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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027155
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】ボロン酸化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20250219BHJP
   B01J 19/00 20060101ALN20250219BHJP
【FI】
C07F5/02 C
B01J19/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203274
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】521518574
【氏名又は名称】株式会社altFlow
(71)【出願人】
【識別番号】521540793
【氏名又は名称】株式会社中化学日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】永木 愛一郎
(72)【発明者】
【氏名】芦刈 洋祐
【テーマコード(参考)】
4G075
4H048
【Fターム(参考)】
4G075AA13
4G075AA39
4G075BA10
4G075BB05
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB21
4G075EB50
4H048AA02
4H048AB84
4H048AC90
4H048BB11
4H048BB25
4H048BC10
4H048BC18
4H048BD81
4H048VA20
4H048VA75
4H048VB10
(57)【要約】
【課題】効率よく簡易に、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する方法を提供すること。
【解決手段】0.3M以上のt-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、0.4M以上のBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、を含むことを特徴とするボロン酸化合物の製造方法である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.3M以上のt-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、0.4M以上のBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、
前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、を含むことを特徴とするボロン酸化合物の製造方法。
【請求項2】
前記工程1が-20℃以上で行われる、請求項1に記載のボロン酸化合物の製造方法。
【請求項3】
前記工程2が-20℃以上で行われる、請求項1又は2に記載のボロン酸化合物の製造方法。
【請求項4】
前記工程1において、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの導入速度が、6mL/分以上である、請求項1から3のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法。
【請求項5】
前記BuLiが、sec-BuLiである、請求項1から4のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法。
【請求項6】
前記第1のマイクロミキサーの平均内径が250μm以上である、請求項1から5のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法。
【請求項7】
前記第2のマイクロミキサーの平均内径が250μm以上である、請求項1から6のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法。
【請求項8】
前記ボロン酸化合物の収率が20%以上である、請求項1から7のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボロン酸化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鈴木カップリング反応の基質などとして使用されるボロン酸化合物は、近年、その需要が高まっている。
o-ジハロ芳香族化合物からボロン酸化合物を合成する方法は知られているが(特許文献1)、この方法は、-80℃~-50℃の極低温で反応させることが必要であり、簡易な方法であるとはいえない。
【0003】
したがって、効率よく簡易に、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する方法は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-195639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、効率よく簡易に、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、0.3M以上のt-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、0.4M以上のBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、を含むことを特徴とするボロン酸化合物の製造方法により、効率よく簡易に、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する方法が提供できることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下のとおりである。即ち、
<1> 0.3M以上のt-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、0.4M以上のBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、を含むことを特徴とするボロン酸化合物の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、効率よく簡易に、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の製造方法の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。
図2図2は、実施例1で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図3図3は、実施例2で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図4図4は、実施例3で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ボロン酸化合物の製造方法)
前記ボロン酸化合物の製造方法は、工程1と、工程2と、を含み、さらに、その他の工程を含むことができる。
【0011】
<工程1>
前記工程1は、0.3M以上のt-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、0.4M以上のBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程である。
【0012】
-t-ブチル-p-ブロモベンゾエート-
前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートは、t-ブチル-4-ブロモベンゾエート、tert-ブチル-p-ブロモベンゾエート、又はtert-ブチル-4-ブロモベンゾエートとも表記する。
【0013】
前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの濃度の下限値としては、0.3M以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、0.5M以下が好ましい。
【0014】
-BuLi-
前記BuLiとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、n-BuLi、sec-BuLi、又はt-BuLiが好ましく、n-BuLi又はsec-BuLiがより好ましく、sec-BuLiがさらに好ましい。
前記nBuLiは、n-ブチルリチウム、又はノルマルブチルリチウムとも表記する。
前記sec-BuLiは、sec-ブチルリチウム、又はセカンダリーブチルリチウムとも表記する。
前記t-BuLiは、t-ブチルリチウム、又はターシャリー-ブチルリチウムとも表記する。
【0015】
前記BuLiの濃度の下限値としては、0.4M以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、0.7M以上が好ましい。
前記BuLiの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、2.8M以下が好ましい。
【0016】
前記n-BuLiの濃度の下限値としては、0.4M以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、1.0M以上が好ましく、1.5M以上がより好ましく、1.6M以上がさらに好ましい。
前記n-BuLiの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、2.8M以下が好ましい。
【0017】
前記sec-BuLiの濃度の下限値としては、0.4M以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、0.7M以上が好ましい。
前記sec-BuLiの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、2.8M以下が好ましい。
【0018】
前記BuLiとして、n-BuLiを用いたときの、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの濃度の下限値としては、0.3M以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、0.35M以上が好ましく、0.38M以上がより好ましい。
前記BuLiとして、n-BuLiを用いたときの、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、0.5M以下が好ましい。
【0019】
前記BuLiとして、sec-BuLiを用いたときの、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの濃度の下限値としては、0.3M以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記BuLiとして、sec-BuLiを用いたときの、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、0.5M以下が好ましい。
【0020】
-第1のマイクロミキサー-
前記第1のマイクロミキサーとしては、マイクロリアクター(以下、「フローマイクロリアクター」又は「フロー反応器」と称することがある)における混合手段である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、下記のマイクロリアクターにおける、基板型のマイクロミキサー、又は管継手型のマイクロミキサーであってもよい。
【0021】
-マイクロリアクター-
前記マイクロリアクターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混合手段と、流通路とを備え、更に必要に応じてその他の手段を備えるマイクロリアクターなどが挙げられる。
前記混合手段と前記流通路とは、一体型であってもよいし、別体型であってもよい。
【0022】
前記混合手段は、2種以上の液体を混合可能な手段である。
前記流通路は、液体を流通可能な管である。前記流通路は、少なくとも1つの前記混合手段と接続される。
【0023】
前記フローマイクロリアクターを用いることで、安定性の低い化合物について、生成から次の反応までの滞留時間を短時間にし、副反応を抑制することができる。
また、前記フローマイクロリアクターは、冷却効率が優れるため、発熱反応における発熱による副反応を抑制することができる。
【0024】
--一体型のフローマイクロリアクター--
前記一体型のフローマイクロリアクターの前記混合手段及び前記流通路としては、基板型のマイクロミキサーなどが挙げられる。
【0025】
前記基板型のマイクロミキサーは、内部又は表面に通路が形成された基板からなり、マイクロチャンネルと称される場合がある。
前記基板型のマイクロミキサーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、国際公開第96/30113号パンフレットに記載される混合のための微細な流路を有するミキサー;文献「“マイクロリアクターズ”三章、W.Ehrfeld、V.Hessel、H.Lowe著、Wiley-VCH社刊」に記載されるミキサーなどが挙げられる。
【0026】
前記基板型のマイクロミキサーは、前記混合手段及び前記流通路が、複数の液体を混合可能な微小な流路により構成されている。
【0027】
前記基板型のマイクロミキサーには、前記流路以外に、前記流路に連通し、前記流路に複数の液体を導入する導入路が形成されていることが好ましい。即ち、前記導入路の数に応じて、前記流路の上流側が分岐した構成が好ましい。
【0028】
前記導入路の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、混合を所望する複数の液体を別々の導入路から導入し、流路で合流させて混合することが好ましい。なお、1つの液体を予め流路に仕込んでおき、それ以外の液体を導入路により導入する構成としてもよい。
【0029】
--別体型のフローマイクロリアクター--
前記別体型のフローマイクロリアクターは、混合手段と、流通路とが接続してなる。
【0030】
前記混合手段としては、2種以上の液体を混合可能な限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、管継手型のマイクロミキサーなどが挙げられる。
【0031】
前記管継手型のマイクロミキサーは、内部に形成された流路を備え、必要に応じて前記内部に形成された流路と、前記流通路とを接続する接続部材を備える。前記接続部材における接続方式としては、特に制限はなく、公知の接続方式の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ねじ込み式、ユニオン式、突合わせ溶接式、差込み溶接式、ソケット溶接式、フランジ式、食込み式、フレア式、メカニカル式などが挙げられる。
【0032】
前記管継手型のマイクロミキサーの内部には、前記流路以外に、前記流路に連通し、前記流路に複数の液体を導入する導入路が形成されていることが好ましい。即ち、前記導入路の数に応じて、前記流路の上流側が分岐された構成が好ましい。前記導入路の数が2つである場合には、前記管継手型のマイクロミキサーとして、例えば、T字型やY字型を用いることができ、前記導入路の数が3つである場合には、例えば、十字型を用いることができる。なお、1つの液体を予め流路に仕込んでおき、それ以外の液体を導入路により導入する構成としてもよい。
【0033】
前記管継手型のマイクロミキサーの材質としては、特に制限はなく、耐熱性、耐圧性、耐溶剤性、及び加工容易性などの要求に応じて、適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、及びテフロン(登録商標)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)などのフッ素樹脂、TFAA(トリフルオロアセトアミド)などが挙げられる。
【0034】
前記管継手型のマイクロミキサーとしては、市販品を利用することができ、例えば、アズビル株式会社製YM-1型ミキサー、YM-2型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティー及びティー(T字コネクタ);東レエンジニアリング開発品マイクロ・ハイ・ミキサー;スウェージロック社製ユニオンティー、株式会社三幸精機工業製T字型マイクロミキサーなどが挙げられる。
【0035】
前記混合手段内での2以上の原料物質の混合方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層流による混合、乱流による混合などが挙げられる。中でも、より効率的に反応制御や除熱を行える点で、層流による混合(静的混合)が好ましい。
【0036】
なお、前記混合手段内の流路は微小であるため、混合手段に導入された複数の液体同士はおのずと層流支配の流れとなりやすく、流れに直交する方向に拡散して混合される。層流による混合において、さらに、流路内に分岐点及び合流点を設けることで、流れる液体の層流断面を分割するような構成とし、混合速度を高める構成としてもよい。
また、前記混合手段の流路において、乱流による混合(動的混合)を行う場合には、流量や流路の形状(接液部分の3次元形状や流路の屈曲などの形状、壁面の粗さ、など)を調整することによって、層流から乱流へと変化させることができる。前記乱流による混合は、前記層流による混合と比べて、混合効率がよく混合速度が速いという利点を有する。
【0037】
ここで、前記混合手段内の前記流路の内径が小さい方が、分子の拡散距離を短くできるので、混合に要する時間を短縮させて混合効率を向上させることができる。さらに、前記流路の内径が小さい方が、体積に対する表面積の比が大きくなり、例えば、反応熱の除熱などの、液体の温度制御を容易に行うことができる。
一方で、前記流路の内径が小さ過ぎると、液体を流す時の圧力損失が増加するとともに、送液に使用するポンプとして特別な高耐圧のものが必要となるため、製造コストが高くなることがある。また、送液流量が制限されることにより、前記マイクロミキサーの構造も制限されることがある。
【0038】
前記混合手段内の前記流路の平均内径(マイクロミキサーの平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、より迅速に混合でき、より効率的に反応熱を除熱でき、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましい。
【0039】
前記混合手段内の前記流路の平均内径(前記マイクロミキサーの平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0040】
前記平均内径が50μm未満であると、圧力損失が増大することがある。前記平均内径が4mmを超えると、単位体積当たりの表面積が小さくなり、その結果、迅速な混合や反応熱の除熱が困難になることがある。
【0041】
前記流路の断面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100μm~16mmが好ましく、1,000μm~4.0mmがより好ましく、10,000μm~2.1mmが更に好ましく、190,000μm~1mmが特に好ましい。
【0042】
前記流路の断面形状としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、矩形、半円形、三角形などが挙げられる。
【0043】
前記流通路は、少なくとも1つの前記混合手段と接続され、液体を流通可能な管であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その内径、外径、長さ、材質などの構成は、所望する反応に応じて適宜選択することができる。
【0044】
前記流通路は、例えば、原料物質を混合手段に供給する際に使用される。
また、前記流通路は、例えば、前記混合手段によって混合された2種以上の物質の反応生成物を、次の混合手段に供給する際に使用される。なお、この際、前記流通路内では反応が継続して起きていてもよい。
【0045】
前記流通路としては、市販品を利用することができ、例えば、ジーエルサイエンス株式会社製のステンレスチューブ(外径1/16インチ(1.58mm)、内径250μm、500μm及び1,000μmから選択可能、チューブ長さは使用者により調整可能)などが挙げられる。
【0046】
前記流通路の材質としては、特に制限はなく、前記混合手段の材質として例示したものを、好適に利用することができる。
【0047】
前記混合手段の上流に連結される前記流通路の平均内径(チューブ予冷ユニット:クーリングラインの平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましく、500μmがよりさらに好ましく、1000μm以上が特に好ましい。
【0048】
前記混合手段の上流に連結される前記流通路の平均内径(チューブ予冷ユニット:クーリングラインの平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0049】
前記混合手段の下流に連結される前記流通路の平均内径(マイクロチューブリアクターの平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましい。
【0050】
前記混合手段の下流に連結される前記流通路の平均内径(マイクロチューブリアクターの平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0051】
原材料(t-ブチル-p-ブロモベンゾエート)を供給する前記流通路(前記混合手段の上流に連結される前記流通路)における液の流量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、1mL/分以上が好ましく、2.5mL/分以上がより好ましく、5mL/分以上がさらに好ましく、6mL/分以上が特に好ましい。
【0052】
原材料(t-ブチル-p-ブロモベンゾエート)を供給する前記流通路(前記混合手段の上流に連結される前記流通路)における液の流量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100mL/分以下が好ましい。
【0053】
原材料(BuLi)を供給する前記流通路(前記混合手段の上流に連結される前記流通路)における液の流量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、0.2mL/分以上が好ましく、0.5mL/分以上がより好ましく、1mL/分以上がさらに好ましく、1.5mL/分以上がよりさらに好ましく、2.5mL/分以上が特に好ましい。
【0054】
原材料(BuLi)を供給する前記流通路(前記混合手段の上流に連結される前記流通路)における液の流量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25mL/分以下が好ましい。
【0055】
反応液が流通する流通路における前記反応液の滞留時間の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、転化率を高くする点から、0.001秒以上が好ましく、0.01秒以上がより好ましい。
【0056】
反応液が流通する流通路における前記反応液の滞留時間の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制し、効率よく、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートからボロン酸化合物を製造する点から、10秒以下が好ましく、さらに次の順で、5秒以下、2秒以下、1.5秒以下、1秒以下、0.5秒以下、0.2秒以下、0.1秒以下、0.05秒以下、0.02秒以下、がより好ましい。
【0057】
前記滞留時間は、前記マイクロチューブリアクターの長さと平均内径を調節することにより、上記範囲とすることができる。
【0058】
前記混合手段の上流に連結される前記流通路の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40cm以上が好ましく、60cm以上がより好ましく、80cm以上がさらに好ましく、100cm以上が特に好ましい。
【0059】
前記混合手段の上流に連結される前記流通路の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、280cm以下がより好ましく、250cm以下がさらに好ましく、230cm以下が特に好ましい。
【0060】
前記混合手段の下流に連結される前記流通路の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、15cm以上がさらに好ましく、20cm以上がよりさらに好ましく、50cm以上が特に好ましい。
【0061】
前記混合手段の下流に連結される前記流通路の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、280cm以下がより好ましく、250cm以下がさらに好ましく、230cm以下が特に好ましい。
【0062】
--その他の手段--
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、送液手段、温度調節手段などが挙げられる。
【0063】
前記送液手段としては、各種原料物質を、前記フローマイクロリアクターの前記流通路に供給できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプなどが挙げられる。
【0064】
前記ポンプとしては、特に制限はなく、工業的に使用されうるものから適宜選択することができるが、送液時に脈動を生じないものが好ましく、例えば、プランジャーポンプ、ギアーポンプ、ロータリーポンプ、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。
【0065】
前記温度調節手段としては、前記フローマイクロリアクターの前記混合手段、及び前記流路の温度を調節できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0066】
前記工程1の反応温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、冷却負荷を軽減する点から、-40℃以上が好ましく、-30℃以上がより好ましく、-20℃以上がさらに好ましく、-10℃以上が特に好ましい。
【0067】
前記工程1の反応温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、5℃以下が特に好ましい。
【0068】
前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートに対する、前記BuLiの量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、転化率を高くする点から、0.9モル当量以上が好ましく、1.0モル当量以上がより好ましく、1.1モル当量以上がさらに好ましい。
【0069】
前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートに対する、前記BuLiの量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、試薬を節減する点から、2.5モル当量以下が好ましく、2.0モル当量以下がより好ましく、1.5モル当量以下がさらに好ましい。
【0070】
<工程2>
前記工程2は、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程である。
【0071】
-工程1で得られた化合物-
前記工程1で得られた化合物とは、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、前記BuLiと、を第1のマイクロミキサーで混合して得られた化合物である。
前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、前記BuLiと、を第1のマイクロミキサーで混合して得られた化合物としては、4-(t-ブトキシカルボニル)フェニルリチウムなどが挙げられる。
【0072】
-ボロン酸エステル化合物-
前記ボロン酸エステル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、イソプロポキシボロン酸ピナコールエステル、又はホウ酸トリイソプロピルが好ましい。
【0073】
-第2のマイクロミキサー-
前記第2のマイクロミキサーは、前述の第1のマイクロミキサーに記載したとおりである。
【0074】
前記工程2の反応温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、冷却負荷を軽減する点から、-40℃以上が好ましく、-30℃以上がより好ましく、-20℃以上がさらに好ましく、-10℃以上が特に好ましい。
【0075】
前記工程2の反応温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、5℃以下が特に好ましい。
【0076】
前記工程1で得られた化合物に対する、前記ボロン酸エステル化合物の量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、転化率を高くする点から、1.0モル当量以上が好ましく、1.1モル当量以上がより好ましく、1.2モル当量以上がさらに好ましい。
【0077】
前記工程1で得られた化合物に対する、前記ボロン酸エステル化合物の量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、試薬を節減する点から、2.5モル当量以下が好ましく、2.0モル当量以下がより好ましく、1.5モル当量以下がさらに好ましい。
【0078】
前記ボロン酸化合物の製造方法における、ボロン酸化合物の収率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、50%以上がよりさらに好ましく、60%以上が特に好ましく、70%以上が最も好ましい。
前記収率は、以下のとおり、HPLC分析により決定する。
【0079】
(HPLC分析)
YMC TA12S05-2546WTカラムを搭載したSHIMAZU LC-10Aを使用し、移動相としてアセトニトリル/水=9/1(v/v)を1.0mL/分で送液して実施し、化合物はUV(検出波長220nm)によって検出する。
収率については、内部標準溶液を分析して作成した検量線を用いて定量後、下記の式1(バッチ反応器の場合)又は式2(フロー反応器の場合)で算出する。
【数1】
【数2】
【0080】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記工程2の後のクエンチ工程などが挙げられる。
【0081】
-前記工程2の後のクエンチ工程-
前記前記工程2の後のクエンチ工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、又は塩酸を添加する方法などが挙げられる。
【0082】
(ボロン酸化合物)
前記ボロン酸化合物は、上述のボロン酸化合物の製造方法により製造される。
【0083】
ここで、前記ボロン酸化合物の製造方法に好適に使用されるフローマイクロリアクター及びそれを用いたボロン酸化合物の製造方法の一例を図を用いて説明する。
【0084】
図1は、フローマイクロリアクターの一例を示す模式図である。
図1に示すフローマイクロリアクターは、2つの混合手段と、5つの流通路とを備える。
流通路P1は、混合手段M1に接続されている。
流通路P2は、混合手段M1に接続されている。
流通路P3は、混合手段M2に接続されている。
流通路R1は、混合手段M1、及び混合手段M2に接続されている。流通路R1は、反応部でもある。
流通路R2は、混合手段M2に接続されている。流通路R2は、反応部でもある。
【0085】
流通路P1から混合手段M1に、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートが供給される。流通路P2から混合手段M1に、BuLiが供給される。そうすると、混合手段M1において、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、前記BuLiとが混合され、得られた液中では、t-ブチル-p-ブロモベンゾエートがリチオ化され、4-(t-ブトキシカルボニル)フェニルリチウムを生成する。
流通路R1を流れる、前記4-(t-ブトキシカルボニル)フェニルリチウムを含有する液は、混合手段M2に導入される。混合手段M2において、前記液は、流通路P3から供給されたボロン酸エステル化合物と混合され、クエンチ後に、ボロン酸化合物を生成する。
【実施例0086】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0087】
<ボロン酸化合物の製造>
(比較例1:バッチ反応器における反応)
【化1】
真空乾燥した丸底フラスコに、t-ブチル-p-ブロモベンゾエート溶液(0.10M又は0.38M、THF溶液、3.0mL Combi-Blocks社)を加え、T℃で撹拌し、n-ブチルリチウム溶液(0.42M又は1.6M、ヘキサン溶液、1mL、1.1当量 関東化学株式会社)を滴下して加えた。
10分後、得られた混合物に、ホウ酸トリイソプロピル溶液(0.48M又は1.82M、THF溶液、0.75mL、1.2当量 東京化成工業株式会社)を加え、T℃で10分間撹拌した。
メタノール(6mL 富士フィルム和光純薬株式会社)により反応をクエンチした。反応混合物を、内部標準を使用したHPLCにより分析して、生成物の収率を決定した。結果を表1に示した。
【0088】
-HPLC分析-
YMC TA12S05-2546WTカラムを搭載したSHIMAZU LC-10Aを使用し、移動相としてアセトニトリル/水=9/1(v/v)を1.0mL/分で送液して実施し、化合物はUV(検出波長220nm)によって検出した。
収率については、内部標準としてヘプタノフェノンを含む4-(t-ブトキシカルボニル)フェニルボロン酸の標準溶液(3検体:4-(t-ブトキシカルボニル)フェニルボロン酸を約5mg、約20mg、約40mgを別々に測り取り、各々にヘプタノフェノン約20mgを加えた後メタノールに溶解)を分析して作成した検量線を用いて、4-(t-ブトキシカルボニル)フェニルボロン酸を定量後、下記の式3で算出した。
【数3】
【0089】
【表1】
【0090】
表1の結果より、バッチ反応器における反応では、ボロン酸化合物を得るためには、-70℃以下の極低温で反応させることが必要であり、さらに、-70℃以下の極低温化でも低収率でしかボロン酸化合物が得られないことが分かった。
【0091】
(実施例1:フロー反応器における反応:温度の検討)
図2に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2 株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1及びR2 GL Sciences社))、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1(内径φ=1000μm、長さL=100cm)、P2(φ=1000μm、L=100cm)及びP3(φ=1000μm、L=100cm) GL Sciences社))からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0092】
前記フローマイクロリアクターシステムをT℃の冷却槽に置き、t-ブチル-p-ブロモベンゾエート溶液(0.38M、THF溶液、流速:6.0mL/分 Combi-Blocks社)及びn-ブチルリチウム溶液(1.6M、ヘキサン溶液、流速:1.5mL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、M1(250μm)に導入した。
【0093】
得られた溶液をR1(φ=1000μm、L=5.0cm、tR1=0.31秒)に通し、M2(250μm)において、ホウ酸トリイソプロピル溶液(1.82M、THF溶液、流速:1.5mL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(φ=1000μm、L=100cm、tR2=5.2秒)に通した。
【0094】
定常状態に達した後、R2から排出される生成物溶液を30秒間収集し、メタノール(6mL 富士フィルム和光純薬株式会社)でクエンチした。収率を下記の式4で算出した以外は、比較例1と同様にして、反応混合物を、内部標準を使用したHPLCにより分析して、生成物の収率を決定した。結果を表2に示した。
【数4】
【0095】
【表2】
【0096】
表2の結果より、フロー反応器における高濃度(t-ブチル-p-ブロモベンゾエート溶液の濃度が0.3M以上、ブチルリチウム溶液の濃度が0.4M以上)反応では、反応温度-40℃から-60℃において高収率でボロン酸化合物が得られることが分かった。
【0097】
(実施例2:フロー反応器における反応:滞留時間の検討)
図3に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2 株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1及びR2 GL Sciences社))、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1(内径φ=1000μm、長さL=100cm)、P2(φ=1000μm、L=100cm)及びP3(φ=1000μm、L=100cm) GL Sciences社))からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0098】
前記フローマイクロリアクターシステムをT℃の冷却槽に置き、t-ブチル-p-ブロモベンゾエート溶液(0.38M、THF溶液、流速:6.0mL/分 Combi-Blocks社)及びn-ブチルリチウム溶液(1.6M、ヘキサン溶液、流速:1.5mL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、M1(250μm)に導入した。
【0099】
得られた溶液をR1(φμm、Lcm、tR1秒)に通し、M2(250μm)において、ホウ酸トリイソプロピル溶液(1.82M、THF溶液、流速:1.5mL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(φ=1000μm、L=100cm、tR2=5.2秒)に通した。
【0100】
定常状態に達した後、R2から排出される生成物溶液を30秒間収集し、メタノール(6mL 富士フィルム和光純薬株式会社)でクエンチした。実施例1と同様にして、反応混合物を、内部標準を使用したHPLCにより分析して、生成物の収率を決定した。結果を表3に示した。
【0101】
【表3】
【0102】
表3の結果より、フロー反応器における高濃度(t-ブチル-p-ブロモベンゾエート溶液の濃度が0.3M以上、ブチルリチウム溶液の濃度が0.4M以上)反応では、マイクロチューブリアクター(R1)における滞留時間を短くすることにより、-20℃以上においても、ボロン酸化合物の収率向上が可能であることが分かった。
【0103】
(実施例3:フロー反応器における反応:sec-BuLiを用いた検討)
図4に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2 株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1及びR2 GL Sciences社))、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1(内径φ=1000μm、長さL=100cm)、P2(φ=1000μm、L=100cm)及びP3(φ=1000μm、L=100cm) GL Sciences社))からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0104】
前記フローマイクロリアクターシステムを-20℃の冷却槽に置き、t-ブチル-p-ブロモベンゾエート溶液(CM、THF溶液、流速:6.0mL/分 Combi-Blocks社)及びsec-ブチルリチウム溶液(CM、ヘキサン溶液、流速:VmL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、M1(250μm)に導入した。
【0105】
得られた溶液をR1(φ=1000μm、L=3.5cm、tR1=0.012-0.014秒)に通し、M2(250μm)において、ホウ酸トリイソプロピル溶液(CM、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(φ=1000μm、L=100cm、tR2=4.4-5.2秒)に通した。
【0106】
定常状態に達した後、R2から排出される生成物溶液を30秒間収集し、メタノール(6mL 富士フィルム和光純薬株式会社)でクエンチした。実施例1と同様にして、反応混合物を、内部標準を使用したHPLCにより分析して、生成物の収率を決定した。結果を表4に示した。
【0107】
【表4】
【0108】
表4の結果より、フロー反応器における反応では、sec-ブチルリチウムを用いることにより、-20℃において、より高収率でボロン酸化合物が得られることが分かった。
【0109】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 0.3M以上のt-ブチル-p-ブロモベンゾエートと、0.4M以上のBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、を含むことを特徴とするボロン酸化合物の製造方法である。
<2> 前記工程1が-20℃以上で行われる、前記<1>に記載のボロン酸化合物の製造方法である。
<3> 前記工程2が-20℃以上で行われる、前記<1>又は<2>に記載のボロン酸化合物の製造方法である。
<4> 前記工程1において、前記t-ブチル-p-ブロモベンゾエートの導入速度が、6mL/分以上である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法である。
<5> 前記BuLiが、sec-BuLiである、前記<1>から<4>のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法である。
<6> 前記第1のマイクロミキサーの平均内径が250μm以上である、前記<1>から<5>のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法である。
<7> 前記第2のマイクロミキサーの平均内径が250μm以上である、前記<1>から<6>のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法である。
<8> 前記ボロン酸化合物の収率が20%以上である、前記<1>から<7>のいずれかに記載のボロン酸化合物の製造方法である。
図1
図2
図3
図4