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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026445
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】蓋体及びこれを備えた容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 53/00 20060101AFI20250214BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20250214BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B65D53/00 100
B65D47/32 200
B65D47/08 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024134640
(22)【出願日】2024-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2023130426
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000158116
【氏名又は名称】岩崎工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 能久
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA02
3E084CB02
3E084DB09
3E084DB12
3E084DB14
3E084DC03
3E084FA07
3E084FB01
3E084FB05
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084GB25
3E084HA07
3E084HB01
3E084HB07
3E084HB10
3E084HC03
3E084HC10
3E084HD01
3E084KA05
3E084KA16
3E084LA18
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】開閉部材を開状態に保持するための構造を簡易にすることができる、蓋体、及びこれを備えた容器を提供する。
【解決手段】本発明は、液体を収容する容器本体の上部開口を閉じる蓋体であって、前記容器本体の上部開口を着脱自在に閉じ、前記液体の注ぎ口が形成されている本体部と、第1端部及び前記第1端部とは反対側の第2端部を有し、前記注ぎ口を塞ぐ閉位置と、前記注ぎ口を開く第1開位置との間を揺動するように、前記第1端部が前記本体部に取り付けられた開閉部材と、前記開閉部材が前記閉位置にあるとき、前記開閉部材の第2端部を、前記本体部に保持する保持機構と、前記本体部に設けられ、弾性変形可能な保持部と、を備え、前記保持部は、前記開閉部材が前記第1開位置に保持し、前記開閉部材が第1開位置から閉位置に変位したときに、前記開閉部材は、前記保持部を押圧して前記開閉部材と前記本体部との間に収容するように構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体の上部開口を閉じる蓋体であって、
前記容器本体の上部開口を着脱自在に閉じ、前記液体の注ぎ口が形成されている本体部と、
第1端部及び前記第1端部とは反対側の第2端部を有し、前記注ぎ口を塞ぐ閉位置と、前記注ぎ口を開く第1開位置との間を揺動するように、前記第1端部が前記本体部に取り付けられた開閉部材と、
前記開閉部材の第2端部に係合することで、前記開閉部材を前記閉位置に保持可能な保持機構と、
前記本体部に設けられ、弾性変形可能な保持部と、
を備え、
前記保持部は、前記開閉部材を前記第1開位置に保持し、前記開閉部材が第1開位置から閉位置に変位したときに、前記開閉部材は、前記保持部を押圧して前記開閉部材と前記本体部との間に収容するように構成されている、蓋体。
【請求項2】
前記本体部には、空気穴が形成されており、
前記開閉部材は、前記閉位置にあるときに前記空気穴を閉じ、前記第1開位置にあるときに前記空気穴を開くように構成されている、請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記蓋体と前記本体部との間をシールする第1シール部と、
前記開閉部材が前記閉位置にあるとき、前記注ぎ口と前記開閉部材との間をシールする第2シール部と、
前記開閉部材が前記閉位置にあるとき、前記空気穴と前記開閉部材との間をシールする第3シール部と、
前記保持部と、
が一体的に形成されたシール部材が設けられている、請求項1または2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記開閉部材は、前記第1開位置からの揺動角度が、前記第1開位置よりもさらに大きくなる第2開位置に揺動可能に構成され、
前記第2開位置において、前記開閉部材がロックされるように構成されている、請求項1に記載の蓋体。
【請求項5】
前記開閉部材が前記閉位置にあるときに、前記保持機構による前記開閉部材の保持を解除すると、前記開閉部材は前記保持部の弾性力によって、前記第2開位置に移動するように構成されている、請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記保持機構は、操作部を有し、
前記操作部は、位置A、位置B、及び位置Cに変位可能に構成されており、
前記操作部が前記位置Aにあるとき、前記開閉部材は前記閉位置に保持され、
前記操作部を前記位置Aから第1方向に向かって位置Bに変位させた後、前記位置Bから第1方向とは異なる第2方向に向かって前記位置Cに変位させることで、前記開閉部材の前記閉位置での保持を解除するように構成されている、請求項1に記載の蓋体。
【請求項7】
請求項1または2に記載の蓋体と、
前記容器本体と、
を備えている、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する容器本体の上部開口を閉じる蓋体及びこれを備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上部に開口を有する容器本体と、この容器本体の開口に取り付けられる蓋体とを有する飲料用の容器が開示されている。蓋体には、飲料の注ぎ口が形成され、これを塞ぐように開閉部材が設けられている。開閉部材の一端部は、容器本体に揺動可能に取り付けられるとともに、この一端部に操作部材が取り付けられている。そして、この容器には、使用者が操作部材を押し込むと、開閉部材が揺動し、注ぎ口を開くように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-45129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の容器において開閉部材を動作させる機構は、操作部材の押し込みによって開閉部材を揺動させるとともに、注ぎ口が開いた状態に開閉部材を保持するように構成されているため、構造が複雑であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、開閉部材を開状態に保持するための構造を簡易にすることができる、蓋体、及びこれを備えた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体を収容する容器本体の上部開口を閉じる蓋体であって、前記容器本体の上部開口を着脱自在に閉じ、前記液体の注ぎ口が形成されている本体部と、第1端部及び前記第1端部とは反対側の第2端部を有し、前記注ぎ口を塞ぐ閉位置と、前記注ぎ口を開く第1開位置との間を揺動するように、前記第1端部が前記本体部に取り付けられた開閉部材と、前記開閉部材の第2端部に係合することで、前記開閉部材を前記閉位置に保持可能な保持機構と、前記本体部に設けられ、弾性変形可能な保持部と、を備え、前記保持部は、前記開閉部材が前記第1開位置に保持し、前記開閉部材が第1開位置から閉位置に変位したときに、前記開閉部材は、前記保持部を押圧して前記開閉部材と前記本体部との間に収容するように構成されている。
【0007】
上記蓋体において、前記本体部には、空気穴が形成されており、前記空気穴は、前記開閉部材が前記閉位置にあるときに前記空気穴を閉じ、前記開閉部材が前記第1開位置にあるときに前記空気穴を開くように構成することができる。
【0008】
上記蓋体においては、前記蓋体と前記本体部との間をシールする第1シール部と、前記開閉部材が前記閉位置にあるときに前記注ぎ口と前記開閉部材との間をシールする第2シール部と、前記開閉部材が前記閉位置にあるときに前記空気穴と前記開閉部材との間をシールする第3シール部と、前記保持部と、が一体的に形成されたシール部材を設けることができる。
【0009】
上記蓋体において、前記開閉部材は、前記第1開位置からの揺動角度が、前記第1開位置よりもさらに大きくなる第2開位置に揺動可能に構成され、前記第2開位置において、前記開閉部材がロックされるように構成することができる。
【0010】
上記蓋体において、前記開閉部材が前記閉位置にあるときに、前記保持機構による前記開閉部材の保持を解除すると、前記開閉部材は前記保持部の弾性力によって、前記第2開位置に移動するように構成することができる。
【0011】
上記蓋体において、前記保持機構は、操作部を有し、前記操作部は、位置A、位置B、及び位置Cに変位可能に構成されており、前記操作部が前記位置Aにあるとき、前記開閉部材は前記閉位置に保持され、前記操作部を前記位置Aから第1方向に向かって位置Bに変位させた後、前記位置Bから第1方向とは異なる第2方向に向かって前記位置Cに変位させることで、前記開閉部材の前記閉位置での保持を解除するように構成することができる。なお、3以上の位置に操作部を移動させて,保持機構による開閉部材の保持を解除することもできる。
【0012】
本発明に係る容器は、上述したいずれかの蓋体と、前記容器本体と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る蓋体によれば、開閉部材を開状態に保持するための構造を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る容器の斜視図である。
図2】容器本体の斜視図である。
図3】蓋体の斜視図である。
図4】蓋体から開閉部材を取り外した状態を示す平面図である。
図5】蓋体を下から見た底面図である。
図6】開閉部材が第1開位置にあるときの蓋体の斜視図である。
図7】開閉部材が第2開位置にあるときの蓋体の斜視図である。
図8】開閉部材が閉位置にあるときの蓋体の断面図である。
図9】開閉部材が第1開位置にあるときの蓋体の断面図である。
図10】開閉部材が閉位置にあるときの保持機構の斜視図及び断面図である。
図11】保持機構のロックを解除するための動作を示す斜視図及び断面図である。
図12】保持機構のロックを解除するための動作を示す斜視図及び断面図である。
図13】開閉部材が第2開位置にあるときの蓋体の他の例を示す斜視図である。
図14】開閉部材が第1開位置にあるときの蓋体の他の例を示す断面図である。
図15】開閉部材が閉位置にあるときの蓋体の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る容器を飲料用の容器に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は本実施形態に係る容器の斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る容器は、上部に開口を有する容器本体1と、この容器本体1の上部開口を着脱自在に閉じる蓋体2と、を備えている。容器本体1には水などの液体飲料を収容可能となっており、この飲料を蓋体2から排出するようになっている。以下、これらの部材について、詳細に説明する。
【0017】
<1.容器本体>
図2は容器本体の斜視図である。図2に示すように、容器本体1は、矩形状の底壁部12と、上下方向に長い側壁部13とを有し、上部に開口11を有している。側壁部13の上端部は、蓋体2の外形よりも小さい円筒状に形成されており、その上端に開口11が形成されている。また、円筒状の上端部の外面には雄ネジ(例えば、二条ネジ)15が形成されている。この雄ネジ15は各第1リブ15は、後述するように、蓋体2に形成された第2リブ33と係合するようになっている。
【0018】
<2.蓋体>
図3は蓋体の斜視図、図4は蓋体から開閉部材を取り外した状態を示す平面図、図5は蓋体を下から見た底面図、図6は開閉部材が第1開位置にあるときの蓋体の斜視図、図7は開閉部材が第2開位置にあるときの蓋体の斜視図、図8は開閉部材が閉位置にあるときの蓋体の断面図、図9は開閉部材が第1開位置にあるときの蓋体の断面図である。
【0019】
図3図5に示すように、蓋体2は、容器本体1の上部開口11を塞ぐ本体部3と、本体部3に取り付けられた開閉部材4と、開閉部材4を閉位置に保持する保持機構5と、本体部3と容器本体1とを密閉するためのシール部材6と、を備えている。
【0020】
<2-1.本体部>
図3及び図4に示すように、本体部3は、天面部31と、天面部31の外周から下方に延びる側面部32と、を有している。天面部31の外形は、容器本体1と対応するように四隅が円弧状の矩形状に形成されており、それに合わせて側面部32が形成されている。以下では、説明の便宜上、天面部31の4つの隅部をそれぞれ、第1、第2,第3,及び第4隅部311~314と称し、隣接する隅部311~314を連結する辺をそれぞれ、第1、第2,第3,及び第4辺315~318と称することとする。また、図5に示すように、側面部32は、天面部31の第1、第2,第3,及び第4辺315~318と対応する、第1、第2,第3,及び第4面部321~324により構成されている。なお、以下では、説明の便宜上、第1隅部311と第3隅部313とを結ぶ方向を前後方向、第2隅部312と第4隅部314とを結ぶ方向を左右方向と称して説明を行うことがある。
【0021】
図4に示すように、天面部31には、第1隅部311から第3隅部313の近傍まで延びる平面視矩形状の凹部7が形成されている。凹部7は、矩形状の底面部71と、第1隅部311側の第1側面部72と、第3隅部312側の第2側面部73と、第1側面部72と第2側面部73の両端同士を結ぶ一対の第3側面部74と、を有している。
【0022】
底面部71には、第1側面部72側に形成された円形状の注ぎ口75と、第3側面部74側に形成された矩形状の突出部用開口76と、注ぎ口75と突出部用開口76との間に形成された空気穴77と、が形成されている。注ぎ口75、突出部用開口76、及び空気穴77は、いずれも底面部71を貫通している。また、一対の第3側面部74の第2側面部73側には、互いに向き合う突部78がそれぞれ形成されている。
【0023】
図5に示すように、天面部31の下面には、下方に突出する円形状のリング部34と、上述した凹部7の底面の下面に形成された窪み部35が形成されている。天面部31の下面はリング部34によって仕切られ、リング部34と側面部32との間には、シール部材6が配置されるシール領域36が形成される。窪み部35は、注ぎ口75、突出部用開口76、及び空気穴77と対応するように、これらを下側から覆うように形成されている。リング部34には前側に切り欠き341が形成されており、この切り欠き341を介してシール領域36と窪み部35とは連通している。したがって、上述したシール部材6は、シール領域36に配置される部位と、窪み部35に配置される部位とが一体的に形成されている。
【0024】
図6及び図7に示すように、側面部32の前側(第1隅部311側)には、後述する保持機構5が配置される側面視矩形状の保持面37と、この保持面37の両端において上下方向に延びる支持部38とが形成されている。支持部38は、やや前方に突出し、後述するように、保持機構5のロック部51を揺動自在に支持している。
【0025】
図8及び図9に示すように、側面部32の第1、第2,第3,及び第4面部321~324には、それぞれ、やや傾斜しながら水平方向に延びる第2リブ33が形成されている。各第2リブ33は、上述したように、蓋体2に形成された第2リブ33と係合するようになっている。より詳細には、容器本体1の側壁部13の上部が、蓋体2の側面部32の内面に嵌まったとき、第1リブ15の下面に第2リブ33が接するように構成されている。
【0026】
<2-2.開閉部材>
図6及び図7に示すように、開閉部材4は、上述した凹部7を塞ぐように配置される板状の本体部41と、この本体部41の第1隅部311側において下方に延びる矩形状の前壁部42とを有している。本体部41の第3隅部313側の側面には、それぞれ、凹部7の突部78が嵌まる支持穴(図示省略)が形成されている。この支持穴に突部78が嵌まることで、開閉部材4は突部78周りに揺動可能となっている。
【0027】
開閉部材4の下面には、開閉部材4が凹部7を閉じる閉位置にあるとき、注ぎ口75を閉じる円筒状の第1閉鎖部43と、空気穴77を閉じる棒状の第2閉鎖部44とが形成されている。また、第2閉鎖部44と開閉部材4の第3隅部313側の端部との間には、凸状の板材45が形成されており、この板材45には、後述するようにシール部材6の突出部66が接するようになっている。
【0028】
開閉部材4の前壁部42は、板状に形成されており、開閉部材4が閉位置にあるとき、凹部7の第1側面部72の外側において下方に延びている。また、前壁部42の外面の下端には、水平方向に延びる突部421が形成されている。
【0029】
<2-3.保持機構>
図10に示すように、保持機構5は、開閉部材4を閉位置に保持するための機構であり、ロック状態において開閉部材4が閉位置に保持される。そして、ロック状態が解除されると、開閉部材4は揺動可能になる。これにより、突出部66が弾性変形によって初期状態に復帰するのに伴って突出部66が開閉部材4の板材45を押し上げる。その結果、注ぎ口75及び空気穴77を開放することができる。保持機構5は、上述した蓋体2の側面部32の保持面37に配置されており、開閉部材4の前壁部42の突部421に係合するロック部51と、このロック部51を動作させるための操作部52と、を有している。ロック部51は、左右方向に延びる第1部位511と、この第1部位511の両端から下方に延びる第2部位512と、両第2部位の下端部同士を連結し左右方向に延びる第3部位513と、を有している。したがって、ロック部51には、第1から第3部位511~513に囲まれた貫通孔514が形成されている。第1部位511には、保持面37側を向く面に水平方向の溝515が形成されている。図10(b)に示すように、開閉部材4が閉位置にあるとき、この溝515には前壁部42の突部421が係合するようになっており、これにより、開閉部材4が閉位置にロックされる。
【0030】
各第2部位512は、側面部32の支持部38に支持されている。より詳細には、各第2部位512の上下方向の中央付近が、各支持部38に揺動可能に支持されている。したがって、第2部位512は保持面37に接する初期状態と、この初期状態から第2部位512の上部が前方に揺動するロック解除状態とを取り得るようになっている。第2部位512は第1部位511と一体的に形成されているため、第2部位512が初期状態にあるときは、第1部位511は上述したように前壁部42に係合し、開閉部材4を閉位置にロックする。一方、図12に示すように、第2部位512が揺動してロック解除状態になると、第1部位511と前壁部42との係合が解除され、開閉部材4は閉位置から開くようになっている。
【0031】
第3部位513と保持面37との間にはコイルバネ53が設けられており、第3部位513を前方に押すように力が作用している。
【0032】
操作部52は、側面視矩形状の第1部位521と、この第1部位521の上端から後方へ延びる断面L字状の第2部位522と、を有している。第1部位521の下端は、ロック部51の第3部位513の外面に接しており、上下方向にスライド可能となっている。また、第1部位521の上端部には、水平方向に延びるレバー524が形成されており、使用者がこのレバー524に指(例えば親指)を引っかけて操作部52を上下動させるようになっている。操作部52は、第1部位521の上端がロック部51の第1部位511に接することで、それ以上の上方への移動が規制される。以下、この位置を、初期位置(位置A)と称することとする。一方、図11に示すように、操作部52は、第2部位522の下端がロック部51の第3部位513に接することで、それ以上の下方への移動が規制される。以下、この位置をロック解除位置(位置B)と称することとする。
【0033】
第2部位522は、ロック部51の貫通孔514を通じて保持面37側に延びる水平部位5221と、この水平部位5221から上方へ延びる延在部5222とを有している。図10(b)に示すように、操作部52が初期位置にあるときには、延在部5222が、凹部7の第1側面部72の外面と保持面37との間に配置されている。これによって、操作部52及びロック部51の上端部が前方に揺動しないように保持されている。そのため、開閉部材4の突部421が第1部位511の溝515に保持され、開閉部材4が閉位置に保持される。
【0034】
図11(b)に示すように、操作部52が初期位置からロック解除位置へ下方にスライドしたときには、延在部5222は開閉部材4の前壁部42よりも下方に移動する。そのため、この状態から図12に示すように、操作部52の下端部付近を、コイルバネ53の弾性力に抗して指で後方に押し込むと、ロック部51及び操作部52の上端部が前方に揺動するため(揺動後の位置が位置C)、ロック部51と前壁部42との係合が解除される。これにより、開閉部材4は、後述するように突出部66によって上方に押し上げられ、閉位置から第1開位置に自動的に揺動する。したがって、操作部52のスライドと押し込みを指による一連の操作で行うことで、開閉部材4を開くことができる。なお、ロック部51にはコイルバネ53の弾性力が作用しているため、図12において指で操作部52の下端を押圧している状態から指を離すと、操作部52及びロック部51は図11の状態に戻る。
【0035】
<2-4.シール部材>
図4及び図5に示すように、シール部材6は、ゴム、エラストマー、シリコーンなどの弾性部材によって形成されており、上述したシール領域36に配置される第1部位61と、窪み部35に配置される第2部位62とを有している。なお、説明の便宜のため、図4及び図5において、シール部材6はグレーに着色している。第1部位61には、容器本体1の側壁部13の上端が接するようになっており、これによって容器本体1と蓋体2とが密閉される。
【0036】
第2部位62には、注ぎ口75の内周に沿うように上方に突出する第3部位63と、空気穴77の内周に沿うように上方に突出する第4部位64と、突出部用開口76を塞ぐ第5部位65と、が形成されている。これら第3~第4部位63~65は、それぞれ、注ぎ口75、突出部用開口76、及び空気穴77を介して、第2部位62から底面部71の上面側に突出している。開閉部材4が閉位置にあるとき、第3部位63には、上述した第1閉鎖部43の下端が接し、第4部位64が形成する貫通孔には、上述した第2閉鎖部44の下端が差し込まれる。これにより、注ぎ口75及び空気穴77が密閉される。
【0037】
第5部位65の上面には、左右方向に延びる板状の突出部(保持部)66が形成されている。これら第1から第5部位61~65は、一体的に形成されている。例えば、シール部材6はインサート成形、二色成形などで蓋体2の本体部21に形成することができる。但し、シール部材6を本体部21に接着することもできる。
【0038】
図8に示すように、開閉部材4が閉位置にあるときには、開閉部材4の板材45によって突出部66が押圧され、前方に折り曲げられている。一方、図9に示すように、開閉部材4のロックが解除されたときには、折り曲げられていた突出部66が弾性変形し、起立した初期状態に復帰するため、開閉部材4が上方に押し上げられる。これにより、開閉部材4は、突出部66によって上方に揺動するとともに、突出部66に支持される。この状態を第1開位置と称することとする。なお、突出部66が開閉部材4に押圧されていない初期状態では、突出部66は閉位置にある開閉部材4の本体部41の下面(または板材45の下縁)よりも上方に突出している。そのため、開閉部材4は図9に示すように、突出部66に押し上げられて第1開位置に保持される。開閉部材4が第1開位置にあるとき、開閉部材4の第1閉鎖部43及び第2閉鎖部44は、それぞれ第3部位63及び第4部位64から離間する。これによって、容器を傾けると、空気穴77を介して容器内に空気が流入するとともに、注ぎ口75から飲料がスムーズに排出可能となる。
【0039】
なお、図7に示すように、開閉部材4は、突出部66から離れて第1開位置からさらに上方に閉位置から約90°以上揺動した位置まで揺動可能であり、この位置を第2開位置と称することとする。第2開位置では、開閉部材4をその位置でロックすることができる。つまり、開閉部材4は突出部66とは離れているが、開いた位置に保持することができる。そして、開閉部材4が第2開位置にあるときに、開閉部材4を閉位置側に揺動すると、ロックを解除することができる。開閉部材をロックする方法は特には限定されず、例えば、開閉部材4に係合する突部を設けてロックしたり、開閉部材4と凹部7の表面との摩擦力によってロックするなど、種々の方法が可能である。開閉部材4は手動によって第2開位置まで移動させてもよいし、後述するように、突出部66の弾性力による跳ね上げによって第2開位置まで移動させてもよい。
【0040】
また、開閉部材を閉位置から約90度揺動させた位置(第1開位置と第2開位置との間)において、開閉部材4を上方に引っ張ると、突部78と支持穴との係合が解除され、開閉部材4を本体部3から取り外すことができる。この位置を第3開位置と称することとする。
【0041】
<3.容器の使用方法>
次に、上記のように構成された容器の使用方法について説明する。まず、容器本体1と蓋体2とを分離した状態で、容器本体1に飲料を供給する。次に、容器本体1の上端部を、蓋体2の内部に挿入し、容器本体1または蓋体2を回転させて、雄ネジ15と第2リブ33に螺合させる。そして、容器本体1の上端部がシール部材6の第1部位61に接するまで、容器本体1または蓋体2を回転させる。これによって、蓋体2が容器本体1に対し、密閉状態で取り付けられる。
【0042】
次に、操作部52を初期状態から下方(第1方向)にスライドさせると、操作部52及びロック部51が前方に揺動可能となる。この状態で操作部52の下端部を後方に押し込むと、ロック部51と前壁部42との係合が解除され、開閉部材4は閉位置から揺動可能となる。開閉部材4のロック状態が解除されると、開閉部材4は、突出部66によって上方に押し上げられ、図9に示すように、第1開位置に保持される。この状態で、容器を傾けると、空気穴77を介して容器内に空気が流入するとともに、注ぎ口75から飲料を排出可能となる。
【0043】
飲料の排出が終了すると、まず、開閉部材4を前端付近を押圧し閉位置に戻す。このとき、開閉部材の突部421が、ロック部51の第1部位511を押し、コイルバネ53の弾性力に抗してロック部51及び操作部52を前方に揺動させる。そして、開閉部材4をさらに下方に押し込むと、突部421が第1部位511の溝515に嵌まる。これにより、コイルバネ53の作用によって、ロック部51及び操作部52の上端部が保持面37側に揺動し、図11の状態に戻る。次に、レバー524を指で引っかけて操作部52を上方に押し上げると、操作部52が図10の初期状態に戻るため、開閉部材4が閉位置に保持される。
【0044】
なお、清掃を行う場合には、開閉部材4を第3開位置まで揺動させた後、開閉部材4を引っ張って本体部3から取り外す。これにより、本体部3と開閉部材4とが分離されるため、清掃がしやすくなる。また、シール部材は、上述したようにインサート成形、二色成形、又は接着により本体部に固定されているため、シール部材と本体部との間に汚れが入り込むことがないため、清掃が容易である。
【0045】
<4.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)開閉部材4の閉位置でのロックが解除されたとき、開閉部材4は突出部66によって第1開位置まで自動的に押し上げられ、開閉部材4を第1開位置に保持する。第1開位置は開閉部材4を大きく揺動させた位置ではないが、注ぎ口及び空気穴を開いた状態に保持できるため、飲料の排出は可能である。したがって、開閉部材4のロック状態が解除されれば、使用者が操作することなく、開閉部材4が第1開位置まで自動的に移動し、さらに第1開位置に保持されるため、飲料を容易に排出することができる。
【0046】
(2)突出部66は、弾性材料であるシール部材6に一体的に形成されているため、突出部66のみを別途取り付けることなく、シール部材6とともに蓋体2に取り付けられる。したがって、製造が容易になる。
【0047】
(3)保持機構5は、操作部52を下方にスライドさせ、さらに操作部52の下端部を押し込んで前方に揺動させるという方向の異なる2つの操作によって、開閉部材4のロックを解除することができる。したがって、操作部52に誤って触れて、操作部52がスライドされても、それだけでは開閉部材4のロック状態が解除されないため、誤って開閉部材4が開くのを防止することができる。
【0048】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜、組み合わせることができる。
【0049】
(1)突出部66の形状や位置は特には限定されず、開閉部材4を第1開位置に保持でき、且つ開閉部材4が閉位置にあるとき、開閉部材4によって押圧されて開閉部材4と凹部7との間に配置できるように変形できればよい。例えば、図13図15のような態様にすることができる。
【0050】
図13に示すように、この例において突出部66は、前後方向の幅が左右方向の幅よりも長い直方体状に形成されている。この突出部66は、下端から上端にいくにしたがって、前後及び左右の幅が短くなるように形成されており、上端部は曲面状に形成されている。図13及び図14に示すように、突出部66が開閉部材4に押圧されていない初期状態では、突出部66は、閉位置にある開閉部材4の本体部41の下面よりも上方に突出している。そのため、開閉部材4は図14に示すように、突出部66に押し上げられて第1開位置に保持される。
【0051】
また、この例では、開閉部材4に板材45が設けられておらず、突出部66は、開閉部材4の本体部41に接する。そのため、図14に示すように、開閉部材4の本体部41において、第1開位置にあるときに突出部66の上端と接する部分の肉厚は、上記実施形態と比べて厚くなっている。図15に示すように、開閉部材4が閉位置にあるときには、突出部66は、開閉部材4の本体部41によって押圧され、圧縮される。すなわち、上記実施形態の図8のように、突出部66は折り曲げられず、上下方向に圧縮されて開閉部材4と凹部7との間に保持される。図13~15に示す突出部66の形態は一例であり、他の形態も可能である。また、この例のように、板材45は省略することもできるが、その代わり、上記のように、開閉部材4の本体部41の肉厚を大きくしたり、板材45に代わって本体部41の下面から突出した部材を設け、これによって突出部66を押圧することもできる。
【0052】
また、開閉部材4の第1開位置の角度は、注ぎ口75から飲料を排出できれば特には限定されないが、例えば、90°以下にすることができ、好ましくは10~45°程度とすることができる。また、第2開位置の角度は、第1開位置の角度よりも大きければ、特には限定されない。この点は、第3開位置についても同様である。
【0053】
(2)開閉部材4が閉位置にあるとき、開閉部材4は突出部66を押圧しているため、保持機構5によるロックが解除されると、開閉部材4は、押圧された突出部66が初期状態に復元する弾性力によって押し上げられる(あるいは跳ね上げられる)が、開閉部材4を押し上げるための突出部66の弾性力は適宜変更することができる。例えば、突出部66の弾性力(復元力)が低いと、開閉部材4は図9図14に示すように、第1開位置程度の角度(あるいは第1開位置から第3開位置(約90度)までの間)まで押し上げられる(または跳ね上げられる)。一方、突出部66の弾性力が強いと、開閉部材4は図7図13に示すように、第2開位置程度の角度まで跳ね上げられる。この場合、開閉部材4は第2開位置においてロックされる。したがって、突出部66の弾性力が強いと、保持機構5のロックを解除したときに、開閉部材4は第2開位置まで跳ね上げられて、自動的にその位置でロックされる。なお、突出部66の弾性力によっては、開閉部材4が第2位置付近まで跳ね上げられるが、ロックされることなく、第1開位置まで戻ってきて、第1開位置で保持されることもある。このような調整は、突出部66の形状や材料を変更することで行うことができる。例えば、突出部66の高さを高くすると、開閉部材4が閉位置にあるときに、より押圧されるため、突出部66が復元する力が増す。
【0054】
(3)上記実施形態で示した蓋体2の本体部3,凹部7などの形状は一例であり、適宜変更することができる。
【0055】
(4)空気穴77は必ずしも必要ではないが、注ぎ口75から飲料を排出しやすくするために適宜設ければよい。
【0056】
(5)保持機構5の構造は上述したものに限定されるものではない。上記実施形態では、操作部52を下方にスライドした後、操作部52の下端を後方に押し込むことでロックを解除しているが、操作部52を複数回に亘って複数の方向に操作することで,ロックが解除されるように構成されていればよい。これにより、保持機構5によるロックが簡単に解除されるのを防止することができる。また、保持機構5はこれら以外の構成でもよく、少なくとも開閉部材4を閉位置に保持できるように構成されていればよい。
【0057】
(6)シール部材6は,第1~第5部位61~65が一体的に形成されているが、これらが複数に分離されていてもよい。また、シール部材6は必ずしも必要ではなく、例えば、注ぎ口75と第1閉鎖部43、空気穴77と第2閉鎖部44などの密閉が必要な部分において、両者が接したときに密閉されるように寸法が設計されていればよい。
【0058】
(7)容器本体1の形状は特には限定されず、飲料などの液体が収容できるように上部に開口が形成されていればよい。したがって、平面視で円形状、多角形状など種々の形状にすることができる。また、容器本体1と蓋体2とは着脱自在に連結できればよく、上述した雄ネジ15,第2リブ33以外の連結構造でもよい。例えば、ネジなどの連結構造を採用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 :容器本体
2 :蓋体
3 :本体部
4 :開閉部材
5 :保持機構
6 :シール部材
66 :突出部(保持部)
11 :上部開口
11 :開口
21 :本体部
41 :本体部
52 :操作部
61 :第1部位(第1シール部)
63 :第3部位(第2シール部)
64 :第4部位(第3シール部)
75 :注ぎ口
77 :空気穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15