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特開2025-27576ディスプレイ装置、およびヘッドマウントディスプレイ装置
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  • 特開-ディスプレイ装置、およびヘッドマウントディスプレイ装置 図1
  • 特開-ディスプレイ装置、およびヘッドマウントディスプレイ装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027576
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置、およびヘッドマウントディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20250220BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250220BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20250220BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20250220BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20250220BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20250220BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20250220BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20250220BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20250220BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20250220BHJP
   G09F 9/46 20060101ALI20250220BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09F9/30 308Z
G09F9/00 313
G09F9/00 342
G09G3/20 680E
G09G3/20 621A
G09G3/20 641E
G09G3/20 642J
G09G3/34 J
G09G3/20 612L
G09G3/20 633R
G09G3/20 633D
G09G3/36
G09G3/20 680A
G09G3/20 642D
G09G3/20 680G
G02F1/13 505
G02F1/1347
G02F1/1334
G02F1/13357
G09F9/46 Z
G09G3/20 660X
G02F1/133 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132447
(22)【出願日】2023-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】森本 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】米山 茂信
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H193
2H199
2H391
5C006
5C080
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA05
2H088EA10
2H088EA37
2H088GA10
2H088HA06
2H088HA12
2H088HA18
2H088HA28
2H088HA30
2H088MA20
2H189AA03
2H189AA22
2H189HA16
2H189LA08
2H189LA14
2H189LA17
2H189LA19
2H189LA20
2H189LA22
2H189MA15
2H189NA13
2H193ZA37
2H193ZG04
2H193ZG27
2H193ZG34
2H193ZG35
2H193ZP15
2H193ZP17
2H193ZQ13
2H193ZR20
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA63
2H199CA69
2H199CA97
2H391AA15
2H391AA25
2H391AB14
2H391CB03
2H391EA02
2H391EA13
2H391EA26
2H391EB02
2H391FA03
2H391FA06
5C006AA22
5C006AF44
5C006AF51
5C006AF71
5C006BA16
5C006BB08
5C006BB11
5C006BB29
5C006BC02
5C006BF16
5C006BF24
5C006EA01
5C006EC12
5C006EC13
5C006FA16
5C006FA31
5C006FA43
5C006FA51
5C006FA54
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080CC04
5C080CC08
5C080DD03
5C080DD07
5C080DD12
5C080DD22
5C080DD27
5C080EE25
5C080EE30
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ06
5C080KK01
5C094AA02
5C094AA10
5C094BA07
5C094BA08
5C094BA27
5C094BA48
5C094CA24
5C094DA03
5C094DA05
5C094ED01
5C094HA10
5C094JA08
5G435AA03
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC12
5G435GG12
5G435KK05
5G435KK07
5G435LL00
(57)【要約】
【課題】積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置において、画像の品質を高めることができる技術を提供する。
【解決手段】複数のディスプレイパネルが媒質層を挟んで積層された積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置であって、複数のディスプレイパネルは、観察者から最も遠くに配置される第一ディスプレイパネルと、第一ディスプレイパネル以外のディスプレイパネルであって、透明、且つ、フィールドシーケンシャル制御によって駆動される少なくとも一つの第二ディスプレイパネルと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイパネルが媒質層を挟んで積層された積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置であって、
複数の前記ディスプレイパネルは、
観察者から最も遠くに配置される第一ディスプレイパネルと、
前記第一ディスプレイパネル以外の前記ディスプレイパネルであって、透明、且つ、フィールドシーケンシャル制御によって駆動される少なくとも一つの第二ディスプレイパネルと、
を含むことを特徴とする、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第一ディスプレイパネルは、タイムシーケンシャル制御で駆動され、且つ、赤色、青色、および緑色を含む3色以上の色数の光を発光する光源を有し、
前記光源は、前記第二ディスプレイパネルと同期して明滅駆動されることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
複数の前記ディスプレイパネルのそれぞれは、フィールドシーケンシャル制御で駆動され、且つ、互いに同期して明滅駆動されることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
複数の前記ディスプレイパネルそれぞれの面積のうち、前記第一ディスプレイパネルの面積が最も広いことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第一ディスプレイパネルのみが、光源を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第二ディスプレイパネルは、光拡散型の液晶ディスプレイパネルであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置および接眼レンズを備え、
前記接眼レンズを通して前記ディスプレイ装置を観察可能であることを特徴とする、ヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項8】
少なくとも一つの前記ディスプレイパネルは、4個以上の角部を有する正多角形状であることを特徴とする、請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第一ディスプレイパネルは透明であることを特徴とする、請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置、より詳しくは、複数のディスプレイパネルが積層された積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置、およびヘッドマウントディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、観察者に立体画像を視認させるライトフィールド方式のディスプレイ装置(以下、ライトフィールドディスプレイ装置と呼ぶ)が注目されている。人間は、物体で反射された反射光線が目に入射することによって、その物体を視認する。ライトフィールドディスプレイ装置は、この反射光線をディスプレイパネルで再現するものであり、人間が自然界で視認する奥行き感を提供するディスプレイ装置である。
【0003】
ライトフィールドディスプレイ装置は、制御された光線群を人工的に再生することによって、人間に3次元画像を視認させるディスプレイ装置である。ライトフィールドディスプレイ装置の一つの方式として、積層型ライトフィールドディスプレイ装置がある。積層型ライトフィールド方式は、テンソルライトフィールド方式とも呼ばれる。
【0004】
例えば、特許文献1には、2枚の液晶ディスプレイパネルが媒質層を挟んで積層された積層型ライトフィールドディスプレイ装置が記載されている。特許文献1の積層型ライトフィールドディスプレイ装置では、観察者から遠い側に配置される第一の液晶ディスプレイパネルはバックライト等を備え、光を出射する機能を有する。観察者に近い側に配置される第二の液晶ディスプレイパネルは、光を出射する機能を有さず、第一の液晶ディスプレイから出射された光により照明される。第一の液晶ディスプレイパネルのある画素から出射された光線は、第二の液晶ディスプレイパネルのある画素を通過して、観察者の目に入射する。光線は、光線が通過する画素の組み合わせにより制御される。積層型ライトフィールドディスプレイ装置は、積層された複数のディスプレイパネルによって構成されるため、ライトフィールドにある一本の光線が複数のディスプレイパネルにおける透過率の積、あるいは明るさの和で表される特徴を有する。
【0005】
複数のディスプレイパネルを積層して3次元画像を表示するディスプレイ装置として、例えば、特許文献2には、DFD(Depth-Fused 3-D)ディスプレイ装置が記載されている。DFDディスプレイ装置は、第一ディスプレイパネルが備えるバックライトよって第二ディスプレイパネルが照明される。第一ディスプレイパネルおよび第二ディスプレイパネルのそれぞれに、輝度を変化させた物体の前面画像および後面画像を表示することで、前後の画像が1枚の画像に融合しているように錯視させる。DFDディスプレイ装置は、画素毎の光線を制御しないため、積層型ライトフィールドディスプレイ装置とは技術的に異なる。DFDディスプレイ装置は、ディスプレイパネル間の空間の像しか表示できないのに対して、積層型ライトフィールドディスプレイ装置は、ディスプレイパネルの外側の範囲まで像を表示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/198784号
【特許文献2】特許第4444152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
積層型ライトフィールドディスプレイ装置は、複数のディスプレイパネルのそれぞれにおける光線の透過率の積で光線を制御する。さらに、積層型ライトフィールドディスプレイ装置は、カラーフィルタおよび偏光板を有するカラーフィルタ方式の液晶ディスプレイ(以下、カラーLCDと呼ぶ)パネルを使用する。通常、偏光板における光線の透過率は1/2程度であり、カラーフィルタにおける光線の透過率は1/3程度である。そのため、1枚のカラーLCDにおける光線の透過率は1/6程度と小さい。上述のように、積層型ライトフィールドディスプレイ装置は、積層された複数のディスプレイパネルによって構成される。したがって、ディスプレイ装置が2枚のカラーLCDを備える場合の光線の透過率は1/36程度となり、3枚のカラーLCDを備える場合の光線の透過率は1/216程度となるため、光線の透過率が大きく低下する。これにより、ディスプレイ装置が複数のカラーLCDを備える場合、ディスプレイ装置が表示する画像が暗くなるため、画像の品質が低下することが問題であった。
【0008】
発明者らは、カラーLCDパネルを備える従来の積層型ライトフィールドディスプレイ装置で発生する上述の課題を解決するための発明を行った。
【0009】
本発明は、積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置において、画像の品質を高めることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るディスプレイ装置は、複数のディスプレイパネルが媒質層を挟んで積層された積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置であって、複数の前記ディスプレイパネルは、観察者から最も遠くに配置される第一ディスプレイパネルと、前記第一ディスプレイパネル以外の前記ディスプレイパネルであって、透明、且つ、フィールドシーケンシャル制御によって駆動される少なくとも一つの第二ディスプレイパネルと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様に係るディスプレイ装置は、前記第一ディスプレイパネルは、タイムシーケンシャル制御で駆動され、且つ、赤色、青色、および緑色を含む3色以上の色数の光を発光する光源を有し、前記光源は、前記第二ディスプレイパネルと同期して明滅駆動されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第三の態様によれば、第一の態様に係るディスプレイ装置は、複数の前記ディスプレイパネルのそれぞれは、フィールドシーケンシャル制御で駆動され、且つ、互いに同期して明滅駆動されることを特徴とする。
【0013】
本発明の第四の態様によれば、第一の態様から第三の態様に係るディスプレイ装置は、複数の前記ディスプレイパネルそれぞれの面積のうち、前記第一ディスプレイパネルの面積が最も広いことを特徴とする。
【0014】
本発明の第五の態様によれば、第一の態様から第四の態様に係るディスプレイ装置は、前記第一ディスプレイパネルのみが、発光するまたは光源を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第六の態様によれば、第一の態様から第五の態様に係るディスプレイ装置は、前記第二ディスプレイパネルは、光拡散型の液晶ディスプレイパネルであることを特徴とする。
【0016】
本発明の第七の態様に係るヘッドマウントディスプレイ装置は、第一の態様から第六の態様に係るディスプレイ装置および接眼レンズを備え、前記接眼レンズを通して前記ディスプレイ装置を観察可能であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第八の態様によれば、第七の態様に係るヘッドマウントディスプレイ装置は、少なくとも一つの前記ディスプレイパネルは、4個以上の角部を有する正多角形状であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第九の態様によれば、第七の態様および第八の態様に係るヘッドマウントディスプレイ装置は、前記第一ディスプレイパネルは透明であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置において、画像の品質を高めることに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す模式断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示すブロック図である。
図3】従来の画像表示装置を示す模式断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る画像表示装置を示す模式断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る画像表示装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1実施形態について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るディスプレイ装置1を模式的に示す断面図である。本実施形態のディスプレイ装置1は、積層型ライトフィールドディスプレイ装置である。ディスプレイ装置1は、複数のディスプレイパネル10、20を備える。本実施形態において、複数のディスプレイパネル10、20は、第一ディスプレイパネル10および第二ディスプレイパネル20を含む。また、図2に示すようにディスプレイ装置1は、制御部50を備える。制御部50は、第一ディスプレイパネル10および第二ディスプレイパネル20のそれぞれと電気的に接続される。制御部50は、第一ディスプレイパネル10および第二ディスプレイパネル20のそれぞれの動作を制御する。
【0022】
図1に示すように、ディスプレイ装置1は、第二ディスプレイパネル20側が正面側であり、第一ディスプレイパネル10側が背面側である。観察者は正面側に表示される画像を視認する。複数のディスプレイパネル10、20のうち、第一ディスプレイパネル10は、観察者からも最も遠くに配置される。第二ディスプレイパネル20は、第一ディスプレイパネル10よりも正面側に配置される。第二ディスプレイパネル20は、第一ディスプレイパネル10以外のディスプレイパネルである。例えば、ディスプレイ装置1が3枚以上のディスプレイパネルを有する場合、第一ディスプレイパネル10は、観察者から最も遠くに配置されるディスプレイパネルであり、第二ディスプレイパネル20は、第一ディスプレイパネル10以外のディスプレイパネルである。
【0023】
第一ディスプレイパネル10は、例えば、カラーLCDパネル、有機ELディスプレイパネル、および無機ELディスプレイパネル等の公知のタイムシーケンシャル制御で駆動されるディスプレイパネルである。本実施形態において、第一ディスプレイパネル10は、カラーLCDパネルである。第一ディスプレイパネル10には、導光板26と、拡散板27と、偏光板13aと、ガラス板25aと、液晶層12aと、カラーフィルタ14と、ガラス板25bと、偏光板13bとが背面側から順に配置されている。第一ディスプレイパネル10は、光源28を有する。光源28は、導光板26の近傍に配置される。本実施形態において、第一ディスプレイパネル10は、赤色、青色、および緑色の3色以上の色数の光線を発光する光源28を有する。光源28は、制御部50によって、第二ディスプレイパネル20と同期して明滅駆動される。
【0024】
第二ディスプレイパネル20は、公知のフィールドシーケンシャル制御によって駆動されるディスプレイパネルである。第二ディスプレイパネル20は、ガラス板25cと、液晶層12bと、ガラス板25dとが背面側から順に配置されている。第二ディスプレイパネル20は、公知のフィールドシーケンシャル制御によって駆動されるディスプレイパネルと概ね同様の構造である。本実施形態において、第二ディスプレイパネル20は、光源29を有する。光源29は、ガラス板25cの近傍に配置される。本実施形態において、第二ディスプレイパネル20は、赤色、青色、および緑色の3色以上の色数の光線を発光する光源29を有する。第二ディスプレイパネル20は、カラーLCDパネルが通常備えるカラーフィルタおよび偏光板等の光学部材を有しない。これにより、第二ディスプレイパネル20は、透明なディスプレイパネルである。そのため、第二ディスプレイパネル20では、光線が吸収、反射および拡散されづらい。したがって、本実施形態では、第二ディスプレイパネル20の光透過率を高めることができる。
【0025】
本実施形態によれば、複数のディスプレイパネルは、第一ディスプレイパネル10以外のディスプレイパネルであって、透明、且つ、フィールドシーケンシャル制御によって駆動される少なくとも一つの第二ディスプレイパネル20を含む。よって、第二ディスプレイパネル20が、タイムシーケンシャル制御で駆動されるカラーLCDパネルである場合と比較して、第二ディスプレイパネル20の光透過率を高めることができる。したがって、観察者が視認する画像の輝度を高めることができるため、画像の品質を高めることができる。
【0026】
タイムシーケンシャル方式のディスプレイパネルである第一ディスプレイパネル10において、1つの画素は、赤フィルタRが配置された赤サブ画素14R、緑フィルタGが配置された緑サブ画素14G、および青フィルタBが配置された青サブ画素14Bの3つのサブ画素にブラックマトリックスによって区分される。これに対して、フィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルである第二ディスプレイパネル20では、1つの画素で赤色の光線の発光、緑色の光線の発光、および青色の光線の発光を行うため、サブ画素を持たない。したがって、第二ディスプレイパネル20の画素の開口率は、第一ディスプレイパネル10の画素の開口率よりも大きい。これにより、第一ディスプレイパネル10と比較して、第二ディスプレイパネル20の光透過率はさらに高まるため、観察者が視認する画像をより明るくできる。さらに、例えば、第二ディスプレイパネル20の画素の開口率が、第一ディスプレイパネル10の画素の開口率よりも3倍大きい場合、光線が3倍程度第二ディスプレイパネル20を通過し易くなるため、画像の解像度も3倍向上できるメリットも生じる。
【0027】
第二ディスプレイパネル20の光透過率は高いほど好ましい。第二ディスプレイパネル20の光透過率は、例えば、40[%]以上、70[%]未満の範囲であることが好ましく、70[%]以上、80[%]未満の範囲であることがより好ましい。また、第二ディスプレイパネル20の光透過率は、80[%]以上であることが非常に好ましい。
【0028】
媒質層30は、第一ディスプレイパネル10と第二ディスプレイパネル20との間に配置される。媒質層30の材料の典型例は空気であるが、空気(屈折率1.0002926)とほぼ同様の屈折率を有する、アルゴン(屈折率1.000281)、二酸化炭素(屈折率1.000449)、ヘリウム(屈折率1.000036)、水素(屈折率1.000140)、窒素(屈折率1.000297)、酸素(屈折率1.000276)等の気体であってもよいし、これらの気体の混合物であってもよい。さらに、媒質層30は、真空層(屈折率1.0000)であってもよい。
【0029】
図2に示すように、制御部50は、第一ディスプレイパネル10の光源28および液晶層12aと電気的に接続される。制御部50は、光源28および液晶層12aの動作を制御する。これにより、第一ディスプレイパネル10から出射される赤色、緑色、および青色の光線を制御する。また、制御部50は、第二ディスプレイパネル20の光源29および液晶層12bと電気的に接続される。制御部50は、光源29および液晶層12bの動作を制御する。これにより、第二ディスプレイパネル20から出射される赤色、緑色、および青色の光線を制御する。
【0030】
次に、本発明のディスプレイ装置1における光線の経路について説明する。
第一ディスプレイパネル10から出射された光線は、第一ディスプレイパネル10と第二ディスプレイパネル20の間の媒質層30を通過して第二ディスプレイパネル20に向かう。
【0031】
図3に、従来の積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置101を示す。ディスプレイ装置101は、第一ディスプレイパネル110および第二ディスプレイパネル120を備える。第一ディスプレイパネル110および第二ディスプレイパネル120のそれぞれは、タイムシーケンシャル方式のディスプレイパネルである。より詳細には、第一ディスプレイパネル110および第二ディスプレイパネル120のそれぞれは、公知のカラーLCDパネルと概ね同じ構造である。
【0032】
第一ディスプレイパネル110には、導光板26と、拡散板27と、偏光板13aと、ガラス板25aと、液晶層12aと、カラーフィルタ14aと、ガラス板25bと、偏光板13bとが背面側から順に配置されている。第一ディスプレイパネル110は、光源としてバックライト111を有する。第二ディスプレイパネル120は、偏光板13cと、ガラス板25cと、液晶層12bと、カラーフィルタ14bと、ガラス板25dと、偏光板13dとが背面側から順に配置されている。第二ディスプレイパネル120は、光源を有しない。
【0033】
ディスプレイ装置101において、第一ディスプレイパネル110から出射する光線は、カラーフィルタ14aのサブ画素のうち同色のフィルタが配置されたサブ画素を通過する。例えば、緑色の光線は、緑サブ画素14Gを通って第一ディスプレイパネル110から出射する。第一ディスプレイパネル110から出射した緑色の光線は、媒質層30を通過して、第二ディスプレイパネル120のカラーフィルタ14bのサブ画素のうち、緑フィルタGが配置された緑サブ画素14Gを通過して観察者の目に入射して、緑色として視認される。
【0034】
次に、本実施形態のディスプレイ装置1における光線の経路について図1を用いて説明する。第一ディスプレイパネル10のカラーフィルタ14の緑サブ画素14Gから出射された緑色の光線は、媒質層30を通過して、第二ディスプレイパネル20の或る画素に向かう。このとき、第二ディスプレイパネル20の画素が緑色以外の異なる色を表示すると、色毎に光線を制御できないため、正しい画像を表示することができない。
【0035】
これに対して、ディスプレイ装置1において、制御部50は、積層された各ディスプレイパネル10、20における各色の光線の発光を電気的に同期させる。本実施形態では、制御部50は、各ディスプレイパネル10、20の色に対する表示あるいは対応する光源の発光色の発光を同じタイミングで行うことによって、各色の光線の発光を同期させる。これにより、例えば赤色に対応する表示あるいは発光が各ディスプレイパネル10、20において揃って駆動されるため、赤色に対応する画像が正しく表示される。また、別のタイミングでは、例えば緑色に対応する表示もしくは発光が各ディスプレイパネル10、20において揃って駆動されるため、緑色に対応する画像が正しく表示される。同様に、青色に対応する画像も正しく表示される。制御部50は、これらの各色の画像の表示を高速で同期を取りながら切り替えることによって、赤色、緑色、および青色の各色において、正しい光線群を生成して、正しい画像を生成する。これらにより、観察者は正しい立体像を視認できる。
【0036】
さらに、ディスプレイ装置1は、フィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルである第二ディスプレイパネル20を備えるため、タイムシーケンシャル方式のディスプレイパネルのように空間的に赤色、緑色、および青色の各色をサブ画素によって区分する必要がない。そのため、ディスプレイ装置1は、表示する画像の解像度を向上させることができる。
【0037】
本実施形態のディスプレイ装置1では、第一ディスプレイパネル10をタイムシーケンシャル方式のディスプレイパネルとし、第二ディスプレイパネル20をフィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルとしたが、図4に示す本発明における第2実施形態のディスプレイ装置201ように、積層された複数のディスプレイパネル210、220それぞれがフィールドシーケンシャル制御で駆動されるディスプレイパネルであってもよい。
【0038】
第一ディスプレイパネル210および第二ディスプレイパネル220のそれぞれは、ガラス板25と、液晶層12と、ガラス板25とが背面側から順に配置されている。第一ディスプレイパネル210は、赤色、緑色、および青色を含む3色以上の色数の光を発光する光源28を備える。第二ディスプレイパネル220は、赤色、緑色、および青色を含む3色以上の色数の光を発光する光源29を備える。
【0039】
ディスプレイ装置201において、制御部50は、各ディスプレイパネル210、220の各色の光源28、29を電気的に同期して明滅駆動することが好ましい。つまり、複数のディスプレイパネル210、220のそれぞれは、互いに同期して明滅駆動されることが好ましい。これにより、赤色、緑色、および青色の各色において、正しい光線群を生成できるため、正しい画像を生成できる。したがって、観察者は正しい立体像を視認できる。
【0040】
また、ディスプレイ装置201において、第一ディスプレイパネル210および第二ディスプレイパネル220のそれぞれは、カラーフィルタおよび偏光板等の光学部材を有しない。これにより、第一ディスプレイパネル210および第二ディスプレイパネル220は、透明なディスプレイパネルにできる。よって、ディスプレイ装置201では、各ディスプレイパネル210、220が光透過率の高いフィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルであるため、光透過率を高めることができる。したがって、観察者が視認する画像をより好適に明るくできる。また、上述のように、ディスプレイ装置201では、各ディスプレイパネル210、220の光透過率を高めることができるため、観察者がディスプレイ装置201を通して背面側を視認できるシースルータイプのディスプレイ装置にできる。したがって、従来の非シースルータイプのディスプレイ装置とは異なったエンターテインメント性を提供できる。
【0041】
さらに、図5に示す本発明における第3実施形態のディスプレイ装置301ように、観察者から最も遠くに配置される第一ディスプレイパネル310のみが光源28を有してもよい。本実施形態のディスプレイ装置301では、第一ディスプレイパネル310のみが、光源28を有する。第一ディスプレイパネル310および第二ディスプレイパネル320のそれぞれは、ガラス板25と、液晶層12と、ガラス板25とが背面側から順に配置されている。ディスプレイ装置301では、第一ディスプレイパネル310から出射される光線を利用して、第一ディスプレイパネル310以外の他のディスプレイパネル、すなわち第二ディスプレイパネル320を照明する。よって、本実施形態によれば、ディスプレイ装置301では、第一ディスプレイパネル310以外のディスプレイパネル320が光源を有しないため、ディスプレイ装置301の小型化、および軽量化を図ることができる。また、上述のように、ディスプレイ装置301では、第二ディスプレイパネル320が光源を有しないため、ディスプレイ装置301が有する光源数を低減できるためノイズ光を低減できる。これにより、画像のコントラストや色味等を向上させることができるため、画像の品質をより好適に高めることができる。なお、ディスプレイ装置1およびディスプレイ装置201のように、各ディスプレイパネルが光源28、29を有する場合、各ディスプレイパネルの明るさの和で光線が制御される。そのため、画像を明るくし易いため、画像の品質をより好適に高めることができる。
【0042】
本実施形態のディスプレイ装置1、201、301によって生成される光線群は、複数のディスプレイパネルを通過した後に、最終的に観察者の目に入射し、網膜で結像される。これにより、観察者は、画像を視認する。また、人は視点を中心に球状に発散する視野(視野角の内側)内に存在するディスプレイパネルにおける表示パターンを視認する。そのため、複数のディスプレイパネルのうち、観察者から遠くに配置されるディスプレイパネルほど広い面積が必要になる。換言すると、積層する複数のディスプレイパネルそれぞれの面積を同じ広さにすると、観察者の近くに配置されるディスプレイパネルほど、ディスプレイパネルの外側の部分の表示が無駄になる。そのため、制御部50が行うライトフィールド制御の演算処理の一部が無駄になり、計算コストが必要以上に増大する。以上のことから、複数のディスプレイパネルそれぞれの面積のうち、観察者から最も遠くに配置される第一ディスプレイパネルの面積が最も広いことが好ましい。図示は省略するが、本実施形態では、複数のディスプレイパネルの面積のうち、第一ディスプレイパネルの面積が最も広い。よって、本実施形態によれば、制御部50が行う第二ディスプレイパネルの外側の部分に配置される画素におけるライトフィールド制御の演算処理を削減できるため、計算コストを低減できる。なお、複数のディスプレイパネルのうち正面側に配置されるディスプレイパネルほど、面積が狭いことがより好ましい。係る構成により、制御部50が行う各ディスプレイパネルの外側の部分に配置される画素におけるライトフィールド制御の演算処理を削減できるため、さらに計算コストを低減できる。なお、本実施形態において、ディスプレイパネルの面積とは、ディスプレイパネルの外面のうち正面側を向く面のうち画像が表示される部分の面積である。
【0043】
本発明のディスプレイ装置1、201、301のそれぞれは、第二ディスプレイパネル20、220、320の前面側に図示しない接眼レンズを配置した、ヘッドマウントディスプレイ装置(以下、HMD装置と呼ぶ)を構成できる。すなわち、HMD装置は、ディスプレイ装置1、201、301と接眼レンズとを備える。HMD装置において、観察者は、接眼レンズを通してディスプレイ装置1、201、301を観察可能である。よって、本実施形態によれば、観察者は、接眼レンズを通してディスプレイ装置1、201、301が形成する画像を観察できる。HMD装置では、観察者の視点の位置を固定するできるため、生成する光線群の数を低減できる。よって、光線を形成するために制御部50が行う演算処理の負荷を低減できる。したがって、光線群の再現精度をより高めることができるため、画像の品質をより好適に高めることができる。
【0044】
図示は省略するが、本実施形態において、各ディスプレイパネルは、4個以上の角部を有する正多角形状である。各ディスプレイパネルの正面視形状は特に限定されず、6個の角部を有する正六角形状であってもよいし、9個の角部を有する正九角形状であってもよい。一般的に、HMD装置に用いられる接眼レンズは円形状であり、どの方向にも同じ視野角を有する場合が多い。上述したように、人は視点からの視野角内におけるディスプレイパネルの円形状の画像を視認するため、ディスプレイパネルが円形状に近い形状であるほど、観察者が視認する画像の品質をより好適に高めることができる。しかしながら、円形状のディスプレイパネルの製造は困難である場合が多い。そのため、ディスプレイパネルの形状は多角形状であることが好ましく、さらには正多角形状であることがより好ましい。本実施形態によれば、上述のように、各ディスプレイパネルは、4個以上の角部を有する正多角形状である。したがって、HMD装置において、観察者が視認する画像の品質をより好適に高めることができるとともに、各ディスプレイパネルの製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0045】
また、上述のように、本実施形態によれば、ディスプレイ装置201、301が備える第一ディスプレイパネル210、310は透明である。よって、ディスプレイ装置201、301を備えるHMD装置では、全ての各ディスプレイパネルの光透過率を高めることができるため、シースルータイプのHMD装置を構成できる。シースルータイプのHMD装置において、観察者は、HMD装置を通して背面側のシーンを視認できるため、HMD装置が表示する画像とHMD装置の背面側のシーンを重畳して視認できるMR(Mixed Reality)型のHMD装置を構成できる。なお、ディスプレイ装置1のように、第一ディスプレイパネル10が非透明なディスプレイパネルである場合、VR(Virtual Reality)型のHMD装置を構成できる。
【0046】
上述のように、フィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルである第二ディスプレイパネル20、220、320は、偏光板およびカラーフィルタ等の光学部材を有しない。第二ディスプレイパネル20、220、320では、これらの光学部材の代わりに、画素領域に配された液晶によって光を拡散制御することによって、第二ディスプレイパネル20、220、320から正面側に光を出射している。本実施形態によれば、第二ディスプレイパネル20、220、320は、光拡散型の液晶ディスプレイパネルである。よって、ディスプレイ装置201、301のようにフィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルを積層したディスプレイ装置では、複数のディスプレイパネルからの拡散光の足し合わせた光が観察者の目に入射するため、ディスプレイ装置201、301が表示する画像の輝度をより好適に高めることができる。これにより、画像の品質をより好適に高めることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るディスプレイ装置1、201、301では、従来の積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置101と比較して、輝度が高く、高解像度の画像を提供できる。これにより、本実施形態に係るディスプレイ装置1、201、301は、画像の品質を高めることに寄与する。
【0048】
本実施形態では、ディスプレイ装置の説明を単純化するために、ディスプレイ装置が備えるディスプレイパネルの枚数を2枚としたが、これはあくまで本発明の一態様にすぎず、ディスプレイ装置は3枚以上のディスプレイパネルを備えてもよい。例えば、3枚のディスプレイパネルを備える3層積層型ライトフィールドディスプレイ装置の場合、第一ディスプレイパネルおよび第二ディスプレイパネルに加えて、最も正面側に第三ディスプレイパネルを配置してもよい。この構成の場合、第一ディスプレイパネル、第二ディスプレイパネル、および第三ディスプレイパネルのそれぞれを光透過性の高いフィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルとすることで、2層積層型ライトフィールド方式のディスプレイ装置と比較して画像の立体視が向上するとともに、輝度が高く、かつ高解像度な画像を表示できるディスプレイ装置を提供できる。
【0049】
また、本実施形態に係るディスプレイ装置1、201、301では、少なくとも1枚のディスプレイパネルが光透過性の高いフィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルであるため、従来のディスプレイ装置101と比較して、画像の輝度および解像度を高めることができる。したがって、画像の品質をより好適に高めることに寄与するディスプレイ装置を提供できる。
【0050】
本発明に係るディスプレイ装置について、実施例および比較例を用いてさらに説明する。なお、本発明の技術的範囲は、実施例の具体的な内容のみを根拠として限定されることはない。
【0051】
(実施例1)
実施例1のディスプレイ装置1は、上述の第1実施形態のディスプレイ装置1に対応する実施例である。
まず、片目分のディスプレイ装置1について説明する。
図1に示すように、第一ディスプレイパネル10はカラーLCDパネルである。第一ディスプレイパネル10は、赤色の光源、緑色の光源、および青色の光源の3色の光源28を有し、光源28が発光する光を赤サブ画素14R、緑サブ画素14G、および青サブ画素14Bに出射する導光板26および拡散板27を備える。第二ディスプレイパネル20は、透明かつフィールドシーケンシャル方式のディスプレイパネルであり、赤色の光源、緑色の光源、および青色の光源の3色の光源29を有する。第一ディスプレイパネル10および第二ディスプレイパネル20の正面視形状は正九角形状である。2枚のディスプレイパネル10、20を、正面視で重心が完全に一致するように7mmの間隔をあけて積層した。媒質層30の材料は空気とした。また、上述のように、人の視野角に合わせて、第一ディスプレイパネル10の面積を、第二ディスプレイパネル20の面積よりも広くした。
【0052】
制御部50によって、第一ディスプレイパネル10における光源28の発光と、第二ディスプレイパネル20における光源29の発光とを色毎に電気的に同期させた。具体的には、制御部50は、例えば、第一ディスプレイパネル10の全ての画素が緑色で発光したタイミングで、第二ディスプレイパネル20の全ての画素を緑色に発光させている。これにより、第一ディスプレイパネル10から出射する緑色の光線と第二ディスプレイパネル20から出射する緑色の光線とが同時に観察者の眼に入射する。
【0053】
第一ディスプレイパネル10から出射される各色の光の輝度を200[cd/m]、第二ディスプレイパネル20から出射される各色の光の輝度を50[cd/m]、および第二ディスプレイパネル20の光透過率を80[%]とした。
【0054】
上述の片目分のディスプレイ装置1を2個作製し、一方のディスプレイ装置1を右眼用に、他方のディスプレイ装置1を左眼用とした。また、実施例1に係るディスプレイ装置1の正面側に図示しない接眼レンズを取り付け、実施例1に係るHMD装置を作製した。
【0055】
ディスプレイ装置1の輝度は、HMD装置を用いて色彩輝度計(横河電機株式会社製 マルチメディアディスプレイテスタ 3298F)によって測定した。さらに、ディスプレイ装置1の画像の品質は、HMD装置を用いて目視によって評価した。
【0056】
実施例1のディスプレイ装置1における理論的な輝度の試算値は以下の通りである。まず、第二ディスプレイパネル20を通過した後の第一ディスプレイパネル10から出射された光の輝度は160[cd/m]になる。また、上述のように第二ディスプレイパネル20から出射される光の輝度は50[cd/m]である。したがって、ディスプレイ装置1が出射する光の輝度の試算値は、210[cd/m]である。実施例1のHMD装置から出射される光の輝度を10回測定した平均値は、約206.32[cd/m]であり、上述の試算値とほぼ同じ輝度であった。
【0057】
さらに、実施例1に係るHMD装置が表示する画像の品質は良好であった。実施例1に係るHMD装置は、VR型のHMD装置として使用できる。
【0058】
(実施例2)
実施例2のディスプレイ装置201は、上述の第2実施形態のディスプレイ装置201に対応する実施例である。
まず、片目分のディスプレイ装置201について説明する。
図4に示すように、第一ディスプレイパネル210および第二ディスプレイパネル220のそれぞれは、透明かつフィールドシーケンシャル制御によって駆動されるディスプレイパネルである。第一ディスプレイパネル210は、赤色の光源、緑色の光源、および青色の光源の3色の光源28を有する。第二ディスプレイパネル220は、赤色の光源、緑色の光源、および青色の光源の3色の光源29を有する。第一ディスプレイパネル210および第二ディスプレイパネル220それぞれの正面視形状は正八角形状である。2枚のディスプレイパネル210、220を正面視で重心が完全に一致するように7mmの間隔を空けて積層した。媒質層30の材料は空気とした。人の視野角に合わせて、第一ディスプレイパネル210の面積を、第二ディスプレイパネル220の面積よりも広くした。
【0059】
制御部50によって、第一ディスプレイパネル210における光源28の発光と、第二ディスプレイパネル220における光源29の発光とを色毎に電気的に同期させた。具体的には、制御部50は、例えば、第一ディスプレイパネル210の全ての画素が緑色で発光したタイミングで、第二ディスプレイパネル220の全ての画素を緑色に発光させている。これにより、第一ディスプレイパネル210から出射する緑色の光線と第二ディスプレイパネル220から出射する緑色の光線とが同時に観察者の眼に入射する。
【0060】
各ディスプレイパネル210、220のそれぞれから出射される光の輝度を100[cd/m]、および各ディスプレイパネル210、220の光透過率を90[%]とした。
【0061】
上述の片目分のディスプレイ装置201を2個作製し、一方のディスプレイ装置201を右眼用に、他方のディスプレイ装置201を左眼用とした。また、ディスプレイ装置201の正面側に図示しない接眼レンズを取り付け、実施例2に係るHMD装置を作製した。
【0062】
実施例2に係るディスプレイ装置201の輝度および画像の品質の評価は、上述の実施例1に係るディスプレイ装置1の輝度および画像の品質の評価と同様の方法によって行った。
【0063】
実施例2のディスプレイ装置201における理論的な輝度の試算値は以下の通りである。まず、第二ディスプレイパネル220を通過した後の第一ディスプレイパネル210から出射された光の輝度は90[cd/m]になる。また、上述のように第二ディスプレイパネル220から出射される光の輝度は100[cd/m]である。したがって、ディスプレイ装置201が出射する光の輝度の試算値は、190[cd/m]である。実施例2のHMD装置から出射される光の輝度を10回測定した平均値は、約187.32[cd/m]であり、上述の試算値とほぼ同じ輝度であった。
【0064】
さらに、実施例2に係るHMD装置が表示する画像の品質は良好であった。実施例2に係るHMD装置は、MR型のHMD装置として使用できる。
【0065】
(実施例3)
実施例3のディスプレイ装置301は、上述の第3実施形態のディスプレイ装置301に対応する実施例である。
まず、片目分のディスプレイ装置301について説明する。
図5に示すように、第一ディスプレイパネル310は、透明かつフィールドシーケンシャル制御によって駆動されるディスプレイパネルである。第一ディスプレイパネル310は、赤色の光源、緑色の光源、および青色の光源の3色の光源28を有する。第二ディスプレイパネル320は、透明かつフィールドシーケンシャル制御によって駆動されるディスプレイパネルである。第二ディスプレイパネル320は、第一ディスプレイパネル310から光源28を除いた構造である。第一ディスプレイパネル310の光源28の発光によって、第二ディスプレイパネル320の画素が照明される。第一ディスプレイパネル310および第二ディスプレイパネル320の正面視形状は正六角形状である。2枚のディスプレイパネル310、320を、正面視で重心が完全に一致するように7mmの間隔をあけて積層した。媒質層30の材料は空気とした。人の視野角に合わせて、第一ディスプレイパネル310の面積を、第二ディスプレイパネル320の面積よりも広くした。
【0066】
第一ディスプレイパネル310から出射される光の輝度を200[cd/m]、および各ディスプレイパネル210、220の光透過率を90[%]とした。
【0067】
上述の片目分のディスプレイ装置301を2個作製し、一方のディスプレイ装置301を右眼用に、他方のディスプレイ装置301を左眼用とした。また、実施例3に係るディスプレイ装置301の正面側に図示しない接眼レンズを取り付け、実施例3に係るHMD装置を作製した。
【0068】
実施例3に係るディスプレイ装置301の輝度および画像の品質の評価は、上述の実施例1に係るディスプレイ装置1の輝度および画像の品質の評価と同様の方法によって行った。
【0069】
実施例3のディスプレイ装置301における理論的な輝度の試算値は以下の通りである。第二ディスプレイパネル320を通過した後の第一ディスプレイパネル310から出射された光の輝度は180[cd/m]になる。実施例2のHMD装置から出射される光の輝度を10回測定した平均値は、約181.32[cd/m]であり、上述の試算値とほぼ同じ輝度であった。
【0070】
さらに、実施例3に係るHMD装置が表示する画像の品質は良好であった。実施例3に係るHMD装置は、MR型のHMD装置として使用できる。
【0071】
(比較例)
比較例のディスプレイ装置101は、上述の従来のディスプレイ装置101に対応する。
まず、片目分のディスプレイ装置101の作製について説明する。
図3に示すように、第一ディスプレイパネル110および第二ディスプレイパネル120のそれぞれはカラーLCDパネルである。第一ディスプレイパネル110は、カラーフィルタ14aおよび偏光板13a、13b等の光学部材を有する。第二ディスプレイパネル120は、カラーフィルタ14bおよび偏光板13c、13d等の光学部材を有する。第一ディスプレイパネル110はバックライト111を有し、第二ディスプレイパネル120はバックライト等の光源を有しない。第一ディスプレイパネル110および第二ディスプレイパネル120の正面視形状は正九角形状である。2枚のディスプレイパネル110、120を、正面視で重心が完全に一致するように7mmの間隔をあけて積層した。媒質層30の材料は空気とした。人の視野角に合わせて、第一ディスプレイパネル110の面積を、第二ディスプレイパネル120の面積よりも広くした。
【0072】
第一ディスプレイパネル110から出射される各色の光の輝度を600[cd/m]、第二ディスプレイパネル120の光透過率を16.7[%]とした。
【0073】
上述の片目分のディスプレイ装置101を2個作製し、一方のディスプレイ装置101を右眼用に、他方のディスプレイ装置101を左眼用とした。また、比較例に係るディスプレイ装置101の正面側に図示しない接眼レンズを取り付け、比較例に係るHMD装置を作製した。
【0074】
比較例に係るディスプレイ装置201の輝度および画像の品質の評価は、上述の実施例1に係るディスプレイ装置1の輝度および画像の品質の評価と同様の方法によって行った。
【0075】
比較例のディスプレイ装置101における理論的な輝度の試算値は以下の通りである。第二ディスプレイパネル120を通過した後の第一ディスプレイパネル110から出射された光の輝度は100[cd/m]になる。比較例のHMD装置から出射される光の輝度を10回測定した平均値は、約98.32[cd/m]であり、上述の試算値とほぼ同じ輝度であった。
【0076】
比較例のディスプレイ装置101において、ディスプレイ装置101から出射する光の輝度を実施例1のディスプレイ装置1から出射する光の輝度と同等の輝度にするためには、バックライト111の出力を高め、バックライト111が発光する光の輝度を7500[cd/m]程度まで増大させる必要がある。この場合、バックライト111の発熱量が増大するため、バックライト111の温度が高くなる。そのため、バックライト111の熱が導光板26および拡散板27等のディスプレイ装置101を構成する各部材に伝達することを抑制する断熱部材を設ける、およびディスプレイ装置101を構成する各部材の材質を高い耐熱性を有する材質にする、あるいは空調装置や冷却水循環装置を用いて冷やす等の熱対策が必要になる。したがって、従来のディスプレイ装置101では、これらの熱対策によって、製造コストが増大することが懸念される。
【0077】
本実施形態によれば、複数のディスプレイパネルは、透明、且つ、フィールドシーケンシャル制御によって駆動される少なくとも一つの第二ディスプレイパネル20、120、220を含む。よって、第二ディスプレイパネル20、120、220が、タイムシーケンシャル制御で駆動されるカラーLCDパネルである場合と比較して、第二ディスプレイパネル20、120、220の光透過率を高めることができる。これにより、光源28の出力が増大することを抑制できるため、光源28の発熱量が増大することを抑制できる。よって、上述の熱対策を行う必要性を低減できる。したがって、ディスプレイ装置1、201、301の製造コストが増大することを抑制できる。
【0078】
さらに、比較例に係るHMD装置の表示画像の品質は、実施例1から実施例3のHMD装置の画像の品質と比較して劣後していた。よって、本実施形態によれば、従来のディスプレイ装置101と比較して、画像の品質を高めることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1、201、301 ディスプレイ装置
10、210、310 第一ディスプレイパネル
20、220、320 第二ディスプレイパネル
28 光源
30 媒質層
図1
図2
図3
図4
図5