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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027340
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】穴検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/894 20060101AFI20250219BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20250219BHJP
   G01B 11/08 20060101ALI20250219BHJP
   G01V 8/20 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
G01N21/894 B
G01B11/00 H
G01B11/08 H
G01V8/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132073
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】竹村 将太
【テーマコード(参考)】
2F065
2G051
2G105
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA27
2F065BB01
2F065DD03
2F065FF02
2F065FF04
2F065GG01
2F065GG18
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL04
2F065MM02
2G051AA37
2G051AB04
2G051CA04
2G051CB02
2G051EC01
2G051ED01
2G051ED09
2G051ED21
2G105AA01
2G105BB17
2G105CC03
2G105DD02
2G105EE02
2G105FF03
2G105FF12
2G105GG03
2G105HH05
(57)【要約】
【課題】誤検出を低減可能な穴検出装置を提供する。
【解決手段】穴検出装置は、第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、を備える。前記判定部は、前記板状部材の前記第2方向に沿った長さの目標値を取得し、前記目標値に基づいて前記板状部材の端縁の存在予想範囲を決定し、前記存在予想範囲内において、前記板状部材の一対の端縁を検出し、前記第2方向における前記一対の端縁間の範囲を探索範囲とし、前記探索範囲において前記穴を探索する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、
前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、
前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、
前記板状部材の前記第2方向に沿った長さの目標値を取得し、
前記目標値に基づいて前記板状部材の端縁の存在予想範囲を決定し、
前記存在予想範囲内において、前記板状部材の一対の端縁を検出し、
前記第2方向における前記一対の端縁間の範囲を探索範囲とし、
前記探索範囲において前記穴を探索する穴検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記目標値、前記板状部材の前記第2方向に沿った長さの変動範囲、及び、前記板状部材の前記第2方向における位置の変動範囲に基づいて、前記存在予想範囲を決定する請求項1に記載の穴検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記存在予想範囲内において、前記板状部材の前記第2方向中央部から端部に向かう方向に沿って前記強度プロファイルが明転する位置を前記端縁の位置とする請求項1に記載の穴検出装置。
【請求項4】
第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、
前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、
前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記光検出部は、所定の時間間隔で前記強度プロファイルを作成し、
前記判定部は、
前記板状部材の前記第2方向中央部から端部に向かう方向において前記強度プロファイルが明転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、
複数の前記強度プロファイルに基づいて前記端縁の位置の移動平均を算出し、
新たな前記強度プロファイルにおいて、前記移動平均における強度が第1強度範囲内にあるときは、前記新たな強度プロファイルを前記移動平均から前記板状部材の内側に向けて探索し、前記新たな強度プロファイルが暗転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、
新たな前記強度プロファイルにおいて、前記移動平均における強度が前記第1強度範囲よりも低い第2強度範囲内にあるときは、前記新たな強度プロファイルを前記移動平均から前記板状部材の外側に向けて探索し、前記新たな強度プロファイルが明転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、
前記新たな強度プロファイルにおける一対の前記端縁の位置間の範囲を探索範囲とし、
前記探索範囲において前記穴を探索する穴検出装置。
【請求項5】
第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、
前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、
前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記光検出部は、所定の時間間隔で前記強度プロファイルを作成し、
前記判定部は、
複数の前記強度プロファイルに基づいて明領域を検出し、
前記明領域の形状に基づいて、前記明領域が前記穴に起因するものか異物に起因するものかを判断する穴検出装置。
【請求項6】
前記判断は、
前記明領域の前記第1方向における長さに対する前記第2方向における長さの比の値を算出し、
前記比の値が基準値以下である前記明領域を前記穴に起因する明領域と判断する請求項5に記載の穴検出装置。
【請求項7】
前記判断は、
前記明領域の前記第2方向における長さの最小値に対する前記第2方向における長さの最大値の比の値を算出し、
前記比の値が基準値以下である前記明領域を前記穴に起因する明領域と判断する請求項5に記載の穴検出装置。
【請求項8】
前記板状部材は鋼板である請求項1、4及び5のいずれか1つに記載の穴検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、穴検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板状部材の製造ラインにおいては、穴状欠陥を検出する穴検出装置が使用されている。このような装置においては、誤検出の低減が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-216539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、誤検出を低減可能な穴検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る穴検出装置は、第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、を備える。前記判定部は、前記板状部材の前記第2方向に沿った長さの目標値を取得し、前記目標値に基づいて前記板状部材の端縁の存在予想範囲を決定し、前記存在予想範囲内において、前記板状部材の一対の端縁を検出し、前記第2方向における前記一対の端縁間の範囲を探索範囲とし、前記探索範囲において前記穴を探索する。
【0006】
実施形態に係る穴検出装置は、第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、を備える。前記光検出部は、所定の時間間隔で前記強度プロファイルを作成する。前記判定部は、前記板状部材の前記第2方向中央部から端部に向かう方向において前記強度プロファイルが明転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、複数の前記強度プロファイルに基づいて前記端縁の位置の移動平均を算出し、新たな前記強度プロファイルにおいて、前記移動平均における強度が第1強度範囲内にあるときは、前記新たな強度プロファイルを前記移動平均から前記板状部材の内側に向けて探索し、前記新たな強度プロファイルが暗転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、新たな前記強度プロファイルにおいて、前記移動平均における強度が前記第1強度範囲よりも低い第2強度範囲内にあるときは、前記新たな強度プロファイルを前記移動平均から前記板状部材の外側に向けて探索し、前記新たな強度プロファイルが明転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、前記新たな強度プロファイルにおける一対の前記端縁の位置間の範囲を探索範囲とし、前記探索範囲において前記穴を探索する。
【0007】
実施形態に係る穴検出装置は、第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、を備える。前記光検出部は、所定の時間間隔で前記強度プロファイルを作成する。前記判定部は、複数の前記強度プロファイルに基づいて明領域を検出し、前記明領域の形状に基づいて、前記明領域が前記穴に起因するものか異物に起因するものかを判断する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る穴検出装置を示す図である。
図2図2(a)~(c)は、第1の実施形態に係る穴検出装置の基本的な動作を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る穴検出装置の基本的な動作を示すフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態における図3のステップS1を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態における光の強度プロファイルの一例を示す図である。
図6図6は、第2の実施形態における図3のステップS1を示すフローチャートである。
図7図7(a)及び(b)は、第2の実施形態における光の強度プロファイルの一例を示す図である。
図8図8は、第3の実施形態における図3のステップS2を示すフローチャートである。
図9図9(a)は板状部材の穴に起因する明領域及び異物に起因する明領域の例を示す図であり、(b)はこれらの明領域の形状を示す図であり、(c)はこれらの明領域を検出する光検出部の画素を示す図である。
図10図10は、第4の実施形態における図3のステップS2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る穴検出装置を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る穴検出装置1は、板状部材100における穴の有無を検査する装置である。板状部材100は、例えば、鋼板である。板状部材100は、例えば、幅が0.5~2m程度で、厚さが0.1~5mm程度で、長さが数百m程度で、保管時及び運搬時にはコイル状に巻かれている。穴の有無を検査する際には、板状部材100がコイルから巻き出され、穴検出装置1内を通過して、再びコイルに巻き戻される。
【0010】
以下、説明の便宜上、穴検出装置1内における板状部材100の幅方向(第2方向)を「X方向」とし、板状部材100の厚さ方向を「Z方向」とし、板状部材100の移動方向(第1方向)を「Y方向」とする。X方向、Y方向及びZ方向は、例えば、相互に直交している。板状部材100に存在する穴は、板状部材100をZ方向に貫通している。
【0011】
穴検出装置1においては、光源10と、光検出部20と、判定部30が設けられている。光源10は、板状部材100の幅方向(X方向)全体にわたって配置されており、上方(Z方向)に向けて光Lを出射する。これにより、光源10は、Y方向に移動する板状部材100の幅方向全体に対して光Lを照射する。光Lは例えば可視光であるが、これには限定されない。
【0012】
光検出部20は、光源10と共に板状部材100を挟む位置に配置されている。図1に示す例では、光源10は板状部材100の下方に配置されており、光検出部20は板状部材100の上方に配置されている。但しこれには限定されず、Z方向において光源10と光検出部20の間に板状部材100が配置されればよい。
【0013】
光検出部20は光源10から出射した光Lを検出可能である。光検出部20においては、例えば、複数のカメラ21が設けられている。複数のカメラ21はX方向に沿って一列に配列されている。これにより、光検出部20は板状部材100の幅方向全体について、光Lの有無を検知できる。また、光検出部20は、光源10から出射し板状部材100の側方を通過した光Lも検知できる。これにより、光検出部20は、X方向(第2方向)に沿った光Lの強度プロファイルPを作成できる。光検出部20は、一定の時間間隔、例えば、50μsec以上100μsecの時間毎に、強度プロファイルPを作成し、判定部30に対して出力する。
【0014】
判定部30は、強度プロファイルPに基づいて、板状部材100における穴の有無を判定し、その結果を出力する。また、判定部30は、検出した穴のおおよその大きさを表す信号を、穴の存在を表す信号と共に出力してもよい。
【0015】
次に、本実施形態に係る穴検出装置の動作について説明する。
図2(a)~(c)は、本実施形態に係る穴検出装置の基本的な動作を示す図である。
図3は、本実施形態に係る穴検出装置の基本的な動作を示すフローチャートである。
図2(a)~(c)においては、板状部材100及び強度プロファイルPを、X方向における位置を対応させて描いている。後述する同様は図面についても、同様である。
【0016】
図1及び図2(a)に示すように、光源10から出射した光Lは板状部材100によって遮断される。また、光源10から出射し板状部材100の側方を通過した光Lは、光検出部20に直接入射し、光検出部20によって検出される。このため、光検出部20から出力された強度プロファイルPにおいて、板状部材100に相当する範囲においては光の強度が暗範囲I(第2強度範囲)内にあり、板状部材100の側方に相当する領域においては光の強度が明範囲I(第1強度範囲)内にある。明範囲Iは暗範囲Iよりも強い。
【0017】
図2(a)及び図3のステップS1に示すように、判定部30は、光の強度プロファイルPにおいて、板状部材100の内側から外側に向かって探索したときに、光の強度が暗範囲Iから明範囲Iに変化する位置(以下、「明転位置」という)、又は、板状部材100の外側から内側に向かって探索したときに、光の強度が明範囲Iから暗範囲Iに変化する位置(以下、「暗転位置」という)を検出することにより、板状部材100の幅方向の端縁101及び102を検出する。板状部材100における端縁101と端縁102との間の範囲を、穴を探索する探索範囲とする。
【0018】
次に、図2(a)及び図3のステップS2に示すように、判定部30は板状部材100の穴を検出する。判定部30は、強度プロファイルPにおいて端縁101と端縁102との間の探索範囲内に、光の強度が明範囲Iとなる領域(以下、「明領域」ともいう)が無ければ、板状部材100における強度プロファイルPに相当する位置に穴は存在しないと判定する。
【0019】
また、図1及び図2(b)に示すように、板状部材100に穴110が存在する場合は、光検出部20が穴110を通過した光Lを検知するため、強度プロファイルPにおいて、探索範囲内に明領域が存在する。判定部30は、強度プロファイルPにおいて端縁101と端縁102との間の探索範囲内に明領域を検出した場合は、穴110が存在すると判定する。
【0020】
図1及び図2(c)に示すように、板状部材100の近傍に異物200が存在する場合は、光Lが異物200によっても遮断されるため、強度プロファイルPにおける異物200に対応する領域において、光の強度が暗範囲Iとなる。異物200は、例えば、板状部材100の表面から剥離したスケール、外部から飛来したゴミ又は昆虫等である。板状部材100と異物200との間の領域は、光の強度が明範囲Iにある明領域となるため、この明領域を穴110と誤認しないようにする必要がある。以下、その方法について説明する。
【0021】
図4は、本実施形態における図3のステップS1を示すフローチャートである。
図5は、本実施形態における光の強度プロファイルの一例を示す図である。
【0022】
先ず、図4のステップS11に示すように、判定部30が板状部材100の板幅目標値W0を取得する。板幅目標値W0は、板状部材100の幅、すなわちX方向に沿った長さの目標値であり、例えば、板状部材100の製造システムから穴検出装置1に入力される。
【0023】
次に、図4のステップS12及び図5に示すように、判定部30は、板幅目標値W0に基づいて、板状部材100の端縁の存在予想範囲R1及びR2を決定する。存在予想範囲R1は、X方向における板状部材100の端縁101が存在する可能性が高い範囲であり、存在予想範囲R2は、X方向における板状部材100の端縁102が存在する可能性が高い範囲である。
【0024】
例えば、判定部30は、板幅目標値W0、板状部材100の幅の変動範囲ΔW、及び、板状部材100のX方向における位置の変動範囲ΔXに基づいて、存在予想範囲R1及びR2を決定する。長さの変動範囲ΔW及び位置の変動範囲ΔXは、例えば、板状部材100の製造システムから穴検出装置1に入力される。
【0025】
例えば、板状部材100のX方向中央部があると予想される位置を0としたX座標を設定したときに、板状部材100における-X方向側の端縁101の存在予想範囲R1は、(-W0/2-ΔW/2-ΔX/2)以上(-W0/2+ΔW/2+ΔX/2)以下の範囲とすることができる。また、+X方向側の端縁102の存在予想範囲R2は、(+W0/2-ΔW/2-ΔX/2)以上(+W0/2+ΔW/2+ΔX/2)以下の範囲とすることができる。
【0026】
次に、図4のステップS13及び図5に示すように、判定部30は存在予想範囲内で板状部材100の端縁を検出する。具体的には、判定部30は、存在予想範囲R1内において、板状部材100のX方向中央部から端部に向かう方向(-X方向)に沿って強度プロファイルPを探索したときに、光の強度が明転する位置を端縁101の位置とする。又は、判定部30は、存在予想範囲R1内において、板状部材100の側方からX方向中央部に向かう方向(+X方向)に沿って強度プロファイルPを探索したときに、光の強度が暗転する位置を端縁101の位置とする。
【0027】
同様に、判定部30は、存在予想範囲R2内において、板状部材100のX方向中央部から端部に向かう方向(+X方向)に沿って強度プロファイルPを探索したときに、光の強度が明転する位置を端縁102の位置とする。又は、判定部30は、存在予想範囲R2内において、板状部材100の側方からX方向中央部に向かう方向(-X方向)に沿って強度プロファイルPを探索したときに、光の強度が暗転する位置を端縁102の位置とする。
【0028】
次に、図4のステップS14及び図5に示すように、ステップS13において検出された端縁101と端縁102の間を、穴を探索する探索範囲R3とする。なお、板状部材100の実際の幅はプロセスに起因する誤差を含むため、探索範囲R3の長さは板幅目標値W0とは一致するとは限らない。
【0029】
次に、図3のステップS2に示すように、判定部30は、探索範囲R3において穴を探索する。すなわち、探索範囲R3において強度プロファイルPが明転する位置と暗転する位置があれば、これらの位置の間の明領域を穴110と判定する。次に、判定部30は、穴110の検出結果を出力する。
【0030】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、図4及び図5に示すように、板幅目標値W0を取得し、この板幅目標値に基づいて端縁の存在予想範囲R1及びR2を決定し、これらの存在予想範囲R1及びR2内で板状部材100の端縁101及び102を検出する。そして、検出された端縁101と端縁102との間を穴の探索範囲R3とし、探索範囲R3内において穴を探索する。
【0031】
これにより、図5に示すように、探索範囲R3の外部に存在する異物200は探索の対象外となるため、板状部材100と異物200との間において光の強度が明範囲Iとなる明領域を穴と誤検出することがない。この結果、異物200に起因する穴の誤検出を抑制できる。
【0032】
また、板幅目標値W0に基づいて端縁の存在予想範囲R1及びR2を決定することにより、板状部材100の端縁101及び102を正確に効率よく検出できる。
【0033】
なお、存在予想範囲R1内又は存在予想範囲R2内に穴が存在する場合は、この穴の縁を板状部材100の端縁と誤認識してしまい、この穴を検出しない可能性がある。しかしながら、板状部材100の端部、すなわち、端縁から一定の距離にある領域は、本来欠陥が多く、後の工程においてトリミングされることなどから、そもそも穴の検出が求められていない場合が多い。このため、存在予想範囲内の穴を検出しなくても、実用上問題は少ない。
【0034】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る穴検出装置を示す図は、図1と同様である。
また、本実施形態に係る穴検出装置の基本的な動作を示す図は、図2(a)~(c)及び図3と同様である。
図6は、本実施形態における図3のステップS1を示すフローチャートである。
図7(a)及び(b)は、本実施形態における光の強度プロファイルの一例を示す図である。
【0035】
本実施形態に係る穴検出装置は、第1の実施形態に係る穴検出装置と同様に、所定の時間間隔で光の強度プロファイルPを取得し、判定部30に対して出力する。そして、判定部30は、各強度プロファイルPについて端縁101及び102を検出する。例えば、判定部30は、板状部材100のX方向の中央部から端部に向かう方向において、強度プロファイルPが明転する位置を板状部材100の端縁101及び102の位置とする。このようにして、判定部30は、所定の時間間隔毎に端縁101及び102の位置を検出し、記憶する。
【0036】
次に、図6のステップS21に示すように、判定部30は、直近の複数の強度プロファイルPに基づいて、板状部材100の端縁101及び102のそれぞれの位置の移動平均を算出する。以下、説明を簡略化するために、+X方向側の端縁102についてのみ説明するが、-X方向側の端縁101についても同様である。
【0037】
次に、図6のステップS22、図7(a)及び(b)に示すように、判定部30は、新たに入力された強度プロファイルPにおいて、端縁102の移動平均V2における光の強度を把握する。端縁102の位置の移動平均V2は、新たな強度プロファイルPにおいて端縁102が存在する確率が最も高い位置である。このため、実際に端縁102は移動平均V2の近傍に位置する可能性が高い。
【0038】
図7(a)に示すように、移動平均V2における光の強度が明範囲I(第1強度範囲)内である場合は、図6のステップS23に示すように、新たな強度プロファイルPを移動平均V2から板状部材100の内側に向けて探索し、ステップS24に示すように、新たな強度プロファイルPが暗転する位置を板状部材100の端縁102の位置とする。
【0039】
一方、図7(b)に示すように、移動平均V2における光の強度が暗範囲I(第2強度範囲)内である場合は、図6のステップS25に示すように、新たな強度プロファイルPを移動平均V2から板状部材100の外側に向けて探索し、ステップS26に示すように、新たな強度プロファイルPが明転する位置を板状部材100の端縁102の位置とする。
【0040】
端縁101についても同様に、図6のステップS21~S26に示す方法により、位置を検出する。次に、図6のステップS27に示すように、新たな強度プロファイルPにおける一対の端縁101及び102の位置間の範囲を、穴を探索する探索範囲とする。次に、図3のステップS2に示すように、判定部30は、探索範囲内において穴を探索する。
【0041】
次に、本実施形態に効果について説明する。
本実施形態によれば、板状部材100の端縁の移動平均における光の強度に基づいて、移動平均から板状部材100の内側又は外側に向けて探索することにより、高い確率で板状部材100の端縁101及び102を正確に検出できる。このため、端縁の外側に存在する異物200を探索範囲から排除でき、板状部材100と異物200との間の明領域を穴と誤検出することを抑制できる。この結果、異物200に起因する穴の誤検出を抑制できる。
【0042】
なお、図7(a)に示す強度プロファイルPにおいて、移動平均の位置に穴が存在している場合、及び、図7(b)に示す強度プロファイルPにおいて、移動平均と端縁との間に穴が存在している場合は、これらの穴の縁を板状部材100の端縁と誤認してしまい、これらの穴を検出しない可能性がある。しかしながら、移動平均は端縁が存在する確率が最も高い位置であり、端縁は移動平均の近傍に存在する可能性が高いため、上述の可能性は低い。また、仮に、移動平均又は移動平均と端縁との間に穴が存在したとしても、第1の実施形態において説明したように、板状部材100の端部においては、そもそも穴の検出が求められていない場合が多く、実用上問題は少ない。
【0043】
<第3の実施形態>
本実施形態に係る穴検出装置を示す図は、図1と同様である。
また、本実施形態に係る穴検出装置の基本的な動作を示す図は、図2(a)~(c)及び図3と同様である。
【0044】
図8は、本実施形態における図3のステップS2を示すフローチャートである。
図9(a)は板状部材の穴に起因する明領域及び異物に起因する明領域の例を示す図であり、(b)はこれらの明領域の形状を示す図であり、(c)はこれらの明領域を検出する光検出部の画素を示す図である。
【0045】
先ず、図3のステップS1に示すように、判定部30は、板状部材100の端縁101及び102を検出する。
【0046】
次に、図8のステップS31に示すように、判定部30は、光の強度が明範囲I(第1強度範囲)となる明領域120を検出する。図9(a)に示すように、明領域120には、板状部材100の穴110に起因する明領域121と、板状部材100と異物200との間に検出される明領域122がある。各強度プロファイルPはY方向における特定の位置の情報しか含まないため、板状部材100から離れた位置に異物200があると、板状部材100と異物200との間を明領域122として検出してしまう。この段階では、判定部30には穴に起因する明領域121と異物に起因する明領域122の区別はついておらず、いずれも明領域120として検出する。
【0047】
次に、図8のステップS32に示すように、判定部30は、明領域120のアスペクト比を算出する。明領域120のアスペクト比とは、明領域120のY方向における長さLyに対するX方向における長さLxの比の値(Lx/Ly)である。
【0048】
図9(b)に示すように、板状部材100の穴110に起因する明領域121のアスペクト比は比較的小さいことが多く、板状部材100と異物200との間に検出される明領域122のアスペクト比は比較的大きいことが多い。例えば、図9(c)に示すように、明領域120のアスペクト比は、光検出部20における光の強度が明範囲Iとなった画素の数をX方向及びY方向に沿ってカウントすることにより、算出可能である。
【0049】
次に、図8のステップS33に示すように、判定部30は、アスペクト比が基準値よりも大きい明領域120を板状部材100と異物200との間に検出される明領域122であると判断し、穴である可能性を除外する。一方、アスペクト比が基準値以下である明領域120を穴110に起因する明領域121であると判断し、穴110が存在すると判定する。アスペクト比の基準値は、過去に検出された明領域120のアスペクト比を考慮して決定すればよい。
【0050】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、検出された明領域120をアスペクト比に基づいて、穴110に起因する明領域121と異物200に起因する明領域122に区別している。これにより、異物200に起因する明領域122を穴110と誤認することを抑制できる。
【0051】
なお、明領域120のアスペクト比を、明領域120のX方向における長さLxに対するY方向における長さLyの比の値(Ly/Lx)と定義して、アスペクト比が基準値よりも大きい明領域120を穴に起因する明領域121と判断してもよい。
【0052】
<第4の実施形態>
本実施形態に係る穴検出装置を示す図は、図1と同様である。
また、本実施形態に係る穴検出装置の基本的な動作を示す図は、図2(a)~(c)及び図3と同様である。
図10は、本実施形態における図3のステップS2を示すフローチャートである。
【0053】
先ず、図3のステップS1に示すように、判定部30は、板状部材100の端縁101及び102を検出する。
【0054】
次に、図9(a)及び図10のステップS41に示すように、判定部30は、光の強度が明範囲Iとなる明領域120を検出する。第3の実施形態において説明したように、明領域120には、板状部材100の穴に起因する明領域121と、板状部材100と異物200との間に検出される明領域122がある。
【0055】
次に、図10のステップS42に示すように、判定部30は、明領域120の幅、すなわち、X方向における長さの最小値(Lxmin)に対する明領域120の幅の最大値(Lxmax)の比の値(Lxmax/Lxmin)を算出する。
【0056】
図9(b)に示すように、板状部材100と異物200との間に検出される明領域122の形状は長方形となる場合が多く、この比の値は1に近い値となる場合が多い。一方、板状部材100の穴に起因する明領域121の形状は円形に近い形状となる場合が多く、この比の値は1よりも大きい値となる場合が多い。例えば、図9(c)に示すように、明領域120の比の値は、光検出部20における光の強度が明範囲Iとなった画素の数をX方向に沿ってカウントすることにより、算出可能である。
【0057】
次に、図10のステップS43に示すように、判定部30は、上述の比の値(Lxmax/Lxmin)が基準値よりも小さい明領域120を板状部材100と異物200との間に検出される明領域122であると判断し、穴である可能性を除外する。一方、比の値(Lxmax/Lxmin)が基準値以上である明領域120を穴110に起因する明領域121であると判断し、穴110が存在すると判定する。比の値(Lxmax/Lxmin)の基準値は、過去に検出された明領域の形状を考慮して決定すればよい。
【0058】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、検出された明領域120を、幅の最小値に対する最大値の比の値(Lxmax/Lxmin)に基づいて、穴に起因する明領域121と異物に起因する明領域122に区別している。これにより、異物に起因する明領域122を穴110と誤認することを抑制できる。
【0059】
なお、指標とする比の値を、X方向における長さ最大値(Lxmax)に対する最小値(Lxmin)の比の値(Lxmin/Lxmax)と定義して、この比の値が基準値よりも小さい明領域を穴に起因する明領域と判断してもよい。
【0060】
また、第3の実施形態と第4の実施形態は組み合わせて実施してもよい。すなわち、明領域120を検出した後、明領域120のアスペクト比(Lx/Ly)と最小値に対する最大値の比の値(Lxmax/Lxmin)の双方を考慮して、穴に起因する明領域121と異物に起因する明領域122を区別してもよい。
【0061】
例えば、アスペクト比が基準値以下であり、且つ、比の値(Lxmax/Lxmin)が基準値以上である明領域120のみを穴に起因する明領域121と判断してもよく、又は、アスペクト比が基準値よりも大きく、且つ、比の値(Lxmax/Lxmin)が基準値よりも小さい明領域120のみを異物に起因する明領域122と判断し、それ以外の明領域120を穴に起因する明領域121と判断してもよい。
【0062】
以上説明した実施形態によれば、誤検出を低減可能な穴検出装置を実現することができる。
【0063】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の実施形態は、相互に組み合わせて実施することもできる。
【0064】
本発明は、以下の態様を含む。
【0065】
(付記1)
第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、
前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、
前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、
前記板状部材の前記第2方向に沿った長さの目標値を取得し、
前記目標値に基づいて前記板状部材の端縁の存在予想範囲を決定し、
前記存在予想範囲内において、前記板状部材の一対の端縁を検出し、
前記第2方向における前記一対の端縁間の範囲を探索範囲とし、
前記探索範囲において前記穴を探索する穴検出装置。
【0066】
(付記2)
前記判定部は、前記目標値、前記板状部材の前記第2方向に沿った長さの変動範囲、及び、前記板状部材の前記第2方向における位置の変動範囲に基づいて、前記存在予想範囲を決定する付記1に記載の穴検出装置。
【0067】
(付記3)
前記判定部は、前記存在予想範囲内において、前記板状部材の前記第2方向中央部から端部に向かう方向に沿って前記強度プロファイルが明転する位置を前記端縁の位置とする付記1または2に記載の穴検出装置。
【0068】
(付記4)
第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、
前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、
前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記光検出部は、所定の時間間隔で前記強度プロファイルを作成し、
前記判定部は、
前記板状部材の前記第2方向中央部から端部に向かう方向において前記強度プロファイルが明転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、
複数の前記強度プロファイルに基づいて前記端縁の位置の移動平均を算出し、
新たな前記強度プロファイルにおいて、前記移動平均における強度が第1強度範囲内にあるときは、前記新たな強度プロファイルを前記移動平均から前記板状部材の内側に向けて探索し、前記新たな強度プロファイルが暗転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、
新たな前記強度プロファイルにおいて、前記移動平均における強度が前記第1強度範囲よりも低い第2強度範囲内にあるときは、前記新たな強度プロファイルを前記移動平均から前記板状部材の外側に向けて探索し、前記新たな強度プロファイルが明転する位置を前記板状部材の端縁の位置とし、
前記新たな強度プロファイルにおける一対の前記端縁の位置間の範囲を探索範囲とし、
前記探索範囲において前記穴を探索する穴検出装置。
【0069】
(付記5)
第1方向に移動する板状部材に対して光を照射する光源と、
前記光源と共に前記板状部材を挟む位置に配置され、前記光を検出可能な光検出部と、
前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記光の強度プロファイルに基づいて前記板状部材における穴の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記光検出部は、所定の時間間隔で前記強度プロファイルを作成し、
前記判定部は、
複数の前記強度プロファイルに基づいて明領域を検出し、
前記明領域の形状に基づいて、前記明領域が前記穴に起因するものか異物に起因するものかを判断する穴検出装置。
【0070】
(付記6)
前記判断は、
前記明領域の前記第1方向における長さに対する前記第2方向における長さの比の値を算出し、
前記比の値が基準値以下である前記明領域を前記穴に起因する明領域と判断する付記5に記載の穴検出装置。
【0071】
(付記7)
前記判断は、
前記明領域の前記第2方向における長さの最小値に対する前記第2方向における長さの最大値の比の値を算出し、
前記比の値が基準値以下である前記明領域を前記穴に起因する明領域と判断する付記5に記載の穴検出装置。
【0072】
(付記8)
前記板状部材は鋼板である付記1~7のいずれか1つに記載の穴検出装置。
【符号の説明】
【0073】
1:穴検出装置
10:光源
20:光検出部
21:カメラ
30:判定部
100:板状部材
101、102:端縁
110:穴
120:明領域
121:穴に起因する明領域
122:異物に起因する明領域
200:異物
:明範囲
:暗範囲
L:光
P:強度プロファイル
R1、R2:存在予想範囲
R3:探索範囲
V2:移動平均
W0:板幅目標値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10