(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027462
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】回転ボウルおよび磁気カップリング手段を備える回転式アトマイザ、ならびにかかるアトマイザの組立および/または分解方法
(51)【国際特許分類】
B05B 5/04 20060101AFI20250219BHJP
B05B 3/10 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
B05B5/04 A
B05B3/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024134940
(22)【出願日】2024-08-13
(31)【優先権主張番号】2308701
(32)【優先日】2023-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】509003265
【氏名又は名称】エクセル インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】EXEL INDUSTRIES
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドニ・ヴァンゼット
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・ペリネ
(72)【発明者】
【氏名】シリル・メダルド
【テーマコード(参考)】
4F033
4F034
【Fターム(参考)】
4F033PA11
4F033PB16
4F033PD03
4F033PD06
4F034AA01
4F034AA03
4F034BA23
4F034BA26
4F034BB02
4F034BB28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】主要本体上への空気供給スカートおよびボウルの取付けが容易であり、自動化され得る、コーティング製品用の回転式アトマイザを提供する。
【解決手段】本発明のアトマイザ(2)は、主要本体(4)と、主要本体により規定される回転軸(A2)を中心として回転部材(10)により回転されるボウル(8)とを備える。ボウルは、第1の磁気カップリング手段(82)を備え、アトマイザ(2)の非回転部分(6)に対して固定された整合的な第2の磁気カップリング手段(14)と協働する傾向を有する。第1のカップリング手段および第2のカップリング手段は、ボウル(8)の回転軸(A2)に対して少なくとも部分的に軸方向を成す力を印加する傾向を有し、この力は、回転部材に対するボウルの回転カップリングを誘発する。第2の磁気カップリング手段(14)は、主要本体(4)上に直接的に取り付けられた空気供給スカート(6)により支持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング製品(2)用の回転式アトマイザであって、主要本体(4)と、前記主要本体により規定される回転軸(A2)を中心として回転部材(10)によって回転されるボウル(8)とを備え、前記ボウルは、第1の磁気カップリング手段(82;14)を備え、前記第1の磁気カップリング手段(82;14)は、前記コーティング製品(2)用の前記アトマイザの非回転部分(6)に対して固定された整合的な第2の磁気カップリング手段(14;682)と協働する傾向を有し、前記第1のカップリング手段および前記第2のカップリング手段は、前記ボウル(8)の前記回転軸(A2)に対して少なくとも部分的に軸方向を成す力(E1)を印加する傾向を有し、前記力は、前記回転部材に対する前記ボウル(8)の回転カップリングを誘発する、コーティング製品(2)用の回転式アトマイザにおいて、
前記第2の磁気カップリング手段(14;682)は、前記主要本体(4)上に直接的に取り付けられた空気供給スカート(6)により支持されることを特徴とする、
コーティング製品(2)用の回転式アトマイザ。
【請求項2】
前記第2の磁気カップリング手段(14;682)は、前記空気供給スカート(6)の内部カラーフランジ(649)の上に取り付けられるかまたは前記内部カラーフランジ(649)により形成されて、前記主要本体(4)の前方面(428)を圧迫することを特徴とする、請求項1に記載のアトマイザ。
【請求項3】
前記第1の磁気カップリング手段(82)は、前記ボウルの強磁性部分(82;83)により形成され、前記第2の磁気カップリング手段は、少なくとも1つの永久磁石(14)により形成されることを特徴とする、請求項1に記載のアトマイザ。
【請求項4】
前記第1の磁気カップリング手段は、少なくとも1つの永久磁石(14)により形成され、前記第2の磁気カップリング手段は、前記空気供給スカート(6)の強磁性部分(682)により形成されることを特徴とする、請求項1に記載のアトマイザ。
【請求項5】
前記アトマイザは、磁気-空気圧システムまたは磁気-油圧システム(100)を備え、前記磁気-空気圧システムまたは前記磁気-油圧システムは、
前記主要本体(4)上に前記空気供給スカート(6)を掛止するための磁気デバイス(100A)と、
前記主要本体上に前記空気供給スカートをロックおよびクランプ固定するための空気圧機構または油圧機構(100B)と
を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のアトマイザ。
【請求項6】
前記磁気掛止デバイス(100A)は、前記空気供給スカート(6)と前記主要本体(4)との間において前記アトマイザの長手方向軸(A2)に対して平行な軸方向磁力を第1の強度(I1)で印加するように構成されることと、前記空気圧クランプ固定機構または前記油圧クランプ固定機構(100B)は、前記空気供給スカートと前記主要本体との間において前記アトマイザの前記長手方向軸に対して平行な軸方向機械力を第2の強度(I2)で印加するように構成されることと、前記第2の強度は、前記第1の強度よりも厳密に高いこととを特徴とする、請求項5に記載のコーティング製品用のアトマイザ。
【請求項7】
前記アトマイザは、前記空気供給スカート(6)と前記主要本体(4)との間に配置されたシール(20)を備えることと、前記空気圧クランプ固定機構または前記油圧クランプ固定機構(100B)により印加される前記機械力によって圧縮された前記シールは、前記主要本体(4)内および前記空気供給スカート(6)の本体(62)内に設けられた形状づけ空気の循環用の導管(422、622)を前記アトマイザ(2)の外部から隔離することとを特徴とする、請求項6に記載のコーティング製品用のアトマイザ。
【請求項8】
前記空気供給スカート(6)は、前記主要本体(4)上に形成された整合的なレリーフ(421、423)に螺着するためのレリーフ(650、653)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング製品用のアトマイザ。
【請求項9】
前記空気供給スカート(6)は、前記主要本体(44)の一部(441)と前記空気供給スカートの一部(642)との間に印加される磁力により前記主要本体に対してクランプ固定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング製品用のアトマイザ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のコーティング製品用のアトマイザを組み立てるおよび/または分解する方法であって、
前記アトマイザを組み立てる場合には、
第1の組立ステップにおいて、前記空気供給スカート(6)および前記ボウル(8)が組み立てられ、前記第1の磁気カップリング手段(14、82)と前記第2の磁気カップリング手段(14、682)との間の磁力により共に保持され、
第2の組立ステップにおいて、前記空気供給スカート(6)および前記ボウル(8)により形成されたサブアセンブリ(22)が、1つの操作で前記主要本体(4)上に直接的に取り付けられ、
前記アトマイザを分解する場合には、
第1の分解ステップにおいて、前記空気供給スカート(6)および前記ボウル(8)により形成された前記サブアセンブリ(22)は、1つの操作で前記主要本体から分離され、
第2の分解ステップにおいて、前記空気供給スカート(6)および前記ボウル(8)は、前記第1の磁気カップリング手段(14、82)と前記第2の磁気カップリング手段(14、682)との間の前記磁力に対抗して相互から分離される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング製品用の回転式アトマイザに関する。この回転式アトマイザは、主要本体と、この主要本体により規定される回転軸を中心として回転されるボウルとを備える。さらに、本発明は、かかるアトマイザの組立および/または分解を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2005/082542A1により、それぞれボウルおよびアトマイザの非回転部分に対して固定された第1の磁気カップリング手段および第2の磁気カップリング手段を関連付けることによって、回転式アトマイザの上にボウルを取り付けることが知られている。これにより、全体としての軸方向力を印加して、例えば、ボウルと例えばタービンのロータまたはかかるロータにより駆動されるシャフトなどの駆動部材との回転カップリングを誘発することなどが可能となる。かかる装置は、一般的には十分なものである。
【0003】
他方において、回転式アトマイザに空気供給スカートを設けることが知られている。この空気供給スカートは、ボウルのエッジから出るコーティング製品の液滴の雲を案内または形状づけするための空気流をボウルの付近に分配する役割を果たす。この場合に、第2の磁気カップリング手段は、しばしばアトマイザの主要本体の中央部分に配置されて、空気供給スカートの中央開口に対面する。ボウルは、回転手段と協働するようにこの中央開口に係合される。かかる場合に、空気供給スカートは、ボウルが定位置に設置される前に主要本体上に取り付けられる必要があり、第2の磁気カップリング手段の反対側に手で正確に位置決めされる必要がある。他方において、メンテナンス作業の最中に、ボウルは主要本体から分離される必要があり、次いでスカートは主要本体から分離される必要がある。これらの分離は、2つの連続的な手動作業の最中に行われる必要があるが、例えば塗装ブースなどのハンドリングにあまり適さない環境での実行が困難である。
【0004】
さらに、一部の用途においては、ボウルは比較的控えめのサイズを有し、手によるハンドリングを行う場合にボウルを落下させてしまうリスクを誘発するような細いグリップを有する。特にボウルおよび空気供給スカートを分解する場合に、オペレータがボウルの除去よりも前にスカートに対して作業しようとすると、ボウルを落下させる可能性が高く、これによりボウルのエッジを損傷させてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/082542A1
【特許文献2】WO2005/082542A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる装置では、ボウルと空気供給スカートとの組立および分解は、自動化が難しい複雑な作業である。
【0007】
より具体的には、本発明は、主要本体上への空気供給スカートおよびボウルの取付けが容易であり、かかる取付けがかなりの度合いにおいて自動化され得る、コーティング製品用の新規の回転式アトマイザを提案することによって、かかる短所を解決することを試みる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これを目的として、本発明の主題は、コーティング製品用の回転式アトマイザに関する。このアトマイザは、主要本体と、主要本体により規定される回転軸を中心として回転部材によって回転されるボウルとを備える。ボウルは、第1の磁気カップリング手段を備え、この第1の磁気カップリング手段は、コーティング製品用のアトマイザの非回転部分に対して固定された整合的な第2の磁気カップリング手段と協働する傾向を有する。第1のカップリング手段および第2のカップリング手段は、ボウルの回転軸に対して少なくとも部分的に軸方向を成す力を印加する傾向を有する。この力は、回転部材に対するボウルの回転カップリングを誘発する。このアトマイザは、第2の磁気カップリング手段が、主要本体上に直接的に取り付けられた空気供給スカートによって支持されることを特徴とする。
【0009】
本発明により、第1の磁気カップリング手段および第2の磁気カップリング手段によって、主要本体上への取付けの最中にまたはそれ自体の分解の最中にユニットとしてハンドリングすることの可能なサブアセンブリの形態へと空気供給スカートおよびボウルを組み立てることが可能となる。サブアセンブリのサイズは、ボウルのみのサイズよりも大きく、したがって把持がより容易である。サブアセンブリを落下させる可能性もより低くなる。さらに、第1のカップリング手段および第2のカップリング手段により、ボウルが空気供給スカートに対して正確に位置決めされるため、主要本体上にスカートを適切に取り付けることによって、ボウルが主要本体に対して、したがってボウルを回転させる回転部材に対して適切に位置決めされることが確保される。
【0010】
本発明の有利ではあるが必須ではない態様によれば、かかるアトマイザは、以下の特徴の中の1つまたは複数を個別にまたは技術的に許容される任意の組み合わせにおいて組み込むことが可能である。
- 第2の磁気カップリング手段は、空気供給スカートの内部カラーフランジの上に取り付けられるかまたは内部カラーフランジにより形成されて、主要本体の前方面を圧迫する。
- 第1の磁気カップリング手段は、ボウルの強磁性部分により形成され、第2の磁気カップリング手段は、少なくとも1つの永久磁石により形成される。
- 第1の磁気カップリング手段は、少なくとも1つの永久磁石により形成され、第2の磁気カップリング手段は、空気供給スカートの強磁性部分により形成される。
- アトマイザは、磁気-空気圧システムまたは磁気-油圧システムを備え、この磁気-空気圧システムまたは磁気-油圧システムは、
主要本体上に空気供給スカートを掛止するための磁気デバイスと、
主要本体上に空気供給スカートをロックおよびクランプ固定するための空気圧機構または油圧機構と
を備える。
- 磁気掛止デバイスは、空気供給スカートと主要本体との間においてアトマイザの長手方向軸に対して平行な軸方向磁力を第1の強度で印加するように構成され、空気圧クランプ固定機構または油圧クランプ固定機構は、空気供給スカートと主要本体との間においてアトマイザの長手方向軸に対して平行な軸方向機械力を第2の強度で印加するように構成され、第2の強度は、第1の強度よりも厳密に高い。
- アトマイザは、空気供給スカートと主要本体との間に配置されたシールを備え、空気圧クランプ固定機構または油圧クランプ固定機構により印加される機械力によって圧縮されたシールは、形状づけ空気の循環用の導管をアトマイザの外部から隔離する。
- 空気供給スカートは、主要本体上に形成された整合的なレリーフ上への螺着レリーフを備える。
- 空気供給スカートは、主要本体の一部と空気供給スカートの一部との間に印加される磁力により主要本体に対してクランプ固定される。
【0011】
第2の態様によれば、本発明の主題は、上述のようなコーティング製品用のアトマイザを組み立てるおよび/または分解する方法である。ここで、
- アトマイザを組み立てる場合には、
第1の組立ステップにおいて、空気供給スカートおよびボウルが組み立てられ、第1の磁気カップリング手段と第2の磁気カップリング手段との間の磁力により共に保持され、
第2の組立ステップにおいて、空気供給スカートおよびボウルにより形成されたサブアセンブリが、1つの操作で主要本体上に直接的に取り付けられ、
- アトマイザを分解する場合には、
第1の分解ステップにおいて、空気供給スカートおよびボウルにより形成されたサブアセンブリは、1つの操作で主要本体から分離され、
第2の分解ステップにおいて、空気供給スカートおよびボウルは、第1の磁気カップリング手段と第2の磁気カップリング手段との間の磁力に対抗して相互から分離される。
【0012】
もっぱら一例として提示されるおよび非限定的である以下の説明を読み、図面を参照とすることによって、本発明がより明確になろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるアトマイザの部分分解長手方向断面図である。
【
図2】
図1に示すアトマイザに属する磁気空気圧システムの斜視分解長手方向断面図である。
【
図3A】主要本体上に空気供給スカートおよびボウルを備えるサブアセンブリを取り付ける第1サブステップの最中における
図1に示すアトマイザを示すインサートA)である。
【
図3B】主要本体上に空気供給スカートおよびボウルを備えるサブアセンブリを取り付ける第1サブステップの最中における
図1に示すアトマイザを示すインサートB)である。インサートB)はインサートA)中の細部Bの拡大図である。
【
図4A】組立方法の第2のサブステップの最中における
図3Aと同様の図である。
【
図4B】組立方法の第2のサブステップの最中における
図3Bと同様の図である。
【
図5A】組立方法の第3のサブステップの最中における
図3Aと同様の図である。
【
図5B】組立方法の第3のサブステップの最中における
図3Bと同様の図である。
【
図6A】組立方法の第4のサブステップの最中における
図3Aと同様の図である。
【
図6B】組立方法の第4のサブステップの最中における
図3Bと同様の図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態によるアトマイザに関する
図1と同様の断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態によるアトマイザに関する
図1と同様の断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態によるアトマイザに関する
図1と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図6Bに示すコーティング製品用のアトマイザ2は、外部パーツ42、内部パーツ44、およびベース46のアセンブリにより形成された主要本体4を備える。
【0015】
例えば、このコーティング製品は、自動車両の車体または構成要素に塗布されることを意図された液体塗料、プライマ、またはワニスである。
【0016】
ねじ48は、主要本体のパーツ42、44、および46を固定する。ねじ48は、外方パーツ42の前方面428から突出する。
【0017】
アトマイザ2は、内部帯電型静電アトマイザであり、アトマイザ2により霧化されたコーティング製品を所与の電位にするように構成された高電圧ユニット(図示せず)を備える。
【0018】
A2は、アトマイザ2の長手方向軸を示す。
【0019】
アトマイザ2またはアトマイザの構成要素の前方側が、アトマイザ2の使用の最中にコーティング対象のワークピースに向かって配向される側として定義され、後方側が、前方側の反対側に配向される側として定義される。図面では、アトマイザ2の前部が上方に配向され、後部が下方に配向される。
【0020】
アトマイザ2の組立構成においては、空気供給スカート6が主要本体4上に取り付けられる。空気供給スカート6は、スカート本体62と、スカート本体62に螺着されたスリーブ64とを備える。
【0021】
一変形例では、スカート本体62およびスリーブは、圧着、溶接、および/またはボンディングにより剛体的に装着される。
【0022】
スカート本体62とスリーブ64との間の連結は、スリーブの前方端部641にて行われる。
【0023】
スリーブ64は、例えば鋼などの強磁性材料から作製される。
【0024】
さらに、アトマイザボウル8がアトマイザ2に属し、タービンにより長手方向軸A2を中心として回転されるように意図される。このタービンのロータは10で示される。タービンのステータは、主要本体4の内部パーツ44から構成される。
【0025】
ボウル8は、後部に向かって収束する雄型裁頭円錐状表面88を画定し、他方でロータ10は、前部に向かって発散するおよび雄型裁頭円錐状表面88に全体的に合致する雌型裁頭円錐状表面108を画定する。
【0026】
環状磁石14が、空気供給スカート6の内部径方向カラーフランジ649により支持される。より厳密には、磁石14は、内部径方向カラーフランジ649中に設けられ空気供給スカート6の前部に向かって配向された溝650内に配置される。
【0027】
ボウル8が空気供給スカート6上に取り付けられた構成では、および空気供給スカートが主要本体4上に取り付けられる前に、強磁性材料から作製されたボウル8の環状表面82が、永久磁石14の対向側に位置し、この永久磁石14は、パーツ6および8を共に剛体的に装着させる効果を有する。剛体的に装着されたこれらのパーツ6および8は、ユニット状の、およびアトマイザ2上の定位置に設置される場合または除去される場合の操作が容易な、サブアセンブリ22を形成する。
【0028】
一変形例では、第3の実施形態で示されるように、環状表面82を画定するボウル8の部分のみが、強磁性材料から作製され、例えばアルミニウムなどから作製されたボウル8上に直接的に取り付けられた鋼リングの形態などをとる。
【0029】
表面82を画定するボウルの強磁性部分が、第1の磁気カップリング手段を形成する。磁石14が、第2の磁気カップリング手段を形成する。ボウル8を備えた空気供給スカート6が主要本体4上に取り付けられ固定されると、第1の磁気カップリング手段82および第2の磁気カップリング手段14が協働してロータ10の表面108に対してボウル8の表面88を押し付け、これによりボウルおよびロータは回転軸A2を中心として回転するように固定される。
【0030】
アトマイザ2は、コーティング製品インジェクタ16をさらに備える。コーティング製品インジェクタ16は、ボウルがタービンロータ10上に取り付けられた構成では、下流端部162がボウル8の中央ボア84内に貫通する
【0031】
カバー18が、主要本体4の周囲に取り付けられ、コーティング製品の飛散から主要本体を保護する。
【0032】
スカート本体62は、複数のチャネル622を備える。これらのチャネル622は、空気供給スカート6が主要本体4上に取り付けられた構成では、長手方向軸A2に対して平行な方向に沿ってスカート本体62の全体を貫通し、各チャネルは、出口オリフィス624への送給を行う。空気ジェットが、この出口オリフィス624を通り、ボウル8のエッジ86から出るコーティング製品の雲に向かって送られることが可能であり、それによりコーティング製品ジェットを形状づける、および/またはコーティング対象物に向かってこのコーティング製品を送る。オリフィス624は、スカート本体62の円形前方面626上に形成される。
【0033】
スカート本体62は、凹状ハウジング628を画成する。空気供給スカート6が主要本体4上に取り付けられた構成では、主要本体4の外方パーツ42の前方部分が、この凹状ハウジング628内に収容される。凹状ハウジング628は、スカート本体62の後部上に設けられる。
【0034】
主要本体4の外部パーツ42は、空気供給スカート6に向かって空気を運ぶための導管422を備える。チャネル422は、チャネル442により空気が供給される。このチャネル442は、基本的に
図1および
図3A~
図6Bの平面とは異なる平面内に延在し、前記図においてはその下流端部のみが確認できる。
【0035】
凹状ハウジング628の底部628aは、導管422の出口424から導管622の2つ群への供給を行うためのディスペンサとしての役割を果たす2つの環状溝628cおよび628dを備える。導管422と溝628cおよび628dとの間における空気の通過に対する封止を確保するために、Oリング20が、主要本体4の外方パーツ42の前方面428上に、すなわち主要本体4とスカート6との間の境界ゾーンに形成された環状溝426内に配置される。Oリング20は、凹状ハウジング628の底部628aに対接し、圧縮されるように意図される。
【0036】
図面の例では、Oリング20および環状溝426は、同心円状であり、その個数は3個である。一変形例では(図示せず)、Oリング20および環状溝426の個数および/または形状はそれぞれ異なる。
【0037】
スリーブ64は、主要本体4の外方パーツ42と内方パーツ44との間において長手方向軸A2に対して半径方向に画成された、アトマイザ2の中央ハウジングL2内に係合されるように設計される。
【0038】
642は、スリーブ64の後方エッジを示し、すなわちスカート本体62の対向側のスリーブのエッジを示す。644は、後方エッジ642の最も近くに位置するスリーブ64の端部を示す。後方エッジ642は、スカート本体62の対向側の後方端部644を画定する。後方端部644は、スリーブ64の前方端部641の対向側に位置する。
【0039】
スリーブ64の径方向外方表面は、S64により示される。この径方向外方表面は、周縁溝646を備え、この周縁溝646は、スリーブ64の外部上に凹状ハウジングを形成する。646aは、周縁溝646の後方エッジを示し、すなわちスリーブ64の端部644の最も近くに位置する溝のエッジを示す。
【0040】
647は、端部644から周縁溝646を隔てるスリーブ64の外部周縁リブを示す。647aは、リブの後方エッジを示し、すなわちスリーブ64の端部644の最も近くに位置するリブのエッジを示す。
【0041】
サブアセンブリ22が主要本体4上に掛止され、スカート6が主要本体上にクランプ固定されることを確保するために、磁気-空気圧システム100が中央ハウジングL2内に設けられる。磁気-空気圧システム100は、磁気掛止デバイス100Aと、主要本体4上に空気供給スカート6をクランプ固定するための空気圧機構100Bとを備える。
【0042】
磁気掛止デバイス100Aにより実現される掛止により、主要本体4が、アトマイザが取り付けられた多軸ロボットまたはレシプロケータによって移動された場合であっても、ボウル8を備える空気供給スカート6は、主要本体4上において定位置に留まるように確保される。アトマイザのこの移動により、空気供給スカート6およびボウル8に対して加速がもたらされ、それにより中央ハウジングL2からスリーブ64が押し出される効果がもたらされる可能性がある。この磁気掛止力は、かかる加速を阻止するように寸法設定される。
【0043】
クランプ固定力により、主要本体4上における空気供給スカート6の位置決めを確定することと、Oリング20を圧縮することによってコーティング製品の雲に対して形状づけされた空気を供給する回路の出口オリフィス624の封止を確保することとが可能になる。
【0044】
磁気-空気圧システム100は、長手方向軸A100に沿って延在する。この長手方向軸A100は、磁気-空気圧システム100がアトマイザ2内に取り付けられた構成において、アトマイザ2の長手方向軸A2に一致する。
【0045】
磁気-空気圧システム100は、キャップ102を備え、このキャップ102は、キャップ102の外部上に設けられた1つまたは複数のタブ102aを貫通して延在するねじにより主要本体4上に固定される。
図2では、これらのねじの中の1つがその中心線103により表される。
【0046】
キャップ102は、長手方向軸A100を中心とする環状容積部V102を画成する。この環状容積部V102は、径方向内方壁部102bおよび径方向外方壁部102cにより画定される。
【0047】
通路102dが、径方向外方壁部102cの厚さ部分中に設けられ、主要本体4の内方パーツ44中に設けられた導管446と容積部V102とを流体連結する役割を果たす。
【0048】
他方において、キャップ102の内方壁部102bは、面取りエッジ102eにて終端する。この面取りエッジ102eは、容積部V102に向かって配向され、容積部V102の底部102fの対向側において長手方向軸A100に向かって、すなわちキャップ102の後部に向かって収束する。
【0049】
磁気-空気圧システム100は、中央ハウジングL2の後方底部上に配置されたカップ104をさらに備える。図面の例では、中央ハウジングL2の底部は、中央ハウジングL2の前方マウスの対向側に位置し、内部パーツ44により画定される。
【0050】
磁気-空気圧システム100は、2つのシールリング107aおよび107bを備える環状ピストン106をさらに備える。この例では、これらのシールリングは、ピストン106上に形成されたそれぞれ外部および内部の2つの周縁溝106aおよび106bの中に収容された2つのOリングによって形成される。これらのOリング107aおよび107bは、溝106aおよび106bがよく見えるようにするために
図1には図示しない。
【0051】
一変形例では、シールリングはリップシールにより形成される。別の変形例によれば、シールリングは、ピストン106の対向側に位置するキャップ102の壁部の上に取り付けられる。
【0052】
ピストン106は、一致する軸A2およびA100に対して平行に移動可能であり、キャップ102の容積部V102内に部分的に係合される。ピストン106がハウジングV102内に部分的に係合され、シールセグメント107aおよび107bが壁部102cおよび102bに対して対接することにより、可変容積封止チャンバC100が、要素102と要素106との間に画成される。可変容積チャンバC100は、通路102dを通り導管446から来る圧縮空気を供給される。例えば圧縮空気源、比例弁、およびブリード弁などの手段(図示せず)が、主要本体4上へのスカート6の組立順序または分解順序に応じて、可変容積チャンバC100に対して圧縮空気を供給するためにまたは可変容積チャンバC100を開くために使用される。導管446内に存在する空気の圧力は、ロータ10を駆動する空気の圧力および導管442内のスカート空気の圧力とは無関係に制御される。
【0053】
一変形例では、ロータ10を駆動する空気の一部が、導管446に向けて転送される。かかる場合には、可変容積チャンバC100は、タービンが動作状態になるとすぐに、圧縮空気を供給され得る。別の変形例によれば、導管446は、例えば導管442内を循環するスカート空気からなど、別の機能を目的としてアトマイザ2において使用される空気からの圧縮空気が供給され得る。
【0054】
さらに、ピストン106は、スリーブ64の外方周縁溝646にピストン106を係合させるための部材を形成するボール108を収容するための容積部V106を画定する。
【0055】
有利には、ボール108は各容積部V106内に取り付けられる。
【0056】
各ボール108は、容積部V106内に収容され、この容積部V106から、ピストン106の内部周縁表面S106上に各容積部V106の出口を形成する開口O106を通り突出してもよく、またはしなくてもよい。
【0057】
各容積部V106は、その容積部V106の開口O106の対向側において、長手方向軸A100に向かって前方に収束するおよび長手方向軸に対して角度αだけ傾斜する表面S106によって画定される。この角度αは、ゼロではなく、好ましくは15°~60°の間、または好ましくは30°~50°の間である。
【0058】
各容積部V106の表面S106は、ボール108を案内するためのカム表面を形成する。
【0059】
磁気-空気圧システム100は、サポート110をさらに備える。このサポート110は、長手方向軸A100を中心とする環状の形状を有し、強磁性材料から作製された固体本体110aとプロファイル110bにより形成される。サポート110のパーツ110aおよび110bは、適切な手段によって、具体的にはボンディング、圧着、および/または溶接によって共に固定される。
【0060】
一変形例では、サポート110は単体ピースである。
【0061】
サポート110は、ピストン106に対する長手方向軸A100を中心とした定位置を指示するためのピン110cを備える。
【0062】
さらに、サポート110は、ピストン106の後部から容積部V106内に係合することにより前記容積内の定位置にボール108を保持するように意図されたストッパ110dを備える。
【0063】
サポート110は、サポート110の径方向内側に配置された環状永久磁石112を担持する。この例では、永久磁石は、例えばボンディングなどによってプロファイル110bに対して固定される。
【0064】
他方において、サポート110、より具体的にはサポート110の本体110aは、長手方向軸A100を中心とするおよびピストン106に向かって収束する第1の裁頭円錐状内部表面S110と、長手方向軸A100を中心とするおよびピストン106に向かって発散する第2の裁頭円錐状内部表面S'110とを画定する。
【0065】
磁気-空気圧システム100は、ピストン106および好ましくはサポート110を前方に向かって戻すための弾性部材を形成する板ばね114をさらに備える。
【0066】
板ばね114は、鋼ブレードにより形成される。図面に示すばねなどの板ばねを使用することは、ばね114の軸方向におけるバルク性を最小限に抑えつつ、ピストン106の軸方向ストロークを比較的大きくすることが可能となるという利点を有する。
【0067】
一変形例では、板ばね114は、他の弾性部材に、具体的にはエラストマーブロックまたは渦巻ばねに置き換えられてもよい。
【0068】
次に、アトマイザ2の組立方法について説明する。
【0069】
第1のステップでは、サブアセンブリ22は、磁石14および表面82が要素6と要素8との間の磁気クランプ固定を実現するまで、空気供給スカート6の中央開口O6内にボウル8を係合させることによって形成される。このステップは、精密作業に適した環境にある作業場において実施することが可能である。
【0070】
次いで、第2のステップでは、サブアセンブリ22が、以降において説明するように主要本体4上に取り付けられる、すなわち1つの操作で直接的に取り付ける。前記ステップは、例えば塗装ブースなどのアトマイザ2が使用される場所において行われ得る。
【0071】
この組立ては、長手方向軸A2に対して平行にサブアセンブリ22を軸方向並進移動させることによって行われる。この軸方向への並進移動は、
図1および
図3A~
図6Bにおいて矢印Tにより表される。主要本体4上に空気供給スカート6をおよびしたがってサブアセンブリ22を取り付けるためには、空気供給スカート6のおよびしたがってサブアセンブリ22の他の移動は不要となる。
【0072】
これにより、主要本体4上へのサブアセンブリ22の取付けは、アトマイザ2の前記要素同士の間の相対並進移動のみによってもたらされる。
【0073】
図3A、
図3Bに示す第2ステップの第1サブステップにおいては、サブアセンブリ22は、軸A2上に整列され、主要本体4へとより近づけられる。前記ステップでは、スリーブ64の後方端部644は、磁気-空気圧システム100の構成要素と接触状態になることなく中央ハウジングL2内に係合される。
【0074】
主要本体4上へのサブアセンブリ22の取付けを継続すると、スリーブ64は
図4A、
図4Bに示すサブステップに至り、そのサブステップにおいて、スリーブ64の後方端部644は、後方端部644のエッジ642により永久磁石112に対接し、一方でエッジ647aは、表面S'110に対接し、これによりストロークの終了時における端部644の塑性変形が防止される。
【0075】
前記サブステップでは、閉じた磁束FMが、スリーブ64の後方端部644、サポート110のパーツ110aおよび110b、ならびに磁石112を介して確立され、この磁束FMは、軸方向における磁気引力によってサポート110に空気供給スカート6を接合する効果を有する。このサポート110は、キャップ102とカップ104との間での移動が制限されるため、中央ハウジングL2内で定位置に保持される。これにより、サブアセンブリ22全体が、サポート110に対して固定される。パーツ12とパーツ64との間の軸方向への磁気引力は、長手方向軸A2に対して平行であり、好ましくはこの軸を中心とするものであり、主要本体に対する空気供給スカート6およびしたがってサブアセンブリ22の掛止をもたらす。したがって、かかる力は、これらのパーツ同士を掛止するための力となる。
【0076】
永久磁石112は、例えばサブアセンブリ22が多軸ロボットのアームのリスト上にまたはレシプロケータ上に取り付けられる場合などに主要本体4が動かされ、それにより中央ハウジングL2に対するスリーブ64の引出し方向に向く可能性のある加速をサブアセンブリ22が被る場合も含めて、主要本体4上にサブアセンブリ22を定位置に保持するのに十分な強度の磁気掛止力をスリーブ64に対して印加するように選択される。
【0077】
実際には、永久磁石によりスリーブに対して印加される磁気掛止力は、10~20daNの間の、好ましくは約15daNの強度I1を有し、これにより主要本体4に対する空気供給スカート6のおよびしたがってサブアセンブリ22の効果的な掛止が可能になる。他方において、この磁気掛止力の強度I1が比較的中程度の数値である場合には、これは、オペレータがサブアセンブリ22を提供し、中央ハウジングL2内にスリーブ64を係合させる場合にオペレータを挟み込むことによる傷害リスクを抑制する。
【0078】
図4A、
図4Bに示すサブステップでは、サブアセンブリ22は、この磁力により主要本体4上に掛止されるが、凹状ハウジング628の底部628aは、ゼロではない軸方向距離D8だけ外部パーツ42の前方面428から離間された状態に留まる。この軸方向距離D8は、長手方向軸A2に対して平行に測定された距離である。特に前記サブステップでは、シール20は、圧縮されず、導管422および622により形成される空気回路と溝628cおよび628dとの間の封止が、外部に対して確保されない。
【0079】
図1、
図3A、
図3B、
図4A、および
図4Bに示すステップおよびサブステップでは、ばね114は、サポート110に対してカップ104から離れる方向への移動力を印加する。この力は、ストッパ110dがボール108に対接し、したがってボール108がピストン106のカム表面S106に対接するまで、種々の容積部V106内にストッパ110dを係合させる効果を有し、これは、容積部V102の底部102fに向かってピストン106を押し戻す効果を有する。このとき、可変容積チャンバC100は、具体的には
図3BのインサートB)に見ることのできる最小容積を有する。
【0080】
かかる位置において、各ボール108は、キャップ102の面取りエッジ102eに対接し、それにより各ボール108は、長手方向軸A100に対する径方向および求心方向に沿って壁部102bから径方向に突出することなく対応する容積部V106内で定位置に保持される。かかる状況下において、ボール108は、具体的には
図1、
図3A、
図3B、
図4A、および
図4Bに示す一連のステップの最中に、中央ハウジングL2内におけるスリーブ64の摺動の障害にならない。より具体的は、
図4A、
図4Bに示すサブステップにおいて、ボール108は外方周縁溝646内に係合されない。
【0081】
図4A、
図4Bのサブステップから始まる場合に、通路102dは、
図4A~
図6Bにおいて矢印Aにより示される圧縮空気を供給される。これは、可変容積チャンバC100を加圧し、
図4A、
図4Bおよび
図5A、
図5Bの比較から分かるように可変容積チャンバC100をカップ104に向かって拡張すなわち膨張させる効果を有する。このチャンバC100の軸方向拡張は、
図5Bおよび
図6Bにおいて矢印Dにより示されるようにピストン106が長手方向軸A2に対して平行にカップ104に向かって軸方向移動する結果として生じるものであり、この移動は、可変容積チャンバC100内部の圧力と外部大気圧との差に起因するものである。
【0082】
ピストン106の移動Dは、カップ104に向かって、およびしたがって中央ハウジングL2の底部に向かって個々のボール108を移動させる効果を有し、このときこれらのボールは、壁部102bの面取りエッジ102eに対してオフセットされた状態になるため、このエッジは、開口O106を通るボール108の求心方向への径方向移動を妨害しなくなる。しかし、個々の容積部V106のカム表面S106は傾斜しているため、カップ104に向かうピストン106の移動は、
図5Bで矢印Fにより示されるおよび外方周縁溝646に向かって配向された、長手方向軸A2に対する求心方向力を、個々のボール108に対して印加する効果を有する。これにより、チャンバC100に対して空気を供給することによって、スリーブ64の周囲において個々のボール108が締め付けられてスリーブ64に係合され得る、すなわちボールが外方周縁溝646内に少なくとも部分的に侵入させられ得る。したがって、ボール108は、外方周縁溝646により形成されたスリーブ64の外部レリーフにピストン106を係合させるための部材を形成する。
【0083】
図4A、
図4Bおよび
図5A、
図5Bに示す一連のサブステップの最中に、ボール108は、ばね114により印加される弾性力に対抗してカップ104に向かってサポート110を押す。これは、ばね114とスリーブ64の端部644とを軸方向に分離させる効果を有する。換言すれば、
図5A、
図5Bに示すサブステップにおいては、スリーブ64の後方エッジ642は、磁石112に対して対接しておらず、エッジ647aは、表面S'110に対接していない。これは問題とはならない。なぜならば、外方周縁溝646内に係合されたボール108は、このとき中央ハウジングL2内にスリーブ64を効果的に保持するからである。
【0084】
図5A、
図5Bのサブステップの終了時に、距離D8の数値は、
図4A、
図4Bに示すサブステップにおける同数値に比べて低下しているが、前記数値は非ゼロのままである。
【0085】
通路102dを通して可変容積チャンバC100に対して圧縮空気が継続的に供給されることにより、ピストン106は、ばね114により印加される弾性力に対抗して
図6Bの矢印Dの方向へとカップ104に向かって移動し続ける。前記移動の最中に、ボール108は、外方周縁溝646の後方エッジ646aに当接し、ピストン106が矢印Dに向かって移動することに起因してボールが被る移動力をスリーブ64に対して伝達する。これにより、スリーブ64は、ピストン106と同時におよび同一ストロークにわたり、中央ハウジングL2の底部に向かって移動される。これは、
図6Bにおいて移動方向矢印D'により表される。
【0086】
中央ハウジングL2の内部におけるスリーブ64の移動D'は、本体4の外部パーツ42の前方面428に対して凹状ハウジング628の底部628aをしっかりと押し付ける効果を有し、これによりシール20が圧縮されて、導管422および622ならびに溝628cおよび628dが外部から流体的に隔離される。換言すれば、空気圧機構100Bは、スリーブ64に対しておよびボール108により、長手方向軸A2に対して平行な軸方向機械クランプ固定力を印加し、これにより、空気供給スカート6の凹状ハウジング628の底部628aは、前方面428に対してしっかりと圧迫される。
【0087】
これにより、主要本体4上へのサブアセンブリ22の位置決めおよび固定は、磁気-空気圧システム100により2段階で実施される。したがって、空気圧機構100Bは、主要本体4上にサブアセンブリ22をロックするための機構でもある。
【0088】
定位置への設置後に、第1のカップリング手段82および第2のカップリング手段14の相互作用により空気供給スカート6に対して剛体的に装着されたボウル8は、表面88と表面108との間の摩擦力によってボウルとロータが回転軸A2を中心として回転するように固定されるまで、回転軸A2に対して平行なおよびロータ10に対抗してこれらのカップリング手段により印加される磁力E1によって圧迫される。
【0089】
本明細書では、この力E1は、回転軸A2に対する完全な軸方向である。本発明の一変形例では(図示せず)、力E1は、回転軸に対して部分的な軸方向であり、すなわちWO2005/082542Aにおいて想定されるように回転軸に対して傾斜される。
【0090】
磁気カップリング手段82および14の協働によりボウル8が空気供給スカート6上に正確に位置決めされるため、
図6A、
図6Bに示す位置にサブアセンブリ22をとらせることにより、前記位置では、ボウルはロータ10に対して具体的には表面88と表面108との間の界面にて正確に位置決めされることが確保される。次いで、ボウル8はロータ10により駆動されることが可能な状態となる。
【0091】
WO2005/082542A1の技術によれば、タービンが動作している場合には、すなわちロータ10が回転軸A2を中心として回転している場合には、空気軸受が、表面82と磁石14との間に空気流を注入することによりこれらのパーツ間に形成される。これにより、ロータ10は、回転軸A2を中心としてボウル8を回転させることが可能となる。
【0092】
要素110および112を備える機械式掛止デバイス100Aは、要素102、106、108、および110を備える空気圧クランプ固定機構100Bが使用される前に、可変容積チャンバC100に圧縮空気を供給することにより主要本体4上の定位置に空気供給スカート6をおよびしたがってサブアセンブリ22を効果的にクランプ固定することによって、より具体的にはシール20を圧縮することによって、主要本体4上においてサブアセンブリ22を定位置に保持する役割を果たす。カップ104およびばね114は、磁気-空気圧システム100内の機械式掛止デバイス100Aおよび空気圧クランプ固定機構100Bの付属品である。
【0093】
空気圧クランプ固定機構100Bにより得られる機械クランプ固定力は、前述の磁力の強度よりも厳密に高い強度I2を有する。
【0094】
例えば、空気圧締付け機構100Bにより得られる機械力は、80~200daNの間の、好ましくは100~150daNの間の、または好ましくは約120daNの強度を有し得る。
【0095】
主要本体4からサブアセンブリ22を分解することが適切である場合には、可変容積チャンバC100への圧縮空気の供給が停止され、通路102dがベントされる。次いで、ばね114が容積部V102の底部102fに向かってサポート110、ボール108、およびピストン106を押して、可変容積チャンバC100の容積を縮小させる。
【0096】
次いで、ボール108は、壁部102bの面取りエッジ102eに当接するが、これは、容積部V106の内部に向かってボールを戻すことにより外方周縁溝646からボールを引き出す効果を有する。換言すれば、ボール108は外方周縁溝646にもう係合されない。これにより、ばね114によって印加される弾性力により、ピストンは、ボール108がスリーブ64の外方周縁溝646から係合解除され得る位置へと戻される傾向となる。
【0097】
ばね114により押し戻されることによって、サポート110は、スリーブ64の後方エッジ642と接触状態になる磁石112に沿って駆動され、これは、スリーブ64と磁石112との間の磁気掛止力を再発させる効果を有する。このとき、磁気-空気圧システム100は
図4A、
図4Bの構成に類似した構成になり、シール20はもはや圧縮されず、サブアセンブリ22は矢印Fで示される磁束FMの結果として生じる磁力により主要本体4上に掛止された状態のままとなる。サブアセンブリ22は、上述した理由により主要本体4上に確実に保持される。
【0098】
次いで、第1の分解ステップの最中に、
図1および
図3A~
図6Bにおける矢印Tの方向とは反対の方向へと軸方向力を印加することによってサブアセンブリ22を取り出すことが可能となる。
【0099】
これに関して、分解ツール(図示せず)を上記の目的で使用することが可能である。
【0100】
次いで、第2の分解ステップの最中に、磁石14と表面82との間の磁力に逆らい、ボウル8が空気供給スカート6から分離される。組立プロセスの第1ステップと同様に、分解方法の第2ステップは精密作業に適した環境にある作業場において実施することが可能である。
【0101】
本発明のサブアセンブリ22および磁気-空気圧システム100の構造は、ロボットによる主要本体4上へのサブアセンブリ22の配置と、ロボットによるサブアセンブリ22の取外しとに適合性を有する。これにより、ある特定の態様によれば、本発明は、アトマイザの主要本体上への空気供給スカートおよびボウルの組立てと、アトマイザの主要本体からの空気供給スカートおよびボウルの分解との自動化を可能にする。
【0102】
一変形例では、磁気-空気圧システム100の可変容積チャンバC100は、空気とは異なる加圧ガスを供給されることが可能である。
【0103】
本発明の一変形例によれば(図示せず)、システム100の可変容積チャンバC100は、ピストン106の移動Dを制御するために液体、特に水を供給され得る。かかる場合に、システム100は磁気-油圧システムである。
【0104】
別の変形例によれば、
図4A、
図4Bに示すサブステップの最中に、スリーブ64のエッジ642は、磁石112に対してではなくサポート110に対して当接する。これにより、
図4Bに示す閉じた磁束FMなどの閉じた磁束を生成することが可能となる。
【0105】
磁気-空気圧システム100は、永久磁石112により発生する磁力を使用して、ならびに電子制御ユニット(図示せず)により制御される弁によって可変容積チャンバC100またはそのケーシング内への圧縮空気の供給を制御して、自動的に使用され得る。これにより、サブアセンブリ22の組立または分解の最中における磁気-空気圧システム100の動作の自動化が可能となり、これによりアトマイザ2の付近でのオペレータの作業が解消され、オペレータ作業のリスクが軽減される。
【0106】
本発明の一変形例では(図示せず)、Oリング20は、凹状ハウジング628の底部628a中に形成された溝内に取り付けられる、および/または溝628cおよび628dと同等の溝が、主要本体4の外方パーツ42の前方面428上に設けられる。
【0107】
図7~
図9に示す本発明の第2、第3および第4の実施形態では、第1の実施形態の要素と同様の要素は同一の参照符号を有する。以降において、参照符号が
図7~
図9のいずれにも図示されることなく説明内において使用される場合には、または説明内において言及されることなく前記図面の中のいずれかに図示される場合には、この参照符号は、第1の実施形態において同参照番号を有する要素と同一の要素を指す。
【0108】
第2、第3および第4の実施形態では、第1の実施形態のシステム100のタイプの磁気-空気圧システムまたは磁気-油圧システムは提供されない。
【0109】
第2の実施形態では、永久磁石14が、ボウル8上に取り付けられ、その一方で、強磁性材料から作製されたカラーフランジ649の環状前方表面682が、第1の実施形態と同様に定義されるサブアセンブリ22が取り付けられた構成では磁石14の対向側に配置される。磁石14およびカラーフランジ649の表面682は、パーツ6とパーツ8との間に第1の磁気カップリング手段および第2の磁気カップリング手段を形成する。
【0110】
空気供給スカート6のスリーブ64はその径方向外方表面64上にねじ山650を備え、その一方で、主要本体4の外方パーツ42はハウジングL2内にねじ山650と合致するタッピング421を備える。これにより、サブアセンブリ22は、形成されると、アトマイザ2上への空気供給スカート6およびボウル8の取付けの最中に、ねじ山650およびタッピング421を使用することによりスリーブの後方エッジがハウジングL2の底部423に当接するかまたは凹状ハウジング628の底部628aが前方面428に当接するまで、主要本体4に対して螺着され得る。
【0111】
他方において、分解の最中には、サブアセンブリ22は螺脱によって取り外される。
【0112】
第3の実施形態では、永久磁石14は、第1の実施形態における場合のようにカラーフランジ649上に位置決めされる。表面82は、ボウル8上に直接的に取り付けられた強磁性材料から作製されたリング83によって形成される。このボウル8は、必ずしも強磁性材料から作製されている必要はなく、例えばアルミニウムから作製される。
【0113】
この場合に、空気供給スカート6のスリーブ64は、主にカラーフランジ649から構成されるが、凹状ハウジング628内に延在する部分は含まない。凹状ハウジング628を囲むスカート651が、その径方向内方表面上にタッピング653を備え、その一方で、主要本体4の外方パーツ42は、径方向外方表面上にねじ山421を備える。これにより、サブアセンブリ22は、形成されると、アトマイザ2上への空気供給スカート6およびボウル8の取付けの最中に、ねじ山421およびタッピング653を使用することにより凹状ハウジング628の底部628aが前方面428に対して当接状態になるまで、主要本体4に対して螺着され得る。
【0114】
他方において、分解の最中には、サブアセンブリ22は螺脱によって取り外される。
【0115】
第4の実施形態では、ボウル8の表面82は、ボウルの残部と単体ピースであり、永久磁石14は、第1の実施形態における場合のようにカラーフランジ649上に位置決めされる。
【0116】
この場合において、永久磁石441は、ハウジングL2の底部に収容され、スリーブ64の後方エッジ642と協働することにより、第1の実施形態と同様に定義されるサブアセンブリ22に対して主要本体4に対する磁気クランプ固定力を印加する。
【0117】
第4の実施形態の一変形例では、磁石441は、スリーブ64の後部上に取り付けられ、この場合には強磁性材料から少なくとも部分的に作製されたロータと協働することが可能である。
【0118】
第2、第3、および第4の実施形態では、アトマイザ2は、第1の実施形態と同様に2段階で組み立てられる。第1の組立ステップでは、空気供給スカート6およびボウル8が、組み立てられ、磁石14と表面82または682との間の磁力により一体的に保持されて、サブアセンブリ22を形成する。第2の組立ステップでは、サブアセンブリ22は、1つの操作で主要本体4上に直接的に取り付けられる。分解の最中に、第1のステップでは、サブアセンブリ22は、1つの操作で主要本体から分離される。次いで、第2の分解ステップにおいて、空気供給スカート6およびボウル8は、磁石14と表面82または表面682との間の磁力に対抗して相互から分離される。
【0119】
一変形例では、およびどのような実施形態においても、アトマイザ2は、外部帯電型静電アトマイザであり、高電圧ユニットと、アトマイザ2により霧化されたコーティング製品を所与の電位にするように構成された帯電電極(図示せず)とを備える。
【0120】
すべての実施形態に適用可能な別の一変形例によれば、このアトマイザは静電アトマイザではない。
【0121】
一変形例では、単一の環状永久磁石14の代わりに、回転軸の周囲に分散された複数の永久磁石を磁気カップリング手段として使用することが可能である。
【0122】
一変形例では、表面108は、ロータ10の上に直接的に作製されず、例えばロータにより駆動される中空シャフトなどの別の回転部材の上に作製される。
【0123】
上記では、本発明は、液体コーティング製品を噴霧するために本発明を使用するという枠組みの中で説明される。また、本発明は、粉末コーティング製品の噴霧に対しても適用される。
【0124】
技術的に実行可能である限り、上述した実施形態および変形例は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0125】
2 アトマイザ
4 主要本体
6 空気供給スカート
8 アトマイザボウル
10 ロータ、タービンロータ
12 パーツ
14 環状永久磁石、第2の磁気カップリング手段
16 コーティング製品インジェクタ
18 カバー
20 Oリング、シール
22 サブアセンブリ
42 外部パーツ、外方パーツ
44 内部パーツ、内方パーツ
46 ベース
48 ねじ
62 スカート本体
64 スリーブ、内部径方向カラーフランジ、径方向外方表面
82 環状表面、第1の磁気カップリング手段
83 リング
84 中央ボア
86 エッジ
88 雄型裁頭円錐状表面
100 磁気-空気圧システム
100A 磁気掛止デバイス、機械式掛止デバイス
100B 空気圧機構、空気圧クランプ固定機構、空気圧締付け機構
102 キャップ
102a タブ
102b 径方向内方壁部
102c 径方向外方壁部
102d 通路
102e 面取りエッジ
102f 底部
103 中心線
104 カップ
106 環状ピストン
106 ピストン
106a 溝
106b 溝
107a シールリング、Oリング、シールセグメント
107b シールリング、Oリング、シールセグメント
108 ボール、雌型裁頭円錐状表面
110 サポート
110a 固体本体
110b プロファイル
110c ピン
110d ストッパ
112 環状永久磁石
114 板ばね
162 下流端部
421 ねじ山、タッピング
422 導管、チャネル
423 底部
424 出口
426 環状溝
428 前方面
441 永久磁石
442 導管、チャネル
446 導管
622 導管、チャネル
624 出口オリフィス
626 円形前方面
628 凹状ハウジング
628a 底部
628c 溝
628d 溝
641 前方端部
642 後方エッジ
644 後方端部
646 外方周縁溝
646a 後方エッジ
647a エッジ
649 内部径方向カラーフランジ
650 溝、ねじ山
651 スカート
653 タッピング
682 環状前方表面
A100 長手方向軸
A2 長手方向軸、回転軸
C100 可変容積封止チャンバ
D8 軸方向距離
E1 磁力
I1 強度
I2 強度
L2 中央ハウジング
O106 開口
O6 中央開口
S106 内部周縁表面、カム表面
S110 第1の裁頭円錐状内部表面
S'110 第2の裁頭円錐状内部表面
V102 環状容積部、ハウジング
V106 容積部
【外国語明細書】