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特開2025-26462眼科用ブレード及び器具並びにその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026462
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】眼科用ブレード及び器具並びにその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61F9/007 130H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024195649
(22)【出願日】2024-11-08
(62)【分割の表示】P 2022510848の分割
【原出願日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】2019903050
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】522062667
【氏名又は名称】クオ、チー - ホン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオ、チー - ホン
(57)【要約】
【課題】眼科手術中に使用するための眼科用外科器具において、従来技術の問題又は欠点に少なくとも部分的に対処し得る、有用な又は商業的利益のある選択肢を提供すること。
【解決手段】一形態では、本発明は、眼の前房内へ入るための一次切開部及びサイド・ポート切開部を作成するための多目的眼科用ブレードに関する。別の形態では、本発明は、流体を眼内へ送達する及び/又は眼から流体を除去するための眼科用外科器具に関する。器具は、流体を送達又は除去するために、眼においてサイド・ポート切開部を作成するために適合されるブレード部へ接続可能な、中空シャフトを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白内障摘出手術で使用するための又は使用される場合の多目的眼科用ブレードであって、ハンドル部に接続可能なシャフトと、
前記シャフトから中心軸線に沿って延びる第1のブレード部であって、前記中心軸線の周りに延びる1組の反対側側縁部を有し、前記側縁部は、前記中心軸線に対して第1の角度でそれぞれ配向された第1の組の反対側刃先を画成し、前記第1の組の反対側刃先は、前記第1のブレード部の遠位端に向かって少なくとも部分的に収斂している、第1のブレード部と、
前記第1のブレード部から前記中心軸線に沿ってブレード先端まで遠位に前方へ延びる第2のブレード部であって、1組の反対側平行側縁部、及び前記平行側縁部から遠位に前方へ延びる1組の収斂側縁部を有し、前記収斂側縁部は、前記ブレード先端へと収斂する第2の組の刃先を画成し、前記第2の組の刃先は、前記中心軸線に対して第2の角度でそれぞれ配向される、第2のブレード部と
を有し、
前記第1のブレード部は、一次切開部を作成するために適合され、前記第2のブレード部は、サイド・ポート切開部を作成するために適合されている、多目的眼科用ブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一形態における本発明は、多目的眼科用ブレード及びその使用方法に関連する。別の形態において、本発明は、眼科用外科器具及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科手術のために、多くの異なる大きさ及び形状の外科ブレードが存在する。外科処置の過程で、眼科医は、典型的には、2種以上の異なるブレードタイプを使用し得る。
【0003】
例えば、日常的な白内障摘出手術中に、眼科医は、典型的には、サイド・ポート(創口)切開部を作成するために穿刺針又はサイド・ポート・ブレードを、及び一次透明角膜切開部を作成するために角膜切開刀又はスリット・ブレードを使用する。したがって、そのような処置中に、眼科医は、サイド・ポート切開部を作成した後にサイド・ポート・ブレードを手渡し、その後、一次透明角膜切開部を作成する又は粘弾性材料を注入するための次の器具を渡される。
【0004】
処置は、前房深度を維持し、角膜内皮細胞を保護するために、サイド・ポート又は一次切開部を介した粘弾性材料の注入を適時必要とするので、さらに複雑になる。一般的に、材料は眼の前房を深くするために注入され、特に初期研修における外科医にとっては、一方又は両方の切開中に体液の喪失により前房が虚脱する前に、適時注入される必要がある。施術は、切開部を作成する合間に粘弾性材料を注入する眼科医と、両方の切開部を作成した後に粘弾性材料を注入する他の眼科医とで異なる。
【0005】
上記の施術での一般的な問題は、特に、虚脱した前房に切開部を作成した後又はその合間に眼科医が粘弾性材料を急いで用いているときに、複数の器具を扱うことで処置が遅れ、それによって患者を外科合併症のより大きな危険に不必要にさらすことである。
【0006】
別の関連する問題は、複数の器具を扱うことにより、眼科医及び補助員の両方に針刺しのような傷ができる危険性である。
【0007】
特に器具は一般的に単回使用品であるので、上記の施術でのなおさらなる問題は、各処置のために複数の器具を保管及び供給することに伴う、費用及び廃棄物である。
【0008】
上記の施術とは対照的に、より経験豊富な眼科医が、単一の角膜切開刀を使用して2つの角膜切開部を形成する場合もある。しかしながら、そのような代替的施術もまた、問題がないわけではない。例えば、単一の角膜切開刀で2つの角膜切開部を形成すると、拡大したサイド・ポート切開部の形成により、前房の不安定な状態が引き起こされる場合があり、屈折変化が予測しづらくなり得る。
【0009】
従来の器具は、処置に必要な器具の数を減らすことを試みて開発されてきた。
【0010】
例えば、国際特許公開第WO2004/112665A号は、白内障除去手術のために単一の切開部を作成し、それを広げるためのブレードを開示する。しかしながら、該ブレードは、複数の切開部を作成し、同時にそれを使用する必要がある最新の白内障摘出手術に適さず、それらに適用可能でもない。さらに、開示されたブレードは、眼の前房内へ過剰に伸びる傾向がある。
【0011】
同様に、米国特許第5,217,477号は、超音波水晶体乳化吸引術(phacoemulsification)及びその後のIOL移植のために、単一の切開部を作成し、それを広げるためのブレードを開示する。しかしながら、該ブレードはここでも、複数の正確な切開部を作成する必要がある最新の白内障摘出手術に適さず、それらに適用可能でもないと、本発明者は認識している。開示されたブレードは、拡大したサイド・ポート切開部を形成する傾向がある。
【0012】
先行技術の刊行物が本明細書で参照される場合に、この参照により、該刊行物がオーストラリアにおける又は任意の他の国における当技分野での技術常識の一部を形成すると承認されたとはみなされないことが、明確に理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許公開第WO2004/112665A号
【特許文献2】米国特許第5,217,477号
【発明の概要】
【0014】
本発明の実施例は、上述の問題又は欠点のうちの1つ若しくは複数に少なくとも部分的に対処し得る、又は有用な若しくは商業的利益のある選択肢を公衆に提供し得る、多目的眼科用ブレード、眼科用外科器具及びそれらの使用方法を提供する。
【0015】
本発明の第1の態様によると、
ハンドル部(handle)へ接続可能なシャフト、
シャフトから中心軸線に沿って延びる第1のブレード部であって、中心軸線の周りに延びる1組の反対側側縁部を含み、側縁部が前記中心軸線に対して第1の角度でそれぞれ方向づけられる第1の組の反対側刃先を画成し、第1の組の反対側刃先が第1のブレード部の遠位端に向かって少なくとも部分的に収斂する、第1のブレード部、及び
第1のブレード部から中心軸線に沿ってブレード先端へ前方へ遠位に延びる第2のブレード部であって、ブレード先端へ収斂する第2の組の反対側刃先をそれぞれ画成する1組の反対側側縁部を含み、前記第2の刃先が前記中心軸線に対して第2の角度でそれぞれ方向づけられる、第2のブレード部
を含み、
前記第1のブレード部が一次切開部を作成するために適合され、前記第2のブレード部がサイド・ポート切開部を作成するために適合される、
白内障摘出手術において使用するための多目的眼科用ブレードが提供される。
【0016】
好ましくは、前記第1のブレード部が一次切開部を作成するために適合され、前記第2のブレード部がサイド・ポート切開部を作成するために適合されるように、前記第1の角度は前記第2の角度より大きい。
【0017】
本発明の第2の態様によると、
ハンドル部へ接続可能なシャフト、
シャフトから中心軸線に沿って延びる第1のブレード部であって、中心軸線の周りに延びる1組の反対側側縁部を含み、側縁部が前記中心軸線に対して第1の角度でそれぞれ方向づけられる第1の組の反対側刃先を画成し、第1の組の反対側刃先が第1のブレード部の遠位端に向かって少なくとも部分的に収斂する、第1のブレード部、並びに
第1のブレード部から中心軸線に沿ってブレード先端へ前方へ遠位に延びる第2のブレード部であって、1組の反対側平行側縁部及び平行側縁部から前方へ遠位に延びる1組の収斂側縁部を含み、前記収斂側縁部がブレード先端へ収斂する第2の組の刃先を画成し、前記第2の組の刃先が前記中心軸線に対して第2の角度でそれぞれ方向づけられる、第2のブレード部
を含み、
前記第1のブレード部が一次切開部を作成するために適合され、前記第2のブレード部がサイド・ポート切開部を作成するために適合される、
白内障摘出手術において使用するための多目的眼科用ブレードが提供される。
【0018】
典型的には、第2のブレード部は、第2のブレード部のその最も広い点での幅の1.2倍、好ましくは1.1倍、より好ましくは1.0倍以下の距離で、第1のブレードから前方へ遠位に延びる。
【0019】
本発明の第3の態様によると、
流体を含有又は受容するための供給源へ接続可能な中空シャフト、及び
シャフトを介して流体を送達又は除去するために眼において切開部を作成するために適合されるブレード部であって、シャフトから中心軸線に沿ってブレード先端へ延び、自身上に画成される刃先を有する少なくとも1つの側縁部を含み、前記刃先が中心軸線に対して一定の角度で方向づけられ、ブレード先端へ延びる、ブレード部
を含む流体を眼内へ送達する又は眼から流体を除去するための眼科用外科器具が提供される。
【0020】
本発明の第4の態様によると、
流体を含有又は受容するための供給源と流体連通するカニューレへ接続可能な中空シャフト、及び
シャフトを介して流体を送達又は除去するために眼において切開部を作成するために適合されるブレード部であって、シャフトから中心軸線に沿ってブレード先端へ延び、自身上に画成される刃先を有する少なくとも1つの側縁部を含み、前記刃先が中心軸線に対して一定の角度で方向づけられ、ブレード先端へ延びる、ブレード部
を含む流体を眼内へ送達する又は眼から流体を除去するための眼科用外科器具が提供される。
【0021】
有利には、本発明の多目的ブレード及び外科器具は、必要な器具の数を減らすことによって、眼科医が外科処置中により効率的に作業を行うことを可能にする。次に、扱う器具の減少により、有利には外科処置がより速く行われ、それによって感染、外科合併症及び針刺しのような傷の危険性を低減する。最後に、必要な外科器具の数を減らすことによって、本発明は、廃棄物を減らし、現行の施術に代わる費用対効果の高い選択肢を提供する。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「眼」は人間の眼を指す。
【0023】
眼は完全な球体ではなく、むしろ2つが融合した単一体(fused two-piece unit)である。眼は「角膜」と呼ばれる小さい前面部位を含み、角膜は「強膜」と呼ばれる大きい白色部位へ結合する。角膜は、透明であり、強膜より湾曲する。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「強角膜接合部」又は「角膜輪部」は、角膜と強膜の境界又は角膜と強膜との間の移行領域を指す。
【0025】
眼は、強膜内にある「虹彩」と呼ばれる有色の円形構造体をさらに含む。虹彩は、黒色に見える眼の瞳孔を同心円状に囲む。眼に入射する光の量を制御する瞳孔の大きさは、虹彩の拡張筋及び括約筋によって調整される。
【0026】
光は、角膜、次に瞳孔を通過し、及びその後、毛様体筋によって制御される水晶体を通過して、眼に入射する。光は、その後、「網膜」と呼ばれる眼の後部にある感光性細胞に到達する。網膜の感光性細胞は、光を視神経によって脳へ運ばれる電気信号に変換する。
【0027】
水晶体は、角膜と共に光を屈折させて網膜に焦点を合わせる働きをする、透明な両凸形状の構造体である。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「白内障」は、視力の障害又は喪失を引き起こす、眼の水晶体の混濁化を指す。時間の経過による水晶体繊維の代謝的変化は、白内障の発症につながり、それにより光の網膜への伝達が低減する。白内障摘出手術は、一般的に、水晶体の除去及び、眼内レンズ(IOL:intraocular lens)としても知られる人工レンズとの交換を伴う。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「透明角膜切開部」又は「角膜切開部」は、角膜輪部へ通常は線状又は曲線状に作成される、角膜に前側で切り込む切開部を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「一次透明角膜切開部」又は「一次切開部(primary incision)」は、一般的に、白内障摘出手術の一部として、水晶体の乳化及び吸引並びに人工レンズの移植のために作成される、角膜切開部を指す。一般的に、切開部は自己閉鎖する大きさである。通常は、切開部は、長さが約2.0mm~約4.0mm、及び幅が約2~3mmであり、典型的には、幅が約2.2mm~約2.75mmである。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「二次透明角膜切開部」又は「サイド・ポート切開部」は、粘弾性材料を送達及び除去するため、並びに外科処置の過程で水晶体及び移植される人工レンズを全体的に操作するために作成される、角膜切開部を指す。ここでも一般的に、切開部は自己閉鎖する大きさである。通常は、切開部は、長さが約1.0mm、及び幅が約0.6~約1.5mmである。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「粘弾性材料」は、角膜内皮細胞の喪失を防ぎ、眼圧/前房深度を維持し、及び/又は外科処置の過程で水晶体嚢を膨張させるために、眼の前房から送達及び除去される流動性物質を指す。該物質はまた、内皮を被覆し、超音波エネルギーを吸収し、外科的外傷から内皮を力学的に保護するために使用される。
【0033】
上記で指示されるように、第1及び第2の態様による本発明は、白内障摘出手術において使用するための多目的眼科用ブレードを提供する。ブレードは、任意の大きさ、形状、及び構造であってよく、眼科手術、好ましくは白内障摘出手術に適するように構成される任意の1種又は複数の材料から形成され得る。
【0034】
一般的に、ブレードは鋭利な刃先を形成することが可能な、任意の1種又は複数の材料から形成され得る。通常は、ブレードは、金属及び/又は1種若しくは複数のプラスチック材料、好ましくはステンレス鋼、チタン又はアルミニウムから形成され得る。しかし、一部の実施例では、ブレード又は少なくとも刃先がダイヤモンドから形成され得ることが想定される。好ましくは、ブレードは一体的に形成され得る。
【0035】
シャフトは、ハンドル部に対してブレード部を離隔するために適した、任意の大きさ、形状、及び長さであってよい。
【0036】
一般的に、シャフトは、1組の反対側端部を含む場合があり、反対側端部間で縦に延び得る。反対側端部には、ハンドル部へ接続可能な基端、及び第1のブレード部が延びる反対側の遠位端が含まれ得る。
【0037】
シャフトは、管状又は中実構造、典型的には中実構造であり得る。
【0038】
シャフトは、任意の適した断面形状を有してよい。例えば、シャフトは、実質的に長方形、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形、円形、又は楕円形状の断面を有し得る。好ましくは、シャフトは、基端又はその付近で実質的に円形の断面を有してよく、第1のブレード部が延びる遠位端又はその付近で先細る又は平らになり得る。
【0039】
一部の実施例では、シャフトは、ハンドル部と第1のブレード部との間で直線方向に延び得る。
【0040】
他の実施例では、シャフトは、1つ又は複数の屈曲を含み得る。例えば、シャフトは、互いに対して角度がつけられる遠位端部及び基端部を含み得る。遠位端部が、基端部に対して約120°~約150°の範囲にわたる角度で、好ましくは約130°~約140°の範囲にわたる角度で、より好ましくは約135°の角度で延び得ることが想定される。
【0041】
示されるように、シャフトは基端を介してハンドル部へ接続可能であり得る。ハンドル部は、典型的には、眼科医の手によって保持及び操作されるために適した細長い形状を有し得る。ハンドル部はまた、直線方向に2つの反対側端部間で縦に延びる細長い本体を含んでもよい。
【0042】
ハンドル部は、金属及び/又は1種若しくは複数のプラスチック材料、典型的にはプラスチック材料から形成され得る。
【0043】
シャフト及びハンドル部は、当技術分野で公知の任意の適した手法で接続可能であってよい。例えば、ブレードが再利用可能である一部の実施例では、シャフトは、接続機構を介してハンドル部へ取外し式に接続可能であり得る。他の実施例では、シャフトは、ハンドル部へ固定して接続され、好ましくは一体的に接続され得る。例えば、1つのそのような実施例では、ハンドル部は、シャフトの基端を覆って形成され、好ましくはオーバーモールドされ得る。
【0044】
シャフトは、接続されるハンドル部とブレード部との間で任意の長さで延びてよい。例えば、シャフトは、ハンドル部とブレード部との間で、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、又はさらに約20mm延び得る。典型的には、シャフトは、約6mm~約12mmの長さを有して、接続されるハンドル部とブレード部との間で延びてよく、好ましくは、シャフトは、接続されるハンドル部とブレード部との間で約9mmの長さで延び得る。
【0045】
示されるように、第1のブレード部(及び第2のブレード部)がシャフトに対して一定の角度で延びることができるように、シャフトは、第1のブレード部が延びる遠位端又はその付近で先細る又は平らになる、好ましくは平らになり得る。例えば、第1のブレード部は、約120°~約150°の範囲にわたるシャフトに対する角度で、好ましくは約130°~約140°の範囲にわたる角度で、より好ましくは約135°の角度で延び得る。
【0046】
ブレードは本体を含み得る。本体は、第1及び第2のブレード部を画成し得る。
【0047】
本体は、第1のブレード部及び第2のブレード部を画成するために適した、任意の大きさ、形状、及び構造であってよい。
【0048】
典型的には、本体は、シャフトの遠位端から中心軸線に沿ってブレード先端へ、好ましくは尖ったブレード先端へ延び得る。
【0049】
一般的に、本体はプレートの形態であり得る。本体は、実質的に平ら又は平面状であってよく、多角形の形状を有し得る。一部の実施例では、本体は実施的にダイヤモンド又は凧の形状を有し得る。他の実施例では、本体は実質的に台形の形状を有し得る。
【0050】
本体は、手術中に眼の外側に向く上面及び反対側の下面を含む、2つの反対側表面を有し得る。反対側表面は、互いに実質的に平行に延び、反対側側縁、本体(及び第1のブレード部)がシャフトから延びる基端縁、及び第2のブレード部のブレード先端を画成する反対側の遠位端縁を含む、対向している縁部によって相互に接続され得る。
【0051】
本体は、本体の基端又はその付近の第1のブレード部、本体の遠位端又はその付近の第2のブレード部、並びに第1及び第2のブレード部間の接合部を画成し得る。
【0052】
示されるように、第1のブレード部(及び第2のブレード部)は、シャフトから中心軸線に沿って延び得る。第1のブレード部は、中心軸線の周りで、好ましくは対称に延びる、1組の反対側側縁部を含み得る。
【0053】
第1の組の反対側刃先は、反対側側縁部の少なくとも1つの部分上に画成され得る。側縁部は、ブレード本体の側縁の部分に対応し得る。
【0054】
一般的に、第1のブレード本体の一方又は両方の前記側縁部は、それらが基端と接合部との間で延びるにつれて、それぞれ離れて及び中心軸線に向かって少なくとも部分的に先が広がる及び先細って、ブレードの形状及びブレード部を部分的に画成し得る。側縁部は、直線若しくは曲線方向に、又はその組合せで、先が広がる及び先細り得る。
【0055】
例えば、一部の実施例では、一方又は両方の側縁部は、それらが基端と接合部との間で延びるにつれて、外側へ先が広がって、頂部としても知られる、ブレードの最も広い部分を画成し、その後接合部又はその付近で再び先細り得る。一部のそのような実施例では、ブレードの最も広い部分は、明確な突端であり得る。他のそのような実施例では、ブレードの最も広い部分は、互いに実質的に平行に延びる両方側縁部の部分であり得る。
【0056】
一部の実施例では、頂部は、基端と頂部との間で延びる基端向き側縁部、及び頂部と接合部との間で延び、好ましくは自身上に第1の組の刃先を有する遠位端向き側縁部を画成し得る。
【0057】
好ましい実施例では、第1のブレード部の両方の側縁部は、それらが基端から沿って接合部に向かって少なくとも部分的に延びるにつれて、外側に中心軸線から離れて緩やかに先が広がって、ブレードの頂部を画成し得る。側縁部は、それらが頂部から第1のブレード部の接合部に向かって延びて、遠位端向き側縁部を画成するように、中心軸線に向かって少なくとも部分的に緩やかに先細り得る。
【0058】
ブレードが中心軸線と平行な方向に眼内へ進むにつれて、第1の刃先が切開部を形成するように、第1の組の刃先は、第1のブレード部の遠位端向き側縁部を画成し得る。典型的には、基端向き側縁部は、ブレードを引き戻すときに切開部に変更を加えないように、すなわち、切開部を拡大しない及び表面を切らないように、丸められた又は刃のない縁を有する。
【0059】
一般的に、遠位端向き側縁部は、直線方向に中心に向かって少なくとも部分的に先細り得るが、曲線方向もまた想定される。
【0060】
示されるように、第2のブレード部は、第1のブレード部から中心軸線に沿ってブレード先端へ前方へ遠位に延び得る。第1のブレード部と同様に、第2のブレード部は、ブレード先端へ少なくとも部分的に収斂する1組の反対側側縁部を含み得る。第2の組の刃先は、側縁部の少なくとも1つの部分上に画成され得る。
【0061】
第2のブレード部の反対側側縁部は、中心軸線の周りで、好ましくは対称に延び得る。
【0062】
1組の反対側側縁部は、直線方向にブレード先端へ少なくとも部分的に収斂し得るが、曲線方向もまた想定される。
【0063】
ここでも、側縁部は、本体の側縁の部分に対応し得る。
【0064】
好ましい実施例では、第2のブレード部は、1組の反対側実質的に平行側縁部、及び反対側実質的に平行側縁部から前方へ遠位に延びる1組の収斂側縁部を含む。第2の組の刃先は、好ましくは1組の収斂側縁部上に画成され、ブレード先端へ収斂し得る。刃先は、好ましくは、実質的に平行側縁部上に画成されなくてよい。
【0065】
有利には、実質的に平行側縁部は、正確な幅のサイド・ポート切開部の形成を容易にし、幅は、第2のブレード部の最大幅によって、すなわち、実質的に平行側縁部間で測定される場合に、画成される。さらに、実質的に平行側縁部上に刃先がないことで、ブレードが、第2のブレード部の実質的に平行側縁部まででそれを超えずに、中心軸線と平行な方向に眼内へ進むので、サイド・ポート切開部が不注意に拡大されないことを確実にする。
【0066】
実質的に平行側縁部は、第1及び第2のブレード部間の接合部を画成する、又は少なくとも部分的に画成し得る。
【0067】
一部の実施例では、第1の組の刃先は、第2の組の刃先に連続して延び得る。他の好ましい実施例では、第1及び第2の組の刃先は、例えば第2のブレード部の実質的に平行側縁部によって、互いに分離され得る。
【0068】
一般的に、それぞれの刃先の組は、中心軸線に対して異なる角度で方向づけられ得る。しかしながら、各組の刃先は、ブレードが中心軸線と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先がブレード先端へ向く又は少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、中心軸線に対して方向づけられ得る。
【0069】
一部の実施例では、第1の組の刃先は、中心軸線に対して第1の角度で方向づけられる場合があり、第1の角度は、第2の組の刃先が中心軸線に対して方向づけられる第2の角度より大きい。他の実施例では、第1の角度は第2の角度より小さい場合がある。さらに他の実施例では、第1の角度及び第2の角度は実質的に同じであり得る。
【0070】
第1の角度は、第1の組の刃先のそれぞれと中心軸線との間で測定される場合に、約15°、約16°、約17°、約18°、約19°、約20°、約21°、約22°、約23°、約24°、約25°、約26°、約27°、約28°、約29°、約30°、約31°、約32°、約33°、約34°、約35°、約36°、約37°、約38°、約39°、又はさらに約40°、典型的には約18°~約35°、好ましくは約25°~約35°であり得る。
【0071】
第1の組の刃先は、頂部又はその付近で測定される場合に、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2.0mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、又はさらに約3.5mm、典型的には約1.3mm~3.2mmの範囲にわたる、好ましくは約2.0mm~約2.2mmの反対側刃先間で延びる最大幅を有し得る。
【0072】
対照的に、第2の角度は、約5°、約6°、約7°、約8°、約9°、約10°、約11°、約12°、約13°、約14°、約15°、約16°、約17°、約18°、約19°、約20°、約21°、約22°、約23°、約24°、約25°、約26°、約27°、約28°、約29°、約30°、約31°、約32°、約33°、約34°、約35°、約36°、約37°、約38°、約39°、約40°、約41°、42°、約43°、約44°、約45°、約46°、約47°、約48°、約49°、約50°、約51°、約52°、約53°、約54°、約55°、約56°、約57°、約58°、約59°、約60°、約61°、約62°、約63°、約64°、又はさらに約65°であり得る。
【0073】
同様に、第2の組の反対側刃先は、接合部又はその付近で測定される場合に、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、又はさらに約2.0mm、典型的には約0.5mm~約1.2mmの範囲にわたる、好ましくは約1.0mmの反対側刃先間で延びる最大幅を有し得る。
【0074】
第1の態様によるブレードの実施例では、第2のブレード部は、約10°~約15°、好ましくは12.5°の第2の角度を有し得る。
【0075】
第2の態様によるブレードの実施例では、第2のブレード部は、約30°~約60°の第2の角度を有し得る。
【0076】
有利には、第2のブレード部は、第1のブレード部に対してより小さいブレード幅を有することによって、第2のブレード部が中心軸線と平行な方向に、典型的には実質的に平行側縁部まで眼内へ進むときに、正確な幅の二次角膜切開部又はサイド・ポート切開部を精密に及び繰り返して形成することができる。
【0077】
反対に、第1のブレード部のより大きいブレード幅は、第1のブレード部が中心軸線と平行な方向に、典型的には頂部まで眼内へ進むときに、一次切開部を精密に及び繰り返して形成することを可能にする。
【0078】
第2のブレード部は、ブレード先端と接合部との間で画成されるように、任意の適した長さであってよい。好ましくは、第2のブレード部は、側部切開部を形成するときに、前房内へ過剰に伸びるおそれ及び/又は内皮を傷つけるおそれがないように、長すぎないことが望ましい。例えば、第2のブレード部は、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.0mm、約1.1mm、又は約1.2mm以上の長さを有し得る。典型的には、第2のブレード部は、約0.7mm~約1.2mm、好ましくは約0.7mm~1.1mm、より好ましくは約0.7mm~1.0mmの長さを有し得る。
【0079】
好ましい実施例では、第2のブレード部は、第2のブレード部の幅に正比例する長さを有し得る。例えば、第2のブレード部は、第2のブレード部の最大幅の1.2倍以下、好ましくは最大幅の0.7~1.1倍、より好ましくは最大幅の0.7~1.0倍の長さを有し得る。
【0080】
より好ましい実施例では、第2のブレード部は、約1.0mm又は第2のブレード部の最大幅の1.0倍の長さを有し得る。
【0081】
有利には、約0.7mm~約1.2mmの長さを有することによって、サイド・ポート切開部を形成するときに、内皮を傷つける又は第2のブレード部が前房内へ過剰に伸びる危険性を、大きく低減する。さらに、第2のブレード部の実質的に平行側縁部は、眼の前房内へ第2のブレード部を進め、側部切開部を形成するときに、外科医へ明確な視覚的フィードバックを提供する。
【0082】
一部の実施例では、ブレードは、少なくとも第1のブレード部が眼内へ進んだときに、好ましくは第2のブレード部が眼内へ進んだときにも、眼科医が視認し易いように、1つ又は複数のマーキング又はエッチング含み得る。
【0083】
1つ又は複数のマーキングは、任意の適した形態であってよく、ブレード上の任意の適した位置に設けられてよい。
【0084】
例えば、一部のそのような実施例では、マーキングは、上面に沿って少なくとも部分的に塗布又はエッチングされる1つ又は複数の記号若しくは印を含み得る。
【0085】
一部のそのような実施例では、マーキングは、眼科医が外科処置中にマーキングを視認し易いように、反射性又は蛍光色素を含み得る。
【0086】
好ましい実施例では、ブレードは、一次切開部を形成するために適した挿入深さを指示するための、中心軸線に実質的に垂直な方向にブレードの上面を横断して延びる第1のマーキング、及びサイド・ポート切開部を形成するための、中心軸線に実質的に垂直な方向にブレードの上面を横断して延びる第2のマーキングを含み得る。
【0087】
一部のそのような実施例では、第1のマーキングは、頂部に配置される場合があり、第2のマーキングは、接合部に配置され得る。
【0088】
他のそのような実施例では、第1のマーキングは、ブレード先端から約2.0mm~約4.0mmで配置される場合があり、第2のマーキングは、ブレード先端から約0.7mm~1.0mmで配置され得る。
【0089】
示されるように、別の形態における本発明は、流体を眼内へ送達する及び/又は眼から流体を除去するための眼科用外科器具を提供する。
【0090】
一部の実施例では、流体は、白内障摘出手術において使用される粘弾性材料であり得る。他の実施例では、流体は、緑内障の患者において眼の内部の眼圧を下げる、すなわちニードリングによる緑内障濾過胞再建術(glaucoma bleb needling procedure)のために眼から排出される、房水であり得る。さらに他の実施例では、流体は、眼から得られる体液の生検試料であり得る。
【0091】
器具は、任意の大きさ、形状、及び構造であり、例えばシリンジなどの供給源によって流体を送達又は除去するために眼において切開部を作成するために適するように適合される、任意の1種又は複数の材料から形成され得る。好ましくは、切開部は、眼の前房から流体を送達又は除去するための透明角膜切開部であり得る。
【0092】
一般的に、器具のシャフト及びブレード部は、一体的に形成され、典型的には鋭利な刃先を形成することが可能な任意の1種又は複数の材料から形成され得る。通常は、器具は、金属及び/又は1種若しくは複数のプラスチック材料、好ましくはステンレス鋼、チタン又はアルミニウムから形成され得る。
【0093】
中空シャフトは、ブレード部を流体の供給源へ接続し、その間に管路をもたらすために適した、任意の大きさ、形状、及び長さであり得る。
【0094】
一般的に、シャフトは、1組の反対側端部を含み、反対側端部間で縦に延びる。反対側端部には、供給源又はカニューレへ接続可能な基端、及びブレード部が延びる反対側の遠位端が含まれ得る。反対側端部は、好ましくは、遠位端を介して眼から流体を送達及び除去することを可能にするために、開放端であり得る。
【0095】
シャフトは、好ましくは、管状構造であり、実質的に円形の断面を有し得る。
【0096】
一部の実施例では、シャフトは、供給源とブレード部との間で直線方向に延び得る。他の実施例では、シャフトは、1つ又は複数の屈曲を含み得る。例えば、シャフトは、互いに対して角度がつけられる末端部及び基部を含み得る。例えば、末端部が、約120°~約150°の範囲にわたる角度、好ましくは約130°~約140°の範囲にわたる角度で、より好ましくは約135°の角度で基部に対して延び得ることが想定される。
【0097】
基端は、供給源とシャフトの遠位端との間の流体連通をもたらすため、及び外科処置中に不注意に各部の接続が断たれないことを確実にするために適した、任意の手法で供給源又はカニューレへ接続可能であってよい。例えば、基端は、供給源又はカニューレへ直接的又は間接的に接続可能であり得る。好ましくは、基端は着脱式で接続可能であり得る。
【0098】
一部の実施例では、シャフトの基端は、例えば、1つ若しくは複数の機械的締結具及び/又は1つ若しくは複数の化学的締結具、好ましくは後者などの、1つ又は複数の固定具によって供給源又はカニューレへ接続され得る。
【0099】
そのような実施例では、化学的締結具には、シャフトの基端又はその部分と供給源若しくはカニューレ又はその部分との間で延び得る、湿式接着剤、乾式接着剤、及び/又は両面接着テープが含まれ得る。
【0100】
一部の実施例では、シャフトの基端は、接続機構又は接続機構の部分によって供給源又はカニューレへ接続され得る。接続機構は、シャフトの基端と連結される第1の部分、及び第1の部分へ接続可能な、供給源又はカニューレと連結される第2の部分を含み得る。
【0101】
接続機構の各部は、それぞれ、例えば、ねじ式接続部、締りばめ接続部、又は差込式接続部を含む、共に接合する係合可能な雄型及び雌型部を含み得る。
【0102】
例えば、シャフトの基端と連結される接続機構の第1の部分は、供給源又はカニューレと連結される接続機構の第2の部分の雌型形状部に挿入される又はそれと接合されるように構成される、雄型形状部を含み得る。反対に、シャフトの基端と連結される接続機構の第1の部分は、供給源又はカニューレと連結される接続機構の第2の部分の雄型形状部を受容する又はそれと接合されるように構成される、雌型形状部を含み得る。
【0103】
一部の好ましい実施例では、シャフトの基端及び供給源又はカニューレは、ルアー・テーパ・システムによって接続可能であり得る。例えば、シャフトの基端は、カニューレ又は供給源と連結される雌型又は雄型Luer-Lok(商標)接続固定具のうちの一方とそれぞれ係合可能であるように構成される、雄型又は雌型Luer-Lok(商標)接続固定具を含み得る。例えば、1つのそのような実施例では、シャフトの基端は、シリンジと連結される雌型Luer-Lok(商標)接続部と係合可能な、雄型Luer-Lok(商標)接続具を含み得る。
【0104】
他の好ましい実施例では、シャフトの基端及び供給源又はカニューレは、摩擦ばめによって接続可能であり得る。例えば、1つのそのような実施例では、シャフトの基端は、カニューレ又はシリンジの先の端部を覆って摩擦ばめを行うように構成される、スリップ・チップ固定具を含み得る。
【0105】
シャフトは任意の適した長さであってよい。例えば、シャフトは、長さが約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、又はさらに約20mmであり得る。典型的には、シャフトは約6mm~約12mmの長さを有し得る。
【0106】
一部の実施例では、シャフトは、ブレード部が延びる遠位端又はその付近で部分的に先細る又は平らになる、好ましくは部分的に平らになり得る。例えば、一部のそのような実施例では、シャフトの遠位端は、楕円形又はさらに三角形の断面形状を有し得る。有利には、これにより、より流線型の形状がもたらされ、シャフトの遠位端を対応するブレード部によって形成される切開部に挿入することが容易になる。
【0107】
示されるように、ブレード部は、シャフトから中心軸線に沿ってブレード先端へ延び、自身上に刃先を有する少なくとも1つの側縁部を含み得る。好ましくは、ブレード部が中心軸線と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先がブレード先端へ向く又は少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、刃先は、中心軸線に対して第1の角度で方向づけられ、ブレード先端へ延びる。
【0108】
一般的に、ブレード部は、シャフトの遠位端から中心軸線に沿ってブレード先端へ、好ましくは尖ったブレード先端へ延び得る。
【0109】
典型的には、ブレード部はプレートの形態であり得る。該部分は、通常は、実質的に平ら又は平面状であってよいが、ブレード部の部分又は箇所が、シャフトの遠位端の周囲で少なくとも部分的に延びる得ることが想定される。
【0110】
ブレード部は、任意の適した大きさ、形状、及び構造であってよい。例えば、ブレード部は、実質的に三角形、ダイヤモンド、又は凧型の形状を有し得る。
【0111】
ブレード部は、内面及び反対側の外面を含む、2つ反対側表面を有し得る。反対側表面は、互いに実質的に平行に延び、反対側側縁、ブレード部がシャフトの遠位端から延びる基端縁、及びブレード先端を画成する反対側の遠位端縁を含む、対向している縁部によって相互に接続され得る。
【0112】
好ましい実施例では、ブレード部は、シャフトの遠位端又はその付近からブレード先端へ中心軸線の周りに延びる、1組の反対側側縁部を含み得る。側縁部は側縁に対応し得る。側縁部は、対称又は非対称であってよい。
【0113】
一部の実施例では、側縁部は、シャフトの遠位端からブレード先端へ直線方向に延び得る。他の実施例では、少なくとも1つの側縁部は、それがブレード部の基端と遠位端との間で延びるにつれて、それぞれ離れて及び中心軸線に向かって少なくとも部分的に先が広がる及び先細り得る。ここでも、側縁部は、直線若しくは曲線方向に、又はその組合せで、先が広がる及び先細り得る。
【0114】
典型的には、基端向き側縁部は、ブレード部を引き戻すときに切開部に変更を加えないように、すなわち、切開部を拡大しない及び表面を切らないように、丸められた又は刃のない縁を有する。
【0115】
一部の実施例では、単一の刃先は、側縁部のうちの1つの少なくとも1つの部分、典型的には遠位端向き側縁部上に画成され得る。他の実施例では、刃先は、各側縁部の少なくとも1つの部分、ここでも典型的には遠位端向き側縁部上に画成され得る。
【0116】
一部の実施例では、ブレード部は、基端と遠位端との間で直線的に延びる第1の側縁部、並びに基端又はその付近で外へ先が広がって、基端向き側縁部、ブレード部の最も広い部分又は頂部、及び好ましくは直線方向に、ブレード先端に向かって緩やかに先細る遠位端向き側縁部を画成する、第2の側縁部を含み得る。そのような実施例における刃先は、好ましくは、遠位端向き側縁部上に画成され得る。
【0117】
他の実施例では、ブレード部は、それぞれが基端又はその付近で外へ中心軸線から離れて先が広がって、基端向き側縁部、ブレード部の最も広い部分又は頂部、及び好ましくは直線方向に、ブレード先端へ中心軸線に向かって少なくとも部分的に緩やかに先細る又は収斂する遠位端向き側縁部を画成する、1組の反対側側縁部を含み得る。そのような実施例では、刃先は、好ましくは、両方の遠位端向き側縁部上に画成され得る。
【0118】
一部の実施例では、好ましくは少なくとも1つの前記基端向き側縁部がシャフトの遠位端と重なるように、シャフトの遠位端及びブレード部の基端は、少なくとも部分的に重なり合ってよい。有利には、これにより、ブレード部が中心軸線と平行な方向に眼内へ進むときに、シャフトの遠位端を容易に切開部に挿入することが可能になる。
【0119】
他の実施例では、ブレード部の基端は、シャフトの遠位端の周囲で少なくとも部分的に延び得る。有利には、これによっても、ブレード部が中心軸線と平行な方向に眼内へ進むときに、シャフトの遠位端を容易に切開部に挿入することが可能になる。
【0120】
示されるように、好ましくは、ブレード部が中心軸線と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先がブレード先端へ向く又は少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、ブレード部の刃先は、中心軸線に対して一定の角度で方向づけられる。
【0121】
角度は、好ましくは、鋭角であり得る。例えば、角度は、約5°、約6°、約7°、約8°、約9°、約10°、約11°、約12°、約13°、約14°、約15°、約16°、約17°、約18°、約19°、又はさらに約20°、好ましくは約12.5°であり得る。
【0122】
同様に、ブレード部は、一部の実施例において反対側縁部又は頂部間の最も広い点で測定される場合に、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、1.9mm、又はさらに約2.0mm、典型的には約0.5mm~約1.0mmの範囲にわたる、好ましくは約0.6mmの最大幅を有し得る。
【0123】
本発明の第5の態様によると、白内障手術中に一次切開部及びサイド・ポート切開部を形成する方法であって、
第1又は第2の態様の多目的眼科用ブレードを提供すること、
第1及び第2のブレード部間の接合部まで眼の前房内へ第1の位置でブレードを少なくとも部分的に進めることによって、眼においてサイド・ポート切開部を形成すること、並びに
第1のブレード部の反対側第1の刃先の端部まで眼の前房内へ第2の位置でブレードを少なくとも部分的に進めることによって、眼において一次切開部を形成すること
を含む方法が提供される。
【0124】
方法は、前述の多目的ブレードの1つ又は複数の特徴又は特性を含み得る。
【0125】
好ましくは、第1及び第2の位置は、眼の強角膜接合部の周りに互いに対して約60~90°で配置され得る。
【0126】
好ましくは、一次切開部を形成することは、ブレードの頂部まで眼の前房内へブレードを進めて、典型的には2.2mm(幅)×4mm(長さ)の切開部を作ることを含み得る。
【0127】
一部の実施例では、一次切開部を形成することは、サイド・ポート切開部を形成する前に実施され得る。
【0128】
本発明の第6の態様によると、流体を眼内へ送達する又は眼から流体を除去する方法であって、
第3又は第4の態様の眼科用外科器具を提供すること、及び
シャフトの外端が流体を送達又は除去するための切開部と流体連通するまで、眼内へブレード部を少なくとも部分的に進めることによって、眼においてサイド・ポート切開部を形成すること
を含む方法が提供される。
【0129】
方法は、前述の眼科用外科器具の1つ又は複数の特徴又は特性を含み得る。
【0130】
一部の実施例では、形成することは、ブレードが眼の前房内へ完全に挿入されるまで、眼内へブレード部を進めて、好ましくは透明角膜切開部を形成することを含み得る。
【0131】
他の実施例では、形成することは、好ましくは眼の透明角膜部を通して、眼内へ頂部までブレードを進めることを含み得る。
【0132】
一部の実施例では、方法は、眼科用外科器具と動作可能に連結されるシリンジによって、流体を送達又は除去することをさらに含み得る。他の実施例では、流体を送達又は除去することは、眼科用外科器具と動作可能に連結されるポンプによるものであり得る。
【0133】
本明細書に記載される特徴のいずれもが、本発明の範囲内で、本明細書に記載される他の特徴のうちの任意の1つ又は複数との任意の組合せで、組み合わせられ得る。
【0134】
本明細書におけるいずれの先行技術への参照も、先行技術が技術常識の一部を形成することの承認、又は何らかの形での提示とはみなされず、またみなされるべきではない。
【0135】
本発明の好ましい特徴、実施例、及び変形は、当業者が本発明を実施するための十分な情報を提供する、以下の発明を実施するための形態から明らかになり得る。発明を実施するための形態は、決して、先行する発明の概要の範囲を限定するとみなされるべきではない。発明を実施するための形態は、以下のいくつかの図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1】本発明の実施例による多目的眼科用ブレードの上側からの斜視図である。
図2図1に示される多目的眼科用ブレードの側面図である。
図3】本発明の別の実施例による多目的眼科用ブレードの上側からの斜視図である。
図4】本発明の別の実施例による多目的眼科用ブレードの平面図である。
図5】本発明の別の実施例による多目的眼科用ブレードの平面図である。
図6】本発明の別の実施例による多目的眼科用ブレードの平面図である。
図7】本発明の実施例による外科器具の上側からの斜視図である。
図8】カニューレと動作可能に連結される、図7に示される外科器具の別の上側からの斜視図である。
図9】本発明の別の実施例による外科器具の上側からの斜視図である。
図10】カニューレと動作可能に連結される、図9に示される外科器具の別の上側からの斜視図である。
図11】本発明のさらなる実施例による外科器具の上側からの斜視図である。
図12】カニューレと動作可能に連結される、図11に示される外科器具の別の上側からの斜視図である。
図13】本発明のさらに別の実施例による外科器具の上側からの斜視図である。
図14】カニューレと動作可能に連結される、図13に示される外科器具の別の上側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0137】
図1図6は、白内障摘出手術において使用するための、本発明による多目的眼科用ブレード(100)の実施例を示す。
【0138】
図7図14は、本発明の異なる実施例による眼科用外科器具(300)を示す。
【0139】
図1及び図2を参照すると、これらの図は、本発明の第1の実施例による多目的眼科用ブレード(100)を示す。多目的眼科用ブレード(100)は、白内障摘出手術中に一次切開部及びサイド・ポート切開部をそれぞれ形成するための、第1のブレード部(130)及び第2のブレード部(140)を有する。
【0140】
ブレード(100)は、ステンレス鋼から一体的に形成される。
【0141】
ブレード(100)は、ハンドル部(900、図1にのみ示される)へ接続可能なシャフト(110)、並びに第1のブレード部(130)及び第2のブレード部(140)を画成するブレード本体(120)を含む。
【0142】
シャフト(110)は、ハンドル部(900)へ接続可能な基端(112)並びにブレード本体(120)及びブレード部(130、140)が延びる反対側の遠位端(114)を含む、1組の反対側端部間で直線方向に縦に延びる。
【0143】
シャフト(110)は、中実構造であり、遠位端(114)又はその付近で先細る又は平らになる実質的に円形の断面を有する。
【0144】
ハンドル部(900、図1にのみ示される)は、眼科医の手によって保持及び操作されるために適した細長い形状を有する。ハンドル部(900、図1にのみ示される)は、1種又は複数のプラスチック材料から形成され、シャフト(110)の基端(112)を覆ってオーバーモールドされる。
【0145】
シャフト(110)は、ハンドル部(900)とブレード本体(120)との間で約9mmの長さで延びる。
【0146】
示されるように、シャフト(110)は、ブレード本体(120)がシャフト(110)に対して約135°の角度(α)で延びる、遠位端(114)又はその付近で先細る又は平らになる。
【0147】
図1を参照すると、ブレード本体(120)は、シャフトの遠位端(114)から中心軸線(A)に沿って尖ったブレード先端(122)へ延びる。本体(120)は、実質的にダイヤモンド又は凧の形状を有するプレートの形態である。
【0148】
本体(120)は、手術中に眼の外側に向く上面(124)及び反対側の下面(126)を含む、2つの反対側表面を有する。反対側表面(124、126)は、互いに実質的に平行に延び、反対側側縁、本体(120)がシャフト(110)から延びる基端縁、及び第2のブレード部(140)のブレード先端(122)を画成する反対側の遠位端縁を含む、対向している縁部によって相互に接続される。
【0149】
本体(120)は、本体の基端又はその付近の第1のブレード部(130)、本体(120)の遠位端又はその付近の第2のブレード部(140)、並びに第1及び第2のブレード部(130、140)間の接合部(150)を画成する。
【0150】
第1のブレード部(130)及び第2のブレード部(140)は、シャフト(110)から中心軸線(A)に沿って延びる。第1のブレード部(130)は、中心軸線(A)の周りで対称に延びる、1組の反対側側縁部(132)を含む。
【0151】
側縁部(132)は、それらが基端から沿って接合部(150)に向かって少なくとも部分的に延びるにつれて、外側に中心軸線(A)から離れて緩やかに先が広がって、ブレードの最も広い部分又は頂部(B:B)を画成する。側縁部(132)は、その後、それらが頂部(B:B)から接合部(150)に向かって延びるにつれて、中心軸線(A)に向かって少なくとも部分的に緩やかに先細る。
【0152】
頂部(B:B)は、基端と頂部(B:B)との間で延びる基端向き側縁部(134)、及び頂部(B:B)と接合部(150)との間で延びる遠位端向き側縁部(136)を画成する。
【0153】
第1の組の刃先(160)は、遠位端向き側縁部(136)上に画成される。
【0154】
基端向き側縁部(134)は、ブレード部(100)を引き戻すときに切開部に変更を加えないように、すなわち、切開部を拡大しない及び表面を切らないように、丸められた又は刃のない縁を有する。
【0155】
第2のブレード部(140)は、第1のブレード部(130)から中心軸線(A)に沿ってブレード先端(122)へ前方へ遠位に延びる。第1のブレード部(130)と同様に、第2のブレード部(140)は、中心軸線(A)の周りで対称に延び、ブレード先端(122)へ収斂する、1組の反対側側縁部(142)を含む。第2の組の刃先(170)は、側縁部(142)上に画成される。
【0156】
第1の組の刃先(160)は、第2の組の刃先(170)に連続して延びるが、但し、各組(160、170)は、中心軸線(A)に対して異なる角度で方向づけられる。
【0157】
ブレード(100)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先がブレード先端(122)へ少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、各組の刃先(160、170)は、中心軸線(A)に対して一定のブレード角度で方向づけられる。
【0158】
第1の組の刃先(160)は、それぞれが中心軸線(A)に対して約22°のブレード角度(β)を有し、ブレード角度(β)は、第2の組の刃先(170)が中心軸線(A)に対してそれぞれ方向づけられる、12.5°のブレード角度(γ)より大きい。
【0159】
第1の組の刃先(160)は、頂部(B:B)又はその付近で測定される場合に、反対側刃先間で延びる約2.4mmの最大幅を有する。
【0160】
対照的に、第2の組の反対側刃先(170)は、接合部(150)又はその付近で測定される場合に、反対側刃先(170)間で延びる約0.6mmの最大幅を有する。
【0161】
図1及び図2を参照すると、使用において、眼科医は、眼の第1の位置で角膜内へ接合部(150)までブレード(100)を進めることによって、サイド・ポート切開部を形成することができる。
【0162】
眼科医は、その後、中心軸線(A)と実質的に平行な方向に眼の第2の位置で角膜内へ頂部(B:B)までブレード(100)を進めることによって、同じブレード(100)を用いて一次切開部を形成することができる。
【0163】
図3は、本発明の第2の実施例による多目的眼科用ブレード(100)を示す。便宜上、第1の実施例の特徴と同様の又は対応する特徴は、ここでも同じ符号で表される。
【0164】
多目的眼科用ブレード(100)は、一次切開部及びサイド・ポート切開部をそれぞれ形成するための、第1のブレード部(130)及び第2のブレード部(140)を有する。
【0165】
ブレード(100)は、ハンドル部(900)へ接続可能なシャフト(110)、並びに第1のブレード部(130)及び第2のブレード部(140)を画成するブレード本体(120)を含む。
【0166】
シャフト(110)及びハンドル部(900)は、第1の実施例に関して上記と同じである。
【0167】
ブレード本体(120)は、シャフトの遠位端(114)から中心軸線(A)に沿って尖ったブレード先端(122)へ延びる。本体(120)はプレートの形態である。
【0168】
本体(120)は、手術中に眼の外側に向く上面(124)及び反対側の下面(126)を含む、2つの反対側表面を有する。反対側表面(124、126)は、互いに実質的に平行に延び、反対側側縁、本体(120)がシャフト(110)から延びる基端縁、及び第2のブレード部(140)のブレード先端(122)を画成する反対側の遠位端縁を含む、対向している縁部によって相互に接続される。
【0169】
本体(120)は、本体の基端又はその付近の第1のブレード部(130)、本体(120)の遠位端又はその付近の第2のブレード部(140)、並びに第1及び第2のブレード部(130、140)間の接合部(150)を画成する。
【0170】
第1のブレード部(130)及び第2のブレード部(140)は、シャフト(110)から中心軸線(A)に沿って延びる。第1のブレード部(130)は、中心軸線(A)の周りで対称に延びる、1組の反対側側縁部(132)を含む。
【0171】
側縁部(132)は、それらが基端から沿って接合部(150)に向かって少なくとも部分的に延びるにつれて、外側に中心軸線(A)から離れて緩やかに先が広がって、ブレードの最も広い部分又は頂部(B:B)を画成する。側縁部(132)は、その後、それらが頂部(B:B)から接合部(150)に向かって延びるにつれて、中心軸線(A)に向かって少なくとも部分的に緩やかに先細る。
【0172】
頂部(B:B)は、基端と頂部(B:B)との間で延びる基端向き側縁部(134)、及び頂部(B:B)と接合部(150)との間で延びる遠位端向き側縁部(136)を画成する。
【0173】
第1の組の刃先(160)は、遠位端向き側縁部(136)上に画成される。
【0174】
基端向き側縁部(134)は、ブレード部(100)を引き戻すときに切開部に変更を加えないように、すなわち、切開部を拡大しない及び表面を切らないように、丸められた又は刃のない縁を有する。
【0175】
第2のブレード部(140)は、第1のブレード部(130)から中心軸線(A)に沿ってブレード先端(122)へ前方へ遠位に延びる。第1のブレード部(130)と同様に、第2のブレード部(140)は、中心軸線(A)の周りで対称に延び、ブレード先端(122)へ収斂する、1組の反対側側縁部(142)を含む。第2の組の刃先(170)は、側縁部(142)上に画成される。
【0176】
第1の組の刃先(160)は、第2の組の刃先(170)に連続して延びるが、但し、各組(160、170)は、中心軸線(A)に対して異なる角度で方向づけられる。
【0177】
第1の組の刃先(160)は、それぞれが中心軸線(A)に対して約22°のブレード角度(β)を有し、ブレード角度(β)は、第2の組の刃先(170)の末端部が中心軸線(A)に対してそれぞれ方向づけられ、ブレード先端(122)へ収斂する、12.5°のブレード角度(γ)より大きい。
【0178】
第1の組の刃先(160)は、頂部(B:B)又はその付近で測定される場合に、反対側刃先間で延びる約2.4mmの最大幅を有する。
【0179】
対照的に、第2の組の反対側刃先(170)は、接合部(150)又はその付近で測定される場合に、反対側刃先(170)間で延びる約0.6mmの最大幅を有する。
【0180】
さらに、第2の組の反対側刃先(170)は、ブレード先端(122)へ収斂する末端部、及び反対側刃先(170)が末端部から接合部(150)へ互いに実質的に平行に延びる、基部を含む。
【0181】
図4は、本発明の第3の実施例による多目的眼科用ブレード(100)を示す。便宜上、第1の実施例の特徴と同様の又は対応する特徴は、ここでも同じ符号で表される。
【0182】
多目的眼科用ブレード(100)は、白内障摘出手術中に一次切開部及びサイド・ポート切開部をそれぞれ形成するための、第1のブレード部(130)及び第2のブレード部(140)を有する。
【0183】
第1のブレード部(130)は、中心軸線(A)の周りで対称に延びる、1組の反対側側縁部(132)を含む。
【0184】
側縁部(132)は、それらが基端から沿って接合部(150)に向かって少なくとも部分的に延びるにつれて、外側に中心軸線(A)から離れて緩やかに先が広がって、ブレードの最も広い部分又は頂部(B:B)を画成する。側縁部(132)は、その後、それらが頂部(B:B)から接合部(150)に向かって延びるにつれて、中心軸線(A)に向かって少なくとも部分的に緩やかに先細る。
【0185】
頂部(B:B)は、基端と頂部(B:B)との間で延びる基端向き側縁部(134)、及び頂部(B:B)と接合部(150)との間で延びる遠位端向き側縁部(136)を画成する。
【0186】
第1の組の刃先(160)は、遠位端向き側縁部(136)上に画成される。
【0187】
基端向き側縁部(134)は、ブレード(100)を引き戻すときに切開部に変更を加えないように、すなわち、切開部を拡大しない及び表面を切らないように、丸められた又は刃のない縁を有する。
【0188】
第2のブレード部(140)は、第1のブレード部(130)から中心軸線(A)に沿ってブレード先端(122)へ前方へ遠位に延びる。第2のブレード部(140)は、1組の反対側平行側縁部(141)、及び平行側縁部(141)から前方へ遠位に延びる1組の収斂側縁部(142)を含む。収斂側縁部(142)は、ブレード先端(122)へ収斂する。第2の組の刃先(170)は、収斂側縁部(142)上に画成される。
【0189】
第1の組の刃先(160)及び第2の組の刃先(170)は、中心軸線(A)に対して異なる角度で方向づけられる。
【0190】
第1の組の刃先(160)は、それぞれが中心軸線(A)に対して約33°のブレード角度(β)を有する。第2の組の刃先(170)は、それぞれが中心軸線(A)に対して約60°のブレード角度(γ)を有する。
【0191】
第1の組の刃先(160)は、頂部(B:B)又はその付近で測定される場合に、反対側刃先間で延びる約2.2mmの最大幅を有する。
【0192】
対照的に、第2の組の反対側刃先(170)は、接合部(150)若しくはその付近、又は反対側平行側縁部(141)間で測定される場合に、反対側刃先(170)間で延びる約1.0mmの最大幅を有する。
【0193】
第2のブレード部(140)は、ブレード先端(122)と接合部(150)との間で測定される場合に、約1.0mm又は第2のブレード部(140)の最大幅の1.0倍の長さを有する。
【0194】
図5は、本発明の第4の実施例による多目的眼科用ブレード(100)を示す。便宜上、第1の実施例の特徴と同様の又は対応する特徴は、ここでも同じ符号で表される。
【0195】
第4の実施例によるブレード(100)は、第3の実施例で示されたブレード(100)と実質的に同じであるが、但し、第2のブレード部(140)は、中心軸線(A)に対して約42°のブレード角度(γ)を有する。
【0196】
図6は、本発明の第5の実施例による多目的眼科用ブレード(100)を示す。便宜上、第1の実施例の特徴と同様の又は対応する特徴は、ここでも同じ符号で表される。
【0197】
第5の実施例によるブレード(100)は、第3及び第4の実施例で示されたブレード(100)と実質的に同じであるが、但し、第2のブレード部(140)は、中心軸線(A)に対して約33°のブレード角度(γ)を有する。
【0198】
図7は、中心軸線(A)と実質的に平行な方向に粘弾性流体を眼内へ送達する又は眼から粘弾性流体を除去するための、本発明の第1の実施例による外科器具(300)を示す。
【0199】
器具(300)は、粘弾性流体の供給源と流体連通するシリンジ又はカニューレへ接続可能な中空シャフト(310)、及び粘弾性流体を送達又は除去するために、眼において強膜角膜トンネル又は側部切開部を作成するために適合されるブレード部(320)を含む。
【0200】
シャフト(310)及びブレード部(320)は、ステンレス鋼から一体的に形成される。
【0201】
中空シャフト(310)は、ブレード部(320)を粘弾性流体の供給源へ接続し、その間に管路をもたらすように、大きさ及び形状が定められる。
【0202】
シャフト(310)は、1組の反対側端部を含み、その間で縦に延びる。反対側端部には、供給源又はカニューレへ接続可能な基端(312)、及びブレード部(320)が延びる反対側の遠位端(314)が含まれる。反対側端部(312、314)は、遠位端(314)を介して眼から粘弾性流体を送達及び除去することを可能にするために、開放端である。
【0203】
シャフト(310)は、管状構造であり、実質的に円形の断面を有する。
【0204】
シャフト(310)は、約6mm~約12mmの長さ、及び約0.6~0.8mmの直径を有する。
【0205】
示されるように、ブレード部(320)は、シャフト(310)から中心軸線(A)に沿ってブレード先端(322)へ延び、一方の側縁部(324A)上に少なくとも部分的に画成される刃先(360)を有する、1組の非対称な側縁部(324)を含む。
【0206】
ブレード部(320)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先(360)がブレード先端(322)へ少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、刃先(360)は、中心軸線(A)に対して約12.5°のブレード角度(α)で方向づけられ、ブレード先端(322)へ延びる。
【0207】
ブレード部(320)は、実質的に三角形、ダイヤモンド、又は凧型の形状を有するプレートの形態である。
【0208】
ブレード部(320)は、内面(324)及び反対側の外面(326)を含む、2つ反対側表面を有する。反対側表面(324、326)は、互いに実質的に平行に延び、反対側側縁、ブレード部(320)がシャフト(310)の遠位端(314)から延びる基端縁、及びブレード先端(322)を画成する反対側の遠位端縁を含む、対向している縁部によって相互に接続される。
【0209】
示される実施例では、刃先(360)が画成される側縁部(324A)は、基端又はその付近で外へ先が広がって、基端向き側縁部(332)、ブレード部(320)の最も広い部分又は頂部(B:B)、及び直線方向にブレード先端(322)に向かって緩やかに先細る遠位端向き側縁部(334)を画成する。刃先(360)は、遠位端向き側縁部(334)上に画成される。
【0210】
シャフト(310)の遠位端(314)及び基端向き側縁部は、部分的に重なり合う。有利には、これにより、ブレード部(320)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、シャフト(310)の遠位端(314)を容易に切開部に挿入することが可能になる。
【0211】
ブレード部(320)は、頂部(B:B)で測定される場合に、約0.8mmの最大幅を有し得る。
【0212】
基端向き側縁部(332)は、ブレード部(320)を引き戻すときに切開部に変更を加えないように、すなわち、切開部を拡大しない及び表面を切らないように、丸められた又は刃のない縁を有する。
【0213】
示される実施例では、シャフト(310)の基端(312)は、摩擦ばめによってカニューレへ接続可能であり得る。
【0214】
図8を参照すると、この実施例では、図7に示される器具(300)が、例えば粘弾性流体を含有するシリンジへ接続するための雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)を有する、カニューレ(410)の形態で示される。
【0215】
雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)は、シャフト(310)の基端(312)を覆ってオーバーモールドされる。さらに、シャフト(310)は、約135°の角度で基部に対して角度がつけられる末端部を含む。
【0216】
図9は、粘弾性流体を眼内へ送達する又は眼から粘弾性流体を除去するための、本発明の第2の実施例による外科器具(300)を示す。便宜上、第1の実施例の特徴と同様の又は対応する特徴は、ここでも同じ符号で表される。
【0217】
この実施例では、外科器具(300)は、前述のシャフト(310)を含む。
【0218】
しかしながら、第1の実施例とは対照的に、シャフト(310)から中心軸線(A)に沿ってブレード先端(322)へ延びるブレード部(320)は、両方の側縁部(324)上に少なくとも部分的に画成される刃先(360)を有する、1組の対称な側縁部(324)を含む。
【0219】
この実施例では、両方の側縁部(324)は、基端又はその付近で外へ先が広がって、基端向き側縁部(332)、ブレード部(320)の最も広い部分又は頂部(B:B)、及び直線方向にブレード先端(322)に向かって緩やかに先細る遠位端向き側縁部(334)を画成する。刃先(360)は、遠位端向き側縁部(334)上に画成される。
【0220】
ブレード部(320)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先(360)がブレード先端(322)へ少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、刃先(360)は、中心軸線(A)に対して約12.5°のブレード角度(α)でそれぞれ方向づけられ、ブレード先端(322)へ延びる。
【0221】
ブレード部(320)は、頂部(B:B)で測定される場合に、約0.8mmの最大幅を有する。
【0222】
基端向き側縁部(322)は、ブレード部(320)を引き戻すときに切開部に変更を加えないように、すなわち、切開部を拡大しない及び表面を切らないように、それぞれが丸められた又は刃のない縁を有する。
【0223】
示される実施例では、シャフト(310)の基端(312)は、摩擦ばめによってカニューレへ接続可能である。
【0224】
図7を参照すると、この実施例では、図6に示される器具(300)が、例えば粘弾性流体を含有するシリンジへ接続するための雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)を有する、カニューレ(610)の形態で示される。
【0225】
雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)は、シャフト(310)の基端(312)を覆ってオーバーモールドされる。さらに、シャフト(310)は、約135°の角度で基部に対して角度がつけられる末端部を含む。
【0226】
図11は、粘弾性流体を眼内へ送達する又は眼から粘弾性流体を除去するための、本発明の第3の実施例による外科器具(300)を示す。便宜上、第1又は第2の実施例の特徴と同様の又は対応する特徴は、ここでも同じ符号で表される。
【0227】
この実施例では、外科器具(300)は、前述のシャフト(310)を含む。
【0228】
ブレード部(320)は、シャフト(310)から中心軸線(A)に沿ってブレード先端(322)へ延び、両方の側縁部(324)上に画成される刃先(360)を有する、1組の対称な側縁部(324)を含む。
【0229】
ブレード部(320)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先(360)がブレード先端(322)へ少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、刃先(360)は、中心軸線(A)に対して約12.5°のブレード角度(α)でそれぞれ方向づけられ、ブレード先端(322)へ延びる。
【0230】
第1及び第2の実施例と対照的に、ブレード部(320)の基端は、シャフト(310)の遠位端(312)の周囲で少なくとも部分的に延びる。有利には、これにより、ブレード部(320)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、シャフト(310)の遠位端(312)を容易に切開部に挿入することが可能になる。
【0231】
さらに、この実施例では、両方の側縁部(324)は、基端から直線方向にブレード先端(322)に向かって緩やかに先細る又は収斂する。したがって、基端は、ブレード部(320)の最も広い部分又は頂部(B:B)であり、約0.6mmの最大幅を有する。
【0232】
示される実施例では、シャフト(310)の基端(312)は、摩擦ばめによってカニューレへ接続可能である。
【0233】
図12を参照すると、この実施例では、図11に示される器具(300)が、例えば粘弾性流体を含有するシリンジへ接続するための雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)を有する、カニューレ(810)の形態で示される。
【0234】
雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)は、シャフト(310)の基端(312)を覆ってオーバーモールドされる。さらに、シャフト(310)は、約135°の角度で基部に対して角度がつけられる末端部を含む。
【0235】
図13は、粘弾性流体を眼内へ送達する又は眼から粘弾性流体を除去するための、本発明の第4の実施例による外科器具(300)を示す。便宜上、第1又は第2の実施例の特徴と同様の又は対応する特徴は、ここでも同じ符号で表される。
【0236】
この実施例では、外科器具(300)は、前述のシャフト(310)を含む。
【0237】
ブレード部(320)は、シャフト(310)から中心軸線(A)に沿ってブレード先端(322)へ延び、一方の側縁部(324A)上に画成される刃先(360)を有する、1組の対称な側縁部(324)を含む。
【0238】
ブレード部(320)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、刃先(360)がブレード先端(322)へ少なくとも部分的に向いて、切開部の形成を容易にするように、刃先(360)は、中心軸線(A)に対して約12.5°のブレード角度(α)で方向づけられ、ブレード先端(322)へ延びる。
【0239】
第3の実施例と同様に、ブレード部(320)の基端は、シャフト(310)の遠位端(312)の周囲で少なくとも部分的に延びる。有利には、これにより、ブレード部(320)が中心軸線(A)と平行な方向に眼内へ進むときに、シャフト(310)の遠位端(312)を容易に切開部に挿入することが可能になる。
【0240】
さらに、この実施例では、両方の側縁部(324)は、基端から直線方向にブレード先端(322)に向かって緩やかに先細る又は収斂する。したがって、基端は、ブレード部(320)の最も広い部分又は頂部(B:B)であり、約0.6mmの最大幅を有する。
【0241】
示される実施例では、シャフト(310)の基端(312)は、摩擦ばめによってカニューレへ接続可能である。
【0242】
図14を参照すると、この実施例では、図13に示される器具(300)が、例えば粘弾性流体を含有するシリンジへ接続するための雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)を有する、カニューレ(1010)の形態で示される。
【0243】
雄型Luer-Lok(商標)接続固定具(800)は、シャフト(310)の基端(312)を覆ってオーバーモールドされる。さらに、シャフト(310)は、約135°の角度で基部に対して角度がつけられる末端部を含む。
【0244】
本明細書及び請求項(存在する場合)において、語「有する(comprising)」、並びに「有する(comprises)」及び「有する(comprise)」を含むその派生形は、述べられた対象のそれぞれを含むが、1つ又は複数のさらなる対象を含むことを除外しない。
【0245】
本明細書を通して「一実施例」又は「実施例」と言及する場合、実施例と関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な場で、語句「一実施例において」又は「実施例において」が見られるが、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の組合せで任意の適した手法で組み合わせられ得る。
【0246】
法令に則り、本発明は、構造的又は方法的特徴に対して幾分か特有の語法で説明された。本明細書に記載される手段は、本発明を実施する好ましい形態から構成されるので、本発明が、示された又は説明された特定の特徴に限定されないことを理解されたい。本発明は、したがって、当業者によって適切に解釈される添付の請求項(存在する場合)の適切な範囲内で、その形態又は変更のいずれにおいても特許請求される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】