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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026757
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】外用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20250214BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250214BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20250214BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250214BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P17/00
A61P17/14
A61K9/08
A61K47/08
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/04
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024220690
(22)【出願日】2024-12-17
(62)【分割の表示】P 2021008000の分割
【原出願日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2020014250
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】坂本 小織
(72)【発明者】
【氏名】田中 大之
(57)【要約】
【課題】 ミノキシジルを含有する製剤中のミノキシジルが頭皮から効率的に吸収されるためには、ミノキシジルを含有する製剤が頭皮の表面になじみ、広がることが重要である。すなわち、本発明の課題は、肌なじみがよい、ミノキシジル含有外用医薬組成物を提供することである。
【解決手段】 本発明は、(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)カンフル、ニコチン酸ベンジル、マレイン酸クロルフェニラミン、ベンザルコニウム及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び(c)水を含有する外用医薬組成物である。
本発明は液剤、ローション剤又はトニック剤として好適に用いられるものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)カンフル、及び(c)水を含有することを特徴とする外用医薬組成物。
【請求項2】
(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)ベンザルコニウム及び/又はその塩、(c)水、(d)低級アルコール、及び(e)多価アルコールを含有し、高級脂肪酸を含有しないことを特徴とする外用医薬組成物。
【請求項3】
(a)ミノキシジルの含有量が、5~15w/v%である、請求項1又は2に記載の外用医薬組成物。
【請求項4】
さらに低級アルコールを含有する、請求項1又は3に記載の外用医薬組成物。
【請求項5】
さらに多価アルコールを含有する、請求項1、3、及び4のいずれか一項に記載の外用医薬組成物。
【請求項6】
さらにpH調整剤を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の外用医薬組成物。
【請求項7】
低級アルコールが炭素数1~5の低級アルコールである、請求項4に記載の外用医薬組成物。
【請求項8】
多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の外用医薬組成物。
【請求項9】
pH調整剤が、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、リン酸、塩酸、及び硫酸からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の外用医薬組成物。
【請求項10】
水の含有量が、5~75w/w%である、請求項1又は2に記載の外用医薬組成物。
【請求項11】
剤形が、液剤、ローション剤又はトニック剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の外用医薬組成物。
【請求項12】
5w/v%以上のミノキシジル、水、低級アルコール、及び多価アルコールを含有する外用医薬組成物の製造のための、カンフル、ベンザルコニウム及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の使用。
【請求項13】
5w/v%以上のミノキシジル、水、低級アルコール、及び多価アルコールを含有する外用医薬組成物の肌なじみを向上させるための、カンフル、ベンザルコニウム及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを配合した外用医薬組成物に関する。
【0002】
ミノキシジルは化学名を6-(1-ピペリジニル)-2、4-ピリミジンジアミン-3-オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。ミノキシジルを配合した育毛剤に求められる基本的な性能は、頭皮からのミノキシジルの吸収性に優れることである(特許文献2)。
ミノキシジルを含有する製剤中のミノキシジルが頭皮から効率的に吸収されるためには、製剤中のミノキシジルが溶解状態で存在し、結晶などが生じないことが好ましい。そして、ミノキシジルを含有する製剤が頭皮の表面になじみ、広がることが重要である。しかし、水分を多く含む製剤は疎水的な皮膚との間に表面自由エネルギーが働くため、滴の状態を保ち、肌表面に広がりにくい。肌なじみを向上する技術として、例えばポリエーテル変性シリコーン又はポリグリセリン変性シリコーン、及びショ糖脂肪酸エステルを利用する方法が提案されている(特許文献3)。また、特許文献4には、ミノキシジルの濃度が高まると、頭皮に製剤が広がる感じが悪化することが示されている。
しかしながら、上記特許文献1~4のいずれにも、肌なじみがよいミノキシジル含有外用医薬組成物である本発明を得るために、本発明の構成を採用することを示唆するような記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4139619号明細書
【特許文献2】特開平11-349451号公報
【特許文献3】特開2016-84323号公報
【特許文献4】特開2019-142851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、肌なじみがよい、ミノキシジル含有外用医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)カンフル、ニコチン酸ベンジル、マレイン酸クロルフェニラミン、ベンザルコニウム及び/又はその塩から選ばれる少なくとも1種、(c)水を含有する外用医薬組成物を提供する。
すなわち本発明は、
(1)(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)カンフル、ニコチン酸ベンジル、マレイン酸クロルフェニラミン、ベンザルコニウム及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び(c)水を含有することを特徴とする外用医薬組成物、
(2)(a)ミノキシジルの含有量が、5~15w/v%である、(1)に記載の外用医薬組成物。
(3)さらに低級アルコールを含有する、(1)又は(2)に記載の外用医薬組成物、
(4)さらに多価アルコールを含有する、(1)~(3)のいずれかに記載の外用医薬組成物、
(5)さらにpH調整剤を含有する、(1)~(4)のいずれかに記載の外用医薬組成物、
(6)低級アルコールが炭素数1~5の低級アルコールである、(3)に記載の外用医薬組成物、
(7)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種である、(4)に記載の外用医薬組成物、
(8)pH調整剤が、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、リン酸、塩酸、及び硫酸からなる群から選択される少なくとも1種である、(5)に記載の外用医薬組成物、
(9)水の含有量が、5~75w/w%である、(1)に記載の外用医薬組成物、
(10)剤形が、液剤、ローション剤、トニック剤、ゲル剤、又はエアゾール剤である、(1)~(9)のいずれかに記載の外用医薬組成物、
(11)5w/v%以上のミノキシジルを含有する外用医薬組成物の製造のための、カンフル、ニコチン酸ベンジル、マレイン酸クロルフェニラミン、ベンザルコニウム及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の使用、
(12)5w/v%以上のミノキシジルを含有する外用医薬組成物の肌なじみを向上させるための、カンフル、ニコチン酸ベンジル、マレイン酸クロルフェニラミン、ベンザルコニウム及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の使用、
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)カンフル、ニコチン酸ベンジル、マレイン酸クロルフェニラミン、ベンザルコニウム及び/又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種、(c)水を併用して配合することにより、肌なじみに優れたミノキシジル含有外用医薬組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の外用医薬組成物において用いるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明に用いるミノキシジルの含有量は、外用医薬組成物全体に対して、肌なじみの課題が大きくなる5w/v%以上である。具体的には5~15w/v%が好ましく、より好ましくは5~10w/v%である。
【0008】
本発明のカンフルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。本発明においてカンフルの含有量は、本発明の効果の点から本発明の外用医薬組成物中好ましくは0.01~10w/v%であり、より好ましくは0.1~5w/v%である。
【0009】
本発明のニコチン酸ベンジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。本発明において、ニコチン酸ベンジルの含有量は、本発明の効果の点から本発明の外用医薬組成物中好ましくは0.01~10w/v%であり、より好ましくは0.1~5w/v%である。
【0010】
本発明のマレイン酸クロルフェニラミンは通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。本発明においてマレイン酸クロルフェニラミンの含有量は、本発明の効果の点から本発明の外用医薬組成物中好ましくは0.01~10w/v%であり、より好ましくは0.05~5w/v%である。
【0011】
本発明のベンザルコニウム及び/又はその塩としては、例えば塩化ベンザルコニウムが挙げられる。本発明のベンザルコニウム及び/又はその塩は、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。本発明においてベンザルコニウム及び/又はその塩の含有量は、本発明の効果の点から本発明の外用医薬組成物中好ましくは0.001~2w/v%であり、より好ましくは0.01~1w/v%である。
【0012】
本発明の水の含有量は、本発明の効果の点から本発明の外用医薬組成物中1~75w/w%が好ましく、より好ましくは5~50w/w%であり、更に好ましくは8~30w/w%、最も好ましくは15~30w/w%である。本発明の外用医薬組成物中の水の含有量の測定は、カール・フィッシャー法により行うことができる。
【0013】
本発明の外用医薬組成物には必要によりpH調整剤を配合することができる。pH調整剤の例としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸などの有機酸やリン酸、塩酸、硫酸などの無機酸を挙げることができる。本発明の外用医薬組成物のpHは、5~8、より好ましくは5.6~7に調整することが好ましい。
【0014】
本発明の外用医薬組成物には必要により低級アルコールを配合することができる。低級アルコールの例としては、炭素数1~5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましい。低級アルコールは2種以上を組み合わせて使用しても良い。本発明の外用医薬組成物中の低級アルコールの含有量は、全組成物中20w/v%以上が好ましく、より好ましくは30w/v%以上であり、更に好ましくは35w/v%以上であり、更に好ましくは50w/v%以上である。上限は80w/v%が好ましい。
【0015】
本発明の外用医薬組成物には必要により多価アルコールを配合することができる。多価アルコールの例としては、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられ、好ましいのは1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンであり、より好ましいのは1,3-ブチレングリコールである。これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。多価アルコールの含有量は、本発明の外用医薬組成物中好ましくは3w/v%以上、より好ましくは5w/v%以上、より好ましくは8w/v%以上、より好ましくは10w/v%以上であり、上限はべたつきが少なくなるなどの使用感も考慮すると30w/v%以下が好ましい。
【0016】
本発明の外用医薬組成物は、更に必要により界面活性剤を配合することができる。しかしながら、界面活性剤の添加は、使用感やミノキシジルの皮膚吸収に影響を与える可能性があるため、 実質的に界面活性剤を含まないものとすることが好ましい。
【0017】
本発明の外用医薬組成物は、上記した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要により活性成分や補助成分を加えることができる。本発明の外用医薬組成物に添加、配合することが好ましい薬効成分としては、メントール、ビタミンEアセテート、ヒノキチオール、塩酸ピリドキシン、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミンから成る群より選ばれた1種又は2種以上の成分が挙げられる。これらの添加量は、特に制約はなく、使用感やミノキシジルの安定性又は溶剤系組成等を考慮しながら実験的に定めることができる。
【0018】
本発明の外用医薬組成物においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6-ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0019】
また、本発明の外用医薬組成物は、液状の剤形であることが好ましく、液剤、ローション剤、トニック剤、ゲル剤、エアゾール剤などの適当な外用医薬組成物とすることができ、好ましくは、液剤、ローション剤、トニック剤である。
【0020】
本発明の外用医薬組成物の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0021】
かくして得られる本発明の外用医薬組成物は、頭髪用剤、睫毛用剤、眉毛用剤等の皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0022】
以下に、実施例、比較例、参考例、及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。なお、実施例、比較例、及び参考例の水分含量はカール・フィッシャー水分計により測定した。
【実施例0023】
(実施例1)
ミノキシジル5g、dl-カンフル1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.17の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0024】
(実施例2)
ミノキシジル5g、ニコチン酸ベンジル0.125g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.15の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0025】
(実施例3)
ミノキシジル5g、マレイン酸クロルフェニラミン1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.05の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0026】
(実施例4)
ミノキシジル5g、ベンザルコニウム塩化物0.3g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.12の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0027】
(比較例1)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし撹拌溶解してpH6.16の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0028】
(比較例2)
ミノキシジル5g、パンテノール1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし撹拌溶解してpH6.15の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0029】
実施例1~4、比較例1~2の処方及び調製後の水分含量、pHを表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(肌なじみ評価)
実施例1~4、比較例1~2の各試験液をマイクロピペット(エッペンドルフ社製)を用いて100μL量り取り、バイオスキンプレート(#40、ビューラックス社製)上に滴下した。滴下30秒後、広がった液の長径と短径を測定し、掛け合わせた値を肌なじみのスコアとした。下記[式1]に従い、肌なじみ改善率を算出した。算出した結果は、表2に示す。
[式1]肌なじみ改善率(%)=(各試験液の肌なじみスコア/比較例1の肌なじみスコア)×100
【0032】
【表2】

表2に示した通り(b)成分を含有していない比較例1の外用医薬組成物に対して、本発明の実施例1~4の外用医薬組成物は肌なじみが改善した。
【0033】
(参考例1)
ミノキシジル1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし撹拌溶解してpH5.81の外用医薬組成物(液剤)を得た。
(参考例2)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし撹拌溶解してpH6.13の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0034】
参考例1及び2の処方及び調製後の水分含量、pHを表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
参考例1及び参考例2の肌なじみ評価を実施した結果,参考例2の肌なじみスコアは参考例1と比較して88%と低く,ミノキシジルの濃度が高い程肌なじみが悪くなるという結果が得られた。
【0037】
(実施例5)
ミノキシジル5g、dl-カンフル1g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール14g、精製水13g、酒石酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.75の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0038】
(実施例6)
ミノキシジル5g、ニコチン酸ベンジル0.125g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール14g、精製水13g、酒石酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.75の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0039】
(実施例7)
ミノキシジル5g、マレイン酸クロルフェニラミン1g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール14g、精製水13g、酒石酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.61の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0040】
(実施例8)
ミノキシジル5g、ベンザルコニウム塩化物0.3g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール14g、精製水13g、酒石酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.69の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0041】
(比較例3)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール14g、精製水13g、酒石酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.75の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0042】
(比較例4)
ミノキシジル5g、パントテニールエチルエーテル1g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール14g、精製水13g、酒石酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.75の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0043】
(比較例5)
ミノキシジル5g、パンテノール1g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール14g、精製水13g、酒石酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.76の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0044】
実施例5~8、比較例3~5の処方及び調製後の水分含量、pHを表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】
(肌なじみ評価)
実施例5~8、比較例3~5の各試験液をマイクロピペット(エッペンドルフ社製)を用いて100μL量り取り、バイオスキンプレート(#40、ビューラックス社製)上に滴下した。滴下30秒後、広がった液の長径と短径を測定し、掛け合わせた値を肌なじみのスコアとした。下記[式2]に従い、肌なじみ改善率を算出した。算出した結果は、表5に示す。
[式2]肌なじみ改善率(%)=(各試験液の肌なじみスコア/比較例3の肌なじみスコア)×100
【0047】
【表5】

表5に示した通り(b)成分を含有していない比較例3の外用医薬組成物に対して、本発明の実施例5~8の外用医薬組成物は肌なじみが改善した。
【0048】
(実施例9)
ミノキシジル5g、dl-カンフル1g、1,3-ブチレングリコール1g、グリセリン13g、精製水12g、乳酸適量、クエン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH7.02の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0049】
(実施例10)
ミノキシジル5g、ニコチン酸ベンジル0.125g、1,3-ブチレングリコール1g、グリセリン13g、精製水12g、乳酸適量、クエン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH7.03の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0050】
(実施例11)
ミノキシジル5g、マレイン酸クロルフェニラミン1g、1,3-ブチレングリコール1g、グリセリン13g、精製水12g、乳酸適量、クエン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.85の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0051】
(実施例12)
ミノキシジル5g、ベンザルコニウム塩化物0.3g、1,3-ブチレングリコール1g、グリセリン13g、精製水12g、乳酸適量、クエン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.91の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0052】
(比較例6)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール1g、グリセリン13g、精製水12g、乳酸適量、クエン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.99の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0053】
(比較例7)
ミノキシジル5g、パントテニールエチルエーテル1g、1,3-ブチレングリコール1g、グリセリン13g、精製水12g、乳酸適量、クエン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH7.03の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0054】
(比較例8)
ミノキシジル5g、パンテノール1g、1,3-ブチレングリコール1g、グリセリン13g、精製水12g、乳酸適量、クエン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH7.05の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0055】
実施例9~12、比較例6~8の処方及び調製後の水分含量、pHを表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
(肌なじみ評価)
実施例9~12、比較例6~8の各試験液をマイクロピペット(エッペンドルフ社製)を用いて100μL量り取り、バイオスキンプレート(#40、ビューラックス社製)上に滴下した。滴下30秒後、広がった液の長径と短径を測定し、掛け合わせた値を肌なじみのスコアとした。下記[式3]に従い、肌なじみ改善率を算出した。算出した結果は、表7に示す。
[式3]肌なじみ改善率(%)=(各試験液の肌なじみスコア/比較例6の肌なじみスコア)×100
【0058】
【表7】

表7に示した通り(b)成分を含有していない比較例6の外用医薬組成物に対して、本発明の実施例9~12の外用医薬組成物は肌なじみが改善した。
【0059】
(実施例13)
ミノキシジル5g、dl-カンフル1g、1,3-ブチレングリコール10g、精製水15g、リン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.11の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0060】
(実施例14)
ミノキシジル5g、ニコチン酸ベンジル0.125g、1,3-ブチレングリコール10g、精製水15g、リン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.10の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0061】
(実施例15)
ミノキシジル5g、マレイン酸クロルフェニラミン1g、1,3-ブチレングリコール10g、精製水15g、リン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.00の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0062】
(実施例16)
ミノキシジル5g、ベンザルコニウム塩化物0.3g、1,3-ブチレングリコール10g、精製水15g、リン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.05の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0063】
(比較例9)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、精製水15g、リン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.10の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0064】
(比較例10)
ミノキシジル5g、パントテニールエチルエーテル1g、1,3-ブチレングリコール10g、精製水15g、リン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.09の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0065】
(比較例11)
ミノキシジル5g、パンテノール1g、1,3-ブチレングリコール10g、精製水15g、リン酸適量、エタノールで全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.11の外用医薬組成物(液剤)を得た。
【0066】
実施例13~16、比較例9~11の処方及び調製後の水分含量、pHを表8に示す。
【0067】
【表8】
【0068】
(肌なじみ評価)
実施例13~16、比較例9~11の各試験液をマイクロピペット(エッペンドルフ社製)を用いて100μL量り取り、バイオスキンプレート(#40、ビューラックス社製)上に滴下した。滴下30秒後、広がった液の長径と短径を測定し、掛け合わせた値を肌なじみのスコアとした。下記[式4]に従い、肌なじみ改善率を算出した。算出した結果は、表9に示す。
[式4]肌なじみ改善率(%)=(各試験液の肌なじみスコア/比較例9の肌なじみスコア)×100
【0069】
【表9】

表9に示した通り(b)成分を含有していない比較例9の外用医薬組成物に対して、本発明の実施例13~16の外用医薬組成物は肌なじみが改善した。
【0070】
また、別の態様の外用組成物として、例えばミノキシジル0.1~10w/v%、活性成分や補助成分としてメントール0.1~5w/v%、ビタミンEアセテート0.001~1w/v%、塩酸ピリドキシン0.001~1w/v%、ヒノキチオール0.001~1w/v%、グリチルレチン酸0.001~1w/v%、塩酸ジフェンヒドラミン0.001~1w/v%、パントテニールエチルエーテル又はパンテノール0.1~5w/v%、dl-カンフル0.1~1w/v%、ニコチン酸ベンジル0.01~0.125w/v%、マレイン酸クロルフェニラミン0.05~1w/v%、ベンザルコニウム及び/又はその塩0.02~0.3w/v%、1,3-ブチレングリコール2~30w/v%、グリセリン1~30w/v%、エタノール20~70w/v%、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、ピロ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、又は没食子酸ピロピル)0.001~1w/v%、リン酸適量、グリシン0.00001~1w/v%、L-アルギニン0.00001~1w/v%、アスコルビン酸0.000001~1w/v%を配合し、残量を水で調製したものが挙げられる。これら活性成分や補助成分は使用感やミノキシジルの安定性あるいは溶剤系組成等を考慮し適宜配合することができる。この外用組成物の処方例を表10に示す。
【0071】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明により、肌なじみがよいミノキシジル含有外用医薬組成物を提供することが可能になった。