(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027398
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B61F 5/52 20060101AFI20250219BHJP
B61F 5/26 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
B61F5/52
B61F5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132175
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】下川 嘉之
(57)【要約】
【課題】配管の設置作業の負担を軽減することのできる鉄道車両を提供する。
【解決手段】鉄道車両(1)は、台車(20)と、台車(20)上に支持された車体(10)と、を備える。台車(20)は、台車枠(21)と、第1配管(25)と、第2配管(26)と、を含む。第1配管(25)は、台車枠(21)の前後方向中央よりも前側に設けられた第1接続部(251)と接続され、第1接続部(251)から前方に向かって延びる。第2配管(26)は、台車枠(21)の前後方向中央よりも後側に設けられた第2接続部(261)と接続され、第2接続部(261)から後方に向かって延びる。第1接続部(251)から第2接続部(261)までの間、台車枠(21)の内部は連続している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車枠と、前記台車枠の前後方向中央よりも前側に設けられた第1接続部と接続され、前記第1接続部から前方に向かって延びる第1配管と、前記台車枠の前記前後方向中央よりも後側に設けられた第2接続部と接続され、前記第2接続部から後方に向かって延びる第2配管と、を含む台車と、
前記台車上に支持された車体と、を備え、
前記第1接続部から前記第2接続部までの間、前記台車枠の内部は連続している、鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記台車枠は、
各々が前後方向に延びる2本の側ばりと、
各々が左右方向に延び、前記2本の側ばりの両方に接合される2本の横ばりと、
前記2本の横ばりの両方に接合され、前記2本の横ばりの各々と内部同士が連続した中継管と、を含み、
前記第1接続部は、前記2本の横ばりのうち前方の横ばりに設けられ、
前記第2接続部は、前記2本の横ばりのうち後方の横ばりに設けられる、鉄道車両。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記台車枠は、
各々が前後方向に延びる2本の側ばりと、
左右方向に延び、前記2本の側ばりの両方に接合される横ばりと、を含み、
前記第1接続部は、前記2本の側ばりのうち一方の側ばりの前端部に設けられ、
前記第2接続部は、前記一方の側ばりの後端部に設けられ、
前記第1接続部から前記第2接続部までの間、前記一方の側ばりの内部は連続している、鉄道車両。
【請求項4】
請求項3に記載の鉄道車両であって、
前記台車は、
前記2本の側ばりのうち他方の側ばりの前端部に設けられた第3接続部と接続され、前記第3接続部から前方に向かって延びる第3配管と、
前記他方の側ばりの後端部に設けられた第4接続部と接続され、前記第4接続部から後方に向かって延びる第4配管と、をさらに含み、
前記第3接続部から前記第4接続部までの間、前記他方の側ばりの内部は連続している、鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両(以下、単に「車両」とも言う。)は、骨格として台車枠を含む台車と、車体とを備える。台車は、通常、車体の前側及び後側にそれぞれ配置されている。車体は、各台車上に配置された左右一対の空気ばねによって支持されている。一般に、複数の車両が連結されて、レール上を走行する。車両同士の連結は、連結器によって維持される。連結器は、車体の前端梁及び後端梁にそれぞれ結合されている。
【0003】
鉄道車両において、空気ばねの動力は圧縮空気である。圧縮空気は、コンプレッサで生成される。生成された圧縮空気は、空気溜めに蓄積される。空気溜め内の圧縮空気が空気ばねに供給される。コンプレッサ及び空気溜めは、例えば、車体下部の前後方向の中央に配置される。空気溜め内の圧縮空気は、車両が備える様々な機器の動力として利用される。例えば、ドア開閉、パンタグラフの昇降、連結器の動力として圧縮空気が利用される。その他に、ブレーキ等の動力として圧縮空気が利用される。
【0004】
圧縮空気を利用する機器に圧縮空気を供給するため、圧縮空気を輸送する配管が不可欠である。例えば、空気溜めと連結器とをつなぐ配管は、台車と車体との間に形成される隙間に通される。しかしながら、台車と車体との間の隙間は、台車の前後方向の中央部付近で極端に狭くなっている。空気ばね、中心ピン、牽引装置などの多くの部品が密集しているからである。台車と車体との間の狭い隙間に配管を通す作業は、作業者にとって慎重さを要する負担の大きい作業である。
【0005】
従来、そのような配管の設置作業を容易にする技術が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、台車枠内に各種配管を設置した鉄道車両の台車が開示されている。特許文献1では、台車枠は2本の側ばり及び横ばりを含む。側ばりは中空であり、側ばりの内部に各種配管が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した通り、台車の前後方向の中央部付近において、台車と車体との間の狭い隙間に配管を通すのは、作業者にとって負担が大きい。特許文献1に記載の技術を用いたとしても、中空の側ばりの内部に配管を設置するために、大掛かりな作業が必要となる。
【0008】
本開示の目的は、配管の設置作業の負担を軽減することのできる鉄道車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る鉄道車両は、台車と、台車上に支持された車体と、を備える。台車は、台車枠と、第1配管と、第2配管と、を含む。第1配管は、台車枠の前後方向中央よりも前側に設けられた第1接続部と接続され、第1接続部から前方に向かって延びる。第2配管は、台車枠の前後方向中央よりも後側に設けられた第2接続部と接続され、第2接続部から後方に向かって延びる。第1接続部から第2接続部までの間、台車枠の内部は連続している。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る鉄道車両によれば、配管の設置作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る鉄道車両の全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の鉄道車両の台車の上面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態の鉄道車両の台車の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る鉄道車両は、台車と、台車上に支持された車体と、を備える。台車は、台車枠と、第1配管と、第2配管と、を含む。第1配管は、台車枠の前後方向中央よりも前側に設けられた第1接続部と接続され、第1接続部から前方に向かって延びる。第2配管は、台車枠の前後方向中央よりも後側に設けられた第2接続部と接続され、第2接続部から後方に向かって延びる。第1接続部から第2接続部までの間、台車枠の内部は連続している(第1の構成)。
【0013】
第1の構成に係る鉄道車両の台車枠には、第1配管及び第2配管が接続されている。第1配管が接続された第1接続部から第2配管が接続された第2接続部までの間、台車枠の内部は連続している。そのため、台車枠のうち第1接続部から第2接続部までの間の部分を、圧縮空気を輸送するための配管として用いることができる。例えば、第1の構成に係る鉄道車両において空気溜めと連結器とをつなぐ場合、第1配管を空気溜めと接続し、第2配管を連結器と接続することができる。すると、空気溜め内の圧縮空気は、台車枠内を通じて連結器に輸送される。この場合、台車の前後方向の中央部付近において、台車と車体との間の隙間に配管を設置する作業は発生しない。したがって、第1の構成に係る鉄道車両によれば、配管の設置作業の負担を軽減することができる。また、台車枠のうち圧縮空気の輸送に寄与する部分の体積を大きくとることで、その部分を空気タンクとして使用することができる。
【0014】
第1の構成に係る鉄道車両は、好ましくは下記の構成を有する。台車枠は、2本の側ばりと、2本の横ばりと、中継管と、を含む。2本の側ばりの各々は、前後方向に延びる。2本の横ばりの各々は、左右方向に延び、2本の側ばりの両方に接合される。中継管は、2本の横ばりの両方に接合され、2本の横ばりの各々と内部同士が連続する。第1接続部は、2本の横ばりのうち前方の横ばりに設けられる。第2接続部は、2本の横ばりのうち後方の横ばりに設けられる(第2の構成)。第2の構成の鉄道車両では、第1接続部が設けられた前方の横ばり、中継管、及び第2接続部が設けられた後方の横ばりを、圧縮空気を輸送するための配管として用いることができる。
【0015】
第1の構成に係る鉄道車両において、台車枠は、2本の側ばりと、横ばりと、を含むことが好ましい。2本の側ばりの各々は、前後方向に延びる。横ばりは、左右方向に延び、2本の側ばりの両方に接合される。第1接続部は、2本の側ばりのうち一方の側ばりの前端部に設けられる。第2接続部は、当該一方の側ばりの後端部に設けられる。第1接続部から第2接続部までの間、当該一方の側ばりの内部は連続している(第3の構成)。第3の構成の鉄道車両では、一方の側ばりにおいて第1接続部から第2接続部までの間の部分を、圧縮空気を輸送するための配管として用いることができる。
【0016】
第3の構成に係る鉄道車両は、好ましくは下記の構成を有する。台車は、第3配管と、第4配管と、をさらに含む。第3配管は、2本の側ばりのうち他方の側ばりの前端部に設けられた第3接続部と接続され、第3接続部から前方に向かって延びる。第4配管は、当該他方の側ばりの後端部に設けられた第4接続部と接続され、第4接続部から後方に向かって延びる。第3接続部から第4接続部までの間、当該他方の側ばりの内部は連続している(第4の構成)。第4の構成の鉄道車両では、第1接続部及び第2接続部が設けられた一方の側ばりとは別に、他方の側ばりにおいて第3接続部から第4接続部までの間の部分を、圧縮空気を輸送するための配管として用いることができる。要するに、第4の構成の鉄道車両によれば、2本の側ばりの両方を、圧縮空気の輸送経路として用いることができる。
【0017】
以下、本開示の実施形態に係る鉄道車両について、図面を参照しながら説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る鉄道車両1の全体構成を示す模式図である。
図1には、鉄道車両1を進行方向に沿って見たときの様子が示される。本明細書において、鉄道車両1の進行方向を前後方向と称し、鉄道車両1の幅方向を左右方向と称し、鉄道車両1の高さ方向を上下方向と称する場合がある。
【0019】
図1を参照して、鉄道車両1は、車体10と、台車20とを備える。車体10は、台車20上に支持される。台車20は、車体10の前側と後側にそれぞれ配置される。本実施形態の例では、台車20はボルスタレス台車である。
【0020】
台車20は、台車枠21と、台車枠21の左右に配置される空気ばね22と、輪軸23とを含む。台車枠21は、台車20の骨格を構成する。空気ばね22は、車体10と台車枠21との間に配置されて車体10を支持する。輪軸23は、台車枠21の前側と後側にそれぞれ配置される。輪軸23は、左右に一対の車輪231と、左右方向に延びる車軸232とを有する。左右の車輪231は、それぞれ車軸232の両端部に固定される。輪軸23の左右にそれぞれ軸箱24が配置されている。車軸232は、軸箱24内に設けられた軸受(図示略)によって回転可能に支持される。
【0021】
図2は、台車20の上面図である。なお、
図2において、空気ばね22及び輪軸23の図示は省略している。
図1及び
図2を参照して、台車枠21は、2本の側ばり30と、2本の横ばり40と、2本の中継管50と、を含む。2本の側ばり30は、左右方向に並んで設けられる。2本の側ばり30の各々は、前後方向に延びる。2本の横ばり40は、左右の側ばり30の間に、前後方向に並んで設けられる。2本の横ばり40の各々は、左右方向に延び、2本の側ばり30の両方に接合される。2本の中継管50の各々は、前後の横ばり40の間に、左右方向に並んで設けられる。2本の中継管50の各々は、前後方向に延び、2本の横ばり40の両方に接合される。
【0022】
側ばり30は、前後方向に延びる本体31と、本体31の前端及び後端にそれぞれ接続されたばね帽32と、を含む。前後のばね帽32の各々には、軸ばね33(
図1)が収容されている。側ばり30は、軸ばね33を介して軸箱24に支持されている。つまり、台車枠21は、前後の輪軸23によって支持されている。
【0023】
側ばり30及び横ばり40は、それぞれ閉断面を有する。本実施形態の例では、横ばり40は、側ばり30の表面に接続されている。要するに、側ばり30と横ばり40とは、内部同士が連続しておらず、互いに空気の輸送ができないようになっている。各側ばり30は、閉された内部空間を有する。各横ばり40は、閉された内部空間を有する。本実施形態の例では、左右の空気ばね22は、それぞれ、左右の側ばり30上に設置され、側ばり30のそれぞれと接続される。つまり、左右の側ばり30の各々が空気ばね22の補助空気室としての役割を担う。
【0024】
台車20は、第1配管25と、第2配管26と、をさらに含む。第1配管25及び第2配管26の各々は、例えば主材料がゴムのホースである。第1配管25及び第2配管26の各々は、金属管であってもよい。第1配管25は、台車枠21の前後方向中央よりも前側に設けられた第1接続部251と接続され、第1接続部251から前方に向かって延びる。第1接続部251は、2本の横ばり40のうち前方の横ばり40に設けられる。第1接続部251は、例えば前方に向かって開口した孔である。第1配管25は、第1接続部251により前方の横ばり40の内部空間と連通する。
【0025】
第2配管26は、台車枠21の前後方向中央よりも後側に設けられた第2接続部261と接続され、第2接続部261から後方に向かって延びる。第2接続部261は、2本の横ばり40のうち後方の横ばり40に設けられる。第2接続部261は、例えば後方に向かって開口した孔である。第2配管26は、第2接続部261により後方の横ばり40の内部空間と連通する。横ばり40において、第1接続部251及び第2接続部261が設けられる位置は特に限定されるものではないが、例えば左右方向の中央である。
【0026】
2本の中継管50は、それぞれ、2本の横ばり40の各々と内部同士が連続する。言い換えれば、前方の横ばり40の内部空間は、中継管50により後方の横ばり40の内部空間と連通する。この場合、第1接続部251から第2接続部261までの間、台車枠21の内部は連続している。そのため、台車枠21のうち第1接続部251から第2接続部261までの間の部分を、空気を輸送するための配管として用いることができる。具体的には、台車枠21のうち2本の横ばり40及び2本の中継管50を、空気の輸送経路として利用することができる。さらに、2本の横ばり40及び2本の中継管50は、鉄道車両1の空気タンクとして扱うこともできる。
【0027】
本実施形態の例において、2本の横ばり40及び2本の中継管50は、圧縮空気を輸送するための配管として利用される。圧縮空気は、コンプレッサ(図示略)で生成される。生成された圧縮空気は、空気溜め(図示略)に蓄積される。コンプレッサ及び空気溜めは、車体10の底に取り付けられている。コンプレッサ及び空気溜めは、車体10の前後方向の中央に配置されている。すなわち、コンプレッサ及び空気溜めは、鉄道車両1において台車20間に配置されている。一つのコンプレッサが、隣接する鉄道車両1同士で共用される場合もある。この場合、隣接する2つの鉄道車両1のうち、一方の鉄道車両1は、コンプレッサ及び空気溜めの両方を備え、他方の鉄道車両1は、コンプレッサを備えずに空気溜めを備えている。
【0028】
例えば、横ばり40及び中継管50は、鉄道車両1において空気溜めと連結器とをつなぐための配管として用いることができる。横ばり40及び中継管50は、隣接する鉄道車両1の空気溜め間をつなぐための配管として用いられてもよい。横ばり40及び中継管50は、圧縮空気を利用するその他の機器に圧縮空気を供給するための配管として用いられてもよい。
【0029】
2本の横ばり40及び2本の中継管50を配管として用いる一例として、本実施形態に係る鉄道車両1において空気溜めと連結器とをつなぐ場合について述べる。例えば、台車20が、車体10の前側と後側に配置される台車のうち、後側の台車の場合、台車20の前方が車体10の前後方向中央側であり、台車20の後方が車体10の車端側(後端側)である。この場合、第1配管25を空気溜めと接続し、第2配管26を連結器と接続する。空気溜め内の圧縮空気は、第1配管25から台車枠21内(2本の横ばり40及び2本の中継管50内)に導入される。この圧縮空気は、
図2に点線矢印で示す通りの輸送経路を流動し、第2配管26を通じて連結器に導入される。
【0030】
台車20がボルスタレス台車の場合、通常、側ばり30と横ばり40のいずれかが空気ばね22の補助空気室として用いられる。ここで、側ばり30及び横ばり40のうち、空気ばね22の補助空気室として用いられている方に圧縮空気が導入されると、空気ばね22の高さに影響を与えてしまう。そのため、側ばり30及び横ばり40のうち、空気ばね22の補助空気室として用いられていない方が、圧縮空気の輸送経路として用いられる。本実施形態の例では、上述した通り、側ばり30が空気ばね22の補助空気室として用いられるため、横ばり40(及び中継管50)が圧縮空気の輸送経路として利用される。
【0031】
[効果]
本実施形態に係る鉄道車両1の台車枠21には、第1配管25及び第2配管26が接続されている。第1配管25が接続された第1接続部251から第2配管26が接続された第2接続部261までの間、台車枠21の内部は連続している。そのため、台車枠21のうち第1接続部251から第2接続部261までの間の部分を、圧縮空気を輸送するための配管として用いることができる。具体的には、第1接続部251が設けられた前方の横ばり40、2本の中継管50、及び第2接続部261が設けられた後方の横ばり40を、空気を輸送するための配管として用いることができる。この場合、台車20の前後方向の中央部付近において、台車20と車体10との間の隙間に配管を設置する作業は発生しない。したがって、本実施形態に係る鉄道車両1によれば、配管の設置作業の負担を軽減することができる。
【0032】
[第2実施形態]
図3は、本実施形態の鉄道車両1の台車20の上面図である。
図3を参照して、本実施形態の鉄道車両1の台車枠21では、2本の横ばり40の各々は、2本の側ばり30をそれぞれ貫通する。貫通した2本の横ばり40の各々は、2本の空気ばね用台座60の両方に接続される。2本の空気ばね用台座60は、2本の側ばり30の左右方向外側にそれぞれ設けられる。2本の空気ばね用台座60は、それぞれ、2本の横ばり40の各々と内部同士が連続する。本実施形態の場合でも、側ばり30と横ばり40とは、内部同士が連続しておらず、互いに空気の輸送ができないようになっている。
【0033】
本実施形態の例では、左右の空気ばね22(
図1)は、それぞれ、左右の空気ばね用台座60上に設置され、空気ばね用台座60のそれぞれと接続される。つまり、横ばり40及び空気ばね用台座60が空気ばね22の補助空気室としての役割を担う。
【0034】
第1接続部251は、2本の側ばり30のうち、一方の側ばり30の本体31の前端部に設けられる。第2接続部261は、一方の側ばり30(前端部に第1接続部251が設けられた側ばり30)の本体31の後端部に設けられる。第1接続部251及び第2接続部261の各々は、例えば上方に向かって開口した孔である。第1接続部251から第2接続部261までの間、一方の側ばり30の内部は連続している。
【0035】
本実施形態に係る鉄道車両1において、台車20は、第3配管27と、第4配管28と、をさらに含む。第3配管27及び第4配管28の各々は、例えば主材料がゴムのホースである。第3配管27及び第4配管28の各々は、金属管であってもよい。第3配管27は、台車枠21の前後方向中央よりも前側に設けられた第3接続部271と接続され、第3接続部271から前方に向かって延びる。第3接続部271は、2本の側ばり30のうち、他方の側ばり30(第1接続部251及び第2接続部261が設けられていない側ばり30)の本体31の前端部に設けられる。第4配管28は、台車枠21の前後方向中央よりも後側に設けられた第4接続部281と接続され、第4接続部281から後方に向かって延びる。第4接続部281は、他方の側ばり30の本体31の後端部に設けられる。
【0036】
第3接続部271及び第4接続部281の各々は、例えば上方に向かって開口した孔である。第3接続部271から第4接続部281までの間、他方の側ばり30の内部は連続している。
【0037】
本実施形態に係る鉄道車両1では、一方の側ばり30の第1接続部251から第2接続部261までの間の部分を、空気を輸送するための配管として用いることができる。さらに、他方の側ばり30の第3接続部271から第4接続部281までの間の部分も、空気を輸送するための配管として用いることができる。要するに、本実施形態に係る鉄道車両1によれば、2本の側ばり30の両方を、空気の輸送経路として用いることができる。
【0038】
以上、本開示の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。したがって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
【0039】
上記実施形態では、台車20はボルスタレス台車である。しかしながら、台車20は枕ばり(ボルスタ)を有するボルスタ付き台車であってもよい。この場合、枕ばりが空気ばね22の補助空気室としての役割を担う。つまり、側ばり30及び横ばり40はいずれも補助空気室として用いられない。そのため、側ばり30及び横ばり40の両方を、空気の輸送経路として用いることができる。この場合、側ばり30と横ばり40とは、内部同士が連続しており、互いに空気の輸送が可能になっている。
【0040】
上記実施形態では、台車枠21は2本の横ばり40を含む。しかしながら、台車枠21において、横ばり40は1本であってもよい。この場合、横ばり40に第1接続部251及び第2接続部261の両方が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1:鉄道車両
10:車体
20:台車
21:台車枠
25:第1配管
251:第1接続部
26:第2配管
261:第2接続部
27:第3配管
271:第3接続部
28:第4配管
281:第4接続部
30:側ばり
40:横ばり