(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026686
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】細長い可撓性構成要素を人体の部分に通して導くための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/06 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61B17/06
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024216895
(22)【出願日】2024-12-11
(62)【分割の表示】P 2022539186の分割
【原出願日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】62/953,749
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513055492
【氏名又は名称】トライメッド インク.
【氏名又は名称原語表記】TriMed Inc.
【住所又は居所原語表記】27533 Avenue Hopkins Santa Clarita, California 91355 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100135839
【弁理士】
【氏名又は名称】大南 匡史
(72)【発明者】
【氏名】ロバート メドフ
(57)【要約】
【課題】縫合糸などの細長い可撓性構成要素を、人体の部分に通して導くための方法及び装置を提供する。
【解決手段】長さを有する細長い可撓性構成要素を人体の部分に通して導く方法及び装置。方法は、軸方向に離間した先行端と後続端との間の長さを有する細長い本体と細長い本体の周面を通る切欠きとを備える装置を取得するステップと、細長い可撓性構成要素の中間長さ部分を切欠き内に導き細長い可撓性構成要素を装置上の動作位置に配置するステップと、細長い可撓性構成要素が動作位置にある状態で、細長い本体を人体の部分に通して前進させ、それによって、細長い可撓性構成要素の一部を細長い本体上の引込み面によって人体の部分に通して導くステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の部分を通って導かれるように構成された、長さを有する細長い可撓性構成要素と、
先行端と後続端との間の長さを有する細長い本体を備える装置との組合せであって、
前記細長い本体は、軸と、前記軸の周りに延在する周面と、前記周面を通る切欠きと、引込み面とを有し、
前記細長い本体の前記軸は、前記先行端と前記後続端との間で直線状であり、
前記細長い本体の先行端は、人体の部分を通って導かれるように構成されており、
前記切欠きは、前記細長い可撓性構成要素の中間長さ部分が前記細長い可撓性構成要素が作動位置にある時、前記引込み面に当接するように前記切欠き内に導かれることができるように構成されており、
それにより、前記細長い可撓性構成要素の部分は、前記引込み面によって導かれることができ、
前記細長い本体が人体の部分を通って前進して、前記細長い可撓性構成要素の一部が前記装置と十分に係合および分離される際に、前記細長い可撓性構成要素の一部が、前記細長い本体とともに移動するように前記引込み面によって導かれることができ、
前記細長い本体の前記先行端は、前記細長い本体の長さ方向に延在する切断刃を有し、
前記切断刃は、前記切断刃が人体の部分に当接して前記細長い本体が前記細長い本体の前記軸を中心に回転するときに、人体の部分を通る通路を形成又は拡張するように構成されており、
前記人体の部分は骨である、組合せ。
【請求項2】
前記細長い本体の前記先行端は、前記切断刃を複数有する、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
前記細長い可撓性構成要素は、縫合糸である、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項4】
前記細長い本体の前記先行端は、鋭利な先端を有する、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項5】
前記細長い本体は、76.2~127ミリメートルの長さを有する、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項6】
前記細長い本体は、1.27~1.778ミリメートルの直径を有する実質的に円筒形の形状である、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項7】
前記切欠きは、前記細長い本体の先行端よりも前記細長い本体の後続端の近くにある、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項8】
前記切欠きは、前記細長い本体の後続端よりも前記細長い本体の先行端の近くにある、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項9】
前記切欠きは、ある1つの半径方向の視点から見て「U」形状を有する、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項10】
前記「U」形状は、前記細長い本体の前記軸に対して鋭角である方向に開く、請求項9に記載の組合せ。
【請求項11】
前記切欠きは、前記細長い可撓性構成要素が進入する進入場所を有し、
前記「U」形状は、前記進入場所のサイズ及び形状のうちの少なくとも1つを変更するように屈曲することが可能である少なくとも1つの片持ち部分によって規定されている、請求項9に記載の組合せ。
【請求項12】
前記片持ち部分は、丸みを帯びた自由端を有する、請求項11に記載の組合せ。
【請求項13】
前記細長い本体上の切欠きは、前記細長い本体の前記軸に対して鋭角に延在する少なくとも1つの部分を有する面によって規定されている、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項14】
前記面の少なくとも1つの部分は、前記細長い本体の前記軸と5°~15°の角度をなす平面内に存在する、請求項13に記載の組合せ。
【請求項15】
前記細長い本体は、ステンレス鋼から作製されている、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項16】
前記細長い本体は、前記先行端に隣接して局所的に半径方向に拡張されている、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの片持ち部分は、前記進入場所を完全に封鎖するように屈曲することが可能である、請求項11に記載の組合せ。
【請求項18】
前記細長い本体は、前記少なくとも1つの片持ち部分を屈曲させて、前記細長い可撓性構成要素が前記作動位置にある状態で前記細長い可撓性構成要素の部分を圧着することによって変形可能である、請求項11に記載の組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置に関し、より詳細には、縫合糸などの細長い可撓性構成要素を、軟組織及び/又は骨で構成された患者の身体の部分に通して導くための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療処置では、外科医は、軟組織及び/又は骨で構成された患者の身体の様々な部分に通して細長い可撓性構成要素を導く必要がある。本明細書の本発明は、特定の形態の可撓性構成要素に限定されないが、簡略化のために、全体を通して例示的な形態として縫合糸を使用する。処置の実行において、縫合糸は、1つ以上の軟組織及び/又は1つ以上の骨/骨部分を通過することとなる。さらに、簡略化のために、かつ本明細書の本発明の範囲を限定することなく、一般にその硬度のためにより困難である、主に骨を通して縫合糸を導くことに注目する。
【0003】
現在、骨を通して縫合糸を導くためのいくつかの異なる方法がある。一形態では、硬質針のための通路/チャネルが、ドリル又はピンなどを用いて骨中に予め形成される。針は、典型的には、湾曲形状又は直線形状のいずれかを有する比較的剛性な金属構造を有する。現在利用されている針構成はいくつかある。一般的に、自由縫合糸端は、完全に取り囲まれた針開口に通され、自由縫合糸端自体の上に折り返される。針が骨通路を通って前進するとき、針は、針と一緒に糸を引き込む。あるいは、縫合糸は、針の端部に小さなカニューレ状のチャネルを設け、その中に縫合糸端を挿入し、縫合糸に周囲の針部を圧着することなどによって、針に一体的に接続される場合がある。
【0004】
通り抜け通路が形成された状態で、通路への入口が位置付けられ、針の先行端が動作可能に配置された縫合糸と共に導入される。通路が2つ以上の骨及び/又は骨部分を横断する場合、特に、通路が穿孔された後に第2の骨が位置を移動した場合、第2の骨/骨部分の進入場所を見つけることは特に困難又は不可能でさえあり得る。処置全体に対して時間を追加することは別として、針の導入を達成するのに遅延があると、既にストレスの多い努力において疲労を引き起こすフラストレーションが生じる可能性がある。通路を見つけることができないことはまた、処置の有効性を損なう。さらに、針は典型的には、限られた数の異なる長さを有しており、したがって、針を作業に適合させることが問題となる可能性があり、これは処置における特定の違和感又は複雑さをもたらす可能性がある。
【0005】
別の技術は、引込みループの形成を含む。一般的に、小さな縫合糸が使用され、ループとして2つ折りにされるか、又は一端にループ状結び目を使用して結ばれる。外科医は、形成された通路に縫合糸を通す必要があり、それから、ループを能動縫合糸に接続し、その縫合糸を通路を通して引っ張るように使用することができる。通路直径が大きい場合、特に、通路が単一の骨を通るとき、通路全長が比較的短いと仮定すると、この処置は実用的である可能性がある。しかしながら、通路の有効径が小さい場合、及び/若しくは縫合糸が通過しなければならない距離が大きい場合、又は複数の骨を通る場合、プロセスを実行することは非常に困難又は不可能である可能性がある。縫合糸は、一般に、それらの可撓性、及び取り囲まれた通路/ボアを通って導かれるときに引っ掛かって屈曲する傾向ゆえに、糸を通すことが困難である。この場合もやはり、処置の遅延は、効率及び外科医の疲労の一因となる点で不利であり、外科医が処置を完了することができなくなる可能性がある。
【0006】
さらなる従来技術は、縫合糸自体を再配置するために器具を使用する。実施される一例は、Hughston縫合糸通し器として知られるものを使用する。この装置は、その端部に取り付けられた可撓性紐の閉ループを有する、一般的には小さいハンドルを有する、長く、細い、ピンの形態である。ループは、予め形成された通路を通って外科医によって導かれる。ループが通路を出ると、縫合糸を閉ループに通すことができ、それからループを引き出すことができる。一般に、このこと及び前述の従来技術は、複数の部品の使用、組立て、及び接触面の強度の確認を必要とする。上記の技術の各々は、必要なステップを実行するために、縫合糸の自由端を、単一であるか又はそれ自体に折り重なっているかにかかわらず、制御可能に閉ループ又は針「目」に導入することを必要とする。さらに、この手法は、最初に穿孔によって通路が形成され、その後、器具が予め形成された通路を通過することを必要とする。これは、器具が通路を容易に通過することを可能にするために、通路が器具よりも大きいことを必要とする。さらに、特に通路が複数の骨を通っているとき、ある骨が別の骨に対して移動すると、通路全体の横断が困難又は不可能にさえなり得る。
【0007】
さらなる既知の技術は、針のように効果的に使用されるピンの端部のアイレットを通して縫合糸を導くことを含む。しかしながら、この技術は、切断刃を有する先端を備えるピンを用いる。縫合糸を支持するピンは、骨を穿孔して骨を通る通路を形成し、形成された骨通路を通して縫合糸を引き込むために使用されるのと同じ構造である。これは、外科医が手に持って別個の穿孔器具及び縫合糸引込み構造を利用する必要がなく、かつ以前に形成された通路を見つける必要を取り除くという点で、上述した先行技術と比較してプロセスを簡略化する。したがって、2つのステップを1つとして実行するために必要な時間と同様に、このタイプの処置中に手元に保持する必要がある部品の数が低減される。しかしながら、縫合糸はピンに取り付けられているため、装置が穿孔動作によって回転して通路を生成するとき、縫合糸は回転に追従し、ピンの背後でスピン/巻き付く。結果として得られる構造は、絡まった釣り糸の外観を有することがあり、これは、所望の最終結果を達成するために、糸が操作されて結ばれることを可能にするために的確に糸をほどかなければならないという不都合を含む、他の複雑さを作り出す。さらに、縫合糸及び他の可撓性構成要素の可撓性の性質を考慮すると、縫合糸端がほつれやすいことに加えて、「ねじ切り」プロセスは、特に外科的処置中に実行する必要があるステップとして、困難又は非現実的であり得る。
【0008】
上述のように縫合操作によって処置が行われる頻度にもかかわらず、硬組織及び軟組織の両方を通る、本発明者に知られている既存の構造は、少なくとも上記で特定された問題に効果的に対処するものではない。外科的処置において、効率及び遂行の容易さは、設計のための重要な指針である。先行技術は、これらの設計目的に十分に達成していないと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの形態では、本発明は、長さを有する細長い可撓性構成要素を人体の部分に通して導く方法を対象とする。前記方法は、先行端と後続端との間の長さを有する細長い本体を備える装置を取得する工程を含み、前記細長い本体は、長さ方向軸と、前記軸の周りに延在する周面とを有し、前記本体は、前記周面を通る切欠きと、引込み面とをさらに有し、前記方法は、さらに、前記細長い可撓性構成要素が前記装置上の動作位置に配置されるように、前記細長い可撓性構成要素の中間長さ部分を前記切欠き内に導く工程と、前記細長い可撓性構成要素の一部が前記引込み面によって前記人体の部分に通して引き込まれるように、前記細長い可撓性構成要素が前記動作位置にある状態で、前記細長い本体を前記人体の部分に通して第1の方向に前進させる工程と、を含む。
【0010】
1つの形態では、前記細長い本体を前進させる前記工程は、前記切欠きが前記人体の部分を完全に通過するように前記細長い本体を前進させることを含む。
【0011】
1つの形態では、前記細長い本体を前進させる前記工程は、前記人体の部分を完全に通過するように前記細長い本体を前進させることを含む。
【0012】
1つの形態では、前記細長い本体は、前記細長い本体の前記先行端に切断刃を有する。前記方法は、前記切断刃を使用して、前記細長い可撓性構成要素が通過するように導く、前記人体の前記部分内の通路を形成又は拡張する工程をさらに含む。
【0013】
1つの形態では、前記細長い可撓性構成要素の前記中間長さ部分を前記切欠き内に導く前記工程は、前記細長い可撓性構成要素の中間長さ部分を、前記細長い本体の周面に当てて軸方向に沿って、前記切欠きを経て前記切欠き内で摺動することを含む。
【0014】
1つの形態では、前記細長い可撓性構成要素の前記中間長さ部分を前記切欠き内に導く前記工程は、前記細長い可撓性構成要素の中間長さ部分を、前記長さ方向軸に対して鋭角で外側面から誘導面部に沿って内側に摺動可能に誘導することを含む。
【0015】
1つの形態では、前記細長い可撓性構成要素の前記中間長さ部分を前記切欠き内に導く前記工程は、前記細長い可撓性構成要素の前記中間長さ部分を、前記細長い本体に沿って引込み縁までかつ前記引込み縁に当てるように長さ方向に誘導することを含む。
【0016】
1つの形態では、前記通路を形成又は拡張する前記工程は、前記細長い可撓性構成要素の前記中間長さ部分を前記切欠き内に導く前に、前記細長い本体の前記先行端を回転して前記切断刃に前記人体の部分を切断することを含む。
【0017】
1つの形態では、骨/骨部分及び軟組織のうちの1つである。
【0018】
1つの形態では、前記方法は、前記細長い可撓性構成要素の前記中間長さ部分を前記切欠き内に導く前に、前記細長い本体を、前記先行端を先頭にして、前記人体の部分に通して、前記第1の方向とは反対の第2の方向に導いて前記切欠きを露出する工程をさらに含む。前記細長い本体を前進させる前記工程は、前記細長い可撓性構成要素を前記動作位置に有する前記細長い本体を、前記後続端を先頭にして、前記第1の方向に移動させ、それによって前記装置を前記人体の前記部分から離すことを含む。
【0019】
1つの形態では、前記方法は、前記細長い可撓性構成要素を前記動作位置に維持するのを支援するように、前記装置を再構成する工程をさらに含む。
【0020】
1つの形態では、前記装置を再構成する前記工程は、前記装置の一部を変形させることを含む。
【0021】
1つの形態では、前記切欠きは、前記細長い可撓性構成要素の前記中間長さ部分が導かれて、前記細長い可撓性構成要素が前記動作位置に配置されるように、通過する進入場所を有する。前記装置を再構成する前記工程は、前記進入場所の形状及びサイズのうちの少なくとも1つを変更するように前記装置を再構成することを含む。
【0022】
1つの形態では、前記細長い本体は、少なくとも1つの変形可能部分を備える。前記装置を再構成する前記工程は、前記少なくとも1つの変形可能部分を変形させて、それにより細長い可撓性要素の部分を前記細長い本体に捕捉して固定することを含む。
【0023】
1つの形態では、前記装置の変形される部分は、前記切欠きの部分を境界付ける片持ち部分である。前記片持ち部分は、前記細長い本体と一体的に形成されていて前記装置を再構成する前記工程を実行するために屈曲可能である。
【0024】
1つの形態では、前記装置を再構成する前記工程は、前記装置の一領域を圧着することを含む。
【0025】
1つの形態では、前記切欠きは、前記引込み面によって規定される容積を有する。前記引込み面は、前記切欠き容積内に露出している。
【0026】
1つの形態では、前記細長い可撓性構成要素は、前記細長い本体の先行端が前記人体の部分内に導かれた後に、前記動作位置に配置される
【0027】
1つの形態では、前記方法は、前記細長い本体が前記人体の部分を完全に通過して前進した後に、前記細長い可撓性構成要素を前記細長い本体から分離する工程をさらに含む。
【0028】
1つの形態では、前記細長い可撓性構成要素は、縫合糸である。
【0029】
1つの形態では、前記細長い本体を前記人体の部分に通して前記第1の方向に前進させる前記工程は、前記細長い本体を、先行端を先頭にして前進させることを含む。
【0030】
1つの形態では、前記方法は、前記人体の部分を通る開口を、前記細長い本体が前記人体の部分を通る前記開口内に導入する前に、予め形成する工程をさらに含む。
【0031】
1つの形態では、前記細長い本体は、より大きい直径部分とより小さい直径部分とを有する段付き直径を有し、より大きい直径部分は、より小さい直径部分よりも前記細長い本体の先行端の近くにある。
【0032】
1つの形態では、本発明は、人体の部分を通って導かれるように構成された、長さを有する細長い可撓性構成要素と、先行端と後続端との間の長さを有する細長い本体を備える装置との組合せを対象とする。前記本体は、軸と、前記軸の周りに延在する周面と、前記周面を通る切欠きと、引込み面とを有する。前記細長い本体の先行端は、人体の部分を通って導かれるように構成されている。前記切欠きは、前記細長い可撓性構成要素の中間長さ部分が前記細長い可撓性構成要素が作動位置にある時、前記引込み面に当接するように前記切欠き内に導かれることができるように構成されており、それにより、前記細長い可撓性構成要素の部分は、前記引込み面によって導かれることができる。前記細長い可撓性構成要素の部分は、前記細長い本体が人体の部分を通って前進して前記装置と十分に係合および分離される際に、細長い本体とともに移動するように前記引込み面によって導かれることができる。
【0033】
1つの形態では、前記細長い可撓性構成要素は、縫合糸である。
【0034】
1つの形態では、前記細長い本体の前記先行端は、鋭利な先端を有する。
【0035】
1つの形態では、前記細長い本体の前記先行端は、前記細長い本体の長さ方向に延在する切断刃を有し、前記切断刃は、前記刃が人体の部分に当接して前記細長い本体が前記細長い本体の前記軸を中心に回転するときに、人体の部分を通る通路を形成又は拡張するように構成されている。
【0036】
1つの形態では、前記細長い本体の前記先行端は、前記細長い本体の長さ方向に各々延在する複数の切断刃を有し、前記複数の切断刃は、前記刃が人体の部分に当接して前記細長い本体が前記細長い本体の前記軸を中心に回転するときに、人体の部分を通る通路を形成又は拡張するように構成されている。
【0037】
1つの形態では、前記細長い本体は、3~5インチの長さを有する。
【0038】
1つの形態では、前記細長い本体は、0.05~0.07インチの直径を有する実質的に円筒形の形状である。
【0039】
1つの形態では、前記切欠きは、前記細長い本体の先行端よりも前記細長い本体の後続端の近くにある。
【0040】
1つの形態では、前記切欠きは、前記細長い本体の後続端よりも前記細長い本体の先行端の近くにある。
【0041】
1つの形態では、前記切欠きは、半径方向の視点から見て「U」形状を有する。
【0042】
1つの形態では、前記「U」形状は、前記細長い本体の前記軸に対して鋭角である方向に開く。
【0043】
1つの形態では、前記切欠きは、進入場所を有している。前記「U」形状は、前記進入場所のサイズ及び形状のうちの少なくとも1つを変更するように屈曲することが可能である少なくとも1つの片持ち部分によって規定されている。
【0044】
1つの形態では、前記片持ち部分は、丸みを帯びた自由端を有する。
【0045】
1つの形態では、前記細長い本体上の切欠きは、前記細長い本体の前記軸に対して鋭角に延在する少なくとも1つの部分を有する面によって規定されている。
【0046】
1つの形態では、前記面の少なくとも1つの部分は、前記細長い本体の前記軸と5°~15°の角度をなす平面内に存在する。
【0047】
1つの形態では、前記細長い本体は、ステンレス鋼から作製されている。
【0048】
1つの形態では、前記細長い本体は、前記先行端に隣接して局所的に半径方向に拡張されている。
【0049】
1つの形態では、前記少なくとも1つの片持ち部分は、前記進入場所を実質的に完全に封鎖するように屈曲することが可能である。
【0050】
1つの形態では、前記細長い本体は、前記少なくとも1つの片持ち部分を屈曲させて、前記細長い可撓性構成要素が前記動作位置にある状態で前記細長い可撓性構成要素の部分を圧着することによって変形可能である。
【0051】
1つの形態では、前記細長い本体は、別個のサブレセプタクルを有し、前記別個のサブレセプタクルは、前記片持ち部分が前記細長い本体の別の部分に当てられて屈曲した状態で、前記細長い可撓性構成要素が前記別個のサブレセプタクルを通って移動することを可能にするために開いた状態を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1にも概略的に示されているように、細長い可撓性構成要素を人体の部分に通して導くための、本発明による装置の概略図である。
【
図2】
図1に概略的に示す装置の1つの特定の形態の側面図である。
【
図3】
図2と同様の図であり、装置を長さ方向軸を中心に90°回転させ、その上の作動位置に細長い可撓性構成要素を有する図である。
【
図5】骨を通して細長い可撓性構成要素を導くために本発明の装置を使用して実行される、一連のステップを示す概略図である。
【
図6】骨を通して細長い可撓性構成要素を導くために本発明の装置を使用して実行される、一連のステップを示す概略図である。
【
図7】骨を通して細長い可撓性構成要素を導くために本発明の装置を使用して実行される、一連のステップを示す概略図である。
【
図8】
図1の装置上の、再構成可能な形態を有する細長い本体の概略図である。
【
図9】細長い可撓性構成要素をその動作位置に、より確実に維持するように再構成された、
図2~
図4の装置を示す拡大された断片的な立面図である。
【
図10】細長い可撓性構成要素をその動作位置において圧着するように再構成された細長い本体を有する、
図9と同様の部分図である。
【
図11】本発明の装置の変形形態を示す、
図10と同様の図である。
【
図12】
図2の装置に対応し、細長い可撓性構成要素が骨を通って反対方向に移動される装置のさらなる変形形態を示す図である。
【
図13】
図2と同様の図であり、先行端の形態が異なる装置のさらなる変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1に概略的に示すように、本発明は、人体の少なくとも1つの部分14を通して細長い可撓性構成要素12を導くために使用可能な装置10を対象とする。
図1に示す概略図は、装置10の様々な形態、及び1つ以上の人体部分14を通る細長い可撓性構成要素12の様々な形態の使用による様々な用途を包含することを意図している。
【0054】
例えば、部分14(複数可)は、複数の骨/骨部分などを含む、任意の軟組織及び/又は骨/骨部分、並びにそれらの異なる組合せであってもよい。上述したように、本明細書では、主に、骨の硬度ゆえに、より困難な通路形成を必要とする骨の形態の部分14に重点が置かれる。本発明は、装置10が、部分14(複数可)を通る予め形成された通路/開口16を形成かつ/又は拡張するために使用可能であり得ることを企図している。
【0055】
同様に、細長い可撓性構成要素12は、いくつかの異なる形態をとってもよく、そのいずれも、適切な処置を実行することを可能にするために、進入開口から通路16へ、そして出口開口を通って前進することを必要とする。さらに、上述したように、簡略化のために、本明細書の本発明は、制限ループを形成するように、又は医療分野における任意の他の目的のために、1つ以上の部分14を通って画定された通路16を通って引き込まれる従来の縫合糸の形態の細長い可撓性構成要素12を使用して、縫合糸の操作を可能にすることに、焦点を当てる。
【0056】
装置10は、その最も基本的な形態では、長さ方向に軸を有する細長い本体18、並びにそれぞれ軸方向に離間した先行端20及び後続端22からなる。細長い本体18は、長さ方向軸の周りに延在する周面25を通して形成された切欠き24を有する。細長い本体18の引込み面/縁26は、切欠き24を通してアクセスされる。簡略化のために、引込み面/縁26は、一般に、引込み「面」として識別される。
【0057】
装置10、特に装置10上の切欠き24は、細長い可撓性構成要素12の中間長さ部分28を切欠き24内に、かつ細長い可撓性構成要素の動作位置を表す引込み面26に当たるよう、導くことができるように構成されており、装置10が人体の部分14(複数可)の通路16を通って移動すると、引込み面26は細長い可撓性構成要素12を引込み面26と共に引き込む。
【0058】
本明細書で使用される場合、「切欠き」は、それがどのように形成されているか又はその精密な形状にかかわらず、周面25を通る任意の開口を含み、任意の開口は、中間長さ部分28の進入及び切欠きによって形成された容積を通って引込み面25に当接する通過を可能にする。半径方向の視点から見た切欠きは、無制限の数の異なる形状を有してもよく、その中で、限定ではないが、一般に軸の両側で対称又は非対称のいずれかの、U字形及びV字形などである。引込み面26は、切欠き容積内に存在してもよく、又は切欠き容積と連通するサブ容積内にあってもよい。
【0059】
装置10は、その各々の部分の構造及びそれらの相互作用が広範囲にわたって変化する可能性があるため、概略的な形態で示されている。装置10は、外科医が細長い可撓性構成要素12の端部を最初に切欠き24内に通して、細長い可撓性構成要素12を動作位置に配置する必要がないような構成が好ましい。代わりに、中間長さ部分28は、切欠き24内に直接的に、引込み面26に当たるように容易に移動され得るか、又は細長い本体18によってその動作位置に誘導され得る。
【0060】
ここで、装置10の特定の形態を説明するが、この特定の形態は実際は例示的なものにすぎないことが理解される。
図1の装置10の一般的な表示は、以下に説明する特定の形態、並びに装置10の部分のうちの1つ以上の再構成及び/又はそれらの相互作用を含み得る、その事実上無制限の数の変形例を包含することを意図している。
【0061】
ここで
図2~
図4を参照すると、装置10の細長い本体18は、そのそれぞれの先行端20と後続端22との間に、実質的に円筒形の構成を有する。本実施形態では、細長い本体18は、端20と22との間で実質的に直線状であるが、これは必須ではない。円筒形状は、中心軸30を有する。細長い本体18の周面25は、軸30の周りに延在する。
【0062】
先行端20は、鋭利な先端34を有する。3つの円周方向に分かれた領域36a、36b、36cが先行端の領域に形成されており、それらの接合部で鋭利な切断刃38a、38b、38cを生成する。切断刃38は、実質的に直線状であり、細長い本体18の長さ方向に延在し、先端34に向かって前方に収束する。領域36は、それらの間に所望の鋭利な切断刃38を生成するために適切な輪郭であってもよい。単なる一例として、限定はしないが、領域36は実質的に平坦であってもよい。
【0063】
細長い本体18は、周面25に段付き直径を有する。細長い本体18は、先行端20に隣接して局所的に半径方向に拡張されており、直径D1よりもわずかに大きい直径Dを有し、直径D1は、2つの異なる直径が出会う段40から細長い本体18の後続端22まで実質的に一定である。しかしながら、この精密な構造は必須ではない。
【0064】
図示の構成では、先端34は、通路形成又は拡張が必要とされる骨の場所に配置することができる。細長い本体18が軸30を中心として連続的に又は往復して回転されて切断刃38に骨材料を徐々に除去させる間に、前方圧力を細長い本体18にかけることができ、これはテーパ状の切断刃領域によって可能になる。切断刃38は、細長い本体18が矢印42の方向に前方に前進するときに通路16内で不利益に動かなくならないように、通路直径Dを生成することによって細長い本体18の後続の小径部に隙間を提供する。
【0065】
例示的な直径D1は、先端34が骨を取り除いた後に穿孔することなく装置を引き出すことを可能にするために、直径Dよりも少なくとも0.004インチ小さくする場合がある。D1及びD2の精密な寸法は重要ではない。単なる例として、寸法D1は、0.05~0.07インチの範囲としてもよい。しかしながら、潜在的にこの範囲から著しく外れた寸法(上回る又は下回るのいずれか)が考えられる。
【0066】
同様に、細長い本体18の全長Lは、特定の用途によって決定される。1つの例示的な形態では、長さLは3.937インチ程度であるが、用途に応じて、3~5インチの範囲であってもよく、又は、さらにこの範囲外(上回る又は下回るのいずれか)であってもよい。
【0067】
典型的には、細長い本体18を構成する材料は、ステンレス鋼若しくは他の医療グレードの元素及び/又は合金などの、金属となる。
【0068】
切欠き24の容積は、
図2の半径方向の視点から見て、この場合にはU字形として示されている面43によって境界付けられており、前方向に軸30に対して鋭角θで開口している。この例示的な形態では、切欠き24は、先行端20よりも後続端22の近くに形成されているが、先行本体端20の後方の任意の場所にあってもよい。前述の寸法範囲内で、U字形面43全体のベース部44は、後続端22から約0.08インチの距離Xだけ離間しているが、この距離よりも大きい又は小さい値であってもよい。
【0069】
U字形面43は、前述のベース部44と、ベース部44から離れてそれぞれ自由端50、52まで各々突出する離間した脚部46、48と、で構成されている。
【0070】
切欠き24は、自由端50と52との間に画定された54にある進入場所を有する。一形態では、進入場所54は、0.013~0.016インチの範囲の例示的な幅寸法X2を有する。
【0071】
提供された寸法は例示であるが、本発明の1つの形態であることを強調すべきである。細長い本体18は、従来のK-ワイヤ又は外科用グレードのピンのように作製してもよい。これは、任意の長さ、形状、及び直径で作製することができるが、直径の下限は、可撓性構成要素/縫合糸12のサイズ及び性質によって決定される。
【0072】
面43の脚部48は、細長い本体18上の片持ち部分56によって画定されている。片持ち部分56は、前方向にテーパ状になっており、面43の脚部48の自由端52を画定する片持ち部分56の自由端60を含む58において、その外周に丸みを帯びている。
【0073】
面43の脚部46に連続しているのは、実質的に直線状であり、軸30に対して角度が付けられた誘導面62である。図示のように、誘導面62及び面43の脚部46は、同じ平面内に存在するが、これは必須ではない。この平面は、面43の脚部48を含む平面と実質的に平行であり、それにより、進入場所54とベース部44との間に切欠き24の実質的に均一な幅寸法X2を生成する。しかしながら、均一な幅は必須ではない。これらの平面は、軸30に対して約10°の角度θで示されている。好ましくは、θの範囲は5°~15°であり、この範囲外の角度を利用してもよいと考えられる。
【0074】
誘導面62は、細長い本体18の周面25から延在し、それによって、例示的な縫合糸として示されている細長い可撓性構成要素12は、誘導面62が周面25と出会う64の場所まで周面25に沿って後方に摺動することができ、それから、縫合糸12はさらに、面の脚部46、48のいずれかに沿ってベース44まで、及びベース44に当たるように誘導され角度を付けて内側に摺動することができ、それから、縫合糸12は、
図3に示す動作位置をとる。本実施形態の引込み面26は、ベース面部44において画定されている。
【0075】
説明したように、誘導面62は面43と連続しており、切欠き24との境界と見なすことができる。誘導面62は、切欠き24との境界か、又は切欠き24内に通じているかのいずれかと見なされてもよいが、簡略化のために、本明細書では切欠き24とは別個のものとして扱われる。
【0076】
図示の構成は、縫合糸12に係合するためのフックとして効果的に作用する。外科医は、a)誘導縁62の前方の細長い本体18の周面25を、縫合糸12の中間長さ部分28に当接し、細長い本体18を中間長さ部分28に対して前方方向に摺動させて、中間長さ部分28を誘導縁62まで、そして誘導縁62を越えて切欠き24内の動作位置まで摺動させるか、又はb)中間長さ部28を周面25に当てて後方に誘導縁62まで引きずり、誘導縁62に沿って切欠き24内に、そして最終的には動作位置をとるためのベース面部44の引込み面26に当てるように、縫合糸12を操作しながら、細長い本体18を実質的に静止状態に維持するか、の選択肢を有する。どの技術が選択されるかにかかわらず、縫合糸の動作位置を迅速かつ一貫して確立することができる。
【0077】
当然ながら、外科医は、中間長さ部分28を切欠き24内及び動作位置に直接配置することができ、又は上述したように、初めに切欠き24により近い細長い本体18に当たるように中間長さ部分28を配置することができる。さらなる選択肢として、縫合糸12の中間長さ部分28は、片持ち部分56に沿って前方に摺動され、自由端52を通過してもよく、それから、中間長さ部28は片持ち部分56から分離して、切欠き24と位置合わせするように半径方向内側に移動し、それから、中間長さ部分28は、引込み縁26に容易に着座することができる。
【0078】
本実施形態では、誘導縁62は、切欠き24の軸方向範囲よりも大きい軸方向範囲を有し、それにより、外側面32から切欠き24への所用の急激な移行はなく、これは、より一貫した係合の潜在的な理由となる。
【0079】
この形態において図示するように、片持ち部分56は、直径D1を全く増加させず、又はほとんど増加させず、したがって、骨通路16を通る細長い本体18の隣接する軸方向領域の移動を妨げる傾向はない。他の形態では、片持ち部分の直径は、直径D1及び/又はDと異なっていてもよい。丸みを帯びた外周58及び自由端60は、引っ掛かる可能性をさらに最小限に抑える。
【0080】
切欠き24のベースの66における領域は、引込み面26に当接する中間長さ部分28から後方に突出する縫合糸12のその部分のためのレセプタクルを提供するように、輪郭付けられるか又は切れ目を入れられてもよい。同様の構成が、細長い本体18上の直径方向反対に提供されてもよい。これにより、縫合糸12の直径D1を越える突出が減少し、動作可能に配置された縫合糸12を有する装置10と、通路16を取り囲む骨の内面との間の著しい束縛が回避される。
【0081】
切欠き24の近傍にあり、切欠き24内に移動されて動作位置をとるときに縫合糸12に接触し得るすべての面/縁は、好ましくは、縫合糸12が動作位置に配置されて通路16を通って引き込まれるときに縫合糸12の完全性を潜在的に損なう可能性があるような、鋭利な輪郭を有さない。
【0082】
ここで、1つの例示的な処置を
図5~
図7に順を追って概略的に記載する。
【0083】
図5において、先端34は、骨14上の進入面68に対して導かれている。縫合糸12は、この時点で、又は細長い本体18の先行端が骨14を部分的に、若しくは完全に通って導かれた後に、切欠き24内の動作位置に導かれることができる。縫合糸12及び装置10は、
図3に示すように、縫合糸12をレセプタクル内のその動作位置に誘導するように相対的に再配置される。
【0084】
図6に示すように、装置10は、骨14に対して前方/第1の方向に押圧され、かつ回転させられて、
図3及び
図4に明瞭に見られるような切断刃38に、通路/開口16を徐々に生成させるか、又は既存の通路、若しくはその一部を拡張させる。回転は、手動の又は駆動部を使用しての、振動運動、往復又は一方向の連続回転であり得る。
【0085】
縫合糸12を、通路16を形成又は拡張するのと同じ構造上の動作位置に容易に配置する性能は、処置中に使用/実施される構成要素及び/又はステップを潜在的に減少させるがゆえに、外科的処置を簡略化し得る。例えば、好ましい形態では、通路16は、装置10のみで形成又は拡張される場合があり、従来のビット又はピンなどの専用の穿孔構造を手元に置いて使用する必要性を回避する。従来のドリルで必要とされるように、装置10を処置された組織から離す必要なく、縫合糸12を動作位置に配置し、通路16を通って前進させることができる。したがって、外科医は、単一のデバイスを使用して通路16を形成/拡張し、縫合糸のいかなる絡まりにも取り組むことなく縫合糸12を前進させる恩恵を与えられ、これは、動作可能に配置された縫合糸を有する装置10を、その軸を中心として往復させ、潜在的にわずかにシフトさせること以外に、回転させる必要がなく、通路16内の束縛を回避するからである。
【0086】
さらに、通路16を形成/拡張し、穿孔構造を通路16から後退させることなく縫合糸12を前進させる性能は、外科医が予め形成された通路16を配置し直して、縫合糸自体又は縫合糸を通路16内に前進させて通過させる構造を通路16内に導入する必要を回避する。すなわち、常に装置10及び/又は縫合糸12は、通路16を占有し得、形成された通路16内への縫合糸12の無誘導の導入又は装置の前進の必要性をなくす。
【0087】
もちろん、本発明は、装置10を使用して、従来の穿孔デバイスによって画定された、予め形成された通路16を通して縫合糸12を前進させることができることを企図している。
【0088】
図7に示すように、装置10は、骨14内の通路16を通り出口開口70を通って完全に前進することができる。縫合糸12が動作位置にある状態では、
図3に最も明瞭に示すように、縫合糸12は、引込み面26に当接する中間長さ部分28の部分から後方に突出する脚L1、L2を有する「U」形状に引き込まれる。脚L1、L2は、
図3の点線に見られるように、アンダーカット周面領域66に当てて折り畳まれ、特に細長い本体18の局所的に半径方向に拡張された、先行部によって形成された拡径を考慮すると、著しい干渉なしに通路16を通って押し込まれることができる。
【0089】
図7に見られるように、装置10が骨14を完全に通って導かれると、縫合糸及び装置10は、中間長さ部分28を摺動させることによって切欠き24から容易に分離することができる。
【0090】
図8に概略的に示すように、細長い本体18は、再配置されると、縫合糸12がその動作位置から不用意に逃げるのを回避するために細長い本体18の構成を変更する、少なくとも1つの可動部分72を有してもよい。可動部分72は、いくつかの異なる形態をとる場合がある。1つ以上の部分72は、細長い本体18の構成を変更するように誘導され再配置可能であってもよい。
【0091】
図9に示すように、概略的に表された可動部分72の機能は、細長い本体18の残りの部分と一体的に形成された片持ち部分56によって実行されてもよい。片持ち部分56は、実線位置から点線位置に屈曲されてもよく、自由端60は、面43の脚部46に近づくか、又はそれに当接して完全に取り囲まれたレセプタクル構成を形成する。この再構成は、進入場所54を効果的に封鎖する。より小さい程度の変形は、中間長さ部分28が切欠き24から逃げる可能性を低減するために、形状を変化させ、かつ/又は進入場所54の有効サイズを減少させ得る。
【0092】
あるいは、片持ち部分56は、
図10に示すように、変形によって、縫合糸12を面43の脚部46に固定的に当てて捕捉するように再構成されてもよい。
【0093】
図11に示すさらなる変形例では、細長い本体18’の変形形態は、切欠き24’と連続する別個のサブレセプタクル74を有する。この構成では、細長い本体18’は、矢印76によって示すように、片持ち部分56’に点線位置をとらせるように、局所的に圧着され、切欠き24’を通る中間長さ部分28の通路が実質的に封鎖される。サブレセプタクル74は開いたままであり、縫合糸12がサブレセプタクル74を通って長さ方向に引き込まれて、縫合糸12を細長い本体18’から分離することを可能にする。
【0094】
別の変形例では、
図12に示すように、細長い本体18’’上の切欠き24’’は、後続端20’’よりも先行端22’’の近くにある。縫合糸12は、切欠き24’’が反対方向に開いていることを除いて、切欠き24、24’内に移動して係合されるのと同じ方法で切欠き24’’内に移動して係合される。したがって、装置10’’は、
図12に示すように、初めに第1の方向とは反対の第2の方向に先行端が最初に導かれることによって使用され、装置10について説明したように、骨14を通り、それから、動作位置にある導入された縫合糸12が、骨通路16を形成又は拡張する際に装置10’’が移動される方向とは反対の、矢印78によって示す第1の方向に引き込まれる。装置10’’は、矢印78の方向にさらに移動することによって引き出されることにより、骨14から分離される。
【0095】
図13では、装置のさらなる変形形態が10’’’で示されており、これは器具10と同じ一般的な形態を有するが、その先行端20’’’にドリルビット構成90を組み込んでいる。螺旋状フルートは切断刃38’’’を形成する。細長い本体18’’’は、手動で回転又は駆動装置94によって回転させることができる。
【0096】
特定の実施形態の前述の開示は、本発明によって理解される広い概念を例示することを意図している。