(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027419
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】統合されたTSNおよび5Gのシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/12 20180101AFI20250219BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20250219BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20250219BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20250219BHJP
【FI】
H04W76/12
H04W76/15
H04W72/0457 110
H04W16/32
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024028426
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】18/449,391
(32)【優先日】2023-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】アドナン アイジャズ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA14
5K067AA33
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
5K067EE56
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムと5Gネットワークとの間でデータを送信する方法を提供する。
【解決手段】方法は、TSNシステムから、複数のフレームを備えるデータを受信することと、k≧2の場合、k個の分離した複数の経路を定義することと、データの各フレームについて、処理(a)及び処理(b)の少なくとも1つを実行する。処理(a)では、フレームのk個のコピーを、分離した複数の経路を介して送信先に送信し、冗長なコピーを削除するためのプロトコルを示す冗長ポリシーに基づいて、送信先において受信したk個のコピーのうちの1つ又は複数が冗長であるかどうかを決定し、冗長であると決定したコピーを削除する。処理(b)では、フレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのコピーを、分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムと5Gネットワークとの間でデータを送信する方法であって、前記方法は、
前記タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムから、複数のフレームを備えるデータを受信することと、
k≧2の場合、前記5Gネットワークに渡って前記データを送信するためのk個の分離した複数の経路(disjoint paths)を定義することと、
前記データの各フレームについて、前記5Gネットワークによって、処理(a)および処理(b)の少なくとも1つを実行することと
を備え、ここにおいて、
(a)では、前記各フレームのk個のコピーを、分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信し、TSNトラフィックの複数のフレームの複数の冗長なコピーを削除するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記送信先において受信した、送信されたk個のコピーのうちの1つまたは複数が冗長であるかどうかを決定し、冗長であると決定された複数のコピーを削除する、
(b)では、TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを生成し、前記各フレームの前記複数のコピーを、前記分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信する、方法。
【請求項2】
前記5Gネットワークは、第1のユーザ機器(UE)と、データネットワーク(DN)とを備え、k個の前記分離した複数の経路を定義することは、前記第1のユーザ機器(UE)と前記データネットワーク(DN)との間の接続を確立することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接続を確立することは、前記第1のユーザ機器(UE)のための少なくとも1つのプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記5Gネットワークは、第2のユーザ機器(UE)をさらに備え、前記接続を確立することは、前記第1のユーザ機器(UE)との第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することと、前記第2のユーザ機器(UE)との第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することとを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することは、前記第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションのための第1のユーザプレーン機能(UPF)を選択することを備え、前記第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することは、前記第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションのための第2のユーザプレーン機能(UPF)を選択することを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)冗長であると決定された前記複数のコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、前記5Gネットワークの前記データネットワーク(DN)によって実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記接続を確立することは、前記第1のユーザ機器(UE)との第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することと、前記第1のユーザ機器(UE)との第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することとを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションは、前記5Gネットワークの第1のデータネットワーク名(DNN)を介して確立され、前記第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションは、前記5Gネットワークの第2のデータネットワーク名(DNN)を介して確立される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(i)冗長であると決定された前記複数のコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、前記5GネットワークのIPレイヤによって、前記5Gネットワークのユーザプレーン機能(UPF)によって、または前記第1のユーザ機器(UE)によって実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記接続を確立することは、前記5Gネットワークのユーザプレーン機能(UPF)によって、前記5Gネットワークに渡って前記データを送信するための第1のN3トンネルおよび第2のN3トンネルを確立することを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のN3トンネルは、前記ユーザプレーン機能(UPF)とマスター基地局(MgNB)とを接続し、前記第2のN3トンネルは、ユーザプレーン機能(UPF)とセカンダリ基地局(SgNB)とを接続する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(i)冗長であると決定された前記複数のコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、前記5GネットワークのGPRSトンネリングプロトコル(GTP)レイヤによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
(i)冗長であると決定された前記複数のコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、前記5Gネットワークのエアインターフェースプロトコルスタックのレイヤによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
(i)冗長であると決定された複数のコピーを消去するステップと、(ii)TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを生成するステップとは、前記5Gネットワークのサービスデータアダプテーションプロトコル(SDAP)レイヤによって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)冗長であると決定された複数のコピーを消去するステップと、(ii)TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを生成するステップとは、前記5Gネットワークのパケットデータ収束プロトコル(PDCP)レイヤによって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムと5Gネットワークとの間で複数のフレームを備えるデータを送信する方法であって、前記方法は、
前記データの各フレームについて、前記タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムによって、処理(c)および(d)のいずれか1つを実行すること
を備え、ここにおいて、
(c)では、TSNトラフィックの複数のフレームを複製するためのプロトコルとTSNトラフィックの複数のフレームの複数の冗長なコピーを削除するためのプロトコルとを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームのk個のコピーを取得し、前記冗長ポリシーに基づいて、前記各フレームの複数の冗長なコピーを消去するように構成された前記5Gネットワークのレイヤに複数のコピーを送信する、
(d)では、前記5Gネットワークから前記各フレームのk個のコピーを受信し、TSNトラフィックの複数のフレームの複数の冗長なコピーを削除するためのプロトコルを示す前記5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、前記受信された複数のコピーの1つまたは複数が冗長であるかどうかを決定し、冗長であると決定された前記複数のコピーを消去する、方法。
【請求項17】
前記複数のコピーを送信することは、前記受信された複数のコピーを確率1/Θで通過させることを備え、ここで、ΘはTSNトラフィックのために前記5Gネットワークにおいて利用可能な複数の経路の平均数である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記各フレームのk個のコピーを取得することは、確率1/Θで前記データの複数の受信されたフレームを複製することを備え、ここで、Θは、TSNトラフィックのために前記5Gネットワークにおいて利用可能な複数の経路の平均数である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
プロセッサによって実行可能な複数のコンピュータ命令を備える1つまたは複数の非一時的記憶媒体であって、前記複数のコンピュータ命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、請求項1に記載の方法を実行させる、1つまたは複数の非一時的記憶媒体。
【請求項20】
プロセッサによって実行可能な複数のコンピュータ命令を備える1つまたは複数の非一時的記憶媒体であって、前記複数のコンピュータ命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、請求項16に記載の方法を実行させる、1つまたは複数の非一時的記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される実施形態は、一般に通信に関し、より詳細にはワイヤレス通信に関し、さらにより一般には、統合されたTSNおよび5Gのシステムにおける通信に関する。
【背景技術】
【0002】
タイムセンシティブネットワーキング(TSN)は、IEEE802.1ワーキンググループ内の一連の規格によって支えられた技術であり、標準イーサネット(登録商標)のリアルタイム機能を改善することを目的としている。TSNは、決定論的で制限されたレイテンシと極めて低いデータ損失とで、保証されたデータ配信を提供する。TSNは、単一の標準イーサネットネットワークを介してタイムクリティカルなトラフィックとベストエフォート型のトラフィックの両方をサポートする。
【0003】
TSNは、5Gなどの高性能なワイヤレス技術と共存する可能性が高い。したがって、TSNと5Gとの統合は、産業システムの想定されるデジタル変革において望ましい。
【0004】
3GPP(登録商標)リリース16において提案される1つのアプローチは、5GシステムがTSNシステムに対する仮想TSNブリッジまたはブラックボックスとして現れるブリッジモデルである。5Gシステムは、その内部のプロトコルおよび手順を通してTSNサービス要件を処理する。5Gシステムは、TSNシステムに対して(論理的な)イングレスポートとイグレスポートとを提供する。5Gシステムは、複数のTSNドメインに仮想ブリッジ機能を提供し得る。
【0005】
IEEE802.1ファミリーにおける規格の1つは、802.1CB規格であり、この規格は、信頼性のためのフレーム複製および消去(FRER:frame replication and elimination for reliability)ソリューションを通してTSNシステムにフォールトトレランスを提供する。FRERは、複数の経路を介して送信元において各フレームを複製し、送信先において冗長フレームの消去メカニズムを提供する。FRERの例示的なプロトコルスタックが
図1に示される。
【0006】
以下、実施形態が、図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】FRERプロトコルスタックの一般的な例を示す図。
【
図2】5Gコアネットワークアーキテクチャの一般的な例を示す図。
【
図3】5Gネットワークにおける制御プレーンプロトコルスタックとユーザプレーンプロトコルスタックとを示す図。
【
図5】統合通信ネットワークのさらなる例を示す図。
【
図6】5Gネットワークにおけるプロトコルデータユニット(PDU)セッションの例を示す図。
【
図14】
図12の方法の例示的な実装形態の第1の変形形態を示す図。
【
図15】
図12の方法の例示的な実装形態の第2の変形形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態によれば、タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムと5Gネットワークとの間でデータを送信する方法であって、本方法は、タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムから、複数のフレームを備えるデータを受信することと、k≧2の場合、5Gネットワークに渡って前記データを送信するためのk個の分離した複数の経路(disjoint paths)を定義することと、データの各フレームについて、5Gネットワークによって、処理(a)および処理(b)の少なくとも1つを実行することとを備え、ここにおいて、(a)では、フレームのk個のコピーを、分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信し、TSNトラフィックのフレームの冗長なコピーを削除するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、送信先において受信した送信されたk個のコピーのうちの1つまたは複数が冗長であるかどうかを決定し、冗長であると決定されたコピーを削除するが、(b)では、TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを生成し、フレームのコピーを、分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信する、方法が提供される。
【0009】
一実施形態では、本方法は、5Gネットワークによって、5Gネットワークにおけるデータの受信のためのタイムスロットを示すスケジューリング情報を受信することをさらに備える。
【0010】
一実施形態では、5Gネットワークは、第1のユーザ機器(UE)と、データネットワーク(DN)とを備え、k個の分離した複数の経路を定義することは、第1のユーザ機器(UE)とデータネットワーク(DN)との間の接続を確立することを備える。
【0011】
一実施形態では、接続を確立することは、第1のユーザ機器(UE)のために少なくとも1つのプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することを備える。
【0012】
一実施形態では、5Gネットワークは、第2のユーザ機器(UE)をさらに備え、接続を確立することは、第1のユーザ機器(UE)との第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することと、第2のユーザ機器(UE)との第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することとを備える。
【0013】
一実施形態では、第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することは、第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションのために第1のユーザプレーン機能(UPF)を選択することを備え、第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することは、第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションのために第2のユーザプレーン機能(UPF)を選択することを備える。
【0014】
一実施形態では、(i)冗長であると決定されたコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、5Gネットワークのデータネットワーク(DN)によって実行される。
【0015】
一実施形態では、接続を確立することは、第1のユーザ機器(UE)との第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することと、第1のユーザ機器(UE)との第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションを確立することとを備える。
【0016】
一実施形態では、第1のプロトコルデータユニット(PDU)セッションは、5Gネットワークの第1のデータネットワーク名(DNN)を介して確立され、第2のプロトコルデータユニット(PDU)セッションは、5Gネットワークの第2のデータネットワーク名(DNN)を介して確立される。
【0017】
一実施形態では、(i)冗長であると決定されたコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、5Gネットワークのインターネットプロトコル(IP)レイヤによって、5Gネットワークのユーザプレーン機能(UPF)によって、または第1のユーザ機器(UE)によって実行される。
【0018】
一実施形態では、接続を確立することは、5Gネットワークのユーザプレーン機能(UPF)によって、5Gネットワークを介してデータを送信するための第1のN3トンネルおよび第2のN3トンネルを確立することを備える。
【0019】
一実施形態では、第1のN3トンネルは、ユーザプレーン機能(UPF)とマスター基地局(MgNB)とを接続し、第2のN3トンネルは、ユーザプレーン機能(UPF)とセカンダリ基地局(SgNB)とを接続する。
【0020】
一実施形態では、(i)冗長であると決定されたコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、5GネットワークのGPRSトンネリングプロトコル(GTP)レイヤによって実行される。
【0021】
一実施形態では、(i)冗長であると決定されたコピーを消去することと、(ii)TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを生成することとの少なくとも一方は、5Gネットワークのエアインターフェースプロトコルスタックのレイヤによって実行される。
【0022】
一実施形態では、(i)冗長であると決定されたコピーを消去するステップと、(ii)TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを生成するステップとは、5Gネットワークのサービスデータアダプテーションプロトコル(SDAP)レイヤによって実行される。
【0023】
一実施形態では、(i)冗長であると決定されたコピーを消去するステップと、(ii)TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを生成するステップとは、5Gネットワークのパケットデータ収束プロトコル(PDCP)レイヤによって実行される。
【0024】
一実施形態によれば、タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムと5Gネットワークとの間で複数のフレームを備えるデータを送信する方法が提供され、本方法は、データの各フレームについて、タイムセンシティブネットワーキング(TSN)システムによって、次の処理(c)および処理(d)のうちの少なくとも1つを実行することを備え、ここで、(c)は、TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルとTSNトラフィックのフレームの冗長なコピーを削除するためのプロトコルとを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、フレームのk個のコピーを取得し、冗長ポリシーに基づいて、フレームの冗長なコピーを消去するように構成された5Gネットワークのレイヤにコピーを送信することで、(d)は、5Gネットワークからフレームのk個のコピーを受信し、TSNトラフィックのフレームの冗長なコピーを削除するためのプロトコルを示す5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、受信されたコピーの1つまたは複数が冗長であるかどうかを決定し、冗長であると決定されたコピーを消去することである。
【0025】
一実施形態では、コピーを送信することは、受信されたコピーを確率1/Θで通過させることを備え、ここで、ΘはTSNトラフィックのために5Gネットワークにおいて利用可能な経路の平均数である。
【0026】
一実施形態では、フレームのk個のコピーを取得することは、確率1/Θでデータの受信されたフレームを複製することを備え、ここで、Θは、TSNトラフィックのために5Gネットワークにおいて利用可能な経路の平均数である。
【0027】
一実施形態によれば、プロセッサによって実行可能なコンピュータ命令を備える1つまたは複数の非一時的記憶媒体が提供され、コンピュータ命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに上述の方法を実行させる。TSNと5Gシステムとの統合は、多くの課題を生み出す。TSNノードと5Gノードとを備える異種ネットワークの統合運用は、2つの技術が機能と内部プロトコルにおいて異なるので、特に困難になる。統合されたTSNおよび5Gのシステムに802.1CB機能を拡張することは、詳細には、エンドツーエンドのフォールトトレランスのために、分離した複数の経路が常に利用可能であるとは限らないときに特に重要になる。
【0028】
一実施形態によれば、コントローラと、コントローラによって実行可能な命令を記憶するメモリとを備え、命令を実行するときにコントローラに上述の方法のいずれかを実行させるように構成されたデバイスが提供される。
【0029】
図1は、FRERプロトコルスタックの一般的な例を示す。FRERプロトコルは、2つの主要なメカニズム、すなわち、(i)TSNトーカー(送信元ノード)における(異なる経路を介した)ストリームの複製と、(ii)中継ノード/TSNリスナー(送信先ノード)におけるストリームごとの重複の消去とを備える。シーケンス生成機能は、ストリームの各フレームについてのシーケンス番号を生成する。ストリーム分割機能は、ストリームの各フレームについて、M個の(別個の)分離した複数の経路を介して転送されるM個のコピーを生成する。シーケンス符号化機能は、イーサネットフレームの冗長タグ(R-TAG)フィールドを使用して、生成されたシーケンス番号を各フレームに割り当てる。シーケンス復号機能は、受信されたフレームからシーケンス番号を抽出する。シーケンス回復ステージは、受信したフレームを受け入れるか、または廃棄するかのいずれかである。シーケンス回復機能は、複合されたストリームのレベルで動作し、すなわち、フレームがすべての経路から受信される。個別回復機能は、メンバーストリームのレベルで動作し、すなわち、フレームが単一の経路から受信される。ストリーム識別機能は、フレームが属するストリームを識別する。ストリームは、送信元または送信先のMACアドレス、またはイーサネットフレーム中のVLAN IDを通して識別され得る。上記のすべての機能が、すべてのFRERプロトコルスタックに含まれるとは限らない。
【0030】
図2は、5Gコアネットワークアーキテクチャの一般的な例を示す。このネットワークは、ユーザ機器UEと、無線アクセスネットワーク(RAN)と、ユーザプロトコル機能(UPF)、データネットワーク(DN)と、ネットワーク露出機能(NEF)と、ネットワークスライス選択機能(NSSF)と、非3GPPインターワーキング機能(N3IWF)と、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)と、統合データ管理(UDM)と、ポリシー制御機能(PCF)と、セッション管理機能(SMF)と、アプリケーション機能(AF)とを備える。無線アクセスネットワーク(RAN)は、N3インターフェースを介してユーザプロトコル機能(UPF)と通信し、ユーザプロトコル機能(UPF)は、N6インターフェースを介してデータネットワーク(DN)と通信する。アクセスおよびモビリティ管理機能AMFは、N1インターフェースを介してユーザ機器(UE)と通信し、N2インターフェースを介して無線アクセスネットワーク(RAN)と通信する。
【0031】
図3は、5Gネットワークにおける制御プレーンプロトコルスタックとユーザプレーンプロトコルスタックとを示す。制御プレーンプロトコルスタックは、非アクセス層(NAS)と、無線リソース制御レイヤ(RRC)と、パケットデータ収束プロトコルレイヤ(PDCP)と、無線リンク制御レイヤ(RLC)と、媒体アクセス制御レイヤ(MAC)と、物理レイヤ(PHY)とを備える。ユーザプレーンプロトコルスタックは、サービスデータアダプテーションプロトコルレイヤ(SDAP)と、パケットデータ収束プロトコルレイヤ(PDCP)と、無線リンク制御レイヤ(RLC)と、媒体アクセス制御(MAC)と、物理レイヤ(PHY)とを備える。
【0032】
図4は、統合通信ネットワークの例を示す。このネットワークは複数のTSNシステムを備え、各TSNシステムは終端局(ES)を有する。終端局(ES)は、トーカーまたはリスナーであり得る。TSNシステムは、FRER機能を実装する。ネットワークは、少なくとも1つのユーザ機器(UE)と、1つまたは複数の基地局(gNB)を備える無線アクセスネットワーク(RAN)と、コアネットワークとを備える5Gシステムをさらに含む。5Gシステムは、仮想TSNブリッジを介してTSNシステムの各々と通信する。
【0033】
統合ネットワークは、複数のTSNシステムの各々および5Gネットワークと通信する集中型ネットワーク構成エンティティ(CNC)によって管理される。
【0034】
図5は、統合通信ネットワークのさらなる例を示す。この統合ネットワークは、5Gネットワークと通信している2つのTSNシステムAおよびBと、TSNシステムAと通信している複数のさらなるTSNシステム1...kとを備える。TSNシステムAからのトラフィックは、5Gネットワークを介してTSNシステムBに送信されることがある。TSNシステムAおよびBは、FRER機能を提供することがあり、5Gネットワークは、マルチパス送信を提供するように構成され得る。
【0035】
図6は、5Gネットワークにおけるプロトコルデータユニット(PDU)セッションの例を示す。PDUセッションは、ユーザ機器(UE)を特定のデータネットワークに接続する役割を果たす。PDUセッションは、IPまたはイーサネットPDUセッションであることがあり、PDUセッションの確立は、ユーザ機器(UE)または5Gネットワークの他のノードのいずれかによってトリガされることがある。PDUセッションにおいて、2つのデータ無線ベアラDRB1、DRB2が確立される(この例の変形形態では、PDUセッションにおいて1つまたは複数のデータ無線ベアラDRBが確立される)。5Gネットワークは、複数のサービス品質データフロー(QoS)をさらに定義し、各フローは、異なるQoSフロー識別子QFI(QFI X、QFI Y、QFI Z)を有し、データ無線ベアラDRB1およびDRB2のうちの1つにマッピングされる。QoSデータフローの各々は、5GネットワークのN3インターフェースを介して、無線アクセスネットワーク(RAN)とユーザプレーン機能(UPF)との間で送信される。
【0036】
図7は、3つの実施形態(1)~(3)の全体的な概要を示す。実施形態の各々では、少なくとも1つのユーザ機器(UE)と少なくとも1つの基地局gNBとを備える5Gネットワークは、TSNトラフィックを受信および送信するように構成される。5Gネットワーク内で、TSNトラフィックは、少なくとも1つのプロトコルデータユニットセッションPDUと少なくとも1つのユーザプレーン機能(UPF)とを介して受信および送信される。
【0037】
第1の実施形態(1)では、5Gネットワークは、2つのユーザ機器UE1およびUE2を備え、UE1と基地局gNBとを接続する第1のPDUセッション(PDUセッション1)と、UE2と基地局gNBとを接続する第2のPDUセッション(PDUセッション2)とを確立するように構成される。第1のPDUセッションには、第1のUPF(UPF1)が確立され、第2のPDUセッションには、第2のUPF(UPF2)が確立される。すなわち、5Gネットワーク内でTSNトラフィックを送信するための2つの分離した経路が確立される。
【0038】
第2の実施形態(2)では、5Gネットワークは、単一のユーザ機器(UE)を備え、UEと基地局gNBとを接続する複数の冗長なPDUセッション(PDUセッション1、PDUセッション2)を確立するように構成される。両方のPDUセッションに対して、単一のUPFが確立される。2つのPDUセッションは、2つの異なるデータネットワーク名を介して確立されるので、5Gネットワーク内でTSNトラフィックを送信するための2つの分離した経路を提供する。本実施形態の変形形態では、3つ以上の冗長なPDUセッションが、5Gネットワークによって確立され得る。
【0039】
第3の実施形態(3)では、5Gネットワークは、単一のユーザ機器(UE)を備え、UEと基地局gNBとを接続する単一のPDUセッションを確立するように構成される。PDUセッションに対して、単一のUPFが確立される。この実施形態では、5Gネットワーク内でTSNトラフィックを送信するための分離した複数の経路は、デュアル接続技術、すなわち、ユーザプレーン機能UPFと複数の基地局gNBとの間に複数のN3インターフェースを確立することによって、および/またはRANとUEとの間に分離した複数の経路を確立することによって提供され得る。
【0040】
実施形態(1)~(3)の各々は、
図4または
図5に示されるように、統合ネットワークにおいて実装され得る。
【0041】
図8は、第1の実施形態による方法を示す。統合ネットワークのCNCは、5Gネットワークのシステムレベルのスケジュール情報を、5Gネットワークのアプリケーション機能(AF)に送る。次いで、AFは、5Gネットワークのポリシー制御機能(PCF)に、5Gネットワークの冗長ポリシーを通知する。システムレベルのスケジュール情報は、TSNトラフィックが5Gネットワークに到着すると予想される時間ウィンドウを5Gネットワークに通知する。冗長ポリシーは、TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルと、TSNトラフィックのフレームの冗長なコピーを削除するためのプロトコルとを備える、5GネットワークによってサポートされるTSNトラフィック処理メカニズムのタイプを示す。
【0042】
5Gネットワークは、TSNトラフィックを処理する複数のUEを備える。これらのUEは、国際携帯加入者識別番号(IMSI)または任意の他の一意の識別子を通して識別され得る。AFがPCFに冗長ポリシーを通知することに応答して、第1のUEは、第1のPDUセッション確立要求を、5Gネットワークのアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)に送信する。第1のPDUセッション確立要求は、第1のUEによって、または5Gネットワークによってトリガされ得る。これに応答して、AMFは、第1のPDUセッションのセッション管理機能(SMF)を選択し、5Gネットワークのコアネットワークは、第1のPDUセッションの認証(承認)を実行する。PDUの第1のセッションの認証に応答して、選択されたSMFは、認証された第1のPDUセッションのための第1のユーザプレーン機能(UPF)を選択する。
【0043】
次いで、第2のUEは、第2のPDUセッション確立要求を、5Gネットワークのアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)に送信する。第2のPDUセッション確立要求は、5Gネットワークによってトリガされる。これに応答して、AMFは、第2のPDUセッションのセッション管理機能(SMF)を選択し、5Gネットワークのコアネットワークは、第2のPDUセッションの認証(承認)を実行する。第2のPDUセッションの認証に応答して、選択されたSMFは、認証された第2のPDUセッションに対して、第1のユーザプレーン機能UPFとは異なる第2のユーザプレーン機能UPFを選択する。このようにして、TSNトラフィックを処理するために、異なるエンドポイント(第1のUEおよび第1のUPF、第2のUEおよび第2のUPF)を有する2つのPDUセッションが5Gネットワークに確立され、したがって、5Gネットワークを介してTSNトラフィックを送信するための2つの分離した経路を提供する。
図8の実施形態では、TSNトラフィックのフレームの複製および/またはTSNトラフィックのフレームの冗長なコピーの消去は、データネットワーク(DN)のIPレイヤにおいて実行される。5Gネットワークを介したTSNトラフィックの送信が、
図9を参照してさらに説明される。
【0044】
図9は、
図8の方法の例示的な実装形態を示す。5Gネットワークは、仮想TSNブリッジを介してTSNシステムに接続される。複数のデータフレームを備えるTSNトラフィックは、UE側からまたはネットワーク側から5Gネットワークに入ることがある。5Gネットワークによって受信されたTSNトラフィックのフレームは、5Gネットワークの冗長ポリシーに従って、データネットワークDNによって(たとえば、データネットワークのIPレイヤによって、またはPDUセッションがイーサネットPDUセッションであるデータネットワークのレイヤ2によって)複製される。たとえば、各フレームのk個のコピーが生成され、ここで、kは5Gネットワーク内でTSNトラフィックを送信するための分離した複数の経路の数である。k個のコピーの各々は、次いで、分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信される。送信先、たとえば、TSNシステムのノードでは、5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、受信されたフレームのコピーの1つまたは複数が冗長であるかどうかが決定され、冗長であると決定されたコピーは、TSNノードによって消去される。(たとえば、受信されたコピーは、各フレームの単一のコピーのみを残すように消去されることがある。)
【0045】
代替的に、5Gネットワークを介して送信されるTSNトラフィックのフレームは、5Gネットワークのk個の分離した複数の経路を介して送信される前に、5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいてTSNネットワークのノードによって複製されることがある。送信先、たとえば、データネットワークのノードでは、5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、受信されたフレームのコピーの1つまたは複数が冗長であるかどうかが決定され、冗長であると決定されたコピーは、データネットワークによって消去される。本実施形態の変形形態では、消去ステップと複製ステップの両方が、データネットワーク(DN)によって(たとえば、データネットワークのIPレイヤ/レイヤ2によって)実行され得る。
【0046】
第1の実施形態による方法は、
図4または
図5に示される統合ネットワークにおいて実装され得る。
【0047】
【0048】
統合ネットワークのCNCは、5Gネットワークのシステムレベルのスケジュール情報を、5Gネットワークのアプリケーション機能(AF)に送る。AFがPCFに冗長ポリシーを通知することに応答して、UEは、第1のPDUセッション確立要求を、5Gネットワークのアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)に送信する。第1のPDUセッション確立要求は、UEによって、または5Gネットワークによってトリガされ得る。第1のPDUセッションは、第1のデータネットワーク名(DNN)を介して確立される。これに応答して、AMFは、第1のPDUセッションのセッション管理機能(SMF)を選択し、5Gネットワークのコアネットワークは、第1のPDUセッションの認証(承認)を実行する。PDUの第1のセッションの認証に応答して、選択されたSMFは、認証された第1のPDUセッションのためのユーザプレーン機能UPFを選択する。
【0049】
次いで、UEは、同じUEとの冗長なPDUセッションを確立するために、5Gネットワークのアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)に、第2のPDUセッション確立要求を送信する。第2のPDUセッション確立要求は、5Gネットワークによってトリガされる。第2のPDUセッションは、第1のデータネットワーク名(DNN)とは異なる第2のデータネットワーク名(DNN)を介して確立される。これに応答して、AMFは、第2のPDUセッションのセッション管理機能(SMF)を選択し、5Gネットワークのコアネットワークは、第2のPDUセッションの認証(承認)を実行する。第2のPDUセッションの認証に応答して、選択されたSMFは、認証された第2のPDUセッションのためのユーザプレーン機能UPFを選択する。このようにして、異なるデータネットワーク名を有する2つのPDUセッションは、TSNトラフィックを処理するために5Gネットワーク内に確立され、したがって、5Gネットワークを介してTSNトラフィックを送信するための分離した複数の経路を提供する。本実施形態の変形形態では、3つ以上の冗長なPDUセッションが、TSNトラフィックを処理するために、5Gネットワークによって確立され得る。
図10の実施形態では、TSNトラフィックのフレームの複製および/またはTSNトラフィックのフレームの冗長なコピーの消去は、データネットワークDNのIPレイヤにおいて実行される。
【0050】
5Gネットワークを介したTSNトラフィックの送信が、
図11を参照してさらに説明される。
【0051】
5Gネットワークは、仮想TSNブリッジを介してTSNシステムに接続される。複数のデータフレームを備えるTSNトラフィックは、UE側からまたはネットワーク側から5Gネットワークに入ることがある。
【0052】
5Gネットワークによって受信されたTSNトラフィックのフレームは、5Gネットワークの冗長ポリシーに従って、5Gネットワークによって(たとえば、イーサネットプロトコルスタックのIPレイヤ/レイヤ2において、UPFにおいて、またはUEにおいて)複製される。たとえば、各フレームのk個のコピーが生成され、ここで、kは5Gネットワーク内でTSNトラフィックを送信するための分離した複数の経路の数である。k個のコピーの各々は、次いで、分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信される。送信先、たとえば、イーサネットプロトコルスタックのIPレイヤ/レイヤ2、UPF、またはUEでは、5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、受信されたフレームのコピーの1つまたは複数が冗長であるかどうかが決定され、冗長であると決定された受信コピーは、イーサネットプロトコルスタックのIPレイヤ/レイヤ2、UPF、またはUEによって消去される。(たとえば、受信されたコピーは、各フレームの単一のコピーのみを残すように消去されることがある。)
【0053】
図10の方法は、
図4または
図5に示される統合ネットワークにおいて実装され得る。
【0054】
図12は、第3の実施形態による方法を示す。統合ネットワークのCNCは、5Gネットワークのシステムレベルのスケジュール情報を、5Gネットワークのアプリケーション機能(AF)に送ることによって、PDU確立手順を開始する。次いで、AFは、5Gネットワークのポリシー制御機能(PCF)に、5Gネットワークの冗長ポリシーを通知する。システムレベルのスケジュール情報は、TSNトラフィックが5Gネットワークに到着すると予想される時間ウィンドウを5Gネットワークに通知する。冗長ポリシーは、TSNトラフィックのフレームを複製するためのプロトコルと、TSNトラフィックのフレームの冗長なコピーを削除するためのプロトコルとを備える、5GネットワークによってサポートされるTSNトラフィック処理メカニズムのタイプを示す。
【0055】
AFがPCFに冗長ポリシーを通知することに応答して、UEは、PDUセッション確立要求を、5Gネットワークのアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)に送信する。PDUセッション確立要求は、UEによって、または5Gネットワークによってトリガされ得る。これに応答して、AMFは、PDUセッションのセッション管理機能(SMF)を選択し、5Gネットワークのコアネットワークは、PDUセッションの認証(承認)を実行する。PDUの第1のセッションの認証に応答して、選択されたSMFは、認証されたPDUセッションのためのユーザプレーン機能(UPF)を選択する。
【0056】
PDUセッションの確立手順が完了すると、フレームの複製および消去は、いくつかの異なるプロトコルを介して処理され得る。5Gネットワークを介したTSNトラフィックの送信が、
図13を参照してさらに説明される。
【0057】
第1のプロトコル(「実施形態A」)によれば、フレーム/パケットの複製および消去は、GPRSトンネリングプロトコル(GTP)レイヤにおいてUPFと5GネットワークのRANとの間で行われる。GTPレイヤは、5Gネットワークの冗長ポリシーに従って、受信されたTSNデータのフレームを複製する。たとえば、各フレームのk個のコピーが生成され、ここで、kは5Gネットワーク内でTSNトラフィックを送信するための分離した複数の経路の数である。k個のコピーの各々は、次いで、分離した複数の経路のそれぞれ1つを介して送信先に送信される。送信先、たとえば、GTPレイヤでは、5Gネットワークの冗長ポリシーに基づいて、受信されたフレームのコピーの1つまたは複数が冗長であるかどうかが決定され、冗長であると決定された受信コピーは、GTPレイヤによって消去される。(たとえば、受信されたコピーは、各フレームの単一のコピーのみを残すように消去されることがある。)
【0058】
UPFは、TSNトラフィックを送信するために、2つの異なるN3インターフェース(トンネル)を確立する。RAN側では、2つのN3インターフェースは、2つの異なる基地局gNB、すなわち、マスターgNB(MgNB)およびセカンダリgNB(SgNB)が使用されるデュアル接続技術によって、別々のエンドポイントを有効にする。したがって、5Gネットワークを通してTSNトラフィックを送信するための2つの分離した複数の経路が提供される。2つの基地局gNBは、Xnインターフェースを介して接続される。
【0059】
第2のプロトコル(「実施形態B」)によれば、フレーム/パケットの複製および消去は、エアインターフェースの異なるレイヤにおいてUEとRANとの間で行われる。たとえば、
図14に示されるように、QoSフローのデータ無線ベアラへのマッピングを処理するサービスデータアダプテーションプロトコル(SDAP)レイヤにおいて複製および消去が行われる。SDAPレイヤはSDAP PDUを複製し、元のPDUと複製されたPDUが2つの異なるデータ無線ベアラ(DRB)を介して送られるように、別のPDCPエンティティを追加する。
【0060】
代替的に、
図15に示されるように、フレームの複製および消去は、5Gネットワークのパケットデータ収束プロトコル(PDCP)レイヤにおいて行われることがある。PDCPレイヤは、PDCP PDUを複製する。PDCPレイヤは、別の無線リンク制御(RLC)エンティティを追加し、元のPDUおよび複製されたPDUが、2つの分離した複数の経路を介して送信されるように、すなわち、マスターgNB MgNBを介して一方が、セカンダリgNB SgNBを介して他方が送信されるように、ベアラ分割動作を実行する。
【0061】
実施形態では、第1のプロトコルと第2のプロトコルの両方が実装され得る。
【0062】
図12の方法は、
図4または
図5に示される統合ネットワークにおいて実装され得る。
【0063】
上述した複製技術および消去技術は、一実施形態において組み合わされ得る。たとえば、複製/消去技術が単一のPDUセッション内で実装される一方で、複数のPDUセッションが使用されてよく、それにより、データ送信のための追加の分離された経路を提供し、ネットワーク内のデータ送信の信頼性を向上させる。
【0064】
上記の実施形態の変形形態では、5Gネットワークに向けてトラフィックを送信するFRER準拠のTSNノードは、5Gネットワークにおいて利用可能な冗長な経路のレベルに基づいて、複数の経路から受信された複製フレーム(すなわち、TSNシステムのFRERプロトコルによって複製されたフレーム)を動的に消去する。5Gネットワークに向けてトラフィックを送信するTSNノードは、確率1/Θで「k」経路から受信された複製フレームを許可(転送)することがあり、ここで、ΘはTSNトラフィックに対して5Gネットワークにおいて利用可能な経路の平均数である。5Gネットワークにおける経路の平均数は、次のように計算され得る。
[Paths_UE-RAN+Paths_RAN-Core]/2
ここで、Paths_UE-RANは、UEと5GネットワークのRANとの間の冗長なトラフィックに利用可能な経路の総数を示し、Paths_RAN-Coreは、RANと5Gネットワークのコアネットワークとの間の冗長なトラフィックに利用可能な経路の総数を示す。たとえば、2つの独立した(単一のUEまたは複数のUEのいずれかとの)PDUセッションの場合、経路の平均数は2であり、エアインターフェースまたはN3インターフェースにおける複製/消去を伴う単一のPDUセッションの場合、経路の平均数は1.5であり、マルチパス送信が5Gネットワークによってサポートされていない場合、経路の平均数は1である。
【0065】
上記の実施形態の変形形態では、5Gネットワークからトラフィックを受信するTSNノードは、確率1/Θで受信されたフレームを(「k」個の利用可能な経路を介して)複製し、ここで、ΘはTSNトラフィックのために5Gシステムにおいて利用可能な経路の平均数である。
【0066】
5Gネットワークにおける経路の平均数に関する情報は、CNCを介してTSNノードと共有されることがある。
【0067】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単なる例示として提示されたものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。実際に、本明細書で説明される新規のデバイスおよび方法は、他の様々な形態において具体化されることがあり、さらに、本明細書で説明されるデバイス、方法、および製品の形態における様々な省略、置換、および変更は、本発明の趣旨から逸脱することなく行われ得る。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本発明の範囲および趣旨に属する形態または修正をカバーすることが意図される。
【外国語明細書】