IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図1
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図2
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図3
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図4
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図5
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図6
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図7
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図8
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図9
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図10
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図11
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図12
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図13
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図14
  • 特開-加工装置および画像形成装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027630
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】加工装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20250220BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20250220BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20250220BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20250220BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
B26D7/18 E
B26D1/08
B65H5/00 B
B65H5/36
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132564
(22)【出願日】2023-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 正明
【テーマコード(参考)】
2C058
3C021
3C027
3F101
【Fターム(参考)】
2C058AC08
2C058AD04
2C058AE02
2C058AE08
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA37
2C058LA39
2C058LA43
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB22
3C021FC02
3C021FC03
3C027JJ01
3C027JJ12
3C027JJ17
3F101AB09
3F101FC11
3F101FD04
3F101FE02
3F101FE06
3F101LA01
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】断裁処理により発生した断裁屑による搬送不良の発生を防止する加工装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】加工装置は、搬送路を挟み対向配置される固定刃と可動刃を有し、可動刃を可動して固定刃と摺り合わせて、搬送路を搬送する用紙を断裁して断裁屑を切り落とす断裁部と、可動刃と固定刃との間に配置され、固定刃から離れる可動刃の移動に伴い可動刃を摺動して付着する断裁屑を掻き落とす掻き落し部と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を挟み対向配置される固定刃と可動刃を有し、前記可動刃を可動して前記固定刃と摺り合わせて、前記搬送路を搬送する用紙を断裁して断裁屑を切り落とす断裁部と、
前記可動刃と前記固定刃との間に配置され、前記固定刃から離れる前記可動刃の移動に伴い前記可動刃を摺動して付着する前記断裁屑を掻き落とす掻き落し部と、
を有する、
加工装置。
【請求項2】
前記掻き落し部は、前記用紙を断裁する断裁点側から前記固定刃の基端部側に向かって移動する前記可動刃により押圧されて弾性変形し、前記可動刃との当接位置から後退する弾性当接部を有し、
前記弾性当接部は、前記可動刃の移動に追従して、前記可動刃の押圧状態が解放され、前記可動刃側に変位して前記可動刃に掛止するように摺動する、
請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
前記掻き落とし部は、段差である、
請求項1記載の加工装置。
【請求項4】
前記掻き落し部の下端部は、前記可動刃の最下点と同じ位置または前記最下点より上方の位置に設ける、
請求項1記載の加工装置。
【請求項5】
前記掻き落とし部は、V字状の弾性シート材により構成され、稜線を断裁点に向けて一面を前記固定刃の前記可動刃との摺り合わせ面に固定し、他面を前記可動刃側に突出して、徐々に前記一面から広がりを持つように配置される、
請求項1記載の加工装置。
【請求項6】
前記掻き落し部は、前記可動刃と前記固定刃の重なりあうスペースに位置する、
請求項1記載の加工装置。
【請求項7】
前記掻き落とし部は、前記可動刃の下降に合わせて前記一面と前記他面の角度が狭まり、前記可動刃の上昇に合わせて前記角度が広がるように作用する、
請求項5記載の加工装置。
【請求項8】
前記掻き落し部は、前記固定刃奥行全幅方向において、用紙の幅に応じて中央付近に1箇所または複数箇所に配置する、
請求項1記載の加工装置。
【請求項9】
前記掻き落し部は、弾性変形する複数の繊維素材を有する起毛部である、
請求項1記載の加工装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の加工装置と画像形成装置本体とを有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置本体等で用いられるシート状の記録媒体を断裁加工する加工装置が知られている。加工装置においては、上刃及び下刃を有する断裁部を備え、断裁部における上刃と下刃を用いたギロチン方式により、記録媒体を搬送方向や搬送方向と直交する方向に断裁し、その断裁した屑(以下、断裁屑)を落下させている。断裁部の下方には、断裁により発生した断裁屑を収納するための屑箱が設置されている。
【0003】
記録媒体の用紙搬送時においては、摩擦帯電や断裁時の帯電によりカットした断裁屑が落下しない場合がある。
【0004】
オフラインの断裁機に於いては用紙にブロッキングパウダー等を塗布する事で静電吸着を抑制することはできるものの、電子写真装置にインラインシステムとして装着される断裁機では用紙1枚ごとにブロッキングパウダーを塗布することは難しい。
【0005】
このような加工装置においては、断裁により発生した断裁屑の落下を促進して、円滑に屑箱に回収させるために、例えば、特許文献1では、上刃と下刃の擦り合わせ面側において、下刃に向けて上方から空気を吹き付ける技術などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-205309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のように、単に上方から風を吹き付けるだけでは、一定の効果は得られているものの環境、画像、紙種、用紙坪量の様々な要因によっては屑が所定時間内に落下できない場合がある。特に、静電気が帯電した用紙に対しては効果が不十分であり、断裁屑のカット幅(FD長:搬送方向の長さ)が短いと、断裁部の下刃に静電吸着してしまい落下不良となる可能性が高い。また、静電気により可動刃の刃先に屑が貼りつき搬送経路内に屑が残り、搬送不良となるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、断裁処理により発生した断裁屑による搬送不良の発生を防止する加工装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加工装置は、
搬送路を挟み対向配置される固定刃と可動刃を有し、前記可動刃を可動して前記固定刃と摺り合わせて、前記搬送路を搬送する用紙を断裁して断裁屑を切り落とす断裁部と、
前記可動刃と前記固定刃との間に配置され、前記固定刃から離れる前記可動刃の移動に伴い前記可動刃を摺動して付着する前記断裁屑を掻き落とす掻き落し部と、
を有する。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、
上記構成の加工装置と画像形成装置本体とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、断裁処理により発生した断裁屑による搬送不良の発生を好適に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る加工装置を備えた画像形成装置の全体構成を概略的に示す図。
図2図2は、画像形成装置本体の制御系の主要部を示す図。
図3図3は、加工装置の構成を示す図である。
図4図4は、断裁部の上流側斜視図。
図5図5は、断裁部を搬送方向下流側から見た図。
図6図6は、第1刃及び第2刃の位置関係を示す断裁部の平面図。
図7図7A及び図7Bは、断裁部の要部構成を示す図。
図8図8は、掻き落し部の配置の説明に供する図。
図9図9は、掻き落し部の変形例1の説明に供する図。
図10図10は、掻き落し部の変形例2の説明に供する図。
図11図11A図11B図11C図11D及び図11Eは、用紙の先端部を断裁加工する場合の加工装置を示す図。
図12図12A及び図12Bは、変形例1に係る加工装置の断裁部の要部構成図。
図13図13A図13B図13C及び図13Dは、変形例1に係る加工装置の断裁部の動作を示す図。
図14図14A及び図14Bは、断裁部における可動刃と掻き落し部の位置関係の説明に供する図。
図15図15A図15B図15C及び図15Dは、変形例2に係る加工装置の断裁部の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る加工装置200を備えた画像形成装置100の全体構成を概略的に示す図である。図2は、画像形成装置本体1の制御系の主要部を示す図である。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置100は、記録媒体の一例としての用紙Sの搬送方向に沿って上流側から、画像形成装置本体1および後処理装置2が接続されて構成される。
【0015】
画像形成装置本体1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置本体である。すなわち、画像形成装置本体1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写する。次いで、画像形成装置本体1は、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a~51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0016】
また、画像形成装置本体1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0017】
図2に示すように、画像形成装置本体1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
【0018】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置本体1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0019】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0020】
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0021】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿DTを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿DTの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0022】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させる。これにより、画像読取部10は、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0023】
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0024】
画像処理部30は、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0025】
図1に示すように、画像形成部40は、印刷ジョブの設定に基づいて用紙Sに画像を形成する。画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0026】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0027】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0028】
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
【0029】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0030】
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0031】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0032】
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0033】
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0034】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
【0035】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0036】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0037】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
【0038】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0039】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0040】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0041】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0042】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0043】
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0044】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0045】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
【0046】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0047】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
【0048】
搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対、用紙Sを画像形成部40および定着部60を通過させ、画像形成装置本体1の機外に排出する通常搬送路53b等を有する。
【0049】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0050】
後処理装置2は、画像形成装置本体1から排紙された用紙Sを搬入して、画像が形成された用紙Sに所定の後処理を行う装置であり、加工装置200を備える。後処理装置2は、用紙Sを搬送可能な搬送部2Aを有しており、例えば画像形成装置本体1の制御部101の制御に基づいて、画像形成装置本体1から搬入した用紙Sを加工装置200の箇所まで搬送し、加工後、当該用紙Sを機外に排紙する。排紙された用紙Sは、例えば図示しない排紙トレイに載置されたり、さらなる後処理装置が画像形成装置100に接続されている場合、当該後処理装置に搬入される。なお、後処理装置2(加工装置200)がCPU、ROM、RAM等を備える制御部を有し、当該制御部が、用紙Sの搬送や加工に関連する制御を行っても良い。
【0051】
加工装置200は、用紙S(記録媒体)を断裁加工する装置であり、搬送経路部210と、断裁部220と、落下経路部230とを有する。
【0052】
図3に示すように、搬送経路部210は、用紙Sを搬送する搬送経路210aを構成する部分であり、2つの搬送ローラー211,212を有する。搬送経路210aは、2つの搬送ローラー211,212の間の経路である。また、搬送経路部210は、搬送方向において第1刃部221の下流側に下流ガイド部214を有する。
【0053】
下流ガイド部214は、搬送ガイド部214a と、落下経路形成部214bとを備える長尺な部材であり、その長手方向が搬送方向と直交する方向(幅方向)に沿うように設置される。
【0054】
下流ガイド部214は、図示しない可変機構により、例えば、回転軸R1周りに揺動可能に構成され、搬送ガイド部214aと落下経路形成部214bのうちの少なくとも一方が機能する位置となるように揺動する。
【0055】
図3では、下流ガイド部214は、搬送経路のガイドを構成する位置に配置される。下流ガイド部214は、断裁部220が用紙Sの先端部を断裁する際には、ガイドを構成する位置から用紙の断裁と同時に時計回りに回転(全回転)し、落下経路を形成する位置に移動して、断裁可能な状態となる。下流ガイド部214の回転により、断裁部220の下方に落下経路部230が形成される。
【0056】
2つの搬送ローラー211,212は、搬送経路210aを搬送される用紙Sを挟持するローラー対である。搬送ローラー211は、搬送経路210aにおける、用紙Sの搬送方向の上流側に位置するローラー対である。搬送ローラー212は、搬送経路210aにおける、用紙Sの搬送方向の下流側に位置するローラー対である。
【0057】
落下経路部230は、断裁部220によって断裁された用紙Sの屑である断裁屑S1が落下する経路である。落下経路部230の下方には、図示しない屑収容部が設けられており、落下経路部230から落下した断裁屑が屑収容部内に収容されるようになっている。
【0058】
落下経路部230は、第2刃部222の下方で、かつ、第1刃部221と搬送方向の下流側で隣り合うスペースである。落下経路部230は、例えば、図7Aおよび図7Bに示すように、断裁部220により用紙Sの先端部が断裁加工された場合、当該先端部が断裁屑S1となり、落下経路部230は、断裁屑S1が落下する経路である。落下経路部230では、断裁位置に移動する第2刃部222のよる断裁屑S1の押し込み、更には、断裁後に、掻き落し部250が、断裁前の位置に戻る第2刃部222から断裁屑S1を掻き落とすことにより、落下する。
【0059】
断裁部220は、搬送経路部210を搬送される用紙Sを断裁加工する部分であり、搬送経路部210における2つの搬送ローラー211,212の間に配置されている。
【0060】
断裁部220は、搬送経路210aを挟むように配置される第1刃部221及び第2刃部222を有するギロチンカッターを含む。ギロチンカッターは、第1刃部221と、第2刃部222とにより搬送方向と直交する方向(Cross Direciton方向)に沿って断裁する。
【0061】
断裁部220は、ギロチンカッターを構成する第1刃部221と第2刃部222と、掻き落し部250とを有する。
【0062】
ギロチンカッターは、一方の固定刃に対して他方の可動刃を可動することで用紙Sを鋏むことで用紙Sを断裁する。
【0063】
図4は、断裁部の上流側斜視図であり、図5は、断裁部を搬送方向下流側から見た図であり、図6は、第1刃部及び第2刃部の位置関係を示す断裁部の平面図であり、図7A及び図7Bは、断裁部の要部構成を示す図である。
【0064】
図4から図7に示すように、第1刃部221は、搬送経路210aの下方で固定される固定刃であり、用紙Sを断裁加工可能な刃が搬送経路210a側(上側)を向くように配置されている。
【0065】
第2刃部222は、搬送経路210aの上方に配置される可動刃であり、用紙Sを断裁加工可能な刃が搬送経路210a側(下側)を向くように配置されている。第2刃部222は、第1刃部221よりも搬送方向の下流側で、第1刃部221と隣接して配置されている。
【0066】
第2刃部222は、搬送経路210aと対向する方向(上下方向)に可動可能に設けられており、搬送経路210aから退避した非断裁位置(図3図5等参照)と、搬送経路210aの用紙Sを断裁する断裁位置(図7B参照)との間を移動可能に構成されている。
【0067】
図5に示すように、第2刃部222は、第1刃部221に対して接近する方向に可動することによって、幅方向の一方側、ここでは、奥側から手前に向かって第1刃部221と断裁するように構成されている。
【0068】
図6に示すように、第1刃部221と第2刃部222とは、平面視して幅方向の中央で交差するように配置されている。
【0069】
第2刃部222は、図6に示すように、固定された第1刃部221に対して、刃部分222aの幅方向の奥側を下流側に位置し、幅方向の手前側を上流方向に位置するように配置される。
【0070】
また、第2刃部222は、第1刃部221に刃部分221a、222aを向かい合わせて対向方向(上下方向)で移動自在に配置され、第1刃部221に対して、対向方向と直交する方向(搬送方向)に、接触或いは退避可能に移動自在に構成されている。
【0071】
第2刃部222は、下流側からみて、幅方向の奥側の部分が手前側の部分よりも低い位置、つまり、第1刃部221に接近した位置となるように傾斜した位置で移動自在に設けられている。
【0072】
これにより、図5図7A及び図7Bに示すように、断裁する場合、第2刃部222は、第1刃部221に向かって接近する方向(例えば下方)に移動する。第2刃部222は、幅方向において手前側より奥側が下方に配置されている。このことから、第2刃部222の第1刃部221との接触では、先ず奥側で刃部分同士が断接の瞬間に点当たり(点接触)する。このとき可動する第2刃部222は、第1刃部221から搬送方向下流側に離れるように回動(矢印M方向)する。これにより点当たり部分で用紙を断裁し、その点当たり部分は徐々に手前側に向かって移動していくので、用紙Sは奥行き方向奥側から手前に向かって断裁される。
【0073】
第2刃部222の刃部分は、用紙Sの搬送方向において、第1刃部221の刃部分と隣接する位置に位置している。
【0074】
このように、断裁部220は、第1刃部221に対して上方から第2刃部222を移動させると、第2刃部222は斜めに下降する。第2刃部222は、第2刃部222の刃部分222aの奥側の端部から手前の端部に向かって、第1刃部221の刃部分221aに常に点あたりで断裁する。
【0075】
断裁位置は、第2刃部222の刃部分が、第1刃部221の刃部分よりも下側になる位置である第2刃部最下点(図5に示す「可動刃最下点」)であり、図では、両刃部が最も深く重なる場合の位置を示す。また、断裁位置は可動刃としての最も固定刃側に可動した位置である。
【0076】
第2刃部222が非断裁位置から断裁位置に向けて移動すると、第1刃部221の刃部分と第2刃部222の刃部分とが上下方向で同じ位置となる断裁点D(図7A参照)において、搬送経路210aの用紙Sが断裁加工される。
【0077】
このように、第2刃部222は、第1刃部221に対して交差し、第1刃部221に対し接触・退避が可能な構成である。これにより、第2刃部222は、用紙Sの断裁が完了した後、更なる下降によって第1刃部221(刃部分221a)から離れる。第2刃部222が下降して、第1刃部221から離間すると、例えば、第2刃部222が最下点位置に位置した状態では、図7Bに示すように第1刃部221との間に隙間Gが形成され、この隙間Gに掻き落し部250が配設されている。
【0078】
<掻き落し部250>
掻き落し部250は、断裁部220において可動刃と固定刃とで用紙Sを断裁した際に、静電気等により可動刃に付着した断裁屑を可動刃から掻き落として可動刃から離間させる。掻き落し部250は、樹脂等の弾性部材から構成されることが好ましく、例えば、PET(polyethylene terephthalate)樹脂等により形成される。
【0079】
具体的には、掻き落し部250は、可動刃である第2刃部222が下降して固定刃である第1刃部221とで用紙Sを断裁し、上昇して元の位置に戻る過程で、第2刃部222に付着した断裁屑S1を、第2刃部222から離間させる。その際、掻き落し部250は、第2刃部222から断裁屑S1を掻き落とす構成としているが、第2刃部222に付着する断裁屑S1に接触して断裁屑S1を落とす構成としてもよい。
【0080】
掻き落し部250は、変形して断裁後に移動する第2刃部222に当接する弾性当接部252を有する。弾性当接部252は、第1刃部221において第2刃部222との摺り合わせ面(第2刃部222と摺り合う第1刃部221の側面である側面)に固定された弾性固定部254を有する。
【0081】
弾性当接部252は、弾性固定部254とともに弾性変形するシート材(弾性シート材)からなり、シート材を屈曲してV字状に形成されている。弾性当接部252は、用紙Sを断裁する断裁点D側から第1刃部(固定刃)221の基端部側に向かって移動する第2刃部(可動刃)222により押圧されて弾性変形して、第2刃部222との当接位置から後退する。弾性当接部252は、弾性固定部254に対して屈曲部分で搬送方向に開閉自在に設けられ、弾性当接部252と弾性固定部254とで形成される角度が可変する。
【0082】
掻き落し部250は、稜線を断裁点Dに向けて弾性固定部254の一面で第1刃部221の第2刃部222との摺り合わせ面(側面)に固定され、弾性当接部252の表面(他面)を第2刃部222側に突出させている。弾性当接部252は、弾性固定部254に対して、第2刃部222側から、つまり、上方から下方に向けて徐々に広がるように配置されている。
【0083】
このように、掻き落し部250は、第1刃部221と第2刃部222との重なり合う部分の隙間に配設された状態となっている。弾性当接部252は、第2刃部222の移動に追従して、第2刃部222による押圧状態が解放され、第2刃部222側に変位して第2刃部222に掛止するように摺動する。
【0084】
図8は、掻き落し部250の配置の説明に供する図である。
掻き落し部250は、第1刃部221と第2刃部222の間の隙間Gに配置される。掻き落し部250は断裁する用紙の奥行き方向の幅に対応した位置に配置される。
【0085】
図8では、奥行き幅方向の全幅にわたって隙間Gに配置される。これにより断裁する用紙の奥行き幅方向の長さに関係なく、いかなる大きさ(全てのパターン)の用紙にも対応できる。
【0086】
掻き落し部250は、隙間Gを形成する第1刃部221の下流側の面(第2刃部222が摺動する面)において、幅方向手前側を頂点とし、奥行き方向に長い三角形状に構成された弾性固定部254を有する。この三角形状の弾性固定部254に対応して、弾性固定部254の幅方向の水平な辺部から下流側に屈曲する三角形状の弾性当接部252が形成される。
【0087】
すなわち、掻き落し部250は、第1刃部221と第2刃部222との重なりあう省スペースに位置されることになり、掻き落し部250を設けても装置が大型化することがない。また、この掻き落し部250の配置は、断裁する用紙Sの形状に対応して設けてもよい。
【0088】
図9は、掻き落し部250の変形1の説明に供する図であり、断裁部220の全幅にわたる幅の用紙を断裁する際の掻き落し部250Aを示す。
掻き落し部250Aは、断裁部220において、分割されない用紙を断裁する際に配置されるものであり、隙間Gにおいて幅方向の中央付近(例えば、中央部)に設けられている。
【0089】
用紙は幅方向に分割されない大きさであるので、用紙を断裁する際には、一か所の掻き落し部250Aで排出される断裁屑の付着を防止できる。
【0090】
図10は、掻き落し部250の変形例2の説明に供する図である。図10に示す掻き落し部250B、250C、250Dは、搬送方向に沿って分割された用紙Sに対応して配置されている。掻き落し部250B、250C、250Dは、夫々搬送方向と直交する方向(幅方向)で、等間隔で分割される用紙の隣り合う位置に複数設けられている。これにより、複数の掻き落し部250B、250C、250Dは、断裁時において、分割された用紙毎に生成される断裁屑を夫々掻き落とすことができる。
【0091】
<動作>
次に、本実施の形態に係る加工装置の動作について説明する。
図11は、用紙の先端部を断裁加工する場合の加工装置を示す図である。
【0092】
後処理装置2において、初期状態では、第2刃部222が非断裁位置に位置している。また、下流ガイド部214は、搬送ガイド部214aを搬送経路となる位置に配置し、断裁するときには移動して、落下経路形成部214bを、断裁屑の落下経路を形成する位置に配置させる。
【0093】
図11Aで示すように、第2刃部222が非断裁位置である初期位置から下降して、断裁点Dで用紙Sを断裁する。その後、第2刃部222が更に下降すると、第2刃部222は掻き落し部250(弾性当接部252)の外面に当接しさらに下降する。これにより、掻き落し部250は、図11Bに示すように、第2刃部222の下降に追従して弾性変形し、弾性当接部252と弾性固定部254との角度が狭くなる。
【0094】
第2刃部222が断裁屑S1を下方に押し込みつつさらに下降して掻き落し部250も追従して変形する。そして、第2刃部222は、断裁位置である最下端位置まで移動すると、断裁屑S1を落下経路部230に押し込み、弾性当接部252を押圧することで弾性当接部252と弾性固定部254とをその付勢力に抗して最も畳まれた状態にする。
【0095】
このとき、第2刃部222の最下端位置は、弾性当接部252の下端部(「段差」にも相当する)2522より下方の位置であることが好ましい。また、断裁位置において、第2刃部222から落下しない断裁屑S1、つまり落下経路部230に落下しない断裁屑S1は、静電気等の発生により第2刃部222に付着しているものと考えられる。
【0096】
次いで、第2刃部222は、非断裁位置に戻るべく、上昇を開始する。これにより、下降する第2刃部222に追従して、上方から下方に向けて畳まれるように変形した掻き落し部250は変形状態が解放されていく。
【0097】
すなわち、弾性当接部252の下端部2522は、第2刃部222の外面に向けて付勢されているので、下端部2522は、第2刃部222に対して、第2刃部222を引っ掻くように摺動する。
【0098】
これにより、図11Dに示すように、下端部2522に断裁屑S1が当接し、断裁屑S1は下端により上昇が規制され、上昇する第2刃部222から離間される。すなわち、断裁屑S1が、弾性当接部252の下端部2522に引っ掛かり、断裁屑S1は掻き落とされる。
【0099】
そして、図11Eに示すように、第2刃部222は上昇して、掻き落し部250の弾性変形は復元し、断裁屑S1を第2刃部222から離脱させて、落下経路230に確実に落下させることができる。
【0100】
このように本実施の形態によれば、断裁刃である第2刃部222の動作に合わせて掻き落し部250の弾性当接部252と弾性固定部254の角度が可変することで、省スペースでかつ、より効果的に断裁屑S1の落下を促すことができる。すなわち、断裁屑S1を好適に落下させることができる。この構成を、静電気の影響を特に及ぼしやすいデジタル印刷機システムに適用することにより、断裁屑S1が第2刃部222に付着することによるジャムや断裁不良が発生することがなく、システム全体の信頼性を向上することができる。
【0101】
<変型例1に係る加工装置>
図12A及び図12Bは、変形例1に係る加工装置の断裁部の要部構成図である。
図12A及び図12Bに示す断裁部220Eが備える掻き落し部250Eは、繊維素材のような毛羽立った部材で構成されている。
【0102】
掻き落し部250Eは、掻き落し部250とは構成が異なるが、加工装置として掻き落し部250と同様に配置される。
【0103】
掻き落し部250Eは、弾性変形可能であり第2刃部222に当接する複数の起毛からなる起毛部252Eを有し、起毛部252Eが弾性固定部254Eから立ち上がるように設けられている。
【0104】
弾性固定部254Eは、隙間G(図8図10参照)を形成する領域で第1刃部221に固定される面状部材である。弾性固定部254Eが隙間G内で第1刃部221に取り付けられることにより、起毛部252Eは第1刃部221から立ち上がるように配設されている。すなわち、隙間Gにおいて、幅方向に亘って一面に設けられてもよいし、幅方向の中央に設けられてもよいし、幅方向に複数も受けられた構成としてもよい。
【0105】
弾性固定部254は、図12Bに示すように、第1刃部221において、第1刃部221に対して下降する第2刃部222との断裁点Dの下方で、第2刃部222と隣接し摺り合う側面に固定され、この側面から起毛部252Eが立ち上がるように設けられている。
【0106】
起毛部252Eは、第2刃部222に弾性変形して当接することで、第2刃部222に付着する断裁屑S1を掻いたり、また絡めたり、静電気により付着させたりする等して第2刃部222から断裁屑S1を落とす。
【0107】
掻き落し部の変形例1の動作を説明する。
図13A図13B図13C及び13Dは、変形例1に係る加工装置の断裁部の動作を示す図である。
【0108】
変形例1の加工装置における断裁部220Eにおける第2刃部222は、図12Bに示す断裁点Dから下降し、用紙Sを断裁し、更に下降して、図13Aに示すように、掻き落し部250Eの外面部分(起毛部252E)に当接しさらに下降する。
【0109】
掻き落し部250Eは、下降する第2刃部222により押圧されることにより、起毛部252Eは弾性変形して倒れる。第2刃部222は、起毛部252Eを押圧しながら断裁屑S1を下方に押しながら下降し、図13Bに示すように、第2刃部222の最下点に位置する。
【0110】
その後、第2刃部222は上昇し、これに追従して、第2刃部222により押圧されていた起毛部252Eも解放されて立ち上がる。このとき、第2刃部222により下方押し込まれていた断裁屑S1は、図13Cに示すように、第2刃部222が最下点から上昇する際に静電気等によりともに上昇しようするが起毛部252Eが当接している。
【0111】
起毛部252Eにより断裁屑S1の上昇が規制されて、断裁屑S1は、第2刃部222から離間する、つまり、断裁屑S1は第2刃部222から掻き落とされる。そして、図13Dに示すように、第2刃部222は、非断裁位置に戻り、掻き落とされた断裁屑S1は、落下するか、掻き落し部250Eに捕捉された後落下する。
【0112】
図14A及び図14Bは、断裁部における可動刃と掻き落し部の位置関係の説明に供する図である。図14Aは、第2刃部222である可動刃の最下点が掻き落し部の当接部分と同じ位置か或いは下方に位置させた状態を示す図であり、図14Bは、可動刃の最下点が当接部分より高い位置に配置された状態を示す図である。
【0113】
ギロチンカッターを構成する可動刃である第2刃部222の最下端点の位置と、掻き落し部との配置関係は、図14Aに示すように、最下点の位置は、掻き落し部において第2刃部222に当接して断裁屑S1を落とす部分(段差部)よりも低い位置に位置させる。
【0114】
しかしながら、掻き落し部250Eが起毛部252Eのように、繊維素材により掻き落し部を構成した場合、図14Bに示すように、可動刃(第2刃部222)の最下点よりも掻き落し部250Eにおいて落とす部分(段差部)の位置を高くしてもよい。
【0115】
掻き落し部250Eの落とす部分、すなわち変形する起毛部252Eは、第2刃部222の上昇に伴い、復元し、その復元する際に、第2刃部222に断裁屑S1が付着している場合、断裁屑S1の阻害となる。これにより、断裁屑S1の落下経路部230への落下を促進する。
【0116】
<変型例2に係る加工装置>
図15A図15B図15C及び15Dは、変形例2に係る加工装置の断裁部の動作を示す図である。
【0117】
図15Aに示す変型例2の加工装置における断裁部220Gは、加工装置200と略同様に構成され、掻き落し部250Gの構成のみ異なる。
【0118】
すなわち、図15Aに示す断裁部220Gは、断裁部220と同様に可動刃である第2刃部222と固定刃である第1刃部221とを含むギロチンカッターと、掻き落し部250Gとを有する。
【0119】
掻き落し部250Gは、断裁部220Gにおける第2刃部222と第1刃部221とで用紙Sを断裁した際に、静電気等により第2刃部222に付着した断裁屑S1を、第2刃部222の可動を用いて、第2刃部222から掻き落として可動刃から離間させる。
【0120】
掻き落し部250Gは、掻き落し部250と同様に、第2刃部222と第1刃部221とが重なる部位に形成される省スペースである隙間G(図8参照)に配置され、且つ、第2刃部222の最下点と同じ位置若しくは高い位置に配置される。
【0121】
掻き落し部250Gは、第1刃部221の側面(摺り合う面)に固定されて、段差となる段差部252Gを有する。
【0122】
掻き落し部250Gは、側面(擦り合う面)に段差を構成可能な厚みを有し、例えば、PET等の樹脂の弾性材料により構成されたる板状体である。例えば、掻き落し部250Gは、図8に示すように、全幅方向に長く、隙間Gの三角領域に配置される三角板状体に構成してもよく、また、図9、10に示すように、隙間G内において、幅方向の中央に一つ設けた構成や、幅方向に複数離間して設けた構成としてもよい。
【0123】
変形例2の加工装置の断裁部220Eにおける第2刃部222は、図15Aに示すように、非断裁位置から断裁点Dに下降して第1刃部221と点当たりして用紙Sを断裁し、更に下降して断裁屑S1を下方に押し込む。このとき、第2刃部222は点当たりすることで搬送方向に回動する。なお、これにより第2刃部222は第1刃部221に幅方向奥側から手前側に向かって点当たりしていく。こうして用紙Sを断裁し、図15Cに示すように、第2刃部222は最下点まで下降し、図15Dに示すよう上昇する。
【0124】
第2刃部222の上昇により、第2刃部222(特に段差部252G)は、掻き落し部250Gを摺動しながら上昇する。その際に、第2刃部222に静電気で付着した断裁屑S1は、段差部252Gに引っ掛かり落下する。これにより、簡単な構成で断裁屑S1を確実に落下経路230に落下させることができる。
【0125】
また、上記実施の形態では、加工装置200が、後処理装置2に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、画像形成装置本体1内に含まれていても良い。
【0126】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 画像形成装置本体
2 後処理装置
40 画像形成部
100 画像形成装置
101 制御部
200 加工装置
210 搬送経路部
210a 搬送経路
211 搬送ローラー
212 搬送ローラー
214 下流ガイド部
214a 搬送ガイド部
214b 経路形成部
220、220E、220G 断裁部
221 第1刃部(固定刃)
221a、222a 刃部分
222 第2刃部(可動刃)
230 落下経路部
241a 弾性当接部
242 押圧部
250、250A、250B、250C、250D、250E、250G 掻き落し部
252 弾性当接部
252E 起毛部
252G 段差部
254、254E 弾性固定部
2522 下端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15