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特開2025-26501コーティング剤塗布器、そのような塗布器を備える塗布設備、及び、そのような塗布器を用いる塗布方法
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  • 特開-コーティング剤塗布器、そのような塗布器を備える塗布設備、及び、そのような塗布器を用いる塗布方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026501
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】コーティング剤塗布器、そのような塗布器を備える塗布設備、及び、そのような塗布器を用いる塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20250214BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20250214BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20250214BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05B12/00 A
B05D1/26 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024210740
(22)【出願日】2024-12-03
(62)【分割の表示】P 2020071510の分割
【原出願日】2020-04-13
(31)【優先権主張番号】1904218
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】509003265
【氏名又は名称】エクセル インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】EXEL INDUSTRIES
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュアン ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】メダル シリル
(57)【要約】
【課題】コーティング剤塗布器、そのような塗布器を備える塗布設備、及び、そのような塗布器を用いた塗布方法を提供する。
【解決手段】コーティング剤塗布器(10)は、印刷ノズル(12)を備え、印刷ノズルのそれぞれは、コーティング剤用の排出オリフィス(127)まで下流方向に延びる出口チャネル(126)を有する。印刷ノズル(12)は、塗布器(10)の本体(14)の少なくとも2つの面(142、147)に分配され、これらノズルの排出オリフィス(127)は、少なくとも2つの非平行面(π127、π´127)に沿って延在する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング剤塗布器(10)であって、
印刷ノズル(12)を備え、
前記印刷ノズルのそれぞれは、
コーティング剤用の排出オリフィス(127)まで下流方向に延びる出口チャネル(126)を有し、
前記印刷ノズル(12)は、前記塗布器(10)の堅固な本体(14)の少なくとも2つの面(142、146、147)に分配され、当該ノズルの前記排出オリフィス(127)は、少なくとも2つの非平行面(π127、π´127、π″127)に沿って延在し、前記塗布器(10)が動作しているとき、前記堅固な本体(14)の第1の面(142)に設けられた前記印刷ノズル(12)は、前記堅固な本体(14)の第2の面(146、147)に設けられた前記印刷ノズル(12)と独立して作動し、前記堅固な本体(14)の前記少なくとも2つの面(142、146、147)に分配された前記印刷ノズル(12)は、同一種類であり、それぞれの面に、同一寸法(d127)の排出オリフィス(127)を有し、2つの面の間に、異なる寸法(d127、d´127)の排出オリフィスを有することを特徴とするコーティング剤塗布器(10)。
【請求項2】
前記2つの面(π127、π´127、π″127)は、それらの間で、前記塗布器(10)の前記堅固な本体(14)側に、30°~150°の間の角度(α)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の塗布器。
【請求項3】
前記2つの面(π127、π´127、π″127)の間の前記角度(α)は、60~
120°の間であることを特徴とする、請求項2に記載の塗布器。
【請求項4】
前記2つの面(π127、π´127、π″127)の間の前記角度(α)は、60°、90°、又は、120°に等しいことを特徴とする、請求項3に記載の塗布器。
【請求項5】
前記排出オリフィス(127)が前記堅固な本体(14)の第1の面(142)に分配される複数の第1印刷ノズル(12)と、前記排出オリフィス(127)が前記本体の第2の面(146、147)に設けられる少なくとも1つの第2印刷ノズル(12)と、を備え、前記第1印刷ノズルの数は、前記第2印刷ノズルの数と異なることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布器。
【請求項6】
前記印刷ノズル(12)が分配された前記堅固な本体(14)の前記少なくとも2つの面(142~146、142~147)が隣接していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の塗布器。
【請求項7】
前記堅固な本体(14)は、モノブロックであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の塗布器。
【請求項8】
前記堅固な本体(14)は、堅固に組み立てられた複数の備品から構成され、互いに対する相対運動は不可能であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の塗布器。
【請求項9】
前記堅固な本体(14)は、平行六面体(14)であり、前面(142)、前記前面(142)に平行な後面(143)、互いに平行であり、前記前面及び前記後面に垂直な2つの縦面(144、145)、及び、互いに平行であり、前記前面、前記後面及び前記縦面に垂直な2つの横面(146、147)を規定し、前記縦面及び前記横面は、前記前面(142)に隣接していることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の塗布器。
【請求項10】
二成分又は多成分コーティング剤の塗布を意図し、
前記印刷ノズル(12)の上流に、前記塗布器の前記堅固な本体(14)に一体化されたミキサーを備えることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の塗布器。
【請求項11】
コーティングされるオブジェクト(O)にコーティング剤を塗布するための設備(I)であって、請求項1乃至10のいずれかに記載の少なくとも1つの塗布器(10)を備える設備。
【請求項12】
前記塗布器(10)は、コーティングされるオブジェクトに対して移動すべく設けられた多軸ロボット(20)のアーム(22)に取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の設備(I)。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかに記載の塗布器(10)を用いて、コーティングされるオブジェクト(O)コーティング剤を塗布する方法であって、
a)前記塗布器の前記堅固な本体(14)の第1の面(142)に分配された第1印刷ノズル(12)の作動中、前記塗布器(10)を第1移動軸(F4、F4´)に沿って移動させることにより、前記コーティング剤を用いてパターン(B)を形成するステップと、
b)前記堅固な本体(14)の第2の面(146、147)に分配された第2印刷ノズルの作動中、前記第1軸に垂直な第2軸(F5、F5´)に沿って前記塗布器を移動させることによって、前記パターンの少なくとも1つの横境界を形成するステップと、を備える方法。
【請求項14】
ステップa)及び/又はb)の間、前記作動印刷ノズル(12)の前記排出オリフィス(127)と、前記コーティングプロセス中にコーティングされる前記オブジェクト(O)の前記表面との間の塗布距離は、5~50mmの間であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ノズルの1つを備えるコーティング剤塗布器に関する。印刷ノズルのそれぞれは、コーティング剤用の排出オリフィスまで下流方向に延びる出口チャネルを有する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクトに施される装飾をカスタマイズする要求が増加傾向にある。例えば、自動車の車体に対するデュアルトーンコーティングが増加している。したがって、多くの自動車は、黒いドア直立部を有し、車体の残りの部分は、別の色で塗装される。ハイエンド車両の場合、カバープレートで区切られた表面でドア直立部に黒いスタイリングが施される。別の技術は、手で直立部に黒いステッカーを貼る。黒い直立部を製造するこれらの2つの方法は、資格のある労働者を必要とし、時間も費用もかかる。装飾パターンを本体に、例えば、黒いストリップを本体の屋根若しくはフードに、又は、黒いストリップを本体の残りの部分とは異なる色で屋根全体に設ける場合、同様の問題が生じる。
【0003】
印刷ノズルを備える印刷ヘッドを用いて塗料を塗布することにより、塗料の塗布を一定の精度で達成することができる。EP1884365Aに記載されているように、2つの印刷ヘッドは、並べて取り付けられ、互いに連結され、コーティングされる表面の幾何学形状に追従する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液滴システム、印刷ヘッドを移動させる精密な多軸ロボット、及び、高速ロボットを使用し、ミリ秒(ms)オーダーの走査時間であるにもかかわらず、本体に塗布された塗料のストリップは、塗布器の移動軸に沿って正確な縁部を有するが、その端部では有さない。塗布の開始ラインと塗料のストリップの到着ラインとは、ギザギザであり、すなわち、それらは不規則性を有する。開始ラインは、印刷ノズルの作動領域に対応し、到着ラインは、これらのノズルの停止又は非作動に対応する。ギザギザをできるだけ滑らかにするために、別の塗布器のノズルを使用して、わずかに重なって、第1の塗布通路において横線を形成することができる。しかしながら、この場合、ロボットによる塗布領域へのアクセス性に問題が生じる。例えば、ストリップが自動車の車体の屋根に形成される場合、ロボットは、前面ガラス領域及び後面ガラス領域まで到達し、車両の幅に沿って横線を塗布する必要がある。実際には、これを行うことは非常に困難である。
【0005】
ストリップの塗布が行われる塗布ステーションが「追跡」モードである場合、すなわち、塗布中に自動車の車体を移動させるコンベアが停止していない場合、ロボットは、車両の前部、次いで、時間の経過後、後部にアクセスすることができる。コンベア軸に沿って正確に規定されたストリップを作成することが望まれていることから、この動作モードは、塗料の正確な塗布と非常に相性が良くない。加えて、時間の経過に伴う車両の位置は、完全に正確な開始及び終了ラインを作成するために十分正確に規定されていない。この場合、特に、コンベアの駆動モータの規制及び移動によって生じる振動により、コンベアの速度は正確にはわからない。
【0006】
ステーションが「ストップアンドゴー」モードである場合、すなわち、塗料の塗布中に本体が所定の位置に固定される場合、塗布器を支持する多軸ロボットは、第7ロボット軸を装備する必要がある。第7ロボット軸は、実際には、コンベアの移動軸に沿ってロボットの移動レールによって形成される。この解決策は、予想される結果の観点から十分に精密ではない。また、塗装前にロボットをフロントガラス領域に配置し、次いで同じく塗装前にロボットを後面ガラス領域に再配置する必要があることから、サイクル時間の観点でもコストが高くなる。
【0007】
このような問題は、自動車の車体全体以外の要素、特に、バンパーのような合成材料からなる部品において、又は、航空機のキャビンをコーティングする航空分野において、2色の塗料を塗布する場合にも生じる。
【0008】
本発明は、新しいコーティング剤塗布器を提案することによって、これらの問題に対処することを目的とする。このようなコーティング剤塗布器により、別のパターン又はストリップの開始ライン及び終了ラインでコーティング剤を正確に塗布することができ、既知の解決策と比較してサイクル時間が短縮される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明は、印刷ノズルを備えるコーティング剤塗布器に関する。印刷ノズルのそれぞれは、コーティング剤用の排出オリフィスまで下流方向に延びる出口チャネルを有する。本発明によれば、印刷ノズルは、塗布器の本体の少なくとも2つの面に分配され、これらノズルの排出オリフィスは、少なくとも2つの非平行面に沿って延在する。
【0010】
本発明によれば、塗布器の本体の面に配置された印刷ノズルは、あるコーティング剤の塗布フェーズ、例えば、自動車の車体の屋根に塗布される塗料のストリップの最大寸法と平行に使用することができ、排出ノズルの同じ塗布器の第2の面に分配された印刷ノズルは、このようなストリップの開始及び終了ラインを非常に精密に形成するために使用することができる。
【0011】
本発明の任意選択的であり有利な態様によれば、このような塗布器は、技術的に許容される組み合わせで、一つ又は複数の以下の特徴を含む。
【0012】
2つの平面は、それらの間で塗布器の本体側に、30°~150°の間、好ましくは60°~120°の間、好ましくは60°、90°又は120°の角度を形成する。
【0013】
塗布器は、排出オリフィスが本体の第1の面に分配される複数の第1印刷ノズルと、出口オリフィスが本体の第2の面に設けられる少なくとも1つの第2印刷ノズルとを備え、第1ノズルの数は第2ノズルの数と異なる。
【0014】
本体の両面に分配された印刷ノズルは、同一種類であり、同一寸法の排出オリフィスを有する。
【0015】
本体の両面に分配された印刷ノズルは、同一種類であり、各面に同一寸法の排出オリフィスを有し、2つの面間に異なる寸法の排出オリフィスを有する。
【0016】
印刷ノズルが分配される本体の2つの面が隣接している。
【0017】
本体の2つの別々の面に分配された印刷ノズルは、塗布器が動作しているときに互いに独立して作動する。
【0018】
塗布器は、印刷ノズルの上流で塗布器の本体に一体化されるミキサーを備える。
【0019】
別の態様によれば、本発明は、コーティングされるオブジェクトにコーティング剤を塗布するための設備に関し、この設備は、少なくとも1つの前記塗布器を備え、好ましくは、コーティングされるオブジェクトに対して塗布器を移動させるために設けられた多軸ロボットのアームに取り付けられる。
【0020】
別の態様によれば、本発明は、前記塗布器を使用して、コーティングされるオブジェクトにコーティング剤を塗布するための方法に関し、この方法は、少なくとも以下のステップを備える。
a) 塗布器の本体の第1の面に分配された第1印刷ノズルの作動中、第1移動軸に沿っ
て塗布器を移動させることにより、コーティングでパターンを形成するステップ、
b)本体の第2の面に分配された第2印刷ノズルの作動中、第1軸に垂直な第2軸に沿って塗布器を移動させることにより、パターンの少なくとも1つの横境界を形成するステップ。
【0021】
この方法により、コーティング剤を非常に正確かつ迅速に塗布することができる。
【0022】
好ましくは、ステップa)及び/又はb)の間、作動印刷ノズルの排出オリフィスとコーティング処理におけるオブジェクトの表面との間の塗布距離は、5~50mmの間である。
【0023】
塗布器、設備、及び、方法に関する2つの実施例について添付の図面を参照して行う以下の説明により、本発明をより詳細に理解することができ、他の利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明に係る塗布器が組み込まれた本発明に係る設備の正面図における概略ブロック図である。
図2図2は、図1の設備の塗布器の斜視図である。
図3図3は、図2の細部IIIの部分断面図である。
図4図4は、本発明に係るコーティング剤を塗布するための方法の第1のステップ中の図1の設備の側面図である。
図5図5は、同じ方法の第2のステップ中の図4と同様の図である。
図6図6は、本発明の第2の実施例に係る塗布器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図4図5に示された設備Iは、図の例では、自動車の車体であるオブジェクトOに塗料を塗布するために設けられている。より具体的には、この例では、設備Iは、例えば黒などの対照的な色のストリップBをこのような車体の屋根に設けることを可能にすることを目的とする。
【0026】
変形例では、コーティングされるオブジェクトは、特に限定されず、自動車の車体の一部、例えば、バンパー、又は、より一般的には、コーティング可能な任意のオブジェクト、例えば、航空機のキャビン部分若しくは家庭用機器本体であってもよい。
【0027】
設備Iはコンベア2を備える。コンベア2は、図1の面に垂直で図4及び図5の面に平行な搬送軸X2に沿ってオブジェクトOを移動させるために設けられる。
【0028】
また、設備Iは塗布器10を備える。塗布器10は、コンベア2の近くに配置される多軸ロボット20のアームの端部に取り付けられる。
【0029】
塗布器10は、複数のノズル12を備える。複数のノズル12は、互いに同一であり、それぞれ、印刷ヘッド13に属する。
【0030】
塗布器10は本体14を備える。本体14は、ノズル12を支持し、ノズル12を空間に配置することを可能にする堅固な構造要素を構成する。好ましくは、本体14は、モノブロックである。この例では、本体14は、平行六面体14であり、前面142、前面142に平行な後面143、互いに平行な2つの縦面144、145、及び、互いに平行な2つの横面146、147を規定する。前面142及び後面143は、縦面144、145に対して垂直であり、横面146、147に対して垂直である。縦面144、145は、また、横面146、147に対して垂直である。面144~147は、面142に隣接している。オブジェクトOにコーティング剤を塗布することによって、パターンの主要部分を形成するために、塗布器10が作動しているとき、本体14の前面142は、コーティングされるオブジェクトに対向する。
【0031】
ノズル12は、本体14に堅固に取り付けられている。より具体的には、16個のノズル12による列が4つ本体14の前面142に配置され、これらのノズルは、この平面状の前面から突出する。
【0032】
図3から明らかなように、それぞれのノズル12は、印刷ヘッド13に属している。印刷ヘッド13は、例えば、圧電型部品の制御部材132とロッド134とを更に備える。それぞれのノズル12は、ノズルが属する印刷ヘッド13の制御部材132によって制御される針122を備える。針122は、ロッド134によって部材132に連結される。
【0033】
塗布される塗料は、本体14内に配置されたチャネル16内を流れ、一方のノズル12から他方のノズルへ矢印F2の方向に循環する。チャネル16は、塗布器10の面142に配置された様々なノズル12の一般的な供給手段を構成する。
【0034】
符号121は、本体14の面から突出するノズル12の一部を示す。ノズルの一部121の内側には、シート部124が配置される。シート部124は、選択的にノズルの針122を担持し、部材132によって制御される。
【0035】
出口チャネル126は、その針122及びシート部124の下流でノズル12に配置される。この出口チャネルは、ノズル12の前面128、より具体的には、その一部121の前面128に配置された排出オリフィス127を介して、針122と反対側で外側に向けて延びる。
【0036】
したがって、それぞれのノズル12は、その排出オリフィス127を介して塗料を選択的に排出することを意図した印刷ノズルを構成する。
【0037】
符号d126は、ノズル126の出口チャネル126の直径を示し、d127は、このノズルの排出オリフィス127の直径を示す。例えば、直径d26、d27は等しい。直径d127は、50マイクロメートル(μm)~500μmの間、好ましくは100μm~200μmの間、さらにより好ましくは150μmのオーダーである。
【0038】
したがって、それぞれのノズル12は、その排出オリフィス127から一連の液滴Gを排出することができる。図2では、これらの液滴Gが全て印刷ノズル12から同時に出ることが示されているが、これは、後述する方法には対応しないが、これらのノズルの流路を特定することができる。
【0039】
符号π142は、平面状の前面142の主面を示す。符号π127は、ノズル12の排出オリフィス127が前面142に配置される面を示す。面π142、π127は、平行であり、オリフィス127は、前面142の近傍に分配される。
【0040】
横面147には、前面142に示されたものと同一の4つのノズル12が取り付けられる。これらのノズルは、印刷ノズルの行を構成し、また、この面147に対して突出する。横面は平面状であり、その主面はπ147で示される。
【0041】
面147に取り付けられたノズル12の排出オリフィス127は、面π147に平行な面π´127に延び、面147の近傍に分配され得る。
【0042】
同様に、4つの印刷ノズル12は、平面状の横面146に取り付けられている。横面146の主面は、π146で示される。これらのノズル12の排出オリフィスは、平面π146に平行な面π″127に延びている。これらのオリフィスは、後者の近傍の面146に均等に分配され得る。
【0043】
一方では面π142、π147、他方ではπ142、π146は、互いに平行ではない。したがって、面142、146、147にそれぞれ設けられたノズルの出口オリフィス127は、少なくとも2つの非平行方向に延在する。
【0044】
この意味で、塗布器10は、多方向マルチノズルヘッドとして認定することができる。これは、以下の説明から明らかなように、このようなコーティング剤を高い精度で塗布することができるコーティング剤ヘッドを構成する。
【0045】
符号αは、本体14、10の内部で面π142、π147の間で規定される角度を示す。
【0046】
図1図5の例では、この角度αは、90°に等しい。
【0047】
実際には、この角度αは、30°~150°の間、好ましくは60°~90°の間とすることができる。この角度の好ましい値は、60°、90°及び120°である。
【0048】
面π127、π´127は、それぞれ、面π142、π147に平行であることから、角度αは、面π127とπ´127との間の角度でもあり、本体14に対向するこれらの面側で測定される。
【0049】
角度αが180°に等しくない限り、面142、147に配置されたノズル12は、それぞれ、面π127、π´127に垂直に塗料を排出することから、2つの非平行方向に塗料を排出することができる。
【0050】
面142、146にそれぞれ配置された印刷ノズル12についても、状況は同じである。
【0051】
自動車の車体Oの屋根にパターンを形成することによってストリップBを形成する必要があるとき、塗布器10は、コーティングされる屋根の領域の上方にある多軸ロボット20によって動かされ、次いで、塗布器10は、図4の矢印F4及びF4´によって示されるように、実際には、軸X2に平行な本体の縦軸に平行に動かされる。
【0052】
これらの動作の間、本体14の前面142に位置決めされたノズル12が作動する。
【0053】
言い換えると、これらのノズル12の針122は、対応する印刷ヘッド13のアクチュエータ132及びロッド134によって、それらのシート部124から離れる。塗料は、これらのノズルの出口チャネル126に供給され、塗料は、図4の矢印F42の方向に流れる液滴Gによって示されるように、車体Oの屋根に向けて面π127にあるそれぞれの排出オリフィスF127を介して排出される。この印刷技術によって、矢印F4、F4´に沿った塗布器の移動方向に平行な長手方向の縁部が明確に規定され、直線状のストリップBを車両の屋根に形成することができる。
【0054】
したがって、塗料を図1図4図5に示された車体のようなオブジェクトOに塗布するための方法では、第1のステップにおいて、その排出オリフィス127が面π127に配置されるノズル12の作動中、塗布器10を図4の矢印F4及びF4´の方向に移動させることによって、ストリップBを設ける。
【0055】
次に、ストリップBの横境界を形成するために、第2のステップにおいて、横面147に取り付けられたノズル12の作動中、ロボット20は、車体の屋根の後縁部に向けて塗布器10の横面147を動かし、塗布器10を図5の矢印F5、F5´の方向に、軸X2に垂直に移動させる。その結果、塗料の液滴Gを面π´127内に位置するこれらのノズルの排出オリフィス127から、図5の矢印F52の方向に、屋根の縁部に向けて排出させる。これにより、ストリップBの後端部において、ギザギザではない正確な横境界を形成することができる。
【0056】
特に、面142、147が隣接していることから、塗布器10は、図4の位置から図5の位置へ多軸ロボット20によって迅速かつ容易に通過する。
【0057】
次に、同じ種類の動作が行われる。本方法の同じ第2のステップにおいて、本体14の横面146に配置された4つのノズル12を作動させることによって、輪郭Bの前縁部で、面π″127に配置されたそれらの排出オリフィス127を介して塗料を排出する。
【0058】
変形例では、ストリップBの前方及び後方横境界を形成することからなる第2のステップのサブステップの実施順序を逆にすることができる。
【0059】
別の変形例によれば、横境界をストリップBの前方のみ又は後方のみに形成することができる。
【0060】
図4及び図5に示される塗料を塗布するための方法が行われている間、塗布距離、すなわち、作動印刷ノズル12の排出オリフィス127とコーティングされるオブジェクトOの屋根の表面との間で測定される距離は、5~50mmの間であることが有利である。これにより、塗料移動速度を加速させ、スプレーしぶきの放出量、すなわち、主スプレーのインプリントに対する塗料の塊の拡散量、すなわち、主に本体に向けられる塗料の塊の拡散量を減らすことができる。これにより、自由な塗料の液滴G、したがって、ストリップBを形成するように意図した制御下の液体は、主スプレーの被覆領域にできるだけ近づいて確実に堆積することができる。
【0061】
図6に示された本発明の第2の実施例では、第1の実施例の要素と同様の要素には同じ符号が付されている。以下では、この実施例について、前の実施例と異なる点についてのみ説明する。
【0062】
この実施例では、ノズル12は、塗布器10の本体14の内部に完全に一体化されている。すなわち、排出オリフィス127が配置されたノズル12の前面128は、本体14の側面、特に、図6に示された前面142及び横面147に繋がる。すなわち、面π142、π127が結合され、面π147、π´127も結合される。
【0063】
上記のように、面π142、π147は、面π127、π´127と同様に平行ではない。したがって、表面142、147にそれぞれ配置されたノズル12により、非平行方向の両方に塗料を排出することができる。
【0064】
ここで、第1の実施例のように規定される角度αは、120°に等しい。
【0065】
この実施例では、面142に配置された印刷ノズル12は、互いに同一であり、面147に配置された印刷ノズル12は、互いに同一であるが、面142に配置された印刷ノズル12の排出ノズル127の直径d127は、第1の値を有し、面147に配置されたノズル12のオリフィス127の直径d´127は、第1の値よりも小さい第2の値を有する。すなわち、横面147に配置されたノズル12の排出オリフィス127は、前面142に配置されたノズル12の排出オリフィス127よりも小さい。これは、面142を備えるノズル12が使用されるとき、比較的大きな表面積が形成され、上述の方法の第1のステップに関する説明から明らかなように、比較的大きな塗料流量が必要であるという事実に対して、有効である。反対に、ストリップBの横境界が本方法の第2のステップに関連して形成される場合、より高い精度が必要であり、コーティングされる表面は、より小さい面積を有する。実際に、直径d127又はd´127が小さいほど、排出オリフィス127から出る液滴の量は少なくなり、設けられた縁部の鮮鋭度はより高くなる。
【0066】
本体14の様々な面に配置された印刷ノズル12は、コーティング剤を塗布するための方法が行われている間、様々な瞬間で使用される。これは、塗布器10の使用時、排出オリフィスが本体14の2つの別々の面に分配されている印刷ノズルが互いに独立して作動される理由である。例えば、表面142に取り付けられたノズル12を供給するために、1つのチャネル又は複数の共有された塗料循環チャネル16を設けることができ、面146に設けられたノズル12を供給するために、さらに別の同等のチャネルを設けることができ、さらに、面147に設けられたノズル12を供給するために、同等のチャネルを設けることができる。これらの異なるチャネルへの塗料の供給は、好ましくは本体14に一体化された弁によって調整され、互いに独立して制御される。
【0067】
さらに、様々なノズル12を有する印刷ヘッド13の様々なアクチュエータ132を互いに独立して制御することができる。
【0068】
自動車の車体塗装ラインでは、車体モデル及び塗装されるパターンに応じて、本塗布器10のタイプの塗布器を用いて異なる領域で表面をコーティングする必要がある。例えば、装飾フードストリップは、0.1mの領域に相当する1mの長さにわたって100mmの幅で形成されてもよく、屋根全体の被覆量は、約2m×2m、又は、4mの表面を被覆する量に相当する。したがって、塗布器10は、予想される用途に応じて選択することができる。
【0069】
そのために、塗布器10は、その後面143に設けられたインターフェース18を備え、ロボット20のアーム22の端部に迅速に組み付けることができ/ロボット20のアーム22の端部から迅速に取り外すことができる。このインターフェースは、流体及びロボット20と塗布器10との電気的接続を可能にする。例えば、インターフェース10は、磁気クリップシステムと共に、又は、任意の他の適切な方法に従って機能することができる。
【0070】
この場合、異なる塗布器10は、ロボット20の作動領域、例えば、その足元にある倉庫に保管される。それぞれの塗布器は、流量の範囲内の流量で塗料を塗布し、したがって、本発明の方法を行うために割り当てられた時間中、領域の範囲内の領域で表面をコーティングする。これにより、ロボット20は、作業領域に進入する車体に設けられたパターンに最も適した塗布器10を搭載することができる。
【0071】
上記の説明は、印刷ノズル12が本体14の3つの面、すなわち、面142、146、147に設けられている場合の塗布器10について記載している。変形例では、ノズル12をこれらの面のうちの2つのみに設けることができ、反対に、これらの面のうちの4つ、5つ、又は6つに設けることができる。本明細書では、好ましくは、後面143にはノズル12が設けられていない。
【0072】
上記したように、本発明は、自動車の車体に塗料を塗布する場合に関する。本発明は、特に、ベースコートタイプの塗料、すなわち、効果の有無にかかわらず色の層の塗布、及び、単成分又は二成分ワニスの塗布に適用される。プライマーの塗布も考慮することができる。
【0073】
変形例では、インク又は任意の他のコーティング剤を塗布するために、塗布器10を使用することができる。
【0074】
塗布剤が2つ以上の成分を有する場合、図示されていない本発明の変形例によれば、静止ミキサーは、より具体的には、本体14の内部においてノズル12の上流でチャネル16の経路で設備Iに一体化される。
【0075】
本発明の任意の態様によれば、排出オリフィス127を出る液滴Gを含めるように、追加のガイド領域をそれぞれのノズル12の前面128の高さに動かすことができる。この追加のガイド領域は、エアナイフの形態、すなわち、液滴Gを横切ることができない境界として機能するエアカーテン、渦形態で構成されたエアリング又は複数のエアジェットの形態で排出することができる。この排出は、それぞれのノズルの出口チャネル126の軸に向けて収束又は発散する。この追加のガイド領域は、個別化された方法、ノズルのグループ、又は、グループ化された方法でノズル12の近傍に動かすことができる。ノズルのグループは、例えば、ノズルの行、ノズルの列、又は、ノズルのマトリックスである。グループ化された方法は、塗布器10の本体14の面に配置された全てのノズルを含む。
【0076】
塗布器10による塗布の堆積を向上させるために、塗布されたコーティング剤のための静電荷システムを提供することができる。このシステムは、内部電荷及び/又は外部電荷を有する。これにより、排出オリフィス127を出る液滴Gを加速させ、地面に結合されたコーティングされる表面に液滴Gを堆積させることができる。このような静電システムを、それぞれのノズル12、行及び列のようなノズルのグループ、ノズルのマトリックス、又は、塗布器10の全てのノズルに設けられた単一の静電システムの形態で設けることができる。
【0077】
上記し、図示したノズル12の上述の数は、単に、情報のためのものである。変形例では、異なる数を用いることもできる。好ましくは、複数の印刷ノズル12は、本体14の第1の面、例えば、面142に設けられ、方法の第1のステップの間に使用される。これらのノズルは、好ましくは、行及び列に配置される。第2のステップのために、1つ又は複数のノズルが別の面、例えば、面146又は147に設けられる。本体14の第1の面に設けられるノズルの数は、他方の面に設けられるノズルの数と異なり、実際には、それよりも多い。
【0078】
変形例では、装置が本発明の方法の両方のステップを実行することができる限り、塗布器10の本体14を多軸ロボット以外の装置によって支持することができる。例えば、クロステーブルを平行六面体のオブジェクトの塗布に使用できる。
【0079】
変形例では、設備Iは、複数の塗布器10を備える。
【0080】
変形例では、本体14は、平行六面体以外の形状を有することができる。
【0081】
別の変形例によると、本体14は、堅固に組み立てられた複数の備品から構成されてもよく、すなわち、互いに対する相対運動は不可能である。
【0082】
印刷ノズル12が組み立てられる本体14の面が平面でない場合、主面π142、π146、π147は、面π127、π´127、π″127と同様に、空間の平均面として規定される。これは、特に、同時に塗装することができる光線によって結合された複数の側面を有する部分を有することができるフレーム又はドア輪郭に塗料又はニスを塗布するために塗布器が使用される場合に当てはまる。
【0083】
本発明は、ストリップを形成するために上記されている。しかしながら、本発明は、他のパターンをコーティングされる任意のオブジェクトに形成する場合にも適用可能である。
【0084】
上記実施例及び変形例を組み合わせて、本発明の新たな実施例としてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6