(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026715
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20250214BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 R
H01L23/48 M
H01L23/48 G
H01L23/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024217769
(22)【出願日】2024-12-12
(62)【分割の表示】P 2020104226の分割
【原出願日】2020-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】早川 勉
(57)【要約】
【課題】絶縁回路基板及び半導体チップ等とプリント基板との間の接合力が高められ、接合性に優れた半導体装置を提供する。
【解決手段】導体層12a,12bを有する絶縁回路基板1と、半導体チップ3a,3bと、プリント基板6と、ピン端子5a~5fと、導電層12a,12b上に配置された支持部76a,77a、及び支持部76a,77aに接続され導電層12a,12bと平行に外側に延伸した端子部76b,77bを備え、断面視において、L字状に折れ曲がった形状である外部端子76,77と、絶縁回路基板1、半導体チップ3a,3b、ピン端子5a~5f、プリント基板6及び外部端子76,77を封止し、外部端子76,77の一部を側面から露出する封止部材8を備え、絶縁回路基板1の上面から支持部76a,77aの上面までの高さが、絶縁回路基板1の上面から半導体チップ3a,3bの上面までの高さよりも高い。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層を有する絶縁回路基板と、
前記絶縁回路基板上に搭載された半導体チップと、
前記半導体チップの上方に配置されたプリント基板と、
前記プリント基板に挿入され、前記半導体チップの上面に接合材を介して接合するピン端子と、
前記絶縁回路基板の前記導電層上に配置された支持部と、前記支持部に接続され前記絶縁回路基板の前記導電層と平行に外側に延伸した端子部とを備え、断面視において、L字状に折れ曲がった形状である外部端子と、
前記絶縁回路基板、前記半導体チップ、前記ピン端子、前記プリント基板及び前記外部端子を封止し、前記外部端子の一部を側面から露出する封止部材と、
を備え、
前記絶縁回路基板の上面から前記支持部の上面までの高さが、前記絶縁回路基板の上面から前記半導体チップの上面までの高さよりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記支持部の上面と、前記プリント基板の下面との距離が0以上、0.2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記支持部が、前記半導体チップよりも、前記絶縁回路基板の周辺側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記外部端子を有し、
前記外部端子の前記端子部が、前記封止樹脂の対向する側面からそれぞれ外側に向かって延伸していることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記プリント基板を貫通し、前記絶縁回路基板の上面に接合材を介して接合する他のピン端子を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体チップを搭載した半導体装置(半導体モジュール)に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体チップ(以下、単に「半導体チップ」という。)を搭載した半導体装置は、モータやインバータなど可変速駆動用途や電力変換用途で主に利用される。半導体装置の利用されるアプリケーションにより、求められる機能や性能が異なり、その要求品質に応じて、様々な構成、構造、形状の半導体装置が提供されている。
【0003】
特許文献1には、導電性板材の間にビーズコアが配置され、ビーズコアの穴に導電性ピンが挿入された放熱構造が記載されている。特許文献2には、絶縁回路基板上に穴のあるブロックをはんだ付けし、穴に筒状のスライド支持部材を刺し、スライド支持部材の穴にピンを刺した半導体モジュールが記載されている。特許文献3には、絶縁基板の導電性板上に筒状コンタクト部材が配置され、筒状コンタクト部材に外部電極用端子がはめ込まれ、外部電極用端子の上端がプリント基板に挿入された半導体装置が記載されている。
【0004】
特許文献4には、半導体装置の内部における絶縁回路基板と半導体素子、半導体素子とプリント基板に圧入されたピン端子、絶縁回路基板とプリント基板に圧入されたピン端子の接続方法として、はんだ等の接合材を介して直接接合する技術が記載されている。また、プリント基板のビアホールへのピン端子の圧入深さにより、そのピン端子と半導体素子及び絶縁回路基板との接合距離を制御する技術が記載されている。
【0005】
特許文献5には、絶縁回路基板に凹部を形成し、プリント基板に挿入された外部端子により、電気的な接合と、半導体素子とプリント基板に圧入されたピン端子との相対的位置が自己整合的に調整される技術が記載されている。また、プリント基板のビアホールに外部端子を支持する位置及びピン端子の圧入深さにより、ピン端子と半導体素子及び絶縁回路基板との接合距離を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-109236号公報
【特許文献2】特開2019-110284号公報
【特許文献3】国際公開第2017/159505号(
図9)
【特許文献4】特開2013-125804号公報
【特許文献5】特開2019-161174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4に記載の技術では、はんだ等の接合材の接合時の加熱処理により、絶縁回路基板及びプリント基板に変形が生じ、プリント基板に圧入されたピン端子と半導体素子及び絶縁回路基板との所定の距離が得られない場合がある。また、絶縁回路基板及びプリント基板の変形の度合いによっては、電気的な接続が保てない場合がある。
【0008】
特許文献5に記載の技術は、上記問題をも鑑みてなされたものであるが、大容量の半導体装置では、半導体素子の搭載数が増加することにより、使用される絶縁回路基板及びプリント基板の寸法が大きくなる。このため、はんだ等の接合材の接合時の加熱処理により絶縁回路基板及びプリント基板の変形もより大きく生じ、プリント基板に圧入されたピン端子と半導体素子及び絶縁回路基板との所定の距離が保てないおそれがある。
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、絶縁回路基板及び半導体チップ等とプリント基板との間の接合力が高められ、接合性に優れた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、導体層を有する絶縁回路基板と、絶縁回路基板上に搭載された半導体チップと、半導体チップの上方に配置されたプリント基板と、プリント基板に挿入され、半導体チップの上面に接合材を介して接合するピン端子と、絶縁回路基板の導電層上に配置された支持部と、支持部に接続され絶縁回路基板の導電層と平行に外側に延伸した端子部とを備え、断面視において、L字状に折れ曲がった形状である外部端子と、絶縁回路基板、半導体チップ、ピン端子、プリント基板及び外部端子を封止し、外部端子の一部を側面から露出する封止部材と、を備え、絶縁回路基板の上面から支持部の上面までの高さが、絶縁回路基板の上面から半導体チップの上面までの高さよりも高い半導体装置であることを要旨とする。
【0011】
上記半導体装置は、支持部の上面と、プリント基板の下面との距離が0以上、0.2mm以下であってよい。また、支持部が、半導体チップよりも、絶縁回路基板の周辺側に配置されていてよい。また、複数の外部端子を有し、外部端子の端子部が、封止樹脂の対向する側面からそれぞれ外側に向かって延伸してよい。また、プリント基板を貫通し、絶縁回路基板の上面に接合材を介して接合する他のピン端子を更に備えてよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絶縁回路基板及び半導体チップ等とプリント基板との間の接合力が高められ、接合性に優れた半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の
図6に引き続く断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の
図7に引き続く断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の
図8に引き続く断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の
図9に引き続く断面図である。
【
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の
図10に引き続く断面図である。
【
図13】比較例に係る半導体装置の他の断面図である。
【
図14】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図15】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部の断面図である。
【
図16】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部の斜視図である。
【
図17】第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図18】第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図19】第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図20】第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図21】第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図22】第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図23】第3実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図24】第3実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、第1~第3実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1~第3実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0015】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0016】
(第1実施形態)
<半導体装置の構成>
第1実施形態に係る半導体装置は、
図1に示すように、絶縁回路基板1と、絶縁回路基板1上に接合材2a,2bを介して搭載された半導体チップ(半導体素子)3a,3bと、半導体チップ3a,3bの上方に半導体チップ3a,3bと離間して配置されたプリント基板6とを備える。半導体チップ3a,3b及びプリント基板6の周囲は、封止部材8により封止され、周囲と電気的に絶縁されている。
【0017】
絶縁回路基板1は、絶縁基板11と、回路面側である絶縁基板11の上面に配置された上側導体層12a,12bと、冷却面側である絶縁基板11の下面に配置された下側導体層13とを備える。
【0018】
絶縁回路基板1は、例えば直接銅接合(DBC)基板や活性ろう付け(AMD)基板等であってもよい。絶縁基板11は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)等からなるセラミクス基板や、高分子材料等を用いた樹脂絶縁基板で構成されている。上側導体層12a,12b及び下側導体層13は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の導体箔で構成されている。上側導体層12a,12bは所定の回路パターンを構成している。
【0019】
上側導体層12a上には、接合材2a,2bを介して半導体チップ3a,3bが接合されている。接合材2a,2bは、例えばはんだ又は焼結材等で構成されている。はんだとしては、例えば錫アンチモン(SnSb)系、錫銀(SnAg)系のはんだが使用可能である。焼結材としては、例えば銀(Ag)系又は銅(Cu)系の金属粒子ペースト(導電性ペースト)等が使用可能である。
【0020】
半導体チップ3a,3bは、用途により種類が異なるが、例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、電界効果トランジスタ(FET)、静電誘導(SI)サイリスタ、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ等のパワー半導体素子、還流ダイオード(FWD)等の整流素子等が採用可能である。半導体チップ3a,3bは、例えばシリコン(Si)基板で構成してもよく、或いは炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)等のワイドバンドギャップ半導体からなる化合物半導体基板で構成してもよい。
【0021】
図1では2個の半導体チップ3a,3bを例示するが、半導体チップの数は特に限定されない。例えば、1つの半導体チップのみを有していてもよく、3つ以上の半導体チップを有していてもよい。また、
図1では半導体チップ3a,3bの厚さが異なるが、半導体チップ3a,3bの厚さが同一でもよい。
【0022】
半導体チップ3a,3bの上方には、プリント基板6が配置されている。プリント基板6は、絶縁層61と、絶縁層61の上面に配置された上側配線層62と、絶縁層61の下面に配置された下側配線層63とを備える。上側配線層62及び下側配線層63は、所定の回路パターンを構成している。
【0023】
絶縁層61は、例えばアルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)等を主成分としたセラミクスや樹脂等の絶縁材料で構成されている。絶縁層61は、ガラス繊維とエポキシ樹脂との組み合わせ等からなる樹脂基板であってよい。上側配線層62及び下側配線層63は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。
【0024】
プリント基板6には、絶縁層61、上側配線層62及び下側配線層63を貫通する複数の貫通孔(ビアホール)6xが設けられている。プリント基板6の複数の貫通孔6xには、複数のピン端子(ポスト電極)5a~5hがそれぞれ挿入(圧入)されて固定されている。プリント基板6及びピン端子5a~5hによりインプラント基板(6,5a~5h)が構成されている。プリント基板6の複数の貫通孔6xの内面には、上側配線層62及び下側配線層63を導通する導電層(不図示)が形成され、この内面の導電層がピン端子5a~5hと導通することにより、上側配線層62及び下側配線層63が同電位となっていてもよい。
【0025】
ピン端子5a~5hは、例えば棒状(ピン状)又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。ピン端子5a~5hの材料としては、銅(Cu)等の導電材料が使用可能である。
図1では8本のピン端子5a~5hを例示するが、ピン端子の本数は特に限定されない。
【0026】
ピン端子5a~5cの下端は、接合材4a~4cを介して半導体チップ3aの上面にそれぞれ接合されている。ピン端子5d~5fの下端は、接合材4d~4fを介して半導体チップ3bの上面にそれぞれ接合されている。ピン端子5g,5hの下端は、接合材4g,4hを介して絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面にそれぞれ接合されている。
【0027】
例えば、半導体チップ3a,3bがIGBTである場合には、半導体チップ3a,3bは、下面側に第1主電極(コレクタ電極)をそれぞれ有し、上面側に、制御電極(ゲート電極)及び第2主電極(エミッタ電極)をそれぞれ有する。この場合、半導体チップ3a,3bの下面側の第1主電極(コレクタ電極)は、接合材2a,2bを介して、絶縁回路基板1の上側導体層12aに接合される。半導体チップ3a,3bの制御電極(ゲート電極)は、ピン端子5a,5d等に接合される。半導体チップ3a,3bの第2主電極(エミッタ電極)は、制御電極(ゲート電極)に接合されていないピン端子5b,5c,5e,5f等に接合される。
【0028】
図1中の破線で囲んだ、ピン端子5a~5cを含む領域Aの拡大図を
図2に示す。
図2に示すように、プリント基板6の上側配線層62の上面から半導体チップ3aの上面までの高さH1は例えば100μm以上、300μm以下程度であるが、これに限定されない。ピン端子5a~5cの貫通孔6xへの圧入深さL1は、プリント基板6の上側配線層62の上面からピン端子5a~5cの下端までの距離として定義される。圧入深さL1は、絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面から、接合材4a~4cの上端までの距離L2に適合するように調整されている。換言すれば、ピン端子5a~5cの下端と、半導体チップ3aの上面との距離(ギャップ)G11が所定の距離となるように調整されている。距離L2が大きいほど、ピン端子5a~5cの圧入深さL1を深く(短く)して、プリント基板6の上側配線層62の上面側から突出するピン端子5a~5cの長さを長くする。
【0029】
図1中の破線で囲んだ、ピン端子5fd~5fを含む領域Bの拡大図を
図3に示す。
図3に示すように、プリント基板6の上側配線層62の上面から半導体チップ3bの上面までの高さH2は、
図2に示した高さH1よりも低い。ピン端子5d~5fの貫通孔6xへの圧入深さL3は、プリント基板6の上側配線層62の上面からピン端子5d~5fの下端までの距離として定義される。圧入深さL3は、絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面から、接合材4d~4fの上端までの距離L4に適合するように調整されている。換言すれば、ピン端子5d~5fの下端と、半導体チップ3bの上面との距離(ギャップ)G12が所定の距離となるように調整されている。
【0030】
図1中の破線で囲んだ、ピン端子5g,5hを含む領域Cの拡大図を
図4に示す。
図4に示すように、ピン端子5g,5hの貫通孔6xへの圧入深さL5は、プリント基板6の上側配線層62の上面からピン端子5g,5hの下端までの距離として定義される。圧入深さL5は、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面から、接合材4g,4hの上端までの距離L6に適合するように調整されている。換言すれば、ピン端子5g,5hの下端と、上側配線層62の上面との距離(ギャップ)L6が所定の距離となるように調整されている。
【0031】
図1に示した絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上には、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して外部端子71,72が接合されている。外部端子71,72の材料としては、例えば銅(Cu)等の導電材料が使用可能である。外部端子71,72は、封止部材8から突出して、外部回路に接続される。
【0032】
例えば、半導体チップ3a,3bがIGBTである場合には、外部端子71は、上側導体層12aを介して半導体チップ3a,3bのコレクタ電極に電流を供給してもよい。外部端子72は、半導体チップ3a,3bのオン・オフを制御する制御信号を、プリント基板6の上側配線層62及び下側配線層63、ピン端子5c,5f等を介して半導体チップ3a,3bのゲート電極へ供給してもよい。外部端子72は、半導体チップ3a,3bの半導体チップ3a,3bのエミッタ電極からの主電流や測定電流を、ピン端子5a,5b,5d,5e、プリント基板6の上側配線層62及び下側配線層63等を介して外部回路に出力してもよい。
【0033】
外部端子71は、支持部(支持ブロック)71aと、支持部71a上に配置された端子部71bを備える。外部端子72は、支持部(支持ブロック)72aと、支持部72a上に配置された端子部72bを備える。支持部71a,72aは、端子部71b,72bと一体的に形成されており、外部端子71,72の一部をなしている。
【0034】
支持部71a,72aの形状は、例えば棒状(ピン状)又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱、板状等であってもよい。
図1では、支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63の下面と離間している場合を例示しているが、支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63と接触していてもよい。
【0035】
支持部71a,72aは、ピン端子5a~5hの下端と半導体チップ3a,3b及び絶縁回路基板1の上面とを接合材4a~4hにより接合するときの加熱処理により絶縁回路基板1及びプリント基板6に変形が生じようとした場合に、支持部71a,72aの上面にプリント基板6の下面が当接することにより、絶縁回路基板1及びプリント基板6の変形を抑制する機能を有する。
【0036】
例えば、プリント基板6が上側に凸に変形しようとした場合に、絶縁回路基板1の周辺側(左側)のピン端子5aの下端が半導体チップ3aの上面に近づき、接合材4aを押し出すことを抑制することができる。また、絶縁回路基板1の周辺側(右側)のピン端子5hの下端が絶縁回路基板1の上面に近づき、接合材4hを押し出すことを抑制することができる。また、絶縁回路基板1の中央側のピン端子5d~5fの下端が半導体チップ3bの上面から遠ざかり、接合材4d~4fとオープン不良となることを抑制することができる。
【0037】
端子部71b,72bの形状は、例えば棒状(ピン状)又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱、板状等であってもよい。端子部71b,72bは、プリント基板6の複数の貫通孔6a,6bにそれぞれ挿入されている。端子部71b,72bの上端は、封止部材8の上面から突出し、外部回路に接続される。
【0038】
図1中の破線で囲んだ、外部端子71を含む領域Dの拡大図を
図5に示す。なお、
図1に示した外部端子72も、外部端子71と同様の構成を有する。
図5に示すように、上側導体層12aの上面から支持部71aの上面までの高さH0は、
図2及び
図3に示した上側導体層12aの上面から半導体チップ3a,3bの上面までの高さH1,H2よりも高い。支持部71aの上面と、プリント基板6の下側配線層63の下面との距離G1は、プリント基板6及び絶縁回路基板1の変形を抑制するために、例えば0以上、0.20mm以下程度であることが好ましい。
【0039】
端子部71bの直径(幅)D1は、貫通孔6a,6bに挿入可能なように、貫通孔6a,6bの直径(幅)D0以下に設定されている。支持部71aの直径(幅)D1は、支持部71aが貫通孔6a,6bに挿入されるのを防止するために、端子部71bの直径(幅)D1よりも大きく(広く)、且つ貫通孔6a,6bの直径(幅)D0よりも大きく(広く)設定されている。
【0040】
なお、
図1では、2本の外部端子71,72を例示したが、外部端子の本数は限定されず、例えば3本以上の外部端子を有していてもよい。また、
図1では、外部端子71,72が絶縁回路基板1の周辺側に配置された場合を例示したが、外部端子71,72の配置位置も限定されない。例えば、外部端子71,72を絶縁回路基板1の中央側に配置することにより、プリント基板6の下側に凸の変形を抑制し易くなる。また、支持部71a,72aを有する外部端子71,72の他に、支持部を有さず端子部のみからなる棒状(ピン状)又は柱状等の外部端子が設けられていてもよい。
【0041】
封止部材8は、第1実施形態に係る半導体装置の筐体を構成し、略直方体形状を有する。封止部材8の下面から、絶縁回路基板1が露出する。封止部材8としては、例えば耐熱性が高く硬質な熱硬化性樹脂等の樹脂材料が使用可能であり、具体的にはエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂等が使用可能である。
【0042】
<半導体装置の製造方法>
次に、
図6~
図11を主に参照して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法(組立方法)を説明する。
【0043】
まず、
図6に示すように、絶縁回路基板1を用意する。絶縁回路基板1は、絶縁基板11と、絶縁基板11の上面に配置された上側導体層12a,12bと、絶縁基板11の下面に配置された下側導体層13とを備える。次に、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に、ディスペンサ等を用いて、はんだ又は焼結材等からなる接合材2a,2bを配置(塗布)する。次に、
図7に示すように、搬送機等を用いて、接合材2a,2b上に半導体チップ3a,3bを搭載する。
【0044】
なお、接合材2a,2bがはんだからなる場合には、後述する加熱処理により接合材2a,2bを他の接合材と共に接合するが、接合材2a,2bが焼結材からなる場合には、半導体チップ3a,3bを搭載した後に、半導体チップ3a,3bの上面から加圧しながら加熱することにより、絶縁回路基板1上に接合材2a,2bを介して半導体チップ3a,3bを接合してもよい。
【0045】
次に、
図8に示すように、ディスペンサ等を用いて、半導体チップ3a,3b上及び絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に、はんだ又は焼結材等からなる接合材4a~4hを配置(塗布)する。次に、
図9に示すように、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に、はんだ又は焼結材等からなる接合材(不図示)を介して、外部端子71,72を接合する。
【0046】
一方、
図10に示すように、プリント基板6及びピン端子5a~5hで構成されるインプラント基板(6,5a~5h)を用意する。次に、
図10に示したインプラント基板(6,5a~5h)の下面、即ち、ピン端子5a~5hが挿入されたプリント基板6の下側配線層63の下面を、
図9に示した絶縁回路基板1の半導体チップ3a,3bの上面に対向させる。
【0047】
次に、
図11に示すように、プリント基板6の貫通孔6a,6bに外部端子71,72を挿入しつつ、ピン端子5a~5hの下端を接合材4a~4h上に搭載し、接合材4a~4hに接触させる。
図11では、支持部71a,72aの上面は、プリント基板6の下側配線層63の下面と離間しているが、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触していてもよい。インプラント基板(6,5a~5h)を搭載したときの支持部71a,72aの上面から、プリント基板6の下側配線層63の下面までの距離G2は、0以上、0.20mm以下に設定されることが好ましい。
【0048】
なお、プリント基板6及びピン端子5a~5hで構成されるインプラント基板(6,5a~5h)を搭載前に、絶縁回路基板1上に外部端子71,72を接合する代わりに、インプラント基板(6,5a~5h)に外部端子71,72を予め挿入しておき、外部端子71,72が挿入されたインプラント基板(6,5a~5h)を、絶縁回路基板1上に搭載してもよい。
【0049】
次に、加熱炉を用いた加熱処理により、ピン端子5a~5hの下端と半導体チップ3a,3b及び絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面とを接合材4a~4hにより接合する。また、半導体チップ3a,3bの下面と、絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面とを接合材2a,2bにより接合する。この際、支持部71a,72aと絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面とを接合材により接合してもよい。
【0050】
この加熱処理により、絶縁回路基板1及びプリント基板6に変形が生じ、例えばプリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hの下端と、半導体チップ3a,3b及び絶縁回路基板1の上面との距離が変動しようとしたときに、支持部71a,72aの上面がプリント基板6の下面に当接して支持され、絶縁回路基板1及びプリント基板6の変形を抑制することができる。このため、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hの下端と、半導体チップ3a,3b及び絶縁回路基板1の上面とを、良好に接合するための所定の距離に保つことができる。
【0051】
次に、プリント基板6及び半導体チップ3a,3bを封止部材8により封止する。この結果、
図1に示した半導体装置が完成する。
図5に示した支持部71aの上面から、プリント基板6の下側配線層63の下面までの距離G1は、絶縁回路基板1及びプリント基板6に変形が生じなかった場合には、
図11に示した加熱処理前の距離G2と同等となり得る。一方、絶縁回路基板1及びプリント基板6に変形が生じた場合には、
図1に示した支持部71a,72aの上面から、プリント基板6の下側配線層63の下面までの距離G1は、
図11に示した加熱処理前の距離G2よりも大きく、或いは小さくなり得る。
【0052】
<比較例>
ここで、比較例に係る半導体装置を説明する。比較例に係る半導体装置は、
図12に示すように、外部端子7a,7bが棒状であり、支持部が設けられていない点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0053】
比較例に係る半導体装置の製造方法において、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hと、絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3bとを、接合材4a~4hを介して接合する時の加熱処理により、絶縁回路基板1及びプリント基板6に変形が生じる場合がある。
【0054】
例えば
図13に示すように、プリント基板6が上側に凸となるように変形した場合、プリント基板6の中央側のピン端子5d~5fの下端と、半導体チップ3bの上面との距離が大きくなり、オープン不良となる場合がある。また、プリント基板6の周辺側のピン端子5a~5c,5g,5hの下端と、半導体チップ3a及び絶縁回路基板1の上面との距離が小さくなり、ピン端子5a~5c,5g,5hにより接合材4a~4c,4g,4hが押し出され、接合不良となる場合がある。
【0055】
これに対して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hと、絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3bとを、接合材4a~4hを介して接合する時の加熱処理による絶縁回路基板1及びプリント基板6の変形を抑制することができる。よって、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hの下端と、半導体チップ3a,3b及び絶縁回路基板1の上面とを所定の距離に保つことができ、信頼性に優れた接合品質を得ることができる。
【0056】
<第1実施形態の第1変形例>
第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置は、
図14に示すように、外部端子71,72の支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触している点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0057】
第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置によれば、外部端子71,72の支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63と電気的な接続が必要な場合等には、外部端子71,72の支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触させることができる。
【0058】
第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法においては、
図11に示すように、インプラント基板(6,5a~5h)を絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3b上に搭載したときに、支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触してもよい。或いは、インプラント基板(6,5a~5h)を絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3b上に搭載したときには支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63の下面が離間しているが、その後の加熱処理によりプリント基板6が変形した結果、支持部71a,72aの上面が、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触してもよい。
【0059】
<第1実施形態の第2変形例>
第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置は、
図15に示すように、外部端子71,72の支持部71a,72aが、端子部71b,72bと分離した構造である点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。支持部71a,72aは筒状であり、支持部71a,72aの内側に、端子部71b,72bが挿入されている。
【0060】
この場合、支持部71a,72aは端子部71b,72bと異なる材料で構成されていてもよい。例えば、支持部71a,72aは、銅(Cu)等の導電材料の他にも、絶縁材料で構成されていてもよい。第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0061】
第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法においては、
図16に示すように、支持部71aの内側に、端子部71bを圧入して挿入した後、絶縁回路基板1上に接合してもよい。或いは、支持部71aのみを絶縁回路基板1上に接合した後、支持部71aの内側に、端子部71bを圧入して挿入してもよい。
【0062】
なお、外部端子71,72の支持部71a,72aが、端子部71b,72bと分離した構造である点は同様であるが、棒状又は柱状の支持部71a,72aの上面に、支持部71a,72aよりも細い棒状又は柱状の端子部71b,72bが配置されたような構造であってもよい。
【0063】
<第1実施形態の第3変形例>
第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置は、
図17に示すように、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに凹部1a,1bが設けられている点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。外部端子71,72の支持部71a,72aの下端は、上側導体層12a,12bの凹部1a,1bの内側に設けられている。第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0064】
第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法においては、例えば、エッチング等により、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに凹部1a,1bを形成する。次に、凹部1a,1bに外部端子71,72の支持部71a,72aの下端を圧入して自立させればよい。
【0065】
<第1実施形態の第4変形例>
第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置は、
図18に示すように、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに凹部1a,1bが設けられている点は、
図17に示した第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置と共通する。しかし、第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置は、凹部1a,1bの直径(幅)が、外部端子71,72の支持部71a,72aの直径(幅)よりも小さい点が、
図17に示した第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置と異なる。
【0066】
外部端子71,72は、支持部71a,72aの下面に設けられた凸部71c,72cを更に備える。外部端子71,72の凸部71c,72cが、上側導体層12a,12bの凹部1a,1bの内側に設けられている。第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0067】
第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置の製造方法においては、例えば、エッチング等により、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに凹部1a,1bを形成する。次に、凹部1a,1bに外部端子71,72の凸部71c,72cを圧入して、外部端子71,72を自立させればよい。
【0068】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置では、
図1に示すように、支持部71a,72aが端子部71b,72bと一体構造であり、外部端子71,72の一部をなす場合を説明した。これに対して、第2実施形態に係る半導体装置は、
図19に示すように、支持部73a,73bが外部端子9a,9bとは個別に設けられている点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0069】
支持部73a,73bの形状は、例えば棒状(ピン状)又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱、板状等であってもよい。支持部73a,73bの材料としては、銅(Cu)等の導電材料が使用可能であり、耐熱性を有する絶縁材料も使用可能である。支持部73a,73bは、例えば外部端子9a,9bの直下に配置されているが、支持部73a,73bの配置位置は特に限定されない。
【0070】
絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面から支持部73a,73bの上面までの高さH0は、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面から半導体チップ3a,3bの高さH1,H2よりも高い。支持部73a,73bの上面は、プリント基板6の下側配線層63の下面と離間している。なお、支持部73a,73bの上面が、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触していてもよい。
【0071】
外部端子9a,9bは、断面視において、例えばL字状に折れ曲がった形状を有している。なお、外部端子9a,9bは、I字状であり、外部端子9a,9bの下端がプリント基板6と接合していてもよい。第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0072】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、インプラント基板(6,5a~5h)を絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3b上に搭載する前に、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上にはんだ又は焼結材等の接合材を介して支持部73a,73bを搭載する。次に、インプラント基板(6,5a~5h)を絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3b上に搭載し、インプラント基板(6,5a~5h)のピン端子5a~5hの下端を接合材4a~4hに接触させる。次に、プリント基板6上に、はんだ又は焼結材等の接合材を介して外部端子9a,9bを搭載する。
【0073】
次に、加熱処理を行い、ピン端子5a~5hと絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3bとを一括して接合する。この際、絶縁回路基板1及びプリント基板6に変形が生じようとした場合に、絶縁回路基板1の下面が支持部73a,73bの上面に当接して支持され、絶縁回路基板1及びプリント基板6の変形を抑制することができる。
【0074】
なお、インプラント基板(6,5a~5h)を絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3b上に搭載する前に、外部端子9a,9bをインプラント基板(6,5a~5h)に予め接合してもよい。第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の他の手順は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0075】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、支持部73a,73bを設けることにより、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hと、絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3bとを、接合材4a~4hを介して接合する時の加熱処理による、絶縁回路基板1及びプリント基板6の変形を抑制することができる。よって、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hの下端と半導体チップ3a,3b及び絶縁回路基板1とを所定の距離に保つことができ、信頼性に優れた接合品質を得ることができる。
【0076】
<第2実施形態の第1変形例>
第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置は、
図20に示すように、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに凹部1a,1bが設けられている点が、
図19に示した第2実施形態に係る半導体装置と異なる。支持部73a,73bの下端は、上側導体層12a,12bの凹部1a,1bの内側に設けられている。第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置の他の構成は、
図19に示した第2実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0077】
第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法においては、例えば、エッチング等により、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに凹部1a,1bを形成する。次に、凹部1a,1bに支持部73a,73bの下端を圧入することにより、支持部73a,73bを自立させればよい。
【0078】
なお、
図18に示した第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置と同様に、凹部1a,1bの幅が支持部73a,73bの幅よりも狭くてもよい。この場合、支持部73a,73bの下面側に凸部を設け、凸部を凹部1a,1bに配置すればよい。
【0079】
<第2実施形態の第2変形例>
第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置は、
図21に示すように、外部端子9a,9bが絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合されている点が、
図19に示した第2実施形態に係る半導体装置と異なる。外部端子9a,9bは、絶縁回路基板1とプリント基板6との間に挟まれるように配置されている。外部端子9a,9bは、支持部73a,73bよりも絶縁回路基板1の周辺側に配置されている。
【0080】
外部端子9a,9bは、断面視において、L字状に折れ曲がった形状を有する。外部端子9a,9bの一方の端部は、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上にはんだ等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部端子9a,9bの他方の端部は、封止部材8の側面から突出して、外部回路に接続される。第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、
図19に示した第2実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0081】
第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法においては、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに支持部73a,73bを搭載する工程の前、同時又は後で、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに外部端子9a,9bを搭載すればよい。
【0082】
<第2実施形態の第3変形例>
第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置は、
図22に示すように、外部端子9a,9bが絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合されている点は、
図21に示した第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置と共通する。しかし、第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置は、断面視において、外部端子9a,9bがI字状であることが、
図21に示した第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置と異なる。
【0083】
なお、I字状である外部端子9a,9bが上下方向に延伸し、プリント基板6を貫通していてもよい。この場合、外部端子9a,9bの下端が、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合されると共に、外部端子9a,9bの上端が、封止部材8の上面から突出する。第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置の他の構成は、
図19に示した第2実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0084】
第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法においては、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに支持部73a,73bを搭載する工程の前、同時又は後で、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bに外部端子9a,9bを搭載すればよい。
【0085】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置は、
図23に示すように、支持部74a,75aが、端子部74c,75cと一体的構造であり、外部端子74,75の一部をなす点は、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と共通する。しかし、第3実施形態に係る半導体装置は、支持部74a,75aの下側が端子部74c,75cに接続されている点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0086】
外部端子74,75は、断面視において、U字状に折れ曲がった形状を有する。外部端子74,75の形状は、例えば円柱又は角柱等の柱状(棒状)又は板状である。外部端子74は、支持部74aと、支持部74aに接続された接合部74bと、接合部74bに接続された端子部74cとを備える。外部端子75は、支持部75aと、支持部75aに接続された接合部75bと、接合部75bに接続された端子部75cとを備える。
【0087】
絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面から支持部74a,75aの上面までの高さH0は、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面から半導体チップ3a,3bの高さH1,H2よりも高い。
図23では、支持部74a,75aの上面は、プリント基板6の下側配線層63の下面と離間しているが、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触していてもよい。
【0088】
接合部74b,75bは、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12bの上面にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。端子部74c,75cは、プリント基板6の貫通孔6a,6bを貫通して、封止部材8の上面から突出する。第3実施形態に係る半導体装置の他の構成は、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0089】
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合材2a,2bを介して半導体チップ3a,3bを搭載する前、搭載と同時又は搭載した後に、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合材(不図示)を介して外部端子74,75を搭載する。次に、インプラント基板(6,5a~5h)を絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3b上に搭載する。
【0090】
次に、加熱処理を行い、ピン端子5a~5hと絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3bとを一括して接合する。この際、絶縁回路基板1及びプリント基板6に変形が生じようとした場合に、絶縁回路基板1の下面が支持部74a,75aの上面に当接して支持され、絶縁回路基板1及びプリント基板6の変形を抑制することができる。
【0091】
なお、インプラント基板(6,5a~5h)を絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3b上に搭載する前に、外部端子9a,9bをインプラント基板(6,5a~5h)に予め接合してもよい。第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の他の手順は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0092】
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hと、絶縁回路基板1及び半導体チップ3a,3bとを、接合材4a~4hを介して接合する時の加熱処理による、絶縁回路基板1及びプリント基板6の変形を抑制することができる。よって、プリント基板6に圧入されたピン端子5a~5hと半導体チップ3a,3b及び絶縁回路基板1との所定の距離を保つことができ、信頼性に優れた接合品質を得ることができる。
【0093】
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態の変形例に係る半導体装置は、
図24に示すように、外部端子76,77が、断面視において、L字状に折れ曲がった形状であることが、
図23に示した第3実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0094】
外部端子76は、支持部76aと、支持部76aに接続された端子部76bとを備える。外部端子77は、支持部77aと、支持部77aに接続された端子部77bとを備える。支持部76a,77aは、
図23に示した第3実施形態の支持部74a,75aと同様である。支持部76a,77aの上面は、プリント基板6の下側配線層63の下面と離間しているが、プリント基板6の下側配線層63の下面に接触していてもよい。
【0095】
端子部76b,77bは、プリント基板6を貫通せずに、封止部材8の側面から突出する。第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。第3実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0096】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1~第3実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0097】
例えば、第1~第3実施形態がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0098】
1…絶縁回路基板
1a,1b…凹部
2a,2b,4a~4h…接合材
5a~5h…ピン端子(ポスト電極)
6…プリント基板
6a,6b,6x…貫通孔
7a,7b…外部端子
8…封止部材
9…プリント基板
9a,9b…外部端子
11…絶縁基板
12a,12b…上側導体層
13…下側導体層
61…絶縁層
62…上側配線層
63…下側配線層
71,72,74,75,76,77…外部端子
71a,72a,73a,73b,74a,75a,76a,77a…支持部
71b,72b,74c,75c,76b,77b…端子部
71c,72c…凸部
74b,75b…接合部