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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027272
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】飲料缶ホルダー
(51)【国際特許分類】
   B65D 53/04 20060101AFI20250219BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20250219BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
B65D53/04
B65D41/04 200
B65D25/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131942
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加納 博明
【テーマコード(参考)】
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E062AA04
3E062AB02
3E062AC03
3E062BA01
3E062BB02
3E062BB10
3E062JA01
3E062JA08
3E062JB08
3E062JD09
3E084AB01
3E084CA01
3E084CC03
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC05
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA01
3E084HB01
3E084HC03
3E084KA04
(57)【要約】
【課題】飲料缶を再栓することが可能な飲料缶ホルダーを提供する。
【解決手段】飲料缶ホルダー10は、飲料缶100が入れられる開口を上部に有して飲料缶100の缶胴を収容可能に構成された本体部20と、本体部20の上部に固定されることにより飲料缶100の上蓋に被せられる蓋部40と、本体部20に対する蓋部40の固定によって、飲料缶100の上蓋が有する飲み口の周りで当該上蓋に押し付けられるシール部材と、を備える。飲料缶ホルダー10は、シール部材が上蓋に当接することにより飲み口の周囲に区画される空間の内と外とを連通可能に構成された脱気部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料缶が入れられる開口を上部に有して前記飲料缶の缶胴を収容可能に構成された本体部と、
前記本体部の上部に固定されることにより前記飲料缶の上蓋に被せられる蓋部と、
前記本体部に対する前記蓋部の固定によって、前記飲料缶の前記上蓋が有する飲み口の周りで当該上蓋に押し付けられるシール部材と、を備える飲料缶ホルダーであって、
前記シール部材が前記上蓋に当接することにより前記飲み口の周囲に区画される空間がシール空間であり、前記シール空間の内と外とを連通可能に構成された脱気部を有する
飲料缶ホルダー。
【請求項2】
前記シール部材は、弾性変形可能に構成された封止部であって、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって、前記飲料缶の前記上蓋が有する飲み口の周りで当該上蓋に押し付けられる環状の前記封止部を備え、
前記封止部は、前記本体部に対する前記蓋部の固定が緩められるとき、当該固定によって生じた変形の復元に伴って前記封止部の内側と外側とを連通する前記脱気部を備える
請求項1に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項3】
前記脱気部は、前記封止部の下端に位置する切り欠きである
請求項2に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項4】
前記飲料缶の前記上蓋は、前記缶胴と前記上蓋との接続部分である巻締部に沿った環状の溝である缶溝を有し、
前記封止部は、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって前記缶溝に嵌められる環状の嵌合片を備え、
前記嵌合片が、前記脱気部を有する
請求項2または3に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項5】
前記本体部の上端と、前記蓋部の内側面とに、前記本体部に対する前記蓋部の螺着の進行のための回転を規制する構造を有する
請求項1に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項6】
前記シール部材は、前記蓋部に向けられた上面を有する主壁部を備えて前記蓋部の内側に取り付けられており、
前記蓋部は、前記シール部材の前記主壁部の上面に接する頂壁部を備え、
前記頂壁部は、当該頂壁部を貫通する貫通孔を有する
請求項1に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項7】
前記シール部材は、前記蓋部よりも高い弾性を有するとともに、前記蓋部に向けて凸となる曲面状の上面を有する主壁部と、前記主壁部を囲む環状の外周部と、前記主壁部の上面と前記外周部との間で下方に窪む環状溝と、を備え、
前記蓋部の頂部の内側面は、前記シール部材の前記主壁部と前記外周部と前記環状溝とが構成する凹凸に対応する凹凸を有し、これらの凹凸が嵌め合わされることにより前記蓋部の内側に前記シール部材が取り付けられている
請求項1に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項8】
前記シール部材は、
前記外周部の内側において前記主壁部の下面から下方に延びる環状の封止部と、
前記封止部と前記外周部との間に位置する環状の差込溝と、をさらに備え、
前記封止部は、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって前記上蓋に接する封止面を有し、
前記本体部に対する前記蓋部の固定によって、前記飲料缶における前記缶胴と前記上蓋との接続部分である巻締部が、前記差込溝に差し込まれる
請求項7に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項9】
前記本体部は、側面に複数の開口を有するとともに、隣り合う前記開口の間で当該本体部の上部と底部とを繋ぐ連結部と、前記連結部の外側面に位置して前記連結部の延びる方向に沿って延びるリブと、を備える
請求項1に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項10】
前記本体部は、側面に開口である第1側面口を有し、
前記第1側面口から、前記蓋部を前記本体部の内側に収納可能である
請求項1に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項11】
前記本体部は、前記第1側面口と向かい合う開口である第2側面口を側面に有し、
前記本体部の延びる方向において、前記第1側面口における最大径は、前記蓋部の外径よりも大きく、前記第2側面口における最大径は、前記蓋部の外径よりも小さい
請求項10に記載の飲料缶ホルダー。
【請求項12】
前記脱気部は、前記シール空間と前記蓋部の外部の空間とを連通可能に構成された弁である
請求項1に記載の飲料缶ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料缶を保持する飲料缶ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲用に際して水や炭酸水等で希釈される飲料である希釈飲料が知られている。近年、希釈飲料の種類は、乳酸菌飲料や清涼飲料からアルコール飲料まで、多種に広がっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-95298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
希釈飲料は、飲用の際に希釈されるため、希釈飲料を収容する容器から少量ずつ出されて利用される。それゆえ、容器内の希釈飲料が一度に飲み切られることは稀である。容器内に残された希釈飲料の保存に際しては、飲料の風味の低下や飲料への異物の混入を抑えるために、容器が再栓されることが望ましい。
【0005】
一方で、希釈飲料の保管や陳列に要するスペースの削減等の観点から、希釈飲料を収容する容器として、飲料缶を用いたいという要請がある。しかしながら、一般に広く流通しているステイオンタブ式の飲料缶は、それ自体では再栓が不可能な構造を有している。それゆえ、飲料缶を再栓する手段が求められている。
【0006】
なお、飲料缶の再栓は、希釈飲料に限らず、飲料缶に残された飲料の保存に際して共通する課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための飲料缶ホルダーの各態様を記載する。
[態様1]飲料缶が入れられる開口を上部に有して前記飲料缶の缶胴を収容可能に構成された本体部と、前記本体部の上部に固定されることにより前記飲料缶の上蓋に被せられる蓋部と、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって、前記飲料缶の前記上蓋が有する飲み口の周りで当該上蓋に押し付けられるシール部材と、を備える飲料缶ホルダーであって、前記シール部材が前記上蓋に当接することにより前記飲み口の周囲に区画される空間がシール空間であり、前記シール空間の内と外とを連通可能に構成された脱気部を有する、飲料缶ホルダー。
【0008】
上記構成によれば、シール部材によって飲料缶の飲み口の周囲が封じられるため、開栓後の飲料缶の再栓が可能である。そして、再栓後に飲料から生じたガスによって飲み口の周囲の内圧が高まっている場合でも、脱気部によってシール空間の内外を連通させることでガスが抜ける。それゆえ、飲料缶の再度の開栓の際に、破裂音の発生が抑えられるとともに、本体部に対する蓋部の固定を円滑に緩めることができる。
【0009】
[態様2]前記シール部材は、弾性変形可能に構成された封止部であって、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって、前記飲料缶の前記上蓋が有する飲み口の周りで当該上蓋に押し付けられる環状の前記封止部を備え、前記封止部は、前記本体部に対する前記蓋部の固定が緩められるとき、当該固定によって生じた変形の復元に伴って前記封止部の内側と外側とを連通する前記脱気部を備える、[態様1]に記載の飲料缶ホルダー。
上記構成によれば、蓋部を開ける際に、脱気部からガスが抜けるため、内圧が徐々に下がる。したがって、簡易な構成で脱気部の機能が実現できる。
【0010】
[態様3]前記脱気部は、前記封止部の下端に位置する切り欠きである、[態様2]に記載の飲料缶ホルダー。
上記構成によれば、蓋部の固定が緩められることに伴い復元して封止部の内側と外側とを連通する脱気部の機能が、的確に得られる。
【0011】
[態様4]前記飲料缶の前記上蓋は、前記缶胴と前記上蓋との接続部分である巻締部に沿った環状の溝である缶溝を有し、前記封止部は、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって前記缶溝に嵌められる環状の嵌合片を備え、前記嵌合片が、前記脱気部を有する、[態様2]または[態様3]に記載の飲料缶ホルダー。
【0012】
上記構成において、シール部材が飲料缶に押し付けられたときに、嵌合片は潰れやすい。それゆえ、嵌合片が脱気部を有していることにより、蓋部の固定が緩められることに伴い復元して封止部の内側と外側とを連通する脱気部の機能が、的確に得られる。
【0013】
[態様5]前記本体部の上端と、前記蓋部の内側面とに、前記本体部に対する前記蓋部の螺着の進行のための回転を規制する構造を有する、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の飲料缶ホルダー。
【0014】
上記構成によれば、螺着の際に本体部に対して蓋部を締めすぎることが抑えられる。したがって、飲料から生じたガスによって飲み口の周囲の空間の内圧が高まっている場合でも、本体部に対する蓋部の固定を緩めるために大きな力が必要になることが抑えられる。
【0015】
[態様6]前記シール部材は、前記蓋部に向けられた上面を有する主壁部を備えて前記蓋部の内側に取り付けられており、前記蓋部は、前記シール部材の前記主壁部の上面に接する頂壁部を備え、前記頂壁部は、当該頂壁部を貫通する貫通孔を有する、[態様1]~[態様5]のいずれか1つに記載の飲料缶ホルダー。
【0016】
上記構成によれば、貫通孔に棒状の構造物を挿入してシール部材を押し下げることにより、蓋部に対してシール部材が強く固定されている場合であっても、蓋部からシール部材を容易に取り外すことができる。したがって、シール部材の洗浄が容易である。
【0017】
[態様7]前記シール部材は、前記蓋部よりも高い弾性を有するとともに、前記蓋部に向けて凸となる曲面状の上面を有する主壁部と、前記主壁部を囲む環状の外周部と、前記主壁部の上面と前記外周部との間で下方に窪む環状溝と、を備え、前記蓋部の頂部の内側面は、前記シール部材の前記主壁部と前記外周部と前記環状溝とが構成する凹凸に対応する凹凸を有し、これらの凹凸が嵌め合わされることにより前記蓋部の内側に前記シール部材が取り付けられている、[態様1]~[態様6]のいずれか1つに記載の飲料缶ホルダー。
【0018】
上記構成によれば、シール部材と蓋部とが上方向に凸な曲面を有するため、飲料から生じたガスによって飲み口の周囲の空間の内圧が高まっている場合でも、内圧による変形が抑えられる形状にシール部材および蓋部を形成することが可能である。また、凹凸の嵌め合わせによって蓋部の内側にシール部材が取り付けられているため、蓋部に対するシール部材の固定が強められ、蓋部からのシール部材のずれが抑えられる。それゆえ、本体部に蓋部が固定されたとき、シール部材によって飲料缶の飲み口の周囲が的確に封じられる。
【0019】
[態様8]前記シール部材は、前記外周部の内側において前記主壁部の下面から下方に延びる環状の封止部と、前記封止部と前記外周部との間に位置する環状の差込溝と、をさらに備え、前記封止部は、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって前記上蓋に接する封止面を有し、前記本体部に対する前記蓋部の固定によって、前記飲料缶における前記缶胴と前記上蓋との接続部分である巻締部が、前記差込溝に差し込まれる、[態様7]に記載の飲料缶ホルダー。
上記構成によれば、シール部材による飲料缶の上部に対する封止機能が高められるため、飲み口付近の密封性が高められる。
【0020】
[態様9]前記本体部は、側面に複数の開口を有するとともに、隣り合う前記開口の間で当該本体部の上部と底部とを繋ぐ連結部と、前記連結部の外側面に位置して前記連結部の延びる方向に沿って延びるリブと、を備える、[態様1]~[態様8]のいずれか1つに記載の飲料缶ホルダー。
【0021】
上記構成によれば、本体部が側面に開口を有しているため、飲料缶ホルダーに飲料缶が保持されている状態で、飲料缶の側面が視認可能である。また、本体部が側面に開口を有していることにより、本体部に対する蓋部の固定を緩める際に、利用者は本体部と共に飲料缶を掴むことができるため、本体部と飲料との位置を安定させることができる。さらに、連結部の外側面にリブが設けられているため、連結部の強度が高められるとともに、利用者がリブに指を掛けることにより連結部の部分で本体部を掴みやすくなる。そのため、利用者は、本体部に対する蓋部の固定を緩めるための力を、飲料缶ホルダーに加えやすくなる。
【0022】
[態様10]前記本体部は、側面に開口である第1側面口を有し、前記第1側面口から、前記蓋部を前記本体部の内側に収納可能である、[態様1]~[態様9]のいずれか1つに記載の飲料缶ホルダー。
【0023】
上記構成によれば、本体部が側面に開口を有しているため、飲料缶ホルダーに飲料缶が保持されている状態で、飲料缶の側面が視認可能である。また、本体部が側面に開口を有していることにより、本体部に対する蓋部の固定を緩める際に、利用者は本体部と共に飲料缶を掴むことができるため、本体部と飲料との位置を安定させることができる。さらに、第1側面口から、蓋部を本体部の内側に収納可能である。これにより、本体部の上部に蓋部を取り付けた状態よりも、飲料缶ホルダーを小型化することができる。したがって、保管や輸送等に際して飲料缶ホルダーが要するスペースを削減することができる。
【0024】
[態様11]前記本体部は、前記第1側面口と向かい合う開口である第2側面口を側面に有し、前記本体部の延びる方向において、前記第1側面口における最大径は、前記蓋部の外径よりも大きく、前記第2側面口における最大径は、前記蓋部の外径よりも小さい、[態様10]に記載の飲料缶ホルダー。
上記構成によれば、第1側面口から本体部の内側に入れられた蓋部が、第2側面口から本体部の外に出てしまうことが抑えられるため、蓋部の安定した収納が可能である。
【0025】
[態様12]前記脱気部は、前記シール部材が前記上蓋に押し付けられることによって前記シール空間と前記蓋部の外部の空間とを連通可能に構成された弁である、[態様1]に記載の飲料缶ホルダー。
【0026】
上記構成によれば、再栓後に飲料から生じたガスによって飲み口の周囲の内圧が高まっている場合でも、脱気弁によってシール空間の内外を連通させることでガスが抜ける。それゆえ、脱気部の機能が的確に実現できる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、飲料缶を再栓することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、第1実施形態の飲料缶ホルダーの斜視構造を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の飲料缶ホルダーの構成部材を分離して示す図である。
図3図3は、第1実施形態の飲料缶ホルダーにおける本体部の側面構造を示す図である。
図4図4は、第1実施形態の飲料缶ホルダーにおけるシール部材の斜視構造を示す図である。
図5図5は、第1実施形態の飲料缶ホルダーの断面構造を示す図である。
図6図6は、第1実施形態の飲料缶ホルダーにおいて、本体部に蓋部を入れる過程を示す図である。
図7図7は、第1実施形態の飲料缶ホルダーの収納形態を示す図である。
図8図8は、第2実施形態の飲料缶ホルダーの斜視構造を示す図である。
図9図9は、第2実施形態の飲料缶ホルダーの断面構造の一部を示す図である。
図10図10は、第3実施形態の飲料缶ホルダーにおける本体部の斜視構造を示す図である。
図11図11は、第3実施形態の飲料缶ホルダーにおける蓋部の斜視構造を示す図である。
図12図12は、第3実施形態の変形例の飲料缶ホルダーにおける本体部の斜視構造を示す図である。
図13図13は、第3実施形態の変形例の飲料缶ホルダーにおける蓋部の斜視構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
図1図7を参照して、飲料缶ホルダーの第1実施形態を説明する。なお、以下の説明における上下および左右の各方向は、飲料缶ホルダーを水平面に静置した状態での方向に対応する。
【0030】
[飲料缶ホルダーの構成]
図1に示すように、飲料缶ホルダー10は、飲料缶100の缶胴を収容する本体部20と、本体部20の上部に固定されることにより飲料缶100の上蓋に被せられる蓋部40と、を備える。
【0031】
飲料缶ホルダー10の保持対象である飲料缶100は、例えば、350mLや500mLの容量を有するステイオンタブ式の飲料缶である。飲料缶ホルダー10は、保持対象の飲料缶100の大きさに応じた大きさに形成されている。飲料缶100の内容物である飲料の種類は、特に限定されない。飲料缶ホルダー10は、飲料缶100の内容物が希釈飲料である場合に、好適に用いられる。また、飲料缶ホルダー10は、飲料缶100の内容物が、炭酸飲料や発酵飲料のように、ガスを出しやすい飲料である場合に、好適に用いられる。
【0032】
図2を参照して、飲料缶ホルダー10の構成をさらに説明する。飲料缶ホルダー10は、図2に示すように、上述した本体部20および蓋部40に加えて、シール部材60を備えている。シール部材60は、蓋部40の内側に取り付けられる。
【0033】
各部の詳細な構造について説明する。本体部20は、上端が開口された有底の筒状を有する。本体部20を構成する筒は、上下方向に沿った中心軸を有する筒である。上端の開口が、上部口30である。さらに、本体部20は、側面に、第1側面口31と第2側面口32との2つの開口を有するとともに、底部に、1つの開口である底部口33を有する。
【0034】
本体部20の周方向において、第1側面口31と第2側面口32との間には、一対の連結部21が位置し、この連結部21によって側面口31,32が区切られている。連結部21は、本体部20を構成する筒が延びる方向である延伸方向に沿って延びる。言い換えれば、本体部20は、上部口30を有する上部と、底部口33を有する底部とが、連結部21によって繋がれた構造を有する。
【0035】
上部口30は円形であり、上部口30の径は、本体部20の上部における内径と一致する。すなわち、本体部20の上面全体が開口されている。上部口30の径は、飲料缶100の缶胴の外径よりも大きい。本体部20は、上部の外側面に、ねじ山とねじ溝とからなるねじ部22を有する。ねじ部22は、本体部20の周方向に沿って延びている。
【0036】
底部口33は円形であり、底部口33の径は、本体部20の底部における内径よりも小さい。すなわち、本体部20の底面において、底面の中央を含む一部が開口されている。底部口33の径は、飲料缶100の缶胴の外径よりも小さい。なお、本体部20の底部の内径は、本体部20の上部の内径と一致していてもよいし、上部の内径よりも小さくてもよい。図面においては、本体部20の内径が、底部から上部に向けて徐々に大きくなる形態を示している。
【0037】
一対の連結部21は、本体部20の中心軸を挟んで互いに向かい合う。本体部20は、連結部21の外側面に、延伸方向に沿って延びる外リブ23を有している。外リブ23は、本体部20の周方向において、連結部21の中央に位置する。
【0038】
また、本体部20は、本体部20の内側面に、延伸方向に沿って延びる内リブ24を有している。内リブ24は、例えば、連結部21の内側面、本体部20の上部における側面口31,32の各々の上に位置する部分の内側面に位置する。内リブ24が設けられていることにより、本体部20の強度が高められるとともに、上部口30の径を大きく確保しつつも、本体部20に収容された飲料缶100が本体部20の内側で動くことを抑えられる。
【0039】
図3を参照して、側面口31,32の形状について詳しく説明する。図3に示すように、第1側面口31の中心と対向する位置から見て、第1側面口31は、略矩形形状の左右方向の中央部において、矩形の上辺から上方向に突出する上突出部34と、矩形の下辺から下方向に突出する下突出部35とを含む形状を有する。上突出部34と下突出部35とは互いに向かい合う。言い換えれば、第1側面口31における本体部20の周方向の中央部にて、上突出部34が上方に突出し、下突出部35が下方に突出するように、突出部34,35の位置で第1側面口31の外縁が窪んでいる。
【0040】
第2側面口32は、第2側面口32の中心と対向する位置から見て、突出部34,35を有さない場合の第1側面口31と同形の略矩形形状を有する。第1側面口31と第2側面口32とは、本体部20の中心軸を挟んで互いに向かい合っている。
【0041】
延伸方向における第1側面口31の最大径D1は、突出部34,35の位置での第1側面口31の径であり、最大径D1は、蓋部40の外径の最大値よりも大きい。一方、延伸方向における第2側面口32の最大径D2は、蓋部40の外径の最大値よりも小さい。
【0042】
図2に戻り、蓋部40の構造について説明する。蓋部40は、本体部20の上部に螺着される取付部41と、取付部41に対して上方に突出する頂部50と、頂部50の下端から張り出して取付部41と頂部50とを繋ぐ張出部45とを備える。
【0043】
取付部41は上下方向に沿った中心軸を有する筒状である。取付部41は、内側面に、ねじ山とねじ溝とからなるねじ部42を有する。ねじ部42は、取付部41の周方向に沿って延びている。取付部41は、本体部20の上部の外径に対応する内径を有する。
【0044】
頂部50は、円盤状の頂壁部51と、頂壁部51を囲む周壁部54とを備えている。頂部50の外径は、取付部41の外径よりも小さい。上下方向に沿った方向から見て、取付部41の内側に頂部50が位置し、取付部41と頂部50との間に張出部45が位置する。
【0045】
頂壁部51は、上下方向に沿った方向から見て円形状を有する。頂壁部51の上面および下面は、球面の一部に対応する曲面であって、上方向に凸な面である。頂壁部51は、頂壁部51の外縁付近に、頂壁部51を貫通する孔である貫通孔52を有している。また、頂壁部51は、頂壁部51の中央に、頂壁部51の下面から下方に突き出る半球状の突起53を有している。
【0046】
周壁部54は、頂壁部51の外縁から立ち上がる内壁部55と、蓋部40の径方向において内壁部55の外側に位置する外壁部56と、内壁部55の上端と外壁部56の上端とを繋ぐ上壁部57とを備える。上下方向に沿った方向から見て、上壁部57は、円環の帯状を有する。
【0047】
張出部45は、取付部41の上端と外壁部56の下端とを繋いでいる。上下方向に沿った方向から見て、張出部45は円環の帯状を有する。張出部45の外周縁から取付部41が下方に延び、張出部45の内周縁から外壁部56が上方に延びている。
【0048】
続いて、シール部材60の構造について説明する。シール部材60は、蓋部40における頂部50の内側に取り付けられる。
シール部材60は、上下方向に沿った方向から見て円形状を有し、円盤状の主壁部61と、主壁部61を囲む外周部63とを備えている。シール部材60は、蓋部40の頂部50の内径に対応する外径を有する。
【0049】
主壁部61は、上下方向に沿った方向から見て円形状を有する。主壁部61の上面および下面は、球面の一部に対応する曲面であって、上方向に凸な面である。主壁部61は、主壁部61の中央部に、主壁部61の上面において窪む半球状の窪み62を有している。
【0050】
外周部63は円環状を有し、シール部材60はさらに、主壁部61と外周部63との間に、主壁部61の上面の外縁から下方に窪む溝である環状溝64を備えている。上下方向に沿った方向から見て、環状溝64は円環の帯状を有する。
【0051】
図4を参照して、シール部材60の裏側の構造を説明する。シール部材60の裏側は、下方に向けられて飲料缶100と対向する側であって、図4はシール部材60を裏側から見た図である。すなわち、図4における紙面下から上に向かう方向が、シール部材60の上から下に向かう方向である。
【0052】
シール部材60は、主壁部61の下面の縁部から下方に延びる封止部70を備えている。封止部70は円環状を有し、シール部材60の径方向において外周部63の内側に位置する。シール部材60はさらに、封止部70と外周部63との間に円環状の細い溝である差込溝74を有している。
【0053】
封止部70は、下端に円環の帯状の面である封止面71を有するとともに、封止面71における径方向の最外部から下方に突出する嵌合片72を備えている。嵌合片72は、円環状を有し、外周部63の下端よりも下方に突き出ている。嵌合片72は、基部の内側、すなわち封止面71と繋がる部分に、封止面71に対する段差状の構造を有している。
【0054】
嵌合片72は、円環の途中に、嵌合片72の下端が切り欠かれた部分である切欠部73を有している。例えば、嵌合片72は、2つの切欠部73を有し、2つの切欠部73は、嵌合片72が構成する円環において互いに向かい合う位置に配置されている。切欠部73は、脱気部の一例である。なお、切欠部73の数は、2つに限らず、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。
【0055】
シール部材60は、弾性変形可能に構成されている。シール部材60は、本体部20および蓋部40の各々よりも高い弾性を有する。シール部材60の材料は、例えば、シリコーンである。本体部20および蓋部40の材料は、例えば、ABS樹脂やポリプロピレン樹脂である。本体部20と蓋部40との材料は、互いに異なっていてもよい。例えば、本体部20がABS樹脂製であり、蓋部40がポリプロピレン樹脂製である場合のように、蓋部40は、本体部20よりも剛性の低い材料から形成されていてもよい。
【0056】
[飲料缶の保持構造]
図5を参照して、飲料缶ホルダー10による飲料缶100の保持構造について説明する。図5は、飲料缶100を保持した状態の飲料缶ホルダー10の断面構造を示す。
【0057】
まず、蓋部40にシール部材60が組み付けられた構造について説明する。シール部材60は、シール部材60の上面の凹凸と、蓋部40における頂部50の内側面の凹凸とが嵌め合わされることによって、蓋部40に取り付けられている。
【0058】
詳細には、頂部50の内側面にて、周壁部54の内壁部55と外壁部と56と上壁部57とによって区画される凹部58に、シール部材60の外周部63の上部が嵌められる。上下方向において、外周部63の長さは、外壁部56の長さよりも小さく、外周部63は頂部50よりも下方へは突出しない。
【0059】
さらに、頂部50の内側面にて、頂壁部51と周壁部54との境界部分には、頂壁部51の外縁と内壁部55の下端とから構成される凸部59が位置し、この凸部59が、シール部材60の環状溝64に嵌められる。頂壁部51の下面には、シール部材60の主壁部61の上面が接し、頂壁部51の中央に位置する突起53は、主壁部61の中央部の窪み62に嵌まる。
【0060】
このように、蓋部40の頂部50の内側面は、シール部材60の主壁部61と外周部63と環状溝64とが構成する凹凸に対応する凹凸を有し、頂部50とシール部材60とは隙間なく密着している。シール部材60が弾性を有することにより、頂部50とシール部材60との間に隙間が形成されることを好適に抑えることができる。シール部材60の洗浄等のために頂部50からシール部材60を取り外す場合には、頂部50の頂壁部51の貫通孔52から、棒状の構造物でシール部材60を押し下げることにより、蓋部40とシール部材60とを容易に分離することができる。
【0061】
続いて、飲料缶100の保持構造について説明する。飲料缶100は、円筒状の缶胴105と、缶胴105の上端を塞ぐ上蓋101とを備える。さらに、飲料缶100は、上蓋101と缶胴105との接続部分である巻締部102を有する。巻締部102は、上蓋101を缶胴105に取り付ける際にかしめ加工が施された部分である。巻締部102は、上蓋101の外縁に沿った環状を有し、上蓋101の上面よりも上方に突き出ている。上蓋101の上面は、上蓋101において飲み口104が形成されている面である。そして、上蓋101は、巻締部102に沿った環状の溝である缶溝103を縁部に有している。
【0062】
飲料缶100は、本体部20の上部口30から、本体部20の内側に入れられる。飲料缶100の底部は、本体部20の底部によって支持され、飲料缶100の缶胴105の上部は、本体部20の上部によって支持される。
【0063】
本体部20が側面口31,32を有していることから、本体部20が有色であっても、利用者は、飲料缶100の側面を視認できる。したがって、利用者は、飲料缶ホルダー10に飲料缶100が保持された状態で、飲料缶100の内容物である飲料の種類を確認できる。また、飲料缶100の底面には、通常、飲料の製造ロットや賞味期限等の情報が記載されている。本体部20が底部口33を有していることから、本体部20が有色であっても、利用者は、飲料缶100の底面を視認できる。それゆえ、利用者は、飲料缶ホルダー10に飲料缶100が保持された状態で、飲料の情報を確認することができる。
また、本体部20が、側面口31,32および底部口33を有することにより、本体部20の軽量化や本体部20の形成に要する材料の削減も可能である。
【0064】
シール部材60が取り付けられた蓋部40が本体部20の上部に被せられ、本体部20のねじ部22と蓋部40のねじ部42とが嵌め合わせられることにより、蓋部40の取付部41が本体部20の上部の外側に固定される。ねじ部22,42の嵌め合わせに伴って蓋部40が下降することにより、シール部材60が、飲料缶100に押し付けられる。
【0065】
詳細には、シール部材60の封止部70が、飲料缶100の上蓋101に押し付けられる。これにより、封止部70の封止面71が、上蓋101の上面の外縁付近に密着する。さらに、シール部材60の嵌合片72が、缶溝103に嵌められる。そして、巻締部102が、シール部材60の差込溝74に差し込まれる。
【0066】
これにより、飲料缶100の飲み口104の外周で飲料缶100とシール部材60とが密着する。嵌合片72の基部が段差を有していれば、製品の型ごとに上蓋101の上面の径にわずかな違いがあったとしても、差込溝74内において嵌合片72を上蓋101の上面の外縁に密着させることが可能である。嵌合片72は、図4に示した切欠部73を有しているが、嵌合片72の下端が缶溝103に押し付けられることにより、切欠部73は潰れるため、飲料缶100と封止部70との間に隙間は形成されない。
【0067】
飲み口104の周囲は、上蓋101の上面とシール部材60の主壁部61の下面と封止部70の側面とによって区画された密封空間となる。言い換えれば、封止部70の内側の空間が、封止部70の外側の空間と遮断された密封空間となる。この飲み口104の周囲に区画された空間はシール空間の一例である。
【0068】
以上のように、本実施形態の飲料缶ホルダー10によれば、本体部20に蓋部40が固定されることによって、シール部材60が飲料缶100に押し付けられ、飲み口104の周囲が封じられる。したがって、開栓後の飲料缶100の再栓が可能である。そのため、飲料缶100に残された飲料の風味の低下や飲料缶100内への異物の混入が抑えられる。
【0069】
本実施形態の飲料缶ホルダー10によれば、飲料缶100の上部に取り付けられるキャップのみによって飲み口104の周囲を封じる構造と比べて、飲み口104付近の密封性を高めることが可能である。したがって、飲料缶100および飲料缶ホルダー10が倒れた場合でも、飲料が漏れることが抑えられる。
【0070】
特に、飲料缶100の内容物が、炭酸飲料や発酵飲料のようにガスを出しやすい飲料である場合、ガスの発生によって、飲み口104の周囲の空間の内圧が高くなる。そのため、キャップのみによって飲み口104の周囲を封じる構造では、キャップの浮きが生じて飲料が漏れやすい。
【0071】
一方、本実施形態の飲料缶ホルダー10では、本体部20に蓋部40が固定されることによって、飲料缶100に対するシール部材60の位置が規定されて、飲み口104の周囲が封じられる。本体部20に対する蓋部40の固定は、飲料缶100に対するキャップの固定と比較して強固な構造とすることが可能であるため、飲料缶100とシール部材60との間の空間の内圧が高くなったとしても、蓋部40およびシール部材60の浮きが抑えられることから、飲料の漏れを的確に抑えることができる。
【0072】
本体部20に対して蓋部40が螺着される構成であれば、本体部20に対する蓋部40の固定を緩めるためには、蓋部40を周方向に回転させることが必要であり、すなわち、内圧により蓋部40およびシール部材60が受ける力とは異なる方向の力が必要である。したがって、内圧の上昇に対して蓋部40の固定が緩むことが好適に抑えられる。
【0073】
さらに、蓋部40の頂壁部51およびシール部材60の主壁部61が上方向に凸となるように曲率を有しているため、内圧の上昇に対する主壁部61および頂壁部51の変形が抑えられる。
【0074】
また、本実施形態では、本体部20および蓋部40によって飲料缶100の全体が支持されるため、飲料缶100の保持の安定性が高められる。したがって、飲料缶100の転倒も抑えられやすい。
【0075】
飲料缶100を再び開栓する際には、蓋部40を周方向に回転させることにより、本体部20に対する蓋部40の固定を緩める。このとき、蓋部40の固定が緩められることに伴う蓋部40の上昇に従って、飲料缶100に対するシール部材60の押圧が弱まり、弾性変形していたシール部材60の形状が復元される。すなわち、嵌合片72が缶溝103に押し付けられることにより潰れていた切欠部73の形状が元に戻る。
【0076】
これにより、切欠部73の位置で飲料缶100の上蓋101とシール部材60の封止部70との間に隙間が生じて、封止部70の内側と外側との空間が連通されるため、飲み口104付近の密封が解除される。その結果、飲料から発生したガスが飲み口104の周囲の空間に溜まっていた場合であっても、ガスが切欠部73から徐々に抜ける。
【0077】
飲料缶100とシール部材60との間の空間の内圧が高くなっている状態で、本体部20に対する蓋部40の固定を緩めようとすると、大きな力が必要であることに加え、飲み口104付近の密封が一気に解除されると、大きな破裂音が生じてしまう。
【0078】
これに対し、本実施形態では、ガスが切欠部73から抜けることにより、内圧が徐々に下がるため、破裂音の発生が抑えられるとともに、本体部20に対する蓋部40の固定を円滑に緩めることができる。
【0079】
また、本体部20に側面口31,32が設けられているため、本体部20に対する蓋部40の固定を緩める際には、利用者は本体部20と共に飲料缶100を直接に掴むことができる。これにより、本体部20に対して飲料缶100が動くことが抑えられて飲料缶100の位置が安定するため、蓋部40の固定を緩めるための操作が行いやすくなる。
【0080】
そして、蓋部40の固定を緩める際には、利用者は、本体部20の連結部21と共に飲料缶100を掴んで連結部21を押さえながら、蓋部40を回転させることが想定される。この場合、連結部21には大きな力がかかるが、連結部21に外リブ23が設けられていることから、連結部21の強度が高められるため、連結部21の変形が抑えられる。また、外リブ23が設けられていることにより、利用者が連結部21を押さえるときに外リブ23に指が掛かるため、手の滑りが抑えられて、連結部21を押さえやすくなる。
【0081】
また、本体部20よりも剛性の低い材料から蓋部40が形成されていれば、蓋部40が本体部20と同様の高い剛性を有する場合と比べて、蓋部40の螺着を緩めることが容易になる。
【0082】
[飲料缶ホルダーの収納形態]
図6および図7を参照して、飲料缶ホルダー10の収納形態について説明する。例えば、飲料缶ホルダー10は、保管時や輸送時に収納形態とされる。
【0083】
図6に示すように、シール部材60が取り付けられた蓋部40が、本体部20の第1側面口31から、本体部20の内側に入れられる。上述のように、本体部20の延伸方向における第1側面口31の最大径、すなわち、突出部34,35が位置する部分の径は、蓋部40の外径の最大値、すなわち、取付部41の外径よりも大きい。そのため、第1側面口31における突出部34,35が位置する部分から、蓋部40を本体部20の内側に入れることができる。
【0084】
一方で、延伸方向における第2側面口32の最大径は、蓋部40の外径の最大値よりも小さい。したがって、第1側面口31から本体部20の内側に入れられた蓋部40が、第2側面口32から本体部20の外に出てしまうことは起こらない。
【0085】
なお、延伸方向にて、第1側面口31における突出部34,35が位置する部分以外の径は、向かい合う第2側面口32の径と一致しており、取付部41の外径よりは小さいが、頂部50の外径よりは大きい。突出部34,35の幅は、取付部41の上下方向の幅よりもやや大きい程度であり、第1側面口31から蓋部40を本体部20の内側に入れるとき、取付部41は突出部34,35が位置する拡径部分を通り、頂部50は第1側面口31のなかで拡径部分に隣接する部分を通る。
【0086】
図7に示すように、本体部20の内側に蓋部40が入れられた収納形態とすることにより、飲料缶100を保持するときのように本体部20の上部に蓋部40を取り付けた状態よりも、飲料缶ホルダー10を小型化することができる。したがって、保管や輸送等に際して飲料缶ホルダー10が要するスペースを削減することができる。
【0087】
また、第1側面口31からのみ、蓋部40を本体部20の内側に入れることが可能であり、第2側面口32からの蓋部40の出入りは規制されている。これにより、蓋部40が本体部20の外に出ることが抑えられ、収納形態の安定性が高められる。
【0088】
以上、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)本体部20に対する蓋部40の固定によって、シール部材60が飲料缶100に押し付けられ、飲み口104の周囲が封じられる。これにより、開栓後の飲料缶100の再栓が可能である。
【0089】
(2)シール部材60が、飲み口104の周りで上蓋101に押し付けられる環状の封止部70を備える。そして、封止部70が、本体部20に対する蓋部40の固定が緩められるときに、弾性変形の復元に伴って封止部70の内側と外側とを連通する切欠部73を備える。これにより、飲料から生じたガスによって封止部70の内側の空間であるシール空間の内圧が高まっている場合でも、蓋部40を開ける際に、ガスが切欠部73から抜けるため、内圧が徐々に下がる。それゆえ、破裂音の発生が抑えられるとともに、本体部20に対する蓋部40の固定を円滑に緩めることができる。
【0090】
(3)切欠部73が、封止部70の下端に位置する切り欠きであれば、蓋部40の固定が緩められることに従って復元して封止部70の内側と外側とを連通する切欠部73の機能が、的確に得られる。
【0091】
(4)封止部70が、缶溝103に嵌められる環状の嵌合片72を備え、嵌合片72が、切欠部73を有する。嵌合片72は、シール部材60において最も下方まで延び、かつ細いため、嵌合片72が切欠部73を有していれば、本体部20に対して蓋部40が固定されているときには、切欠部73が潰れやすい。したがって、蓋部40の固定が緩められることに従って復元して封止部70の内側と外側とを連通する切欠部73の機能が、的確に得られる。
【0092】
(5)シール部材60が、主壁部61と外周部63と封止部70とを有し、飲み口104の周囲がシール部材60で囲まれるため、飲み口104付近の密封性が高められる。
(6)シール部材60の主壁部61および蓋部40の頂壁部51が、上方向に凸となる曲率を有している。すなわち、主壁部61の上面と下面、および、頂壁部51の上面と下面が上方向に凸となる曲面である。これにより、シール部材60が飲み口104の周囲に区画する空間、すなわちシール空間の内圧が高まったとしても、主壁部61および頂壁部51の変形が抑えられる。
【0093】
(7)蓋部40の頂部50の内側面が、シール部材60の主壁部61と外周部63と環状溝64とが構成する凹凸に対応する凹凸を有し、これらの凹凸が嵌め合わされることによって蓋部40の内側にシール部材60が取り付けられている。こうした構成によれば、蓋部40に対するシール部材60の固定が強められ、蓋部40からのシール部材60のずれが抑えられることから、上記(1)の効果が好適に得られる。
【0094】
(8)蓋部40の頂壁部51が貫通孔52を有している。そのため、貫通孔52に棒状の構造物を挿入してシール部材60を押し下げることにより、蓋部40に対してシール部材60が強く固定されている場合であっても、蓋部40からシール部材60を容易に取り外すことができる。これにより、飲料が付着しやすいシール部材60を容易に洗浄することができる。したがって、カビ等の発生を抑えてシール部材60を清潔に保ちやすい。
【0095】
(9)シール部材60が、封止部70の外側に差込溝74を有し、本体部20に対する蓋部40の固定によって、飲料缶100の巻締部102が差込溝74に差し込まれる。これにより、シール部材60による飲料缶100の上部に対する封止機能が高められるため、飲み口104付近の密封性が高められる。
【0096】
(10)本体部20において、連結部21の外側面に、連結部21の延びる方向に沿って延びる外リブ23が設けられている。これにより、連結部21の強度が高められるとともに、利用者が外リブ23に指を掛けることにより連結部21の部分で本体部20を掴みやすくなる。そのため、利用者は、本体部20に対する蓋部40の固定を緩めるための力を、飲料缶ホルダー10に加えやすくなる。
【0097】
(11)本体部20の第1側面口31から、蓋部40を本体部20の内側に収納可能である。これにより、本体部20の上部に蓋部40を取り付けた状態よりも、飲料缶ホルダー10を小型化することができる。したがって、保管や輸送等に際して飲料缶ホルダー10が要するスペースを削減することができる。
【0098】
(12)本体部20の延びる方向において、第1側面口31における最大径は蓋部40の外径よりも大きく、第2側面口32における最大径は蓋部40の外径よりも小さい。これにより、第1側面口31から本体部20の内側に入れられた蓋部40が、第2側面口32から本体部20の外に出てしまうことが抑えられるため、蓋部40の安定した収納が可能である。
【0099】
(第2実施形態)
図8および図9を参照して、飲料缶ホルダーの第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0100】
図8に示すように、第2実施形態の飲料缶ホルダー11は、飲料缶ホルダー11が保持する飲料缶100の開栓に際して、飲料缶100とシール部材60との間の空間の内圧を下げるための脱気弁80を有している。脱気弁80は、脱気部の一例である。脱気弁80は、蓋部40の頂部50における頂壁部51の中央に取り付けられている。第2実施形態の飲料缶ホルダー11において、シール部材60は、切欠部73を有していない。
【0101】
図9に示すように、脱気弁80は、弁体部81と、利用者に操作される操作部82とを備えている。弁体部81は、頂壁部51を貫通して、シール部材60の主壁部61に組み付けられている。弁体部81は、柱状の上部に対して下部が拡径されて張り出した形状を有する。操作部82は、弁体部81の上部に接続されており、頂壁部51の外側に出ている。
【0102】
図9は、脱気弁80が閉められている状態を示し、この状態において、主壁部61は弁体部81を囲んで弁体部81に密着している。したがって、飲み口104の周囲の空間、すなわち、シール部材60の封止部70の内側の空間は密封されている。弁体部81の下面は、この密封された空間に面している。
【0103】
開栓の際には、利用者は、まず、飲料缶ホルダー11の外部から操作部82を押すことによって、弁体部81を押し下げる。弁体部81の下面が、当該下面の中央に対して外縁が上方に位置するように傾斜していると、下面が水平方向に沿った平面である場合と比べて、弁体部81の押し下げに反する方向に内圧が弁体部81の下面に作用することが抑えられる。したがって、弁体部81の押し下げに要する力が大きくなることを抑えられる。
【0104】
弁体部81が押し下げられることにより、シール部材60の主壁部61と弁体部81との間に隙間が生じて、封止部70の内側の空間が、蓋部40の外側の空間と連通される。これにより、飲み口104付近の密封が解除され、飲料から生じたガスが封止部70の内側の空間に溜まっていた場合であっても、ガスが蓋部40の外側の空間に抜ける。
【0105】
そして、こうした脱気弁80の操作後に本体部20に対する蓋部40の固定が緩められる。これにより、破裂音の発生が抑えられるとともに、本体部20に対する蓋部40の固定を円滑に緩めることができる。
【0106】
なお、第2実施形態では、弁体部81と操作部82とを分離させて脱気弁80を分解することにより、蓋部40およびシール部材60から脱気弁80を取り外すことが可能である。そして、脱気弁80が通されていた頂壁部51の孔を利用して、蓋部40からシール部材60を取り外すことができる。したがって、第2実施形態の飲料缶ホルダー11において、蓋部40の頂壁部51は貫通孔52を有していなくてよい。
【0107】
また、脱気弁80の位置は、脱気弁80が蓋部40を貫通してシール部材60に組み付けられ、弁体部81の下面が封止部70の内側の空間に面する位置であれば、特に限定されない。脱気弁80が頂壁部51および主壁部61の中央に取り付けられていると、利用者は、弁体部81の押し下げるための力を操作部82に加えやすい。
【0108】
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1),(5)~(7),(9)~(12)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(13)飲料缶ホルダー11が、飲み口104の周囲に区画される空間、すなわちシール空間と蓋部40の外部の空間とを連通可能に構成された脱気弁80を備える。こうした構成によれば、脱気弁80によって上記空間を連通させることで、飲み口104の周囲に溜まっているガスが抜けるため、本体部20に対する蓋部40の固定を緩める際に、破裂音の発生が抑えられるとともに、蓋部40の固定を緩めるために要する力が大きくなることを抑えられる。
(14)脱気弁80は、蓋部40の頂部50を貫通してシール部材60に組み付けられている。こうした構成によれば、脱気弁80の操作や取付が容易である。
【0109】
(第3実施形態)
図10図13を参照して、飲料缶ホルダーの第3実施形態を説明する。以下では、第3実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0110】
第3実施形態の飲料缶ホルダー12は、本体部20に対する蓋部40の螺着の進行のための回転を規制する構造を有する。具体的には、図10に示すように、本体部20は、本体部20の上端に、本体回転規制部25を備える。本体回転規制部25は、例えば、段差状の構造を含み、本体部20の上端の円環において互いに向かい合う位置に2つの本体回転規制部25が設けられている。図10に示す形態では、本体回転規制部25の位置で本体部20の上端の高さが急峻に変化する段差が形成されており、段差にて高くなった上端は、対向する本体回転規制部25に向けて徐々に低くなっている。
【0111】
また、図11に示すように、蓋部40は、張出部45の下面に蓋回転規制部46を備える。蓋回転規制部46は、例えば、本体回転規制部25の段差の端面を係止可能な突条状の構造を含み、張出部45の下面の円環において互いに向かい合う位置に2つの蓋回転規制部46が設けられている。図11に示す形態では、蓋回転規制部46は、本体部20の上端の高さの変化に対応して当該上端上に収まる形状の突条状を有する。
【0112】
第3実施形態においては、本体部20に螺着するために蓋部40を周方向に回転させた場合、螺着の進行に伴い蓋部40が下降して張出部45の下面が本体部20の上端近傍まで近づくと、本体回転規制部25と蓋回転規制部46との係合により、蓋部40の回転が規制される。例えば、蓋回転規制部46の突条の端面が本体回転規制部25の段差の端面に当接することにより、蓋部40をさらに回転させることができなくなる。回転規制部25,46は、飲料缶の飲み口の周囲がシール部材60によって的確に密封される程度に蓋部40の螺着が進行した位置、言い換えれば、飲料缶の上蓋に対するシール部材60の押し付けが適当となる位置まで蓋部40が下降した位置において、回転規制部25,46が係合するように配置される。
【0113】
これにより、蓋部40を本体部20に螺着する際に、本体部20に対して蓋部40を締めすぎることが抑えられる。したがって、開栓の際に、特に、飲料から発生したガスによって飲み口の周囲の空間の内圧が高くなっている場合であっても、本体部20に対する蓋部40の固定を緩めるために大きな力が必要になることが抑えられる。
【0114】
なお、本体回転規制部25と蓋回転規制部46とは、これらの係合により蓋部40の回転を規制する構造を有していればよく、回転規制部25,46の構造は上述した段差や突条とは異なっていてもよい。例えば、図12および図13に示す変形例の飲料缶ホルダー13においては、本体回転規制部25は、突起状の構造を含み、蓋回転規制部46は、本体回転規制部25の突起を係止可能な溝を区画する突条状の構造を含む。そして、本体回転規制部25の突起が蓋回転規制部46の溝に引っ掛かることにより、蓋部40の回転が規制される。
【0115】
また、回転規制部25,46以外の蓋部40およびシール部材60の構成には、第1実施形態の構成が適用されてもよいし、第2実施形態の構成が適用されてもよい。
【0116】
以上、第3実施形態によれば、第1実施形態および第2実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(15)飲料缶ホルダー12が、本体部20の上端と蓋部40の内側面とに、本体部20に対する蓋部40の螺着の進行のための回転を規制する構造を有する。これにより、蓋部40を本体部20に螺着する際に、本体部20に対して蓋部40を締めすぎることが抑えられる。したがって、本体部20に対する蓋部40の固定を緩めるために大きな力が必要になることが抑えられる。
【0117】
[変形例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0118】
飲料缶ホルダーが少なくとも本体部20と蓋部40とを備えていれば、飲料缶の上蓋に蓋部40を被せて蓋部40を本体部20の上部に固定することで、開栓後の飲料缶を再栓することは可能である。例えば、飲料缶に収容されている飲料が、炭酸飲料や発泡飲料とは異なる飲料であって、飲み口付近の高い密封性が必要とされない場合等には、飲料缶ホルダーは、シール部材60を備えていなくてもよいし、上記各実施形態とは異なる構造のシール部材あるいは蓋部によって、飲み口付近が封じられてもよい。また、本体部20は、飲料缶を収容可能であれば、上記各実施形態とは異なる構造を有していてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10,11,12,13…飲料缶ホルダー
20…本体部
21…連結部
23…外リブ
30…上部口
31,32…側面口
33…底部口
34,35…突出部
40…蓋部
41…取付部
50…頂部
51…頂壁部
52…貫通孔
54…周壁部
60…シール部材
61…主壁部
63…外周部
64…環状溝
70…封止部
71…封止面
72…嵌合片
73…切欠部
74…差込溝
100…飲料缶
101…上蓋
102…巻締部
103…缶溝
104…飲み口
105…缶胴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13