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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026485
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】電池セル及びそれを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20250214BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20250214BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20250214BHJP
   H01M 50/197 20210101ALI20250214BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20250214BHJP
   H01M 50/195 20210101ALI20250214BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20250214BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/178
H01M50/186
H01M50/197
H01M50/198
H01M50/195
H01M50/211
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024207728
(22)【出願日】2024-11-28
(62)【分割の表示】P 2022558536の分割
【原出願日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0147669
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0142441
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フンヒ・リム
(72)【発明者】
【氏名】サンフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンキョン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ミンヒョン・カン
(57)【要約】
【課題】電池セルの内部に発生したガスの外部排出量が向上した電池セル及びそれを含む電池モジュールを提供する。
【解決手段】本発明の一実施例による電池セルは、電極組立体が収納部に装着され、外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部を含む電池ケース;電極組立体に含まれた電極タブと電気的に連結され、シーリング部を経由して、電池ケースの外側方向に突出している電極リード;及び電極リードの上部及び下部のうち少なくとも一方において、シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルム;を含み、リードフィルムは、電池ケースの内部から電池ケースの外側方向に延びたガス排出部が形成されており、ガス排出部は、電池ケースの内部に向けて開放されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が収納部に装着され、外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に連結され、前記シーリング部を経由して、前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部のうち少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、
前記リードフィルムは、前記電池ケースの内部から前記電池ケースの外側方向に延びたガス排出部が形成されており、
前記ガス排出部は、前記リードフィルムから形成されたものである、電池セル。
【請求項2】
前記ガス排出部は、前記電池ケースの内部に向けて開放されており、前記電極リードの突出方向を基準に、前記ガス排出部の前面及び両側面は閉鎖されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記ガス排出部の表面のうち少なくとも一部を覆う内部層をさらに含む、請求項1または2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記内部層を成す素材は、前記リードフィルムを成す素材に比べて、融点が高く、電解液に反応しない、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記内部層は、前記ガス排出部にコーティングされているか、または、別途のフィルムで製造されて前記ガス排出部に付着されている、請求項3または4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記内部層は、水(HO)と反応するゲッター(getter)物質を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記電池ケースの内部で発生したガスが前記ガス排出部の内部に流入するとき、前記ガス排出部の内面が互いに離隔する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記ガス排出部は、前記電極リードよりも広い幅を有する、請求項6に記載の電池セル。
【請求項9】
前記リードフィルムは、第1リードフィルム及び第2リードフィルムを含み、
前記第1リードフィルムは、前記電極リードの上部に位置し、
前記第2リードフィルムは、前記電極リードの下部に位置し、
前記ガス排出部が前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムにそれぞれ形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記電極リードは、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとの間に位置し、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとは、互いに連結されている、請求項9に記載の電池セル。
【請求項11】
前記リードフィルム内に形成されている前記ガス排出部の端部は、前記電池ケースの外側面よりも外側に位置している、請求項1から10のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記電池ケースの内部に向けて開放されている前記ガス排出部の端部は、前記電池ケースの内側面よりも内側に位置している、請求項1から11のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項13】
前記リードフィルムは、前記シーリング部と共に熱融着されており、前記ガス排出部は、熱融着されていない状態で保存されて空欄に保持されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の電池セルを含む、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本願は、2020年11月06日付の大韓民国特許出願第10-2020-0147669号及び2021年10月25日付の大韓民国特許出願第10-2021-0142441号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池セル及びそれを含む電池モジュールに係り、より具体的には、電池セルの内部に発生したガスの外部排出量が向上した電池セル及びそれを含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要とが増加するにつれて、エネルギー源として二次電池の需要が急増している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノート型パソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけではなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を有している。
【0004】
このような二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒状または角形の金属缶に内蔵されている円筒状電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池と、に分類される。ここで、電池ケースに内蔵される電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜構造からなって、充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長いシート型の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き付けたゼリーロール型と、多数の正極と負極とを分離膜に介在した状態で順次に積層したスタック型と、に分類される。
【0005】
そのうちでも、特に、スタック型またはスタック/フォールディング型の電極組立体をアルミニウムラミネートシートのパウチ型電池ケースに内蔵した構造のパウチ型電池が、低い製造コスト、小さな重量、容易な変形形態などを理由に使用量が漸次的に増加している。
【0006】
図1は、従来の電池セルの上面図である。図2は、図1におけるa-a’軸に沿って切った断面図である。図1及び図2を参照すれば、従来の電池セル10の電極組立体11が収納部21に装着され、外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部25を含む電池ケース20を含む。ここで、シーリング部25を経由して電池ケース20の外側方向に突出している電極リード30を含み、電極リード30の上下部とシーリング部25との間には、リードフィルム40が位置する。
【0007】
しかし、最近、電池セルのエネルギー密度が増加するにつれて、電池セルの内部で発生するガス量も増加するという問題がある。従来の電池セル10の場合、電池セルの内部から発生したガスが排出される部品が含まれておらず、電池セルは、ガス発生によってベンティング現象が発生しうる。同様に、ベンティング現象によって損傷した電池セルは、水分が内部に浸入してしまい、副反応が発生し、電池の性能低下及び追加的なガス発生も招かれる問題がある。これにより、電池セルの内部から発生したガスの外部排出量が向上した電池セルを開発する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、電池セルの内部に発生したガスの外部排出量が向上した電池セル及びそれを含む電池モジュールを提供するところにある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題が、前述した課題に制限されるものではなく、言及されていない課題は、本明細書及び添付図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例による電池セルは、電極組立体が収納部に装着され、外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部を含む電池ケース;前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に連結され、前記シーリング部を経由して、前記電池ケースの外側方向に突出している電極リード;及び前記電極リードの上部及び下部のうち少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルム;を含み、前記リードフィルムは、前記電池ケースの内部から前記電池ケースの外側方向に延びたガス排出部が形成されており、前記ガス排出部は、前記電池ケースの内部に向けて開放されている。
【0011】
前記電極リードの突出方向を基準に、前記ガス排出部の前面及び両側面は閉鎖されている。
【0012】
前記ガス排出部の表面のうち少なくとも一部を覆う内部層をさらに含みうる。
【0013】
前記内部層を成す素材は、前記リードフィルムを成す素材に比べて、融点が高く、電解液に反応しない。
【0014】
前記リードフィルムは、ポリオレフィン系の物質を含み、前記内部層は、ポリオレフィン系、フッ素系、及び多孔性セラミック系のうち少なくとも1つの物質を含みうる。
【0015】
前記リードフィルムは、前記電極リードよりも広い幅を有しうる。
【0016】
前記リードフィルムは、前記シーリング部の長さよりも大きな長さを有し、前記電極リードの長さよりも小さな長さを有しうる。
【0017】
前記ガス排出部は、前記電極リードよりも広い幅を有しうる。
【0018】
前記リードフィルムは、第1リードフィルム及び第2リードフィルムを含み、前記第1リードフィルムは、前記電極リードの上部に位置し、前記第2リードフィルムは、前記電極リードの下部に位置しうる。
【0019】
前記電極リードは、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとの間に位置し、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムは、互いに連結されている。
【0020】
前記リードフィルム内に形成されている前記ガス排出部の端部は、前記電池ケースの外側面よりも外側に位置しうる。
【0021】
前記電池ケースの内部に向けて開放されている前記ガス排出部の端部は、前記電池ケースの内側面よりも内側に位置しうる。
【0022】
本発明の他の一実施例による電池モジュールは、前述した電池セルを含みうる。
【発明の効果】
【0023】
実施例によれば、本発明は、透過面積が最大化されたリードフィルムが付着された電極リードを含む電池セル及びそれを含む電池モジュールを提供して、電池セルの内部に発生したガスの外部排出量が向上する。
【0024】
本発明の効果が、前述した効果に制限されるものではなく、言及されていない効果は、本明細書及び添付図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来の電池セルの上面図である。
図2図1におけるa-a’軸に沿って切った断面図である。
図3】本実施例による電池セルの上面図である。
図4図3の電池セルに含まれた電極リードの斜視図である。
図5図4におけるc-c’軸に沿って切った断面図である。
図6図4におけるd-d’軸に沿って切った断面図である。
図7図3におけるb-b’軸に沿って切った断面図である。
図8図7における電池セルの内部から発生したガスが外部に排出される流れを示す図面である。
図9】実験例1による電池セルの断面を示す図面である。
図10】実験例2による電池セル内のガス圧力を測定した結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明の多様な実施例について当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、さまざまな異なる形態として具現され、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0027】
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書の全体を通じて同一または類似した構成要素に対しては、同じ参照符号を付けた。
【0028】
また、図面で示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示したので、本発明が、必ずしも示されたものに限定されるのではない。図面で多様な層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。
【0029】
また、明細書の全体において、ある部分が、ある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
【0030】
また、明細書の全体において、「平面上」とする時、これは、対象部分の上面視を意味し、「断面上」とする時、これは、対象部分を垂直に切った断面の側面視を意味する。
【0031】
以下、本発明の実施例によるパウチ電池セル100について説明する。但し、ここで、パウチ電池セル100の両側面のうち、一側面を基準に説明されるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他側面である場合にも、同一または類似した内容で説明される。
【0032】
図3は、本実施例による電池セルの上面図である。
【0033】
図3を参照すれば、本実施例による電池セル100は、電池ケース200、電極リード300、及びリードフィルム400を含む。
【0034】
電池ケース200は、電極組立体110が収納部210に装着され、外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部250を含む。電池ケース200は、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートである。より具体的に、電池ケース200は、ラミネートシートからなっており、最外郭を成す外側樹脂層、物質の貫通を防止する遮断性金属層、及び密封のための内側樹脂層で構成することができる。
【0035】
また、電極組立体110は、ゼリーロール型(巻き取り型)、スタック型(積層型)、または複合型(スタック/フォールディング型)の構造からなりうる。より具体的に、電極組立体110は、正極、負極、これらの間に配される分離膜からなりうる。
【0036】
以下、電極リード300及びリードフィルム400を中心に説明する。
【0037】
図4は、図3の電池セルに含まれた電極リードの斜視図である。
【0038】
図3及び図4を参照すれば、電極リード300は、電極組立体110に含まれた電極タブ(図示せず)と電気的に連結され、シーリング部250を経由して電池ケース200の外側方向に突出している。また、リードフィルム400は、電極リード300の上部及び下部のうち少なくとも1つで、シーリング部250に対応する部分に位置する。これにより、リードフィルム400は、熱融着時に、電極リード300でショートの発生を防止しながらも、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させうる。
【0039】
また、リードフィルム400は、電極リード300よりも広い幅を有しうる。前記リードフィルムは、前記シーリング部の長さよりも大きな長さを有し、前記電極リードの長さよりも小さな長さを有しうる。これにより、リードフィルム400は、電極リード300の電気的連結を妨害せずとも、電極リード300の側面の外部への露出を防止することができる。
【0040】
また、リードフィルム400は、第1リードフィルム及び第2リードフィルムを含み、前記第1リードフィルムは、電極リード300の上部に位置し、前記第2リードフィルムは、電極リード300の下部に位置しうる。この際、電極リード300は、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとの間に位置した状態でシーリング部250と共に熱融着されて、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムは、互いに連結されている。
【0041】
これにより、リードフィルム400は、電極リード300の側面の外部への露出を防止しながらも、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させうる。
【0042】
図5は、図4におけるc-c’軸に沿って切った断面図である。図6は、図4におけるd-d’軸に沿って切った断面図である。図7は、図3におけるb-b’軸に沿って切った断面図である。
【0043】
図5ないし図7を参照すれば、リードフィルム400は、電池ケース200の内部から電池ケース200の外側方向に延びたガス排出部450が形成されており、ガス排出部450は、電池ケース200の内部に向けて開放されている。また、ガス排出部450は、電極リード300の突出方向を基準にガス排出部450の前面及び両側面が閉鎖されている。ここで、ガス排出部450は、リードフィルム400内で電池ケース200の内部に向けて開放されている面を除いた残りの面が互いに非接着されている部分を意味する。また、ガス排出部450は、電極リード300よりも広い幅を有しうる。
【0044】
これにより、リードフィルム400は、電池ケース200の内部から発生したガスがガス排出部450内で流動することができる。また、リードフィルム400は、所定の圧力以上になれば、電池ケース200の内部から発生したガスがガス排出部450を通過して外部に排出される。また、リードフィルム400は、ガス排出部450によってガスの透過面積が最大化されて、大量のガスを排出することができる。
【0045】
また、リードフィルム400は、ガス排出部450の表面のうち少なくとも一部を覆う内部層410をさらに含みうる。より望ましくは、内部層410は、ガス排出部450の表面全体を覆う。ここで、内部層410は、ガス排出部450にコーティングされているか、別途のフィルムで製造されてガス排出部450に付着される。
【0046】
これにより、リードフィルム400は、電極リード300の上下部のうち少なくとも何れか1つに位置した状態でシーリング部250と共に熱融着されるにしても、内部層410によってガス排出部450が熱融着されていない状態で保存される。
【0047】
より具体的に、内部層410は、リードフィルム400を成す素材に比べて、融点が高い素材からなりうる。また、内部層410は、電池ケース200内に含まれる電解液に反応しない素材からなりうる。一例として、リードフィルム400は、ポリオレフィン系の物質を含み、内部層410は、ポリオレフィン系、フッ素系、及び多孔性セラミック系のうち少なくとも1つの物質を含みうる。また、内部層410は、ゲッター(getter)物質を含み、ガス透過度は高めるが、水分浸入度は最小化することができる。一例として、前記ゲッター物質は、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO)などであるが、これに限定されるものではなく、水(HO)と反応する物質であれば、使われる。
【0048】
これにより、内部層410は、前述した素材からなることで、電解液と別途の反応をせず、高温の熱融着過程で熱融着、熱変形などが発生せず、ガス排出部450が空所を保持する。すなわち、ガス排出部450の内面は、非接着状態に保持される。また、電池ケース200内で発生するガスがガス排出部450の内部に流入する時、ガス排出部450の内面が互いに離隔しながら、ガス排出部450の内部に流入されたガスが外部に容易に排出される。また、リードフィルム400は、前述した素材からなることで、電池セル100の気密性を保持することができ、内部電解液の漏液も防止することができる。
【0049】
図7を参照すれば、リードフィルム400内に形成されているガス排出部450の端部は、電池ケース200の外側面よりも外側に位置しうる。また、電池ケース200の内部に向けて開放されているガス排出部450の端部は、電池ケース200の内側面よりも内側に位置しうる。
【0050】
これにより、リードフィルム400は、ガス排出部450の面積を最大化することができ、電池ケース200の内部から発生したガスが露出される内部層410の面積を最大化することができる。また、電池ケース200の内部から発生したガスの透過面積が最大化されて、大量のガスを排出することができる。
【0051】
図8は、図7における電池セルの内部から発生したガスが外部に排出される流れを示す図面である。
【0052】
図5ないし図8を参照すれば、図7の電池セル100の内部から発生したガスは、リードフィルム400のガス排出部450に向けて流れる。この際、ガス排出部450は、電池セル100の内部のガスによって、図7に比べて上下部に向けて膨張する。また、図8のAのように、電池セル100の内部のガスが所定の圧力以上になれば、ガス排出部450を通じて電池セル100の内部のガスが外部に排出される。
【0053】
これにより、図2と比較すると、リードフィルム400にガス排出部450が位置しているので、電池セル100の内部のガスの透過面積が最大化され、それにより電池セル100の内部から発生したガスの外部排出量も最大化される。
【0054】
本発明の他の一実施例による電池モジュールは、前述した電池セルを含む。一方、本実施例による電池モジュールは、1つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成しても良い。
【0055】
前述した電池モジュール及びそれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用可能であるが、本発明は、これに制限されず、電池モジュール及びそれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも、本発明の権利範囲に属す。
【0056】
以下、より具体的な実施例を通じて、本発明の内容を説明するが、下記の実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の権利範囲が、これに限定されるものではない。
【0057】
<実施例>
電池ケース内に電極組立体が収納部に装着され、電池ケースの外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部を含む電池セルを製造した。ここで、電極組立体に含まれた電極タブは、電極リードと電気的に連結されており、電極リードは、シーリング部を経由して電池ケースの外側方向に突出している。この際、電極リードの上部でシーリング部と対応する位置にリードフィルムが付着されており、リードフィルム内に電池ケースの内部から電池ケースの外側方向に延びたガス排出部が形成されている。
【0058】
<比較例>
リードフィルム内に別途のガス排出部が形成されていない点を除いては、実施例と同様に電池セルが製造された。
【0059】
<実験例1-CT撮影イメージ>
実施例の電池セルについて、リードフィルム及び電極リードが位置したシーリング部を中心にCT撮影して、当該部分に対するCT撮影イメージを図9のように獲得した。
【0060】
図9は、実験例1による電池セルの断面を示す図面である。実施例の電池セルで、図9の(a)は、実施例の電池セルの内部圧力が増加する前のリードフィルム及び電極リードの断面をCT撮影したイメージであり、図9の(b)は、実施例の電池セルの内部にガスを注入して、実施例の電池セルの内部圧力が増加した後のリードフィルム及び電極リードの断面をCT撮影したイメージである。
【0061】
図9の(a)を参照すれば、実施例の電池セルの内部圧力が増加する前は、リードフィルムに形成されたガス排出部を中心に何らの変化を示さないことが確認される。しかし、実施例の電池セルの内部圧力が増加するにつれて、図9の(b)のように、リードフィルム内に形成されたガス排出部が上下方向(矢印方向)に離隔することが確認できる。
【0062】
これにより、本実施例のように、電池セルのリードフィルム内にガス排出部が形成されている場合、電池セルの内部圧力が増加する時、ガス排出部が上下方向に離隔することによって、ガス排出部の内部に電池セルの内部のガスが流入される。すなわち、本実施例の電池セルに含まれたガス排出部は、電池セルのガス排出経路の役割を行うことを確認することができる。
【0063】
<実験例2-電池セル内のガス圧力測定>
実施例及び比較例の電池セルについて、経時的な電池セルの内部のガス圧力を測定し、その結果を図10のように示した。実施例の電池セルで、電池セルの初期内部圧力は、1気圧である。
【0064】
図10は、実験例2による電池セル内のガス圧力を測定した結果を示す図面である。
【0065】
図10を参照すれば、比較例による電池セルは、初期内部圧力が1気圧である状態で、経時的に内部圧力が相対的に少なく減少することを確認することができる。これとは違って、本実施例による電池セルは、初期内部圧力が1気圧である状態で、経時的に内部圧力が相対的に大きく減少することを確認することができる。すなわち、本実施例による電池セルは、経時的にリードフィルム内に形成されたガス排出部を通じて内部ガスが外部に向けて効果的に排出されることを確認することができる。
【0066】
このように、本実施例による電池セルは、リードフィルム内にガス排出部が形成されており、電池セルの内部の圧力上昇時に、ガス排出部を通じてガスが外部に容易に排出されることを確認することができる。
【0067】
以上、本発明の望ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に属すものである。
【符号の説明】
【0068】
100:電池セル
110:電極組立体
200:電池ケース
210:収納部
250:シーリング部
300:電極リード
400:リードフィルム
410:内部層
450:ガス排出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】