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  • 特開-振動吸収台座 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027641
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】振動吸収台座
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
F16F15/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132598
(22)【出願日】2023-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】520028128
【氏名又は名称】Next up株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】安東 寛生
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AD16
3J048BA05
3J048DA01
3J048EA07
(57)【要約】
【課題】 角筒体の外側も含めて荷重の負担や振動の吸収に寄与させることが可能で、振動や騒音が防水パンなどに漏れにくい、振動吸収台座を提供する。
【解決手段】 振動吸収台座1は、角筒体2と底蓋3とを含む。角筒体2は、五角以上の正多角形の輪郭形状を有し、使用時に振動発生を伴う機器の載置面2aを上部に有する。角筒体2の載置面2aと下部の底面との間となる内部には、上下に延びる複数の空洞2b,2cが配置され、中央の空洞2cは断面積が周囲となる他の空洞2bよりも大きい。底蓋3は、板状で、角筒体2の底面の外周を覆う輪郭形状3aを有する。角筒体2は、内部に形成される複数の空洞2b,2cの部分を除いて、外側と内部の壁面とは繋がっており、外側も荷重の負担や振動の吸収に寄与させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒体であって、五角以上の正多角形の輪郭形状を有し、使用時に振動発生を伴う機器の載置面を上部に有し、載置面と下部の底面との間となる内部に、上下に延びる複数の空洞が配置され、中央の空洞は断面積が周囲となる他の空洞よりも大きい、そのような角筒体と、
板状で、角筒体の底面の外周を覆う輪郭形状を有し、角筒体の下部に装着される底蓋と、
を含むことを特徴とする振動吸収台座。
【請求項2】
前記角筒体の輪郭形状は、正六角形であり、角筒体の前記内部に設置される空洞は、ハニカム構造の内部壁面間に形成される、
ことを特徴とする請求項1記載の振動吸収台座。
【請求項3】
前記角筒体と前記底蓋とは、別素材でそれぞれ形成される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の振動吸収台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機など、使用時に振動発生を伴う機器を載置するための振動吸収台座に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動発生源となる洗濯機などを載置するかさ上げ用の台座には、振動吸収の機能が備えられている(たとえば特許文献1の「台座」、および特許文献2の「機器用載置台」参照)。これらの台座は、洗濯機などを防水パンとともに使用することが想定され、大略的に矩形の防水パンの四隅に置かれる。防水パンの各隅では、二つの側壁が直角に交わっているので、台座の形状は、正方形を輪郭形状とする角筒となる。ただし、防水パンの二つの側壁と台座の隅とが密着すると、ごみなどがたまり易くなり、手入れが困難となる。このため、台座の角筒としての輪郭形状は、一角が45度の傾斜面となる変形五角形となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5403720号公報
【特許文献2】特許第5882571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献12の台座は、角筒である「矩形状筒体12」の輪郭で外側となる「矩形状外被部14」が、底部の「矩形状底板11」に達しておらず、荷重の負担や振動の吸収に寄与していない。また、上端部が「鍔状部13」として周囲に張り出した形状で、断面積が小さい矩形状筒体での支持が不安定になるおそれがある。特許文献2の機器用載置台Aでは、上方の「載置部3」の周囲から下方を覆う「外側化粧壁5」は底部から浮いており、荷重の負担や振動の吸収に寄与していない。また、機器用載置台の内部に分散して配置される複数の「支持柱体4」で荷重を支え、振動を吸収する必要があるので、支持柱体の配置や本数を調整しなければならない。さらに、防水パンの隅などに設置する場合に、正方形を基本とする四角形や変形五角径の輪郭形状では、防水パンの二つの側壁と密着する部分が生じ、振動や騒音が防水パンに漏れるおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、角筒体の外側も含めて荷重の負担や振動の吸収に寄与させることが可能で、振動や騒音が防水パンなどに漏れにくい、振動吸収台座を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、角筒体であって、五角以上の正多角形の輪郭形状を有し、使用時に振動発生を伴う機器の載置面を上部に有し、載置面と下部の底面との間となる内部に、上下に延びる複数の空洞が配置され、中央の空洞は断面積が周囲となる他の空洞よりも大きい、そのような角筒体と、
板状で、角筒体の底面の外周を覆う輪郭形状を有し、角筒体の下部に装着される底蓋と、
を含むことを特徴とする振動吸収台座
である。
【0007】
また、本発明の前記角筒体の輪郭形状は、正六角形であり、角筒体の前記内部に設置される空洞は、ハニカム構造の内部壁面間に形成される、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の前記角筒体と前記底蓋とは、別素材でそれぞれ形成される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、角筒体は、内部に形成される複数の空洞の部分を除いて、外側と内部の壁面とは繋がっており、外側も荷重の負担や振動の吸収に寄与させることができる。内部の空洞は、中央の輪郭形状が大きいので、振動を周囲の空洞に分散させることができる。外部からの振動や衝撃は、一つの空洞に集中しないで分散するので、構造全体の耐久性を向上させることができる。角筒体の輪郭形状は、五角以上の正多角形となるので、防水パンの側壁と密着することがなく、振動や騒音が防水パンなどに漏れにくい。
【0010】
また本発明によれば、角筒体の輪郭形状が正六角形であり、内部にハニカム構造の内部壁面を有するので、内部の空洞の壁や接合点が均等に力を受け、外部からの振動や力が広範囲に分散される。ハニカム構造は、比較的軽量でありながら高い剛性を持ち、最小の材料使用量で最大の強度を実現することができるとともに、外部からの振動や衝撃を吸収し、構造の変形を最小限に抑えることができる。
【0011】
また本発明によれば、角筒体と底蓋とは、素材が異なるので、振動の減衰性能も異なり、振動周波数に応じて最適な減衰力を発揮できるように、調整することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施例である振動吸収台座1の正面図、および正面断面を含む斜視図である。
図2図2は、図1の振動吸収台座1の右側面図、および右側面断面を含む斜視図である。
図3図3は、図1の振動吸収台座1の平面図、および上方から見た斜視図である。
図4図4は、図1の振動吸収台座1の底面図、および下方から見た斜視図である。
図5図5は、図1の角筒体2の底面図である。
図6図6は、図1の底蓋3の斜視図である。
図7図7は、図1の振動吸収台座1を防水パン10の四隅に配置する状態を示す簡略化した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図6は、本発明の一実施例である振動吸収台座1の構成を示し、図7は使用方法の一例を示す。図面によっては、他の図に記載されている対応部分の記載を省略する場合がある。実施例の説明は、図に沿って行うけれども、説明対象の図で記載を省略している部分に対する説明も、他の図に付されている参照府を使用して行う場合もある。
【実施例0014】
図1および図2は、本発明の一実施例である振動吸収台座1を、(a)で正面図および右側面図、(b)で正面断面を含む斜視図および右側面断面を含む斜視図として、それぞれ示す。図3および図4は、振動吸収台座1を、(a)で平面図および底面図、(b)で上方からおよび下方から見た斜視図として、それぞれ示す。振動吸収台座1は、角筒体2と底蓋3とを含む。角筒体2は、五角以上の正多角形の輪郭形状を有し、使用時に振動発生を伴う機器の載置面2aを上部に有する。角筒体2の載置面2aと下部の底面との間となる内部には、上下に延びる複数の空洞2b,2cが配置され、中央の空洞2cは断面積が周囲となる他の空洞2bよりも大きい。底蓋3は、板状で、角筒体2の底面の外周を覆う輪郭形状3aを有し、角筒体2の下部に装着される。角筒体2の載置面2aの周囲は、壁状に立ち上がり、排水用の切り欠き2dが設けられている。底蓋3の上面には、角筒体2の中央の空洞2cの周囲に配置される空洞2bを受ける受け部3bが設けられる。底蓋3で輪郭形状3aの下部は、接地部3cとなって、振動吸収台座1を設置する面に当接する。接地部3cにも、排水用の切り欠き3dが設けられる。
【0015】
角筒体2は、内部に形成される複数の空洞2b,2cの部分を除いて、外側と内部の壁面とは繋がっており、外側も荷重の負担や振動の吸収に寄与させることができる。内部の空洞2b,2cは、中央の空洞2cの輪郭形状が周囲の空洞2bの輪郭形状よりも大きいので、振動を周囲の空洞2bに分散させることができる。外部からの振動や衝撃は、一つの空洞2b,2cに集中しないで分散するので、構造全体の耐久性を向上させることができる。
【0016】
図5は、角筒体2の内部構成を、底面図として示す。本実施形態の角筒体2の輪郭形状は、正六角形であり、角筒体2の内部に設置される空洞2b,2cは、ハニカム構造の内部壁面2e間に形成される。ただし、正六角形の輪郭形状は、角が丸みを帯びている。内部にハニカム構造の内部壁面2eを有するので、内部の空洞2b,2cの壁や接合点が均等に力を受け、外部からの振動や力が広範囲に分散される。ハニカム構造は、比較的軽量でありながら高い剛性を持ち、最小の材料使用量で最大の強度を実現することができるとともに、外部からの振動や衝撃を吸収し、構造の変形を最小限に抑えることができる。また、ハニカム構造は、空洞2b,2cをセルとして、セルが多角形の連続体を形成する構造である。この連続したセル構造により、力の伝達や補強が行われる。一つのセルに生じた変形や損傷は、隣接するセルにも影響を及ぼし、全体として、強度や安定性を維持する自己補強効果がある。
【0017】
図6は、底蓋3の構成を示す。底蓋3は、角筒体2とは別素材で形成される。角筒体2は、たとえばポリプロピレンのような熱可塑性樹脂を射出成形して形成される。底蓋3は、ウレタンなどのゴム系や、TPUなどのエラストマー系、他のエンジニアリングプラスチックを使用して形成すれば、振動の減衰性能や防振性が角筒体2と異なる素材の組合せとして、振動周波数に応じて最適な減衰力を発揮できるように調整することができる。
【0018】
図7は、振動吸収台座1を防水パン10の四隅に配置する状態を、簡略化して示す。振動吸収台座1の輪郭形状を、正六角形など、五角以上の角を有する正多角形とすることによって、角の内角が直角よりも大きくなり、矩形の防水パン10の角隅では側壁と密着することはない。このため、振動や騒音が防水パン10などに漏れにくくなり、ごみなどが集積しにくくなり、掃除などの手間を省くことができる。なお、防水パン10と振動吸収台座1との組合せは、洗濯機を使用する場合だけでなく、洗濯乾燥機を使用する場合にも、同様に適用することができる。さらに、振動吸収台座1は、使用時に振動発生源となる機器、たとえば空調関係の機器の載置に、好適に使用することもできる。
【符号の説明】
【0019】
1 振動吸収台座
2 角筒体
2a 載置面
2b,2c 空洞
2e 内部壁面
3 底蓋
3a 輪郭形状
3b 受け部
10 防水パン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7