(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027187
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】検索支援システム、検索支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1053 20230101AFI20250219BHJP
G06F 16/9535 20190101ALI20250219BHJP
【FI】
G06Q10/1053
G06F16/9535
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131772
(22)【出願日】2023-08-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】512313953
【氏名又は名称】株式会社ビズリーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】中江 俊博
(72)【発明者】
【氏名】クー ホンニー
(72)【発明者】
【氏名】林 勝悟
【テーマコード(参考)】
5B175
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175HA01
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】検索に要するコストを低減できる検索支援システム等を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、検索支援システムが提供される。この検索支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行可能に構成される。取得ステップでは、求職者検索を実行する検索者に関する検索者情報と、求職者に関する求職者情報に対して求人者が行った第1インタラクション及び求人者に関する求人者情報に対して求職者が行った第2インタラクションの少なくとも一方を含むレコードとを取得する。抽出ステップでは、検索者情報とレコードとに基づいて、検索者に推奨する求職者の集団を抽出する。提示ステップでは、集団に基づき、求職者検索の検索条件を検索者に提示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索支援システムであって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、次の各ステップを実行可能に構成され、
取得ステップでは、求職者検索を実行する検索者に関する検索者情報と、求職者に関する求職者情報に対して求人者が行った第1インタラクション及び求人者に関する求人者情報に対して求職者が行った第2インタラクションの少なくとも一方を含むレコードとを取得し、
抽出ステップでは、前記検索者情報と前記レコードとに基づいて、前記検索者に推奨する求職者の集団を抽出し、
提示ステップでは、前記集団に基づき、前記求職者検索の検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記抽出ステップでは、前記検索者情報と前記レコードとに基づいて前記集団を抽出することを人工知能に指示し、前記人工知能に前記集団を抽出させる、検索支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記集団に含まれる求職者の前記求職者情報に含まれる語句と、前記集団外の求職者の前記求職者情報に含まれる語句とを比較して選定した語句を前記検索条件として提示する、検索支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の検索支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記選定した語句に対し、前記集団に含まれる求職者の前記求職者情報における使用頻度に応じてスコアを付すと共に、前記スコアが高い語句を前記検索条件として優先的に提示する、検索支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検索支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記選定した語句に対し、前記集団に含まれる求職者の前記求職者情報における使用頻度が高いほど前記スコアを高くする、検索支援システム。
【請求項6】
請求項4に記載の検索支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記選定した語句に対し、前記集団外の求職者の前記求職者情報に含まれる使用頻度が低いほど前記スコアを高くする、検索支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記集団に含まれる求職者の分布に基づき、前記集団に含まれる求職者の属性を示すパラメータの範囲を前記検索条件として提示する、検索支援システム。
【請求項8】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記検索条件を用いて求職者を検索した検索結果を用いて、前記検索条件を修正し、修正した前記検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の検索支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記検索結果に含まれる求職者のうち、前記集団に含まれる求職者の数に基づいて、前記検索条件を修正し、修正した前記検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【請求項10】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記抽出ステップでは、前記第1インタラクション及び前記第2インタラクションの種類に応じて設定されたポイントに基づき、前記集団を抽出する、検索支援システム。
【請求項11】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記検索者情報は、求人票の情報、検索者の属性に関する情報、組織の情報、又は人材仲介業者の情報である、検索支援システム。
【請求項12】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記レコードは、前記第1インタラクションとしての前記求職者へのスカウト文書の送信履歴を含む、検索支援システム。
【請求項13】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記レコードは、前記第2インタラクションとしての前記求職者からのスカウト文書への返信履歴を含む、検索支援システム。
【請求項14】
請求項1に記載の検索支援システムにおいて、
前記取得ステップでは、前記検索者情報としての前記検索者に対応する求人票の情報と、前記レコードとしての前記求職者へのスカウト文書の送信履歴とを取得し、
前記抽出ステップでは、前記求人票と前記スカウト文書の送信履歴とに基づいて、前記求人票についてスカウト文書が送信される可能性のある求職者を前記検索者に推奨する求職者として抽出し、
前記提示ステップでは、前記集団の職務経歴に関する文章に基づき、前記検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【請求項15】
検索支援方法であって、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の検索支援システムの各ステップを備える、検索支援方法。
【請求項16】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の検索支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索支援システム、検索支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、求職者が登録した求職者情報に基づき、求人者が条件に合致する求職者を検索する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、検索者(求人者)が要件を満たす求職者を見つけるまでに、検索条件を変えながら検索を繰り返す必要があり、検索に要するコストが大きい。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、検索に要するコストを低減できる検索支援システム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、検索支援システムが提供される。この検索支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行可能に構成される。取得ステップでは、求職者検索を実行する検索者に関する検索者情報と、求職者に関する求職者情報に対して求人者が行った第1インタラクション及び求人者に関する求人者情報に対して求職者が行った第2インタラクションの少なくとも一方を含むレコードとを取得する。抽出ステップでは、検索者情報とレコードとに基づいて、検索者に推奨する求職者の集団を抽出する。提示ステップでは、集団に基づき、求職者検索の検索条件を検索者に提示する。
【0007】
このような態様によれば、検索者と類似の条件(例えば求人票)の検索者が過去に関連した第1インタラクション(例えばスカウト文書の送信)又は第2インタラクション(例えばスカウト文書の返信)に基づいて、検索条件を提示することができる。そのため、検索者による検索に要するコストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】検索者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバ装置10(制御部11)、検索者端末20(制御部21)、及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
【
図5】スカウト文書の表示画面SDの一例を示す図である。
【
図6】レコードに含まれるインタラクションテーブルITの一例である。
【
図7】検索者端末20に表示される検索条件の提示画面PDの一例である。
【
図8】推奨集団に属する求職者の年収の分布の一例を示す図である。
【
図9】検索支援システム1によって実行される情報処理(検索条件の提示処理)の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0014】
<検索支援システム1>
図1は、検索支援システム1を表す構成図である。検索支援システム1は、通信回線2と、サーバ装置10と、複数の検索者端末20と、複数の求職者端末30とを備える。サーバ装置10と、検索者端末20と、求職者端末30とは、通信回線2を通じて通信可能に構成されている。サーバ装置10、検索者端末20、及び求職者端末30の通信回線2との接続は有線でも無線でもよい。
【0015】
検索支援システム1は、複数の検索者(第1検索者U1及び第2検索者U2)と、複数の求職者(第1求職者U3及び第2求職者U4)とが利用する求人・求職システムの一部を構成する。検索支援システム1は、検索者による求職者の検索、検索者から求職者へのスカウト文書(スカウトメール又はスカウトメッセージ)の送信、及び求職者によるスカウト文書への返信を主に行う。一実施形態において、検索支援システム1とは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。以下、これらの構成要素について説明する。
【0016】
<サーバ装置10>
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、通信バス14とを備える。制御部11、記憶部12、及び通信部13は、サーバ装置10の内部において通信バス14を介して電気的に接続されている。
【0017】
<制御部11>
制御部11は、サーバ装置10に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部11は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置10に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能毎に複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0018】
<記憶部12>
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム、変数等を記憶している。
【0019】
<通信部13>
通信部13は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置10は、通信部13及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0020】
サーバ装置10は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置10としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0021】
<検索者端末20>
図3は、検索者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3Aに示すように、検索者端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、通信バス26とを備える。制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、及び出力部25は、検索者端末20の内部において通信バス26を介して電気的に接続されている。制御部21、記憶部22及び通信部23の説明は、サーバ装置10における各部の説明と同様のため省略する。なお、検索者端末20は、求人者の代わりに求職者とのやり取りを行う人材仲介業者が操作する端末であってもよい。
【0022】
<入力部24>
入力部24は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。操作入力は、命令信号として通信バス26を介して制御部21に転送される。制御部21は、必要に応じて、転送された命令信号に基づいて所定の制御や演算を実行しうる。入力部24は、検索者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部24は、出力部25と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。入力部24がタッチパネルとして実施される場合、ユーザは、入力部24に対してタップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。入力部24としては、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、トラックパッド、QWERTYキーボード等が採用可能である。
【0023】
<出力部25>
出力部25は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。出力部25は、検索者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。具体的には、出力部25は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はプラズマディスプレイ等の表示デバイスとして実施されうる。これらの表示デバイスは、検索者端末20の種類に応じて使い分けて実施されることが好ましい。
【0024】
<求職者端末30>
図3Bに示すように、求職者端末30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、通信バス36とを備える。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、及び出力部35は、求職者端末30の内部において通信バス36を介して電気的に接続されている。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34及び出力部35の説明は、検索者端末20における各部の説明と同様のため省略する。
【0025】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11(検索支援システム1が備えるプロセッサ)に含まれる各機能部として実行されうる。
【0026】
図4は、サーバ装置10(制御部11)、検索者端末20(制御部21)、及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
【0027】
図4Aに示すように、サーバ装置10(制御部11)は、基本表示制御部111と、検索者登録部112と、求職者登録部113と、レコード記憶部114と、取得部115と、抽出部116と、提示部117と、検索部118と、人工知能部119とを備える。
図4Bに示すように、検索者端末20(制御部21)は、表示部211と、操作受付部212とを備える。
図4Cに示すように、求職者端末30(制御部31)は、表示部311と、操作受付部312とを備える。
【0028】
<基本表示制御部111>
基本表示制御部111は、種々の情報を検索者端末20又は求職者端末30に表示させるように構成される。例えば、基本表示制御部111は、求職者が作成した履歴書及び職務経歴書、求人者が作成した求人票及びスカウト文書、提示部117が提示する検索条件、検索部118による検索結果等を検索者端末20の表示部211又は求職者端末30の表示部311に表示させる。
【0029】
<検索者登録部112>
検索者登録部112は、検索者及び求人者のサービス利用登録を行うように構成される。例えば、検索者登録部112は、検索者端末20の操作受付部212からの入力を受け付けて、検索者が属する又は代理する求人者に関する求人者情報と、求職者検索を実行する検索者に関する検索者情報とを記憶部12に記憶する。
【0030】
検索者には、営利法人(例えば企業等)、非営利法人(例えば、協同組合、財団法人等)、及び公的法人(例えば地方公共団体等)等の組織(求人者)、これらの組織の人事担当者、採用担当者、リクルーター等と、組織の代理人として求職者と求人者とを仲介する人材仲介業者及び人材仲介業者の担当者とが含まれる。人材仲介業者は、ヘッドハンター、エージェント等とも呼ばれる。
【0031】
求人者情報には、求人票の情報(労働条件など)、組織の情報(名称、所在地、代表者、事業内容など)、及び人材仲介業者の情報(名称など)が含まれる。検索者情報には、検索者が所属する求人者の求人者情報及び検索者が検索を行う対象の求人票の情報に加えて、検索を行う採用担当者等の検索者の属性に関する情報(得意分野、担当業種等)が含まれる。
【0032】
<求職者登録部113>
求職者登録部113は、求職者のサービス利用登録を行うように構成される。例えば、求職者登録部113は、求職者端末30の操作受付部312からの入力を受け付けて、求職者に関する求職者情報を記憶部12に記憶する。求職者情報には、求職者の履歴書、職務経歴書、その他のプロフィール情報が含まれる。
【0033】
なお、「履歴書」は、主に求職者のプロフィール、現況、学歴、職歴、希望の労働条件等が記載された文書であり、「職務経歴書」は、レジュメとも呼ばれ、求職者が求人者に対して、自身のこれまでの職務に関する経歴、経験、スキル、資格等を伝える文書である。また、求職者情報には、求職者が希望する業種及び職種が含まれてもよい。
【0034】
<レコード記憶部114>
レコード記憶部114は、求職者情報に対して求人者が直接、又は人材仲介業者を介して行った第1インタラクション及び求人者情報に対して求職者が行った第2インタラクションの少なくとも一方を含むレコードを記憶するように構成される。
【0035】
第1インタラクションとしては、求人者又は人材仲介業者による、求職者へのスカウト文書の送信、求職者情報(履歴書、職務経歴書等)の閲覧、求職者情報へのフラグの付与(お気に入り登録、ブックマーク登録、ターゲットリスト登録)等が挙げられる。
【0036】
第2インタラクションとしては、求職者による、求人者又は人材仲介業者から受信したスカウト文書への返信、求人者情報(求人票等)の閲覧、求人者情報へのフラグの付与(お気に入り登録、ブックマーク登録、ターゲットリスト登録)等が挙げられる。
【0037】
レコードは、第1インタラクションとしての求職者へのスカウト文書の送信履歴を含むとよい。これにより、求人者又は人材仲介業者からスカウト文書が送信される求職者の属性等の傾向に基づいて、提示部117が検索条件を提示することが可能となる。
【0038】
レコードは、第2インタラクションとしての求職者からのスカウト文書への返信履歴を含むとよい。これにより、スカウト文書への返信を行う求職者の属性等の傾向に基づいて、提示部117が検索条件を提示することが可能となる。
【0039】
レコード記憶部114は、複数の求人者又は人材仲介業者によるスカウト文書の送信履歴と、複数の求職者によるスカウト文書への返信履歴とを記憶する。具体的には、レコード記憶部114は、求人者又は人材仲介業者が求職者に送信したスカウト文書について、送信者(求人者又は人材仲介業者)、宛先の求職者、スカウト文書に紐付けられた求人票、送信日時等の情報を送信履歴として記憶する。また、レコード記憶部114は、求職者が求人者又は人材仲介業者に送信した返答文書について、送信者(求職者)、宛先の求人者又は人材仲介業者、返答文書に紐付けられたスカウト文書、送信日時等の情報を送信履歴として記憶する。
【0040】
スカウト文書は、求人者(組織)自身が作成及び送信する場合と、人材仲介業者が求人者の代わりに作成及び送信する場合とがある。検索支援システム1が扱うスカウト文書には、求人者が求職者に送信したスカウト文書と、人材仲介業者が求人者の代わりに送信するスカウト文書(求人者から間接的に送信されるスカウト文書)とが含まれる。
【0041】
図5は、スカウト文書の表示画面SDの一例を示す図である。表示画面SDには、スカウト文書DOが、スカウト文書の求人情報のサマリDS(求人票からの抽出項目)と共に表示される。表示画面SDのヘッダには、戻るボタンSB1、返信ボタンSB2、及び削除ボタンSB3が配置されている。戻るボタンSB1は、スカウト文書の一覧に戻るためのボタンである。返信ボタンSB2は、返答文書を作成する機能を呼び出すためのボタンである。削除ボタンSB3は、開いているスカウト文書を削除するためのボタンである。各ボタン(後述する別の画面のボタンも含む)は、入力デバイス(例えば、マウス、トラックパッド、タッチパネル等)による押下操作により機能する。
【0042】
<取得部115>
取得部115は、検索者登録部112が登録した検索者情報と、レコード記憶部114に記憶されたレコードとを取得するように構成される。
【0043】
<抽出部116>
抽出部116は、取得部115が取得した検索者情報とレコードとに基づいて、検索者に推奨する求職者の集団を抽出するように構成される。具体的には、抽出部116は、まず、検索者情報に含まれる項目から、当該検索者情報を有する検索者の属性を判定し、レコードにおいて近い属性(同一又は類似の属性)の検索者が過去に関わった第1インストラクション又は第2インタラクションを抽出する。次に、抽出部116は、抽出された第1インストラクション又は第2インタラクションに関連している求職者を推奨求職者として抽出する。抽出された複数の推奨求職者からなる集団が、検索者に推奨する推奨集団とされる。
【0044】
検索者の属性の判定には、検索者情報のうち、検索者が所属している組織又は部署、検索者が検索しようとしている検索対象の求人票に関する情報(例えば職種又は業種)、検索者自身の属性等の項目が使用される。検索者情報は、複数の求人票の情報を含んでいてもよい。
【0045】
例えば、同一の組織又は同一の部署に所属している検索者同士は、属性が似ていると判定される。また、例えば、同一又は類似の職種又は業種の求人票に基づいて検索を行う検索者同士も、属性が近いと判定される。また、検索者自身の属性として、得意分野、担当業種等が同一又は類似の検索者同士も、属性が近いと判定される。
【0046】
第1インタラクションに関連している求職者とは、例えば、スカウト文書が送信された求職者、求職者情報に対し、閲覧、フラグの付与等の操作が行われた求職者、求人者又は人材仲介業者による検索対象となった求職者等である。
【0047】
第2インタラクションに関連している求職者とは、例えば、スカウト文書へ返信した求職者、検索者が所属している(又は仲介している)組織の求人者情報に対し、閲覧、フラグの付与等の操作を行った求職者等である。
【0048】
レコードには、複数の検索者が行った第1インタラクション及び複数の求職者が行った第2インタラクションの履歴から算出される、検索者の属性毎の個々の求職者に対するインタラクション率が含まれる。インタラクション率は、当該求職者に対しアクション(例えばスカウト文書の送信)を行った場合に、当該求職者からリアクション(例えばスカウト文書への返信)が行われる可能性を示す。
【0049】
図6は、レコードに含まれるインタラクションテーブルITの一例である。
図6AのインタラクションテーブルITでは、求職者C1~C4と、検索者J1~J5との組み合わせにおけるインタラクション履歴に基づく集計値が含まれる。表中の数値は、例えば、発生したインタラクションによるポイント(後述)の合計値である。例えば、表中の「0」は、インタラクションが発生していないことを示し、「1」は、インタラクション(例えばスカウト文書への返信)が発生したことを示す。
【0050】
レコードのインタラクションテーブルITに含まれる数値は、第1インタラクションのみに関する数値であってもよいし、第2インタラクションのみに関する数値であってもよい。例えば、インタラクションテーブルITに含まれる数値は、求人者等の検索者が求職者にスカウトを送信したか否かを1か0で示したものであってもよく、求職者が求人者等の検索者からのスカウトに返信したか否かを1か0で示したものであってもよい。また、レコードのインタラクションテーブルITには、求職者と求人票との組み合わせにおけるインタラクションの集計値が含まれてもよいし、求人者と求職者との組み合わせにおけるインタラクションの集計値が含まれてもよい。
【0051】
図6AのインタラクションテーブルITの例では、検索者J1に対しては、求職者C1、C3、C4からのインタラクション(例えばスカウト文書への返信)が行われており、今後のインタラクションが期待できる一方、求職者C2からのインタラクションは行われておらず、今後のインタラクションが期待できない。
【0052】
抽出部116は、インタラクションテーブルITと、新たな検索者の属性とに基づき、インタラクションが起こり得る求職者(例えば、スカウト文書を送られそうな求職者)を特定する。具体的には、まず、抽出部116は、新たな検索者の属性とレコードに含まれる検索者の属性との類似度を算出する。詳細には、抽出部116は、検索者の属性をベクトル化し、ベクトルに対するコサイン類似度等を用いて、新たな検索者とレコードに含まれる複数の検索者との類似度をそれぞれ算出する。
【0053】
類似度の算出後、抽出部116は、レコードに含まれる複数の検索者に対応するインタラクションに基づく数値(インタラクション集計値)に、新たな検索者との類似度によってそれぞれ重み付けを行う。抽出部116は、重み付けされたインタラクション集計値の合計(インタラクション期待値)が大きい求職者を、新たな検索者にとの間でインタラクションが起こり得る求職者として特定する。抽出部116は、例えば、インタラクション期待値が高い上位100人を推奨集団として抽出する。
【0054】
図6Aの例において、新たな検索者J6が検索を行う場合、抽出部116は、検索者情報の照合によって、レコードに登録されている検索者J1~J5に対し、新たな検索者J6との類似度を算出する。例えば、検索者J1~J5それぞれの検索者J6との類似度が、
図6Bに示すとおり、それぞれ0.5、0.3、0.5,0.8、0.2であった場合、求職者C1~C4のインタラクション期待値は、それぞれ1.2、1.6、1.0、2.3となる。そのため、求職者C1~C4の中では、求職者C4が最もインタラクションが起こり得る求職者である。
【0055】
抽出部116は、新たな検索者の属性として、当該検索者が検索しようとする複数の求人票の情報を用いてもよい。この場合、抽出部116は、複数の求人票のそれぞれのベクトルを合成したベクトルを、検索者の属性のベクトルとしてもよい。
【0056】
また、抽出部116は、第1インタラクション及び第2インタラクションの種類に応じて設定されたポイントに基づき、集団を抽出する。これにより、求人者側及び求職者側双方のインタラクションに重み付けができるため、推奨に適した求職者を抽出しやすくなる。
【0057】
例えば、抽出部116は、スカウト文書が送信された求職者に3点、スカウト文書へ返信した求職者に5点、求人者情報を閲覧した求職者に1点のポイントを付し、求職者に付されたポイントの合計が一定値以上、又はポイントの合計による順位が一定以上の求職者を推奨集団として抽出する。つまり、抽出部116は、スカウト文書への返信、スカウト文書の送信、及び情報の閲覧の順に、ポイントを高くする。なお、推奨集団に含まれる求職者の数は、特に限定されない。
【0058】
抽出部116は、検索者情報とレコードとに基づいて集団を抽出することを人工知能に指示し、人工知能に集団を抽出させてもよい。これにより、過去の第1インストラクション又は第2インタラクションの集計を利用して推奨集団を適切に抽出することができる。具体的には、抽出部116は、検索対象となる複数の求職者から、レコードに含まれるデータ(インストラクションの履歴)のうち、検索者情報が示す検索者の属性に対応するデータに関連する求職者を抽出することを人工知能に指示すると共に、検索者情報及びレコードを人工知能に入力することで、人工知能に推奨集団を出力させる。
【0059】
<提示部117>
提示部117は、抽出部116が抽出した推奨集団に基づき、求職者検索の検索条件を検索者に提示するように構成される。検索条件とは、求職者の検索時に条件として入力される検索語句(検索クエリ)、パラメータ等である。
図7は、検索者端末20に表示される検索条件の提示画面PDの一例である。提示画面PDには、提示部117が提示する検索語句及びパラメータが、例えばリストで表示される。
【0060】
一例として、取得部115が、検索者情報としての検索者に対応する(検索者が所属又は代理する求人者が発行した)求人票の情報と、レコードとしての求職者へのスカウト文書の送信履歴とを取得する場合、抽出部116は、求人票とスカウト文書の送信履歴とに基づいて、求人票についてスカウト文書が送信される可能性のある求職者を検索者に推奨する求職者として抽出する。これに基づき、提示部117は、推奨集団の職務経歴に関する文章に基づき、検索条件を検索者に提示する。これにより、スカウト文書の送信対象となる求職者を検索する際に検索者が要するコストが大きく低減される。
【0061】
提示部117は、推奨集団に含まれる求職者の求職者情報に含まれる語句と、推奨集団外の求職者の求職者情報に含まれる語句とを比較して選定した語句を検索条件として提示する。これにより、推奨集団に属する求職者が検索結果に含まれやすく、かつ、推奨集団に属しない求職者が検索結果に含まれにくくなる検索条件を提示できる。
【0062】
ここで、「推奨集団外の求職者」とは、例えば、検索対象となる全ての求職者のうち、推奨集団に含まれる求職者以外の、残りの全ての求職者である。また、「推奨集団外の求職者」は、推奨集団に含まれない求職者のうち、推奨集団に含まれる求職者と同一又は類似の職種又は業種の経験を有する求職者であってもよい。
【0063】
検索条件として提示する語句の具体的な選定手順は例えば以下のとおりである。まず、提示部117は、自然言語処理により、推奨集団に属する求職者情報に含まれる第1語句を抽出する。同様に、提示部117は、自然言語処理により、推奨集団に属しない求職者情報に含まれる第2語句を抽出する。次に、提示部117は、抽出された第1語句のうち、第2語句として抽出されていない語句を、検索条件の語句として抽出し、提示する。
【0064】
提示部117は、上記の比較によって選定した語句に対し、推奨集団に含まれる求職者の求職者情報における使用頻度に応じてスコアを付すと共に、スコアが高い語句を検索条件として優先的に提示する。これにより、推奨集団に属する求職者の検索精度を高めることができる。具体的には、提示部117は、スコアが一定以上の語句、又はスコアを高い順に並べた場合の順位が一定以上の語句を検索語句として提示する。また、提示部117は、選定した全ての語句をスコア順に提示してもよい。
【0065】
提示部117は、選定した語句に対し、推奨集団に含まれる求職者の求職者情報における使用頻度が高いほどスコアを高くする。これにより、推奨集団に属する求職者と、これらの求職者に近い属性を有する求職者とを検索されやすくすることができる。
【0066】
さらに、提示部117は、選定した語句に対し、推奨集団外の求職者の求職者情報に含まれる使用頻度が低いほどスコアを高くする。これにより、推奨集団に属さない求職者を検索されにくくすることができる。
【0067】
また、提示部117は、推奨集団に含まれる求職者の分布に基づき、推奨集団に含まれる求職者の属性を示すパラメータの範囲を検索条件として提示する。これにより、推奨集団に属する求職者の分布から、特定の範囲に属する求職者の人数が多いボリュームゾーンを検索条件として設定することが可能となる。
【0068】
「求職者の属性を示すパラメータ」としては、例えば、年収等が挙げられる。
図8は、推奨集団に属する求職者の年収の分布の一例を示す図である。求職者の年収は、求職者情報(履歴書又は職務経歴書)に記載された求職者の現在の年収から抽出される。
図8Aの例では、提示部117は、年収が600万から1200万円の範囲が、該当する求職者の人数が多いボリュームゾーン(求職者の属性を示すパラメータ)と判定し、この範囲を検索条件として提示する。なお、ボリュームゾーンを判定する閾値として、求職者の人数や、求職者の人数の全体に対する割合の数値が予め設定されてもよい。提示部117は、この閾値に基づき、ボリュームゾーンを判定し、判定されたボリュームゾーンを検索条件として提示してもよい。また、求職者の分布は、2以上の項目を軸として用いて示されてもよい。
【0069】
図8Bに示すように、提示部117は、推奨集団に属する求職者の年収と職種との分布を示すヒートマップHMを用いて、検索条件として設定される年収の範囲に対し、この範囲に含まれる求職者の人数が多い職種を検索条件として提示してもよい。
図8BのヒートマップHMは、求職者情報に含まれる年収の情報を軸とし、推奨集団に属する求職者の分布を示している。例えば、提示部117は、検索条件として「600~1200万円」という年収の範囲と、この年収の範囲で求職者が多い「職種A」、「職種C」及び「職種D」とを検索条件として提示する。また、提示部117は、職種に変えて、年収と業種との分布に基づいて、年収の範囲と業種とを検索条件として提示してもよい。さらに、年収、職種及び業種以外の求職者情報に含まれる項目についての求職者の分布に基づき、検索条件が提示されてもよい。このように、求職者の分布として用いられる項目は、数値で表される項目には限られない。
【0070】
提示部117は、推奨集団に基づき、求職者検索の検索条件を作成することを人工知能に指示し、人工知能に検索条件を作成させてもよい。具体的には、提示部117は、推奨集団に含まれる求職者の求職者情報から、検索条件として適切な語句又はパラメータを作成することを人工知能に指示すると共に、推奨集団に含まれる求職者の求職者情報を人工知能に入力することで、人工知能に検索条件を出力させる。
【0071】
なお、提示部117は、推奨集団に含まれる求職者の統計的データを、個人が特定されない形で検索者端末20に表示させてもよい。統計的データとしては、例えば、年収(平均、最高、又は最低)、出身業界ごと又は企業ごとの人数等が挙げられる。
【0072】
さらに、提示部117は、作成した検索条件を検索者に提示する前に、当該検索条件を用いて求職者を検索した検索結果を用いて、当該検索条件を修正し、修正した検索条件を検索者に提示してもよい。これにより、推奨集団に含まれる求職者の検索精度をさらに高めることができ、検索者が検索に要するコストの大幅な低減が可能となる。
【0073】
具体的には、提示部117は、推奨集団に基づいて作成した検索条件に含まれる検索語句、パラメータ等を用いて、検索部118に検索を実行させる。提示部117は、検索部118が得た検索結果に含まれる推奨集団に属する求職者の割合等に応じて、検索条件に含まれる検索語句及びパラメータの変更、追加又は削除を実行する。
【0074】
より詳細には、提示部117は、検索結果に含まれる求職者のうち、推奨集団に含まれる求職者の数に基づいて、検索条件を修正し、修正した検索条件を検索者に提示する。これにより、推奨集団に属する推奨求職者が一定数以上検出されることが確保された検索条件を提示することができる。例えば、提示部117は、検索結果に予め定めた閾値以上の推奨求職者が含まれる(又は、全ての推奨求職者の数に対する、検索結果に含まれる推奨求職者の割合が閾値以上となる)ようになるまで、検索結果の修正と、検索の実行とを繰り返す。また、提示部117は、検索結果の表示順における上位の一定の範囲に含まれる推奨求職者の数に基づいて、検索条件の修正の要否を判断してもよい。検索条件の修正の完了後、提示部117は、修正した検索条件を検索者端末20に提示する。
【0075】
検索条件の修正フローでは、提示部117は、推奨求職者の求職者情報(履歴書及び職務経歴書)を参照して、検索条件を修正する。例えば、提示部117は、求職者情報における使用頻度に応じたスコアに基づく検索語句の選定において、採用する検索語句のスコアの基準(閾値)を修正する(低くする)といった調整を行う。
【0076】
提示部117は、検索条件を修正することを人工知能に指示し、人工知能に検索条件を修正させてもよい。具体的には、提示部117は、検索条件を修正することを人工知能に指示すると共に、検索条件と当該検索条件に基づく検索結果と推奨求職者の求職者情報とを人工知能に入力し、修正された検索条件を人工知能に出力させる。
【0077】
<検索部118>
検索部118は、検索条件が提示された検索者が入力した検索条件に基づいて、求職者検索を実行する。具体的には、検索部118は、検索者端末20から入力された検索条件に基づいて、求職者登録部113が登録した求職者情報を元に(つまり、記憶部12に記憶された求職者データベースを参照して)、求職者を検索する。また、検索部118は、検索結果を検索者端末20に表示させる。
【0078】
検索者は、提示部117によって検索者端末20に提示された検索条件を参照しつつ、検索条件を入力する。検索者は、検索条件をそのまま利用することもできるし、検索条件の一部をコピー又は修正して入力することもできる。
【0079】
<人工知能部119>
人工知能部119は、各機能部から入力を受け付け、指示された出力を返すように構成されている。なお、サーバ装置10が各機能部において使用する人工知能は、共通のものであってもよいし、機能部毎に個別に用意されたものであってもよい。
【0080】
人工知能部119は、GPT(Generative Pretrained Transformer、GPT-1、GPT-2、GPT-3を含む)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、BART(Bidirectional and Auto-regressive Transformer)等を含むトランスフォーマ(Transformer)や再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network(RNN))等の言語モデル等を備えるAI(Artificial Intelligence)であって、生成AIを含む。
【0081】
言語モデルは、機械学習アルゴリズムによる学習モデルの一例である。機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)等が挙げられる。人工知能部119は、上記のアルゴリズムを適宜適用することができる。
【0082】
人工知能部119は、教師あり学習、教師なし学習、又は自己教師あり学習等の学習方法によって構築された学習済みモデルを人工知能として有する。教師あり学習では、教師データ(学習データ)を用いて機械学習を行う。教師データは、学習用の入力データ及び出力データ(正解データ)のペアで構成される。また、言語モデルは、特定のタスクのために訓練されたものだけでなく、幅広いタスクに対して汎用的に用いることができる汎用モデルであってもよい。
【0083】
人工知能部119は、人工知能として、膨大なデータを学習した大規模言語モデル(Large Language Models(LLM))のような汎用的な自然言語処理の学習モデルを含む。このような汎用的な学習モデルは、One-shot Learningやfew-shot Learning等により、ファインチューニングなしで様々なタスクに対応可能な言語モデルを含む。制御部11の各機能部において用いられる人工知能は、それぞれ別個の学習モデルであってもよいし、共通した汎用的な学習モデルであってもよい。
【0084】
例えば、別個の学習モデルを用いる場合は、一の学習モデルは、検索者情報とレコードとを入力とし、推奨集団を出力とするよう学習され、別の学習モデルは、推奨集団を入力とし、検索条件を出力するように学習される。また、例えば、汎用的な学習モデルを用いる場合は、検索者情報とレコードとを入力とし、推奨集団を出力とするようプロンプトで指示されると共に、推奨集団を入力とし、検索条件を出力するようにプロンプトで指示される。
【0085】
人工知能部119に含まれる人工知能は、追加の学習を行うことが可能である。例えば、人工知能部119は、提示した検索条件が、検索者によって実際の検索で使用されたかどうかを学習する。つまり、人工知能部119は、人工知能が作成して提示した検索条件に対するフィードバックとして、実際の検索条件をラベル付けしたものを提示した検索条件と合わせて教師データセットとしたものを用いて、追加の学習を行い、ファインチューニングされる。これにより、学習モデルから出力される検索条件が最適化され、ユーザに提示される。
【0086】
<表示部>
検索者端末20の表示部211及び求職者端末30の表示部311は、それぞれ、サーバ装置10から送信されてきた画面データが示す画面を表示する。
【0087】
<操作受付部>
検索者端末20の操作受付部212は、検索者端末20を利用するユーザ(検索者)による操作を受け付ける。求職者端末30の操作受付部312は、求職者端末30を利用するユーザ(求職者)による操作を受け付ける。
【0088】
3.情報処理方法
本節では、サーバ装置10の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、サーバ装置10の各部が、各ステップとしてコンピュータにより実行される。
【0089】
具体的には、この情報処理方法は、取得ステップと、抽出ステップと、提示ステップと、検索ステップとを備える。取得ステップでは、求職者検索を実行する検索者に関する検索者情報と、求職者に関する求職者情報に対して求人者が行った第1インタラクション及び求人者に関する求人者情報に対して求職者が行った第2インタラクションの少なくとも一方を含むレコードとを取得する。抽出ステップでは、検索者情報とレコードとに基づいて、検索者に推奨する求職者の集団を抽出する。提示ステップでは、集団に基づき、求職者検索の検索条件を検索者に提示する。検索ステップでは、検索条件が提示された検索者が入力した検索条件に基づいて、求職者検索を実行する。
【0090】
図9は、検索支援システム1によって実行される情報処理(検索条件の提示処理)の流れを示すアクティビティ図である。以下では、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、情報処理を説明する。
【0091】
検索条件の提示処理は、検索者が検索者情報を登録した状態から開始される。検索者は、検索者端末20において検索を開始する指示を入力する(アクティビティA101)。サーバ装置10は、検索開始の指示を受けて、検索者情報及びレコードを取得する(取得ステップ、アクティビティA102)。
【0092】
続いて、サーバ装置10は、取得した検索者情報及びレコードに基づいて推奨集団を抽出する(抽出ステップ、アクティビティA103)。さらに、サーバ装置10は、推奨集団に基づいて検索条件の作成及び修正を行う(アクティビティA104)。検索条件の修正は、当該検索条件を用いて実際に検索を行った結果によるフィードバックによって行われる。検索条件の確定後、サーバ装置10は、検索条件を検索者端末20に提示する(提示ステップ、アクティビティA105)。これにより、検索者端末20に検索条件が提示される(アクティビティA106)。
【0093】
検索条件が検索者端末20に表示された後、検索者は、検索者端末20において、提示された検索条件を参照しつつ、検索に用いる検索条件を所定の入力欄に入力し、サーバ装置10に検索を指示する(アクティビティA107)。サーバ装置10は、検索者端末20から検索条件を受け付け、当該検索条件にて求職者の検索を実行する(アクティビティA108)。検索実行後、サーバ装置10は、検索結果を検索者端末20に出力する(アクティビティA109)。これにより、検索者端末20に検索結果が表示される(アクティビティA110)。
【0094】
4.作用
本実施形態の作用をまとめると、次の通りとなる。検索者と類似の条件(例えば求人票)の検索者が過去に関連した第1インタラクション(例えばスカウト文書の送信)又は第2インタラクション(例えばスカウト文書の返信)に基づいて、検索条件を提示することができる。そのため、検索者による検索に要するコストが低減される。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0096】
5.その他
上記実施形態では、サーバ装置10が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置10に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。特に、人工知能部119は、サーバ装置10の外部構成であってもよい。その場合、外部構成である人工知能部119は、サーバ装置10の各機能部から入力を受け付け、指示された出力をサーバ装置10に返すように構成される。
【0097】
本実施形態の態様は、検索支援システム1に限定されず、情報処理方法であっても、プログラムであってもよい。検索支援方法は、検索支援システム1の各ステップを備える。プログラムは、コンピュータに、検索支援システム1の各ステップを実行させる。
【0098】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0099】
(1)検索支援システムであって、プロセッサを備え、前記プロセッサは、次の各ステップを実行可能に構成され、取得ステップでは、求職者検索を実行する検索者に関する検索者情報と、求職者に関する求職者情報に対して求人者が行った第1インタラクション及び求人者に関する求人者情報に対して求職者が行った第2インタラクションの少なくとも一方を含むレコードとを取得し、抽出ステップでは、前記検索者情報と前記レコードとに基づいて、前記検索者に推奨する求職者の集団を抽出し、提示ステップでは、前記集団に基づき、前記求職者検索の検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【0100】
(2)上記(1)に記載の検索支援システムにおいて、前記抽出ステップでは、前記検索者情報と前記レコードとに基づいて前記集団を抽出することを人工知能に指示し、前記人工知能に前記集団を抽出させる、検索支援システム。
【0101】
(3)上記(1)又は(2)に記載の検索支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記集団に含まれる求職者の前記求職者情報に含まれる語句と、前記集団外の求職者の前記求職者情報に含まれる語句とを比較して選定した語句を前記検索条件として提示する、検索支援システム。
【0102】
(4)上記(3)に記載の検索支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記選定した語句に対し、前記集団に含まれる求職者の前記求職者情報における使用頻度に応じてスコアを付すと共に、前記スコアが高い語句を前記検索条件として優先的に提示する、検索支援システム。
【0103】
(5)上記(4)に記載の検索支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記選定した語句に対し、前記集団に含まれる求職者の前記求職者情報における使用頻度が高いほど前記スコアを高くする、検索支援システム。
【0104】
(6)上記(4)又は(5)に記載の検索支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記選定した語句に対し、前記集団外の求職者の前記求職者情報に含まれる使用頻度が低いほど前記スコアを高くする、検索支援システム。
【0105】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の検索支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記集団に含まれる求職者の分布に基づき、前記集団に含まれる求職者の属性を示すパラメータの範囲を前記検索条件として提示する、検索支援システム。
【0106】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の検索支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記検索条件を用いて求職者を検索した検索結果を用いて、前記検索条件を修正し、修正した前記検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【0107】
(9)上記(8)に記載の検索支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記検索結果に含まれる求職者のうち、前記集団に含まれる求職者の数に基づいて、前記検索条件を修正し、修正した前記検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【0108】
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の検索支援システムにおいて、前記抽出ステップでは、前記第1インタラクション及び前記第2インタラクションの種類に応じて設定されたポイントに基づき、前記集団を抽出する、検索支援システム。
【0109】
(11)上記(1)から(10)のいずれか1つに記載の検索支援システムにおいて、前記検索者情報は、求人票の情報、検索者の属性に関する情報、組織の情報、又は人材仲介業者の情報である、検索支援システム。
【0110】
(12)上記(1)から(11)のいずれか1つに記載の検索支援システムにおいて、前記レコードは、前記第1インタラクションとしての前記求職者へのスカウト文書の送信履歴を含む、検索支援システム。
【0111】
(13)上記(1)から(12)のいずれか1つに記載の検索支援システムにおいて、前記レコードは、前記第2インタラクションとしての前記求職者からのスカウト文書への返信履歴を含む、検索支援システム。
【0112】
(14)上記(1)に記載の検索支援システムにおいて、前記取得ステップでは、前記検索者情報としての前記検索者に対応する求人票の情報と、前記レコードとしての前記求職者へのスカウト文書の送信履歴とを取得し、前記抽出ステップでは、前記求人票と前記スカウト文書の送信履歴とに基づいて、前記求人票についてスカウト文書が送信される可能性のある求職者を前記検索者に推奨する求職者として抽出し、前記提示ステップでは、前記集団の職務経歴に関する文章に基づき、前記検索条件を前記検索者に提示する、検索支援システム。
【0113】
(15)検索支援方法であって、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の検索支援システムの各ステップを備える、検索支援方法。
【0114】
(16)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の検索支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0115】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0116】
1 :検索支援システム
2 :通信回線
10 :サーバ装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :通信バス
20 :検索者端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :入力部
25 :出力部
26 :通信バス
30 :求職者端末
31 :制御部
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
36 :通信バス
111 :基本表示制御部
112 :検索者登録部
113 :求職者登録部
114 :レコード記憶部
115 :取得部
116 :抽出部
117 :提示部
118 :検索部
119 :人工知能部
211 :表示部
212 :操作受付部
311 :表示部
312 :操作受付部