(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027183
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】ペット用吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/532 20060101AFI20250219BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20250219BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20250219BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/535 200
A61F13/51
A61F13/494 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131768
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】本城 良太
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200DA02
3B200DB05
(57)【要約】
【課題】尿が外部に漏れることを抑制する。
【解決手段】ペットの腹側を覆う腹側領域とペットの背側を覆う背側領域とが第1の方向に連接し、前記腹側領域の少なくとも一部と前記背側領域の少なくとも一部とに跨って吸収体が配置されたペット用吸収性物品であって、前記吸収体の腹側端部と、前記ペット用吸収性物品の腹側端部との距離は、15mm~35mmであり、前記吸収体は、腹側端部が、前記吸収体の腹側端部よりも、前記ペット用吸収性物品の背側端部側に5mm~15mmの範囲内に位置し、前記ペット用吸収性物品の背側に向かって延びるスリットを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの腹側を覆う腹側領域とペットの背側を覆う背側領域とが第1の方向に連接し、前記腹側領域の少なくとも一部と前記背側領域の少なくとも一部とに跨って吸収体が配置されたペット用吸収性物品であって、
前記吸収体の腹側端部と、前記ペット用吸収性物品の腹側端部との距離は、15mm~35mmであり、
前記吸収体は、腹側端部が、前記吸収体の腹側端部よりも、前記ペット用吸収性物品の背側端部側に5mm~15mmの範囲内に位置し、前記ペット用吸収性物品の背側に向かって延びるスリットを有する、ペット用吸収性物品。
【請求項2】
前記スリットは、前記背側領域側が2つに分岐したY字型である、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項3】
前記腹側領域は、前記第1の方向に直交する第2の方向に前記ペット用吸収性物品の腹側端部に沿って延在するウエストシートを有し、
前記ウエストシートは、前記吸収体と重なる第1領域と、前記吸収体と重ならない第2領域とを有し、前記第2領域は前記第2の方向に伸縮し、前記第1領域は前記第2の方向に伸縮しない、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項4】
前記ウエストシートの腹側端部と、前記ペット用吸収性物品の腹側端部との距離は、0mm~5mmである、請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体の前記第1の方向における両側部に沿って延び、肌面に向かって立ち上がる一対の立体ギャザーを有し、
前記立体ギャザーの腹側の立ち上がり端部は、前記吸収体の腹側端部よりも、前記ペット用吸収性物品の腹側端部側に5mmの領域から前記ペット用吸収性物品の背側端部側に5mmの領域までの範囲内に位置している、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項6】
前記立体ギャザーの背側の立ち上がり端部は、前記ペット用吸収性物品の背側端部よりも、前記ペット用吸収性物品の腹側端部側に120mm~200mmの範囲内に位置している、請求項5に記載のペット用吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、犬や猫等のペット用の使い捨ておむつ等の吸収性物品が提案されている。ペット用の吸収性物品は、多くの場合、人間用のおむつを基本として、ペットの体型に合わせて検討がなされている。具体的には、雄犬では、排尿口が胴体の中央部に位置するところ、ペット用の吸収性物品において、雄犬が吸収性物品を着用した際に排尿口を覆い、尿が外部に漏れ出ることを抑制するための工夫がされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、おむつが着用される雄ペットの背中付近に当接される背当部と、該雄ペットの股付近に当接される股当部と、該雄ペットの腹付近に当接される腹当部とを有し、腹当部には尿吸収体を備えるおむつ本体を備える雄ペット用おむつが開示されている。腹当部には、着用時に雄ペットの腰部分に対応する位置に、おむつ本体の両側縁側から外方に延伸するようにして固定テープが設けられ、該固定テープより反股当部方向に延伸し、着用されたときに吸収体が雄ペットの尿道口及びその近傍を覆う位置及び大きさに設定された尿捕捉領域を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来のペット用の吸収性物品では、おむつ本体の両側縁側から外方に延伸するように設けられた固定テープによって、雄ペットの胴回りの最も短い部分である腰部分で固定されることになる。そのため、吸収体が雄ペットの排尿口に押し付けられることで、吸収体が雄ペットの排尿口に密着したり、排尿口が吸収体によって腹側に押し上げられたりする場合があり、吸収体で尿を十分に捕捉できず漏れが生じる虞がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、尿が外部に漏れることを抑制することができるペット用吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の第1の形態は、
ペットの腹側を覆う腹側領域とペットの背側を覆う背側領域とが第1の方向に連接し、前記腹側領域の少なくとも一部と前記背側領域の少なくとも一部とに跨って吸収体が配置されたペット用吸収性物品であって、
前記吸収体の腹側端部と、前記ペット用吸収性物品の腹側端部との距離は、15mm~35mmであり、
前記吸収体は、腹側端部が、前記吸収体の腹側端部よりも、前記ペット用吸収性物品の背側端部側に5mm~15mmの範囲内に位置し、前記ペット用吸収性物品の背側に向かって延びるスリットを有する。
【0008】
上記第1の形態によれば、ペット用吸収性物品を雄ペットが着用した場合、雄ペットの排尿口に吸収体が対向していることとなり、さらに、雄ペットが排尿した場合、吸収体に付着した尿がスリットによって吸収体の中央部分に導かれることになり、尿が外部に漏れることが抑制される。
【0009】
本発明の第2の形態は、前記スリットは、前記背側領域側が2つに分岐したY字型である。
【0010】
上記第2の形態によれば、スリットによって尿捕捉空間が形成されやすくなり、尿が外部に漏れることがさらに抑制される。
【0011】
本発明の第3の形態は、前記腹側領域は、前記第1の方向に直交する第2の方向に前記ペット用吸収性物品の腹側端部に沿って延在するウエストシートを有し、
前記ウエストシートは、前記吸収体と重なる第1領域と、前記吸収体と重ならない第2領域とを有し、前記第2領域は前記第2の方向に伸縮し、前記第1領域は前記第2の方向に伸縮しない。
【0012】
上記第3の形態によれば、雄ペットがペット用吸収性物品を着用した際、ウエストシートの第2領域は、第2の方向に伸縮するため、吸収体の第2の方向における両端部が内側に収縮し、雄ペットの腹部に密着する。一方、吸収体と重なる第1領域は、吸収体上で第2の方向に伸縮しないため、第1領域に位置する吸収体は、雄ペットの腹部に対して密着せずゆとりのある状態となる。これにより、吸収体が雄ペットの排尿口の前方及び周囲を離隔して囲む尿捕捉空間が形成される。よって、吸収体で尿を十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることがさらに抑制される。また、排尿口と吸収体が離隔しているため、吸収体に吸収された尿が、排尿口に接触し付着することが抑制される。
【0013】
本発明の第4の形態は、前記ウエストシートの腹側端部と、前記ペット用吸収性物品の腹側端部との距離は、0mm~5mmである。
【0014】
上記第4の形態によれば、ペット用吸収性物品の腹側から尿が外部に漏れてしまうことが抑制される。
【0015】
本発明の第5の形態は、前記吸収体の前記第1の方向における両側部に沿って延び、肌面に向かって立ち上がる一対の立体ギャザーを有し、
前記立体ギャザーの腹側の立ち上がり端部は、前記吸収体の腹側端部よりも、前記ペット用吸収性物品の腹側端部側に5mmの領域から前記ペット用吸収性物品の背側端部側に5mmの領域までの範囲内に位置している。
【0016】
上記第5の形態によれば、雄ペットがペット用吸収性物品を着用した際、吸収体の腹側の端部から非肌面側に突出して変形した突出部が形成され、尿捕捉空間がより前方に形成されるとともに、吸収体が腹側の端部から尿の捕捉に有効に利用される。これにより、尿が外部に漏れることがさらに抑制される。
【0017】
本発明の第6の形態は、前記立体ギャザーの背側の立ち上がり端部は、前記ペット用吸収性物品の背側端部よりも、前記ペット用吸収性物品の腹側端部側に120mm~200mmの範囲内に位置している。
【0018】
上記第6の形態によれば、雌ペットがペット用吸収性物品を着用した際、雌ペットの腹側から排尿口の両側部まで、立体ギャザーが肌面側に立ち上がる。これにより、雌ペットがペット用吸収性物品を着用した場合においても、尿が外部に漏れることが抑制される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明のペット用吸収性物品に係る一実施形態を肌面側から見た図である。
【
図2】
図1における接着剤層の配置を示す図である。
【
図4】
図2に示したII-II断面を示す図である。
【
図5】
図1に示したスリットの一構成例を示す図である。
【
図6】一実施形態による吸収性物品の斜視図である。
【
図7】一実施形態による吸収性物品のペットへの着用状態を示す概略図である。
【
図8】スリットによる作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一のまたは対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。本明細書において、ペット用おむつ1の前後方向をD1、前後方向と直交する、ペット用おむつ1の幅方向をD2とする。本明細書では、前後方向D1は、吸収体4の前後方向、また、幅方向D2は、吸収体4の幅方向を示すものとしても用いる。なお、前後方向とは、ペットの前後方向に対応する。本明細書において、ペット用おむつ1及び吸収体4の前後方向の前側を腹側または前方とし、前後方向の後ろ側を背側または後方とする。また、ペット用おむつ1のペットと対向する面を肌面、ペット用おむつ1の肌面と反対側の面を非肌面とする。
【0022】
図1は、本発明のペット用吸収性物品に係る一実施形態を肌面側から見た図であり、展開した状態における平面図である。
図2は、
図1における接着剤層の配置を示す図である。
図3は、
図1に示したI-I断面を示す図であり、
図4は、
図2に示したII-II断面を示す図である。
図5は、
図1に示したスリット30の一構成例を示す図である。
【0023】
本実施形態は
図1に示すように、腹側領域Fと、背側領域Bとを有し、これら腹側領域Fと背側領域Bとが第1の方向となる前後方向D1に連接して構成されたペット用おむつ1である。腹側領域Fは、着用時にペットの腹側を覆う領域であり、背側領域Bは、着用時にペットの背側を覆う領域である。腹側領域Fの後端は、例えば、ペット用おむつ1の前端から150mm~250mm後方に位置することができる。即ち、背側領域Bの前端は、例えば、ペット用おむつ1の後端から75mm~300mm前方に位置することができる。
【0024】
図1~
図3に示すように、ペット用おむつ1は、透液性のトップシート2と、遮水性の防水シート3と、トップシート2と防水シート3との間に設けられた吸収体4と、第2の方向となる幅方向D2の両側部において前後方向D1全体に亘って設けられ、肌面側に立ち上がる立体ギャザー7と、ペット用おむつ1の腹側端部に沿って幅方向D2に延在する帯状のウエストシート9とを有する。
【0025】
吸収体4は、腹側領域Fの一部と背側領域Bの一部とに跨って配置されることで、腹側領域Fと背側領域Bに含まれるように設けられている。吸収体4は、形状維持等のために、クレープ紙または不織布等からなる包装シート5によって包まれていてもよい。ペット用おむつ1は、防水シート3の非肌面側にバックシート6を設けていてもよい。ペット用おむつ1は、両側部において、防水シート3、バックシート6及びギャザーシート71で構成されたサイドフラップSFを有している。また、ペット用おむつ1は、バックシート6、防水シート3及びトップシート2が前後方向それぞれに延出して構成された、吸収体4の存在しないエンドフラップEFと、腹側領域Fの幅方向D2の両側部にそれぞれ設けられた連結テープ8を有していてよい。ペット用おむつ1をペットに着用させる場合、ペット用おむつ1の腹側領域F及び背側領域Bをそれぞれペットの身体に沿って当てた後、連結テープ8を背側に持ち込み、バックシート6の外面側に設けられたフロントターゲットテープ11に係合させることができる。
【0026】
ペット用おむつ1は、全体としては、前後方向D1に所定の長さを有し、前後方向と直交する幅方向D2に所定の幅を有する細長い形状(細長形状)を有している。ペット用おむつ1の前後方向D1の長さは、300mm~600mmであることが好ましく、340mm~540mmであることがより好ましい。当該前後方向D1の長さの中心における、ペット用おむつ1の幅方向D2の長さは、160mm~400mmであることが好ましく、170mm~340mmであることがより好ましい。なお、ここで言う「長さ」とは、ペット用おむつ1が展開されて最も伸張した状態の長さを意味する。ペット用おむつ1の前後方向D1の長さが、300mm~600mmであり、当該前後方向D1の長さの中心における、ペット用おむつ1の幅方向D2の長さが、160mm~400mmであることにより、ペットが着用した際、脚周り及び胴回りにフィットさせることができる。
【0027】
ペット用おむつ1の背側領域Bには、尻尾を通す尻尾通し孔を形成するための切り込み部15が設けられている。切り込み部15は、ペット用おむつ1の厚み方向に貫通する切断線であってもよく、ペット用おむつ1の厚み方向に間欠的に貫通するミシン目線であってもよい。切り込み部15は、U字状に設けられていてもよい。
【0028】
トップシート2は、尿等の排泄液を速やかに透過させる透液性のシートである。トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布の構成繊維としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とすることが好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった親水性繊維を含む)であってもよく、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。
【0029】
また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一または類似の不織布層が積層されたSSS(スパンボンド+スパンボンド+スパンボンド)不織布等の他、異なる不織布層が積層された、スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS(スパンボンド+メルトブローン+スパンボンド)不織布、SMMS(スパンボンド+メルトブローン+メルトブローン+スパンボンド)不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。積層不織布は、すべての層を含む一体の不織布として製造され、すべての層にわたる繊維結合加工がなされたものであることが好ましい。これにより、肌触りを向上させることができるため、ペットの肌に接触した場合、肌に刺激を与えることを防止することができる。なお、積層不織布は、別々に製造された複数の不織布をホットメルト接着剤等の接合手段により貼り合わせたものでもよい。
【0030】
トップシート2は、ペット用おむつ1の前後方向D1の一端から他端まで延び、幅方向D2において吸収体4よりも側方に延び、防水シート3と接合されている。他の実施形態として、例えば、後述する立体ギャザー7の起点が吸収体4の側縁よりも幅方向D2中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート2の幅方向D2の長さを吸収体4の幅方向D2の長さより短くする等、適宜の変形が可能である。
【0031】
防水シート3は、排泄液を透過させない遮水性のシートである。防水シート3としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを好適に用いることができる。また、防水シート3としては、不織布を基材として防水性を高めたものを用いてもよい。防水シート3は、前後方向D1及び幅方向D2において吸収体4と同じか、または吸収体4より広範囲に亘り延在していることが望ましい。
【0032】
吸収体4は、排泄液を吸収し、保持する部分であり、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維、針葉樹または広葉樹を用いた天然繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtexであることが好ましく、1~10dtexであることがより好ましく、1~5dtexであることがさらに好ましい。吸収体4には、その一部または全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、粒子以外に粉体も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用できる。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、例えば、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系の材料等を用いることができる。また、吸収体4の平面視形状は、前後方向D1の中央部分が括れた形状であってよい。換言すると、吸収体4は、幅方向D2の長さが、前後方向D1の中央に向かって徐々に小さくなっていてもよい。
【0033】
吸収体4には、ペット用おむつ1の腹側領域Fにスリット30が形成されている。スリット30の詳細は後述する。
【0034】
バックシート6は、防水シート3の非肌面側全体を覆い、ペット用おむつ1の外面を布のような外観とするものである。バックシート6としては、不織布が用いられる。不織布の構成繊維としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布としては、具体的には、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一または類似の不織布層が積層されたSSS(スパンボンド+スパンボンド+スパンボンド)不織布等を用いることができる。バックシート6の繊維目付けは、10~50g/m2であることが好ましく、15~30g/m2であることがより好ましい。
【0035】
立体ギャザー7は、トップシート2上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、横漏れを防止する機能を有する。立体ギャザー7は、前後方向D1の両端部がトップシート2に固定されている。具体的には、
図2及び
図4に示すように、立体ギャザー7の前後方向D1の両端部とトップシート2との間に接着剤層14aが設けられている。また、立体ギャザー7は、幅方向D2外側が、前後方向D1の全長に亘ってトップシート2に固定されている。具体的には、
図2~
図4に示すように、立体ギャザー7の幅方向D2外側とトップシート2との間に、前後方向D1の全長に亘って接着剤層14bが設けられている。
【0036】
接着剤層14a,14bを構成する接着剤としては、ホットメルト接着剤が挙げられる。本実施形態では、固定手段として、接着剤層14a,14bを用いているが、これに限らず、融着、圧着等、任意の固定手段を用いることができる。
【0037】
立体ギャザー7は、
図3に示すように、ギャザーシート71と、ギャザー弾性部材13とを含み、吸収体4の側縁近傍に接着剤層14bにより固定された起立端を有する。ギャザーシート71の先端が、ペット用おむつ1の前後方向D1に沿って二重に折り返され、この折り返し部の内方に2本のギャザー弾性部材13が配置されている。立体ギャザー7は、2本のギャザー弾性部材13の収縮力を利用して起立することができる。立体ギャザー7が起立することにより、立体ギャザー7をペットの身体表面に密着させることができる。なお、図示の例では、ギャザー弾性部材13の数は2本であるが、1本であってもよい。一方で、
図4に示すように、立体ギャザー7の前後方向D1の両端部は、接着剤層14aにより固定されているため起立しない。
【0038】
ギャザー弾性部材13としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。
【0039】
ギャザーシート71としては、スパンボンド法、エアスルー法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法により得られた不織布を用いることができる。特にサイドフラップ部SFを構成するギャザーシート71は、ごわつき感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。ギャザーシート71を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができる。
【0040】
サイドフラップSFにおいては、ペット用おむつ1の前後方向D1に複数本、図示の例では2本の脚周り弾性部材12が配設され、平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーは、着用した際に、ペット用おむつ1を脚周りにて沿って保持してフィット性を向上させ、ペット用おむつ1がずれることを防止する。脚周り弾性部材12としては、ギャザー弾性部材13と同様の素材を用いることができる。
図2に示すように、脚周り弾性部材12は、前後方向D1において、少なくとも、立体ギャザー7の腹側の固定始端E5と、立体ギャザー7の背側の固定始端E6との間に配設されていることが好ましい。これにより、平面ギャザーが、ペット用おむつ1の前後方向D1において、立体ギャザー7を含む位置に形成されるため、立体ギャザー7の弾性伸縮力を高め、尿捕捉空間を形成しやすくすることができる。また、ペット用おむつ1を脚周りにて沿って保持してフィット性をより向上させることができるため、背側領域Bに尿が漏れることを抑制することができる。また、平面ギャザーによって背側領域Bに尿が漏れることを抑制することができることにより、背側領域Bにおいては効果が期待できない吸収体4を配置しない構成とすることで、ペット用おむつ1の製造コストを削減することができる。
【0041】
連結テープ8は、プラスチック、ポリラミ不織布、不織布、紙等のテープ基材81を有し、テープ基材81の基部がサイドフラップSFに接合されている。テープ基材81の突出片部の肌面側の面(トップシート2側の面)にフック材82を有する。フック材82は、テープ基材81に接着剤により剥離不能に接着され、多数の係合片を有する。連結テープ8は、製品状態では、トップシート2側に折り畳まれ、フック材82がギャザーシート71に対して剥離可能に接合された状態となっている。
【0042】
本実施形態におけるスリット30は
図5に示すように、3つの辺部31,32a,32bがそれぞれの一端部にて互いに連結したY字型となっている。辺部31は、Y字型の縦バー部分を構成し、辺部32a,32bはそれぞれ、Y字型の辺部31から斜めに延びた斜めバー部分を構成している。このように構成されたスリット30は、辺部31が、ペット用おむつ1の前後方向をD1に延び、辺部31の背側領域B側の端部に辺部32a,32bが連結することで、背側領域B側が2つに分岐したY字型となっている。
【0043】
辺部31は、ペット用おむつ1の腹側の端部が尖った形状となっており、そこから幅が広がっていき、その後、一定の幅を有してペット用おむつ1の背側に向かって延びている。ペット用おむつ1の腹側の端部からその幅が一定となる領域までの前後方向D1の長さL1は、10mm~35mmであってもよい。また、その幅が一定である領域の前後方向D1の長さL2は、10mm~35mmであってもよい。また、その幅が一定である領域の幅方向D2の幅W1は、20mmであってもよく、吸収体4の幅方向D2の最小幅の10~30%が好ましい。
【0044】
辺部32a,32bは、辺部31の背側領域B側の端部から例えば、互いのなす角度Θ1が60°~150°となってペット用おむつ1の背側に延び、辺部31と連結した端部とは反対側の端部が尖った形状となっている。辺部31の幅方向D2の端部から辺部32a,32bの尖った端部までの幅方向D2の長さL3は、25mmであってもよい。辺部32a,32bの辺部31との連結部分から辺部32a,32bどうしの連結部分までの前後方向D1の長さL4は、10mmであってもよい。辺部32a,32bどうしの連結部分から辺部32a,32bの尖った端部までの前後方向D1の長さL4は、10mmであってもよい。
【0045】
このように構成されたスリット30は、前後方向D1の全体の長さを、例えば65mmとする等、吸収体4の前後方向D1の長さの10~20%とすることが好ましい。また、幅方向D2の全体の長さを、例えば70mmとする等、吸収体4の幅方向D2の長さの95%以下とすることが好ましい。
【0046】
次に、吸収体4、立体ギャザー7及びウエストシート9の関係について詳細に説明する。
図6は、一実施形態による吸収性物品の斜視図であり、
図7は、一実施形態による吸収性物品のペットへの着用状態を示す概略図である。
【0047】
ウエストシート9の腹側端部E4と、ペット用おむつ1の腹側端部E1との距離は、0mm~5mmであり、吸収体4の腹側端部E3と、ペット用おむつ1の腹側端部E1との距離は、15mm~35mmであり、立体ギャザー7の腹側の固定始端E5と、吸収体4の腹側端部E3との距離は、0mm~5mmである。ここで、距離とは、前後方向D1における最短距離を意味する。これにより、吸収体4は、ペット用おむつ1の腹側においては、ペット用おむつ1を雄ペットが着用した場合に少なくとも排尿口に対向する領域まで延在する。吸収体4の腹側端部E3と、スリット30(辺部31)の腹側の端部との距離は、5~15mmであり、これにより、スリット30は、ペット用おむつ1を雄ペットが着用した場合に排尿口に対向する領域からペット用おむつ1の背側に向かって延びている。立体ギャザー7は、
図6に示すように、吸収体4の腹側端部(前端)E3の5mm以内の位置から立ち上がり、立体ギャザー7の前後方向D1の収縮力が、吸収体4の腹側端部から背側に亘って働いている。
【0048】
また、ウエストシート9は、吸収体4の腹側の一部と重なる第1領域R1と、第1領域R1よりも腹側及び幅方向D2外側に延在し、吸収体4と重ならない第2領域R2とを含み、第2領域R2は、幅方向D2に弾性伸縮し、第1領域R1は、幅方向D2に吸収体4上で弾性伸縮しない。
【0049】
この構成により、雄ペットがペット用おむつ1を着用した際、ウエストシート9の第2領域R2は、弾性伸縮するため、吸収体4の幅方向D2端部が内側に収縮し、雄ペットの腹部に密着する。一方、吸収体4と重なる第1領域R1は、吸収体4上で弾性伸縮しないため、第1領域R1に位置する吸収体4は、雄ペットの腹部に対して密着せずゆとりのある状態となる。同時に、立体ギャザー7が、吸収体4の腹側端部E3の5mm以内の位置から立ち上がり、立体ギャザー7の前後方向D1の収縮力が、第1領域R1に位置する吸収体4に働く。
【0050】
そして、
図7に示すように、吸収体4は、腹側端部から非肌面側に突出して変形した突出部20を形成し、雄ペットの腹部から離隔する。これにより、ペット用おむつ1において、吸収体4が雄ペットの排尿口の前方及び周囲を離隔して囲む尿捕捉空間が形成される。よって、ペット用おむつ1は、吸収体4で尿を十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることを抑制することができる。また、排尿口と吸収体4が離隔しているため、吸収体に吸収された尿が、排尿口に接触し付着することを抑制することができる。
【0051】
立体ギャザー7の腹側の固定始端E5と、吸収体4の腹側端部E3との距離は、0mmであることが好ましい。ここで、立体ギャザー7の腹側の固定始端E5と、吸収体4の腹側端部E3との距離が、0mmとは、固定始端E5とペット用おむつ1の腹側端部(前端)E1との距離と、吸収体4の腹側端部E3とペット用おむつ1の腹側端部E1との距離が同じであることを意味する。
【0052】
これにより、雄ペットがペット用おむつ1を着用した際、
図7に示すように吸収体4の腹側端部E3から非肌面側に突出して変形した突出部20が形成されるため、尿捕捉空間がより前方に形成されると共に、吸収体4が腹側端部E3から尿の捕捉に有効に利用される。よって、ペット用おむつ1は、吸収体で尿をより十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることをより抑制することができる。
【0053】
ウエストシート9の第1領域R1の前後方向D1の長さは、第2領域R2の腹側端縁(ウエストシート9の腹側端部E4)と第1領域R1(吸収体4の腹側端部E3)との距離と同様以下の長さであることが好ましい。ここで、距離とは最短距離を意味する。これにより、ウエストシート9の第1領域R1よりも腹側における第2領域の面積が十分に確保されるため、ペット用おむつ1の腹側端部E1をペットの腹部に十分に密着させることができ、尿が外部に漏れることをより抑制することができる。また、第1領域R1に位置する吸収体4の面積がより小さくなることにより、吸収体4の突出部20の高さがより高くなるため、尿捕捉空間をより大きくすることができ、尿が外部に漏れることをより抑制することができる。
【0054】
ウエストシート9の第1領域R1及び第2領域R2は、幅方向D2に伸縮可能な弾性部材91を含んでいてもよい。具体的には、ウエストシート9は、
図4に示したように、2枚の不織布シート92と、2枚の不織布シート92の間に設けられた、幅方向D2に伸縮可能な弾性部材91とを含んでいてよい。この場合、第1領域R1における弾性部材91は、切断されている。これにより、ウエストシート9の第1領域R1及び第2領域R2に弾性部材を設けた後、吸収体4と重なる第1領域R1に固定した弾性部材をシャーリングカッター等で切断することで、第2領域R2は、幅方向に弾性伸縮し、吸収体4と重なる第1領域R1は、吸収体4上で幅方向に弾性伸縮しない構成とすることができる。この構成により、吸収体4は、腹側端部から非肌面側に突出して変形した突出部20を形成し、ペット用おむつ1において、吸収体4が雄ペットの排尿口の前方及び周囲を離隔して囲む尿捕捉空間が形成される。よって、ペット用おむつ1は、吸収体で尿を十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0055】
ウエストシート9の第2領域R2は、幅方向D2に弾性伸縮する弾性部材91を含み、第1領域R1は、背側端部の一部にのみ幅方向D2に弾性伸縮する弾性部材91を含んでいてもよい。ウエストシート9の第2領域R2に弾性部材91を設けることにより、第2領域R2は、幅方向D2に弾性伸縮し、吸収体4と重なる第1領域R1は、背側端部の一部にのみ弾性部材91を含むため、収縮力が小さく、吸収体4上で幅方向D2に弾性伸縮しない構成とすることができる。よって、吸収体4は、腹側端部から非肌面側に突出して変形した突出部20を形成し、ペット用おむつ1において、吸収体4が雄ペットの排尿口の前方及び周囲を離隔して囲む尿捕捉空間が形成される。よって、ペット用おむつ1は、吸収体4で尿を十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0056】
弾性部材91としては、糸ゴム、伸縮性フィルム、またはこれらに不織布を張り合わせた部材等が挙げられる。弾性部材91を構成する材料としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等を用いることができる。
【0057】
弾性部材91の張力は、2.0cN~10.0cNであることが好ましい。弾性部材91の張力が、2.0cN~10.0cNであることにより、雄ペットがペット用おむつ1を着用した際、非肌面側に突出した突出部20の高さを十分な高さとすることができ、吸収体4を雄ペットの腹部から十分に離隔させることができる。これにより、ペット用おむつ1に、十分な大きさの尿捕捉空間を形成され、ペット用おむつ1は、尿が外部に漏れることをより抑制することができる。
【0058】
また、ウエストシート9の第2領域R2は、幅方向D2に弾性伸縮する弾性部材91を含み、第1領域R1は、弾性部材91を含まない構成であってもよい。ウエストシート9の第2領域R2のみに弾性部材91を設けることにより、第2領域R2は、幅方向D2に弾性伸縮し、吸収体4と重なる第1領域R1は、吸収体4上で幅方向D2に弾性伸縮しない構成とすることができる。この構成により、吸収体4は、腹側端部から非肌面側に突出して変形した突出部20を形成し、ペット用おむつ1において、吸収体4が雄ペットの排尿口の前方及び周囲を離隔して囲む尿捕捉空間が形成される。よって、ペット用おむつ1は、吸収体で尿を十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0059】
さらに、ウエストシート9は、弾性部材91を含まず、幅方向D2に弾性伸縮する、ゴムシート等のシート状の弾性部材であってもよい。
【0060】
立体ギャザー7の背側の固定始端E6と、ペット用おむつ1の背側端縁E2との距離は、120mm~200mmであることが好ましい。これにより、雌ペットがペット用おむつ1を着用した際、雌ペットの腹側から排尿口の両側部まで、立体ギャザー7が肌面側に立ち上がるため、雌ペットがペット用おむつ1を着用した場合においても、ペット用おむつ1は、尿が外部に漏れることを抑制することができる。即ち、ペット用おむつ1は、雄ペット及び雌ペットの何れが着用した場合においても、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0061】
次に、スリット30による作用について説明する。
【0062】
図8は、スリット30による作用を説明するための図である。
【0063】
上述したように、吸収体4は、ペット用おむつ1の腹側においては、ペット用おむつ1を雄ペットが着用した場合に少なくとも排尿口に対向する領域まで延在している。また、スリット30は、ペット用おむつ1を雄ペットが着用した場合に排尿口に対向する領域からペット用おむつ1の背側に向かって延びている。
【0064】
そのため、ペット用おむつ1を雄ペットが着用した状態で排尿すると、まず、
図8(a)に示すように、尿40が、吸収体4に付着するとともにスリット30の辺部31の腹側の端部近傍に入り込む。
【0065】
そして、辺部31が前後方向D1に延びることでスリット30がペット用おむつ1の背側に向かって延びていることにより、
図8(b)に示すように、吸収体4に付着して辺部31に入り込んだ尿40が吸収体4の中央部分に導かれていく。
【0066】
その後、
図8(c)に示すように、辺部31に入り込んだ尿40が辺部32a,32bによっても吸収体4の中央部分に導かれていく。
【0067】
このように、雄ペットの排尿口が腹側にあることで吸収体4の腹側の端部近傍に付着した尿40が、吸収体4の中央部分に導かれていく。これにより、吸収体4の腹側の端部近傍に付着した尿40がペット用おむつ1の腹側端部から外部に漏れることが抑制される。
【0068】
また、上述したように、吸収体4の腹側端部E3と、スリット30の腹側の端部との距離が、5~15mmであることで、スリット30の腹側端部が、吸収体4の腹側端部よりも、ペット用おむつ1の背側端部側に5mm~15mmの範囲内に位置している。それにより、スリット30が雄ペットの排尿口に対向しやすくなり、尿40が外部に漏れることがさらに抑制される。
【0069】
なお、本実施形態においては、スリット30が、背側領域B側が2つに分岐したY字型となっている。しかしながら、吸収体4の腹側の端部近傍に付着した尿40を吸収体4の中央部分に導くためには、スリット30は、雄ペットの排尿口に対向する領域からペット用おむつ1の背側に向かって延びていれば、Y字型に限らず、I字型等であってもよい。ただし、スリット30をY字型とすれば、3つの辺部31,32a,32bが折れ線となって吸収体4が折れ曲がることで、雄の陰茎が吸収体4に押さえつけられることなく包み込まれ、尿40を捕捉する尿捕捉空間が形成されやすくなり、尿40が外部に漏れることがさらに抑制される。
【0070】
図1~
図8に示したペット用おむつ1では、連結テープ8を有する止着式のペット用おむつ1である場合を示したが、ペット用おむつ1は、パンツタイプのペット用吸収性物品であってもよい。この場合、ペット用おむつ1は、腹側領域Fの両側部と背側領域Bの両側部とがそれぞれ接合されて、ペットの胴を通すためのウエスト開口部と、後脚を通すための一対の脚開口部とを有する。各部材の構成については、上述した
図1~
図8に示したペット用おむつ1と同様とすることができる。よって、ペット用おむつ1は、パンツタイプである場合においても、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0071】
なお、
図1~
図8に示したペット用おむつ1を着用可能なペットとしては、
図7に示した犬に限らず、猫等の小動物であってもよい。
【0072】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 吸収性物品
2 トップシート
3 防水シート
4 吸収体
5 包装シート
6 バックシート
7 立体ギャザー
8 連結テープ
9 ウエストシート
10 セカンドシート
11 フロントターゲットテープ
12 脚周り弾性部材
13 ギャザー弾性部材
14a,14b 接着剤層
15 切り込み部
20 突出部
30 スリット
31,32a,32b 辺部
40 尿
71 ギャザーシート
81 テープ基材
82 フック材
91 弾性部材
92 不織布シート
SF サイドフラップ
EF エンドフラップ
F 腹側領域
B 背側領域
E1 吸収性物品の腹側端部
E2 吸収性物品の背側端部
E3 吸収体の腹側端部
E4 ウエストシートの腹側端部
E5 立体ギャザーの腹側の固定始端
E6 立体ギャザーの背側の固定始端
R1 第1領域
R2 第2領域
D1 前後方向
D2 幅方向