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特開2025-27352波形測定器、波形測定器の制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027352
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】波形測定器、波形測定器の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04812 20220101AFI20250219BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20250219BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20250219BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20250219BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20250219BHJP
   G09G 5/08 20060101ALI20250219BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20250219BHJP
   G01R 13/20 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
G06F3/04812
G09G5/00 510D
G09G5/14 A
G09G5/37 600
G09G5/38 100
G09G5/37 110
G09G5/00 530D
G09G5/08 K
G09G5/08 M
G09G5/373 100
G01R13/20 R
G01R13/20 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132098
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】飯田 和宏
【テーマコード(参考)】
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB18
5C182AC03
5C182AC38
5C182AC39
5C182BA01
5C182BA04
5C182BA06
5C182CB13
5C182CB42
5C182CB47
5C182CC02
5E555AA06
5E555BA02
5E555BA21
5E555BB02
5E555BB21
5E555BC04
5E555CA12
5E555CB16
5E555CB32
5E555CC05
5E555DB06
5E555DC13
5E555DC19
5E555DC84
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】カーソルの位置合わせに関する操作をより容易にする。
【解決手段】波形測定器10は、信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域及び第2領域を含む画面を表示部15に表示させ、第1領域内に表示されたグラフにおける位置を指定するためのカーソルを、第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付け、カーソルの第2領域内へのドラッグ操作に応じて、第1領域内に表示されたカーソルの表示を削除するとともに、第2領域内でのドラッグ操作の操作先にカーソルを表示する、制御部11を備え、第1領域及び第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域及び第2領域を含む画面を表示部に表示させ、
前記第1領域内に表示された前記グラフにおける位置を指定するためのカーソルを、前記第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付け、
前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示する、
制御部を備え、
前記第1領域及び前記第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である、
波形測定器。
【請求項2】
前記第2領域は、前記第1領域の一部を拡大して表示するための領域であり、
前記制御部は、前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除し、当該ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に対応する前記第1領域での位置に前記カーソルを更に表示する、
請求項1に記載の波形測定器。
【請求項3】
前記カーソルは、前記グラフにおける横軸方向又は縦軸方向を指定するために用いられる、請求項1又は2に記載の波形測定器。
【請求項4】
制御部を備える波形測定器の制御方法であって、
前記制御部が、
信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域及び第2領域を含む画面を表示部に表示させる工程と、
前記第1領域内に表示された前記グラフにおける位置を指定するためのカーソルを、前記第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付ける工程と、
前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示する工程と、
を含み、
前記第1領域及び前記第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である、
波形測定器の制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域及び第2領域を含む画面を表示部に表示させる手順と、
前記第1領域内に表示された前記グラフにおける位置を指定するためのカーソルを、前記第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付ける手順と
前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示する手順と、
を実行させ、
前記第1領域及び前記第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波形測定器、波形測定器の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
波形測定器は、電気信号を取り込み、その信号の波形を表示する機器である。特許文献1には、波形解析装置において、表示画面上のカーソルの移動を容易にするための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-143038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成は、所望の位置にカーソルを移動させる際の操作性に改善の余地があった。
【0005】
そこで、本開示は、カーソルの位置合わせに関する操作をより容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る波形測定器は、
(1)信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域及び第2領域を含む画面を表示部に表示させ、
前記第1領域内に表示された前記グラフにおける位置を指定するためのカーソルを、前記第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付け、
前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示する、
制御部を備え、
前記第1領域及び前記第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である。
【0007】
このように、一方の領域が他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である第1領域及び第2領域を表示する波形測定器において、一方の領域から他方の領域へのドラッグ操作を受け付ける。したがって、ユーザは、直感的で簡易な操作により、カーソルをグラフにおける所望の位置に位置合わせすることが可能である。
【0008】
一実施形態において、
(2)(1)の波形測定器において、
前記第2領域は、前記第1領域の一部を拡大して表示するための領域であり、
前記制御部は、前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除し、当該ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に対応する前記第1領域での位置に前記カーソルを更に表示してもよい。
【0009】
このように、波形測定器は、第1の領域の一部を拡大して表示する第2領域へのカーソルのドラッグ操作に応じて、第2領域でのカーソルの位置に対応する第1領域での位置にカーソルを更に表示する。したがって、ユーザは、精密な位置合わせ等の煩雑な操作を行うことなく、直感的で簡易な操作により、カーソルをグラフにおける所望の位置に位置合わせすることが可能である。
【0010】
一実施形態において、
(3)(1)又は(2)の波形測定器において、
前記カーソルは、前記グラフにおける横軸方向又は縦軸方向を指定するために用いられてもよい。
【0011】
したがって、ユーザは、グラフにおける横軸方向又は縦軸方向の指定を容易に行うことができる。
【0012】
一実施形態において、
幾つかの実施形態に係る波形測定器の制御方法は、
(4)制御部を備える波形測定器の制御方法であって、
前記制御部が、
信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域及び第2領域を含む画面を表示部に表示させる工程と、
前記第1領域内に表示された前記グラフにおける位置を指定するためのカーソルを、前記第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付ける工程と、
前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示する工程と、
を含み、
前記第1領域及び前記第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である。
【0013】
このように、一方の領域が他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である第1領域及び第2領域を表示する波形測定器において、一方の領域から他方の領域へのドラッグ操作を受け付ける。したがって、ユーザは、直感的で簡易な操作により、カーソルをグラフにおける所望の位置に位置合わせすることが可能である。
【0014】
一実施形態において、
幾つかの実施形態に係るプログラムは、
(5)コンピュータに、
信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域及び第2領域を含む画面を表示部に表示させる手順と、
前記第1領域内に表示された前記グラフにおける位置を指定するためのカーソルを、前記第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付ける手順と
前記カーソルの前記第2領域内へのドラッグ操作に応じて、前記第1領域内に表示された前記カーソルの表示を削除するとともに、前記第2領域内での前記ドラッグ操作の操作先に前記カーソルを表示する手順と、
を実行させ、
前記第1領域及び前記第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である。
【0015】
このようなプログラムにより動作する波形測定器は、一方の領域が他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である第1領域及び第2領域を表示する波形測定器において、一方の領域から他方の領域へのドラッグ操作を受け付ける。したがって、ユーザは、直感的で簡易な操作により、カーソルをグラフにおける所望の位置に位置合わせすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一実施形態によれば、カーソルの位置合わせに関する操作をより容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】比較例に係る波形測定器の動作を説明する図である。
図2】比較例に係る波形測定器の動作を説明する図である。
図3】一実施形態に係る波形測定器の構成例を示すブロック図である。
図4】一実施形態に係る波形測定器の動作例を示すフローチャートである。
図5】一実施形態に係る波形測定器の画面の一例を示す図である。
図6】一実施形態に係る波形測定器の画面の一例を示す図である。
図7】一実施形態に係る波形測定器の画面の一例を示す図である。
図8】一実施形態に係る波形測定器の画面の一例を示す図である。
図9】一実施形態に係る波形測定器の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<比較例>
図1及び図2は、比較例に係る波形測定器の動作を説明する図である。図1及び図2は、比較例に係る波形測定器の画面90を示している。画面90は、波形測定器が取得した信号の波形を表示する。画面90は、メイン領域91、ズーム領域92、及び、ボタン99を有する。メイン領域91は、信号の波形を示すグラフ95を表示する領域である。ズーム領域92は、メイン領域91内の一部の領域93を拡大して表示する領域である。図1及び図2において、ズーム領域92は、領域93内のグラフ95を横軸方向に拡大したグラフ951を表示している。このように、波形測定器は、波形のグラフ95の一部を拡大して表示する機能を有する。
【0019】
比較例に係る波形測定器は、波形解析を行う際に、グラフ95における位置を指定するためのカーソル971を表示する。波形の解析位置及び範囲等の設定が必要な種類の解析を行う場合、ユーザは、このカーソルを必要な位置に合わせる。波形測定器は、カーソルにより示される解析位置及び範囲等において、信号の大きさ及び時間等に基づき所定の解析を行う。このようなカーソルの位置合わせを可能にするために、波形測定器は、タッチパネル又はそれに準ずるポインティングデバイスを備える。ユーザは、画面90上に表示されるカーソル971をポインティングデバイスでドラッグすることによって、カーソル971の位置を変更することができる。
【0020】
ここで、比較例に係る波形測定器を用いて、ユーザが、カーソル971をドラッグして、領域93内のグラフ95のピークの位置に合わせる操作を行う動作を説明する。比較例に係る波形測定器は、カーソル971のドラッグ操作において、カーソル971の横方向(X座標)の位置しか管理しない。波形測定器は、カーソル971のドラッグ操作が開始された時のカーソル971の領域(例えば、メイン領域91)内において、ドロップ操作がなされたX座標に対応する位置にカーソル971を移動させる。そのため、ユーザは、メイン領域91内のカーソル971を直接ドラッグして、ズーム領域92内の所望の位置に配置することができない。
【0021】
例えば、カーソル971をズーム領域92内のカーソル972の位置へ動かすために、ユーザが、カーソル971をポインタ981の位置からポインタ982の位置へドラッグしたとする。この場合、比較例に係る波形測定器は、ドラッグした移動先(ポインタ982の位置)のX座標のみを管理するため、メイン領域91内の紙面横方向の位置を基準に移動先のカーソル位置を計算する。したがって、カーソル971は、カーソル972の位置ではなく、カーソル973の位置へ移動してしまう。これでは、ユーザが意図したとおりにカーソルを直感的に動かすことができない。
【0022】
また、領域93内のグラフ95のピークは急峻である。そのため、狭い領域93内でカーソル971の位置をグラフ95のピークに合わせようとしても、画面90の解像度が荒く、カーソル971を高い精度でピークに合わせることが困難な場合がある。また、領域93内のグラフ95のピークはとがっているため、メイン領域91内でのドラッグ操作によりカーソル971をピークに合わせるには精密な手作業が必要となる。したがって、ユーザは、高い集中力を要する煩雑な作業を行う必要がある。
【0023】
比較例に係る波形測定器は、ズーム領域92内にカーソルを追加するための、「カーソル」と表示されたボタン99を備える。ユーザは、ボタン99上にポインタ991を合わせ、ポインタ991の位置からポインタ992の位置へドラッグ操作を行うことで、ズーム領域92内にカーソル974を追加することができる。しかし、メイン領域91及びズーム領域92以外にカーソルを追加するためのボタン99を表示すると、そのようなボタン99の表示領域を確保するために、信号のグラフ951を表示するための領域が狭くなってしまう。その結果、グラフ95の解析しやすさが悪化する。
【0024】
このように、比較例に波形測定器は、所望の位置にカーソルを移動させるための操作性に改善の余地がある。
【0025】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0026】
本開示に係る波形測定器10は、物理量の測定値を電気信号として取得し、その信号の波形を表示する。波形測定器10は、例えば、オシロスコープ、電力測定器、光測定器、又は、圧力測定器であるが、これらの機器に限られない。波形測定器10は、信号の波形を表示する領域間におけるカーソル移動を可能にすることで、ユーザによる直感的なカーソル操作を可能にする。
【0027】
図3は、一実施形態に係る波形測定器10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、波形測定器10は、制御部11、記憶部12、信号入力部13、操作入力部14、及び、表示部15を備える。
【0028】
制御部11は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部11は、波形測定器10を構成する各構成部と通信可能に接続され、波形測定器10全体の動作を制御する。
【0029】
記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read-Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等の任意の記憶モジュールを含む。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、波形測定器10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、信号入力部13によって入力された各種測定値に関する測定データ等を記憶してもよい。記憶部12は、波形測定器10に内蔵されているものに限定されず、外付けのデータベース又は外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0030】
信号入力部13は、物理量を測定する測定モジュールから物理量の測定値に関する電気信号を入力する。このような物理量には、例えば、電圧、電流、電力、光、圧力、温度、湿度、流量、歪み、加速度、又は、pH等が含まれ得るが、これらに限られない。信号入力部13は、このような物理量を測定する測定モジュールと、有線又は無線の通信手段により通信可能に接続する。
【0031】
操作入力部14は、ユーザの入力操作を受け付けて、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インターフェースを含む。例えば、操作入力部14は、表示部15と一体的に設けられたタッチスクリーン、及び、ポインティングデバイスの少なくともいずれかであるが、これらに限定されない。
【0032】
表示部15は、ユーザに対して情報を画像として出力するディスプレイである。表示部15は、例えば、液晶パネルディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等としてもよい。操作入力部14及び表示部15の少なくとも一方は、波形測定器10と一体に構成されてもよいし、別体として設けられてもよい。
【0033】
波形測定器10の機能は、本実施形態に係るコンピュータプログラム(プログラム)を、制御部11に含まれるプロセッサで実行することにより実現されうる。すなわち、波形測定器10の機能は、ソフトウェアにより実現されうる。コンピュータプログラムは、波形測定器10の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、各ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。すなわち、コンピュータプログラムは、コンピュータを本実施形態に係る波形測定器10として機能させるためのプログラムである。コンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0034】
波形測定器10の一部又は全ての機能は、制御部11に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、波形測定器10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、波形測定器10は単一の機器により実現されてもよいし、複数の機器の協働により実現されてもよい。
【0035】
次に、図4図9を参照して、波形測定器10の動作を説明する。図4は、一実施形態に係る波形測定器10の動作例を示すフローチャートである。図5図9は、一実施形態に係る波形測定器10の画面50の一例を示す図である。図4図9を参照して説明する波形測定器10の動作は波形測定器10の制御方法の一つに相当してもよい。図4の各ステップの動作は、波形測定器10の制御部11による制御に基づき実行されてもよい。
【0036】
ステップS1において、制御部11は、物理量の測定値に関する信号を取得する。具体的には、制御部11は、信号入力部13により、測定モジュールから信号を取得したり、記憶部12を読み出して信号を取得したりしてもよい。
【0037】
ステップS2において、制御部11は、第1領域及び第2領域を含む画面50を表示部15に表示させる。第1領域及び第2領域は、信号の波形を示すグラフを表示するための領域である。図5は、このような画面50の一例を示す。
【0038】
図5において、画面50は、波形測定器10が取得した信号の波形を表示する。画面50は、メイン領域51、及び、ズーム領域52を有する。メイン領域51は、ステップS1で取得した信号の波形を示すグラフ55を表示する領域である。メイン領域51において、例えば、横軸は時間を示し、縦軸は物理量の測定値を示してもよい。すなわち、グラフ55は、物理量の時間変化を示してもよい。もっとも、メイン領域51の表示内容は、このようなものに限られない。ズーム領域52は、メイン領域51内の一部の領域53を拡大して表示する領域である。図5において、ズーム領域52は、領域53内のグラフ55を横軸方向に拡大したグラフ551を表示している。このように、波形測定器10は、波形のグラフ55の一部を拡大して表示する機能を有する。以下、第1領域はメイン領域51に対応し、第2領域はズーム領域52に対応する例を説明するが、領域の対応関係はこれに限られない。
【0039】
制御部11は、波形解析を行う際に、グラフ55における位置の指定をするためのカーソル57を表示する。波形の解析位置及び範囲等の設定が必要な種類の解析を行う場合、ユーザは、このカーソル57を必要な位置に合わせる。具体的には、ユーザは、操作入力部14を操作して、カーソル57に対してドラッグ操作を行うことにより、カーソル57の位置合わせを行う。波形測定器10は、カーソル57により示される解析位置及び範囲等において、信号の大きさ及び時間等に基づき所定の解析を行う。制御部11は、カーソル57に対するユーザのドラッグ操作を受け付ける。以下、カーソル57のドラッグ操作が、操作入力部14としてのポインティングデバイスの操作により行われる場合の例を説明するが、ドラッグ操作はタッチパネル等の他の手段により行われてもよい。
【0040】
図4の説明に戻る。ステップS3において、制御部11は、ユーザにより、第1領域(例えば、メイン領域51)内のカーソル57に対するドラッグ操作が行われたか否かを判定する。ドラッグ操作は、カーソル57を選択する選択操作、選択された状態のままでカーソル57を変位させる変位操作、及び、カーソルの選択を解除する解除操作(ドロップ操作)からなる。制御部11は、操作入力部14に対する操作により、メイン領域51内に表示されたカーソル57の座標において選択操作がなされ、変位操作の後に、ドロップ操作がなされた場合に、カーソル57に対するドラッグ操作がなされたと判定する。制御部11は、ドラッグ操作がなされた場合(ステップS3でYES)はステップS4へ進み、そうでない場合(ステップS3でNO)は引き続きドラッグ操作を受け付ける処理を継続する。
【0041】
ステップS4において、制御部11は、ドラッグ操作の宛先が第1領域(例えば、メイン領域51)内であるか否かを判定する。具体的には、制御部11は、ドロップ操作がなされた座標が、第1領域が占める領域に含まれる場合に、ドラッグ操作の宛先が第1領域内であると判定してもよい。制御部11は、ドラッグ操作の宛先が第1領域内である場合(ステップS4でYES)はステップS9へ進み、そうでない場合(ステップS4でNO)はステップS5へ進む。
【0042】
ステップS5において、制御部11は、ドラッグ操作の宛先が第2領域(例えば、ズーム領域52)内であるか否かを判定する。具体的には、制御部11は、ドロップ操作がなされた座標が、第2領域が占める領域に含まれる場合に、ドラッグ操作の宛先が第2領域内であると判定してもよい。制御部11は、ドラッグ操作の宛先が第2領域内である場合(ステップS5でYES)はステップS7へ進み、そうでない場合(ステップS5でNO)はステップS6へ進む。
【0043】
ステップS6において、制御部11は、ドラッグ操作がなされたカーソル57を削除する。すなわち、制御部11は、画面50の外にカーソル57がドラッグされた場合、カーソル57を削除する。なお、制御部11は、画面50の外にカーソル57がドラッグされた場合、特に何もしないようにしてもよい。制御部11は、ステップS6の処理を終えると、フローチャートの処理を終了する。
【0044】
ステップS7において、制御部11は、第1領域(例えば、メイン領域51)内のカーソル57を削除し、第2領域(例えば、ズーム領域52)内の宛先にカーソル57を表示する。図6は、メイン領域51からズーム領域52へカーソル57をドラッグする操作の例を示している。図6において、カーソル571は、ドラッグ操作される前のカーソルである。図6の例において、カーソル571は、ポインタ581の位置からポインタ583の位置まで、ドラッグ操作が行われている。このような操作に応じて、制御部11は、カーソル571を削除するとともに、カーソル573を表示する。すなわち、制御部11は、ドラッグ操作が開始された座標におけるカーソル571の表示を削除するとともに、ドロップ操作がなされた座標にカーソル573を表示する。なお、制御部11は、カーソル57のドラッグ操作の途中において、ポインタ581の位置に応じてカーソル57をアニメーション表示してもよい。
【0045】
ステップS8において、制御部11は、第2領域(例えば、ズーム領域52)内のカーソル573の位置に対応する第1領域(例えば、メイン領域51)内の位置にカーソル574を表示する。前述のように、図6の例において、ズーム領域52は、メイン領域51内の一部の領域53を横軸方向に拡大して表示している。ユーザは、ズーム領域52内の拡大されたグラフ551を参照しながら、所望の位置(例えば、グラフ551のピークの位置)にカーソル573を移動させることができる。したがって、ユーザは、直感的で容易な操作により所望の位置にカーソル573を設定することが可能である。制御部11は、ステップS8の処理を終えると、フローチャートの処理を終了する。
【0046】
ステップS9において、制御部11は、第1領域(例えば、メイン領域51)内におけるドラッグ操作の宛先へカーソル57を移動する。図7は、メイン領域51内でカーソル57をドラッグする操作の例を示している。図7において、カーソル571は、ドラッグ操作される前のカーソルである。図7の例において、カーソル571は、ポインタ581の位置からポインタ582の位置まで、ドラッグ操作が行われている。このような操作に応じて、制御部11は、カーソル571を削除するとともに、カーソル572を表示する。すなわち、制御部11は、ドラッグ操作が開始された座標におけるカーソル571の表示を削除するとともに、ドロップ操作がなされた座標にカーソル572を表示する。なお、制御部11は、カーソル57のドラッグ操作の途中において、ポインタ581の位置に応じてカーソル57をアニメーション表示してもよい。制御部11は、ステップS9の処理を終えると、フローチャートの処理を終了する。
【0047】
以上のように、波形測定器10は、第1の領域に表示されたカーソルの第2の領域におけるドラッグ操作に応じて、第2の領域内にカーソルを表示する。したがって、ユーザは、メイン領域51にあるカーソル57をズーム領域52にある任意の箇所に移動したい場合、メイン領域51にあるカーソル57をズーム領域52にドラッグするだけで容易にカーソル57の移動を行うことができる。
【0048】
なお、図6及び図7を参照して説明した例では、メイン領域51からズーム領域52へカーソル57を移動させる例を説明したが、同様に、波形測定器10は、ズーム領域52からメイン領域51へのカーソル57の移動を受け付けてもよい。例えば、図7において、波形測定器10は、ポインタ583の位置からポインタ581への位置までのドラッグ操作がなされた場合に、カーソル573をカーソル571の位置へ移動してもよい。このような操作によりズーム領域52内のカーソル573が存在しなくなった場合、波形測定器10は、メイン領域51の領域53内における対応するカーソル574の表示を削除してもよい。
【0049】
また、図5図7の例において、カーソル57は、グラフ55の横軸方向の位置を指定するために、縦軸方向に平行な形状を有するが、カーソル57はこのようなものに限られない。例えば、カーソルは、グラフ55の縦軸方向の位置を指定するために、横軸方向に平行な形状を有してもよいし、あるいは、2次元座標を指定するための任意の形状を有する図柄としてもよい。また、波形測定器10は、同一領域内に複数のカーソル57を表示してもよい。
【0050】
図8において、画面50のメイン領域51には、カーソル571,576が表示されている。カーソル571は、グラフ55の横軸方向の位置(例えば、時刻等)を指定するために用いられる。カーソル576は、グラフ55の縦軸方向の位置(例えば、トリガレベル、又は、測定値の閾値等)を指定するために用いられる。
【0051】
ここで、ユーザが、カーソル576を、領域53内のグラフ55のピークの位置に合わせる操作を行う場合の例を説明する。ユーザは、グラフ551を参照しながら、メイン領域51内に表示されたカーソル576をズーム領域52内のカーソル577の位置までドラッグする。具体的には、ユーザは、ポインタ585の位置からポインタ586の位置までカーソル576をドラッグする。この場合、ポインタ585の座標はメイン領域51内にあり、ポインタ586の座標はズーム領域52内にある。そこで、制御部11は、メイン領域51からカーソル576を削除するとともに、ズーム領域52内のカーソル577を表示する。さらに、制御部11は、ズーム領域52内のカーソル577に対応するカーソル578をメイン領域51内に表示する。したがって、ユーザは、拡大されたズーム領域52のグラフ551を参照しながら直感的かつ容易な操作により、グラフ551のピークに高い精度でカーソル577、578を位置づけることができる。
【0052】
また、図5図8の例において、画面50は、メイン領域51及びズーム領域52の2つの領域を含むが、画面50は3つ以上の領域を備えてもよい。例えば、画面50は、メイン領域51における2つ以上の部分領域を拡大表示した2つ以上のズーム領域を表示してもよい。
【0053】
図9において、画面50は、メイン領域51及び2つのズーム領域521、522を含む。ズーム領域521は、メイン領域51内の一部の領域531を拡大して表示する領域である。ズーム領域522は、メイン領域51内の一部の領域532を拡大して表示する領域である。ズーム領域521は、領域531内のグラフ55を横軸方向に拡大したグラフ551を表示している。ズーム領域522は、領域532内のグラフ55を横軸方向に拡大したグラフ552を表示している。このような画面50において、制御部11は、メイン領域51、及び、ズーム領域521、522の領域間で相互にカーソルのドラッグ操作を受け付ける。すなわち、制御部11は、メイン領域51からズーム領域521又はズーム領域522へのドラッグ操作だけでなく、ズーム領域521又はズーム領域522からメイン領域51へのドラッグ操作、並びに、ズーム領域521、522間のドラッグ操作を受け付ける。
【0054】
例えば、図9では、メイン領域51に表示されたカーソル571に対し、ポインタ581の位置からポインタ584の位置へのドラッグ操作が行われている。この操作は、領域532内のグラフ55のピークの位置にカーソルを合わせることを目的とする。このような操作に応じて、制御部11は、メイン領域51内でのカーソル571の表示を削除するとともに、ズーム領域522内にカーソル592を表示する。さらに、制御部11は、ズーム領域522内のカーソル592の位置に応じて、領域532内にカーソル593を表示する。したがって、ユーザは、拡大されたズーム領域522のグラフ552を参照しながら直感的かつ容易な操作で、領域532内のグラフ55のピークにカーソル593を位置づけることが可能である。
【0055】
以上のように、波形測定器10は、信号の波形を示すグラフを表示するための、第1領域(例えば、メイン領域51)及び第2領域(例えば、ズーム領域52)を含む画面50を表示部15に表示させる。波形測定器10は、第1領域内に表示されたグラフにおける位置を指定するためのカーソルを、第2領域内へドラッグする操作をユーザから受け付ける。波形測定器10は、カーソルの第2領域内へのドラッグ操作に応じて、第1領域内に表示されたカーソルの表示を削除するとともに、第2領域内でのドラッグ操作の操作先にカーソルを表示する。ここで、第1領域及び第2領域のうちのいずれか一方の領域は、他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である。
【0056】
このように、波形測定器10は、一方の領域が他方の領域の一部を拡大して表示するための領域である第1領域及び第2領域を表示し、一方の領域から他方の領域へのドラッグ操作を受け付ける。したがって、ユーザは、直感的で簡易な操作により、カーソルをグラフにおける所望の位置に位置合わせすることが可能である。また、比較例におけるボタン99等を表示せずに、第2領域内にカーソルを表示させることができるため、グラフを表示するための領域を表示部15において最大限確保することができる。
【0057】
また、第2領域は、第1領域の一部を拡大して表示するための領域でもよい。波形測定器10は、カーソルの第2領域内へのドラッグ操作に応じて、第1領域内に表示されたカーソルの表示を削除し、当該ドラッグ操作の操作先にカーソルを表示してもよい。さらに、波形測定器10は、第2領域内でのドラッグ操作の操作先に対応する第1領域での位置にカーソルを更に表示してもよい。したがって、ユーザは、精密な位置合わせ等の煩雑な操作を行うことなく、直感的で簡易な操作により、カーソルをグラフにおける所望の位置に位置合わせすることが可能である。
【0058】
また、カーソルは、グラフにおける横軸方向又は縦軸方向を指定するために用いられてもよい。したがって、ユーザは、グラフにおける横軸方向又は縦軸方向の指定を容易に行うことができる。
【0059】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 波形測定器
11 制御部
12 記憶部
13 信号入力部
14 操作入力部
15 表示部
50 画面
51 メイン領域
52 ズーム領域
521,522 ズーム領域
53 領域
531,532 領域
55 グラフ
551、552 グラフ
57 カーソル
571~578 カーソル
581~587 ポインタ
592、593 カーソル
90 画面
91 メイン領域
92 ズーム領域
93 領域
95 グラフ
951 グラフ
971~974 カーソル
981,982 ポインタ
99 ボタン
991,992 ポインタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9