(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026554
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20250214BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024212378
(22)【出願日】2024-12-05
(62)【分割の表示】P 2022504747の分割
【原出願日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020038882
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】米田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】井上 広樹
(72)【発明者】
【氏名】根来 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(57)【要約】
【課題】画像処理を行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】画像認識機能などの付加機能を備えた撮像装置。当該撮像装置は、マトリクス状に配列されたセル(画素)が、撮像データを取得する機能と、重みデータを保持する機能と、を有する。マトリクス状に配列されたセルのうち、一部のセルが撮像データを取得し、残りのセルにより重みデータを保持する。そして、撮像データと、重みデータと、を用いた演算を行う。例えば、撮像データと、重みデータと、の積を全ての撮像データに対して算出し、当該算出した積を合計する演算を行うことができる。つまり、積和演算を行うことができる。演算結果を、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などのニューラルネットワークなどに取り込むことで、撮像データに対して画像処理を行うことができるため、付加機能を使用することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に複数のセルが配置されたセルアレイと、論理回路と、を有し、
前記セルは、光電変換素子を有し、
前記セルは、前記光電変換素子を用いて撮像データを取得する機能を有し、
前記セルは、重みデータを保持する機能を有し、
前記論理回路は、前記セルが取得した前記撮像データと、前記撮像データを取得した前記セルとは異なる前記セルに保持された前記重みデータと、を用いて演算を行う機能を有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、撮像装置、および電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、表示装置、撮像装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
基板上に形成された酸化物半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。例えば、酸化物半導体を有するオフ電流が極めて低いトランジスタを画素回路に用いる構成の撮像装置が特許文献1に開示されている。
【0005】
また、撮像装置に演算機能を付加する技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-119711号公報
【特許文献2】特開2016-123087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CMOSイメージセンサなどの固体撮像素子を備える撮像装置では、技術発展により高画質な画像を容易に撮像できるようになっている。次世代においては、例えば撮像した画像に対して画像処理を行うことなどにより、画像認識機能などの様々な付加機能を撮像装置に搭載することが求められている。
【0008】
したがって、本発明の一態様では、画像処理を行うことができる撮像装置を提供することを課題の一つとする。または、低消費電力の撮像装置を提供することを課題の一つとする。または、高速に駆動させることができる撮像装置を提供することを課題の一つとする。または、小型の撮像装置を提供することを課題の一つとする。または、信頼性の高い撮像装置を提供することを課題の一つとする。または、光の検出感度が高い撮像装置を提供することを課題の一つとする。または、新規な撮像装置などを提供することを課題の一つとする。または、上記撮像装置などの駆動方法を提供することを課題の一つとする。または、新規な半導体装置などを提供することを課題の一つとする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、マトリクス状に複数のセルが配置されたセルアレイと、論理回路と、を有し、セルは、光電変換素子を有し、セルは、光電変換素子を用いて撮像データを取得する機能を有し、セルは、重みデータを保持する機能を有し、論理回路は、セルが取得した撮像データと、撮像データを取得したセルとは異なるセルに保持された重みデータと、を用いて演算を行う機能を有する撮像装置である。
【0011】
または、上記態様において、論理回路は、撮像データと、重みデータと、の積を算出する機能を有してもよい。
【0012】
または、本発明の一態様は、マトリクス状に複数のセルが配置されたセルアレイと、論理回路と、を有し、セルは、光電変換素子を有し、セルは、光電変換素子を用いて撮像データを取得する機能を有し、セルは、重みデータを保持する機能を有し、論理回路は、複数のセルのうち、第1のセルが第1の撮像データを取得し、第2のセルが第2の撮像データを取得し、第3のセルが第1の重みデータを保持し、第4のセルが第2の重みデータを保持している場合に、第1の撮像データと、第2の撮像データと、第1の重みデータと、第2の重みデータと、を用いて演算を行う機能を有する撮像装置である。
【0013】
または、上記態様において、論理回路は、第1の撮像データと第1の重みデータの積と、第2の撮像データと第2の重みデータの積と、の和を算出する機能を有してもよい。
【0014】
または、上記態様において、撮像装置は、読み出し回路を有し、セルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、を有し、光電変換素子の一方の電極は、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、論理回路と電気的に接続され、第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、読み出し回路と電気的に接続され、セルは、第2のトランジスタのソースおよびドレインを介して供給された重みデータを保持する機能を有し、セルは、撮像データを、第3のトランジスタのソースもしくはドレインの他方、または第4のトランジスタのソースもしくはドレインの他方から出力する機能を有し、セルは、重みデータを、第3のトランジスタのソースもしくはドレインの他方から出力する機能を有してもよい。
【0015】
または、上記態様において、セルは、第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方から、撮像データを二値のデータとして出力する機能を有し、セルは、第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方から、重みデータを二値のデータとして出力する機能を有してもよい。
【0016】
または、上記態様において、第1のトランジスタ、および第2のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Ge、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と、を有してもよい。
【0017】
または、上記態様において、着色層を有し、第1乃至第4のトランジスタの少なくとも一と、光電変換素子と、着色層と、は互いに重なる領域を有し、着色層は、マイクロレンズの機能を有してもよい。
【0018】
または、上記態様において、論理回路は、第5のトランジスタを有し、第5のトランジスタと、第1乃至第4のトランジスタの少なくとも一と、光電変換素子と、着色層と、は互いに重なる領域を有してもよい。
【0019】
または、上記態様において、撮像装置は、読み出し回路と、A/D変換回路と、を有し、セルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、を有し、光電変換素子の一方の電極は、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第5のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、読み出し回路と電気的に接続され、第5のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、A/D変換回路と電気的に接続され、A/D変換回路は、論理回路と電気的に接続され、第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方には、第1の電位が供給され、第5のトランジスタのソースまたはドレインの他方には、第2の電位が供給され、セルは、第2のトランジスタのソースおよびドレインを介して供給された重みデータを保持する機能を有し、セルは、撮像データを、第3のトランジスタのソースもしくはドレインの一方、または第4のトランジスタのソースもしくはドレインの他方から出力する機能を有し、セルは、重みデータを、第3のトランジスタのソースもしくはドレインの一方から出力する機能を有してもよい。
【0020】
または、上記態様において、第1のトランジスタ、および第2のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Ge、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と、を有してもよい。
【0021】
または、上記態様において、着色層を有し、第1乃至第5のトランジスタの少なくとも一と、光電変換素子と、着色層と、は互いに重なる領域を有し、着色層は、マイクロレンズの機能を有してもよい。
【0022】
または、上記態様において、論理回路は、第6のトランジスタを有し、第6のトランジスタと、第1乃至第5のトランジスタの少なくとも一と、光電変換素子と、着色層と、は互いに重なる領域を有してもよい。
【0023】
本発明一態様の撮像装置と、表示部と、を有する電子機器も、本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様を用いることで、画像処理を行うことができる撮像装置を提供することができる。または、低消費電力の撮像装置を提供することができる。または、高速に駆動させることができる撮像装置を提供することができる。または、小型の撮像装置を提供することができる。または、信頼性の高い撮像装置を提供することができる。または、光の検出感度が高い撮像装置を提供することができる。または、新規な撮像装置などを提供することができる。または、上記撮像装置などの駆動方法を提供することができる。または、新規な半導体装置などを提供することができる。
【0025】
なお、本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば、明細書、図面などの記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、および/または他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有するものである。したがって本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、撮像装置の構成例を説明するブロック図である。
【
図3】
図3は、演算回路の構成例を説明する回路図である。
【
図7】
図7は、撮像装置の構成例を説明する回路図である。
【
図8】
図8は、撮像装置の駆動方法の一例を説明するタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、撮像装置の駆動方法の一例を説明する図である。
【
図10】
図10は、撮像装置の駆動方法の一例を説明するタイミングチャートである。
【
図11】
図11は、撮像装置の駆動方法の一例を説明する回路図である。
【
図13】
図13は、演算回路の構成例を説明する回路図である。
【
図14】
図14は、撮像装置の構成例を説明する回路図である。
【
図15】
図15は、撮像装置の駆動方法の一例を説明するタイミングチャートである。
【
図16】
図16は、撮像装置の駆動方法の一例を説明するタイミングチャートである。
【
図29】
図29AはIGZOの結晶構造の分類を説明する図である。
図29BはCAAC-IGZO膜のXRDスペクトルを説明する図である。
図29CはCAAC-IGZO膜の極微電子線回折パターンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0028】
また、回路図上では単一の要素として図示されている場合であっても、機能的に不都合がなければ、当該要素が複数で構成されてもよい。例えば、スイッチとして動作するトランジスタは、複数が直列または並列に接続されてもよい場合がある。また、キャパシタを分割して複数の位置に配置する場合もある。
【0029】
また、一つの導電体が、配線、電極および端子のような複数の機能を併せ持っている場合があり、本明細書においては、同一の要素に対して複数の呼称を用いる場合がある。また、回路図上で要素間が直接接続されているように図示されている場合であっても、実際には当該要素間が複数の導電体を介して接続されている場合があり、本明細書ではこのような構成でも直接接続の範疇に含める。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である撮像装置について説明する。
【0031】
本発明の一態様は、画像認識機能などの付加機能を備えた撮像装置である。当該撮像装置は、マトリクス状に配列された画素が、撮像データを取得する機能と、重みデータを保持する機能と、を有する。マトリクス状に配列された画素のうち、一部の画素が撮像データを取得し、残りの画素により重みデータを保持する。そして、撮像データと、重みデータと、を用いた演算を行う。例えば、撮像データと、重みデータと、の積を全ての撮像データに対して算出し、当該算出した積を合計する演算を行うことができる。つまり、積和演算を行うことができる。演算結果を、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などのニューラルネットワークなどに取り込むことで、撮像データに対して画像処理を行うことができるため、付加機能を使用することができる。
【0032】
<撮像装置の構成例_1>
図1は、本発明の一態様の撮像装置である撮像装置10の構成例を説明するブロック図である。撮像装置10には、セル12がm行n列(m、nは1以上の整数)のマトリクス状に配列されてセルアレイ11が構成されている。また、撮像装置10は、ロードライバ回路13と、データ生成回路14と、読み出し回路16と、演算回路17と、トランジスタ27と、を有する。なお、
図1に示す各回路は、単一の回路構成に限らず、複数の回路で構成される場合がある。または、上記いずれか複数の回路が統合されていてもよい。
【0033】
本明細書などにおいて、例えば1行1列目のセル12をセル12[1,1]と記載し、m行n列目のセル12をセル12[m,n]と記載する。
【0034】
ロードライバ回路13は、配線35を介してセル12と電気的に接続される。ここで、例えば同一行のセル12は、同一の配線35を介してロードライバ回路13と電気的に接続することができる。本明細書などにおいて、例えば1行目のセル12と電気的に接続される配線35を配線35[1]と記載し、2行目のセル12と電気的に接続される配線35を配線35[2]と記載し、m行目のセル12と電気的に接続される配線35を配線35[m]と記載する。なお、他の配線などについても同様の記載をする場合がある。
【0035】
データ生成回路14は、配線43を介してセル12と電気的に接続される。ここで、例えば同一列のセル12は、同一の配線43を介してデータ生成回路14と電気的に接続することができる。本明細書などにおいて、例えば1列目のセル12と電気的に接続される配線43を配線43[1]と記載し、2列目のセル12と電気的に接続される配線43を配線43[2]と記載し、n列目のセル12と電気的に接続される配線43を配線43[n]と記載する。なお、他の配線などについても同様の記載をする場合がある。
【0036】
読み出し回路16は、配線45を介してセル12と電気的に接続される。ここで、例えば同一列のセル12は、同一の配線45を介して読み出し回路16と電気的に接続することができる。
【0037】
演算回路17は、配線44を介してセル12と電気的に接続される。ここで、例えばセル12ごとに異なる配線44と電気的に接続することができる。本明細書などにおいて、例えばセル12[1,1]と電気的に接続される配線44を配線44[1,1]と記載し、セル12[m,n]と電気的に接続される配線44を配線44[m,n]と記載する。なお、他の配線などについても同様の記載をする場合がある。
【0038】
トランジスタ27のソースまたはドレインの一方は、配線45と電気的に接続される。トランジスタ27のソースまたはドレインの他方は、配線47と電気的に接続される。トランジスタ27のゲートは、配線37と電気的に接続される。ここで、例えば配線45[1]と電気的に接続されるトランジスタ27をトランジスタ27[1]と記載し、配線45[2]と電気的に接続されるトランジスタ27をトランジスタ27[2]と記載し、配線45[n]と電気的に接続されるトランジスタ27をトランジスタ27[n]と記載する。
【0039】
配線47は、電源線としての機能を有する。例えば、配線47には、低電位を供給することができる。また、配線37は、トランジスタ27の導通/非導通を制御する信号線としての機能を有する。
【0040】
セル12は、光電変換素子を有し、当該光電変換素子を用いて撮像データを取得する機能を有する。つまり、セル12は、画素としての機能を有する。また、詳細は後述するが、セル12は、データ生成回路14が生成した重みデータを保持する機能を有する。よって、セル12は、メモリとしての機能を有する。
【0041】
本明細書等において、「素子」という用語は、「デバイス」という用語に言い換えることができる場合がある。例えば、「光電変換素子」は、「光電変換デバイス」と言い換えることができる。
【0042】
ロードライバ回路13は、セル12を選択する機能を有する。ロードライバ回路13は、例えば、撮像データを読み出すセル12を選択する機能を有する。ロードライバ回路13は、例えば選択信号を生成し、生成した選択信号を配線35を介してセル12に供給することにより、セル12を選択する機能を有する。よって、配線35は、信号線としての機能を有する。
【0043】
データ生成回路14は、重みデータを生成する機能を有する。生成された重みデータは、配線43を介してセル12に供給され、保持される。具体的には、撮像データを取得していないセル12に重みデータが供給され、保持される。また、データ生成回路14は、セル12が撮像動作の前に行うリセット動作の際にセル12に供給するデータである、リセットデータを生成し、配線43を介してセル12に供給する機能を有する。以上より、配線43は、データ線としての機能を有する。
【0044】
読み出し回路16は、カラムドライバ回路を有する。カラムドライバ回路は、撮像データを読み出すセル12を選択する機能を有する。また、読み出し回路16は、相関二重サンプリング回路(CDS回路)、およびアナログデジタル変換回路(A/D変換回路)などを有することができる。ここで、セル12から配線45に出力された撮像データが、読み出し回路16に供給される。よって、配線45は、出力線としての機能を有する。
【0045】
演算回路17は、撮像データと、重みデータと、を用いた演算を行う機能を有する。前述のように、演算結果をCNNなどのニューラルネットワークなどに取り込むことで、画像処理を行うことができる。演算回路17が行う演算の詳細については後述する。ここで、セル12から配線44に出力された撮像データ、および重みデータが、演算回路17に供給される。よって、配線44は、出力線としての機能を有する。
【0046】
撮像装置10は、第1のモード、または第2のモードにより駆動させることができる。第1のモードでは、例えばすべてのセル12が撮像データを取得し、取得した撮像データを読み出し回路16に出力する。一方、第2のモードでは、一部のセル12が撮像データを取得し、残りのセル12には重みデータを保持する。そして、撮像データと、重みデータと、を演算回路17に出力する。
【0047】
以上より、第1のモードでは、データ生成回路14が生成した重みデータを用いた演算を行わずに、撮像データを撮像装置10の外部に出力する。よって、第1のモードは、付加機能を使用しないモードである。一方、第2のモードでは、撮像データと、重みデータと、を用いた演算を行うことにより、画像処理を行う。よって、第2のモードは、付加機能を使用するモードである。第1のモードは、例えばすべてのセル12を撮像データの取得のために用いるため、付加機能を使用できない代わりに、撮像データが表す画像の解像度を、第2のモードにおける撮像データが表す画像の解像度より高くすることができる。なお、第1のモードでは、演算回路17は駆動を停止させることができる。また、第2のモードでは、読み出し回路16は駆動を停止させることができる。
【0048】
図2Aは、セル12の構成例を示す回路図である。セル12は、光電変換素子21と、トランジスタ22と、トランジスタ23と、トランジスタ24と、トランジスタ25と、トランジスタ26と、を有する。
【0049】
光電変換素子21の一方の電極は、トランジスタ22のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ22のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ23のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ23のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ24のゲートと電気的に接続される。トランジスタ24のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ25のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0050】
光電変換素子21の他方の電極は、配線41と電気的に接続される。トランジスタ22のゲートは、配線32と電気的に接続される。トランジスタ23のソースまたはドレインの他方は、配線43と電気的に接続される。トランジスタ23のゲートは、配線33と電気的に接続される。トランジスタ24のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタ26のソースまたはドレインの一方は、配線44と電気的に接続される。トランジスタ25のソースまたはドレインの他方は、配線45と電気的に接続される。トランジスタ25のゲートは、配線35と電気的に接続される。トランジスタ26のソースまたはドレインの他方は、配線46と電気的に接続される。トランジスタ26のゲートは、配線36と電気的に接続される。
【0051】
図2Aでは、光電変換素子21の一方の電極をアノードとし、光電変換素子21の他方の電極をカソードとしている。よって、
図2Aでは、光電変換素子21のアノードは、トランジスタ22のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、光電変換素子21のカソードは、配線41と電気的に接続される。
【0052】
ここで、トランジスタ22のソースまたはドレインの他方と、トランジスタ23のソースまたはドレインの一方と、トランジスタ24のゲートとの電気的な接続点をノードFDとする。
【0053】
配線41、および配線46は、電源線としての機能を有する。例えば、配線41、および配線46には高電位を供給することができる。また、配線32、配線33、および配線36には、各トランジスタの導通/非導通を制御する信号が供給される。よって、配線32、配線33、および配線36は、信号線としての機能を有する。
【0054】
光電変換素子21は、撮像データを取得する機能を有する。光電変換素子21としては、フォトダイオードを用いることができる。低照度時の光検出感度を高めたい場合は、アバランシェフォトダイオードを用いることが好ましい。
【0055】
トランジスタ22は、光電変換素子21に照射された光の照度に応じて光電変換素子21に蓄積された電荷の、ノードFDへの転送を制御する機能を有する。よって、トランジスタ22は、転送トランジスタとしての機能を有する。
【0056】
トランジスタ23は、データ生成回路14が生成したリセットデータ、および重みデータに対応する電位の、ノードFDへの供給を制御する機能を有する。よって、トランジスタ23は、リセットトランジスタとしての機能を有する。
【0057】
トランジスタ24は、配線44の電位、または配線45の電位が、ノードFDの電位と対応する電位となるようにする機能を有する。これにより、セル12が取得した撮像データが、配線44または配線45を介して読み出され、セル12に保持された重みデータが、配線44を介して読み出される。ここで、セル12に保持された撮像データ、または重みデータは、トランジスタ24により増幅されて出力される。よって、トランジスタ24は、増幅トランジスタとしての機能を有する。
【0058】
トランジスタ25は、撮像データを読み出し回路16へ出力するセル12の選択を制御する機能を有する。よって、トランジスタ25は、選択トランジスタとしての機能を有する。
【0059】
トランジスタ26は、配線44の電位を制御する機能を有する。トランジスタ26を導通状態とすると、配線44の電位が配線46の電位に対応する電位となる。これにより、配線44をプリチャージすることができる。よって、トランジスタ26は、配線44のプリチャージを制御する機能を有する。したがって、トランジスタ26は、プリチャージトランジスタとしての機能を有する。
【0060】
本明細書などにおいて、トランジスタが導通状態である、またはトランジスタがオン状態であるとは、トランジスタのドレイン-ソース間に電流が流れる状態であることを示す。例えば、トランジスタのゲート電位と、ソース電位と、の差を、当該トランジスタのしきい値電圧以上とすることにより、トランジスタを導通状態とすることができる。また、トランジスタが非導通状態である、またはトランジスタがオフ状態であるとは、トランジスタのドレイン-ソース間に電流が流れない状態であることを示す。トランジスタのゲート電位と、ソース電位と、の差を、当該トランジスタのしきい値電圧未満とすることにより、トランジスタを非導通状態とすることができる。
【0061】
ここで、トランジスタ22、およびトランジスタ23には、オフ電流が極めて小さいトランジスタを用いることが好ましい。これにより、ノードFDで電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。このため、セル12が、撮像データ、および重みデータを長期間保持することができる。セル12が重みデータを長期間保持することができることにより、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができる。よって、撮像装置10の消費電力を低減することができる。また、セル12が撮像データを長期間保持することができることにより、回路構成や駆動方法を複雑にすることなく、全てのセル12で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を適用することができる。また、ノードFDに撮像データを保持させつつ、当該撮像データを用いた複数回の演算を行うこともできる。オフ電流が極めて小さいトランジスタとして、チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)などが挙げられる。
【0062】
また、OSトランジスタは、耐圧が高いという特性を有する。ここで、光電変換素子21にアバランシェフォトダイオードを用いる場合は、高電圧を印加することがあるため、光電変換素子21と接続されるトランジスタには高耐圧のトランジスタを用いることが好ましい。よって、光電変換素子21にアバランシェフォトダイオードを用いる場合は、トランジスタ22としてOSトランジスタを用いることが好ましい。
【0063】
ここで、トランジスタ22およびトランジスタ23をOSトランジスタとする場合は、トランジスタ24乃至トランジスタ26もOSトランジスタとすることが好ましい。トランジスタ22乃至トランジスタ26をすべて同一の種類のトランジスタとすることにより、セル12が有するトランジスタをすべて同一工程で形成することができる。これにより、簡易な方法で撮像装置10を作製することができる。
【0064】
なお、トランジスタ22乃至トランジスタ26として、OSトランジスタ以外のトランジスタを用いてもよい。例えば、トランジスタ22乃至トランジスタ26として、シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタ)を用いることが好ましい。例えば、トランジスタ22乃至トランジスタ26として、単結晶シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタを用いると、トランジスタ22乃至トランジスタ26のオン電流が大きくなる。よって、撮像装置10を高速に駆動させることができる。
【0065】
図2Bは、セル12の構成例を示す回路図であり、
図2Aに示す構成の変形例である。
図2Bに示すセル12は、光電変換素子21のカソードがトランジスタ22のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、光電変換素子21のアノードが配線41と電気的に接続される点が、
図2Aに示すセル12と異なる。
図2Bに示すセル12では、配線41の電位は低電位とすることができる。
【0066】
図3は、演算回路17の構成例を示す回路図である。演算回路17は、論理回路51と、トランジスタ52[1,1]乃至トランジスタ52[p,q](p、qは1以上の整数)と、を有する。なお、
図3の演算回路17では、トランジスタ52がp×qのマトリクス状に配置されている構成となっている。
【0067】
論理回路51の入力端子は、配線44[1,1]乃至配線44[m,n]と電気的に接続される。論理回路51の出力端子は、トランジスタ52[1,1]乃至トランジスタ52[p,q]のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。ここで、論理回路51は、例えばm×n個の入力端子を有し、それぞれの入力端子が異なる配線44と電気的に接続される構成とすることができる。また、論理回路51は、例えばp×q個の出力端子を有し、それぞれの出力端子が異なるトランジスタ52と電気的に接続される構成とすることができる。
【0068】
また、例えば同一列のトランジスタ52のソースまたはドレインの他方は、互いに電気的に接続することができる。例えば、1列目に位置するトランジスタ52[1,1]乃至トランジスタ52[p,1]のソースまたはドレインの他方は互いに電気的に接続することができ、q列目に位置するトランジスタ52[1,q]乃至トランジスタ52[p,q]のソースまたはドレインの他方は互いに電気的に接続することができる。
【0069】
トランジスタ52のゲートは、配線53と電気的に接続される。ここで、例えば同一行のトランジスタ52のゲートは、同一の配線53を介して互いに電気的に接続することができる。配線53には、トランジスタ52の導通/非導通を制御する信号が供給される。よって、配線53は、信号線としての機能を有する。
【0070】
論理回路51は、セル12から出力された撮像データ、および重みデータを用いて論理演算を行う機能を有する。論理回路51は、デジタルデータを用いて論理演算を行う機能を有する。演算結果は、例えばp行q列の行列によって表すことができ、行列の各成分を表すデータが、論理回路51の出力端子から出力される。
【0071】
トランジスタ52は、論理回路51による演算結果の読み出しを制御する機能を有する。例えば、論理回路51が、演算結果としてp行q列の行列を出力するものとする。この場合、トランジスタ52[1,1]を導通状態とすると、1行1列目の成分を読み出すことができ、トランジスタ52[p,q]を導通状態とすると、p行q列目の成分を読み出すことができる。
【0072】
論理回路51が有するトランジスタ、およびトランジスタ52として、Siトランジスタを用いることが好ましい。例えば、論理回路51が有するトランジスタ、およびトランジスタ52として、単結晶シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタを用いることが好ましい。前述のように、単結晶シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタは、オン電流が大きい。よって、論理回路51が有するトランジスタとして、単結晶シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタを用いると、論理回路51が高速に演算を行うことができる。また、トランジスタ52として、単結晶シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタを用いると、論理回路51による演算結果の読み出しを高速に行うことができる。なお、Siトランジスタとして、非晶質シリコン、微結晶シリコン、または多結晶シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタを用いてもよい。
【0073】
<演算の一例>
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bは、セル12に保持されているデータ、および論理回路51が行う演算の一例を示す図である。ここで、撮像データを“x”で示し、重みデータを“w”で示す。また、異なる撮像データを区別するために、“x”に数字を付し、異なる重みデータを区別するために、“w”に英数字を付している。
【0074】
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bでは、セル12[1,1]乃至セル12[6,12]を示し、撮像データが保持されているセル12にハッチングを付している。
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bでは、4個のセル12のうち、1個のセル12に撮像データを保持し、3個のセル12に重みデータを保持するとしている。具体的には、奇数行奇数列目のセル12には撮像データを保持し、その他のセル12には重みデータを保持するとしている。
【0075】
図4Aでは、撮像データx
11乃至撮像データx
33と、重みデータwa1乃至重みデータwa9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCa1を取得する様子を示している。また、撮像データx
11乃至撮像データx
33と、重みデータwb1乃至重みデータwb9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCb1を取得する様子を示している。さらに、撮像データx
11乃至撮像データx
33と、重みデータwc1乃至重みデータwc9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCc1を取得する様子を示している。
【0076】
図4Bでは、撮像データx
12乃至撮像データx
34と、重みデータwa1乃至重みデータwa9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCa2を取得する様子を示している。また、撮像データx
12乃至撮像データx
34と、重みデータwb1乃至重みデータwb9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCb2を取得する様子を示している。さらに、撮像データx
12乃至撮像データx
34と、重みデータwc1乃至重みデータwc9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCc2を取得する様子を示している。
【0077】
図4Bに示すように、例えば畳み込みデータCa2を取得する際は、撮像データx
12と、重みデータwa1と、の積を算出する。ここで、重みデータwa1は、セル12[1,2]の他に、セル12[1,8]にも保持されている。しかしながら、セル12[1,2]の方が、撮像データx
12が保持されているセル12[1,3]と座標が近い。よって、セル12[1,2]に保持されている重みデータwa1を畳み込みデータCa2の取得の際に用いると、セル12[1,8]に保持されている重みデータwa1を用いる場合より、遅延時間を減少させることができるため好ましい。同様に、例えばセル12[2,2]に保持されている重みデータwc1を畳み込みデータCc2の取得の際に用いると、セル12[2,8]に保持されている重みデータwc1を用いる場合より、遅延時間を減少させることができるため好ましい。畳み込みデータCa2、畳み込みデータCb2、または畳み込みデータCc2を取得する際に用いる他の重みデータについても、同様のことがいえる。
【0078】
図5Aでは、撮像データx
13乃至撮像データx
35と、重みデータwa1乃至重みデータwa9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCa3を取得する様子を示している。また、撮像データx
13乃至撮像データx
35と、重みデータwb1乃至重みデータwb9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCb3を取得する様子を示している。さらに、撮像データx
13乃至撮像データx
35と、重みデータwc1乃至重みデータwc9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCc3を取得する様子を示している。
【0079】
図5Bでは、撮像データx
14乃至撮像データx
36と、重みデータwa1乃至重みデータwa9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCa4を取得する様子を示している。また、撮像データx
14乃至撮像データx
36と、重みデータwb1乃至重みデータwb9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCb4を取得する様子を示している。さらに、撮像データx
14乃至撮像データx
36と、重みデータwc1乃至重みデータwc9と、の間で積和演算を行うことにより、畳み込みデータCc4を取得する様子を示している。
【0080】
以上のようにして、積和演算を行い、畳み込みデータを取得することができる。
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bに示す例では、3×3のフィルタを3種類用いた、ストライドが1である畳み込み演算(積和演算)を行うことができる。なお、例えば
図4Aに示す動作を行った後に、
図4Bに示す動作を行わずに、
図5Aに示す動作を行うことにより、ストライドを2とすることができる。
【0081】
ここで、複数のセル12に同一の重みデータを保持させておくと、例えば
図4Bで示したように、撮像データが保持されているセル12の座標と、当該撮像データに乗ずる重み係数が保持されているセル12の座標と、が遠ざかることを抑制することができる。これにより、遅延時間が長くなることを抑制することができるため、論理回路51による演算を高速に行うことができる。一方、同一の重みデータを保持させるセル12の個数を減少させることにより、例えば畳み込み演算の際に用いることができるフィルタの種類を増加させることができる。
【0082】
図6は、それぞれの重みデータが保持されているセル12の個数を、
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bに示す例の半分とした場合の、セル12に保持されているデータ、および論理回路51が行う演算の一例を示す図である。
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bに示す例では、1種類の重みデータを、セル12[1,1]乃至セル12[6,12]のうちの2つのセル12が保持している。一方、
図6に示す例では、1種類の重みデータを、セル12[1,1]乃至セル12[6,12]のうちの1つのセル12が保持している。よって、
図6に示す例では、重みデータWa1乃至重みデータWa9、重みデータWb1乃至重みデータWb9、重みデータWc1乃至重みデータWc9、重みデータWd1乃至重みデータWd9、重みデータWe1乃至重みデータWe9、および重みデータWf1乃至重みデータWf9をセル12が保持することができる。つまり、54種類の重みデータをセル12に保持することができる。以上により、例えば3×3のフィルタを6種類用いた畳み込み演算を行うことができる。これにより、例えば撮像データx
11乃至撮像データx
33を用いた畳み込み演算を行う場合は、
図6に示すように、畳み込みデータCa1、畳み込みデータCb1、および畳み込みデータCc1の他、畳み込みデータCd1、畳み込みデータCe1、および畳み込みデータCf1を取得することができる。以上より、例えば画像の特徴量を多く抽出することができるため、撮像装置10は高精度な画像処理を行うことができる。よって、撮像装置10の付加機能を高性能なものとすることができる。
【0083】
また、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、および
図6に示す例では、4個のセル12のうち、1個のセル12に撮像データを保持し、3個のセル12に重みデータを保持するとしている。つまり、セルアレイ11を構成するセル12のうち、1/4のセル12には撮像データを保持し、3/4のセル12には重みデータを保持するとしている。ここで、撮像データを保持するセル12の割合を大きくすると、撮像データが表す画像の解像度を大きくすることができる。一方、重みデータを保持するセル12の割合を大きくすると、より高精度な画像処理を行うことができ、撮像装置10の付加機能を高性能なものとすることができる。
【0084】
なお、論理回路51は、積和演算以外の演算を行う機能を有してもよい。例えば、プーリングを行う機能を有してもよい。論理回路51がプーリングを行う機能を有することにより、撮像装置10の外部へ出力するデータの容量を小さくすることができる。
【0085】
前述のように、撮像装置10が第2のモードで駆動する場合に、論理回路51を有する演算回路17が演算を行う。よって、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、および
図6に示す演算は、撮像装置10が第2のモードで駆動する場合に行われる。なお、撮像装置10が第1のモードで駆動する場合は、すべてのセル12に撮像データxを保持させることができる。
【0086】
<撮像装置の駆動方法の一例_1>
以下では、撮像装置10の駆動方法の一例を説明する。具体的には、セル12[i,j](iは1以上m-1以下の整数、jは1以上n-1以下の整数)、セル12[i,j+1]、セル12[i+1,j]、セル12[i+1,j+1]、トランジスタ27[j]、トランジスタ27[j+1]、トランジスタ52[h,k](hは1以上p-1以下の整数、kは1以上q-1以下の整数)、トランジスタ52[h,k+1]、トランジスタ52[h+1,k]、およびトランジスタ52[h+1,k+1]の駆動方法の一例を説明する。
図7は、撮像装置10の構成要素のうち、駆動方法の一例を説明する構成要素を示す回路図である。
図7に示すように、配線47には、低電位として電位VSSが供給されているものとする。また、配線41、および配線46には高電位が供給されているものとする。
【0087】
以下では、駆動方法の説明に係るトランジスタはすべてnチャネル型トランジスタとするが、電位の大小関係を適宜入れ換えること等により、一部またはすべてのトランジスタをpチャネル型としても、以下の駆動方法の説明を参照することができる。また、
図7に示すように、セル12が
図2Aに示す構成であるとして駆動方法の説明を行うが、電位の大小関係を適宜入れ換えること等により、セル12を
図2Bに示す構成としても以下の説明を参照することができる。
【0088】
図8は、撮像装置10が第1のモードで駆動する場合の、撮像装置10の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。前述のように、第1のモードでは、重みデータを用いた演算を行わない。
【0089】
図8に示すタイミングチャートでは、高電位を“H”で示し、低電位を“L”で示す。また、
図8に示すタイミングチャートでは、回路内部の遅延などは考慮していない。以上は他のタイミングチャートなどにおいても同様である。
【0090】
期間T01に、配線32[i,j]、配線32[i+1,j]、配線32[i,j+1]、配線32[i+1,j+1]、配線33[i,j]、配線33[i+1,j]、配線33[i,j+1]、配線33[i+1,j+1]、および配線36に高電位を供給する。これにより、トランジスタ22[i,j]、トランジスタ22[i,j+1]、トランジスタ22[i+1,j]、トランジスタ22[i+1,j+1]、トランジスタ23[i,j]、トランジスタ23[i,j+1]、トランジスタ23[i+1,j]、トランジスタ23[i+1,j+1]、トランジスタ26[i,j]、トランジスタ26[i,j+1]、トランジスタ26[i+1,j]、およびトランジスタ26[i+1,j+1]が導通状態となる。また、配線35[i]、配線35[i+1]、配線43[j]、配線43[j+1]、配線53[h]、および配線53[h+1]に低電位を供給する。これにより、トランジスタ25[i,j]、トランジスタ25[i,j+1]、トランジスタ25[i+1,j]、トランジスタ25[i+1,j+1]、トランジスタ52[h,k]、トランジスタ52[h,k+1]、トランジスタ52[h+1,k]、およびトランジスタ52[h+1,k+1]が非導通状態となる。さらに、配線37にバイアス電位Vbを供給する。ここで、バイアス電位とは、トランジスタのゲートに供給すると当該トランジスタが電流源として駆動する電位を示す。例えば、トランジスタのゲートに供給すると当該トランジスタが飽和領域で駆動する電位を示す。
【0091】
期間T01では、ノードFD[i,j]、ノードFD[i,j+1]、ノードFD[i+1,j]、およびノードFD[i+1,j+1]の電位が、配線43[j]、および配線43[j+1]の電位である低電位となる。これにより、ノードFD[i,j]、ノードFD[i,j+1]、ノードFD[i+1,j]、およびノードFD[i+1,j+1]の電位がリセットされる。よって、期間T01は、リセット動作を行う期間である。期間T01では、データ生成回路14がリセットデータを生成し、リセットデータが配線43を介してセル12に供給される。
【0092】
期間T02に、配線32[i,j]、配線32[i+1,j]、配線32[i,j+1]、および配線32[i+1,j+1]の電位を低電位とした後、配線33[i,j]、配線33[i+1,j]、配線33[i,j+1]、および配線33[i+1,j+1]の電位を低電位とする。これにより、トランジスタ22[i,j]、トランジスタ22[i,j+1]、トランジスタ22[i+1,j]、およびトランジスタ22[i+1,j+1]が非導通状態となった後、トランジスタ23[i,j]、トランジスタ23[i,j+1]、トランジスタ23[i+1,j]、およびトランジスタ23[i+1,j+1]が非導通状態となる。以上により、リセット動作が終了する。
【0093】
期間T03に、配線32[i,j]、配線32[i+1,j]、配線32[i,j+1]、および配線32[i+1,j+1]の電位を高電位とする。これより、トランジスタ22[i,j]、トランジスタ22[i,j+1]、トランジスタ22[i+1,j]、およびトランジスタ22[i+1,j+1]が導通状態となり、ノードFD[i,j]、ノードFD[i,j+1]、ノードFD[i+1,j]、およびノードFD[i+1,j+1]の電位が、それぞれ光電変換素子21[i,j]、光電変換素子21[i,j+1]、光電変換素子21[i+1,j]、および光電変換素子21[i+1,j+1]に照射される光の照度に対応して上昇する。よって、期間T03は、露光動作を行う期間である。
【0094】
期間T04に、配線32[i,j]、配線32[i+1,j]、配線32[i,j+1]、および配線32[i+1,j+1]の電位を低電位とする。これより、トランジスタ22[i,j]、トランジスタ22[i,j+1]、トランジスタ22[i+1,j]、およびトランジスタ22[i+1,j+1]が非導通状態となり、露光動作が終了する。以上により、セル12[i,j]、セル12[i,j+1]、セル12[i+1,j]、およびセル12[i+1,j+1]が撮像データを取得することができる。
【0095】
期間T05では、まず、配線35[i]の電位を高電位としてトランジスタ25[i,j]、およびトランジスタ25[i,j+1]を導通状態とした後、配線35[i]の電位を低電位としてトランジスタ25[i,j]、およびトランジスタ25[i,j+1]を非導通状態とする。トランジスタ25[i,j]を導通状態とすることにより、セル12[i,j]が取得した撮像データが、配線45[j]を介して読み出し回路16に出力され、セル12[i,j]が取得した撮像データが読み出される。また、トランジスタ25[i,j+1]を導通状態とすることにより、セル12[i,j+1]が取得した撮像データが、配線45[j+1]を介して読み出し回路16に出力され、セル12[i,j+1]が取得した撮像データが読み出される。
【0096】
次に、配線35[i+1]の電位を高電位としてトランジスタ25[i+1,j]、およびトランジスタ25[i+1,j+1]を導通状態とした後、配線35[i+1]の電位を低電位としてトランジスタ25[i+1,j]、およびトランジスタ25[i+1,j+1]を非導通状態とする。トランジスタ25[i+1,j]を導通状態とすることにより、セル12[i+1,j]が取得した撮像データが、配線45[j]を介して読み出し回路16に出力され、セル12[i+1,j]が取得した撮像データが読み出される。また、トランジスタ25[i+1,j+1]を導通状態とすることにより、セル12[i+1,j+1]が取得した撮像データが、配線45[j+1]を介して読み出し回路16に出力され、セル12[i+1,j+1]が取得した撮像データが読み出される。以上より、期間T05は、読み出し動作を行う期間である。
【0097】
以上が第1のモードにおける、撮像装置10の駆動方法の一例である。
【0098】
次に、第2のモードにおける、撮像装置10の駆動方法の一例を説明する。具体的には、
図9に示すように、セル12[i,j]が撮像データxを取得し、セル12[i,j+1]に重みデータw1を、セル12[i+1,j]に重みデータw2を、セル12[i+1,j+1]に重みデータw3をそれぞれ書き込む場合の、撮像装置10の駆動方法の一例を説明する。
図10は、撮像装置10が第2のモードで駆動する場合の、撮像装置10の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
【0099】
期間T11では、まず、配線37に高電位を供給する。これにより、トランジスタ27[j]、およびトランジスタ27[j+1]が導通状態となる。また、配線32[i,j]、配線32[i,j+1]、配線32[i+1,j]、配線32[i+1,j+1]、配線33[i,j]、配線33[i,j+1]、配線33[i+1,j]、配線33[i+1,j+1]、配線35[i]、配線35[i+1]、配線36、配線53[h]、および配線53[h+1]に低電位を供給する。これにより、トランジスタ22[i,j]、トランジスタ22[i,j+1]、トランジスタ22[i+1,j]、トランジスタ22[i+1,j+1]、トランジスタ23[i,j]、トランジスタ23[i,j+1]、トランジスタ23[i+1,j]、トランジスタ23[i+1,j+1]、トランジスタ25[i,j]、トランジスタ25[i,j+1]、トランジスタ25[i+1,j]、トランジスタ25[i+1,j+1]、トランジスタ26[i,j]、トランジスタ26[i,j+1]、トランジスタ26[i+1,j]、トランジスタ26[i+1,j+1]、トランジスタ52[h,k]、トランジスタ52[h,k+1]、トランジスタ52[h+1,k]、およびトランジスタ52[h+1,k+1]が非導通状態となる。
【0100】
次に、データ生成回路14が、配線43[j+1]に重みデータw1を供給する。また、配線33[i,j+1]の電位を高電位としてトランジスタ23[i,j+1]を導通状態とする。これにより、ノードFD[i,j+1]の電位が、重みデータw1に対応する電位となり、セル12[i,j+1]に重みデータw1が書き込まれる。その後、配線33[i,j+1]の電位を低電位としてトランジスタ23[i,j+1]を非導通状態とする。これにより、ノードFD[i,j+1]の電位が保持されるため、セル12[i,j+1]に重みデータw1が保持される。
【0101】
次に、データ生成回路14が、配線43[j]に重みデータw2を供給し、配線43[j+1]に重みデータw3を供給する。また、配線33[i+1,j]の電位、および配線33[i+1,j+1]の電位を高電位として、トランジスタ23[i+1,j]、およびトランジスタ23[i+1,j+1]を導通状態とする。これにより、ノードFD[i+1,j]の電位が、重みデータw2に対応する電位となり、セル12[i+1,j]に重みデータw2が書き込まれる。また、ノードFD[i+1,j+1]の電位が、重みデータw3に対応する電位となり、セル12[i+1,j+1]に重みデータw3が書き込まれる。その後、配線33[i+1,j]の電位、および配線33[i+1,j+1]の電位を低電位として、トランジスタ23[i+1,j]、およびトランジスタ23[i+1,j+1]を非導通状態とする。これにより、ノードFD[i+1,j]の電位、およびノードFD[i+1,j+1]の電位が保持されるため、セル12[i+1,j]に重みデータw2が保持され、セル12[i+1,j+1]に重みデータw3が保持される。
【0102】
以上より、期間T11は、セル12への重みデータの書き込みを行う期間である。なお、期間T11では、例えば配線33[i,1]乃至配線33[i,n]のうち、重みデータを書き込むセル12と電気的に接続されているすべての配線33に、同時に高電位を供給することができる。その後、例えば配線33[i+1,1]乃至配線33[i+1,n]のうち、重みデータを書き込むセル12と電気的に接続されているすべての配線33に、同時に高電位を供給することができる。
【0103】
期間T12に、配線32[i,j]、および配線33[i,j]の電位を高電位とする。これにより、トランジスタ22[i,j]、およびトランジスタ23[i,j]が導通状態となる。また、配線43[j]の電位を低電位とする。以上により、ノードFD[i,j]の電位が低電位となる。これにより、ノードFD[i,j]の電位がリセットされる。よって、期間T12は、撮像データを取得するセル12がリセット動作を行う期間である。期間T12では、データ生成回路14がリセットデータを生成し、リセットデータが配線43[j]を介してセル12[i,j]に供給される。
【0104】
期間T13に、配線32[i,j]の電位を低電位とした後、配線33[i,j]の電位を低電位とする。これにより、トランジスタ22[i,j]が非導通状態となった後、トランジスタ23[i,j]が非導通状態となる。以上により、セル12[i,j]のリセットが終了する。
【0105】
期間T14に、配線32[i,j]の電位を高電位とする。これにより、トランジスタ22[i,j]が導通状態となり、ノードFD[i,j]の電位が、光電変換素子21[i,j]に照射される光の照度に対応して上昇する。よって、期間T14は、撮像データを取得するセル12に対して露光動作を行う期間である。
【0106】
期間T15に、配線32[i,j]の電位を低電位とする。これにより、トランジスタ22[i,j]が非導通状態となり、露光動作が終了する。以上により、セル12[i,j]が撮像データを取得することができる。
【0107】
図10では、セル12[i,j+1]、セル12[i+1,j]、およびセル12[i+1,j+1]に重みデータを書き込んだ後、セル12[i,j]が撮像データを取得したが、本発明の一態様はこれに限らない。撮像データの取得後に、重みデータの書き込みを行ってもよい。つまり、期間T12乃至期間T15に示す動作を行った後に、期間T11に示す動作を行ってもよい。例えば、セル[i,j]、セル12[i,j+1]、セル12[i+1,j]、およびセル12[i+1,j+1]のそれぞれに対して撮像データを書き込んだ後、セル12[i,j+1]、セル12[i+1,j]、およびセル12[i+1,j+1]に保持されている撮像データを重みデータに書き換えるように、重みデータの書き込みを行ってもよい。
【0108】
期間T16に、配線36の電位を高電位としてトランジスタ26[i,j]、トランジスタ26[i,j+1]、トランジスタ26[i+1,j]、およびトランジスタ26[i+1,j+1]を導通状態とする。前述のように、配線46には高電位が供給されている。よって、配線44[i,j]、配線44[i,j+1]、配線44[i+1,j]、および配線44[i+1,j+1]が高電位となる。これにより、配線44[i,j]、配線44[i,j+1]、配線44[i+1,j]、および配線44[i+1,j+1]がプリチャージされる。プリチャージの終了後、配線36の電位を低電位としてトランジスタ26[i,j]、トランジスタ26[i,j+1]、トランジスタ26[i+1,j]、およびトランジスタ26[i+1,j+1]を非導通状態とする。
【0109】
期間T17に、配線35[i]、および配線35[i+1]の電位を高電位として、トランジスタ25[i,j]、トランジスタ25[i,j+1]、トランジスタ25[i+1,j]、およびトランジスタ25[i+1,j+1]を導通状態とする。なお、期間T17では、例えば配線35[1]乃至配線35[m]に対して同時に高電位を供給することができる。
【0110】
ここで、期間T17におけるノードFD[i,j]の電位を電位VFD[i,j]とし、ノードFD[i,j+1]の電位を電位VFD[i,j+1]とし、ノードFD[i+1,j]の電位を電位VFD[i+1,j]とし、ノードFD[i+1,j+1]の電位を電位VFD[i+1,j+1]とする。また、トランジスタ24[i,j]のしきい値電圧を電位Vth[i,j]とし、トランジスタ24[i,j+1]のしきい値電圧を電位Vth[i,j+1]とし、トランジスタ24[i+1,j]のしきい値電圧を電位Vth[i+1,j]とし、トランジスタ24[i+1,j+1]のしきい値電圧を電位Vth[i+1,j+1]とする。さらに、前述のように、配線47の電位を電位VSSとする。そして、電位VFD[i,j]は電位“Vth[i,j]+VSS”より大きく、電位VFD[i,j+1]は電位“Vth[i,j+1]+VSS”より小さく、電位VFD[i+1,j]は電位“Vth[i+1,j]+VSS”より小さく、電位VFD[i+1,j+1]は電位“Vth[i+1,j+1]+VSS”より大きいものとする。
【0111】
図11は、期間T17における撮像装置10の動作を説明する回路図である。
図11において、非導通状態であるトランジスタには×印を付している。また、電流を矢印で示している。
【0112】
図11に示すように、期間T17では、トランジスタ25[i,j]、トランジスタ25[i,j+1]、トランジスタ25[i+1,j]、トランジスタ25[i+1,j+1]、トランジスタ27[j]、およびトランジスタ27[j+1]が導通状態となっている。また、トランジスタ26[i,j]、トランジスタ26[i,j+1]、トランジスタ26[i+1,j]、およびトランジスタ26[i+1,j+1]が非導通状態となっている。
【0113】
期間T16では、配線44[i,j]、配線44[i,j+1]、配線44[i+1,j]、および配線44[i+1,j+1]を高電位にプリチャージした。また、前述のように、配線47には低電位が供給されている。以上より、配線44は、トランジスタ24のドレインと電気的に接続され、配線45は、トランジスタ25を介してトランジスタ24のソースと電気的に接続される。
【0114】
前述のように、期間T17において、トランジスタ25、およびトランジスタ27は導通状態となる。よって、トランジスタ24のソース電位は、電位VSSとなる。よって、トランジスタ24のゲート電位が、トランジスタ24のしきい値電圧と、電位VSSと、の和以上となれば、トランジスタ24が導通状態となる。一方、トランジスタ24のゲート電位が、トランジスタ24のしきい値電圧と、電位VSSと、の和未満である場合は、トランジスタ24が非導通状態となる。前述のように、トランジスタ24[i,j]のゲート電位である電位VFD[i,j]は、しきい値電圧Vth[i,j]と、電位VSSと、の和より大きい。また、トランジスタ24[i+1,j+1]のゲート電位である電位VFD[i+1,j+1]は、しきい値電圧Vth[i+1,j+1]と、電位VSSと、の和より大きい。以上より、トランジスタ24[i,j]、およびトランジスタ24[i+1,j+1]は導通状態となる。これにより、配線44[i,j]と配線47が導通し、配線44[i,j]の電位は低電位となる。また、配線44[i+1,j+1]と配線47が導通し、配線44[i+1,j+1]の電位は低電位となる。
【0115】
一方、トランジスタ24[i,j+1]のゲート電位である電位VFD[i,j+1]は、しきい値電圧Vth[i,j+1]と、電位VSSと、の和より小さい。また、トランジスタ24[i+1,j]のゲート電位である電位VFD[i+1,j]は、しきい値電圧Vth[i+1,j]と、電位VSSと、の和より小さい。以上より、トランジスタ24[i,j+1]、およびトランジスタ24[i+1,j]は非導通状態となる。これにより、配線44[i,j+1]、および配線44[i+1,j]の電位は、プリチャージ電位である高電位のままとなる。
【0116】
以上より、期間T17では、セル12に保持された撮像データ、および重みデータを、配線44から二値のデータとして出力することができる。これにより、セル12に保持された撮像データ、および重みデータが読み出される。
【0117】
セル12が配線44に出力した撮像データ、および重みデータは、論理回路51に供給される。論理回路51により、当該撮像データ、および重みデータを用いた演算が行われる。例えば、
図4A、
図4B、
図5A、および
図5Bに示すような積和演算が行われる。なお、セル12が配線44に出力した撮像データ、および重みデータは二値のデータであるため、A/D変換を行わずに論理回路51に供給することができる。
【0118】
期間T18に、配線35[i]、および配線35[i+1]の電位を低電位として、トランジスタ25[i,j]、トランジスタ25[i,j+1]、トランジスタ25[i+1,j]、およびトランジスタ25[i+1,j+1]を非導通状態とする。これにより、撮像データx、重みデータw1、重みデータw2、および重みデータw3の読み出しが終了する。なお、期間T17では、例えば配線35[1]乃至配線35[m]に対して同時に低電位を供給することができる。
【0119】
期間T19では、まず、配線53[h]の電位を高電位としてトランジスタ52[h,k]、およびトランジスタ52[h,k+1]を導通状態とした後、配線53[h]の電位を低電位としてトランジスタ52[h,k]、およびトランジスタ52[h,k+1]を非導通状態とする。その後、配線53[h+1]の電位を高電位としてトランジスタ52[h+1,k]、およびトランジスタ52[h+1,k+1]を導通状態とした後、配線53[h+1]の電位を低電位としてトランジスタ52[h+1,k]、およびトランジスタ52[h+1,k+1]を非導通状態とする。以上により、論理回路51による演算結果を読み出すことができる。前述のように、読み出した演算結果をCNNなどのニューラルネットワークなどに取り込むことで、画像処理を行うことができる。
【0120】
以上が第2のモードにおける、撮像装置10の駆動方法の一例である。
【0121】
<撮像装置の構成例_2>
図12Aは、セル12の構成例を示す回路図であり、
図2Aに示す構成の変形例である。
図12Aに示すセル12は、トランジスタ26を有さず、トランジスタ28を有する点が、
図2Aに示すセル12と異なる。以下では、
図2Aに示すセル12と異なる構成について主に説明する。
【0122】
トランジスタ24のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ25のソースまたはドレインの一方、トランジスタ28のソースまたはドレインの一方、および配線44と電気的に接続される。トランジスタ24のソースまたはドレインの他方は、配線46と電気的に接続される。トランジスタ25のソースまたはドレインの他方は、配線45と電気的に接続される。トランジスタ28のソースまたはドレインの他方は、配線48と電気的に接続される。トランジスタ28のゲートは、配線38と電気的に接続される。
【0123】
配線48は、電源線としての機能を有する。例えば、配線48には低電位を供給することができる。
【0124】
詳細は後述するが、配線38にバイアス電位を供給することで、トランジスタ24とトランジスタ28によりソースフォロワ回路が構成される。この場合、当該ソースフォロワ回路の入力端子はノードFDと電気的に接続され、出力端子は配線44と電気的に接続される。よって、セル12に保持されている撮像データ、および重みデータを、アナログデータとして配線44に出力することができる。
【0125】
トランジスタ28として、トランジスタ22乃至トランジスタ25と同一の種類のトランジスタを用いることができる。例えば、トランジスタ28として、OSトランジスタ、またはSiトランジスタを用いることができる。
【0126】
図12Bは、セル12の構成例を示す回路図であり、
図12Aに示す構成の変形例である。
図12Bに示すセル12は、光電変換素子21のカソードがトランジスタ22のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、光電変換素子21のアノードが配線41と電気的に接続される点が、
図12Aに示すセル12と異なる。
【0127】
図13は、セル12が
図12A、または
図12Bに示す構成である場合の、演算回路17の構成例を示す回路図である。
図13に示す演算回路17は、A/D変換回路54を有する点が、
図3に示す演算回路17と異なる。
【0128】
A/D変換回路54の入力端子は、配線44と電気的に接続され、A/D変換回路54の出力端子は、論理回路51の入力端子と電気的に接続される。ここで、A/D変換回路54の入力端子の個数、およびA/D変換回路54の出力端子の個数は、論理回路51の入力端子の個数と同数とすることができる。例えば、それぞれm×n個とすることができる。
【0129】
A/D変換回路54は、セル12が配線44に出力したアナログデータを、デジタルデータに変換する機能を有する。前述のように、配線44には、撮像装置10が第2のモードで駆動する場合に、セル12に保持された撮像データ、または重みデータが出力される。よって、配線44と論理回路51の間にA/D変換回路54を設けることにより、セル12が撮像データ、または重みデータを配線44からアナログデータとして出力する場合であっても、論理回路51は撮像データ、および重みデータを用いた演算を行うことができる。
【0130】
<撮像装置の駆動方法の一例_2>
以下では、セル12が
図12Aに示す構成であり、演算回路17が
図13に示す構成の撮像装置10の駆動方法の一例を、
図15乃至
図17を用いて説明する。具体的には、
図12Aに示す構成のセル12[i,j]、セル12[i,j+1]、セル12[i+1,j]、セル12[i+1,j+1]、トランジスタ27[j]、トランジスタ27[j+1]、トランジスタ52[h,k]、トランジスタ52[h,k+1]、トランジスタ52[h+1,k]、およびトランジスタ52[h+1,k+1]の駆動方法の一例を説明する。
図14は、撮像装置10の構成要素のうち、駆動方法の一例を説明する構成要素を示す回路図である。
図14に示すように、配線47には、低電位として電位VSSが供給されているものとする。また、配線41、および配線46には高電位が供給されているものとする。さらに、配線48には低電位が供給されているものとする。
【0131】
以下では、駆動方法の説明に係るトランジスタはすべてnチャネル型トランジスタとするが、電位の大小関係を適宜入れ換えること等により、一部またはすべてのトランジスタをpチャネル型としても、以下の駆動方法の説明を参照することができる。また、
図14に示すように、セル12が
図12Aに示す構成であるとして駆動方法の説明を行うが、電位の大小関係を適宜入れ換えること等により、セル12を
図12Bに示す構成としても以下の説明を参照することができる。
【0132】
図15は、撮像装置10が第1のモードで駆動する場合の、撮像装置10の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。前述のように、第1のモードでは、重みデータを用いた演算を行わない。
【0133】
期間T21乃至期間T25において、配線38に低電位を供給することにより、トランジスタ28[i,j]、トランジスタ28[i,j+1]、トランジスタ28[i+1,j]、およびトランジスタ28[i+1,j+1]を非導通状態とする。それ以外は、期間T21乃至期間T25における動作は、
図8に示すタイミングチャートの期間T01乃至期間T05における動作と同様とすることができる。なお、期間T21乃至期間T25において配線37に供給されるバイアス電位を、バイアス電位Vb1とする。
【0134】
図17Aは、
図12Aに示す回路図から、期間T21乃至期間T25の全ての期間で非導通状態とすることができるトランジスタを省略した構成を示す回路図である。また、
図17Aには、セル12の構成の他、期間T21乃至期間T25においてゲートにバイアス電位Vb1が供給されるトランジスタ27も示している。前述のように、期間T21乃至期間T25において、トランジスタ28は非導通状態となる。よって、
図17Aに示す回路図には、トランジスタ28は示していない。
【0135】
次に、第2のモードにおける、撮像装置10の駆動方法の一例を説明する。具体的には、
図9に示すように、セル12[i,j]が撮像データxを取得し、セル12[i,j+1]に重みデータw1を、セル12[i+1,j]に重みデータw2を、セル12[i+1,j+1]に重みデータw3をそれぞれ書き込む場合の、撮像装置10の駆動方法の一例を説明する。
図16は、撮像装置10が第2のモードで駆動する場合の、撮像装置10の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
【0136】
期間T31乃至期間T35における配線32、配線33、配線35、配線37、配線43、配線53、およびノードFDの電位は、
図10に示すタイミングチャートの期間T11乃至期間T15における配線32、配線33、配線35、配線37、配線43、配線53、およびノードFDの電位と同一とすることができる。また、期間T36における配線32、配線33、配線35、配線37、配線43、配線53、およびノードFDの電位は、
図10に示すタイミングチャートの期間T19における配線32、配線33、配線35、配線37、配線43、配線53、およびノードFDの電位と同一とすることができる。
【0137】
期間T31乃至期間T36において、配線38にバイアス電位Vb2を供給する。
図17Bは、
図12Aに示す回路図から、期間T31乃至期間T36の全ての期間で非導通状態とすることができるトランジスタを省略した構成を示す回路図である。
図16に示すように、期間T31乃至期間T36において、トランジスタ25は非導通状態となる。よって、
図17Bに示す回路図には、トランジスタ25は示していない。
【0138】
前述のように、期間T31乃至期間T36において、トランジスタ28のゲートにはバイアス電位Vb2が供給される。また、配線46には高電位が供給され、配線48には低電位が供給される。以上より、トランジスタ24とトランジスタ28によりソースフォロワ回路29が構成される。ここで、ソースフォロワ回路29の入力端子はノードFDと電気的に接続され、ソースフォロワ回路29の出力端子は配線44と電気的に接続される。期間T31乃至期間T36では、ノードFDの電位に対応する電位のアナログデータを、配線44から出力し続けることができる。これにより、配線44[i,j]からは、ノードFD[i,j]の電位であるVFD[i,j]に応じた撮像データxを出力することができる。また、配線44[i,j+1]からは、ノードFD[i,j+1]の電位であるVFD[i,j+1]に応じた重みデータw1を出力することができる。また、配線44[i+1,j]からは、ノードFD[i+1,j]の電位であるVFD[i+1,j]に応じた重みデータw2を出力することができる。さらに、配線44[i+1,j+1]からは、ノードFD[i+1,j+1]の電位であるVFD[i+1,j+1]に応じた重みデータw3を出力することができる。
【0139】
以上がセル12が
図12Aに示す構成であり、演算回路17が
図13に示す構成である撮像装置10の駆動方法の一例である。
【0140】
前述のように、セル12を
図12A、または
図12Bに示す構成とすることにより、第2のモードにおいてセル12が配線44から出力する撮像データ、および重みデータを、アナログデータとすることができる。そして、セル12が配線44から出力したアナログデータは、A/D変換回路54によりデジタルデータに変換された後、論理回路51に供給される。以上より、論理回路51に入力される撮像データ、および重みデータを、多値のデジタルデータとすることができる。
【0141】
<撮像装置の構成例_3>
図18Aおよび
図18Bは、撮像装置10の構成例を示す斜視図である。
図18Aでは、層561と層562の積層構造とした構成例を示している。
【0142】
層561は、光電変換素子21を有する。光電変換素子21は、
図18Cに示すように層565aと、層565bと、層565cとの積層とすることができる。
【0143】
図18Cに示す光電変換素子21はpn接合型フォトダイオードであり、例えば、層565aにp
+型半導体、層565bにn型半導体、層565cにn
+型半導体を用いることができる。または、層565aにn
+型半導体、層565bにp型半導体、層565cにp
+型半導体を用いてもよい。または、層565bをi型半導体としたpin接合型フォトダイオードであってもよい。
【0144】
上記pn接合型フォトダイオードまたはpin接合型フォトダイオードは、単結晶シリコンを用いて形成することができる。また、pin接合型フォトダイオードとしては、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどの薄膜を用いて形成することもできる。
【0145】
また、層561が有する光電変換素子21は、
図18Dに示すように、層566aと、層566bと、層566cと、層566dとの積層としてもよい。
図18Dに示す光電変換素子21はアバランシェフォトダイオードの一例であり、層566a、および層566dは電極に相当し、層566b、および層566cは光電変換部に相当する。
【0146】
層566aは、低抵抗の金属層などとすることが好ましい。例えば、アルミニウム、チタン、タングステン、タンタル、銀またはそれらの積層を用いることができる。
【0147】
層566dは、可視光に対して高い透光性を有する導電層を用いることが好ましい。例えば、インジウム酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム-錫酸化物、ガリウム-亜鉛酸化物、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物、またはグラフェンなどを用いることができる。なお、層566dを省く構成とすることもできる。
【0148】
光電変換部の層566b、および層566cは、例えばセレン系材料を光電変換層としたpn接合型フォトダイオードの構成とすることができる。層566bとしてはp型半導体であるセレン系材料を用い、層566cとしてはn型半導体であるガリウム酸化物などを用いることが好ましい。
【0149】
セレン系材料を用いた光電変換素子は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ増倍を利用することにより、入射される光量に対する電子の増幅を大きくすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層を薄膜で作製できるなどの生産上の利点を有する。セレン系材料の薄膜は、真空蒸着法またはスパッタ法などを用いて形成することができる。
【0150】
セレン系材料としては、単結晶セレンおよび多結晶セレンなどの結晶性セレン、非晶質セレン、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)、または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)などを用いることができる。
【0151】
n型半導体は、バンドギャップが広く、可視光に対して透光性を有する材料で形成することが好ましい。例えば、亜鉛酸化物、ガリウム酸化物、インジウム酸化物、錫酸化物、またはそれらが混在した酸化物などを用いることができる。また、これらの材料は正孔注入阻止層としての機能も有し、暗電流を小さくすることもできる。
【0152】
また、層561が有する光電変換素子21は、
図18Eに示すように、層567aと、層567bと、層567cと、層567dと、層567eとの積層としてもよい。
図18Eに示す光電変換素子21は有機光導電膜の一例であり、層567a、および層567eは電極に相当し、層567b、層567c、および層567dは光電変換部に相当する。
【0153】
光電変換部の層567b、または層567dのいずれか一方はホール輸送層、他方は電子輸送層とすることができる。また、層567cは光電変換層とすることができる。
【0154】
ホール輸送層としては、例えば酸化モリブデンなどを用いることができる。電子輸送層としては、例えば、C60、C70などのフラーレン、またはそれらの誘導体などを用いることができる。
【0155】
光電変換層としては、n型有機半導体およびp型有機半導体の混合層(バルクヘテロ接合構造)を用いることができる。
【0156】
図18Aに示す層562としては、例えばシリコン基板を用いることができる。当該シリコン基板は、Siトランジスタ等を有する。例えばセル12が有するトランジスタ、および演算回路17が有するトランジスタを層562に設けることができる。また、例えばロードライバ回路13が有するトランジスタ、データ生成回路14が有するトランジスタ、読み出し回路16が有するトランジスタ、およびトランジスタ27を層562に設けることができる。
【0157】
また、撮像装置10は、
図18Bに示すように層561、層563、および層562の積層構造を有していてもよい。
【0158】
層563は、OSトランジスタを有することができる。このとき、層562は、Siトランジスタを有していてもよい。例えば、セル12が有するトランジスタ、およびトランジスタ27を層563に設け、演算回路17が有するトランジスタを層562に設けることができる。また、例えばロードライバ回路13が有するトランジスタ、データ生成回路14が有するトランジスタ、および読み出し回路16が有するトランジスタを層562に設けることができる。
【0159】
図18Bに示す構成とすることで、例えば層563に設けられるセル12と、層562に設けられる演算回路17を、重なる領域を有するように設けることができる。これにより、撮像装置10の占有面積を小さくし、撮像装置10を小型化することができる。なお、
図18Bの構成において、層562を支持基板とし、層561および層563に、セル12およびその他の回路を設けてもよい。
【0160】
OSトランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)またはCAC-OS(Cloud-Aligned Composite Oxide Semiconductor)などを用いることができる。CAAC-OSは結晶を構成する原子が安定であり、信頼性を重視するトランジスタなどに適する。また、CAC-OSは、高移動度特性を示すため、高速駆動を行うトランジスタなどに適する。
【0161】
OSトランジスタは半導体層のエネルギーギャップが大きいため、数yA/μm(チャネル幅1μmあたりの電流値)という極めて低いオフ電流特性を示す。また、OSトランジスタは、インパクトイオン化、アバランシェ降伏、および短チャネル効果などが生じないなどSiトランジスタとは異なる特徴を有し、高耐圧で信頼性の高い回路を形成することができる。また、Siトランジスタでは問題となる結晶性の不均一性に起因する電気特性のばらつきもOSトランジスタでは生じにくい。
【0162】
OSトランジスタが有する半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0163】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0164】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上のキャリア密度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。当該酸化物半導体は欠陥準位密度が低く、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0165】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度、不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、または密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0166】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコン、または炭素が含まれると、酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコン、または炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0167】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、半導体層におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0168】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じてキャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における窒素濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
【0169】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に水素が含まれていると、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸化物半導体中に酸素欠損を形成する場合がある。酸化物半導体中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
【0170】
酸素欠損に水素が入った欠陥は、酸化物半導体のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、酸化物半導体においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、酸化物半導体のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0171】
よって、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0172】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向した結晶を有するCAAC-OS、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0173】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0174】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0175】
図19Aは、
図18Aに示す撮像装置10の断面の一例を説明する図である。層561は光電変換素子21として、シリコンを光電変換層とするpn接合型フォトダイオードを有する。層562はSiトランジスタを有し、
図19Aでは、セル12が有するトランジスタのうち、トランジスタ22、およびトランジスタ23を例示する。
【0176】
光電変換素子21において、層565aはp+型領域、層565bはn型領域、層565cはn+型領域とすることができる。また、層565bには、電源線と層565cとを接続するための領域536が設けられる。例えば、領域536はp+型領域とすることができる。
【0177】
図20Aは、
図19AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ22などのチャネル幅方向の断面を示す。
図20Aに示すように、Siトランジスタは、シリコン基板540にチャネル形成領域を有するフィン型とすることができる。また、Siトランジスタは、フィン型ではなく、
図20Bに示すようにプレーナー型であってもよい。
【0178】
または、
図20Cに示すように、シリコン薄膜の半導体層545を有するトランジスタであってもよい。半導体層545は、例えば、シリコン基板540上の絶縁層546上に形成された単結晶シリコン(SOI:Silicon on Insulator)とすることができる。
【0179】
図19Aでは、層561が有する要素と層562が有する要素との電気的な接続を貼り合わせ技術で得る構成例を示している。
【0180】
層561には、絶縁層542、導電層533および導電層534が設けられる。導電層533および導電層534は、絶縁層542に埋設された領域を有する。導電層533は、層565aと電気的に接続される。導電層534は、領域536と電気的に接続される。また、絶縁層542、導電層533および導電層534の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
【0181】
層562には、絶縁層541、導電層531および導電層532が設けられる。導電層531および導電層532は、絶縁層541に埋設された領域を有する。導電層531は、トランジスタ22のソースまたはドレインと電気的に接続される。導電層532は、電源線と電気的に接続される。また、絶縁層541、導電層531および導電層532の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
【0182】
ここで、導電層531および導電層533は、主成分が同一の金属元素であることが好ましい。また、導電層532および導電層534は、主成分が同一の金属元素であることが好ましい。さらに、絶縁層541および絶縁層542は、同一の成分で構成されていることが好ましい。
【0183】
例えば、導電層531、導電層532、導電層533、および導電層534には、Cu、Al、Sn、Zn、W、Ag、Pt、またはAuなどを用いることができる。接合のしやすさから、Cu、Al、W、またはAuを用いることが好ましい。また、絶縁層541、および絶縁層542には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタンなどを用いることができる。
【0184】
つまり、導電層531および導電層533の組み合わせと、導電層532および導電層534の組み合わせのそれぞれに、上記に示す同一の金属材料を用いることが好ましい。また、絶縁層541および絶縁層542のそれぞれに、上記に示す同一の絶縁材料を用いることが好ましい。当該構成とすることで、層561と層562の境を接合位置とする、貼り合わせを行うことができる。
【0185】
当該貼り合わせによって、導電層531および導電層533の組み合わせと、導電層532および導電層534の組み合わせと、のそれぞれの電気的な接続を得ることができる。また、絶縁層541および絶縁層542の機械的な強度を有する接続を得ることができる。
【0186】
金属層同士の接合には、表面の酸化膜および不純物の吸着層などをスパッタリング処理などで除去し、清浄化および活性化した表面同士を接触させて接合する表面活性化接合法を用いることができる。または、温度と圧力を併用して表面同士を接合する拡散接合法などを用いることができる。どちらも原子レベルでの結合が起こるため、電気的だけでなく機械的にも優れた接合を得ることができる。
【0187】
また、絶縁層同士の接合には、研磨などによって高い平坦性を得たのち、酸素プラズマ等で親水性処理をした表面同士を接触させて仮接合し、熱処理による脱水で本接合を行う親水性接合法などを用いることができる。親水性接合法も原子レベルでの結合が起こるため、機械的に優れた接合を得ることができる。
【0188】
層561と層562を貼り合わせる場合、それぞれの接合面には絶縁層と金属層が混在するため、例えば、表面活性化接合法および親水性接合法を組み合わせて貼り合わせを行えばよい。
【0189】
例えば、研磨後に表面を清浄化し、金属層の表面に酸化防止処理を行ったのちに親水性処理を行って接合する方法などを用いることができる。また、金属層の表面をAuなどの難酸化性金属とし、親水性処理を行ってもよい。なお、上述した方法以外の接合方法を用いてもよい。
【0190】
図19Bは、
図18Aに示す光電変換素子21にセレン系材料を光電変換層とするpn接合型フォトダイオードを用いた場合の断面図である。一方の電極として層566aを有し、光電変換層として層566bおよび層566cを有し、他方の電極として層566dを有する。
【0191】
この場合、層561は、層562上に直接形成することができる。層566aは、トランジスタ22のソースまたはドレインと電気的に接続される。層566dは、導電層537を介して電源線と電気的に接続される。なお、光電変換素子21に有機光導電膜を用いた場合もトランジスタとの接続形態は同様となる。
【0192】
図21Aは、
図18Bに示す撮像装置10の断面の一例を説明する図である。層561は光電変換素子21として、シリコンを光電変換層とするpn接合型フォトダイオードを有する。層562はSiトランジスタを有し、
図21Aでは、演算回路17が有するトランジスタのうち、トランジスタ52、およびトランジスタ61を例示する。ここで、トランジスタ61は、論理回路51が有するトランジスタとすることができる。また、層563はOSトランジスタを有し、セル12に含まれるトランジスタ22、およびトランジスタ23を例示する。層561と層563とは、貼り合わせで電気的な接続を得る構成例を示している。
【0193】
図22AにOSトランジスタの詳細な構成例を示す。
図22Aに示すOSトランジスタは、酸化物半導体層および導電層の積層上に絶縁層を設け、当該半導体層に達する溝を設けることでソース電極705およびドレイン電極706を形成することができるセルフアライン型の構成である。
【0194】
OSトランジスタは、酸化物半導体層に形成されるチャネル形成領域、ソース領域703およびドレイン領域704のほか、ゲート電極701、およびゲート絶縁膜702を有する構成とすることができる。上記溝には少なくともゲート絶縁膜702およびゲート電極701が設けられる。当該溝には、さらに酸化物半導体層707が設けられていてもよい。
【0195】
OSトランジスタは、
図22Bに示すように、ゲート電極701をマスクとして半導体層にソース領域およびドレイン領域を形成する、セルフアライン型の構成としてもよい。
【0196】
または、
図22Cに示すように、ソース電極705またはドレイン電極706と、ゲート電極701とが重なる領域を有する、ノンセルフアライン型のトップゲート型トランジスタであってもよい。
【0197】
トランジスタ22、およびトランジスタ23はバックゲート535を有している。
図22Dは、
図22AにB1-B2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ22などのチャネル幅方向の断面を示す。バックゲート535は、
図22Dに示すように、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続してもよい。なお、
図22Dは
図22Aのトランジスタを例として示しているが、その他の構造のトランジスタも同様である。また、バックゲート535にフロントゲートとは異なる固定電位を供給することができる構成であってもよい。なお、トランジスタ22、およびトランジスタ23は、バックゲート535を有さない構造であってもよい。
【0198】
OSトランジスタが形成される領域とSiトランジスタが形成される領域との間には、水素の拡散を防止する機能を有する絶縁層543が設けられる。トランジスタ52、およびトランジスタ61のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁層中の水素は、シリコンのダングリングボンドを終端する。一方、トランジスタ22、およびトランジスタ23のチャネル形成領域の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。
【0199】
絶縁層543により一方の層に水素を閉じ込めることで、トランジスタ52、およびトランジスタ61の信頼性を向上させることができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されることでトランジスタ22、およびトランジスタ23の信頼性も向上させることができる。
【0200】
絶縁層543としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0201】
図21Bは、光電変換素子21にセレン系材料を光電変換層とするpn接合型フォトダイオードを用いた場合の、撮像装置10の断面図である。光電変換素子21が設けられる層561は、層563上に直接形成することができる。層561、層562、および層563の詳細は、前述の説明を参照できる。なお、光電変換素子21に有機光導電膜を用いた場合もトランジスタとの接続形態は同様となる。
【0202】
図23Aは、撮像装置10が有する着色層(カラーフィルタ)等の構成例を示す斜視図である。光電変換素子21が形成される層561上には、絶縁層580が形成される。絶縁層580は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層してもよい。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層してもよい。
【0203】
絶縁層580上には、遮光層581が形成されてもよい。遮光層581は、上部の着色層を通る光の混色を防止する機能を有する。遮光層581には、アルミニウム、タングステンなどの金属層を用いることができる。また、当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体膜を積層してもよい。
【0204】
絶縁層580および遮光層581上には、平坦化膜として絶縁層582を設けることができる。また、着色層583(着色層583a、着色層583b、および着色層583c)が形成される。例えば、着色層583a、着色層583b、および着色層583cに、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
【0205】
着色層583上には、可視光に対して透光性を有する絶縁層586などを設けることができる。
【0206】
また、
図23Bに示すように、着色層583の代わりに光学変換層585を用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
【0207】
例えば、光学変換層585に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層585に近赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層585に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば、紫外線撮像装置とすることができる。
【0208】
また、光学変換層585にシンチレータを用いれば、撮像装置10を、X線撮像装置などに用いる放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンス現象により可視光線、または紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子21で検知することにより撮像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
【0209】
シンチレータは、X線、またはガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光、または紫外光を発する物質を含む。当該物質として、例えば、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF2、BaF2、CeF3、LiF、LiI、ZnOなどを樹脂またはセラミクスに分散させたものを用いることができる。
【0210】
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子21においては、X線等の放射線を電荷に直接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成とすることもできる。
【0211】
また、
図23Cに示すように、着色層583と重なる領域を有するように、絶縁層586上にマイクロレンズアレイ584を設けてもよい。マイクロレンズアレイ584が有する個々のレンズを通る光が直下の着色層583を通り、光電変換素子21に照射されるようになる。また、
図23Bに示す光学変換層585と重なる領域を有するように、マイクロレンズアレイ584を設けてもよい。
【0212】
<撮像装置の構成例_4>
図24Aは、撮像装置10の一例を説明する図であり、
図19Aに示す撮像装置10に、層564を設けた構成例を示す。層564は、層561上に設けられる。層564は、絶縁層580と、遮光層581と、絶縁層582と、絶縁層586と、着色層587と、を有する。
【0213】
層561上には、絶縁層580が形成され、絶縁層580上には、遮光層581、および絶縁層582が形成される。絶縁層582上には絶縁層586が形成され、絶縁層586上には着色層587が形成される。
【0214】
着色層587は、マイクロレンズの機能を兼ねることができる。よって、着色層587の他にマイクロレンズを別個形成する必要が無く、簡易な方法で撮像装置10を作製することができる。また、屈折率の異なる物質の界面に光が照射されると、照射された光の一部が反射する。例えばマイクロレンズと、当該マイクロレンズの底部と接するように設けられる絶縁層などの層と、の界面に光が照射されると、当該光の一部が反射する。よって、着色層の他にマイクロレンズを別個形成しないことで、撮像装置10に照射された光が、光電変換素子21により受光されるまでに減衰することを抑制することができる。これにより、撮像装置10による光の検出感度を高めることができる。
【0215】
【0216】
図26Aは、撮像装置10の一例を説明する図であり、
図24Aに示す撮像装置10の変形例である。
図26Aに示す撮像装置10は、層564の構成が
図24Aに示す撮像装置10と異なる。
図26Aに示す撮像装置10に設けられる層564は、絶縁層580と、遮光層581と、着色層587と、絶縁層588と、を有する。
【0217】
層561上には、絶縁層580が形成され、絶縁層580上には、遮光層581、および着色層587が形成される。前述のように、着色層587はマイクロレンズとしての機能を兼ねることができる。そして、着色層587上に、絶縁層588が形成される。絶縁層588は、平坦化膜とすることができる。絶縁層588は、例えば可視光に対して透光性を有する膜とする。
【0218】
【0219】
図28Aは、
図24A、
図24B、
図25A、および
図25Bに示す層564の構成例を示す斜視図である。
図28Bは、
図26A、
図26B、
図27A、および
図27Bに示す層564の構成例を示す斜視図である。
図28A、および
図28Bに示すように、着色層587(着色層587a、着色層587b、および着色層587c)が形成される。例えば、着色層587a、着色層587b、および着色層587cに、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
【0220】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0221】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)について説明する。
【0222】
<結晶構造の分類>
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、
図29Aを用いて説明を行う。
図29Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0223】
図29Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC、nc(nanocrystalline)、及びCACが含まれる。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0224】
なお、
図29Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」、および「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0225】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを
図29Bに示す。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、
図29Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、
図29Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、
図29Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
【0226】
図29Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、
図29Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度(intensity)が検出された角度を軸に左右非対称である。
【0227】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、
図29Cに示す。
図29Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、
図29Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
【0228】
図29Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
【0229】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、
図29Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0230】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0231】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0232】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0233】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
【0234】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0235】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0236】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、および金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0237】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0238】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入、または欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物および欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0239】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSまたは非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0240】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0241】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0242】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0243】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0244】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、およびZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、および[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0245】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0246】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0247】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0248】
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、および良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0249】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0250】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0251】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0252】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0253】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0254】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0255】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0256】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0257】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンまたは炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンまたは炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンまたは炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0258】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0259】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
【0260】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
【0261】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0262】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0263】
(実施の形態3)
本実施の形態では、イメージセンサチップを収めたパッケージおよびカメラモジュールの一例について説明する。当該イメージセンサチップには、上記撮像装置の構成を用いることができる。
【0264】
図30A1は、イメージセンサチップを収めたパッケージの上面側の外観斜視図である。当該パッケージは、イメージセンサチップ450を固定するパッケージ基板410、カバーガラス420、および両者を接着する接着剤430等を有する。なお、イメージセンサチップ450は、後述する
図30A3に示している。
【0265】
図30A2は、当該パッケージの下面側の外観斜視図である。パッケージの下面には、半田ボールをバンプ440としたBGA(Ball grid array)が設けられる。なお、BGAに限らず、LGA(Land grid array)、またはPGA(Pin Grid Array)などを有していてもよい。
【0266】
図30A3は、カバーガラス420および接着剤430の一部を省いて図示したパッケージの斜視図である。パッケージ基板410上には電極パッド460が形成され、電極パッド460およびバンプ440はスルーホールを介して電気的に接続されている。電極パッド460は、イメージセンサチップ450とワイヤ470によって電気的に接続されている。
【0267】
また、
図30B1は、イメージセンサチップをレンズ一体型のパッケージに収めたカメラモジュールの上面側の外観斜視図である。当該カメラモジュールは、イメージセンサチップ451を固定するパッケージ基板411、レンズカバー421、およびレンズ435等を有する。また、パッケージ基板411およびイメージセンサチップ451の間には撮像装置の駆動回路および信号変換回路などの機能を有するICチップ490も設けられており、SiP(System in package)としての構成を有している。なお、イメージセンサチップ451、およびICチップ490は、後述する
図30B3に示している。
【0268】
図30B2は、当該カメラモジュールの下面側の外観斜視図である。パッケージ基板411の下面および側面には、実装用のランド441が設けられたQFN(Quad flat no-lead package)の構成を有する。なお、当該構成は一例であり、QFP(Quad flat package)、または前述したBGAが設けられていてもよい。
【0269】
図30B3は、レンズカバー421およびレンズ435の一部を省いて図示したモジュールの斜視図である。ランド441は電極パッド461と電気的に接続され、電極パッド461はイメージセンサチップ451またはICチップ490とワイヤ471によって電気的に接続されている。
【0270】
イメージセンサチップを上述したような形態のパッケージに収めることでプリント基板等への実装が容易になり、イメージセンサチップを様々な半導体装置、電子機器に組み込むことができる。
【0271】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0272】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置を用いることができる電子機器の一例を説明する。
【0273】
本発明の一態様の撮像装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置又は画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機等が挙げられる。これら電子機器の具体例を
図31A乃至
図31Fに示す。
【0274】
図31Aは、携帯電話機910の一例であり、筐体911、表示部912、操作ボタン913、外部接続ポート914、スピーカ915、差込口916、カメラ917、イヤホン差込口918等を有する。携帯電話機910は、表示部912にタッチセンサを設けることができる。電話を掛ける、或いは文字を入力する等のあらゆる操作は、指又はスタイラス等で表示部912に触れることで行うことができる。また、差込口916には、SDカード等のメモリーカードをはじめとして、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置を差し込むことができる。
【0275】
携帯電話機910に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。例えば、カメラ917等、携帯電話機910による撮像データ取得のための要素に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。本発明の一態様の撮像装置は、ニューラルネットワークによる演算の一部を行うことができる。よって、携帯電話機910に画像認識機能などの付加機能を搭載することができる。また、ニューラルネットワークによる演算のすべてをソフトウェアにより行う場合より、携帯電話機910の消費電力を低減することができる。
【0276】
図31Bは、携帯データ端末920の一例であり、筐体921、表示部922、スピーカ923、カメラ924等を有する。表示部922が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。また、カメラ924で取得した画像から文字等を認識し、スピーカ923で当該文字を音声出力することができる。
【0277】
携帯データ端末920に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。例えば、カメラ924等、携帯データ端末920による撮像データ取得のための要素に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。本発明の一態様の撮像装置は、ニューラルネットワークによる演算の一部を行うことができる。よって、携帯データ端末920に画像認識機能などの付加機能を搭載することができる。また、ニューラルネットワークによる演算のすべてをソフトウェアにより行う場合より、携帯データ端末920の消費電力を低減することができる。
【0278】
図31Cは、監視カメラ960の一例であり、取付具961、筐体962、レンズ963等を有する。監視カメラ960は、取付具961により壁又は天井等に取り付けることができる。なお、監視カメラとは慣用的な名称であり、用途を限定するものではない。例えば監視カメラとしての機能を有する機器はカメラ、又はビデオカメラとも呼ばれる。
【0279】
監視カメラ960に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。例えば、監視カメラ960による撮像データ取得のための要素に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。本発明の一態様の撮像装置は、ニューラルネットワークによる演算の一部を行うことができる。よって、監視カメラ960に画像認識機能などの付加機能を搭載することができる。また、ニューラルネットワークによる演算のすべてをソフトウェアにより行う場合より、監視カメラ960の消費電力を低減することができる。
【0280】
図31Dは、ビデオカメラ940の一例であり、第1の筐体941、第2の筐体942、表示部943、操作キー944、レンズ945、接続部946、スピーカ947、マイク948等を有する。操作キー944及びレンズ945は、第1の筐体941に設けることができ、表示部943は、第2の筐体942に設けることができる。
【0281】
ビデオカメラ940に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。例えば、ビデオカメラ940による撮像データ取得のための要素に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。本発明の一態様の撮像装置は、ニューラルネットワークによる演算の一部を行うことができる。よって、ビデオカメラ940に画像認識機能などの付加機能を搭載することができる。また、ニューラルネットワークによる演算のすべてをソフトウェアにより行う場合より、ビデオカメラ940の消費電力を低減することができる。
【0282】
図31Eは、デジタルカメラ950の一例であり、筐体951、シャッターボタン952、発光部953、レンズ954等を有する。デジタルカメラ950に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。例えば、デジタルカメラ950による撮像データ取得のための要素に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。本発明の一態様の撮像装置は、ニューラルネットワークによる演算の一部を行うことができる。よって、デジタルカメラ950に画像認識機能などの付加機能を搭載することができる。また、ニューラルネットワークによる演算のすべてをソフトウェアにより行う場合より、デジタルカメラ950の消費電力を低減することができる。
【0283】
図31Fは、腕時計型の情報端末930の一例であり、筐体兼リストバンド931、表示部932、操作ボタン933、外部接続ポート934、カメラ935等を有する。表示部932は、情報端末930の操作を行うためのタッチパネルが設けられる。筐体兼リストバンド931、及び表示部932は可撓性を有し、身体への装着性が優れている。
【0284】
情報端末930に、本発明の一態様の半導体装置を適用することができる。例えば、カメラ935等、情報端末930による撮像データ取得のための要素に、本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。本発明の一態様の撮像装置は、ニューラルネットワークによる演算の一部を行うことができる。よって、情報端末930に画像認識機能などの付加機能を搭載することができる。また、ニューラルネットワークによる演算のすべてをソフトウェアにより行う場合より、情報端末930の消費電力を低減することができる。
【0285】
図32Aは、移動体の一例として自動車の外観図を図示している。
図32Bは、自動車内でのデータのやり取りを簡略化して示した図である。自動車890は、複数のカメラ891等を有する。また、自動車890は、赤外線レーダー、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなど各種センサ(図示せず)などを備える。
【0286】
カメラ891に本発明の一態様の撮像装置を適用することができる。本発明の一態様の撮像装置は、ニューラルネットワークによる演算の一部を行うことができる。よって、カメラ891に画像認識機能などの付加機能を搭載することができる。また、ニューラルネットワークによる演算のすべてをソフトウェアにより行う場合より、自動車890の消費電力を低減することができる。
【0287】
自動車890において、カメラ891等に集積回路893を用いることができる。自動車890は、カメラ891が複数の撮像方向892で得られた複数の画像を集積回路893で処理し、バス894等を介してホストコントローラ895等により複数の画像をまとめて解析する。これにより、自動車890は、ガードレール、または歩行者の有無など、周囲の交通状況を判断し、自動運転を行うことができる。また、道路案内、危険予測などを行うシステムに用いることができる。
【0288】
集積回路893では、得られた画像データをニューラルネットワークなどの演算処理を行うことで、例えば、画像の高解像度化、画像ノイズの低減、顔認識(防犯目的など)、物体認識(自動運転の目的など)、画像圧縮、画像補正(広ダイナミックレンジ化)、レンズレスイメージセンサの画像復元、位置決め、文字認識、反射映り込み低減などの処理を行うことができる。
【0289】
なお、上述では、移動体の一例として自動車について説明しているが、自動車は、内燃機関を有する自動車、電気自動車、水素自動車など、いずれであってもよい。また、移動体は自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)なども挙げることができ、これらの移動体に本発明の一態様のコンピュータを適用して、人工知能を利用したシステムを付与することができる。
【0290】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0291】
10:撮像装置、11:セルアレイ、12:セル、13:ロードライバ回路、14:データ生成回路、16:回路、17:演算回路、21:光電変換素子、22:トランジスタ、23:トランジスタ、24:トランジスタ、25:トランジスタ、26:トランジスタ、27:トランジスタ、28:トランジスタ、29:ソースフォロワ回路、32:配線、33:配線、35:配線、36:配線、37:配線、38:配線、41:配線、43:配線、44:配線、45:配線、46:配線、47:配線、48:配線、51:論理回路、52:トランジスタ、53:配線、54:A/D変換回路、61:トランジスタ、410:パッケージ基板、411:パッケージ基板、420:カバーガラス、421:レンズカバー、430:接着剤、435:レンズ、440:バンプ、441:ランド、450:イメージセンサチップ、451:イメージセンサチップ、460:電極パッド、461:電極パッド、470:ワイヤ、471:ワイヤ、490:ICチップ、531:導電層、532:導電層、533:導電層、534:導電層、535:バックゲート、536:領域、537:導電層、540:シリコン基板、541:絶縁層、542:絶縁層、543:絶縁層、545:半導体層、546:絶縁層、561:層、562:層、563:層、564:層、565a:層、565b:層、565c:層、566a:層、566b:層、566c:層、566d:層、567a:層、567b:層、567c:層、567d:層、567e:層、580:絶縁層、581:遮光層、582:絶縁層、583:着色層、583a:着色層、583b:着色層、583c:着色層、584:マイクロレンズアレイ、585:光学変換層、586:絶縁層、587:着色層、587a:着色層、587b:着色層、587c:着色層、588:絶縁層、701:ゲート電極、702:ゲート絶縁膜、703:ソース領域、704:ドレイン領域、705:ソース電極、706:ドレイン電極、707:酸化物半導体層、890:自動車、891:カメラ、892:撮像方向、893:集積回路、894:バス、895:ホストコントローラ、910:携帯電話機、911:筐体、912:表示部、913:操作ボタン、914:外部接続ポート、915:スピーカ、916:差込口、917:カメラ、918:イヤホン差込口、920:携帯データ端末、921:筐体、922:表示部、923:スピーカ、924:カメラ、930:情報端末、931:筐体兼リストバンド、932:表示部、933:操作ボタン、934:外部接続ポート、935:カメラ、940:ビデオカメラ、941:筐体、942:筐体、943:表示部、944:操作キー、945:レンズ、946:接続部、947:スピーカ、948:マイク、950:デジタルカメラ、951:筐体、952:シャッターボタン、953:発光部、954:レンズ、960:監視カメラ、961:取付具、962:筐体、963:レンズ
【手続補正書】
【提出日】2024-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に複数のセルが配置されたセルアレイと、論理回路と、読み出し回路と、を有し、
前記セルは、光電変換素子と、第1乃至第4のトランジスタと、を有し、
前記光電変換素子の一方の電極は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記論理回路と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記読み出し回路と電気的に接続されている、撮像装置。
【請求項2】
マトリクス状に複数のセルが配置されたセルアレイと、論理回路と、読み出し回路と、を有し、
前記セルは、光電変換素子と、第1乃至第4のトランジスタと、を有し、
前記光電変換素子の一方の電極は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記論理回路と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記読み出し回路と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの各々は、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Ge、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と、を有する撮像装置。