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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027254
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】配線体、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20250219BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALN20250219BHJP
【FI】
H05K1/02 A
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131907
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】新開 浩
(72)【発明者】
【氏名】園田 大介
(72)【発明者】
【氏名】葛西 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】五井 智之
(72)【発明者】
【氏名】張原 康正
【テーマコード(参考)】
5E338
5J046
【Fターム(参考)】
5E338AA16
5E338BB13
5E338BB25
5E338BB63
5E338EE24
5J046AB02
5J046AB13
5J046AB15
5J046PA00
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】導電性層の形状を保持しつつ、厚みを薄くできる配線体、及び表示装置を提供する。
【解決手段】配線体200は、第1の主面7a、及び第2の主面7bを有し、第1の主面7aから第2の主面7bに貫通する貫通孔7cを有する第1の樹脂層7を備える。導電性層5は、第1の樹脂層7の貫通孔7c内に配置される。そのため、基材などで導電性層5を支持することなく、第1の樹脂層7によって導電性層5の形状を保持することができる。配線体200は、第1の樹脂層7及び導電性層5を第1の主面7a側から覆う第1の接着層1を備える。従って、基材などを介することなく、第1の接着層1によって配線体200を他の部材に接着することができる。これにより、基材などの厚みを省略することができる。以上より、導電性層5の形状を保持しつつ、配線体200の厚みを薄くできる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面、及び第2の主面を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に貫通する貫通孔を有する第1の樹脂層と、
前記貫通孔内に配置される導電性層と、
前記第1の樹脂層及び前記導電性層を前記第1の主面側から覆う第1の接着層と、を備える、配線体。
【請求項2】
前記導電性層は、前記第2の主面からの高さが前記第1の樹脂層の前記第1の主面よりも低い第1の部分を有し、
前記第1の接着層は、前記貫通孔内において、前記導電性層の前記第1の部分に接する、請求項1に記載の配線体。
【請求項3】
前記第1の樹脂層及び前記導電性層を前記第2の主面側から覆う第2の樹脂層を更に備える、請求項1に記載の配線体。
【請求項4】
前記第2の樹脂層は、無機粒子を含む、請求項3に記載の配線体。
【請求項5】
前記第1の樹脂層における前記第2の樹脂層との界面側には、金属微粒子が分散している、請求項3に記載の配線体。
【請求項6】
前記第1の樹脂層及び前記導電性層を前記第2の主面側から覆う第2の接着層を更に備える、請求項1に記載の配線体。
【請求項7】
前記導電性層は、前記第1の主面からの前記高さが前記第1の樹脂層の前記第2の主面よりも低い第2の部分を有する、請求項2に記載の配線体。
【請求項8】
前記第2の主面と前記第2の部分との高さの差は、前記第1の主面と前記第1の部分との高さの差より小さい、請求項7に記載の配線体。
【請求項9】
前記第1の樹脂層は、前記第2の部分を前記第2の主面側から覆うカバー部を有する、請求項7に記載の配線体。
【請求項10】
前記導電性層は、メッシュ状に設けられた前記貫通孔内に配置される、請求項1に記載の配線体。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の配線体を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線体、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板層を除去した導体性のメッシュパターンを透明接着層でディスプレイ装置に搭載する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-504094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ディスプレイ装置に搭載される導電性のメッシュパターンは視認性を低減するために非常に細い線幅のパターンで構成される。上述の配線体では、基板層を除去しているために、メッシュパターンの形状が変形してしまう可能性がある。一方、メッシュパターンの形状を保持するための基板層を設けると、配線体の厚みが増加してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、導電性層の形状を保持しつつ、厚みを薄くできる配線体、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る配線体は、第1の主面、及び第2の主面を有し、第1の主面から第2の主面に貫通する貫通孔を有する第1の樹脂層と、貫通孔内に配置される導電性層と、第1の樹脂層及び導電性層を第1の主面側から覆う第1の接着層と、を備える。
【0007】
本開示の一側面に係る表示装置は、上述の配線体を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、導電性層の形状を保持しつつ、厚みを薄くできる配線体、及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】配線体を備える導電性部材の一実施形態を示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】変形例に係る導電性部材を示す断面図である。
図4】表示装置の一実施形態を示す断面図である。
図5】配線体を備えるアンテナの平面図である。
図6図5に示すVI-VI線に沿った拡大断面図である。
図7図6に示す第1の導電線の端面付近の構成を示す拡大断面図である。
図8】配線体の製造方法を示す概略断面図である。
図9】配線体の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は本開示の一実施形態に係る配線体200を備える導電性部材20を示す平面図であり、図2図1のII-II線に沿う断面図である。導電性部材20は、アンテナ300を有し、アンテナ300は、配線体200を備える。図1及び図2に示される導電性部材20、すなわち配線体200は、第1の樹脂層7と、導電性層5と、第1の接着層1と、を備える。第1の樹脂層7は、第1の主面7aと、第2の主面7bと、を有する。第1の樹脂層7は、第1の主面7aから第2の主面7bに貫通する貫通孔7cを有する。第1の樹脂層7は、貫通孔7cを有する領域である絶縁樹脂部7Aと、光透過性樹脂層7Bと、を有する。導電性層5は、貫通孔7c内に配置される。導電性層5は、主面7a,7bに沿った方向に延在し複数の開口3aを含むパターンを有する部分を含む導体部3を有する。絶縁樹脂部7Aは、導体部3の開口3a内を埋めるように構成される。図2では、導電性層5がデフォルメされた状態で示されており、導体部3の幅が強調された状態で示されている。また、各層の厚みもデフォルメされた状態で示されている。各層の厚みの詳細については後述する。また、図1に示す例では、導電性部材20の一方の短辺付近に導電性層5が形成されているが、導電性層5が形成される位置は特に限定されず、長辺付近に導電性層5が形成されてもよい。第1の接着層1は、第1の樹脂層7及び導電性層5を第1の主面7a側から覆う。第1の接着層1は、配線体200を第1の主面7a側において他の部材へ接着するときに、他の部材に対する接着力を発揮する層である。第1の接着層1の主面1aが、第1の樹脂層7の第1の主面7aと接触するように配置される。なお、第1の接着層1は、第1の樹脂層7及び導電性層5の第1の主面7a側の全面を覆わなくても構わない。
【0012】
第1の接着層1は、導電性部材20が表示装置に組み込まれたときに必要とされる程度の光透過性を有する。具体的には、第1の接着層1の全光線透過率が90~100%であってもよい。第1の接着層1のヘイズが0~5%であってもよい。
【0013】
第1の接着層1の材料は、例えば、アクリル、ウレタン、シリコーンなどであってよい。第1の接着層1の厚さは、50~250μmであってよい。第1の接着層1の誘電率は、2.5~4.5@1MHzであってよい。
【0014】
導電性層5を構成する導体部3は、開口3aを含むパターンを有する部分を含む。開口3aを含むパターンは、互いに交差する複数の線状部によって形成された、規則的に配置された複数の開口3aを含むメッシュ状のパターンである。メッシュ状のパターンを有する導体部3は、例えばアンテナ300の放射導体及び給電線路として良好に機能することができる。また、導体部3は、開口3aを有さない平面状のパターンを備える。平面状のパターンを有する導体部3は、後述の端子及びグラウンドパッド部として機能する。なお、導電性層5における導体部3のパターンの構成の詳細については後述する。
【0015】
導体部3は、金属を含んでいてもよい。導体部3は、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、銀、金、白金及びスズから選ばれる少なくとも1種の金属を含んでいてもよく、銅を含んでいてもよい。導体部3は、めっき法によって形成された金属めっきであってもよい。導体部3は、適切な導電性が維持される範囲で、リン等の非金属元素を更に含んでいてもよい。
【0016】
導体部3は、複数の層から構成される積層体であってもよい。また、導体部3は、第1の接着層1とは反対側の表層部として、黒化層を有していてもよい。黒化層は、導電性部材が組み込まれた表示装置の視認性向上に寄与し得る。ここでは、第1の接着層1とは反対側を表層部としているが、第1の接着層1側が表層部となってもよい。その場合には、第1の接着層1が表層部として黒化層を有してもよい。
【0017】
絶縁樹脂部7Aは、光透過性を有する樹脂によって形成されており、導体部3の開口3aを埋めるように設けられており、通常、絶縁樹脂部7Aと導体部3とで平坦な表面が形成されている。なお、ここでの平坦とは、多少凹凸(導電性層が樹脂層の表面より低い部分がある)があることも許容される。すなわち、絶縁樹脂部7Aと導体部3の最表面が完全に同一平面上に存在していない状態も許容される。
【0018】
光透過性樹脂層7Bは、光透過性を有する樹脂によって形成されている。光透過性樹脂層7Bの全光線透過率が90~100%であってもよい。光透過性樹脂層7Bのヘイズが0~5%であってもよい。
【0019】
第1の接着層1と、光透過性樹脂層7Bの屈折率との差が0.1以下であってもよい。これにより、表示画像の良好な視認性がより一層確保され易い。光透過性樹脂層7Bの屈折率(nd25)は、例えば、1.0以上であってもよく、1.7以下、1.6以下、又は1.5以下であってよい。屈折率は、反射分光膜厚計により測定することができる。光路長の均一性の観点から、導体部3、絶縁樹脂部7A、及び光透過性樹脂層7Bが実質的に同じ厚みを有していてもよい。
【0020】
絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂は、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物)の硬化物であってもよい。絶縁樹脂部7A及び/又は光透過性樹脂層7Bを形成する硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含み、その例としては、アクリル樹脂、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、及び不飽和二重結合、並びに、環状エーテル、ビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0021】
絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じであってもよい。同じ樹脂によって形成された絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bは屈折率が等しいことから、導電性部材20を透過する光路長の均一性がより一層向上することができる。絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じである場合、例えば1層の硬化性樹脂層からインプリント法等によってパターン形成することによって、絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを容易に一括して形成することができる。
【0022】
図3に示すような導電性部材20(配線体200)を採用してもよい。図3に示す導電性部材20(配線体200)は、第1の樹脂層7及び導電性層5を第2の主面7b側から覆う第2の接着層2を更に備える。第2の接着層2は、配線体200を第2の主面7b側において他の部材へ接着するときに、他の部材に対する接着力を発揮する層である。第2の接着層2の主面2aが、第1の樹脂層7の第2の主面7bと接触するように配置される。ただし、第2の主面7b上に後述の第2の樹脂層8が設けられる場合、第2の接着層2は、第2の樹脂層8と接触する。なお、第2の接着層2の厚みや材料、その他の特性は、第1の接着層1と同様であってよい。ただし、第1の接着層1と第2の接着層2とは、互いに異なる厚みや材料が選択されてよい。また、第2の接着層2は、第1の樹脂層7及び導電性層5の第2の主面7b側の全面を覆わなくても構わない。
【0023】
以上例示的に説明された導電性部材を、例えば平面状の透明アンテナとして表示装置に組み込むことができる。表示装置は、例えば、液晶表示装置、又は有機EL表示装置であってもよい。図4は、配線体200が組み込まれた表示装置の一実施形態を示す断面図である。図4に示される表示装置100は、画像表示領域10Sを有する画像表示部10と、偏光板30と、導電性部材20と、カバーガラス40とを備える。偏光板30、導電性部材20、及びカバーガラス40は、画像表示部10の画像表示領域10S側において、画像表示部10側からこの順に積層されている。表示装置100の構成は図4の形態に限られず、必要により適宜変更が可能である。例えば、偏光板30がカバーガラス40と導電性部材20との間に設けられてもよい。画像表示部10は、例えば液晶表示部であってもよい。偏光板30及びカバーガラス40として、表示装置において通常用いられているものを用いることができる。偏光板30及びカバーガラス40は、必ずしも設けられなくてもよい。図4では、第2の主面7b側にカバーガラス40が設けられるため、配線体200として、図3に示すものが採用されている。ただし、カバーガラス40を省略する場合は、図2に示す配線体200を採用してよい。画像表示部10の画像表示領域10Sから出射される画像表示のための光が、導電性部材20を含む均一性の高い光路長の経路を通過する。これにより、モワレが抑制された均一性の高い良好な画像表示が可能である。
【0024】
次に、図5を参照して、本開示の実施形態に係る配線体200を備えるアンテナ300の構成について詳細に説明する。アンテナ300は、前述の導電性層5を含んで構成される。図5は、アンテナ300の平面図である。図5は、配線体200を備えるアンテナ300の一部を拡大して示している。なお、以降の説明においては、主面1Sと平行な平面に対してXY座標を設定して、説明を行うものとする。Y軸方向は、主面1Sに沿った方向であり、図1に示す例においては、導電性部材20の辺部20aと直交する方向に対応する。導電性部材20の中央側をY軸方向の正側とし、導電性部材20の外周側をY軸方向の負側とする。X軸方向は、主面1Sに沿ってY軸方向と直交する方向であり、図1に示す例においては、導電性部材20の辺部20aが延びる方向に対応する。導電性部材20の辺部20aが延びる一方側をX軸方向の正側とし、他方側をX軸方向の負側とする。図5に示す例においては、単一のアンテナ素子としてアンテナ300が示されているがこれに限られず、アンテナ300をX軸方向に複数配列してアレーアンテナを構成しても構わない。
【0025】
アンテナ300の導電性層5は、放射電極21及び給電線路25A,25Bを含む電極26と、端子22A,22Bと、グラウンドパッド部24A,24B,24Cと、を有する。アンテナ300は、Y軸方向に平行な中心線CLに対して線対称な構成を有する。
【0026】
放射電極21は、アンテナ300として信号を放射する領域である。放射電極21は、円形状の形状を有する。放射電極21の中心は、中心線CL上に配置される。放射電極21は、導電性部材20の辺部20aからY軸方向の正側へ離間した位置に配置される。放射電極21は、直径Rの寸法を有する。
【0027】
給電線路25A,25Bは、放射電極21に給電を行う線路である。つまり、アンテナ300は、2偏波アンテナとして機能する。例えば、給電線路25Aの傾斜部25bが延びる方向の斜め偏波信号を、給電線路25Aを介して給電し、給電線路25Bの傾斜部25bの延びる方向の斜め偏波信号を、給電線路25Bを介して給電することができる。給電線路25A,25Bは、導電性部材20の辺部20aに対して垂直に延びる垂直部25aと、Y軸方向に対して傾斜する傾斜部25bと、を有する。給電線路25Aの垂直部25aは、導電性部材20の辺部20a側に形成された端子22AからY軸方向の正側へ延びる。給電線路25Aの垂直部25aは、中心線CLからX軸方向の負側へ離間した位置にて、当該中心線CL(すなわちY軸方向)と平行に延びる。
【0028】
給電線路25Aの傾斜部25bは、垂直部25aのY軸方向の正側の端部から、Y軸方向の正側へ向かうに従って中心線CL側(すなわちX軸方向の正側)へ近付くように傾斜する。傾斜部25bのY軸方向の正側の端部は、放射電極21の外周縁21aに接続される。給電線路25Aは、垂直部25a及び傾斜部25bにおいて一定の幅寸法W1を有する。また、給電線路25Aは、垂直部25aの長さ寸法と傾斜部25bの長さ寸法の合計寸法である線路長L1を有する。ここで、幅寸法W1は、平面状のアンテナ300の面内方向における垂直部25a及び傾斜部25bの延在方向と直交する方向の寸法であり、線路長L1は、平面状のアンテナ300の面内方向における垂直部25a及び傾斜部25bの延在方向に沿った寸法である。
【0029】
なお、図5に示す例では、給電線路25Aの垂直部25aは、放射電極21のX軸方向の負側の端部よりも、X軸方向の負側へ離間した位置に配置される。また、給電線路25Aの垂直部25aのY軸方向の正側の端部(すなわち傾斜部25bとの接続部)は、放射電極21のY軸方向の負側の端部よりも、Y軸方向の負側へ離間した位置に配置される。ただし、垂直部25a及び傾斜部25bの配置及び形状は、特に限定されるものではない。給電線路25Bは、給電線路25Aと中心線CLを基準として線対称な構造を有する。本実施形態では、給電線路25Aの傾斜部25bと給電線路25Bの傾斜部25bは、給電線路25Aの傾斜部25bを延ばした仮想線と給電線路25Bの傾斜部25bを延ばした仮想線とが直交するように放射電極21の外周縁21aに接続されている。つまり、給電線路25Aの傾斜部25bを延ばした仮想線と給電線路25Bの傾斜部25bを延ばした仮想線とが成す角度は90度である。
【0030】
端子22A,22Bは、給電線路25A,25Bにそれぞれ接続される端子である。端子22A,22Bは、外部の入出力端子と接続されることで、給電線路25A,25Bを介して放射電極21に給電する。端子22A,22Bは、導電性部材20の辺部20a付近に配置される。端子22A,22Bは、給電線路25A,25Bの垂直部25aのY軸方向の負側の端部から、辺部20aまでY軸方向の負側へ延びる。端子22A,22Bは、一定の幅寸法W2にて、Y軸方向に延びる。端子22A,22Bは、長さ寸法L2にてY軸方向に延びる。ここで、幅寸法W2は、平面状のアンテナ300の面内方向における端子22A,22Bの延在方向と直交する方向の寸法であり、長さ寸法L2は、平面状のアンテナ300の面内方向における端子22A,22Bの延在方向に沿った寸法である。
【0031】
グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、電気的にグラウンド状態となる領域である。グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、図示されないグラウンド端子と接続される。グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、端子22A,22Bに対して隙間GPを空けて配置されることで、端子22A,22Bと絶縁されている。グラウンドパッド部24Aは、端子22A,22B間の領域において、辺部20aに沿ってX軸方向に延びるように形成される。グラウンドパッド部24Bは、端子22AのX軸方向の負側の領域において、辺部20aに沿ってX軸方向に延びるように形成される。グラウンドパッド部24Cは、端子22BのX軸方向の正側の領域において、辺部20aに沿ってX軸方向に延びるように形成される。グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、Y軸方向において一定の幅にて、X軸方向に帯状に延びる。グラウンドパッド部24A,24B,24Cの幅は、端子22A,22Bの長さ寸法L2と同じである。
【0032】
上述のように、信号ラインである端子22Aは、X軸方向の両側からグラウンドパッド部24A,24Bに挟まれる構造を有する。信号ラインである端子22Bは、X軸方向の両側からグラウンドパッド部24A,24Cに挟まれる構造を有する。このように、端子22A,22Bは、コプレナー線路である。
【0033】
図5に示すように、アンテナ300は、導体部3として、メッシュ状の導体パターン50を有する。アンテナ300の構成要素のうち、放射電極21及び給電線路25A,25B(電極)は、当該メッシュ状の導体パターン50を有する。メッシュ状の導体パターン50は、複数の第1の導電線51、及び複数の第2の導電線52を含む。第1の導電線51は、Y軸方向に平行に延びる直線状の導体部3である。複数の第1の導電線51は、X軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第1の導電線51は、等ピッチで離間するように配置される。第2の導電線52は、X軸方向に平行に延びる直線状の導体部3である。複数の第2の導電線52は、Y軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第2の導電線52は、等ピッチで離間するように配置される。導電線51,52の太さは特に限定されないが、例えば1~3μmに設定されてよい。また、導電線51,52のピッチも特に限定されないが、例えば50~300μmに設定されてよい。なお、第1の導電線51は、Y軸方向に延びていれば、Y軸方向と平行でなくても構わず、第2の導電線52は、X軸方向に延びていれば、X軸方向と平行でなくても構わない。
【0034】
本実施形態では、放射電極21及び給電線路25A,25Bは、外周縁を構成する端部導電線を有する。放射電極21は、この端部導電線により形成される形状が円形状となっている。なお、円形状の放射電極21は、厳密な真円形状に限られず、製造誤差等により生じるばらつきは含まれるものとする。また、放射電極21の外周縁を構成する端部導電線は、曲線だけで構成されるものだけでなく、一部に直線、波線部分などが含まれていても構わない。さらに、放射電極21及び給電線路25A,25Bは、端部導電線を含まなくてもよく、この場合、メッシュ状の導体パターン50に含まれる第1の導電線51又は第2の導電線52の先端を結んだ形状が円形状となっていればよい。
【0035】
端子22は、当該端子22の略全域に平面状に広がる第2の導体層56を有する。なお、「端子22」と称した場合、端子22Aと端子22Bを区別せず両方を指しているものとする。図5においては、端子22全域に第2の導体層56が形成されているが、第2の導体層56の面積は特に限定されない。例えば、第2の導体層56の面積は、端子22全体の面積に対する95%以上の面積であってよい。なお、グラウンドパッド部24A,24B,24Cも、第2の導体層56を有する。ただし、グラウンドパッド部24A,24B,24Cは、メッシュ状の導体パターン50を有する構成であってもよい。
【0036】
次に、図6を参照して、配線体200の詳細な断面構成について説明する。図6は、図5に示すVI-VI線に沿った断面図である。図6に示すように、配線体200は、前述の第1の接着層1と、導電性層5と、第1の樹脂層7と、を備える。導電性層5の導体パターン50は、第1の樹脂層7の延在方向に線状に延在する導電線51,52を有する(図5参照)。ここで、第1の導電線51にとっての延在方向は、Y軸方向に該当する。第2の導電線52にとっての延在方向は、X軸方向に該当する。図6には第1の導電線51が示されているため、Y軸方向が延在方向に該当する。従って、延在方向と直交する直交方向はX軸方向が該当する。高さ方向はZ軸方向が該当する。また、高さ方向の第1の主面7aから第2の主面7bへ向かう一方側は、Z軸方向の正側が該当する。高さ方向の第2の主面7bから第1の主面7aへ向かう他方側は、Z軸方向の負側が該当する。ただし、高さ方向における向きは特に限定されず、第1の主面7aが表層(上部)であってもよい。図6は、直交方向であるX軸方向へ切断したときの第1の導電線51の断面視を示す。なお、図6には第1の導電線51の構成が示されているが、第2の導電線52も同趣旨の構造を有するので説明を省略する。
【0037】
第1の導電線51は、幅方向であるX軸方向に互いに対向する側面61A,61Bを有する。側面61AはX軸方向における負側に配置され、側面61BはX軸方向における正側に配置される。第1の導電線51は、高さ方向における他方側(Z軸方向における負側)に端面62を有する。第1の導電線51は、高さ方向における一方側(Z軸方向における正側)に端面63を有する。
【0038】
第1の樹脂層7は、第1の導電線51が配置されるトレンチ70を有する。本実施形態においては、トレンチ70は、第1の樹脂層7の高さ方向における一方側(Z軸方向における正側)の第2の主面7bから、他方側(Z軸方向における負側)の第1の主面7aまで延びる貫通孔7cを構成する。トレンチ70、すなわち貫通孔7cは、メッシュ状に構成される。第1の導電線51の側面61A,61Bは、トレンチ70の内面と面接触している。なお、第1の導電線51の幅(X軸方向の寸法)は、高さ方向において一定である。ただし、第1の導電線51の幅は、高さ方向における一方側(Z軸方向における正側)へ向かうに従って広がってもよい。
【0039】
第1の導電線51は、第2の主面7bからの高さが第1の樹脂層7の第1の主面7aよりも低い第1の部分80を有する。図6では、第1の部分80の第2の主面7bからの高さのうち、最も低い箇所の高さ寸法を「H1」で示している。すなわち、第1の部分80は、第1の主面7aよりも第2の主面7b側(Z軸方向の正側)の位置に配置されている。本実施形態では、端面62は、幅方向(X軸方向)において、中央部62aがZ軸方向の負側へ突出するように湾曲している。従って、端面62のうち、少なくとも幅方向における縁部は第1の部分80に該当する。端面62のうち、最もZ軸方向の負側に位置する中央部62aは、第1の部分80に該当してもよい。この場合、端面62の全体が第1の部分に該当する。あるいは、中央部62aは、第1の部分80に該当しなくてもよい。この場合、中央部62a付近の一部は、第2の主面7bからの高さが第1の樹脂層7の第1の主面7aよりも高くなるか、同じになる。第1の接着層1は、貫通孔7cに入り込み、貫通孔7c内において、第1の導電線51の第1の部分80に接する。第1の接着層1は、端面62の略全域にわたって接触する。なお、端面62の形状は上述のものに限定されず、中央部62aが突出するような湾曲形状には限定されない。
【0040】
第1の導電線51は、第1の主面7aからの高さが第1の樹脂層7の第2の主面7bよりも低い第2の部分81を有する。図6では、第2の部分81の第1の主面7aからの高さのうち、最も低い箇所の高さ寸法を「H2」で示している。すなわち、第2の部分81は、第2の主面7bよりも第1の主面7a側(Z軸方向の負側)の位置に配置されている。本実施形態では、端面63は、幅方向(X軸方向)において、縁部が幅方向の外側へ向かうに従ってZ軸方向の負側へ向かうような形状を有する。端面63の幅方向における中央部付近の領域は、第2の主面7bと同じ高さに配置される。第1の樹脂層7は、第2の部分81を第2の主面7b側から覆うカバー部82を有する(図7も参照)。カバー部82は、第2の部分81の湾曲形状に沿って幅方向の中央部側へ向かうように延びる。そのため、端面63は、幅方向の両側の縁部の一部において第2の主面7bで覆われ、中央側の一部が第2の主面7bから露出する。
【0041】
第2の主面7bと第2の部分81との高さの差は、第1の主面7aと第1の部分80との高さの差より小さい。両者を比較する場合、第1の部分80及び第2の部分81のうち、最も主面7a,7bから遠ざかる箇所を比較する。第1の主面7aと最も低い位置の第1の部分80との高さの差は、「G1」で示される。第2の主面7bと最も低い位置の第2の部分81との高さの差は、「G2」で示される。このとき、「G1>G2」が成り立つ。
【0042】
配線体200は、第1の樹脂層7及び導電性層5を第2の主面7b側から覆う第2の樹脂層8を更に備える。第2の樹脂層8は、ハードコート層と称される層である。第2の樹脂層8の主面8aは、第1の樹脂層7の第2の主面7b及び第1の導電線51の端面63と接するように設けられる。第2の樹脂層8は、樹脂及び無機フィラーを含有する層であってもよい。第2の樹脂層8を構成する樹脂の例としては、アクリル樹脂が挙げられる。無機フィラーの例としては、シリカが挙げられる。第2の樹脂層8の厚みは、例えば5nm以上、100nm以上、又は200nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってもよい。
【0043】
図7は、図6に示す第1の導電線51の端面63付近の構成を示す拡大断面図である。図7を参照して、第2の樹脂層8と第1の樹脂層7との境界付近の構成について説明する。第2の樹脂層8は、無機粒子84を含む。第1の樹脂層7における第2の樹脂層8との界面側には、金属微粒子85が分散している。
【0044】
無機粒子84は、第2の樹脂層8内に分散している。また、一部の無機粒子84は、第2の樹脂層8の主面8aからはみ出して、第1の樹脂層7と接してよい。無機粒子84としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化タンタル、ジルコニア、窒化ケイ素、チタン酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛、酸化ガリウム、スピネル、ムライト、コーディエライト、タルク、チタン酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、雲母、焼成カオリン、及びカーボンが挙げられる。無機粒子84は、1種単独又は2種類以上の組合せであってもよい。
【0045】
無機粒子84の形状は、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、多面体状、板状、鱗片状、柱状等であってもよい。
【0046】
無機粒子84の平均粒子径は、例えば、10nm以上、15nm以上、又は20nm以上であってもよく、400nm以下、300nm以下、又は200nm以下であってもよい。無機粒子84の平均粒子径は、配線体200の厚さ方向に沿った断面をTEMで観察し、断面のTEM画像において配線体200の延在方向に1.5μmの範囲に存在する無機粒子84それぞれの最大長さを測定し、平均することにより算出される。
【0047】
金属微粒子85は、Pd、Cu、Ni、Co、Au、Ag、Pd、Rh、Pt、In、及びSnから選ばれる1種以上の無機粒子であってもよく、Pdを含んでもよい。金属微粒子85は、1種単独又は2種類以上の無機粒子の組合せであってもよい。
【0048】
金属微粒子85の形状は、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、多面体状、板状、鱗片状、柱状等であってもよい。
【0049】
金属微粒子85の平均粒子径は、導電性部材20の透明性が優れる観点から、10nm以下、8nm以下、又は5nm以下であってもよい。金属微粒子85の平均粒子径は、例えば、0.1nm以上、0.5nm以上、又は1nm以上であってもよい。金属微粒子85の平均粒子径は、配線体200の厚さ方向に沿った断面をTEMで観察し、断面のTEM画像において配線体200の延在方向に1.5μmの範囲に存在する金属微粒子85それぞれの最大長さを測定し、平均することにより算出される。
【0050】
金属微粒子85の平均粒子径は、無機粒子84の平均粒子径よりも小さくてよい。無機粒子84の平均粒子径に対する金属微粒子85の平均粒子径の比率(金属微粒子85の平均粒子径/無機粒子84の平均粒子径)は、0.3以下、又は0.1以下であってもよく、0.01以上、0.02以上、又は0.05以上であってもよい。
【0051】
無機粒子84が第2の樹脂層8内に分散している状態とは、配線体200の厚さ方向に沿った断面をTEMで観察したときに、500μm四方のマス目設定したときに、各マス目に少なくとも1つの粒子が存在する状態のことである。第1の樹脂層7における第2の樹脂層8との界面側に金属微粒子85が分散している状態とは、第1の樹脂層7のうち、主面7b,8a同士の境界にて厚み方向へ100μmの範囲内において、金属微粒子85が分散している状態である。当該範囲内にて、金属微粒子85が分散している状態とは、配線体200の厚さ方向に沿った断面をTEMで観察したときに、100nm四方のマス目設定したときに、各マス目に少なくとも1つの粒子が存在する状態のことである。
【0052】
次に、図8及び図9を参照して、配線体200の製造方法について説明する。図8及び図9は、配線体200の製造方法を示す概略断面図である。まず、図8に示すように、基材9の上面に第2の樹脂層8を形成したものを準備する。なお、図8及び図9においては、図2~4,6,7とは異なり、第1の主面7aが上側であり、第2の主面7bが下側となるように配置される。
【0053】
基材9として、例えば、COP(シクロオレフィンポリマー)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)などを採用してよく、特に限定されない。第2の樹脂層8には無機粒子84(図7参照)が含有されている。第2の樹脂層8の主面8a上に、仮想線で示される第3の樹脂層11を積層する。第3の樹脂層11は、金属微粒子85(図7参照)が含有されている。第3の樹脂層11をアッシング処理などにより除去する。このとき、第3の樹脂層11の樹脂成分は除去されるが、第3の樹脂層11中に存在していた金属微粒子85は除去されず、第2の樹脂層8の主面8a側に残存する。第1の樹脂層7を形成する樹脂成分を含む樹脂組成物を、金属微粒子85が堆積している主面8a上に塗布することにより、第1の樹脂層7を形成する。第1の樹脂層7にメッシュ状の貫通孔7cを形成する。メッシュ状の貫通孔7cを形成した部材(基材9、金属微粒子85、第2の樹脂層8、及び第1の樹脂層7を含む部材)を無電解めっき及びまたは電解めっき処理することで導電性層5を形成する。
【0054】
次に、図9に示すように、基材9を除去する。基材9を除去する方法は特に限定されないが、第1の樹脂層7の第1の主面7a側に第1の接着層1を形成した後に基材9を剥離するなどの方法を採用してもよい。これにより、配線体200が完成する。
【0055】
次に、本実施形態に係る配線体200、及び表示装置100の作用・効果について説明する。
【0056】
本実施形態に係る配線体200は、第1の主面7a、及び第2の主面7bを有し、第1の主面7aから第2の主面7bに貫通する貫通孔7cを有する第1の樹脂層7と、貫通孔7c内に配置される導電性層5と、第1の樹脂層7及び導電性層5を第1の主面7a側から覆う第1の接着層1と、を備える。
【0057】
この配線体200は、第1の主面7a、及び第2の主面7bを有し、第1の主面7aから第2の主面7bに貫通する貫通孔7cを有する第1の樹脂層7を備える。導電性層5は、第1の樹脂層7の貫通孔7c内に配置される。そのため、基材などで導電性層5を支持することなく、第1の樹脂層7によって導電性層5の形状を保持することができる。配線体200は、第1の樹脂層7及び導電性層5を第1の主面7a側から覆う第1の接着層1を備える。従って、基材などを介することなく、第1の接着層1によって配線体200を他の部材に接着することができる。これにより、基材などの厚みを省略することができる。以上より、導電性層5の形状を保持しつつ、配線体200の厚みを薄くできる。
【0058】
導電性層5は、第2の主面7bからの高さが第1の樹脂層7の第1の主面7aよりも低い第1の部分80を有し、第1の接着層1は、貫通孔7c内において、導電性層5の第1の部分80に接してよい。この場合、貫通孔7cに入り込んだ第1の接着層1のアンカー効果により、第1の接着層1と、第1の樹脂層7及び導電性層5との密着性を向上できる。
【0059】
配線体200は、第1の樹脂層7及び導電性層5を第2の主面7b側から覆う第2の樹脂層8を更に備えてよい。この場合、第2の樹脂層8が、導電性層5を第2の主面7b側から保護することができる。
【0060】
第2の樹脂層8は、無機粒子84を含んでよい。この場合、配線体200の耐候性及び防錆性が向上する。
【0061】
第1の樹脂層7における第2の樹脂層8との界面側には、金属微粒子85が分散してよい。この場合、第2の主面7b側から見たときに、金属微粒子85が導電性層5と第1の樹脂層7との界面の周囲に存在する。よって、金属微粒子85の色が導電性層5の色になじむことにより、導電性層5と第1の樹脂層7との界面の視認性が高くなることを抑制できる。
【0062】
配線体200は、第1の樹脂層7及び導電性層5を第2の主面7b側から覆う第2の接着層2を更に備えてよい。この場合、配線体200を第1の主面7a及び第2の主面7bの両側において他の部材に接着できるため、積層構造を有する装置に対して配線体200を適用する事が可能となる。
【0063】
導電性層5は、第1の主面7aからの高さが第1の樹脂層7の第2の主面7bよりも低い第2の部分81を有してよい。この場合、第2の主面7b側からみて、第2の部分81が第2の主面7bよりも奥まった位置に配置され、見えにくくなる。以上より、導電性層5の不可視性を高めることができる。なお、第2の部分81が端面63の幅方向の縁部に設けられているため、第2の主面7b側からの斜め方向の視線Vから見えなくすることができる(図7参照)。
【0064】
第2の主面7bと第2の部分81との高さの差は、第1の主面7aと第1の部分80との高さの差より小さくてよい。この場合、導電性層5の導体体積を確保しつつ、導電性層5の不可視性を高めることができる。
【0065】
第1の樹脂層7は、第2の部分81を覆うカバー部82を有してよい。この場合、第1の樹脂層7と導電性層5との密着性を向上することができる。
【0066】
導電性層5は、メッシュ状に設けられた貫通孔7c内に配置されてよい。この場合、メッシュ状の導電性層5を形成することができる。
【0067】
本開示の一側面に係る表示装置は、上述の配線体を備える。
【0068】
上述の表示装置100によれば、上述の配線体200と同様な作用・効果を得ることができる。
【0069】
本開示は、上述の実施形態に限定されない。
【0070】
上述の実施形態では、配線体200が表示装置100に適用されている例を例示したが、配線体200の適用先は特に限定されない。例えば、窓ガラスなどに適用可能である。例えば、図2のように第2の接着層2を有さない場合、第1の接着層1をガラス部分に接着させて透明アンテナとするなどが挙げられる。
【0071】
上述の実施形態では、配線体200が第2の樹脂層8を有する場合について例示した。しかし、第2の樹脂層8は省略されてよい。それに伴い、無機粒子84及び金属微粒子85も省略されてよい。
【0072】
[形態1]
第1の主面、及び第2の主面を有し、前記第1の主面から前記第2の主面に貫通する貫通孔を有する第1の樹脂層と、
前記貫通孔内に配置される導電性層と、
前記第1の樹脂層及び前記導電性層を前記第1の主面側から覆う第1の接着層と、を備える、配線体。
[形態2]
前記導電性層は、前記第2の主面からの高さが前記第1の樹脂層の前記第1の主面よりも低い第1の部分を有し、
前記第1の接着層は、前記貫通孔内において、前記導電性層の前記第1の部分に接する、形態1に記載の配線体。
[形態3]
前記第1の樹脂層及び前記導電性層を前記第2の主面側から覆う第2の樹脂層を更に備える、形態1又は2に記載の配線体。
[形態4]
前記第2の樹脂層は、無機粒子を含む、形態3に記載の配線体。
[形態5]
前記第1の樹脂層における前記第2の樹脂層との界面側には、金属微粒子が分散している、形態3又は4に記載の配線体。
[形態6]
前記第1の樹脂層及び前記導電性層を前記第2の主面側から覆う第2の接着層を更に備える、形態1~5の何れか一項に記載の配線体。
[形態7]
前記導電性層は、前記第1の主面からの前記高さが前記第1の樹脂層の前記第2の主面よりも低い第2の部分を有する、形態2に記載の配線体。
[形態8]
前記第2の主面と前記第2の部分との高さの差は、前記第1の主面と前記第1の部分との高さの差より小さい、形態7に記載の配線体。
[形態9]
前記第1の樹脂層は、前記第2の部分を前記第2の主面側から覆うカバー部を有する、形態7又は8に記載の配線体。
[形態10]
前記導電性層は、メッシュ状に設けられた前記貫通孔内に配置される、形態1~9の何れか一項に記載の配線体。
[形態11]
形態1~10の何れか一項に記載の配線体を備える、表示装置。
【符号の説明】
【0073】
1…第1の接着層、2…第2の接着層、5…導電性層、7…第1の樹脂層、7a…第1の主面、7b…第2の主面、7c…貫通孔、8…第2の樹脂層、80…第1の部分、81…第2の部分、82…カバー部、84…無機粒子、85…金属微粒子、100…表示装置、200…配線体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9