(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027270
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】ガス供給システム、ガス供給方法及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
A01G 33/02 20060101AFI20250219BHJP
【FI】
A01G33/02 101
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131938
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000149457
【氏名又は名称】株式会社オーツボ
(71)【出願人】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】直塚 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松坂 信
(72)【発明者】
【氏名】鈴本 啓明
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】福島 夢
(72)【発明者】
【氏名】中田 訓彰
(57)【要約】
【課題】生体を含む容器内の液体に所定のガスを供給するシステムにおいて、液体内に溶け込んだガスをより精度よく制御すること。
【解決手段】液体と生体とを貯蔵する容器である第一槽と、前記第一槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器である第二槽と、前記第一槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記第二槽に送る分離装置と、前記第二槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定するセンサーと、液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記第一槽に送るガス溶解装置と、前記センサーの測定結果に応じて、前記ガス溶解装置を制御する制御装置と、を備えるガス供給システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と生体とを貯蔵する容器である第一槽と、
前記第一槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器である第二槽と、
前記第一槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記第二槽に送る分離装置と、
前記第二槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定するセンサーと、
液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記第一槽に送るガス溶解装置と、
前記センサーの測定結果に応じて、前記ガス溶解装置を制御する制御装置と、
を備えるガス供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記センサーの測定結果に基づいて、1以上の閾値に応じた量のガスを溶かすように前記ガス溶解装置を制御する、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
前記第一槽は、槽内に攪拌機を備える、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項4】
液体と生体とを貯蔵する容器である第一槽と、
前記第一槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器である第二槽と、
前記第一槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記第二槽に送る分離装置と、
前記第二槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定するセンサーと、
液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記第一槽に送るガス溶解装置と、を備えるガス供給システムにおいて、
前記センサーの測定結果を取得するステップと、
前記測定結果に応じて前記ガス溶解装置を制御するステップと、
を有するガス供給方法。
【請求項5】
液体と生体とを貯蔵する容器である第一槽と、
前記第一槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器である第二槽と、
前記第一槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記第二槽に送る分離装置と、
前記第二槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定するセンサーと、
液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記第一槽に送るガス溶解装置と、を備えるガス供給システムに備えられたコンピューターを、
前記センサーの測定結果に応じて、前記ガス溶解装置を制御する制御装置として機能させるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給システム、ガス供給方法及びコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海苔等の藻類を海水とともに貯蔵するシステムがある(例えば特許文献1参照)。これらのシステムでは、海水を循環中に酸素を注入し、酸素濃度を測定して濃度が低下すると海水を置換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、酸素濃度を測定するセンサーに対し海苔が影響することによって測定精度が低下してしまうことがあった。このような問題は、海苔だけの問題では無く、生体を含む容器内の液体に所定のガスを供給するシステム全般に共通する問題である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、生体を含む容器内の液体に所定のガスを供給するシステムにおいて、液体内に溶け込んだガスをより精度よく制御することを可能にする技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、液体と生体とを貯蔵する容器である第一槽と、前記第一槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器である第二槽と、前記第一槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記第二槽に送る分離装置と、前記第二槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定するセンサーと、液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記第一槽に送るガス溶解装置と、前記センサーの測定結果に応じて、前記ガス溶解装置を制御する制御装置と、を備えるガス供給システム。
【0007】
本発明の一態様は、上記のガス供給システムであって、前記制御装置は、前記センサーの測定結果に基づいて、1以上の閾値に応じた量のガスを溶かすように前記ガス溶解装置を制御する。
【0008】
本発明の一態様は、上記のガス供給システムであって、前記第一槽は、槽内に攪拌機を備える。
【0009】
本発明の一態様は、液体と生体とを貯蔵する容器である第一槽と、前記第一槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器である第二槽と、前記第一槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記第二槽に送る分離装置と、前記第二槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定するセンサーと、液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記第一槽に送るガス溶解装置と、を備えるガス供給システムにおいて、前記センサーの測定結果を取得するステップと、前記測定結果に応じて前記ガス溶解装置を制御するステップと、を有するガス供給方法である。
【0010】
本発明の一態様は、液体と生体とを貯蔵する容器である第一槽と、前記第一槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器である第二槽と、前記第一槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記第二槽に送る分離装置と、前記第二槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定するセンサーと、液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記第一槽に送るガス溶解装置と、を備えるガス供給システムに備えられたコンピューターを、前記センサーの測定結果に応じて、前記ガス溶解装置を制御する制御装置として機能させるためのコンピュータープログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、上述した事情に鑑みてなされたものであり、生体を含む容器内の液体に所定のガスを供給するシステムにおいて、液体内に溶け込んだガスをより精度よく制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のガス供給システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】制御装置50の構成の概略を示す概略ブロック図である。
【
図3】制御装置50の処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図4】ガス供給システム100の変形例を示す図である。
【
図5】本実施形態に適用される情報処理装置90のハードウェア構成例の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のガス供給システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
図1に示されるガス供給システム100では、攪拌機を備えた容器として攪拌槽10が用いられている。攪拌槽10の槽内には液体が蓄積され、液体内には生体が貯蔵される。液体は、貯蔵される生体が生存可能なものであればどのようなものであってもよい。貯蔵される生体は、どのような生体であってもよい。例えば、藻類(具体的には海苔など)であってもよいし、貝類であってもよいし、他の生体であってもよい。例えば生体の具体例として海苔が適用される場合、攪拌槽10内に蓄積される液体は海水であってもよいし、他の液体であってもよい。ガス供給システム100では、攪拌槽10内に蓄積される液体に対し、生体の状態を良好に保つために必要となるガスを溶解させることでガスを供給する。
【0014】
以下の説明では、本実施形態におけるガス供給システム100では、液体として海水を使用し、生体として海苔を用い、供給されるガスとして酸素を用いる。ガス供給システム100は、攪拌槽10、セルプラポンプ20、海苔原藻分離装置30、バッファ水槽40、制御装置50及び高濃度気体溶解装置60を備える。
【0015】
攪拌槽10には、経路801を経由して生体(本実施形態では海苔の原藻(以下単に「海苔」という。))が投入される。経路801は、例えば管を用いて構成されてもよい。例えば、海苔を積んだトラックの積載領域から攪拌槽10に向けて経路801を経由して海苔が投入されてもよい。
【0016】
攪拌槽10には、海水が蓄えられており、海水内に海苔が貯蔵される。攪拌槽10は、攪拌機101及びパンチングメタル102を備える。攪拌機101は、駆動装置を使用して攪拌プロペラを回転させることによって、攪拌槽10内の液体を攪拌する。パンチングメタル102は、フィルタの一態様として用いられている。フィルタは、パンチングメタル102に限定される必要は無い。フィルタは、生体(海苔)と液体(海水)とをある程度分離することによって、攪拌槽10内の他の領域に比べてフィルタの内側の海水における海苔の存在する密度を低くすることが可能であれば、どのような構成であってもよい。
【0017】
本実施形態で用いられるパンチングメタル102の壁面には、複数の孔が設けられている。パンチングメタル102は筒状に形成されている。パンチングメタル102の壁面外側から内側に液体が通過する際には、液体に含まれる海苔がパンチングメタル102の壁面にひっかかり、液体のみが孔を通る、という事象が生じる。そのため、パンチングメタル102内の海苔の密度は、パンチングメタル102の外側の海苔の密度よりも低くなる。
【0018】
攪拌槽10内の海水の一部は、セルプラポンプ20によって海苔原藻分離装置30に運ばれる。攪拌槽10とセルプラポンプ20とは、経路802を用いて接続され、セルプラポンプ20と海苔原藻分離装置30とは経路803を用いて接続される。経路802及び経路803は、いずれも海水を通すことが可能な管を用いて構成されてもよい。経路802の端部のうち攪拌槽10側の端部は、例えばパンチングメタル102内に挿入されてもよい。このように構成されることによって、経路802及び経路803を経由して海苔原藻分離装置30に運ばれる海水に含まれる海苔の量を、少しでも減らすことが可能となる。
【0019】
海苔原藻分離装置30は、自装置に投入された海水と海苔(海苔原藻)とを分離する。海苔を含む海水は、経路804を経由して攪拌槽10に戻される。経路804は、海水を通すことが可能な管を用いて構成されてもよい。海苔と分離された海水は、経路811を経由してバッファ水槽40に運ばれる。
【0020】
バッファ水槽40は、液体を蓄えることが可能な容器を用いて構成される。バッファ水槽40には、海苔原藻分離装置30によって海苔と分離された海水が投入される。バッファ水槽40は、容器内に溶存酸素濃度センサー501を備える。溶存酸素濃度センサー501は、バッファ水槽40内の海水の酸素濃度を測定する。溶存酸素濃度センサー501は、測定結果を制御装置50に出力する。また、バッファ水槽40には経路812が設けられており、経路812を経由してバッファ水槽40内の海水は高濃度気体溶解装置60に供給される。経路812は、海水を通すことが可能な管を用いて構成されてもよい。
【0021】
制御装置50は、例えば溶存酸素濃度センサー501と組み合わせてICTブイのような装置として構成されてもよい。制御装置50は、溶存酸素濃度センサー501の測定結果に応じて高濃度気体溶解装置60の動作を制御する。制御装置50の制御に応じて、高濃度気体溶解装置60から攪拌槽10に供給される海水内に溶存している酸素の濃度が変化する。
【0022】
高濃度気体溶解装置60は、制御装置50の制御に応じて動作する。高濃度気体溶解装置60は、自装置内を経由して流れる液体(本実施形態では海水)に対して所定の気体(本実施形態では酸素)を溶解させる。高濃度気体溶解装置60を単位時間当たり一定の量の海水が流れるように制御されてもよい。高濃度気体溶解装置60を経由して流れた海水は、経路813を経由して攪拌槽10に運ばれる。経路813は、海水を通すことが可能な管を用いて構成されてもよい。
【0023】
図2は、制御装置50の構成の概略を示す概略ブロック図である。制御装置50は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)、パーソナルコンピューター、専用機器などの情報機器を用いて構成される。制御装置50は、入力部51、出力部52、記憶部53及び制御部54を備える。
【0024】
入力部51は、他の装置からデータや信号を自装置に入力するインターフェースである。入力部51は、溶存酸素濃度センサー501とケーブルで接続され、溶存酸素濃度センサー501から出力された信号を入力する。
【0025】
出力部52は、他の装置にデータや信号を自装置に入力するインターフェースである。出力部52は、高濃度気体溶解装置60とケーブルで接続され、高濃度気体溶解装置60に対し制御信号を出力する。
【0026】
記憶部53は、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部53は、条件情報記憶部531として機能する。条件情報記憶部531は、高濃度気体溶解装置60の動作の制御条件に関する情報を記憶する。後述する濃度制御部541は、制御条件にしたがって動作する。制御条件は、溶存酸素濃度センサー501の測定結果に基づいて、高濃度気体溶解装置60の制御内容を決定するための条件である。溶存酸素濃度センサー501の測定結果における濃度が基準よりも少ない場合には、高濃度気体溶解装置60において酸素を海水に溶解させることで濃度が基準を満たすように制御条件が定められている。以下、制御条件の複数の具体例について説明する。
【0027】
第一具体例では、一つの閾値が制御条件として定められる。この場合、濃度制御部541は、測定結果が閾値未満である場合に、高濃度気体溶解装置60を動作させて酸素を海水に溶解させる処理を実行させる。濃度制御部541は、測定結果が閾値以上である場合に、高濃度気体溶解装置60を動作させない。
【0028】
第二具体例では、複数の閾値が、高濃度気体溶解装置60が溶解させる酸素の量と対応づけて制御条件として定められる。この場合、濃度制御部541は、測定結果に応じた閾値に対応付けられている酸素の量を海水に溶解させるように高濃度気体溶解装置60を動作させる。複数の閾値の中の一つの閾値には、高濃度気体溶解装置60を動作させない(酸素を溶解させない)ことが対応付けられていてもよい。
【0029】
第三具体例では、複数の制御条件が条件パラメータと対応付けて条件情報記憶部531に記憶される。条件パラメータは、ガス供給システム100に関するパラメータである。より具体的には、条件パラメータは、攪拌槽10の大きさ、高濃度気体溶解装置60の性能(例えば単位時間当たりに海水に溶解させることが可能な酸素量)、バッファ水槽40の大きさ、海苔原藻分離装置30の性能などを示す。条件パラメータ毎に、その条件にてきした制御条件が記憶されている。制御条件そのものは、上述した第一具体例のように構成されてもよいし、第二具体例のように構成されてもよい。この場合、濃度制御部541は、予め自装置に設定されている条件パラメータに関する情報に基づいて、適した条件情報を複数の中から選択し、選択された条件情報を用いて高濃度気体溶解装置60を制御する。
【0030】
第四具体例では、条件情報はバッファ水槽40内の海水の酸素濃度と攪拌槽10内の海水の酸素濃度との関係を示す関係式を含む。また、条件情報は、1又は複数の閾値と高濃度気体溶解装置60を動作させることに関する情報とを対応付けて有する。濃度制御部541は、関係式を用いることによって、バッファ水槽40内の海水の酸素濃度(溶存酸素濃度センサー501の測定結果)に基づいて、攪拌槽10内の海水の酸素濃度を推定する。濃度制御部541は、推定結果に応じた閾値に対応付けられている情報にしたがって高濃度気体溶解装置60を動作させる。
【0031】
以上、条件情報について4つの具体例を説明したが、条件情報は上述した具体例に限定される必要は無い。
【0032】
制御部54は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリー(主記憶装置)とを用いて構成される。制御部54は、プロセッサーがプログラムを実行することによって濃度制御部541として機能する。なお、制御部54の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0033】
濃度制御部541は、条件情報記憶部531に記憶されている情報に基づいて高濃度気体溶解装置60の動作を制御する。
【0034】
図3は、制御装置50の処理の具体例を示すフローチャートである。まず、濃度制御部541は、溶存酸素濃度センサー501の測定結果としてバッファ水槽40内の海水の酸素濃度を取得する(ステップS101)。濃度制御部541は、条件情報記憶部531に記憶されている条件情報に基づいて制御内容を決定する(ステップS102)。濃度制御部541は、決定した制御内容にしたがって高濃度気体溶解装置60を制御する(ステップS103)。濃度制御部541は、この動作を所定のタイミングで繰り返し実行する。
【0035】
このように構成されたガス供給システム100では、酸素濃度を測定するセンサーである溶存酸素濃度センサー501は、攪拌槽10ではなくバッファ水槽40に設置される。バッファ水槽40には、海苔原藻分離装置30によって海苔と分離された海水が貯められるため、海苔等の生体の量(密度)が攪拌槽10と比べて相対的に少ない。そのため、より精度良く海水の酸素濃度を測定することが可能となる。
【0036】
また、バッファ水槽40には、攪拌機101が設置されていない。このようなバッファ水槽40内の海水の酸素濃度を測定することによっても、より精度良く海水の酸素濃度を測定することが可能となる。
【0037】
図4は、ガス供給システム100の変形例を示す図である。
図4に示される変形例では、制御装置50はネットワークを介して溶存酸素濃度センサー711及び高濃度気体溶解装置60に通信可能に接続される。
図4に示される変形例では、制御装置50は溶存酸素濃度センサー501と物理的に離れた場所に設置される。そのため、制御装置50は、溶存酸素濃度センサー501と組み合わせたICTブイとしては構成されない。この場合、溶存酸素濃度センサー711は第一通信装置71に接続され、高濃度気体溶解装置60は第二通信装置72に接続される。第一通信装置71は、例えば溶存酸素濃度センサー711と組み合わせてICTブイのような装置として構成されてもよい。第一通信装置71及び第二通信装置72は、ネットワークを介して制御装置50と通信する。第一通信装置71は、ネットワークを介して制御装置50に溶存酸素濃度センサー711の測定結果を送信する。第二通信装置72は、ネットワークを介して制御装置50から高濃度気体溶解装置60の制御内容を示すデータを受信する。第二通信装置72は、受信された制御内容を示すデータを高濃度気体溶解装置60に対して出力する。高濃度気体溶解装置60は、第二通信装置72から取得したデータに応じて動作する。この場合、制御装置50は、クラウドとして構成されてもよい。この場合、制御装置50の入力部51及び出力部52は、それぞれ通信装置を用いて構成される。入力部51及び出力部52は一体の通信装置として構成されてもよい。ネットワークは、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワークは、例えばインターネットを用いて構成されてもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)を用いて構成されてもよい。ネットワークは、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0038】
図5は、本実施形態に適用される情報処理装置90のハードウェア構成例の概略を示す図である。情報処理装置90は、プロセッサー91、主記憶装置92、通信インターフェース93、補助記憶装置94、入出力インターフェース95及び内部バス96を備える。プロセッサー91、主記憶装置92、通信インターフェース93、補助記憶装置94及び入出力インターフェース95は、内部バス96を介して互いに通信可能に接続される。情報処理装置90は、例えば制御装置50に適用されてもよい。この場合、例えば入力部51及び出力部52は通信インターフェース93を用いて構成されてもよいし、入出力インターフェース95を用いて構成されてもよい。例えば記憶部53は補助記憶装置94を用いて構成されてもよい。また、制御部54は、プロセッサー91及び主記憶装置92を用いて構成されてもよい。
【0039】
(変形例)
制御装置50は、複数の情報処理装置を用いて実装されてもよい。例えば、クラウド等の装置を用いて制御装置50が実装されてもよい。例えば、制御装置50において、記憶部53と制御部54とがそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。例えば、制御装置50の記憶部53が複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、制御装置50の制御部54が複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0040】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
100…ガス供給システム、 10…攪拌槽、 101…攪拌機、 102…パンチングメタル、 20…セルプラポンプ、 30…海苔原藻分離装置、 40…バッファ水槽、 501、711…溶存酸素濃度センサー、 50…制御装置、 51…入力部、 52…出力部、 53…記憶部、 531…条件情報記憶部、 54…制御部、 541…濃度制御部、 60…高濃度気体溶解装置
【手続補正書】
【提出日】2025-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と生体とを貯蔵し、槽内に攪拌機を備える容器である攪拌槽と、
前記攪拌槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器であるバッファ水槽と、
前記攪拌槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記バッファ水槽に送る分離装置と、
前記バッファ水槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定する濃度センサーと、
液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記攪拌槽に送るガス溶解装置と、
前記濃度センサーの測定結果に応じて、前記ガス溶解装置を制御する制御装置と、
を備えるガス供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記濃度センサーの測定結果に基づいて、1以上の閾値に応じた量のガスを溶かすように前記ガス溶解装置を制御する、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
液体と生体とを貯蔵し、槽内に攪拌機を備える容器である攪拌槽と、
前記攪拌槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器であるバッファ水槽と、
前記攪拌槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記バッファ水槽に送る分離装置と、
前記バッファ水槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定する濃度センサーと、
液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記攪拌槽に送るガス溶解装置と、を備えるガス供給システムにおいて、
前記濃度センサーの測定結果を取得するステップと、
前記測定結果に応じて前記ガス溶解装置を制御するステップと、
を有するガス供給方法。
【請求項4】
液体と生体とを貯蔵し、槽内に攪拌機を備える容器である攪拌槽と、
前記攪拌槽の液体から前記生体を分離して得られる液体を貯蔵する容器であるバッファ水槽と、
前記攪拌槽から吸い上げられた液体から前記生体を分離し、分離された液体を前記バッファ水槽に送る分離装置と、
前記バッファ水槽内の液体に溶けている所定のガスの濃度を測定する濃度センサーと、
液体に前記所定のガスを溶解し、前記液体を前記攪拌槽に送るガス溶解装置と、を備えるガス供給システムに備えられたコンピューターを、
前記濃度センサーの測定結果に応じて、前記ガス溶解装置を制御する制御装置として機能させるためのコンピュータープログラム。