点から、一般式(3):
【0047】
【化11】
【0048】
(式中、R23はメチル基又は水素原子を示し、R24は、1個又は2個のエーテル結合で遮断されていても良い、炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基を示し、kは3~300の数を示す。)
で表される分子鎖の型末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物を含むモノマー(B3)を重合させて得られるアクリル-シリコーン系グラフト共重合体が好ましい。
一般式(3)中、R24で示される、1個又は2個のエーテル結合で遮断されていても良い、炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでも良く、炭素数1~7のものが好ましい。具体的には、-CH2-、-(CH2)3-、-(CH2)6-、-(CH2)8-、-(CH2)10-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2CH2OCH2CH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH(CH3)CH2-、-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2- などが挙げられる。
また、kは3~300の数であり、塗布時に肌上での乳化組成物の密着性に優れる観点から、5~100が好ましい。
【0049】
一般式(3)で表されるジメチルポリシロキサン化合物としては、皮膜形成性・柔軟性に優れる観点から、以下のものを好適に使用することができる。なお、式中のMeはメチル基を示す。
【0050】
【化12】
【0051】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体は、このような一般式(3)で表されるジメチルポリシロキサン化合物(B3)を含むモノマーを重合させて得られるものである。ジメチルポリシロキサン化合物(B3)以外に用いられるモノマーとしては、アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(B4)が挙げられる。
アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性不飽和結合を分子中に1個有する化合物であり、アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするとは、ラジカル重合性モノマー(B4)において、アクリレート及び/又はメタクリレートの合計量が、ラジカル重合性モノマー全体の50質量%以上を占めることを意味する。
【0052】
用いるアクリレート及び/又はメタクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;炭素数1~10のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートを組み合わせたものがより好ましい。
また、アクリレート及び/又はメタクリレート以外のモノマーとしては、スチレン、置換スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、アクリロニトリル、フッ化オレフィン等が挙げられる。
【0053】
一般式(3)で表されるジメチルポリシロキサン化合物(B3)を含むモノマーを重合させるには、通常のラジカル重合法に従い、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、バルク重合等により行うことができる。
得られるアクリル-シリコーン系グラフト共重合体は、重量平均分子量が、3000~200000であるのが好ましく、5000~100000がより好ましい。
【0054】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体としては、一般式(3)で表されるジメチルポリシロキサン化合物(B3)と、アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(B4)を、ラジカル共重合して得られるものが好ましい。
この場合、一般式(3)で表されるジメチルポリシロキサン化合物(B3)と、アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(B4)の重合比率(B3)/(B4)は、1/19~2/1であるのが好ましい。
【0055】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体は、皮膜形成性・柔軟性に優れる観点から、25℃で固体状のものが好ましい。
また、伸びが良く、皮膜形成性・柔軟性に優れる観点から、溶剤に溶解して使用するのが好ましい。溶剤としては、シリコーン油、炭化水素油が挙げられ、メチルトリメチコン、メチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、メチルトリメチコン、メチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましく、メチルポリシロキサン(2cs)がよりさらに好ましい。
【0056】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体としては、化粧品表示名称「(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Dimethicone Copolymer」)が好ましく、予め溶剤に溶解させたKP-545(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KP-545L(40質量%メチルポリシロキサン(2cs)溶液)、KP-549(40質量%メチルトリメチコン溶液)、KP-550(40質量%イソドデカン溶液)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
また、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーである、KP-578(信越化学工業社製)等も好ましく用いることができる。
【0057】
成分(B)としては、塗膜の柔軟性、仕上がりの均一性に優れ、化粧ヨレを抑制する観点から、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体が好ましい。
【0058】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、仕上がりの均一性、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制する観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に0.01~5質量%であるのが好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.3~1質量%がさらに好ましい。
【0059】
本発明で用いる成分(C)は、ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上である。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、メチルシリコーン鎖を主鎖とし、ポリオキシエチレン基からなる側鎖をもつ化合物であり、例えば、一般式(4)で表されるものが挙げられる。
【0060】
【化13】
【0061】
(式中、R25は炭素数1~4のアルキル基を示し、mは5~50の数、nは2~10の数、hは5~50の数をそれぞれ示す)
【0062】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、PEG-8ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-14ジメチコン等が挙げられる。
【0063】
成分(C)のポリグリセリルエーテル変性シリコーンとしては、炭素数10以上のアルキル基と、ポリグリセリル基とを有する変性シリコーンが好ましく、シロキサン骨格と、炭素数10以上のアルキル基と、ポリオキシアルキレン基又はポリグリセリル基とを有するものである。
シロキサン骨格はいわゆるシリコーン鎖をいい、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。シリコーン鎖の長さは特に限定されず、化粧料等に通常使用されている長さのものであればいずれでも良い。
また、ポリグリセリルエーテル変性シリコーンは、主鎖内にポリオキシアルキレン基又はポリグリセリル基の鎖とシリコーン鎖とを含むブロック共重合体型でも、末端変性型でもよく、シロキサン骨格の側鎖としてポリオキシアルキレン基又はポリグリセリル基が結合した側鎖変性タイプでもよい。
変性シリコーンに含まれるポリオキシアルキレン基のオキシアルキレンは、1分子中にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを1種又は2種以上有し、エチレンオキサイドと、プロピレンオキサイドを有するものが好ましい。ポリオキシアルキレン基のオキシアルキレンの付加モル数は、4~12が好ましく、8~10がより好ましい。また、変性シリコーンに含まれるポリグリセリル基のグリセリンの付加モル数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
【0064】
ポリグリセリルエーテル変性シリコーンとしては、化粧よれを抑制し、化粧持続性を向上させる観点から、HLB2~7であるのが好ましく、2~5がより好ましい。
本発明において、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、下記グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
HLB=20×(親水基の分子量/全体の分子量)
【0065】
ポリグリセリルエーテル変性シリコーンの具体例としては、ラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルジグリセリルトリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG/PPG-18/18メチコン等が挙げられる。
【0066】
また、ポリグリセリルエーテル変性シリコーンとしては、次の一般式(5)で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンが挙げられる。
【0067】
【化14】
【0068】
(R31及びR39は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数の最頻値が1~32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;R32~R38は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数1~5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;Qは炭素数3~20の直鎖又は分岐を有する二価の炭化水素基;R40及びR41はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基で、少なくとも一方は水素原子;pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5以上60以下の数;qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5以上10以下の数;繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい。ただし、式中、1以上の炭素数10以上のアルキル基を有する)
【0069】
一般式(5)において、R31及びR39は、それぞれ独立に炭素数の最頻値が1~32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基を示す。ここで炭素数の最頻値とは、分布を有する炭化水素基の鎖長のうち、最も多く含まれる炭化水素基の炭素数をいい、炭素数の最頻値が8~32であるのが好ましく、より好ましくは12~28、さらに好ましくは16~18である。
【0070】
一般式(5)において、R32~R38は、それぞれ独立に炭素数1~5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基を示し、同一であっても異なってもよい。炭素数がこの範囲である炭化水素基を使用することによって、食事に含まれる油剤による皮膜の可塑化をより効果的に防ぐことができる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、ペンチル基の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖アルキル基などが挙げられる。これらのうち、入手のしやすさの観点から、メチル基が好ましい。
【0071】
また、一般式(5)において、Qは炭素数3~20の直鎖又は分岐を有する二価の炭化水素基を示す。
Qで示される炭素数3~20の二価の炭化水素基としては、例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等の直鎖アルキレン基;プロピレン基、2-メチルテトラメチレン基、2-メチルペンタメチレン基、3-メチルペンタメチレン基、2-エチルオクタメチレン基等の分岐鎖アルキレン基などが挙げられる。これらのうち、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基が好ましい。
【0072】
また、R40及びR41はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基であって、少なくとも一方は水素原子である。炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドエイコシル基、テトラエイコシル基、ヘキサエイコシル基、オクタエイコシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、1-ヘプチルデシル基等の分岐鎖アルキル基などが挙げられる。これらのうち、R40及びR41はともに水素原子であるのが好ましい。
【0073】
一般式(5)において、pは繰り返し単位個数を示し、平均値で5~60の数を示し、20~30の数が好ましい。ここで、pの平均値は1H-NMRにより、ポリシロキサンの両末端に導入された炭化水素基の末端メチル基を基準に、R14及びR15に帰属されるピークの強度比から算出する。
また、qは繰り返し単位個数を示し、平均値で2.5~10の数を示し、3.0~6.0の数が好ましい。ここで、qの平均値は1H-NMRにより、ポリシロキサンの両末端に導入された炭化水素基の末端メチル基を基準に、OR20及びOR21が付加したメチン及びメチレン水素に帰属されるピークの強度比から算出する。
繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。また、pはqよりも大きいことが好ましい。
【0074】
一般式(5)で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンは、例えば、特開平4-134013号公報記載の方法に従って、少なくとも1個のケイ素-水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンに、対応するアルケニルグリセリルエーテルなどをヒドロシリル化反応させることにより製造することができる。
【0075】
一般式(5)で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンとしては、塗布中、塗布後、肌上に存在している水分と成分(D)エステル油とがネットワーク構造を形成することで、化粧崩れしにくい塗膜を肌に形成することで、化粧よれを抑制し、化粧持続性が向上し、仕上がりの均一性も向上する観点から、グリセリルウンデシルジメチコン、ビスアルキル(C16-18)グリセリルウンデシルジメチコンが好ましい。
【0076】
成分(C)としては、ポリグリセリルエーテル変性シリコーンを含むのが好ましい。
【0077】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、化粧よれを抑制し、化粧持続性を向上させる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、12質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1~12質量%であるのが好ましく、1~7質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。
【0078】
成分(D)の球状シリカにおいて、球状とは、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸がある球状粉体等であっても良い。
成分(D)の球状シリカは、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制し、艶やかな仕上がりが得られる観点から、比表面積150m2/g以下であるのが好ましく、60m2/g以下がより好ましく、10m2/g以下がさらに好ましく、無孔質であるのがよりさらに好ましい。
本発明において、比表面積は、BET法(N2)により測定される。
【0079】
成分(D)の球状シリカは、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制し、艶やかな仕上がりが得られる観点から、体積平均粒径が、1~50μmであるのが好ましく、1~35μmがより好ましく、2~25μmがさらに好ましく、3~15μmがよりさらに好ましい。
本発明において、体積平均粒径は、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(セイシン企業社製、LMS-350)で測定された値である。なお、体積平均粒径は、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
【0080】
成分(D)のシリカは、そのまま用いられるほか、成分(A)と同様、通常の方法により、疎水化処理したものを用いることもできる。
【0081】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制し、艶やかな仕上がりが得られる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、1~12質量%がより好ましく、2~8質量%がさらに好ましい。
【0082】
本発明において、成分(D)に対する成分(A)の質量割合(A)/(D)は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制し、艶やかな仕上がりが得られ、化粧持続性にも優れる観点から、0.3以上であるのが好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、15以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(A)の質量割合(A)/(D)は、0.3~15であるのが好ましく、0.5~7がより好ましく、1~5がさらに好ましい。
【0083】
本発明において、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制し、艶やかな仕上がりが得られ、化粧持続性にも優れる観点から、0.01以上であるのが好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、0.01~1であるのが好ましく、0.03~0.4がより好ましく、0.05~0.2がさらに好ましい。
【0084】
本発明において、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制し、艶やかな仕上がりが得られ、化粧持続性にも優れる観点から、0.2以上であるのが好ましく、0.4以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、0.2~5であるのが好ましく、0.4~3がより好ましく、0.6~1がさらに好ましい。
【0085】
本発明で用いる成分(E)は、25℃で液状のエステル油である。
25℃で液状とは、25℃における粘度が、10000mPa・s以下のことを示す。
粘度は、以下の条件で測定される。
粘度測定条件:B型粘度計(TVB-10型、東機産業社製)、ローターNo.4、60rpm、60秒
【0086】
成分(E)のエステル油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル等のモノエステル油;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等のジエステル油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリエステル油;テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル等のテトラエステル油などが挙げられる。
【0087】
これらのうち、仕上がりに優れ、化粧ヨレを抑制する観点から、分子量300以上のエステル油が好ましい。また、モノエステル、ジエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、少なくともリンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる1種又は2種を含むのがさらに好ましい。
【0088】
成分(E)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、仕上がりに優れ、化粧ヨレを抑制する観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に3質量%以上であるのが好ましく、6質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に3~40質量%であるのが好ましく、6~25質量%がより好ましく、10~16質量%がさらに好ましい。
【0089】
本発明の油中水型乳化組成物は、さらに、揮発性油を含有することができる。
揮発性とは、-4~88℃の引火点を有するものである。揮発性油としては、揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油が挙げられる。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン(1cs)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
揮発性炭化水素油としては、例えば、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油;シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油が挙げられる。これらのうち、炭素数8~16の炭化水素油が好ましく、炭素数10~16の炭化水素油がより好ましく、炭素数12の炭化水素油がさらに好ましい。
【0090】
揮発性油としては、仕上がりに優れ、化粧ヨレを抑制する観点から、炭化水素油及びシリコーン油から選ばれる1種以上であって、イソドデカン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。なお当該動粘度は、例えばウベローデ粘度計を用いて測定できる。
【0091】
ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンの市販品としては、信越化学工業社製の「KF-96L-0.65cs」(ヘキサメチルジシロキサン)、「TMF1.5」、「KF-96L-1cs」(オクタメチルトリシロキサン)、「KF-96L-1.5cs」、「KF-96L-2cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200C Fluid 1cs」、「SH200C Fluid 1.5cs」,モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「TSF451-0.65」、旭化成ワッカーシリコーン社製の「BELSIL DM0.65」、ダウ・東レ社製の「XIAMETER PMX-200 SILICONE FLUID 0.65CS」等が挙げられる。
【0092】
揮発性油は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、仕上がりに優れ、化粧ヨレを抑制する観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、4質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。また、揮発性油の含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に1~50質量%であるのが好ましく、4~35質量%がより好ましく、8~25質量%がさらに好ましい。
【0093】
本発明の油中水型乳化組成物は、さらに、25℃で液状のアルキル変性シリコーンを含有することができる。
25℃で液状とは、成分(E)と同様、25℃における粘度が、10000mPa・s以下のことを示す。
アルキル変性シリコーンは、アルキル基を含有するシリコーンであり、アルキル基は炭素数8~24の直鎖又は分岐鎖であることが好ましく、8~20がより好ましく、8~16がさらに好ましく、8~12がよりさらに好ましい。アルキル基は、ポリシロキサン鎖の側鎖、片末端、両末端のいずれに置換していてもよい。
このようなアルキル変性シリコーンとしては、例えば、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等が挙げられる。なかでも、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコンが好ましく、カプリリルメチコンがより好ましい。
【0094】
25℃で液状のアルキル変性シリコーンは、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れる観点から、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。また、25℃で液状のアルキル変性シリコーンの含有量は、油中水型乳化組成物の全組成中に1~15質量%であるのが好ましく、2~10質量%がより好ましく、3~8質量%がさらに好ましい。
【0095】
本発明の油中水型乳化組成物は、環境に配慮し、使用感に優れ、艶やかな仕上がりが得られる観点から、マイクロプラスチックなどの有機樹脂粉体の含有量が、全組成中に1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないのがさらに好ましい。
具体的には、生分解性に優れるセルロース末以外の有機樹脂粉体のことである。
有機樹脂粉体として、例えば、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、シリコーン樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の重合体又は共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機樹脂粉体などが挙げられる。
【0096】
本発明の油中水型乳化組成物において、水の含有量は、使用感に優れ、安定した乳化組成物を形成する観点から、全組成中に3~50質量%であるのが好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい。
【0097】
本発明の油中水型乳化組成物は、前記の成分のほか、化粧料に通常使用される各種の成分を任意で使用することができる。これらの成分としては、例えば、前記以外の油性成分、界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、保湿剤、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
【0098】
本発明の油中水型乳化組成物は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状等の剤型にすることができる。
また、本発明の油中水型乳化組成物は、油中水型乳化化粧料とすることができ、例えば、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;スキンケア乳液、スキンケアクリーム、BBクリーム、美容液等のスキンケア化粧料などとして適用することができる。
なかでも、液状の油中水型乳化化粧料として好適である。
【0099】
本発明の油中水型乳化組成物は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレを抑制し、艶やかな仕上がりが得られる観点から、30℃における粘度が、3000~30000mPa・sであるのが好ましく、5000~25000mPa・sがより好ましい。
粘度は、B型粘度計(東機産業社製、TVB-10型)を用い、回転数12rpm、測定時間30秒、温度30℃で測定した。ローターは、組成物の粘度によって、以下のローターを用いた。
粘度2,500mPa・s以上10,000mPa・s未満:ローターNo.3、
粘度10,000mPa・s以上:ローターNo.4
なお、表1中、実施例1の油中水型乳化組成物は、30℃で12000mPa・sであった。
【0100】
本発明の油中水型乳化組成物は、含浸用油中水型乳化組成物として、保持体に含浸させ、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用することができる。
保持体は、流動性を有する油中水型乳化組成物を含浸保持するものであり、例えば、樹脂、パルプ、綿等の単一又は混合素材からなる不織布、樹脂加工した繊維体、スポンジなどの発泡体、連続機構を備えた多孔質体、繊維の集合体などが挙げられる。
また素材としては、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、NR(天然ゴム)、ウレタン、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエステル、EVA(エチレン酢酸ビニル)、PVA(ポリビニルアルコール)、シリコーンエラストマー等が挙げられるが、内容物を含むことのできる保持体であればこれらの素材に限られるものではない。中でも、ポリエステル繊維の集合体が好ましく、架橋糸によって表層と裏層とが接続されている層構造のポリエステル繊維の集合体でも良い、ポリエステル繊維を用いて成形した繊維体であって、硬度は40~60(F硬度計測定値)が好ましく、見掛け密度(JIS K 6400-1準拠)が0.006~0.1g/cm3が好ましく、0.02~0.1g/cm3のものを用いることがより好ましい。
【0101】
これらのうち、繊維の集合体としては、芯鞘構造の繊維の集合体が挙げられる。芯鞘構造の繊維は、芯部分の周囲が鞘部分で包囲された繊維からなるもので、繊維は熱可塑性樹脂からなり、かつ芯部分が、鞘部分よりも融点の高い熱可塑性樹脂で構成されたものが好ましい。また、芯鞘構造の繊維における芯部分及び鞘部分の材質は、特に限定されないが、乳化組成物の成分による経時的な劣化がないことから、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0102】
ポリオレフィン系樹脂の中でも、前記芯部分がポリプロピレン(融点165℃)で構成され、かつ前記鞘部分がポリエチレン(融点130℃)で構成されたもの、あるいは、前記芯部分がポリプロピレン(融点165℃)で構成され、かつ前記鞘部分にポリブテン(融点127℃)で構成されたものが使用できる。また、乳化組成物の含浸保持の観点から、前記芯鞘構造の繊維は、太さが2.0~15dtexのものが好ましく、2.0~13dtexのものがより好ましい。
【0103】
さらに、偏心芯鞘型複合繊維が、立体捲縮するうえで好ましい。偏心芯鞘型の芯部の形状は、円形以外に、楕円形、Y形、X形などの異形であってもよく、偏芯鞘型繊維の断形状も、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形などの異形又は中空形であってもよい。
【0104】
前記芯鞘構造の繊維の集合体は、公知の方法で製造されたものを使用することができる。例えば、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法等が挙げられる。前記芯鞘構造の繊維における鞘部分の一部で融着したものが、前記芯鞘構造の繊維の集合体としてより好ましい。その製造方法は限定されず、例えば、熱風コンベア炉式、型成形式、メッシュベルトを用いる方法(特許第4195043号公報に記載の方法)等によって行うことができ、その後にプレス等の裁断処理により、保持体に適したサイズにすればよい。
【0105】
また、前記芯鞘構造の繊維の集合体は、見掛け密度(JIS K 6400-1準拠)が0.02~0.1g/cm3のものが、乳化組成物の含浸保持性の点からより好ましい。
なお、芯鞘構造繊維の集合体のサイズは、特に限定されず、使用しやすさ、あるいは収納される容器等のサイズ等に応じて決定することができる。
【0106】
また、保持体は、油中水型乳化組成物に全体または一部が含浸させた状態でも良く、また、油中水型乳化組成物の表面にスクリーンネットとして配置しても良い。
スクリーンネットの製織形態において、糸の組織の構成方法、糸の形状、糸の撚り数、太さ、材質等は、限定されず、例えば、平織り、1/2綾織、2/1綾織、綾織、絽組織、半絽組織、繻子織のいずれでも良い。
また、スクリーンネットは、例えば、ポリウレタン、TPE(熱可塑性プラスチックエラストマー)、ポリエステル、ポリエーテル、アクリル、オレフィン等からなるものが挙げられる。スクリーンネットを構成するファイバーの太さは、0.01~1.0mmであるのが好ましい。
【0107】
スクリーンネットは、乳化組成物を含浸した保持体と密着させて完全に付着させるか、吸収材とスクリーンネットが互いに付着されずにスクリーンネットと0.1~3.0mmの距離に位置させるのが好ましい。
【0108】
本発明の油中水型乳化組成物は、このような保持体に含浸させ、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用することができる。
また、本発明の油中水型乳化組成物は、このような保持体に含浸させ、スクリーンネットを隣接させ、スクリーンネットから指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用することができる。
肌に塗布するための塗布具としては、通常、液状化粧料を肌に塗布する際に使用するスポンジ、パフ、チップ等が挙げられる。
【0109】
本発明の油中水型乳化組成物は、これを含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料とすることができる。
本発明の油中水型乳化組成物は、これを含浸した保持体と、スクリーンネットを隣接させ、コンパクト容器に内蔵した化粧料とすることができる。
また、本発明の油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キットとすることができる。
【0110】
本発明の油中水型乳化組成物は、保持体に含浸させて使用できるほか、保持体に含浸させずに、通常の液体の油中水型乳化化粧料、特に、リキッドファンデーションとして、好適に使用することもできる。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物等を開示する。
【0111】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する含浸用油中水型乳化組成物。
【0112】
<2>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体を、コンパクト容器に内蔵した化粧料。
【0113】
<3>成分(A)の着色顔料が、好ましくは、金属酸化物を含み、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましい、前記<2>記載の化粧料。
<4>成分(A)の疎水化処理が、好ましくは、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理、アルコキシシラン処理から選ばれる1種又は2種以上を含み、アルキルアルコキシシラン処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上の処理を含むのがさらに好ましく、アルキルアルコキシシラン、ステアロイルグルタミン酸2Na、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートから選ばれる1種又は2種以上の処理を含むのがよりさらに好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Na処理を含むのがよりさらに好ましい、前記<2>又は<3>記載の化粧料。
<5>成分(A)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であって、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<4>のいずれか1記載の化粧料。
【0114】
<6>成分(B)が、好ましくは、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体であって、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体がより好ましい、前記<2>~<5>のいずれか1記載の化粧料。
<7>カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体が、好ましくは、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体であって、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーがより好ましい、前記<6>記載の化粧料。
<8>アクリル-シリコーン系グラフト共重合体が、好ましくは、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーであって、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーがより好ましい、前記<6>記載の化粧料。
<9>成分(B)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に0.01質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<8>のいずれか1記載の化粧料。
【0115】
<10>成分(C)が、ポリエーテル変性シリコーンであって、PEG-8ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-14ジメチコンがより好ましい、前記<2>~<9>のいずれか1記載の化粧料。
<11>成分(C)が、ポリグリセリルエーテル変性シリコーンであって、ラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルジグリセリルトリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG/PPG-18/18メチコンが好ましい、前記<2>~<9>のいずれか1記載の化粧料。
<12>成分(C)が、好ましくは、次の一般式(5):
【0116】
【化15】
【0117】
(R31及びR39は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数の最頻値が1~32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;R32~R38は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数1~5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;Qは炭素数3~20の直鎖又は分岐を有する二価の炭化水素基;R40及びR41はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基で、少なくとも一方は水素原子;pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5以上60以下の数;qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5以上10以下の数;繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい。ただし、式中、1以上の炭素数10以上のアルキル基を有する)
で表されるアルキルグリセリルエーテル変性シリコーンであって、グリセリルウンデシルジメチコン、ビスアルキル(C16-18)グリセリルウンデシルジメチコンがより好ましい、前記<2>~<9>のいずれか1記載の化粧料。
<13>成分(C)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、12質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<12>のいずれか1記載の化粧料。
【0118】
<14>成分(D)の球状シリカが、好ましくは、比表面積150m2/g以下であって、60m2/g以下がより好ましく、10m2/g以下がさらに好ましく、無孔質であるのがよりさらに好ましい、前記<2>~<13>のいずれか1記載の化粧料。
<15>成分(D)の球状シリカが、好ましくは、体積平均粒径1~50μmであって、1~35μmがより好ましく、2~25μmがさらに好ましく、3~15μmがよりさらに好ましい、前記<2>~<14>のいずれか1記載の化粧料。
<16>成分(D)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に0.1質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<15>のいずれか1記載の化粧料。
【0119】
<17>成分(D)に対する成分(A)の質量割合(A)/(D)が、好ましくは、0.3以上であって、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、15以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい、前記<2>~<16>のいずれか1記載の化粧料。
<18>成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)が、好ましくは、、0.01以上であって、0.03以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい、前記<2>~<17>のいずれか1記載の化粧料。
<19>成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)が、好ましくは、0.2以上であって、0.4以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい、前記<2>~<18>のいずれか1記載の化粧料。
【0120】
<20>成分(E)が、好ましくは、分子量300以上のエステル油であって、モノエステル、ジエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、少なくともリンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる1種又は2種を含むのがよりさらに好ましい、前記<2>~<19>のいずれか1記載の化粧料。
<21>成分(E)の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に3質量%以上であるのが好ましく、6質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい、前記<2>~<20>のいずれか1記載の化粧料。
【0121】
<22>好ましくは、成分(A)の含有量が、1~30質量%であって、成分(B)の含有量が、0.01~5質量%、成分(C)の含有量が、0.1~12質量%、成分(D)の含有量が、0.1~20質量%、成分(E)の含有量が、3~40質量%である、前記<2>~<21>のいずれか1記載の化粧料。
【0122】
<23>油中水型乳化組成物が、さらに、揮発性油を含有するのが好ましく、揮発性油を、油中水型乳化組成物の全組成中に1~50質量%含有するのがより好ましい、前記<2>~<22>のいずれか1記載の化粧料。
<24>揮発性油が、好ましくは、揮発性シリコーン油及び揮発性炭化水素油から選ばれる1種以上であって、イソドデカン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい、前記<23>記載の化粧料。
<25>揮発性湯の含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であって、4質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい、前記<23>又は<24>記載の化粧料。
【0123】
<26>油中水型乳化組成物が、さらに、25℃で液状のアルキル変性シリコーンを含有するのが好ましく、カプリリルメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘノキシジメチコンがより好ましく、カプリリルメチコンがさらに好ましい、前記<2>~<25>のいずれか1記載の化粧料。
<27>25℃で液状のアルキル変性シリコーンの含有量が、好ましくは、油中水型乳化組成物の全組成中に1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい、前記<26>記載の化粧料。
【0124】
<28>油中水型乳化組成物が、好ましくは有機樹脂粉体の含有量が、全組成中に1質量%以下であって、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないのがさらに好ましい、前記<2>~<27>のいずれか1記載の化粧料。
<29>油中水型乳化組成物が、好ましくは、水の含有量が、全組成中に3~50質量%であって、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい、前記<2>~<28>のいずれか1記載の化粧料。
【0125】
<30>油中水型乳化組成物が、好ましくは、液状の油中水型乳化化粧料である、前記<2>~<29>のいずれか1記載の化粧料。
<31>油中水型乳化組成物の30℃における粘度が、好ましくは、3000~30000mPa・sであって、5000~25000mPa・sがより好ましい、前記<2>~<30>のいずれか1記載の化粧料。
【0126】
<32>保持体が、好ましくは、発泡体、多孔質体、繊維の集合体であって、ポリエステル繊維の集合体がより好ましい、前記<2>~<31>のいずれか1記載の化粧料。
<33>保持体に含浸させた油中水型乳化組成物を、該保持体から指又は塗布具で取り、肌に塗布して使用する、前記<2>~<32>のいずれか1記載の化粧料の使用方法。
【0127】
<34>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物を含浸した保持体と、コンパクト容器をセットした、化粧料キット。
【0128】
<35>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)疎水化処理された着色顔料、
(B)アクリルシリコーン系ポリマー、
(C)ポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリルエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、
(D)球状シリカ、
(E)25℃で液状のエステル油
を含有する油中水型乳化組成物。
【実施例0129】
製造例1(両末端アルキル(C16-18)変性・ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体の製造):
(1)STEP-1(シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有するテトラメチルジシロキサンの合成):
1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン44.8g、Spiers触媒1.0g(2質量%塩化白金酸の2-プロパノール溶液)を三ツ口フラスコに加え70℃に加温した。窒素雰囲気下に70℃で、α-オレフィン(出光興産社製「リニアレン168」、炭素数16及び18の57/43(質量比)混合物))174.2gを滴下した後、2時間撹拌を行った。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液で反応系内を中和し、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の1H-NMRスペクトル(400MHz)より、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン誘導体であることを確認した(22.1g、収率;85%)。
【0130】
(2)STEP-2(シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有し、シリコーン鎖中にケイ素-水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合成):
(1)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン誘導体44.8g、デカメチルシクロペンタシロキサン78.6g、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン19.8g、n-ヘプタン50g、活性白土5gを三ツ口フラスコに加え12時間環流した。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の1H-NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体(p=23、q=4)であることを確認した(132.8g、収率;95%)。
【0131】
(3)STEP-3(両末端をアルキル基で置換し、かつ、側鎖をグラフト状にアルキルグリセリルエーテル基で変性したポリシロキサンの合成):
(2)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体50.0g、10-ウンデセニルグリセリルエーテル61.0g、5質量%白金担持カーボン触媒0.25gを三ツ口フラスコに加え、70℃で3時間撹拌を行った。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の1H-NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体(p=23、q=4)であることを確認した(63.0g、収率;95%)。
得られた共重合体は、一般式(5)において、以下のとおりのランダム共重合体である。
31及びR39 =炭素数の最頻値が18であるアルキル基、
32~R38 =メチル基、
Q=炭素数11のアルキレン基、
40及びR41 =水素原子
p(平均値)=23、
q(平均値)=4.0
【0132】
実施例1~7、比較例1~2
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を製造した。
得られた油中水型乳化化粧料を、保持体に含浸させ、仕上がりの均一性、色ムラカバー力、艶やかな仕上がり、化粧ヨレにくさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0133】
(製造方法)
成分(B)、(C)及び(E)を含む油相成分に、成分(A)及び(D)を含む粉体成分を添加して分散した後、水相成分を添加し、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を製造した。
得られた油中水型乳化化粧料を、保持体(ポリエステル繊維の集合体)に含浸させた。
【0134】
(評価方法)
(1)仕上がりの均一性:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化組成物(保持体含浸ファンデーション)をパフでとり、肌に塗布した際のファンデーションの仕上がりの均一性を、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;塗布ムラがまったく目立たない。
4;塗布ムラが目立たない。
3;塗布ムラがあまり目立たない。
2;塗布ムラがやや目立つ。
1;塗布ムラが目立つ。
【0135】
(2)色ムラカバー力:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化組成物(保持体含浸ファンデーション)をパフでとり、肌に塗布した際の色ムラカバー力を、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;肌の色ムラがまったく目立たない。
4;肌の色ムラが目立たない。
3;肌の色ムラがあまり目立たない。
2;肌の色ムラがやや目立つ。
1;肌の色ムラが目立つ。
【0136】
(3)艶やかな仕上がり:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化組成物(保持体含浸ファンデーション)をパフでとり、肌に塗布した際の仕上がりの艶やかさを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;非常に艶やかに見える。
4;艶やかに見える。
3;やや艶やかに見える。
2;あまり艶やかに見えない。
1;艶やかに見えない。
【0137】
(4)化粧ヨレにくさ:
専門パネラー3名により、各油中水型乳化組成物(保持体含浸ファンデーション)をパフでとり、肌に塗布した直後の化粧ヨレを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;化粧ヨレがまったくない。
4;化粧ヨレがない。
3;化粧ヨレがあまりない。
2;化粧ヨレがややある。
1;化粧ヨレがある。
【0138】
【表1】
【0139】
実施例1~7の油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)は、保持体に含浸させずに、ボトル容器やチューブ容器等の容器に充填し、容器から直接指や塗布具に取り、肌に塗布して使用することができる。その場合であっても、肌へのフィット感に優れ、乳化安定性にも優れている。
【0140】
実施例8~9
実施例1~7と同様にして、表2に示す組成の油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を製造し、得られた油中水型乳化化粧料を、保持体(ポリエステル繊維の集合体)に含浸させた。
得られた化粧料は、仕上がりが均一で、色ムラカバー力に優れ、化粧ヨレしにくく、艶やかな仕上がりで、化粧持続性にも優れている。
また、得られた油中水型乳化化粧料は、保持体に含浸させずに、ボトル容器やチューブ容器等の容器に充填し、容器から直接指や塗布具に取り、肌に塗布して使用することもでき、その場合であっても、肌へのフィット感に優れ、乳化安定性にも優れている。
【0141】
【表2】