(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026553
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびそれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/30 20210101AFI20250214BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20250214BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20250214BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20250214BHJP
【FI】
H01M50/30
H01M50/211
H01M50/262 S
H01M50/289 101
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024212376
(22)【出願日】2024-12-05
(62)【分割の表示】P 2022527810の分割
【原出願日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0039762
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョンファ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンキュ・パク
(57)【要約】
【課題】電池モジュール内の発火現象発生時排出される高温の熱と火炎を分散させる電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体;および前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームを含み、前記モジュールフレームの下面にはベンティング部が形成され、前記電池セルは、セル本体;前記セル本体の両端から突出形成された電極リード;および前記電極リードが突出した方向にセルケースから延長形成されたテラス部を含み、前記ベンティング部は前記セル本体より前記テラス部が位置した部分に隣接して形成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;および
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームを含み、
前記モジュールフレームの下面にはベンティング部が形成され、
前記電池セルは、
セル本体;
前記セル本体の両端から突出形成された電極リード;および
前記電極リードが突出した方向にセルケースから延長形成されたテラス部を含み、
前記ベンティング部は、前記テラス部が位置した部分と対応する位置に形成される、電池モジュール。
【請求項2】
前記電池セル積層体の前面および後面にそれぞれ位置する第1エンドプレートおよび第2エンドプレートをさらに含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの下面に形成された孔構造である、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記孔構造は、前記モジュールフレームの下面を斜めに貫通する、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記孔構造は、前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートのうち前記ベンティング部でより遠く位置するエンドプレートに近づく傾斜方向を有する、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの下面に形成されて前記電池セル積層体と対向する流入口、前記流入口を介して流入したガスを排出する排出口および前記流入口と前記排出口を連結する連結部を含む、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記排出口は前記流入口と垂直な方向に形成される、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記連結部は、前記モジュールフレームの下面から突出した形態である、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記ベンティング部は、前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートのうちより遠く位置したエンドプレート方向にガスを排出するように形成された、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートは、前記電池モジュールの固定のためのモジュールマウンティング部を含み、
前記モジュールマウンティング部に支持部材が挿入され、
前記支持部材によってパックフレームの底部から前記モジュールフレームの下面が離隔する、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記モジュールフレームの下面に下向するように突出した支え部材が形成された、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項による電池モジュールを二つ以上含み、
前記電池モジュールのうち第1電池モジュールと第2電池モジュールはそれぞれ互いに対向する面に開口部が形成される、電池パック。
【請求項13】
前記第1電池モジュールの前記ベンティング部は、前記第2電池モジュールが位置した方向と反対方向にガスを排出するように形成された、請求項12に記載の電池パック。
【請求項14】
前記電池モジュールを収容するパックフレームをさらに含み、
前記電池モジュールは、前記パックフレームの底部から離隔した、請求項12に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年4月1日付韓国特許出願第10-2020-0039762号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよびそれを含む電池パックに関し、より詳細には安定性が強化された電池モジュールおよびそれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池はモバイル機器および電気自動車などの多様な製品群においてエネルギ源として多くの関心を集めている。このような二次電池は化石燃料を使用する既存製品の使用に代える有力なエネルギ資源であって、エネルギ使用による副産物が発生せず環境に優しいエネルギ源として脚光を浴びている。
【0004】
最近二次電池のエネルギ貯蔵源としての活用をはじめ大容量二次電池構造に対する必要性が高まるにつれて、多数の二次電池が直列または並列に連結された電池モジュールを集合させた中大型モジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0005】
一方、複数の電池セルを直列または並列に連結して電池パックを構成する場合、複数の電池セルからなる電池モジュールを構成し、少なくとも一つの電池モジュールにその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。このような中大型電池モジュールを構成する電池セルは充放電が可能な二次電池で構成されているので、このような高出力大容量二次電池は充放電過程で多量の熱を発生させる。
【0006】
電池モジュールは複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容するフレーム、前記電池セル積層体の前後面をカバーするエンドプレートを含み得る。
【0007】
図1は従来の電池パックに取り付けられた電池モジュールの発火時の様子を示す図である。
図2は
図1のA-Aに沿って切断した部分であり、従来の電池パックに取り付けられた電池モジュールの発火時隣接する電池モジュールに影響を及ぼす火炎の様子を示す断面図である。
【0008】
図1および
図2を参照すると、従来の電池モジュールは複数の電池セル10が積層形成された電池セル積層体、電池セル積層体を収容するフレーム20、電池セル積層体の前後面に形成されたエンドプレート30、エンドプレート30の外に突出形成された端子バスバー40などを含む。
【0009】
フレーム20とエンドプレート30は溶接により密封されるように結合できる。電池モジュールの過充電時電池セル10の内圧が増加して電池セル10の融着強度の限界値を超える場合、電池セル10で発生した高温の熱、ガスおよび火炎が電池セル10の外部に排出される。
【0010】
この時、高温の熱、ガスおよび火炎はエンドプレート30に形成された開口部を介して排出されるが、エンドプレート30同士が互いに対向するように複数の電池モジュールを配置する電池パック構造において、電池モジュールから噴出した高温の熱、ガスおよび火炎などが隣り合う電池モジュールに影響を及ぼし得る。これにより隣り合う電池モジュールのエンドプレート30に形成された端子バスバー40が損傷する恐れがあり、高温の熱、ガスおよび火炎が隣り合う電池モジュールのエンドプレート30に形成された開口部を介して電池モジュールの内部に入って複数の電池セル10に損傷を負わせ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、電池モジュール内の発火現象発生時排出される高温の熱と火炎を分散させる電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供することにある。
【0012】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体;および前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームを含み、前記モジュールフレームの下面にはベンティング部が形成され、前記電池セルは、セル本体;前記セル本体の両端から突出形成された電極リード;および前記電極リードが突出した方向にセルケースから延長形成されたテラス部を含み、前記ベンティング部は前記セル本体より前記テラス部が位置した部分に隣接して形成される。
【0014】
前記ベンティング部は前記テラス部が位置した部分と対応する位置に形成され得る。
【0015】
前記電池セル積層体の前面および後面にそれぞれ位置する第1エンドプレートおよび第2エンドプレートをさらに含み得る。
【0016】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの下面に形成された孔構造であり得る。
【0017】
前記孔構造は、前記モジュールフレームの下面を斜めに貫通し得る。
【0018】
前記孔構造は、前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートのうち前記ベンティング部でより遠く位置するエンドプレートに近づく傾斜方向を有し得る。
【0019】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの下面に形成されて前記電池セル積層体と対向する流入口、前記流入口を介して流入したガスを排出する排出口および前記流入口と前記排出口を連結する連結部を含み得る。
【0020】
前記排出口は前記流入口と垂直な方向に形成され得る。
【0021】
前記連結部は前記モジュールフレームの下面から突出した形態であり得る。
【0022】
前記ベンティング部は、前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートのうちより遠く位置したエンドプレート方向にガスを排出するように形成され得る。
【0023】
前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートは、前記電池モジュールの固定のためのモジュールマウンティング部を含み、前記モジュールマウンティング部に支持部材が挿入され、前記支持部材によってパックフレームの底部から前記モジュールフレームの下面が離隔し得る。
【0024】
前記モジュールフレームの下面に下向するように突出した支え部材が形成され得る。
【0025】
本発明の一実施形態による電池パックは、前記電池モジュールを二つ以上含み、前記電池モジュールのうち第1電池モジュールと第2電池モジュールはそれぞれ互いに対向する面に開口部が形成され得る。
【0026】
前記第1電池モジュールの前記ベンティング部は、前記第2電池モジュールが位置した方向と反対方向にガスを排出するように形成され得る。
【0027】
前記電池モジュールを収容するパックフレームをさらに含み、前記電池モジュールは前記パックフレームの底部から離隔し得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態による電池モジュールおよびそれを含む電池パックは、モジュールフレームの下面に形成されたベンティング部を介して電池モジュールの発火時発生する高温の熱、ガスおよび火炎を分散させることによって、前記電池モジュールと対向する電池モジュールのターミナル端子および複数の電池セルの部分に加えられる損傷を最小化させることができる。
【0029】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来の電池パックに取り付けられた電池モジュールの発火時の様子を示す図である。
【
図2】
図1のA-Aに沿って切断した部分であり、従来の電池パックに取り付けられた電池モジュールの発火時隣接する電池モジュールに影響を及ぼす火炎の様子を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電池モジュールに係る分解斜視図である。
【
図4】
図3の電池モジュールに含まれた電池セルに係る斜視図である。
【
図5】
図3の電池モジュールが結合された様子を示す斜視図である。
【
図6】
図5の電池モジュールの下面を示す平面図である。
【
図7】
図5の切断線「B」を沿って切断した断面図である。
【
図8】本発明の変形された実施形態による電池モジュールの断面図である。
【
図9】本発明の変形された実施形態による電池モジュールの断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態による電池モジュールがパックフレームに取り付けられた様子を示す斜視図である。
【
図11(a)】支え部材が形成された電池モジュールに係る断面図である。
【
図11(b)】支え部材が形成された電池モジュールに係る断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態による電池パックを上から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付する図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0032】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。
【0033】
また、図面に示す各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜上任意に示すので、本発明は必ずしも示されたところに限定されない。図面で複数の層および領域を明確に表現するために厚さを誇張して示す。そして図面で、説明の便宜上一部の層および領域の厚さを誇張して示す。
【0034】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」または「の上に」あるという時、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。逆にある部分が他の部分の「すぐ上に」あるという時には中間に他の部分が存在しないことを意味する。また、基準になる部分「上に」または「の上に」あるというのは基準になる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の逆方向に向かって「の上に」または「上に」位置することを意味するものではない。
【0035】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0036】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0037】
以下、
図3ないし
図7を参照して本発明の一実施形態による電池モジュールについて説明する。
【0038】
図3は本発明の一実施形態による電池モジュールに係る分解斜視図である。
図4は
図3の電池モジュールに含まれた電池セルに係る斜視図である。
図5は
図3の電池モジュールが結合された様子を示す斜視図である。
図6は
図5の電池モジュールの下面を示す平面図である。
図7は
図5の切断線「B」を沿って切断した断面図である。
【0039】
図3ないし
図7を参照すると、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体120および電池セル積層体120を収容するモジュールフレーム200を含み、モジュールフレーム200の下面にはベンティング部400が形成される。本明細書におけるベンティング部とは、電池モジュール100内部の熱やガスを排出するための部分を意味する。
【0040】
図4を参照すると、電池セル110はパウチ型電池セルであることが好ましい。例えば、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111,112が互いに対向してセル本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。より詳細には電極リード111,112は電極組立体(図示せず)と連結され、電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。
【0041】
一方、電池セル110は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態でセルケース114の両端部114a,114bとこれらを連結する一側部114cを接着することにより製造できる。すなわち、本実施形態による電池セル110は、総3ケ所のシーリング部114sa,114sb,114scを有し、シーリング部114sa,114sb,114scは熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、残りの他の一側部は連結部115からなる。セルケース114は樹脂層と金属層を含むラミネートシートからなる。
【0042】
また、連結部115は電池セル110の一縁に沿って長く延び得、連結部115の端部にはバットイヤー(bat-ear)と呼ばれる電池セル110の突出部110pが形成される。また、突出した電極リード111,112を間に置いてセルケース114が密封され、電極リード111,112とセル本体113の間にテラス部116が形成される。すなわち、電池セル110は、電極リード111,112が突出した方向にセルケース114から延長形成されたテラス部116を含む。
【0043】
電池セル110は複数で構成でき、複数の電池セル110は相互電気的に接続されるように積層されて電池セル積層体120を形成できる。電池セル積層体120の上側には上部プレート130が位置し得、電極リード111,112が突出した方向である電池セル積層体120の前面と後面にはそれぞれバスバーフレーム140が位置し得る。電池セル積層体120、上部プレート130およびバスバーフレーム140はモジュールフレーム200に共に収容され得る。
【0044】
電池セル積層体120とモジュールフレーム200の下面の間には熱伝導性樹脂が注液され得、注液された熱伝導性樹脂により電池セル積層体120とモジュールフレーム200の下面の間に熱伝導性樹脂層(図示せず)が形成される。モジュールフレーム200を介してモジュールフレーム200の内部に収容された電池セル積層体120およびこれと連結された電装品を外部の物理的衝撃から保護できる。
【0045】
バスバーフレーム140は電池セル積層体120の前面と後面にそれぞれ位置し、電池セル積層体120をカバーすると同時に電池セル積層体120と外部機器との連結を案内できる。具体的には、バスバーフレーム140にはバスバー141および端子バスバー142が取り付けられる。電池セル110の電極リード111,112がバスバーフレーム140に形成されたスリットを通過した後曲がってバスバー141や端子バスバー142と接合され得る。バスバー141を介して電池セル積層体120を構成する電池セル110が直列または並列連結され得、電池モジュール100の外部に露出する端子バスバー142を介して外部機器や回路と電池セル110が電気的に接続され得る。また、バスバーフレーム140にコネクタ(図示せず)が取り付けられ、センシングアセンブリ(図示せず)により測定された電池セル110の温度や電圧データがコネクタ(図示せず)を介して外部BMS(Battery Management System )などに伝達される。
【0046】
エンドプレート301,302は電池セル積層体120の前面と後面をカバーするように形成される。具体的には、電池セル積層体120の前面および後面それぞれに第1エンドプレート301と第2エンドプレート302が位置する。エンドプレート301,302は外部の衝撃からバスバーフレーム140およびこれと連結された様々な電装品を保護でき、これのために所定の強度を有さなければならず、アルミニウムのような金属を含み得る。
【0047】
エンドプレート301,302にはバスバーフレーム140に取り付けられた端子バスバー142およびコネクタ(図示せず)が外部と連結されるための端子バスバー開口部320およびコネクタ開口部330が形成され、開口部320,330を介して電池セル110から発生したガスや熱が電池モジュール100の外部に排出され得る。エンドプレート301,302とモジュールフレーム200は溶接で結合され、モジュールフレーム200およびエンドプレート300の内部に位置する複数の電池セル110は、溶接により密封されたエンドプレート300とモジュールフレーム200の結合構造により、上述した開口部320,330を除いては外部との連結が遮断される。
【0048】
従来の電池モジュールは、上述したように、開口部を介して電池セルで発生した高温の熱、ガスまたは火炎が排出される。しかし、エンドプレート同士が互いに対向するように複数の電池モジュールを配置する電池パック構造において、電池モジュールから噴出した高温の熱、ガスおよび火炎などが隣り合う電池モジュールを損傷させ得る。
【0049】
そのため、本実施形態によるモジュールフレーム200の下面にベンティング部400が形成され、開口部320,330を介して排出される熱、ガスおよび火炎などを分散させることができる。このようなベンティング部400はモジュールフレーム200の下面に形成された孔構造であり得る。ベンティング部400を介して電池モジュール100内部の排出経路を多様化させて発火時電池モジュール100の一部分へのみ排出が集中する現象を防止して高温の熱、ガスおよび火炎の排出を分散させることができる。
【0050】
また、ベンティング部400はセル本体113よりテラス部116が位置した部分に隣接して形成される。電池セル110のうち電極リード111,112およびそれと隣接するテラス部116に熱が多く発生し、また、テラス部116が電池モジュール100内部の圧力変化によって密封が解除されて高温の熱、ガスおよび火炎が排出される。この時、本実施形態によるベンティング部400がセル本体113よりテラス部116が位置した部分に隣接して形成されることによって、高温の熱、ガスおよび火炎を即刻に電池モジュール100外部に排出できる。一例として、ベンティング部400はテラス部116と対応する位置に形成される。
【0051】
一方、本発明の実施形態によるベンティング部400はモジュールフレーム200の下面に形成されるので、空気中に漂う異物がベンティング部400を介して電池モジュール100の内部に入る現象を防止できる。
【0052】
以下、
図8および
図9とともに、本発明の変形された実施形態によるベンティング部500,600について説明する。
【0053】
図8および
図9はそれぞれ本発明の変形された実施形態による電池モジュールの断面図である。
【0054】
図8および
図9を
図3と共に参照すると、本実施形態によるベンティング部500,600は第1エンドプレート301と第2エンドプレート302のうちより遠く位置したエンドプレート方向にガスを排出するように形成される。
図8と
図9に示すように第1エンドプレート301と近く位置するベンティング部500,600はより遠く位置した第2エンドプレート302方向にガスを排出するように形成できる。
【0055】
テラス部116が位置した部分と対応する位置にベンティング部500,600が形成されるが、第1エンドプレート301が、電池セル積層体120を基準として向かい側の部分に位置した第2エンドプレート302よりさらに近いので、第1エンドプレート301方向にガスが排出される場合、第1エンドプレート301と隣接する他の電池モジュールに高温の熱、ガスおよび火炎が放出されて損傷を負わせ得る。これを防止するために第2エンドプレート302方向にガスを排出するようにベンティング部500,600が形成されることが好ましい。これは以下の
図12で再度説明する。
【0056】
図8を参照すると、ベンティング部500はモジュールフレーム200の下面に形成された孔構造であり得、さらにモジュールフレーム200の下面を斜めに貫通する孔構造であり得る。
【0057】
具体的には、斜めに貫通したベンティング部500の内側流入口は外側排出口より第1エンドプレート301に近く形成され、外側排出口は内側流入口より第2エンドプレート302に近く形成される。すなわち、ベンティング部500は第1エンドプレート301と第2エンドプレート302のうちベンティング部500でより遠く位置するエンドプレートに近づく傾斜方向を有することができる。
【0058】
前記のような構造を設け、ベンティング部500を介して排出される熱やガスに自然に方向性を付与できる。すなわち、より遠く位置した第2エンドプレート302方向にガスを排出するように誘導でき、これにより第1エンドプレート301と隣接する他の電池モジュールの損傷を防止できる。
【0059】
また、本実施形態によるベンティング部500は貫通した孔構造として別途の追加空間を必要とせず、モジュールフレーム200を貫通するだけで簡単に排出されるガスの方向性を付与できるという長所がある。
【0060】
次に、
図9を参照すると、ベンティング部600は、モジュールフレーム200の下面に形成されて電池セル積層体の積層方向による電池セル一面と対向する流入口610、流入口610を介して流入したガスを排出する排出口620および流入口610と排出口620を連結する連結部630を含み得る。
【0061】
排出口620は流入口610と垂直な方向に形成される。また、連結部630はモジュールフレーム200の下面から突出した形態を形成でき、傾斜するように形成される。そのため、排出口620もモジュールフレーム200の下面の外側に形成される。
【0062】
前記のような構造により、本実施形態によるベンティング部600は電池モジュール内部の熱やガスをより確実に第2エンドプレート302方向に誘導できる。すなわち、熱やガスの方向性をより確実に付与できるという長所を有する。また、連結部630が一種の蓋の役割をして、外部の異物が電池モジュール内部に入ることを遮断できる。
【0063】
図10は本発明の一実施形態による電池モジュールがパックフレーム1100に取り付けられた様子を示す斜視図である。
【0064】
図10を
図5とともに参照すると、電池モジュール100を電池パックのパックフレーム1100に取り付けおよび固定できるようにエンドプレート301,302にモジュールマウンティング部310が形成される。モジュールマウンティング部310の個数には制限がないが、電池モジュール100の安定した取り付けのために第1エンドプレート301の両側に2個および第2エンドプレート302の両側に2個、合計4個が形成されることが好ましい。
【0065】
モジュールマウンティング部310に支持部材340が挿入される。具体的には、モジュールマウンティング部310にマウンティングホール311が形成され、支持部材340がマウンティングホール311に挿入される。パックフレーム1100の底部1110には貫通口が形成され、マウンティングホール311を通過した支持部材340の一端が底部1110の貫通口と結合される。一例として、支持部材340の一端はボルト形状に設けられ、底部1110のナット形状の貫通口と結合される。しかし、前記結合はボルトおよびナット結合に限定されず、多様な実施形態により具現できる。
【0066】
一方、支持部材340はモジュールマウンティング部310のマウンティングホール311に挿入されるように円筒形の棒形態であり得る。また、支持部材340の前記一端と対向する他端にヘッド部341が形成される。ヘッド部341はマウンティングホール311より広い半径で形成され、マウンティングホール311に挿入されず、エンドプレート301,302を底部1110に密着および固定させることができる。これにより電池モジュール100がパックフレーム1100に取り付けおよび固定されることができる。
【0067】
この時、支持部材340は高さを多少長く設定し、モジュールフレーム200の下面がパックフレーム1100の底部1110から所定の間隔d1だけ離隔するようにすることが好ましい。また、一例として、具体的に図示していないが、支持部材340を囲むナットなどの固定部材をマウンティング部310の下端に設け、エンドプレート301,302をはじめ電池モジュール100が下へ移動することを防止できる。すなわち、所定の間隔d1だけの離隔距離を維持する前記固定部材が設けられる。
【0068】
本発明で、モジュールフレーム200の下面にベンティング部400,500,600が形成されて前記下面を介して熱やガスの排出されるので、前記下面をパックフレーム1100の底部1110から離隔させて熱やガスが排出される空間を設けることが好ましい。
【0069】
特に、
図8および
図9のベンティング部500,600は、第1エンドプレート301から第2エンドプレート302方向に排出を誘導するので、上記のようにモジュールフレーム200の下面が離隔することが好ましい。また、
図9のベンティング部600は連結部630と排出口620が突出した構造を形成するのでモジュールフレーム200の下面が離隔することがより好ましい。
【0070】
図11aおよび
図11bは、本発明の変形実施形態で、それぞれ支え部材210が形成された電池モジュールに係る断面図である。
【0071】
図11aおよび
図11bを参照すると、モジュールフレーム200の下面に下向するように突出した支え部材210が形成される。
【0072】
支え部材210により電池モジュールがパックフレームに取り付けられる時、モジュールフレーム200の下面がパックフレームの底部から離隔するようにすることができる。そのため、熱やガスが排出される空間が設けられ、排出された熱やガスが第1エンドプレート301から第2エンドプレート302方向への移動が容易である。
【0073】
支え部材210の個数は特に制限はないが、電池モジュールを安定的に支えるために複数であることが好ましく、モジュールフレーム200の下面のすべての領域に均等に配置されることがより好ましい。
【0074】
説明の便宜上
図11aおよび
図11bで、ベンティング部500,600と支え部材210を共に示すが、熱やガスの経路を考慮して支え部材210はベンティング部500,600とずれて形成されることが好ましい。具体的には、セル本体113の面と平行な方向(
図5のx軸と平行な方向)に対してベンティング部500,600の位置と支え部材210の位置が互いに一致しないことが好ましい。支え部材210がベンティング部500,600から排出された熱やガスを遮ることを防ぐためである。
【0075】
支え部材210の素材や形成方法に格別な制限はなく、電池モジュールを支えるように所定の強度を有することが好ましい。支え部材210はモジュールフレーム200と一体化した構成であり得、これとは異なり金属などの部材をモジュールフレーム200の下面に接合して形成された構成でもあり得る。
【0076】
一方、前述した本発明の実施形態によるベンティング部400,500,600の個数に格別な制限はなく、一つであってもよく、または複数で構成されてもよい。ただし、ベンティング部400,500,600が複数で形成される場合、電池セル積層体120を構成する電池セル110のテラス部116の位置と対応するように、電池セル110が積層される方向と平行な方向に沿って配列されることが好ましい。ここで電池セル110が積層される方向とはセル本体113の面と垂直な方向、すなわち
図5でy軸と平行な方向を意味する。
【0077】
図3を再び参照すると、本発明によるモジュールフレーム200はモノフレームの構造またはU字型フレームに上部カバーが結合された構造であり得る。
【0078】
まず、モノフレームは上面、下面および両側面が一体化した金属板材の形態であり得、押出成形で製造されることができる。
【0079】
次に、U字型フレームに上部カバーが結合された構造の場合、下面および両側面が一体化した金属板材のU字型フレームの上側に上部カバーを結合して形成され、プレス成形により製造されることができる。
【0080】
図7や
図8に示すように、孔構造のベンティング部400,500は押出成形で製造されたモノフレームやプレス成形により製造されたU字型フレームにすべて適用できる。
【0081】
反面、
図9に示すように、突出した構造のベンティング部600は押出成形により製造されたモノフレームよりはプレス成形により製造されたU字型フレームで具現されることが容易である。ただし、突出した構造のベンティング部600を形成することにおいて、モジュールフレーム200の下面に貫通した孔を形成して連結部630と排出口620を前記下面に接合して形成することができる。この場合、このようなベンティング部600は押出成形により製造されたモノフレームにも適用可能である。
【0082】
図12は本発明の一実施形態による電池パック1000を上から見た平面図である。
【0083】
図12を参照すると、本発明の一実施形態による電池パック1000は、先立って説明した電池モジュール100a,100bを二つ以上含み得る。
【0084】
電池モジュール100a,100bはパックフレーム1100に収容され、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に取り付けられる。
【0085】
第1電池モジュール100aと第2電池モジュール100bはそれぞれ互いに対向する面に開口部320a,330a,320b,330bが形成される。
【0086】
具体的には、第1電池モジュール100aの第1エンドプレート301aと第2電池モジュール100bの第1エンドプレート301bが互いに対向する。この時、第1電池モジュール100aの第1エンドプレート301aに端子バスバー開口部320aおよびコネクタ開口部330aが形成される。また、第2電池モジュール100bの第1エンドプレート301bに端子バスバー開口部320bおよびコネクタ開口部330bが形成される。
【0087】
本実施形態による電池モジュール100a,100bは下面に先立って説明したベンティング部を設けることによって、開口部320a,330a,320b,330bを介して排出される熱、ガスおよび火炎などを減らすことができる。
【0088】
また、電池モジュール100a,100bに
図8や
図9に示すベンティング部500,600を設ける。そのため、第1電池モジュール100aは第2電池モジュール100bが位置した方向と反対方向に熱、ガスおよび火炎などが排出されるように誘導でき、第2電池モジュール100bは第1電池モジュール100aが位置した方向と逆方向に熱、ガスおよび火炎などが排出されるように誘導できる。すなわち、対向する電池モジュール100a,100bの間に加えられる損傷を最小化できる。
【0089】
また、本実施形態による電池モジュール100a,100bは、パックフレーム1100の底部1110から離隔し得る。具体的には、電池モジュール100a,100bが
図10に示されたモジュールマウンティング部310と支持部材340を含むか
図11aおよび11bに示された支え部材210を含み得る。そのため、電池パック1000の内部に熱、ガスおよび火炎などが排出される空間が設けられる。
【0090】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されているが、このような用語は説明の便宜のためのものであり、対象になる事物の位置や観測者の位置などによって変わる。
【0091】
前述した本実施形態による電池モジュールや電池パックは多様なデバイスに適用できる。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段に適用できるが、これに制限されず、二次電池を使用できる多様なデバイスへの適用が可能である。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【0093】
さらに、本発明では以下の例を含むことも好ましい。
[項1]
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;および
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームを含み、
前記モジュールフレームの下面にはベンティング部が形成され、
前記電池セルは、
セル本体;
前記セル本体の両端から突出形成された電極リード;および
前記電極リードが突出した方向にセルケースから延長形成されたテラス部を含み、
前記ベンティング部は、前記セル本体よりも前記テラス部が位置した部分に隣接して形成される、電池モジュール。
[項2]
前記ベンティング部は、前記テラス部が位置した部分と対応する位置に形成される、項1に記載の電池モジュール。
[項3]
前記電池セル積層体の前面および後面にそれぞれ位置する第1エンドプレートおよび第2エンドプレートをさらに含む、項1に記載の電池モジュール。
[項4]
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの下面に形成された孔構造である、項3に記載の電池モジュール。
[項5]
前記孔構造は、前記モジュールフレームの下面を斜めに貫通する、項4に記載の電池モジュール。
[項6]
前記孔構造は、前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートのうち前記ベンティング部でより遠く位置するエンドプレートに近づく傾斜方向を有する、項5に記載の電池モジュール。
[項7]
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの下面に形成されて前記電池セル積層体と対向する流入口、前記流入口を介して流入したガスを排出する排出口および前記流入口と前記排出口を連結する連結部を含む、項3に記載の電池モジュール。
[項8]
前記排出口は前記流入口と垂直な方向に形成される、項7に記載の電池モジュール。
[項9]
前記連結部は、前記モジュールフレームの下面から突出した形態である、項7に記載の電池モジュール。
[項10]
前記ベンティング部は、前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートのうちより遠く位置したエンドプレート方向にガスを排出するように形成された、項3に記載の電池モジュール。
[項11]
前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートは、前記電池モジュールの固定のためのモジュールマウンティング部を含み、
前記モジュールマウンティング部に支持部材が挿入され、
前記支持部材によってパックフレームの底部から前記モジュールフレームの下面が離隔する、項3に記載の電池モジュール。
[項12]
前記モジュールフレームの下面に下向するように突出した支え部材が形成された、項1に記載の電池モジュール。
[項13]
項1~12のいずれか一項による電池モジュールを二つ以上含み、
前記電池モジュールのうち第1電池モジュールと第2電池モジュールはそれぞれ互いに対向する面に開口部が形成される、電池パック。
[項14]
前記第1電池モジュールの前記ベンティング部は、前記第2電池モジュールが位置した方向と反対方向にガスを排出するように形成された、項13に記載の電池パック。
[項15]
前記電池モジュールを収容するパックフレームをさらに含み、
前記電池モジュールは、前記パックフレームの底部から離隔した、項13に記載の電池パック。
【符号の説明】
【0094】
100,100a、100b 電池モジュール
110 電池セル
111,112 電極リード
113 セル本体
116 テラス部
120 電池セル積層体
200 モジュールフレーム
301 第1エンドプレート
302 第2エンドプレート
310 モジュールマウンティング部
400,500,600 ベンティング部
1000 電池パック
1100 パックフレーム
【外国語明細書】