(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002711
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103040
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友久
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604CC01
5H604CC11
5H604QA08
5H604QB01
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】その小型化を実現することができるモータを提供する。
【解決手段】モータ1は、インシュレータ27と、インシュレータ27の内周部51に配置された内側のバスバー36と、インシュレータ27の外周部52に配置された外側のバスバー37と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インシュレータと、
前記インシュレータの内周部に配置された内側のバスバーと、
前記インシュレータの外周部に配置された外側のバスバーと、を備えるモータ。
【請求項2】
前記内側のバスバーは、複数の内側の導電部材を備え、
前記複数の内側の導電部材は、周方向に並んで配置されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記外側のバスバーは、複数の外側の導電部材を備え、
前記複数の外側の導電部材は、径方向に並んで配置されている、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
径方向において、前記インシュレータの外周部にあるN個の溝に対して、前記複数の外側の導電部材の数はNより大きい、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記複数の外側の導電部材の数は前記複数の内側の導電部材の数より小さい、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記外側の導電部材の端部は外部の装置に直接又は他の部材を介して接続される端子となっている、請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータに接続された外部の電源から、鉄心に巻き付けられたコイルに高電流を供給するための結線板が開示されている。結線板は例えば鉄心の上方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高電流を供給するための結線板の板厚は厚いので、モータ内において結線板の占有体積は大きくなりがちである。その結果、モータの小型化は妨げられる。
【0005】
そこで、本発明は、その小型化を実現することができるモータを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るモータは、インシュレータと、前記インシュレータの内周部に配置された内側のバスバーと、前記インシュレータの外周部に配置された外側のバスバーと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るモータ1の構造を概略的に示す垂直断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るモータ1の構造を概略的に示す水平断面図である。
【
図3】ステータアセンブリ25の構造を概略的に示す斜視図である。
【
図4】ステータアセンブリ25の構造を概略的に示す部分分解斜視図である。
【
図5】ステータアセンブリ25から2つのインシュレータ27、内側バスバー36及び外側バスバー37を取り出した状態の部分拡大斜視図である。
【
図6】一変形例に係るステータアセンブリ25Aの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図7】内側バスバー36及び外側バスバー37の構造を概略的に示す斜視図である。
【
図8】別の変形例に係るステータアセンブリ25Bの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図9】別の変形例に係るステータアセンブリ25Bの構造を概略的に示す部分分解斜視図である。
【
図10】ステータアセンブリ25Bから3つのインシュレータ27、内側バスバー36及び外側バスバー37を取り出した状態の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ1の構造を概略的に示す垂直断面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るモータ1の構造を概略的に示す水平断面図である。なお、
図1は、モータ1の回転軸心を構成する軸線xを含む仮想平面に沿った
図2の1-1断面図に相当し、
図2は、軸線xに直交する仮想平面に沿った
図1の2-2断面図に相当する。
【0009】
なお、以下のモータ1の実施形態の説明において、軸線xに沿った方向における一方の側を上側、他方の側を下側と規定する。軸線x方向において規定されるこれら上側及び下側は、重力方向における上下関係とは必ずしも一致しない。また、軸線xに垂直な方向にモータ1の径方向が規定される。この径方向において、軸線xから遠ざかる側を外周側と規定する一方で、軸線xに近づく方向を内周側と規定する。さらに、軸線x周りにモータ1の周方向が規定される。この周方向において、モータ1を上側から見た場合に軸線x回りに時計回り及び反時計回りが規定される。
【0010】
図1及び
図2に示すように、モータ1は、例えば軸線xを中心軸線とするシャフト10を備える。シャフト10は、ハウジング11に固定される2つの軸受12、13に回転自在に支持されている。軸受12、13は、シャフト10とハウジング11との間に例えば圧入などにより取り付けられている。ハウジング11は、例えば筒状のハウジング本体14と、例えば円盤状の蓋15と、を備える。ハウジング本体14の上端は開放される一方で、ハウジング本体14の下端は、ハウジング本体14が底部を備えることで閉鎖される。ハウジング本体14の上端は蓋15で覆われて閉鎖される。シャフト10は、ハウジング本体14の下端に形成された開口16と、蓋15に形成された開口17とからハウジング11の外側に突出している。
【0011】
軸線x方向において軸受12、13の間でシャフト10には、例えば円筒状のロータコア18が固定される。ロータコア18は、軸線x方向に積層された複数の磁性体の積層体から形成される。
図2から明らかなように、ロータコア18は、例えば、円筒状の内周部19と、円筒状の外周部20と、内周部19及び外周部20を接続する複数(この例では14)の接続部21と、を備える。ロータコア18は、軸線xに沿って内周部19に形成された孔内にシャフト10が挿入されて固定される。各接続部21は、例えば、径方向に延在する縦長の平板状に形成される。
【0012】
ロータコア18の外周部20には、その外周面に近接して複数(この例では14)のマグネット22が埋め込まれている。マグネット22は例えば永久磁石である。マグネット22は例えば縦長の平たい直方体形状を有している。各マグネット22は、例えばロータコア18の外周面に近接して軸線x方向に延びる外周部20の貫通孔23内に固定されている。周方向に配列されたマグネット22の磁極の向きは周方向に交互にN極とS極とに設定される。このモータ1はいわゆる磁石埋込式(IPM)のモータである。また、ロータコア18及びマグネット22はモータ1のロータ24を形成する。すなわち、モータ1はインナーロータタイプのモータである。
【0013】
ハウジング11内にはステータアセンブリ25が収容される。ステータアセンブリ25は、ステータコア26と、複数(この例では12)のインシュレータ27と、複数(この例では12)のコイル28と、を備える。ステータコア26は、円筒状の筒状部29と、複数のティース30と、を備える。ステータコア26は筒状部29の外周面でハウジング11のハウジング本体14の内周面に固定される。ステータコア26は、例えば珪素鋼板等の磁性体の積層体から形成される。各ティース30は、例えば筒状部29の内周面に沿った境界面B(
図2参照)で筒状部29から分割されている。ステータコア26はいわゆる分割コアである。ティース30は例えば接着剤や溶接によって筒状部29に固定されている。
【0014】
各ティース30は、スポーク31と、磁極部32と、を備える。スポーク31は、その外周側の端部から内周側の端部まで径方向に延在する。磁極部32は、スポーク31の内周側の端部に連続する。磁極部32は、スポーク31から周方向に互いに反対方向に突出する。ティース30は、磁極部32の内周面でロータコア18の外周部20の外周面に所定の磁気ギャップで対向する。各スポーク31の周囲にはインシュレータ27を介してコイル28が巻き付けられている。コイル28は例えば銅線である。インシュレータ27は例えば樹脂材料から形成される。スポーク31とコイル28との間に配置されたインシュレータ27はステータコア26とコイル28とを絶縁する。
【0015】
図3は、ステータアセンブリ25の構造を概略的に示す斜視図である。
図4は、ステータアセンブリ25の構造を概略的に示す部分分解斜視図である。
図1、
図3及び
図4を併せて参照すると、周方向に配列された12個のインシュレータ27によって、ステータアセンブリ25の上側に、例えば1つの内周側の溝(以下、「内周溝」という。)33と、例えば外周側の第1溝(以下、「第1外周溝」という。)34及び外周側の第2溝(以下、「第2外周溝」という。)35と、が形成される。第2外周溝35の径は第1外周溝34の径よりも大きく規定される。内周溝33、第1外周溝34及び第2外周溝35はいずれも軸線x周りに環状に周方向に延びる。
【0016】
内周溝33は、コイル28よりも内周側に配置される一方で、第1外周溝34及び第2外周溝35はコイル28よりも外周側に配置される。内周溝33には内側のバスバー(以下、「内側バスバー」という。)36が配置される。第1外周溝34及び第2外周溝35には外側のバスバー(以下、「外側バスバー」という。)37が配置される。
図1及び
図3に示すように、内側バスバー36には、各コイル28から引き出された引出線28aが電気的に接続される。一方で、外側バスバー37にも、各コイル28から引き出された引出線28aが電気的に接続される。これらの内側バスバー36及び外側バスバー37によってコイル28に高電流が供給される。なお、この実施形態では、引出線28aは、コイル28の巻き方向から離れるようにコイル38から立ち上がった後、内周側又は内周側にそれぞれ径方向に延びる。
【0017】
図4に示すように、内側バスバー36は、複数の内側に配置された、導電部材としてのバスバー部材(以下、「内側バスバー部材」という。)38を備える。この例では、6つの内側バスバー部材38が周方向に配列されている。内側バスバー部材38はいずれも同一の形状を有している。各内側バスバー部材38は、周方向に延在する本体39と、周方向における本体39の両端から上側に突出する1対の接続端子40、40と、を備える。本体39は、外周面及び内周面を規定する湾曲した平板状に形成される。各接続端子40は、本体39の外周面及び内周面から連続する外周面及び内周面を規定する平板状に形成される。各接続端子40には、接続端子40の上端から下端に向かって延びる凹んだ溝(凹溝)41が形成される。
【0018】
本実施形態では、12のコイル28から内周側に12の引出線28aが引き出されている。一方で、内側バスバー36は、2つの接続端子40を有する内側バスバー部材38が周方向に6つ配列されている。こうして内側バスバー36は合計12の接続端子40を提供する。これら12の接続端子40は周方向に等間隔に配列されている。
図3に示すように、内側バスバー36が内周溝33内に配置された状態では、接続端子40はインシュレータ27の上端よりも上側に突出する。この状態で各接続端子40の凹溝41に引出線28aが受け入れられて、各引出線28aが各接続端子40に電気的に接続される。なお、各接続端子40にかしめ加工が実施されて引出線28aが接続端子40に圧着されてもよい。さらに、引出線28aは接続端子40にはんだ付けされてもよい。
【0019】
図4に戻ると、外側バスバー37は、複数の外側に配置された、導電部材としてのバスバー部材(以下、「外側バスバー部材」という。)42を備える。この例では、3つの外側バスバー部材42が周方向に配列されている。すなわち、本実施形態では、外側バスバー部材42の数は内側バスバー部材37の数よりも小さい。外側バスバー部材42はいずれも同一の形状を有している。各外側バスバー部材42は、周方向に延在する外周部43と、周方向に延在する内周部44と、外周部43及び外周部44を互いに接続する接続部45と、を備える。外周部43及び外周部44は、外周面及び内周面を規定する湾曲した平板状に形成される。外周部43と内周部44とは径方向及び周方向にオフセットされて配置されている。外周部43の径は内周部44の径よりも大きい。また、外周部43及び内周部44は、互いに径方向において重ならず、異なる位置にある。接続部45は径方向に延びて外周部43及び内周部44を互いに接続する。
【0020】
図4に示すように、周方向に隣接する3つの第1~第3の外側バスバー部材42において、第1の外側バスバー部材42の外周部43の少なくとも一部が第3の外側バスバー部材42の内周部44に径方向に互いに重なり合う。第1の外側バスバー部材42の内周部44の少なくとも一部が第2の外側バスバー部材42の外周部43に径方向に互いに重なり合う。同様に、第2の外側バスバー部材42の内周部44の少なくとも一部が第3の外側バスバー部材42の外周部43に径方向において互いに重なり合う。
図3に示すように、各外周部43はインシュレータ27の第2外周溝35内に配置される一方で、内周部44はインシュレータ27の第1外周溝34内に配置される。こうして3つの外側バスバー部材42は、3つより少ない2つの第1外周溝34及び第2外周溝35に配置される。
【0021】
各外側バスバー部材42は、外周部43及び外周部44からそれぞれ上側に突出する複数の接続端子46を備える。各接続端子46は、外周部43及び内周部44の外周面及び内周面から連続する外周面及び内周面を規定する平板状に形成される。各接続端子46には、接続端子46の上端から下端に向かって延びる凹溝47が形成される。本実施形態では、12のコイル28から外周側に12の引出線28aが引き出されている。一方で、外側バスバー37は合計12の接続端子46を提供する。
図3に示すように、各接続端子46の凹溝47に引出線28aが受け入れられて、各引出線28aが各接続端子46に電気的に接続される。上述の接続端子40と同様に、接続端子46にかしめ加工やはんだ付けが実施されてもよい。
【0022】
さらに、各外側バスバー部材42は、この例では内周部44から上側に突出する1つの端部すなわち接続端子(以下、「外部接続端子」という。)48を備える。この例では、外部接続端子48は、内周部44から径方向に内周側に延在した後、上側に折れ曲がって上側に突出するように延在する。
図1に示すように、各外部接続端子48は、軸線xの方向にハウジング11から外側に突出する。この突出にあたって、ハウジング11の蓋15には開口(図示せず)が形成される。外部接続端子48は外部の装置(図示せず)に直接又は他の部材を介して電気的に接続される。なお、内側バスバー部材38及び外側バスバー部材42はいずれも、例えば銅といった金属材料から打ち抜き加工によって形成される。なお、ステータアセンブリ25はモータ1のステータ49を形成する。
【0023】
図5は、ステータアセンブリ25から2つのインシュレータ27、内側バスバー36及び外側バスバー37を取り出した状態の部分拡大斜視図である。
図5に示すように、各インシュレータ27は、筒状部50と、筒状部50より内周側の内周部51と、筒状部50より外周側の外周部52と、を備える。筒状部50は、その内部にスポーク31を収容する空間を規定する。内周部51及び外周部52は筒状部50に一体的に形成される。内周部51は、筒状部50の内周側の開口周りで、軸線xを中心とする円筒面に沿って概ね広がるフランジである。同様に、外周部52は、筒状部50の外周側の開口周りで、軸線xを中心とする円筒面に沿って概ね広がるフランジである。
【0024】
内周部51の上端には、軸線x周りに周方向に延びる第1溝53が形成される。この第1溝53が周方向に並んで配列されることによって上述した内周溝33が形成される。周方向に隣接する2つの第1溝53の間には所定の隙間G1が形成される。本実施形態では、1つの内側バスバー部材38が、周方向に隣接する2つのインシュレータ27の第1溝53にまたがって配置される。内側バスバー部材38の接続端子40は本体39の周方向の両端に配置されるので、各インシュレータ27の第1溝53の周方向における中心に接続端子40が配置される。この例では、本体39が第1溝53内に収容される一方で、接続端子40は第1溝53から上側に突出する。
【0025】
図5から明らかなように、内側バスバー部材38の本体39の内周面には、周方向における本体39の中心に突起(凸)54が形成される。この突起54は、例えば、周方向に長尺に延びつつ本体39の内周面から内周側に突出する。突起54の周方向の長さは、例えば、周方向に隣接する2つのインシュレータ27の間の隙間G1に一致する。この突起54によれば、内側バスバー部材38を内周溝33内に配置する際に、突起54が隙間G1の位置に位置決めされることによって内周溝33に対して内側バスバー部材38を容易に位置決めすることができる。すなわち、インシュレータ27の第1溝53の周方向における中心に接続端子40を容易に位置決めすることができる。
【0026】
外周部52の上端には、軸線x周りに周方向に延びる第2溝55及び第3溝56が形成される。第2溝55及び第3溝56は径方向に並んで配列される。第3溝56は第2溝55よりも外周側に配置される。この第2溝55が周方向に並んで配列されることによって上述した第1外周溝34が形成される。同様に、この第3溝56が周方向に並んで配列されることによって上述した第2外周溝35が形成される。周方向に隣接する2つの第2溝55及び2つの第3溝56の間には所定の隙間G2が形成される。本実施形態では、外側バスバー部材42の接続部45がこの隙間G2に配置される。
図3及び
図4に示すように、外周部43は例えば4つの第2外周溝35にまたがって配置される。同様に、内周部44は例えば4つの第1外周溝34にまたがって配置される。
【0027】
以上のようなモータ1では、内側バスバー36は、コイル28より内周側でインシュレータ27の内周部50に配置される、また、外側バスバー37は、コイル28より外周側でインシュレータ27の外周部52に配置される。例えば、コイル28の上側にバスバーが配置される場合と比較して、ステータアセンブリ25の高さを格段に小さくすることができる。高さが小さくなった分だけハウジング11の外形を小さくすることができる。その結果、モータ1の小型化を実現することができる。また、このモータ1によれば、内側バスバー36及び外側バスバー37がインシュレータ27上に配置されているので、バスバー同士を絶縁するための絶縁シートやバスバーを収容するケース等を必要としない。モータ1の部品点数を削減することができる。
【0028】
図6は、一変形例に係るステータアセンブリ25Aの構造を概略的に示す斜視図である。
図7は、ステータアセンブリ25Aのインシュレータ27に配置される内側バスバー36及び外側バスバー37の構造を概略的に示す斜視図である。
図6及び
図7に示すように、このステータアセンブリ25Aでは、内側バスバー部材38の接続端子40及び外側バスバー部材42の接続端子46の形状が、上述したステータアセンブリ25の接続端子40及び46形状と異なっている。接続端子40及び46以外の構成要素については上述した実施形態のステータアセンブリ25の構成要素と同一であるので、それらには同一の参照符号を付してここでの重複した説明は省略する。
【0029】
具体的には、各接続端子40は、本体39から上側に突出する部分(以下、「内片」という。)60と、内片60の外周面に対向する内周面を規定する部分(以下、「外片」という。)61と、内片60及び外片61を互いに接続する部分(以下、「接続片」という。)62と、を備える。内片60及び外片61にはそれぞれ、内片60及び外片61の上端から下端に向かって延びる凹溝63、64が形成される。凹溝63、64は径方向に整列される。コイル28の引出線28aは、内片60及び外片61の凹溝63、64に配置されて接続端子40に電気的に接続される。なお、引出線28a及び接続端子40は、例えばヒュージング加工によって引出線28a、内片60及び外片61が圧着されることによって接続されてもよい。
【0030】
同様に、接続端子46は、外周部43又は内周部44から上側に突出する部分(以下、「外片」という。)65と、外片65の内周面に対向する外周面を規定する部分(以下、「内片」という。)66と、外片65及び内片66を互いに接続する部分(以下、「接続片」という。)67と、を備える。外片65及び内片66にはそれぞれ、外片65及び内片66の上端から下端に向かって延びる凹溝68、69が形成される。凹溝68、69は径方向に整列される。コイル28の引出線28aは、内片66及び外片65の凹溝69、68に配置されて接続端子46に電気的に接続される。なお、引出線28a及び接続端子46は、例えばヒュージング加工によって引出線28a、外片65及び内片66が圧着されることによって接続されてもよい。
【0031】
図8は、別の変形例に係るステータアセンブリ25Bの構造を概略的に示す斜視図である。
図9は、別の変形例に係るステータアセンブリ25Bの構造を概略的に示す部分分解斜視図である。このステータアセンブリ25Bは、上述したステータアセンブリ25の変形例である。ステータアセンブリ25Bでは、コイル28の引出線28aが、コイル28の内周側及び外周側においていずれも、周方向に互いに隣接する2つのインシュレータ27の間の隙間G1及びG2において内側バスバー36及び外側バスバー37に電気的に接続される。その他、上述したステータアセンブリ25と同様の構成には同一の参照符号を付して、ここでの重複した説明を省略する。
【0032】
図10は、ステータアセンブリ25Bから3つのインシュレータ27、内側バスバー36及び外側バスバー37を取り出した状態の部分拡大斜視図である。
図8~
図10を併せて参照すると、コイル28や引出線28aの数、内側バスバー部材38、外側バスバー部材42、内周溝33、第1外周溝34及び第2外周溝35の数は上述した実施形態の数と同一である。ただし、後述するように、内側バスバー部材38及び外側バスバー部材42の形状は、上述した実施形態の形状と異なる部分を有している。また、隙間G1及びG2に引出線28aが引き出される点において、引出線28aの引き出し位置が上述の実施形態の引き出し位置とわずかに相違する。
【0033】
内側バスバー部材38は、上述した実施形態に係る構造と同様の構造を有しているが、上述した実施形態に係る位置とは周方向に異なる位置に配置されている。具体的には、内側バスバー部材38は、周方向に隣接する3つの第1溝53にまたがって配置される。こうして、周方向に隣接する2つのインシュレータ27の間の隙間G1内に接続端子40すなわち凹溝41が位置決めされる。内側バスバー部材38の内周面の突起54は、インシュレータ27の内周部51に形成された貫通孔70に係合してもよい。こうして内側バスバー部材38は内周溝33内に容易に位置決めされる。また、軸線x方向における接続端子40の高さは、インシュレータ27の第1溝53の深さ以下に規定される。すなわち、接続端子40の上端がインシュレータ27の上端から上側に突出することはない。
【0034】
一方で、外側バスバー部材42では、接続端子46が、外周部43及び内周部44から上側に突出するのではなく、外周部43及び内周部44内に組み込まれる。すなわち、凹溝47が外周部43及び内周部44に直接形成される。こうして接続端子46は外周部43及び内周部44から上側に突出しないので、外周部43及び内周部44は第1外周溝34及び第2外周溝35内に完全に収容される。さらに、外側バスバー部材42の接続部45は、インシュレータ27の外周部52の第2溝55及び第3溝56にまたがって形成される溝部71内に配置される。こうして、凹溝47の位置は、上述した実施形態に係る位置とは周方向に異なる位置に配置される。具体的には、すべての凹溝47は第2隙間G2内に位置決めされる。
【0035】
なお、
図9に示すように、凹溝47が形成された1の外側バスバー部材42と径方向に重なり合う他の外側バスバー部材42には、凹溝47が形成された位置に対応する位置に凹み72が形成される。この凹み72によって、引出線28aとの誤った電気的な接続が回避される。また、軸線x方向における接続端子46の高さは、インシュレータ27の第2溝55及び第3溝56の深さ以下に規定される。なお、外部接続端子48の形状は、上述した実施形態の形状と相違する形状を有していてもよい。こうしたステータアセンブリ25Bによれば、インシュレータ27の上側への接続端子40、46の突出を回避することができるので、ステータアセンブリ25Bの高さをさらに小さくすることができる。モータ1のさらなる小型化を実現することができる。
【0036】
以上、上記実施形態を通じて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に様々な変更又は改良を加えることができることが当業者には明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0037】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。上記実施形態が備える各構成要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、技術的に矛盾しない範囲において、異なる実施形態で示した構成要素同士を部分的に置換し又は組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 モータ、10 シャフト、12 軸受、13 軸受、14 ハウジング本体、15 蓋、16 開口、17 開口、18 ロータコア、19 内周部、20 外周部、21 接続部、22 マグネット、23 貫通孔、24 ロータ、25 ステータアセンブリ、25A ステータアセンブリ、25B ステータアセンブリ、26 ステータコア、27 インシュレータ、28 コイル、29 筒状部、30 ティース、31 スポーク、32 磁極部、33 溝(内周溝)、34 第1溝(第1外周溝)、35 第2溝(第2外周溝)、36 内側のバスバー(内側バスバー)、37 外側のバスバー(外側バスバー)、28a 引出線、38 内側のバスバー部材(導電部材、内側バスバー部材)、39 本体、40 接続端子、41 凹溝、42 外側のバスバー部材(導電部材、外側バスバー部材)、43 外周部、44 内周部、45 接続部、46 接続端子、47 凹溝、48 端部(外部接続端子)、49 ステータ、50 筒状部、51 内周部、52 外周部、53 第1溝、54 突起、55 第2溝、56 第3溝、60 部分(内片)、61 部分(外片)、62 部分(接続片)、63 凹溝、64 凹溝、65 部分(外片)、66 部分(内片)、67 部分(接続片)、68 凹溝、69 凹溝、70 貫通孔、71 溝部、72 凹み、B 境界面、G1 隙間、G2 隙間、x 軸線