(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027655
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】車両用の充電システム
(51)【国際特許分類】
F02B 37/22 20060101AFI20250220BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20250220BHJP
F02B 39/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
F02B37/22
F02B37/00 302B
F02B39/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132631
(22)【出願日】2023-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 渉
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005GA04
3G005GB09
3G005GB24
3G005GB86
3G005GC03
3G005GC04
(57)【要約】
【課題】タービンを各回転数に適した流路断面積で運転すること。
【解決手段】車両500用の充電システム100は、内燃機関200からの排気ガスによって運転されるタービンTと、タービンTの翼車3に流入する流路62の断面積を調整するアジャスタ80と、を含む過給機TCと、内燃機関200からの動力によって生じる電気を充電可能なバッテリ300と、アジャスタ80を制御する制御装置90であって、アジャスタ80を第1充電モードおよび第2充電モードの間で切り替え、第1充電モードでは、流路62の断面積を第1断面積に設定し、第2充電モードでは、流路62の断面積を第1断面積と異なる第2断面積に設定する、制御装置90と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関からの排気ガスによって運転されるタービンと、前記タービンの翼車に流入する流路の断面積を調整するアジャスタと、を含む過給機と、
前記内燃機関からの動力によって生じる電気を充電可能なバッテリと、
前記アジャスタを制御する制御装置であって、
前記アジャスタを第1充電モードおよび第2充電モードの間で切り替え、
前記第1充電モードでは、前記流路の前記断面積を第1断面積に設定し、
前記第2充電モードでは、前記流路の前記断面積を前記第1断面積と異なる第2断面積に設定する、
制御装置と、
を備える、
車両用の充電システム。
【請求項2】
前記第1断面積は、前記第2断面積より小さく、
前記第1充電モードにおいて前記バッテリに供給される電力が、前記第2充電モードにおいて前記バッテリに供給される電力より大きい、請求項1に記載の車両用の充電システム。
【請求項3】
前記過給機は、前記タービンに連結される圧縮機を含み、
前記アジャスタは、
前記流路の一部を画定する可動壁と、
前記可動壁を収容する流体チャンバと、
前記圧縮機からの圧縮流体を前記流体チャンバに導く導管と、
前記流路の前記断面積を拡げる方向または狭める方向に前記可動壁を押す弾性体と、
を含む、
請求項1に記載の車両用の充電システム。
【請求項4】
前記アジャスタは、
前記可動壁を前記第1充電モードに対応する第1位置に位置決めする第1ストッパと、
前記可動壁を前記第2充電モードに対応する第2位置に位置決めする第2ストッパと、
を含む、
請求項3に記載の車両用の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、発電用にタービンを備える場合がある。例えば、特許文献1は、内燃機関と、蓄電池と、タービンと、を備えるシステムを開示する。内燃機関からの排気は、タービンを駆動する。タービンに連結された発電機の出力は、蓄電池に充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関は、充電の際に、例えば低速充電用の回転数および高速充電用の回転数を含む、複数の所定の離散的な回転数で運転され得る。運転効率を向上するために、タービンは、各回転数に適した流路断面積で運転することが望ましい。
【0005】
本開示は、タービンを各回転数に適した流路断面積で運転することができる、車両用の充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車両用の充電システムは、内燃機関からの排気ガスによって運転されるタービンと、タービンの翼車に流入する流路の断面積を調整するアジャスタと、を含む過給機と、内燃機関からの動力によって生じる電気を充電可能なバッテリと、アジャスタを制御する制御装置であって、アジャスタを第1充電モードおよび第2充電モードの間で切り替え、第1充電モードでは、流路の断面積を第1断面積に設定し、第2充電モードでは、流路の断面積を第1断面積と異なる第2断面積に設定する、制御装置と、を備える。
【0007】
第1断面積は、第2断面積より小さくてもよく、第1充電モードにおいてバッテリに供給される電力が、第2充電モードにおいてバッテリに供給される電力より大きくてもよい。
【0008】
過給機は、タービンに連結される圧縮機を含み、アジャスタは、流路の一部を画定する可動壁と、可動壁を収容する流体チャンバと、圧縮機からの圧縮流体を流体チャンバに導く導管と、流路の断面積を拡げる方向または狭める方向に可動壁を押す弾性体と、を含んでもよい。
【0009】
アジャスタは、可動壁を第1充電モードに対応する第1位置に位置決めする第1ストッパと、可動壁を第2充電モードに対応する第2位置に位置決めする第2ストッパと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、タービンを各回転数に適した流路断面積で運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両用の充電システムの概略図である。
【
図2】
図2は、第1位置にある可動壁を示す概略的な拡大断面図である。
【
図3】
図3は、第2位置にある可動壁を示す概略的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る車両500用の充電システム100の概略図である。車両500は、充電システム100と、モータ400と、を備える。車両500は、他の構成要素をさらに備えてもよい。充電システム100は、内燃機関200と、バッテリ300と、過給機TCと、制御装置90と、を含む。充電システム100は、他の構成要素をさらに備えてもよい。
【0014】
本実施形態では、車両500は、車輪を駆動するための動力として電気を使用する自動車である。例えば、本実施形態では、車両500は、レンジエクステンダーであってもよい。例えば、本実施形態では、内燃機関200は、車輪を駆動せず、バッテリ300に充電するための発電にのみ使用される。他の実施形態では、車両500は、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等、バッテリ300への充電に加えて、車輪を駆動するために内燃機関200を使用する他の自動車であってもよい。
【0015】
内燃機関200は、例えば、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等のエンジンであってもよい。例えば、内燃機関200は、発電機210に連結され、発電機210は、内燃機関200からの動力によって発電する。発電機210からの電気は、バッテリ300に充電される。例えば、発電機210は、内燃機関200に内蔵されてもよい。
【0016】
バッテリ300は、モータ400に電気を供給する。モータ400は、バッテリ300からの電気によって車輪を駆動する。
【0017】
過給機TCは、タービンTと、遠心圧縮機Cと、を含む。タービンTは、内燃機関200からの排気ガスによって運転し、遠心圧縮機Cは、タービンTからの回転力によって空気を圧縮する。圧縮された空気は、内燃機関200に供給される。
【0018】
過給機TCは、ハウジング1と、シャフト2と、タービン翼車3と、コンプレッサインペラ4と、を備える。
【0019】
後述するように、タービン翼車3およびコンプレッサインペラ4は、シャフト2と一体的に回転する。したがって、本開示では、シャフト2、タービン翼車3およびコンプレッサインペラ4の軸線方向、径方向および円周方向は、他に指示が無い限り、それぞれ単に「軸線方向」、「径方向」および「円周方向」と称され得る。また、本開示では、シャフト2、タービン翼車3およびコンプレッサインペラ4の中心軸線は、他に指示が無い限り、単に「中心軸線」と称され得る。
【0020】
ハウジング1は、ベアリングハウジング5と、タービンハウジング6と、コンプレッサハウジング7と、を含む。軸線方向において、ベアリングハウジング5の一方の端部は、Gカップリング等の締結具によってタービンハウジング6に連結される。軸線方向において、ベアリングハウジング5の他方の端部は、ボルト等の締結具によってコンプレッサハウジング7に連結される。
【0021】
ベアリングハウジング5は、軸受孔5aを含む。軸受孔5aは、ベアリングハウジング5内を軸線方向に延在する。軸受孔5aは、軸受Bを収容する。軸受Bは、シャフト2を回転可能に支持する。本実施形態では、軸受Bとして、一対の転がり軸受が使用される。他の実施形態では、軸受Bとして、フルフローティング軸受またはセミフローティング軸受等の他のラジアル軸受が使用されてもよい。
【0022】
軸線方向において、シャフト2の第1の端部には、タービン翼車3が設けられる。タービン翼車3は、シャフト2と一体的に回転する。タービンハウジング6は、タービン翼車3を回転可能に収容する。軸線方向において、第1の端部とは反対側のシャフト2の第2の端部には、コンプレッサインペラ4が設けられる。コンプレッサインペラ4は、シャフト2と一体的に回転する。コンプレッサハウジング7は、コンプレッサインペラ4を回転可能に収容する。
【0023】
コンプレッサハウジング7は、軸線方向においてベアリングハウジング5と反対側の端部に、吸気口71を含む。吸気口71は、不図示のエアクリーナに接続される。
【0024】
ベアリングハウジング5およびコンプレッサハウジング7は、それらの間にディフューザ流路72を規定する。ディフューザ流路72は、環状形状を有する。ディフューザ流路72は、コンプレッサインペラ4に対して径方向外側に位置する。ディフューザ流路72は、コンプレッサインペラ4を介して吸気口71に流体連通する。
【0025】
コンプレッサハウジング7は、コンプレッサスクロール流路73を含む。コンプレッサスクロール流路73は、ディフューザ流路72に対して径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路73は、ディフューザ流路72と連通する。また、コンプレッサスクロール流路73は、内燃機関200の吸気口と流体連通する。
【0026】
コンプレッサインペラ4が回転すると、吸気口71からコンプレッサハウジング7内に空気が吸引される。空気は、コンプレッサインペラ4を通る間に、遠心力によって増速および加圧される。空気は、ディフューザ流路72およびコンプレッサスクロール流路73を通る際にさらに加圧される。加圧された空気は、不図示の吐出口から流出し、内燃機関200の吸気口に導かれる。過給機TCにおいて、コンプレッサインペラ4およびコンプレッサハウジング7を含む部分は、遠心圧縮機Cとして機能する。
【0027】
タービンハウジング6は、軸線方向においてベアリングハウジング5と反対側の端部に、吐出口61を含む。吐出口61は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。
【0028】
タービンハウジング6は、接続流路62を含む。接続流路62は、環状形状を有する。接続流路62は、タービン翼車3に対して径方向外側に位置する。接続流路62は、タービン翼車3の上流に位置する。接続流路62は、タービン翼車3を介して吐出口61に流体連通する。接続流路62には、複数のベーンVが配置される。複数のベーンVは、タービン翼車3に対して径方向外側の領域において、円周方向に沿って配置される。
【0029】
過給機TCは、タービン翼車3に流入する接続流路62の断面積を調整するアジャスタ80を含む。アジャスタ80については、詳しくは後述する。
【0030】
タービンハウジング6は、タービンスクロール流路63を含む。タービンスクロール流路63は、接続流路62に対して径方向外側に位置する。タービンスクロール流路63は、接続流路62と流体連通する。また、タービンスクロール流路63は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口は、内燃機関200の排気マニホールドから排出される排気ガスを受け入れる。
【0031】
排気ガスがガス流入口からタービンスクロール流路63に導かれ、さらに、接続流路62およびタービン翼車3を介して吐出口61に導かれる。排気ガスは、タービン翼車3を通る間に、タービン翼車3を回転させる。タービン翼車3の回転力は、シャフト2を介してコンプレッサインペラ4に伝達される。コンプレッサインペラ4が回転すると、上記のとおりに空気が加圧される。こうして、加圧された空気が内燃機関200の吸気口に導かれる。過給機TCにおいて、タービン翼車3およびタービンハウジング6を含む部分は、タービンTとして機能する。
【0032】
制御装置90は、少なくともアジャスタ80を制御する。制御装置90によるアジャスタ80の制御については、詳しくは後述する。制御装置90は、充電システム100のなかの他の構成要素の一部または全部をさらに制御してもよい。また、制御装置90は、車両500のなかの他の構成要素の一部をさらに制御してもよい。例えば、制御装置90は、ECU(Electronic Control Unit)であってもよい。制御装置90は、例えば、プロセッサ90a、記憶装置90bおよびコネクタ90c等の構成要素を含み、これらの構成要素はバスを介して互いに接続される。制御装置90は、他の構成要素を更に含んでもよい。例えば、プロセッサ90aは、CPU(Central Processing Unit)等を含む。例えば、記憶装置90bは、ハードディスク、プログラム等が格納されるROM、および、ワークエリアとしてのRAM等を含む。制御装置90は、コネクタ90cを介して、充電システム100の各構成要素と通信可能に接続される。例えば、CAN(Controller Area Network)が、制御装置90と充電システム100の構成要素との間の接続に使用されてもよい。例えば、制御装置90の動作は、記憶装置90bに記憶されるプログラムをプロセッサ90aに実行することによって、実現されてもよい。
【0033】
続いて、アジャスタ80について説明する。
【0034】
図2は、第1位置P1にある可動壁81を示す概略的な拡大断面図である。
図3は、第2位置P2にある可動壁81を示す概略的な拡大断面図である。
図2および
図3は、
図1中のA部を示す概略的な拡大断面図である。
図2を参照して、例えば、アジャスタ80は、可動壁81と、流体チャンバ82と、導管83と、弾性体84と、第1ストッパ85と、第2ストッパ86と、バルブVaと、を含む。アジャスタ80は、他の構成要素を更に含んでもよい。
【0035】
可動壁81は、接続流路62の一部を画定する。具体的には、接続流路62は、第1壁62aと、第2壁62bと、によって画定される。第1壁62aおよび第2壁62bは、軸線方向に互いに対向する。例えば、第1壁62aは、タービンハウジング6の表面によって形成され、第2壁62bは、ベアリングハウジング5の表面によって形成される。本実施形態では、可動壁81は、第2壁62bの一部を形成する。可動壁81は、概ね円環形状を有する。可動壁81は、接続流路62に軸線方向に対向する第1表面81aと、第1表面81aと反対側の第2表面81bと、を含む。第2表面81bは、流体チャンバ82内の空間に軸線方向に対向する。
【0036】
本実施形態では、可動壁81は、複数のベーンVの間のスロートにおける断面積を調整する。言い換えると、本実施形態では、可動壁81は、径方向においてベーンVと重複する。具体的には、本実施形態では、ベーンVは、第1壁62aに固定され、第1壁62aから軸線方向に突出する。可動壁81は、ベーンVの突端に対応する位置に、スリット81cを含む。ベーンVの突端は、スリット81c内に挿入される。
【0037】
流体チャンバ82は、可動壁81を収容する。例えば、本実施形態では、流体チャンバ82は、ベアリングハウジング5に形成される空洞または溝であってもよい。流体チャンバ82は、概ね円環形状を有する。可動壁81は、流体チャンバ82に気密に挿入される。例えば、可動壁81および流体チャンバ82の間には、シールS1,S2が配置される。例えば、シールS1,S2は、Oリングであってもよい。
【0038】
導管83は、遠心圧縮機Cからの圧縮流体(圧縮空気)を流体チャンバ82に導く。本実施形態では、導管83は、可動壁81を挟んで接続流路62の反対の位置において、流体チャンバ82に接続される。例えば、導管83は、貫通孔83aと、配管83bと、を含む。
【0039】
例えば、貫通孔83aは、流体チャンバ82からベアリングハウジング5の外面までベアリングハウジング5を貫通する。
図1を参照して、例えば、タービンハウジング6およびベアリングハウジング5が部分的に重複する場合には、貫通孔83aは、タービンハウジング6およびベアリングハウジング5の双方を貫通してもよい。
【0040】
配管83bの第1端は、貫通孔83aに接続される。配管83bの第2端は、遠心圧縮機Cの圧縮流体の流路と流体連通する。具体的には、配管83bの第2端は、コンプレッサインペラ4よりも下流の位置において、圧縮流体の流路と流体連通する。例えば、配管83bの第2端は、コンプレッサスクロール流路73を内燃機関200の吸気口に接続する不図示の配管に接続されてもよい。
【0041】
例えば、配管83bには、バルブVaが設けられる。バルブVaは、制御装置90と通信可能に接続され、制御装置90によって制御される。例えば、制御装置90は、バルブVaの開度を制御することによって、遠心圧縮機Cから流体チャンバ82に供給される圧縮流体の流量を調整する。言い換えると、制御装置90は、バルブVaの開度を制御することによって、接続流路62の断面積を調整する(詳しくは後述)。
【0042】
図2を参照して、本実施形態では、弾性体84は、接続流路62の断面積を拡げる方向に可動壁81を押す。言い換えると、弾性体84は、ベーンVから離間する方向に可動壁81を押す。例えば、弾性体84は、ベアリングハウジング5に形成される収容室87に配置される。
【0043】
具体的には、例えば、ベアリングハウジング5は、本体51と、第1プレート52と、第2プレート53と、を含む。ベアリングハウジング5は、他の構成要素をさらに含んでもよい。例えば、第1プレート52は、接続流路62に軸線方向に対向し、接続流路62の一部を画定する。第1プレート52は、概ね環状形状を有する。第1プレート52は、シュラウドの途中から接続流路62の途中まで径方向に延びる。第1プレート52は、ベーンVおよび可動壁81の径方向内側に位置する。例えば、第1プレート52は、本体51に嵌合される。収容室87は、本体51と第1プレート52との間に形成される。
【0044】
本実施形態では、弾性体84は、皿ばねである。他の実施形態では、弾性体84は、例えばコイルスプリング等の他の弾性体であってもよい。本実施形態では、皿ばねの内周縁が第1プレート52と接触し、皿ばねの外周縁が可動壁81に形成された段部81dと接触する。
【0045】
第1ストッパ85は、可動壁81を第1位置P1に位置決めする。また、
図3を参照して、第2ストッパ86は、可動壁81を第2位置P2に位置決めする。本実施形態では、第1ストッパ85および第2ストッパ86は、ベアリングハウジング5に形成される溝88によって規定される。
【0046】
具体的には、ベアリングハウジング5は、上記のように、第2プレート53を含む。例えば、第2プレート53は、接続流路62に軸線方向に対向し、接続流路62の一部を画定する。第2プレート53は、概ね環状形状を有する。第2プレート53は、接続流路62の途中から径方向外側に延びる。第2プレート53は、ベーンVおよび可動壁81の径方向外側に位置する。例えば、第2プレート53は、本体51に嵌合される。溝88は、本体51と第2プレート53との間に形成される。本実施形態では、溝88は、可動壁81の径方向外側に位置する。溝88は、軸線方向に延在する。
【0047】
溝88は、互いに軸線方向に対向する一対の表面によって画定される。一対の表面の一方は、第1ストッパ85を規定し、一対の表面の他方は、第2ストッパ86を規定する。
【0048】
可動壁81は、突起89を含む。本実施形態では、突起89は、可動壁81から径方向外側に突出する。突起89は、溝88内に挿入される。軸線方向において、突起89の幅は、溝88の幅よりも小さい。したがって、突起89は、溝88と突起89との間の差分だけ、溝88内を軸線方向に移動可能である。例えば、溝88および突起89は、円周方向に連続していてもよく、円環形状を有していてもよい。代替的に、複数の溝88および突起89が、円周方向に沿って配置されてもよい。さらに代替的に、溝88および突起89は、円周方向における一部にのみ設けられてもよい。
【0049】
続いて、充電システム100の動作について説明する。
【0050】
図1を参照して、本実施形態では、バッテリ300の残量が低下した場合、制御装置90は、第1充電モードまたは第2充電モードで充電システム100を運転する。例えば、本実施形態では、第1充電モードは、高速充電モードであり、第2充電モードは、低速充電モードである。これらの充電モードでは、内燃機関200が運転され、発電機210によって発電される。発電機210からの電気は、バッテリ300に充電される。
【0051】
高速充電モードでは、内燃機関200は、所定の高回転数で運転される。例えば、高速充電モードは、車両500が高速道路を走行しているとき等、電気の消費量が所定の閾値よりも高いときに実行されてもよい。低速充電モードでは、内燃機関200は、高速充電モードにおける回転数よりも低い所定の回転数で運転される。例えば、低速充電モードは、電気の消費量が所定の閾値以下のときに実行されてもよい。このように、充電モードでは、内燃機関200は、複数の離散的な回転数において運転される。ここで、離散的な回転数となるとは、例えば内燃機関200の回転数の制御指令値あるいは制御目標値など、内燃機関200の運転状態を規定する数値、制御信号の指令値などのパラメタが充電モードの切り替えで離散的に変動することを表しており、充電モードの切り替えに伴い、実際の内燃機関200の回転数が過渡的(連続的)に変化することを妨げるものではない。本実施形態では、2つの離散的な回転数をとる。また充電モードにおいて、上述のパラメタは各充電モードで決まるパラメタ値の間の数値を取ることはない。
【0052】
図2を参照して、高速充電モードでは、制御装置90は、バルブVaを調整し、遠心圧縮機Cから流体チャンバ82へ供給される圧縮流体の流量を増加させる。圧縮流体は、弾性体84の弾性力に対抗して、可動壁81を接続流路62に向かって押す。したがって、可動壁81は、接続流路62を狭めるように、軸線方向に沿って移動する。突起89が第1ストッパ85に接触すると、可動壁81は止まり、第1位置P1に位置決めされる。本実施形態では、このときの接続流路62の断面積が、第1断面積である。本実施形態では、高速充電モードにおける接続流路62の第1断面積は、狭い。
【0053】
図3を参照して、低速充電モードでは、制御装置90は、バルブVaを調整し、遠心圧縮機Cから流体チャンバ82へ供給される圧縮流体の流量を減少させる、または、バルブVaを閉じてもよい。弾性体84は、圧縮流体からの圧力に対抗して、可動壁81を接続流路62と反対の方向に向かって押す。したがって、可動壁81は、接続流路62を拡げるように、軸線方向に沿って移動する。突起89が第2ストッパ86に接触すると、可動壁81は止まり、第2位置P2に位置決めされる。本実施形態では、このときの接続流路62の断面積が、第2断面積である。本実施形態では、低速充電モードにおける接続流路の第2断面積は、第1断面積よりも大きい。
図3の例では、第2位置P2において、可動壁81は、流体チャンバ82の底壁(
図2において右側の壁)に接触する。他の実施形態では、第2位置P2において、可動壁81は、流体チャンバ82の底壁に接触しなくてもよい。
【0054】
このように、本実施形態では、可動壁81は、2つの位置P1,P2のみに位置決めされ、接続流路62の断面積は、第1断面積および第2断面積のみに設定される。したがって、アジャスタ80の制御が容易である。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る充電システム100は、内燃機関200からの排気ガスによって運転されるタービンTと、タービンTの翼車3に流入する接続流路62の断面積を調整するアジャスタ80と、を含む過給機TCと、内燃機関200からの動力によって生じる電気を充電可能なバッテリ300と、アジャスタ80を制御する制御装置90であって、アジャスタ80を高速充電モードおよび低速充電モードの間で切り替え、高速充電モードでは、接続流路62の断面積を第1断面積に調整し、低速充電モードでは、接続流路62の断面積を第1断面積よりも大きい第2断面積に調整する、制御装置90と、を備える。このような構成によれば、タービンTを、各回転数に適した接続流路62の断面積で運転することができる。
【0056】
また、充電システム100では、第1断面積は、第2断面積より小さく、高速充電モードにおいてバッテリ300に供給される電力が、低速充電モードにおいてバッテリ300に供給される電力より大きい。
【0057】
また、充電システム100では、過給機TCは、タービンTに連結される遠心圧縮機Cを含み、アジャスタ80は、接続流路62の一部を画定する可動壁81と、可動壁81を収容する流体チャンバ82と、遠心圧縮機Cからの圧縮流体を流体チャンバ82に導く導管83と、接続流路62の断面積を拡げる方向に可動壁81を押す弾性体84と、を含む。このような構成によれば、接続流路62の断面積を調整するために、遠心圧縮機Cからの圧縮流体を使用することができる。したがって、接続流路62の断面積を調整するために、例えばモータ等の追加の動力が必要とされない。また、このような構成によれば、接続流路62の断面積を調整するために、例えば皿ばね等のシンプルな弾性体84を使用することができる。
【0058】
また、充電システム100では、アジャスタ80は、可動壁81を第1充電モードに対応する第1位置P1に位置決めする第1ストッパ85と、可動壁81を第2充電モードに対応する第2位置P2に位置決めする第2ストッパ86と、を含む。このような構成によれば、可動壁81を、固定された第1位置P1および第2位置P2に容易に位置決めすることができる。したがって、アジャスタ80を容易に制御することができる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
例えば、上記の実施形態では、高速充電モードにおける第1断面積は、低速充電モードにおける第2断面積よりも小さい。他の実施形態では、高速充電モードにおける第1断面積が、低速充電モードにおける第2断面積よりも大きくてもよい。
【0061】
また、例えば、上記の実施形態では、第1ストッパ85および第2ストッパ86は、ベアリングハウジング5に形成される溝88によって規定され、可動壁81が、溝88内に挿入される突起89を含む。他の実施形態では、溝88が、可動壁81に形成されてもよく、突起89が、ベアリングハウジング5に形成されてもよい。
【0062】
また、例えば、上記の実施形態では、内燃機関200は、2つの離散的な回転数で運転され、接続流路62は、2つの所定の断面積に設定される。他の実施形態では、内燃機関200は、3つ以上の離散的な回転数で運転されてもよく、接続流路62は、3つ以上の所定の断面積に設定されてもよい。
【0063】
また、例えば、上記の実施形態では、弾性体84は、接続流路62の断面積を拡げる方向に可動壁81を押すように構成され、圧縮流体は、接続流路62の断面積を狭める方向に可動壁81を押すように構成される。他の実施形態では、弾性体84は、接続流路62の断面積を狭める方向に可動壁81を押すように構成されてもよく、圧縮流体は、接続流路62の断面積を拡げる方向に可動壁81を押すように構成されてもよい。すなわち、他の実施形態では、導管83および弾性体84が、軸線方向において、上記の実施形態と逆に配置されてもよい。
【0064】
また、例えば、上記の実施形態では、アジャスタ80は、ベアリングハウジング5に設けられる。他の実施形態では、アジャスタ80は、タービンハウジング6に設けられてもよい。
【0065】
本開示は、車両の燃費を向上することができるので、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギへのアクセスを確保する」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0066】
3 タービン翼車
62 接続流路(タービンの流路)
80 アジャスタ
81 可動壁
82 流体チャンバ
83 導管
84 弾性体
85 第1ストッパ
86 第2ストッパ
90 制御装置
100 充電システム
200 内燃機関
300 バッテリ
500 車両
C 遠心圧縮機(圧縮機)
P1 第1位置
P2 第2位置
T タービン
TC 過給機